JP3282371B2 - 二軸配向積層ポリエステルフイルム - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフイルム

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JP3282371B2
JP3282371B2 JP12127694A JP12127694A JP3282371B2 JP 3282371 B2 JP3282371 B2 JP 3282371B2 JP 12127694 A JP12127694 A JP 12127694A JP 12127694 A JP12127694 A JP 12127694A JP 3282371 B2 JP3282371 B2 JP 3282371B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二軸配向積層ポリエス
テルフイルムに関し、更に詳しくは、表層部を構成する
ポリエステルの結晶による表面突起を形成せしめた二軸
配向積層ポリエステルフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートを主体とす
るポリエステルは、優れた物理的、化学的特性を有する
ため、繊維、フイルムその他成形品として広く使用され
ている。
【0003】このようなポリエステルを磁気記録媒体用
に用いた場合、磁気テープの電磁変換特性を高めるとと
もに、優れた耐磨耗性を付与するため、フイルム表面に
微細な突起を形成し、かつその突起の高さを均一化する
ことが望ましい。この手段として、積層フイルムの表層
に粒子を高濃度に含有させ、しかも特定な表層厚みとす
ることにより、突起高さの均一化を図った積層ポリエス
テルフイルムが知られている。(例えば特開平4−53
742号公報)。
【0004】また、特定量のアルカリ金属化合物、アル
カリ土類金属化合物およびリン化合物をポリエステルに
添加することによって、製膜生産性を高めることが知ら
れている(例えば特開昭51−70269号公報)。
【0005】さらにはマグネシウム化合物、亜鉛化合物
とホスフィン酸などとの塩をポリエステルに配合して、
ポリエステルの結晶性を高めることも知られている(た
とえば特開昭58−49747号公報、特開昭58−5
2345号公報、特開平4−57849号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た粒子を高濃度に含有させたポリマを積層したフイルム
では、突起高さや突起数が添加した粒子の大きさと含有
量だけに依存するため、用途が多用化している現在で
は、多種類の粒子が必要になってくる。
【0007】また製膜生産性を高める目的で、アルカリ
金属化合物、アルカリ土類金属化合物およびリン化合物
をポリエステルに添加する方法では、ポリエステルの結
晶性が好ましくないため、結晶に基づく表面突起を形成
することができない。
【0008】さらには、高結晶性ポリマを二軸配向ポリ
エステルフイルムとして用いた場合には、高結晶性であ
るがゆえに延伸ムラが発生しやすく、厚みムラによりフ
イルムの強度が不均一になったり、無理に延伸した場合
にはフイルム破れを引き起こす。
【0009】本発明の目的は、実質的に粒子によって突
起を形成せしめることにあるのではなく、主層ポリエス
テルに高結晶性の副層ポリエステルを積層させ、副層ポ
リエステルの結晶によってフイルム突起を形成せしめる
方法である。
【0010】すなわち本発明は、表面平坦性、走行性お
よび耐削れ性が改良されしかもフイルム厚みが均一な二
軸配向積層ポリエステルフイルムを提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決しようとする手段】前記した本発明の目的
は、(A)主層と副層とから構成される積層ポリエステ
ルフイルムであって、(B)主層の少なくとも片面に副
層が積層され、(C)副層を構成するポリエステルが下
式(1)、(2)で示されるアルカリ金属元素、アルカ
リ土類金属元素、マンガン元素、コバルト元素、亜鉛元
素よりなる群の中から選ばれた少なくとも一種の金属元
素(M)とリン元素(P)とを含有し、(D)しかも副
層ポリエステルの下式(3)で定義される結晶化パラメ
ータΔTcgが70℃以下であり、かつ主層ポリエステ
ルの結晶化パラメータΔTcgよりも小さいことを特徴
とする二軸配向積層ポリエステルフイルム。 0.1≦M≦15 ・・・(1) M/P≦2.0 ・・・(2) ΔTcg=Tc−Tg ・・・(3) (ここで、MおよびPはポリエステル106 gあたりに
