JP3282747B2 - 超電導デバイス - Google Patents
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Description
超電導トランジスタ等に用いられるトンネル型接合構造
の超電導デバイスに関する。
ニクスの進歩は目覚ましく、これに伴って転移温度Tc
の高いビスマス系酸化物超電導物質やイットリウム系酸
化物超電導物質が提案されている。
超電導デバイスを作成する場合には、例えば、一定の作
動電圧を有し回路動作の安定性に優れたトンネル型接合
が用いられる。このトンネル型接合は、SIS又はSI
N(ここで、Sは超電導薄膜、Iは絶縁層、Nは常伝導
体)からなる積層構造となっている。
Cu2Ox(以下、BSCCOという。)やY1Ba2Cu
3Ox(以下、YBCOという。)組成の超電導体は、
c軸に垂直方向に層状の積層構造を有している。例え
ば、BSCCOにおいては、BiO、SiO、CuO2
とCaの積層構造をなしており、この各層の中でCuO
2層が超電導層(S)特性を備える。このBSCCO
は、N/S/S/N構造をとる。
導体の(001)配向面上に絶縁層を設け、その上に対
向電極としてS層又はN層を設けた構造となっている。
そのため、層状構造の酸化物超電導体をもう一方の電極
とした場合では、超電導特性を有しない酸化物超電導体
の最も表面に近いN層からリーク電流が発生し、理想的
なヒステリシスカーブを持つ電流・電圧(I−V)特性
が得られなかった。
物超電導体単結晶のc軸に平行な断面壁に位置する段差
部に絶縁膜を隔てて超電導体層、又は常伝導層を設けた
超電導体デバイスを提案している(特願平2−4134
80号参照)。
は、酸化物超電体のc軸に平行な断面壁に位置する段差
部から電子が超電体のCuO2面に直接トンネルするこ
とができる。
段差部全面に絶縁膜を介して超電導体層又は常伝導体層
との接合が形成されているため、酸化物超電導体の中の
常伝導体特性を有する層(N層)を介してリーク電流が
発生し、理想的なヒステリシスカーブを持つI−V特性
が得られていない。
るためになされたものにして、その目的とするところは
超電導体層のみに電子を直接トンネルすることができ、
良好なヒステリシスカーブを持つI−V特性が得られる
超電導デバイスを提供することにある。
バイスは、層状構造酸化物超電導体の超電導層に対して
のみ、対向電極をトンネル現象を生じる所定の空隙もし
くは絶縁層を介して配設し、前記超電導体層との間でト
ンネル接合を形成することを特徴とする。
状構造の酸化物超電導体の超電導体層のみに電子をトン
ネルすることができるので、IーV特性の非線形特性を
改善することができる。
明する。
超電導デバイスをその製造工程別に示す断面図である。
Bi2Sr2CaCu2Ox単結晶を用いる。そして、こ
のBSCCO単結晶の劈界面の中で超電導体層特性を有
するCuO2面にのみニードルを数nmの距離を隔てて
配設する。その状態で電圧を印加することにより、トン
ネル効果が発生し、CuO2面から直接超電導体の電子
をピックアップするものである。
及び図2に従い詳しく説明する。基板1としては、La
AlO3(100)配向基板、SrTiO3(100)配
向基板又はMgO(100)配向基板が用いられ、この
実施例では、基板1としてSrTiO3(100)配向
基板を用いる。そして、この基板1を超高真空(10-8
Pa)の下で、MBE法により蒸着源としてBi、S
r、Ca、Cuを用いて1ユニットセル蒸着後、基板温
度を300〜350℃に設定し、NO2(10-5Pa)
の雰囲気下で酸化、結晶化を行う。上記の操作を繰り返
して層状形状のBSCCO超電導薄膜2を形成する(図
1(a)参照)。このBSCCO超電導薄膜2がベース
層として用いられる。
酸化物超電導薄膜では、Tc=85Kのものが得られ
る。
とえばIBE(ION BEAMECHING)法によ
りエッチングを行いc軸に平行な断面を露出させる。即
ち、c軸に配向したBSCCO膜2のCuO2面を露出
させる(図1(b)参照)。
(リアクティブイオンビームエッチング)法、ECRプ
ラズマエッチング法、HCLO4、NaClO4の混合水
