JP3282635B2 - 光線路の劣化時期推定システム及び方法 - Google Patents

光線路の劣化時期推定システム及び方法

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JP3282635B2 JP07981293A JP7981293A JP3282635B2 JP 3282635 B2 JP3282635 B2 JP 3282635B2 JP 07981293 A JP07981293 A JP 07981293A JP 7981293 A JP7981293 A JP 7981293A JP 3282635 B2 JP3282635 B2 JP 3282635B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光線路の接続損失,ケー
ブル損失,反射量等の諸特性を定期的に把握し、これら
の経時変化から光線路の劣化時期を推定するシステム及
び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光線路の諸特性の検査に関して
は、光線路建設終了時点に接続損失,ケーブル損失,反
射量の測定を行い、あらかじめ決められている工事規格
値と比較しこの規格値を満足すれば正常な光線路である
と認知し、運用に供していた。定期試験においても上記
工事規格値を判定値としており、この値を満足しない心
線について故障心線と判定し、直ちに修正を行うように
していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の劣化時
期推定システムにおいては、サービスを維持するための
回線切替工事及び故障修理工事について計画稼動が組め
ず、要員確保が困難であるという欠点があった。
【0004】本発明の光線路の劣化時期推定システム及
び方法はこのような課題に着目してなされたものであ
り、その目的とするところは、光線路の劣化時期を推定
し、光線路が故障に至る以前に計画的心線切替及び修理
を実施して、通信サービスの突発的中断を事前に防止す
るための光線路設備に関する予防保全システムを提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】上記の目的を達
成するために、本発明のシステムは、光線路の接続損
失、ケーブル損失、反射量等の伝送特性を定期的に測定
し、その経時変化から光ファイバの劣化状態を診断する
システムにおいて、上記光線路の特性を定期的に測定す
る試験装置を該試験装置からデータ回線を通してデータ
を収集し、異常データの判定を行う試験データ収集・判
定装置と、異常データ、設備データを収容するデータベ
ースと、該データベースの異常データから光線路の伝送
特性の劣化時期を推定する劣化推定装置から構成され
る。
【0006】また、本発明のシステムは、光線路特性を
定期的に測定する複数の試験装置と、該試験装置からデ
ータ回線を通してデータを収集する試験データ収集装置
と、各試験装置からの試験データ、線路設備データ及び
確信度データを収容する第1のデータベースと、各試験
装置対応の劣化診断結果及び故障事例のデータを収容す
る第2のデータベースと、該第2のデータベースの劣化
診断結果と故障事例を用いて劣化推定パラメータを変更
する劣化推定精度向上装置と、第1のデータベースから
の試験データ,線路設備データ,確信度データから劣化
推定時期を推定する劣化推定装置と、劣化推定結果を表
示する表示装置から構成される。
【0007】さらに、上記のシステムに係る発明の方法
は、定期試験データの開始時のデータを初期値とし、該
初期値も含めて測定値が故障規格値を超えている場合に
は故障心線として記録表示を行い、初期値と測定値の差
がノイズレベルを超える場合は測定値を異常データとし
てデータベースに記録し、該異常データが2個以上にな
った時に時間軸を補正した初期値と異常データを用い
て、3つの劣化曲線F1(t)=α(1−et/τ1 ),
2 (t)=γ(et/τ2 −1),F3 (t)=βt
τ3 から最も相関度の高い劣化曲線を選定し、該最適劣
化曲線を用いて故障規格値を超える日数を推定して故障
予測日を表示し、該日数に応じて定期試験間隔を再設定
して定期試験を行い上述の手順を先頭から再度繰返す工
程を具備する。
【0008】なお、F2 (t)に代えて、F2 ′(t)
=γ(et −1)を、F3 (t)に代えてF3 ′(t)
=βtを使用することもできる。F2 ′(t),F3
(t)は、各々、F2 (t),F3 (t)に比べて未知
パラメータの数が少ないので、データが少ない場合には
該パラメータの値の決定が容易である。反面、データが
多くなった場合には、F2 (t),F3 (t)に比べて
予測精度が落ちる。
【0009】さらに、上記の工程に加えて、故障事例を