含有する金属元素およびリン元素のモル数を示し、Tc
はポリエステルの結晶化温度、Tgはポリエステルのガ
ラス転移温度を示す)。
【0012】本発明におけるポリエステルとは、主たる
酸成分としてテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸などの
芳香族ジカルボン酸と、主たるグリコール成分としてエ
チレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジ
メタノールなどからなる芳香族ポリエステルである。具
体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げ
ることができる。これらポリエステルのうちポリエチレ
ンテレフタレートが最も好ましい。
【0013】また主層を構成するポリエステルは、いか
なる方法で製造されもよいが、ポリマ中に粗大な粒子を
含有していないことが好ましい。また、ポリマ製造時や
フイルム製造時に発生するスクラップ屑を含有するもの
であっても構わない。
【0014】副層を構成するポリエステルには、アルカ
リ金属元素、アルカリ土類金属元素、マンガン元素、コ
バルト元素、亜鉛元素の群から選ばれた少なくとも一種
の金属元素(M)、およびリン元素(P)を含有させる
必要がある。
【0015】これらMのうち、リチウム元素、カルシウ
ム元素、マグネシウム元素、亜鉛元素、コバルト元素、
マンガン元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の
金属元素が好ましく、さらにはMg元素がポリマの結晶
性と透明性の面から最も好ましい。
【0016】Mの含有量は、ポリエステル106 gあた
り0.1〜15モルである。好ましくは0.3〜10モ
ル、さらに好ましくは0.4〜6モルである。
【0017】M量が0.1モル未満の場合にはフイルム
の突起数が不足し、易滑性が好ましくなく、削れ粉が発
生しやすい。一方15モルを越えたの場合には、もはや
フイルム突起数がそれ以上増加せず、添加したMやPが
有効に作用しないため、経済的に好ましくないばかりで
なく、フイルムの耐削れ性も好ましくない。
【0018】Pの含有量は、前記したMの含有量にもよ
るが、M/Pモル比が2.0以下であることが必要であ
り、好ましくは0.1〜1.5、より好ましくは0.3
〜1.0である。前記した範囲であると、リン化合物の
添加量に対してポリマ中の残存量が安定し、また高結晶
性ポリマを得ることができ、均一な突起を数多く有した
フイルムを得ることができる。
【0019】このように、Mの含有量が0.1〜15モ
ル/106 gであって、M/Pモル比が2.0以下の範
囲であると、二軸配向積層ポリエステルフイルムとした
時に、フイルムの易滑性、平坦性、耐削れ性および厚み
の均一性に優れる。
【0020】また、本発明の副層ポリエステルフイルム
は、Mの含有量およびM/Pが前記した範囲のポリエス
テルをそのまま用いてもよいし、M/Pが前記した範囲
であってMが多量に含有したポリマ(マスタポリマ)
を、他のポリマ(ベースポリマ)に配合する方法であっ
てもよい。この場合マスタポリマ中のMの含有量は、ポ
リエステル106 gあたり30モルを上限とし、M/P
モル比が0.3〜1.0の範囲とすれば、品質が良好な
マスタポリマ安定して製造できるため好ましい。
【0021】また、副層を構成するベースポリマはいか
なるポリマを用いてもよく、アルカリ金属元素、アルカ
リ土類金属元素、マンガン元素、亜鉛元素、コバルト元
素などの少なくとも一種とP元素を含有するポリマ、お
よび前記した金属元素を含有せずにP元素を含有するポ
リマなどが挙げられが、主層を構成するポリマと同じ組
成のポリエステルが好ましく用いられる。
【0022】最も好ましくは、M量がポリエステル10
6 gあたり1〜10モル、M/Pが0.3〜1.0のマ
スタポリマを、M量がポリエステル106 gあたり1〜
10モル、M/Pが1.0〜5.0のベースポリマに配
合して、副層を構成するポリマとする方法が好適に採用
される。
【0023】本発明で用いるM化合物はグリコール可溶
性の化合物が好ましい。具体的には、酢酸塩、メチラー
ト、エチラート、グリコラート、シュウ酸塩、水酸化
物、などが挙げられ、酢酸塩、グリコラートなどが反応
系への溶解性が高く、入手性の面からも好ましく用いら
れる。
【0024】また本発明で用いるP化合物は、リン酸、
亜リン酸、ホスホン酸、もしくはこれらのエステル、ハ