溶液、又はBrのエタノール溶液を用いたケミカルエッ
チング法を用いてもよい。
全面にコレクタ材料となるSnOxなどの半導体膜3を
積層形成する(図1(c)参照)。
行な断面上のCuO2が露出するように半導体膜3をエ
ッチング除去する(図1(d)参照)。
O2表面にニードル4を接する寸前の1nm程度まで近
づけて配置する(図2(a)参照)。この状態で電圧を
印加するとトンネル効果と呼ばれる現象が発生し、Cu
O2面から電子を直接トンネルさせることが出来る。こ
のニードル4としてはSTM(走査型顕微鏡)に用いら
れるニードルと同様のものを使用すればよい。即ち、C
uO2面にのみ対向するように先端部が極細の針を白金
(Pt)などにより形成すればよい。そして、このニー
ドル4をエミッタとして用い、BSCCO膜2の一面に
電子取り出し用電極5を設け、ニードル4(エミッタ
層)とBSCCO膜2との間で単一電子トンネル素子が
構成され、更にコレクタにSnOx等の半導体層3を用
いた超電導三端子素子が得られる(図2(b)参照)。
を形成することにより、リーク電流が流れることがなく
なり、理想的なヒステリシスカーブを持つトンネル電流
が得られる。
従来の超電導デバイスによるI−V特性図である。図3
(a)はこの発明による超電導デバイス、図3(b)は
異方性を持つ酸化物超電導体単結晶のc軸に平行な断面
壁に位置する段差部に絶縁膜を常伝導体層を接合した従
来の超電導デバイスのI−V特性をそれぞれ示す。この
図3から明らかなように、段差部全面に絶縁膜を介して
常伝導体層を設けた従来の超電導デバイスによれば、リ
ーク電流により理想的なヒステリシスカーブを持つI−
V特性が得られない。これに対して、この発明によるも
のにおいては、常伝導体(N層)からのリーク電流がな
くなり、超電導デバイスの超電導層CuO2のみから超
電導のトンネルが生じるので理想的なヒステリシスカー
ブを持つI−V特性が得られる。
O膜2をMBE法で作成したが、MBE法以外にイオン
ビームスパッタ法を用いてBSCCO膜2を作成するこ
とが出来る。イオンビームスパッタ法を用いる場合に
は、基板1としてMgO(100)配向基板を用いて、
ターゲットしてBiO、Sr2Ca2Cu3Oxを用い、
1015atoms/cm2の酸素(O2)雰囲気下で、基
板温度を600〜650℃、スパッタ速度を0.01n
m/secとし、BiOを0.3nm、Sr2Ca2Cu
3Oxを0.6nm交互に積層する。そして、O2雰囲気
下で冷却することでBSCCO酸化膜超電導薄膜が得ら
れる。このBSCCO酸化膜超電導薄膜はアズデボジシ
ョン(as−deposition)でTc=76Kが
得られる。
にBSCCO膜を設けているが、BSCCO単結晶基板
を用いて、この基板に段差処理を施してc軸に平行な断
面壁面を形成してもよい。
び図5を参照して説明する。図4及び図5は、この発明
の第2実施例の超電導デバイスをその製造工程別に示す
断面図である。
晶基板10を用意し(図4(a)参照)、この単結晶基
板10の表面上にSrTiO3、MgO等の絶縁膜11
をスパッタリング法などにより形成する(図4(b)参
照)。この絶縁膜11の膜厚は、後に成膜する層状酸化
物超電導体であるBi2Sr2CaCu2Oxの最下層の
BiO面と任意のCuO2との距離に等しくなるように
制御する。たとえば、半ユニットセルBi2Sr2CaC
u2Oxの場合、0.46又は1.04nmの膜厚に設
定する。
nmの金(Au)又は白金(Pt)から成るエミッタ層
12を蒸着又はスパッタリング法により形成する(図4
(c)参照)。
り、基板10、絶縁膜11及びエミッタ層12を研磨
し、図4(d)に示すように、基板10表面の一部に表
面からの角度θが5から30°のテーパ状にエミッタ層
12を成形する。エミッタ層12と基板10の間には絶
縁膜11を介在させたままである。そして、このエミッ
タ層12の先端部12aがニードルとして用いられる。
(HF)7%の水溶液で1〜10秒程度エッチングし、
絶縁膜11の一部を除去する。
化物超電導体であるBi2Sr2CaCu2OxをMBE
法などにより基板10上に成膜する。この成膜により、
基板10上にエピタキシャルBi2Sr2CaCu2Ox