用いて劣化曲線パラメータを修正しこの修正劣化曲線に
より劣化時期の推定を行う工程を含む。
【0010】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例を説明する図で
あって、1は伝送装置、2は光ファイバ、3はカプラ、
4は試験装置、5は試験データ収集・判定装置、6はデ
ータベース、7は劣化時期推定装置、8は推定結果の表
示装置、9はGP−IBはデータバスである。ここで、
試験装置4は、例えば特開平2−1632号公報、“光
線路試験方式”で示した光パルス試験器、光源及び受光
器、1×N光スイッチ、光カプラ等で構成されるもので
ある。試験データとしては光パルス試験器により測定さ
れた光線路の接続損失、ケーブル損失、反射量及び光源
と受光器により測定されたケーブル全損失である。
【0011】本実施例の動作を図2に示す動作手順で説
明する。
【0012】まず、試験装置で定期試験間隔を設定し
(ステップSA1)、光線路建設直後あるいはケーブル
切替工事直後に光パルス試験により得られたケーブル損
失,接続損失,反射量を初期値として試験データ収集・
判定装置5を経由しデータベース6へ記録する(ステッ
プSA2)。この場合、初期値が故障規格値を超えてい
るかどうかを試験データ収集・判別装置5において判定
し(ステップSA3)、もし超えている場合はGP−I
Bデータバス9を通して故障心線としてデータベース6
へ記録し(ステップSA4)、表示装置8により故障表
示を行う(ステップSA5)。
【0013】次に、定期試験間隔経過後に試験装置4で
試験を実施し(ステップSA6)、測定値が故障規格値
を超えているかどうかを判定し(ステップSA7)、超
えていれば前述のステップSA4,SA5の処理を行な
い、超えていない場合には初期値との差をもとめこれが
ノイズレベルを超えていないかどうか判定する(ステッ
プSA8)。この差がノイズレベル以下の場合は測定値
は記録しない(ステップSA9)で、定期試験のモード
(ステップSA6)へ戻る。ノイズレベルを超えている
場合は異常データであると判断し、これが1回目の場合
データを記録して定期試験モードへ戻る(ステップSA
10→SA19→SA6)。
【0014】異常データの検知が2回目の場合は、初期
値に関して、1回目,2回目のデータを直線で結んだ線
上に時間軸の分だけ移動して補正を行う(ステップSA
11→SA12)。補正された初期値を原点とし第n回
目までの異常データ(初期値との差がノイズレベルを超
えたデータ)に対し、F1 (t)=α(1−
t/τ1 ),F2 (t)=γ(et/τ2 −1),F
3 (t)=βtτ3の関数の中から最も相関度の高い関
数を選定する(ステップSA13)。
【0015】ここで、図3にステップSA13を詳細に
記述しており、図3に従って補足説明する。まず、デー
タ列D(F(t),t)を入力し(ステップSB1)、
このデータ列と曲線F1 (t)α(1−et/τ1 )の係
数α,τ1 を最小2乗法により決定し(ステップSB
2)、さらに求めた曲線F1 (t)とデータ列Dとの相
関係数R1 を求める(ステップSB3)。上述と同様な
処理をF2 (t)=γ(et/τ2 −1),F3 (t)=
βtτ3 に実施し、各曲線に対する相関係数R2,R3
を求める(ステップSB4〜SB7)。次に最も大きい
相関係数を与える曲線を劣化推定曲線として採用する
(ステップSB8〜SB11)。
【0016】図4〜図6には光線路特性の劣化の状態を
ヒートサイクル、低温状況での加速劣化試験、及び屋外
長時間放置試験で測定した結果を示している。図4の場
合が曲線F1 (t)、図5の場合が曲線F2 (t)、図
6の場合がF3 (t)で推定可能である。この様に実験
的に光線路に生じるであろう劣化のパターンは前述した
3曲線に大別され、これらの曲線により、光線路の劣化
時期が推定できることがわかる。
【0017】なお、ここで示したデータに対してはF2
(t)に代えてF2 ′(t)を、F3 (t)に代えてF
3 ′(t)を用いてもほぼ同様の予測が行えた。前述し
たように、F2 ′(t),F3 ′(t)は未知パラメー
タの数が少ないので、劣化曲線を決定するのは容易であ
るが、パラメータ数が少ない分微調整ができず、場合に
よっては予測精度がF2 (t),F3 (t)を用いた時
より悪くなることもある。
【0018】ここで、図2に戻り、上述のようにステッ
プSA13により最適な劣化時期推定曲線が選定され、
これにより故障規格値を超える日数を計算する。故障発
生日付は記録され、故障予測日が表示される(ステップ
SA14〜SA15)。ここで、故障規格値は、異常発
生部分がコネクタか融着接続点かケーブル区間等により
異なっており、これらはあらかじめ実験等により決定さ
れる値である。
【0019】次に、記録されている異常データの数が1