ーフエステルなどからなる群から選ばれた少なくとも一
種類が好ましく用いられる。これらのうちホスホン酸化
合物がより好ましい。具体的にはメチルホスホン酸、フ
ェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、およびメチル
ホスホン酸メチルエステル、フェニルホスホン酸メチル
エステル、フェニルホスホン酸エチルエステル、ベンジ
ルホスホン酸フェニルエステルなどが挙げられ、最も好
ましくは、フェニルホスホン酸ジメチルエステルであ
る。
【0025】本発明のポリエステルは、従来公知の方法
によって製造することができる。例えばポリエチレンテ
レフタレート(PET)の場合、テレフタル酸(TP
A)とエチレングリコール(EG)とを直接エステル化
するか、テレフタル酸ジメチル(DMT)とEGをエス
テル交換反応せしめてビスヒドロキシエチルテレフタレ
ートおよびその低重合体(BHT)を得、次いで減圧下
で加熱してEGを除去することにより製造することがで
きる。
【0026】本発明におけるM化合物のポリエステルへ
の添加時期は、特に限定されないがエステル化反応の場
合は、エステル化反応率が95%以上になった以降か
ら、固有粘度が0.3に到達する以前が好ましい。また
エステル交換反応の場合はエステル交換反応が開始する
以前から固有粘度が0.3に到達する以前が好ましく、
2回以上に分割して添加することもできる。
【0027】さらに本発明におけるP化合物のポリエス
テルへの添加時期は、特に限定されないが、M化合物を
添加した以降から固有粘度が0.3に到達する以前が好
ましい。またP化合物はグリコールで希釈して添加した
り、反応系を密封にするか、もしくは留出したEGやP
化合物が実質的に全量エステル交換反応缶へ還流するよ
うにして10分以上保持した後、減圧下で加熱して重縮
合反応をおこなうことがP化合物の反応系外への飛散を
抑制し、ポリマの結晶性のバラツキを小さくすることが
できるため好ましい。
【0028】本発明の積層ポリエステルフイルムのもう
一つの重要な構成は、副層ポリエステルの結晶化パラメ
ータΔTcgが70℃以下であり、かつ主層ポリエステ
ルの結晶化パラメータΔTcgよりも小さいことであ
る。(ここで、結晶化パラメータΔTcgとは、パーキ
ンエルマー社製の示差走査熱量計(DSC)II型を用
いて測定した。DSCの測定条件は、試料10mgをD
SC装置にセットし、300℃で5分間溶融した後、液
体窒素中で冷却する。冷却した試料を10℃/分で昇温
し、ガラス転移点Tgを検知する。さらに昇温を続けガ
ラス状態からの結晶化発熱ピークをもって結晶化温度T
cとした。TcとTgの差すなわちTc−Tgを結晶化
パラメータΔTcgと定義する)。
【0029】より好ましい副層ポリエステルのΔTcg
は65℃以下、さらに好ましくは60℃以下、最も好ま
しくは55℃以下である。ΔTcgが70℃よりも大き
いと、本発明の目標としている表面粗さが得られにく
い。例え得られたとしても、走行性、耐削れ性が劣る。
このようなΔTcgを得るためには、共重合成分を含有
させないことが好ましく、さらにはポリエステルの製造
段階で副生するジエチレングリコールの含有量が1.5
重量%未満、より好ましくは1.3重量%未満、カルボ
キシル末端基は50当量/106 g未満、より好ましく
は40当量/106 g未満であるとさらに好ましい。
【0030】本発明における二軸配向積層ポリエステル
フイルムの好ましい製造方法の例を、主層を構成するポ
リエステルの両面に副層ポリエステルを積層する場合に
ついて以下に説明する。
【0031】矩形積層部を備えた3層合流ブロックに
て、中間層に主層を構成するポリエステルが、両面表層
積層部に副層を構成するポリエステルがくるように積層
し、フィッシュテール型の口金よりシート状に押し出し
未延伸シートを得る。未延伸シートは、静電印加キャス
ト法によりキャスティングドラムで得る方法でも構わな
い。ここで未延伸シートとは、口金から押し出された直
後の冷却される以前の状態から、一軸方向にわずかに微
延伸された(2倍程度まで)ものまでを指す。この未延
伸シートは熱処理を施された後、縦方向および横方向に
延伸される。この熱処理の目的は、延伸前のフイルムを
好ましい結晶化度まで結晶性を高めるためであり、処理
方法としては、押出し直後の温度の高いシートを徐冷
することにより結晶化させる方法、一旦冷却、固化し
たしたシートを再加熱して結晶化させる方法、一軸方
向に微延伸させた状態で加熱処理する方法などがある。