薄膜1からなるベース層13が形成される。一方、エミ
ッタ層12は金又は白金で形成されているため、この上
には非晶質薄膜14が形成される。また、絶縁層11の
膜厚は層状酸化物超電導体であるBi2Sr2CaCu2
Oxの最下層のBiO面と任意のCuO2との距離に等
しくなるように制御されているので、エミッタ層12の
先端部12aは超電導体層特性を有するCuO2面にの
み対向して配設される。更に、CuO2表面とエミッタ
層12の先端部12aは1nm程度空隙が設けられ、電
圧を印加することにより、トンネル効果が発生するよう
に構成されている。
ース層13をパターニングすると共に、非晶質薄膜14
を除去する(図5(b)参照)。
タ領域15を設けることにより、エミッタに単一電子ト
ンネル素子を又ベースに酸化物超電導体を用い、更にコ
レクタにSnOx等の半導体層3を用いた超電導三端子
素子が得られる(図5(c)参照)。
び図7を参照して説明する。図6及び図7は、この発明
の第3実施例の超電導デバイスをその製造工程別に示す
断面図である。この第3実施例は前述した第2実施例と
主としてテーパ状にエミッタ層12を形成する工程が相
違する。
2Sr2Cu1Ox単結晶基板10を用意し(図6(a)
参照)、この単結晶基板10の表面上に非晶質MgOか
らなる絶縁膜11をスパッタリング法などにより形成す
る(図6(b)参照)。この絶縁膜11の膜厚は、後に
成膜する層状酸化物超電導体であるBi2Sr2CaCu
2Oxの最下層のBiO面と任意のCuO2との距離に等
しくなるように制御する。たとえば、半ユニットセルB
i2Sr2CaCu2Oxの場合、1.04+30.36
×n(n:2〜3Å)の膜厚に設定する。
(Au)から成るエミッタ層12を蒸着又はスパッタリ
ング法により形成する(図6(c)参照)。
を塗布し、パターニングした後(図6(d)参照)、こ
のレジスト膜21をマスクとして30〜45°の角度
(θ)でイオンミリングにより、絶縁膜11の一部とエ
ミッタ層12を研磨し、図6(e)に示すように、先端
部の角度(θ)が表面から30〜45°のテーパ状にな
るようにエミッタ層12を成形する。エミッタ層12と
基板10の間には絶縁膜11を介在させたままである。
そして、このエミッタ層12の先端部12aがニードル
として用いられる。
イオンを用いたイオンビームミリングが用いられる。こ
の処理は、ガス圧を2×10-4Torr、加速電圧を3
00V、イオン電流密度を0.32A/cm2に設定
し、ミリング時間10分で200nmのAu層をミリン
グすることができる。
(HF)7%の水溶液で1〜10秒程度エッチングし、
絶縁膜11の一部を除去する。
化物超電導体であるBi2Sr2CaCu2OxをMBE
法などにより基板10上に成膜する。この成膜により、
基板10上にエピタキシャルBi2Sr2CaCu2Ox
薄膜1からなるベース層13が形成される。一方、エミ
ッタ層12は金で形成されているため、この上には非晶
質薄膜14が形成される。また、絶縁層11の膜厚は層
状酸化物超電導体であるBi2Sr2CaCu2Oxの最
下層のBiO面と任意のCuO2との距離に等しくなる
ように制御されているので、エミッタ層12の先端部1
2aは超電導体層特性を有するCuO2面にのみ対向し
て配設される。更に、前述の実施例と同様にCuO2表
面とエミッタ層12の先端部12aは1nm程度空隙が
設けられ、電圧を印加することにより、トンネル効果が
発生するように構成されている。
ース層13をパターニングすると共に、非晶質薄膜14
を除去する(図7(c)参照)。
タ領域15を設けることにより、エミッタに単一電子ト
ンネル素子を又ベースに酸化物超電導体を用い、更にコ
レクタにSnOx等の半導体層3を用いた超電導三端子
素子が得られる(図7(d)参照)。
8及び図9を参照して説明する。上述した第1ないし第
3の実施例においては、ベース、エミッタ層間を1nm
の空隙を設けてトンネル現象を生じるように構成してい
るのに対し、この第4の実施例では、ベース、エミッタ
層上に膜厚1〜7nm程度の非晶質MgO膜からなる絶
縁層22を真空蒸着法などにより形成し、ベース層1
3、エミッタ12間に絶縁層22を介在させている。