0個以上の場合は、増加量の最も小さい測定値から削除
する(ステップSA16〜SA17)。その後、定期試
験の間隔を再設定し、測定値を記録して、定期試験モー
ドへ戻る(ステップSA18〜SA19,SA6)。
【0020】定期試験の間隔設定の詳細を図7に示して
おり、以下これについて説明する。まず、定期試験の前
回測定日と今回測定日の間隔を求めこれをDa とする
(ステップSC1)。又、今回測定日と劣化時期推定に
より判明した故障発生日との間隔をDb とする(ステッ
プSC2)、次に、Da がDb /2より大きい場合はD
a が長すぎると判断してDa をDb の半分に設定して、
新設定のDa (=Db /2)に今回の測定日を加えて新
しく次回の測定日とする(ステップSC3→SC4→S
C14)。
【0021】Da <Db /4であれば短かすぎると判断
しDa を2倍に設定する(ステップSC5,SC6)。
a がDb /2とDb /4の間であればDa をDb とす
る(ステップSC7,SC8)。Da が90日より長く
なった場合は、Da を90とする(ステップSC9,S
C10)。又、オペレータによる設定値Dc がDa より
小さい場合はDa は元のままとし、逆の場合はDa をD
c とする(ステップSC11,SC12,SC13)。
以上のようにして定期試験の間隔を決定する。上記した
ように、第1の実施例においては、光線路故障の発生日
を推定することが出来るため、心線切替工事及び心線修
理工事の稼動を顧客の意向を考慮した形で計画的に組む
ことができるので工事要員・機材の確保が容易になり経
済的に工事が行える。又、突発的な故障発生とならない
のでサービス性の向上が図れる。
【0022】図8は本発明の第2の実施例であり、6A
は第1のデータベースであり、各試験装置4−1〜4−
Nに対する小データベースをすべて収容したものであ
る。例えば、6A−1は試験装置4−1に関する異常試
験データ6A−11,線路設備データ6A−12,確信
度データ6A−13を有する小データベースである。1
0はデータ回線、11は劣化推定精度向上装置、12は
線路構成データメインテナンス装置、6Cは線路設備デ
ータベースである。6Bは第2のデータベースである、
各試験装置に対する診断・故障事例の小データベースを
収容したものである。
【0023】次に、本実施例の動作を説明する。本実施
例の基本動作は第1の実施例の動作を説明した図2と同
じである。主な相異点は、図2のステップSA13であ
り、この詳細を図9に示し以下説明する。まず図3に示
した劣化時期推定フロー(ステップSA13)により劣
化時期を推定し、その結果を劣化推定精度向上装置11
へ転送する(ステップSC1)。データベース6Bから
過去の診断事例又は故障事例を取り出して、劣化曲線の
各種パラメータを修正し(ステップSC2)、その修正
されたパラメータをデータベース6Aの確信度データベ
ース6A−13へ収容する(ステップSC3)。その
後、劣化推定装置7においてデータベース6Aの確信度
データベース6A−13をアクセスして、修正されたパ
ラメータを用いた劣化曲線から劣化時期を推定する(ス
テップSC4)。
【0024】尚、試験装置は第1の実施例に比べて遠隔
地に複数設置され、データ回線で試験データ収集・判定
装置5に接続されている。又、線路設備データは線路設
備データベース6Cからデータ回線により線路構成デー
タメインテナンス装置12に接続されており、ここで工
事や修理のたびに修正される。修正されたデータは線路
設備データベース6Cに配送されこれにより原本が修正
されると共にデータベース6Aの中の線路設備データ6
A−12も修正される。このように、第2の実施例は第
1の実施例に比べて、過去の事例を参考にして曲線パラ
メータを修正するため劣化時期の推定精度が向上する効
果がある。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
光線路故障の発生日を推定することができるため、心線
路切替工事及び心線修理工事の稼動を顧客の意向を考慮
した形で計画的に実施することができるようになるの
で、工事要員、機材の確保が容易になり経済的に工事が
行える利点がある。又、突発的な故障発生とならないの
でサービス性の向上が図れる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の装置構成を示す図であ
る。
【図2】図1に示す構成の動作フローチャートである。
【図3】劣化推定曲線の選定フローチャートである。
【図4】劣化推定対象光線路の劣化状態を示す実験結果
の一部である。
【図5】劣化推定対象光線路の劣化状態を示す実験結果
の一部である。
【図6】劣化推定対象光線路の劣化状態を示す実験結果
の一部である。