【0032】本発明の目的の表面形態を得るには、の
方法が好ましいが、またはの方法を用いても、適切
な条件を採用することにより望ましい表面形態を得るこ
とができる。の方法については、特に限定されない
が、ロールに巻き付けた状態で熱処理する方法、ロール
とロール間でラジエーションヒータを用いて熱処理する
方法、ステンタを用いて熱処理する方法などが挙げられ
る。熱処理条件は、100〜250℃の温度下で0.1
〜150秒熱処理することが望ましい。より好ましくは
140〜250℃で0.1〜50秒、さらに好ましくは
155〜220℃で1〜10秒の熱処理条件が、フイル
ムの製膜工程中で、目標とする表面形態を効率よく得る
ことができるため好ましい。
【0033】次いで、二軸方向に同時または逐次延伸し
て二軸配向フイルムとした後、熱固定される。逐次延伸
の場合の延伸温度は、ポリエステルのガラス転移温度近
傍またはそれ以上、例えば縦延伸温度は60〜100
℃、横延伸温度は60〜100℃ととすることができ、
この場合、縦方向に延伸した後、横方向に延伸するか、
さらに縦方向に延伸する方法が用いられる。
【0034】また延伸倍率は通常縦方向に2.5〜5
倍、横方向に2.5〜5倍である。
【0035】熱固定温度は160〜220℃が好まし
く、180〜210℃であるとさらに好ましい。
【0036】また、副層を構成するポリエステルの厚み
は、0.005〜5μmとすることが好ましく、0.0
1〜3μmとすればさらに好ましい。この場合において
副層ポリエステルをY、主層ポリエステルをZとしたと
き、積層フイルムの構成は、二層の場合Y/Z、三層の
場合Y/Z/Yとなる。三層の場合、表層を構成するY
層の各々の厚みをY1 、Y2 とした時に、Y1 とY2
同じ厚さであってもよいし、異なった厚さであってもよ
い。いずれの場合においても、副層厚みとはY層の合計
厚さをいう。
【0037】本発明における積層フイルムは四層以上の
積層ポリエステルフイルムあっても構わない。この場合
においても、本発明でいう副層ポリエステルYは最外層
に積層され、Y層の厚みは0.005〜5μmとするこ
とが好ましい。
【0038】なお、本発明のフイルムにおいて、形成さ
れた表面突起がポリエステルの微細結晶からなるものか
否かは、対象とする突起をフイルム表面から厚さ方向に
適切な溶媒でエッチングして、その突起を形成する起因
物が不溶物として存在する場合は、外部から添加した粒
子あるいは触媒残査にもとずく析出粒子とする(I)。
不溶物として存在するものが実質的になかった場合は、
その突起を形成する起因物は微細結晶であると推定でき
る(II)。上記溶媒の例として、フェノール/四塩化
炭素(重量比:6/4)の混合溶媒が好ましく用いられ
る。また別の方法として、対象とする突起をフイルム表
面から厚さ方向にプラズマでエッチングする方法もあ
る。これらの方法で約1mm2 の視野を観察した時のI
の頻度、IIの頻度を求め、II/(I+II)の値
が、70%であることが好ましい。ただし、表面突起が
微細結晶からなるものか否かは、上記の方法に限定され
るものでなく、適切な方法を選択することができる。
【0039】また本発明のフイルムは粒子を用いること
なく、好適な突起を形成せしめることを目的とするが、
必要に応じて粒子を併用しても構わない。このような粒
子の例として、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸
化珪素、二酸化チタン、カオリン、酸化ジルコニウムな
どの無機粒子、ジビニルベンゼン系、シリコーン系、ポ
リエステル系などの有機粒子を挙げることができる。前
記した粒子の大きさは、平均粒子径が1.0nmを越え
ないことが望ましい。
【0040】さらに、本発明のポリエステルフイルム
は、必要に応じてさらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、着
色剤、顔料などの添加剤を配合することもできる。
【0041】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を説明する。な
お文中「部」は重量部をあらわす。また、実施例中の種
々の物性および特性は下記の方法により測定した。
【0042】(1)ポリマの固有粘度[η] o−クロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
【0043】(2)ジエチレングリコール(DEG)含
有量 ポリマ0.5gをモノエタノールアミンで分解し、遊離