3実施例において、コレクタ領域15を形成した後に、
蒸着温度を室温、蒸着速度を0.1nm/sec、蒸着
時真空度を1×10-6Torrに設定して、真空蒸着に
より膜厚1〜7nmの非晶質MgO膜22をエミッタ層
12とベース層13上に形成する(図8参照)。このよ
うに、非晶質MgO膜からなる絶縁層22を設けること
により、図9の拡大図に示すように、ベース層13、エ
ミッタ層12間に非晶質MgO膜からなる絶縁層22が
設けられる。
の先端部12aとベース層13との間隙は、第2及び第
3実施例より少し大きくし、すなわち1〜7nmの範囲
で選択して、MgO膜が両者の間に確実に入り込むよう
に構成する方がよい。
り、エミッタ12の先端部が超電導特性を有する面から
ずれるのが防止できると共に、機械的強度大きくするこ
とができる。
0としてBi2Sr2CuOx単結晶基板を用いたが、S
rTiO3の基板上に形成した薄膜を用いてもよい。
又、その 化学組成は、Bi2Sr2CaCu2Ox、Bi
2Sr2Ca2Cu3Ox等でもよい。更に、ベース層の組
成としては、Bi2Sr2CuOx、Bi2Sr2Ca2C
u3Ox等でもよい。
体としてBi2Sr2CaCu2Oxを用いているが、他の
層状酸化物超電導体、たとえばY1Ba2Cu3Ox組成
の超電導体を用いることもできる。
電導体デバイスによれば、層状構造の酸化物超電導体の
超電導体層のみに電子をトンネルすることができるの
で、IーV特性の非線形特性を改善することができる。
製造工程別に示す断面図である。
製造工程別に示す断面図である。
デバイスによるI−V特性図である。
製造工程別に示す断面図である。
製造工程別に示す断面図である。
製造工程別に示す断面図である。
製造工程別に示す断面図である。
断面図である。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】層状構造酸化物超電導体の超電導層に対し
てのみ、トンネル現象が生じる所定の空隙を設けて対向
電極を配設し、前記超電導体層との間でトンネル接合を
形成することを特徴とする超電導デバイス。 - 【請求項2】層状構造酸化物超電導体の超電導層に対し
てのみ、絶縁層を介して対向電極を配設し、前記超電導
体層との間でトンネル接合を形成することを特徴とする
超電導デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11385593A JP3282747B2 (ja) | 1992-05-08 | 1993-04-16 | 超電導デバイス |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4-143599 | 1992-05-08 | ||
JP14359992 | 1992-05-08 | ||
JP11385593A JP3282747B2 (ja) | 1992-05-08 | 1993-04-16 | 超電導デバイス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0621522A JPH0621522A (ja) | 1994-01-28 |
JP3282747B2 true JP3282747B2 (ja) | 2002-05-20 |
Family
ID=26452760
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11385593A Expired - Fee Related JP3282747B2 (ja) | 1992-05-08 | 1993-04-16 | 超電導デバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3282747B2 (ja) |
-
1993
- 1993-04-16 JP JP11385593A patent/JP3282747B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0621522A (ja) | 1994-01-28 |
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