【図7】定期試験間隔を求めるフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図9】図8の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…伝送装置、2…光ファイバ、3…カプラ、4…試験
装置、5…試験データ収集・判定装置、6,6A,6
B,6C…データベース、7…劣化時期推定装置、8…
表示装置、9…GP−IBバス、10…データ回線、1
1…劣化推定精度向上装置、12…線路構成データメイ
ンテナンス装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 跡部 直之 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 永井 良史 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 審査官 田邉 英治 (56)参考文献 特開 平4−95843(JP,A) 特開 平5−196543(JP,A) 特開 平5−223696(JP,A) 特開 平1−165926(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 11/00 - 11/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光線路の接続損失、ケーブル損失、反射
    等の伝送特性を定期的に測定し、その経時変化から光
    ファイバの劣化状態を診断するシステムにおいて、 上記光線路の特性を定期的に測定する試験装置を該試験
    装置からデータ回線を通してデータを収集し、異常デー
    タの判定を行う試験データ収集・判定装置と、異常デー
    タ、設備データを収容するデータベースと、該データベ
    ースの異常データから光線路の伝送特性の劣化時期を推
    定する劣化推定装置から構成されることを特徴とする劣
    化時期推定システム。
  2. 【請求項2】 定期試験データの開始時のデータを初期
    値とし、該初期値も含めて測定値が故障規格値を越えて
    いる場合には、故障心線として表示を行い、初期値と測
    定値の差がノイズレベルを越える場合には、測定値を異
    常値データとしてデータベースに記録し、該異常データ
    が2つ以上になったときに初期値と異常データを用い
    て、3つの劣化曲線、 F(t)=α(1−et/τ1)、F(t)=γ(et/τ2 −1) F(t)=βtτ3の中から最も相関度の高い劣化曲
    線を選定し、該最適劣化曲線を用いて故障規格値を越え
    る日数を推定して故障予測日を表示することを特徴とす
    る請求項1記載のシステムに係る光線路の劣化時期推定
    方法。
  3. 【請求項3】 定期試験データの開始時のデータを初期
    値とし、該初期値も含めて測定値が故障規格値をえて
    いる場合には故障心線として記録表示を行い、初期値と
    測定値の差がノイズレベルをえる場合は測定値を異常
    データとしてデータベースに記録し、 該異常データが2個以上になった時に時間軸を補正した
    初期値と異常データを用いて、3つの劣化曲線F
    (t)=α(1−et/τ1)、F’(t)=γ
    (e−1)、F’(t)=βtから最も相関度の高
    い劣化曲線を選定し、 該最適劣化曲線を用いて故障規格値をえる日数を推定
    して故障予測日を表示し、 該日数に応じて定期試験間隔を再設定して定期試験を行
    い上述の手順を先頭から再度繰返すことを特徴とする請
    求項1記載のシステムに係る光線路の劣化時期推定方
    法。
  4. 【請求項4】 光線路特性を定期的に測定する複数の試
    験装置と、 該試験装置からデータ回線を通してデータを収集する試
    験データ収集装置と、 各試験装置からの試験データ、線路設備データ及び確信
    度データを収容する第1のデータベースと、 各試験装置対応の劣化診断結果及び故障事例のデータを
    収容する第2のデータベースと、 該第2のデータベースの劣化診断結果と故障事例を用い
    て劣化推定パラメータを変更する劣化推定精度向上装置
    と、 第1のデータベースからの試験データ、線路設備デー
    タ、確信度データから劣化推定時期を推定する劣化推定
    装置と、 劣化推定結果を表示する表示装置から構成されることを
    特徴とする光線路の劣化時期推定システム。
  5. 【請求項5】 故障事例を用いて劣化曲線パラメータを
    修正しこの修正劣化曲線により劣化時期の推定を行うこ
    とを特徴とする請求項2または3記載の光線路の劣化時
    期推定方法。
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