したジエチレングリコールをガスクロマトグラフィーで
測定した。なお、数値はポリマ中のジエチレングリコー
ルの重量%である。
【0044】(3)カルボキシル末端基(COOH)含
有量 Mauriceの方法に準じた。ポリマ2gをo−クレ
ゾール/クロロホルム(重量比7/3)で溶解し、Na
OHメタノール溶液によって滴定し、カルボキシル末端
基量(eq/t)を求めた。
【0045】(4)ポリマの溶液ヘイズ ポリエステル2gをフェノール/四塩化炭素(6/4重
量比)の混合溶媒20mlに溶解し、ASTM−D−1
003−52により20mmセルで測定した。
【0046】(5)ポリマ中のマグネシウム、リン元素
含有量 公知の方法で測定した。マグネシウム元素はポリエステ
ルを湿式灰化した後、原子吸光法で定量した。リン元素
はポリエステルを酸化分解後、リン−モリブデン酸ブル
ー比色法で定量した。
【0047】(6)ポリマのΔTcg パーキンエルマー社製の示差走査熱量計(DSC)II
型を用いて測定した。DSCの測定条件は、試料10m
gをDSC装置にセットし、300℃で5分間溶融した
後、液体窒素中で冷却する。冷却した試料を10℃/分
で昇温し、ガラス転移点Tgを検知する。さらに昇温を
続けガラス状態からの結晶化発熱ピークをもって結晶化
温度Tcとした。TcとTgの差すなわちTc−Tgを
結晶化パラメータΔTcgと定義する。
【0048】(7)平均表面粗さ(Ra)、最大高さ
(Rt) 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て測定した。条件は下記のとおりであり、20回の測定
し平均値をRa値とした。 ・触針先端半径:0.5μm ・触針加重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ :0.08mm なお、Raの定義はたとえば、奈良次郎著「表面粗さの
測定・評価法」(総合技術センター、1983)に示さ
れているものである。
【0049】(8)走行性(摩擦係数μk) フイルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行性試験機STF−700型(横浜システ
ム研究所製)を使用し、20℃、60%RH雰囲気で走
行させ、初期の摩擦係数を求めた。ここで、ガイド径は
6mmΦ、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2
S)、巻き付け角は90°、走行速度は3.3M/秒で
ある。このμkの値が小さいほどフイルムの滑り性が好
ましい。
【0050】(9)耐削れ性 (8)のようにしてカセットに組み込んだビデオテープ
250mをを家庭用VTRで早送り、巻き戻しを繰り返
し100回行い、テープ走行面と接触するVTR中のピ
ン、カセット中のピンに付着している削れ粉の量と、テ
ープ走行面に付着している削れ粉の量を観察し次のとお
り判定した。優と良を合格とした。 削れ粉の付着なし 優 削れ粉が僅かに付着 良 削れ粉が多量に付着 不良
【0051】(10)フイルムの厚みむら アンリツ社製フイルムシックネステスタK601Aを用
い、幅方向に50mm,長さ方向に50m採取した資料
を速度3m/分で走行させフイルム厚みを測定した。ア
ンリツ社製広範囲電子マイクロメータK306Cにてフ
イルム厚みを読取り、次式により厚みむらを算出し、
A、B級を合格とした。 厚みむら(%)=(最大厚さ−最小厚さ)/平均厚さ×
100 2.5%未満 1級 2.5%以上5.0%未満 2級 5.0%以上 3級
【0052】(11)積層フイルムの副層厚さ(μm) あらかじめ、マグネシウムとリン含有量が既知のポリエ
ステルを数水準作成し、二次イオン質量分析装置(SI
MS)を用いて、マグネシウム元素(M)およびリン元
素(P)のポリエステルの炭素元素(C)との濃度比
(M/C、P/C)を求める。次いで、副層側ポリエス
テル表層からフイルムの深さ方向にM/CおよびP/C
を測定し、MとPの濃度を知ることができる。このよう
にして測定したM/CまたはP/Cは、フイルム表層か
ら主層に近づくに従って急激に変化し(変極点X)、そ
の後ある値で安定化する(変極点Y)。XとYを直線で
結び、その1/2の値から副層表層までの距離を積層厚
さとする。
【0053】参考例 各実施例で使用するポリエステルは次のようにして製造
し、各ポリエステルの特性を表1に示した。
【0054】参考例1(ポリエステルA) エステル交換反応缶に100部、EG70部に、酢酸マ
グネシウム4水和物0.06部、三酸化アンチモン0.
02部を添加し、140℃〜230℃まで4時間を要し
て徐々に昇温しエステル交換反応を行った。次いで反応
系を全還流にしてフェニルホスホン酸ジメチル0.20
部を添加し20分間保持した。得られた反応混合物を重
縮合缶へ移行し、反応系を徐々に昇温、減圧し、最終的
に280℃、0.5mmHgで重縮合反応を行いポリエ
ステルIを得た。ポリマ特性は固有粘度0.623、D
EG量1.0%、COOH量23.5eq/t、溶液ヘ
イズ1.1%,Mg量68ppm(M=2.80モル/
106 g)、P量190ppm(P=6.13)、ΔT
cg40℃であった。
【0055】参考例2(ポリエステルB〜D) 参考例1において、フェニルホスホン酸ジメチルの添加
量を変更した以外は、参考例1と全く同様にして、M/
Pモル比が異なるポリマ(ポリエステルB〜D)を得
た。ポリマ特性を表1に示した。
【0056】参考例3(ポリエステルE、F) 参考例1において、酢酸マグネシウム4水和物およびフ
ェニルホスホン酸ジメチルの添加量を変更した以外は、
参考例1と全く同様にしてポリマ(ポリエステルE、
F)を得た。ポリマ特性を表1に示した。
【0057】参考例4(ポリエステルG) エステル化反応缶に250℃で溶融貯留したEG/TP
Aモル比1.15からなるBHTに、TPA86.5
部、EG37.1(EG/TPAモル比1.15)を混
練したスラリを4.0時間を要して連続的に供給してエ
ステル化反応を行い、生成する水は精留塔頂から留出さ
せた。この間の反応温度は245℃であった。さらに、
反応温度を250℃として1.0時間エステル化反応を
続け、エステル化反応を完結させBHTを得た。
【0058】次いで、BHT105部(PET100g
相当)を重縮合缶へ移行し、リン酸0.01部添加し
た。10分後に三酸化アンチモン0.01部、酢酸マグ
ネシウム0.06部添加した。さらに反応系を徐々に昇
温、減圧し、最終的に290℃、0.5mmHgで重縮
合反応を行いポリエステルGを得た。ポリマ特性は固有
粘度0.620、DEG量1.0%、COOH量28.
3eq/t、溶液ヘイズ0.5%、Mg量68ppm
(M=2.80モル/106 g)、P量29ppm(P
=0.94)、ΔTcg80℃であった。
【0059】参考例5(ポリエステルH〜L) 参考例1で用いた酢酸マグネシウム4水和物に替えて、
表4で示した金属化合物をM量が各々2.80/106
g、M/Pが0.46とした以外は、参考例1と同様に
してポリエステルH〜Mを得た。ポリマ特性を表4に示
した。
【0060】実施例1 290℃に調整された矩形積層部を備えた3層合流ブロ
ックに、主層にポリエステルG、両面副層積層部にポリ
エステルA50部とポリエステルG50部を配合した混
合ポリエステルを供給した。その後、フィッシュテール
型の口金から溶融押出し後、静電印加キャスト法を用
い、キャスティングドラムで冷却固加し未延伸シートを
得た。次いで未延伸シートを熱風加熱装置を備えたロー
ルを用いて155℃で6秒間加熱処理した。さらに引き
続き、90℃で縦方向に3.5倍延伸し、さらに95℃
で横方向に3.5倍延伸した。さらに210℃で5秒間
熱固定して厚さ15μmの二軸延伸フイルムを得た。該
フイルムは、主層フイルムの両面に副層フイルムが各々
1μm積層(合計2μm)された二軸延伸積層フイルム
であった。両面副層を構成するポリエステルの組成、副
層ポリエステルのΔTcgを表2に示し、フイルム特性
を表3に示した。
【0061】実施例2〜9、比較例1〜3 実施例1において、両面副層を構成するポリエステルの
組成を変えた以外は、実施例1と同様にして、厚さ15
μmの二軸延伸積層フイルムを得た。該フイルムは、主
層フイルムの両面に副層フイルムが各々1μm積層(合
計2μm)された二軸延伸積層フイルムであった。結果
を表2、表3に示した。M、M/P、ΔTcgが本発明
で規定した範囲にあれば、表面粗さ、耐削れ性が良好
で、しかも厚みが均一なフイルムを得ることができた。
一方、Mg含有量が本発明の範囲を越えた場合には、突
起数の増加効果がなく、むしろ削れ粉の増加がみられた
(比較例1)また、Mg含有量が本発明の範囲に満たな
い場合には、突起数が少なく易滑性が好ましくなく、削
れ粉の発生も多かった。(比較例2)。さらには、M/
Pが本発明の範囲を越えた場合にはフイルム表面の微細
突起が減少し、粗大な突起が多く見られ、削れ粉の発生
も多かった(比較例3)。
【0062】比較例4 実施例1において主層にポリエステルA(ΔTcg;4
0℃)、両面副層積層部にポリエステルA50部とポリ
エステルG50部を配合した混合ポリエステル(ΔTc
g;40℃)を供給した以外は、実施例1と全く同様に
して厚さ15μmの二軸延伸積層フイルムを得た。該フ
イルムは、主層フイルムの両面に副層フイルムが各々1
μm積層(合計2μm)された二軸延伸積層フイルムで
あった。主層および副層ともに高結晶性ポリマを用いた
場合には、フイルム厚みの均一性が好ましくないもので
あった。
【0063】比較例5 実施例1において基層にポリエステルA(ΔTcg;4
0℃)、両面副層積層部にポリエステルG(ΔTcg;
80℃)を供給した以外は、実施例1と全く同様にして
厚さ15μmの二軸延伸積層フイルムを得た。主層フイ
ルムの両面に副層フイルムが各々1μm積層(合計2μ
m)された二軸延伸積層フイルムであった。
【0064】副層にΔTcgの大きなポリエステルを用
いた場合、結晶に起因する突起が生成しないため易滑性
が好ましくないフイルムであった。また、全体厚みに対
して、基層にポリエステルAの割合が多きいため、フイ
ルム厚みの均一性も好ましくないものであった。
【0065】実施例10〜14 実施例4において、副層ポリエステルに用いたポリエス
テルAに替えて、参考例5のポリマ(ポリエステルH〜
M)を用いた以外は実施例4と同様にして厚さ15μm
の二軸延伸積層フイルムを得た。主層フイルムの両面に
副層フイルムが各々1μm積層(合計2μm)された二
軸延伸積層フイルムであったフイルム品質を表5に示し
た。
【0066】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0067】
【発明の効果】本発明は、結晶性が異なる少なくとも2
種類のポリエステルからなる積層ポリエステルフイルム
であって、主層ポリエステルの少なくとも片面に、特定
量の金属元素とリン元素を含有させた高結晶性副層ポリ
エステルを積層させることによって、耐削れ性、走行
性、平坦性、均一厚み性を兼備する二軸延伸積層フイル
ムが得られる。
【0068】特に、本発明のポリエステルフイルムは、
上記した特徴を有するため、特に磁気テープベースフイ
ルム等の磁気記録媒体分野に用いるとその効果が一層顕
著に発現する。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−204926(JP,A) 特開 昭62−214928(JP,A) 特開 平1−195045(JP,A) 特開 平5−131600(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)主層と副層とから構成される積層
    ポリエステルフイルムであって、(B)主層の少なくと
    も片面に副層が積層され、(C)副層を構成するポリエ
    ステルが下式(1)、(2)で示されるアルカリ金属元
    素、アルカリ土類金属元素、マンガン元素、コバルト元
    素、亜鉛元素よりなる群の中から選ばれた少なくとも一
    種の金属元素(M)とリン元素(P)とを含有し、
    (D)しかも副層ポリエステルの下式(3)で定義され
    る結晶化パラメータΔTcgが70℃以下であり、かつ
    主層ポリエステルの結晶化パラメータΔTcgよりも小
    さいことを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフイル
    ム。 0.1≦M≦15 ・・・(1) M/P≦2.0 ・・・(2) ΔTcg=Tc−Tg ・・・(3) (ここで、MおよびPはポリエステル106 gあたりに
    含有する金属元素およびリン元素のモル数を示し、Tc
    はポリエステルの結晶化温度、Tgはポリエステルのガ
    ラス転移温度を示す。)
  2. 【請求項2】 金属元素がマグネシウム元素であること
    を特徴とする請求項1記載の二軸配向積層ポリエステル
    フイルム。
  3. 【請求項3】 リン元素がホスホン酸化合物からなるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二軸配
    向積層ポリエステルフイルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁
    気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフイルム。
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