JP3281516B2 - 水槽清浄機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、水族
館、一般家庭、ディスプレー、或いは、游泳用プール、
浴槽等に用いられるコンクリート製、ガラス製、合成樹
脂製、金属製の水槽を清浄する作業に用いられる水槽清
浄機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上述例のような水槽の内部を清浄
する方法としては、例えば、水槽内に貯溜された水や海
水等の貯溜水を一旦排出した後、水槽の壁部および底部
に付着した水垢や苔類汚れをブラシにより手作業で洗い
落とす方法がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した水族
館用の水槽は大型の魚介類や哺乳類を飼育するため容積
が大きく、大量の海水を貯溜する必要があるため、海水
を一旦排出してから水槽内を清浄する場合、水槽内に貯
溜された海水の排水および注水に長い時間がかかるだけ
でなく、魚介類や哺乳類等の水中生物を別の水槽に移し
変えなければならず、清浄作業に手間や時間がかかる問
題点があった。

【０００４】また、水槽内に貯溜された海水を排出せず
に清浄作業を行った場合、洗浄除去される水垢や苔類等
により海水の透明度が低下し、除去状態の確認が困難と
なると共に、洗浄除去される水垢や苔類等により海水が
汚れてしまうため、清浄作業後において、水槽内に貯溜
された海水を、新しい海水とに入れ替えなければならな
い。さらに、洗浄除去された汚れが水槽の壁部および底
部に再び付着したり、槽底部に敷設された砂や小石等の
堆積物にも付着するため、清浄効率が悪い問題点があっ
た。

【０００５】この発明は上記問題に鑑み、回転用モータ
の回転力を動力伝達手段により増幅して回転ブラシに伝
達することにより、水槽内に貯溜された貯溜水を排出ま
たは交換する手間や作業が省け、水槽の内壁面および堆
積物を清浄する作業を効率的に行なうことができ、しか
も回転用モータの回転力を回転ブラシに伝達し、作業者
の手や水中の生物等の物体接触時の抵抗により回転ブラ
シのみが停止する機能をもった動力伝達手段を備えるこ
とで、物体の損傷が防止でき安全な水槽清浄機の提供を
目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
本体内に軸支した吸引羽根車を回転用モータにより回転
して、該本体の前部側に形成した吸水口から水槽内の貯
溜水を吸入し、該本体内に形成した清浄濾過室に貯溜水
を供給して濾過すると共に、上記本体の後部側に形成し
た排水口から濾過済みの貯溜水を吐出し、上記本体の前
部側に軸支した回転ブラシを回転させて水槽内部を清浄
する水槽清浄機であって、上記中空形状を有する本体の
内部空間を第１吸水室と第２吸水室とに分割し、上記第
１吸水室に形成した吸水口の前位側に回転ブラシを軸支
し、上記第２吸水室に形成した吸水口の後位側に吸引羽
根車を軸支し、該吸引羽根車と上記本体に内蔵した回転
用モータとを連結すると共に、上記本体の内部に上記回
転用モータの回転力を回転ブラシに伝達し、かつ物体接
触時の抵抗により回転ブラシのみが停止する機能をもっ
た動力伝達手段が設けられた水槽清浄機であることを特
徴とする。

【０００７】請求項２記載の発明は、上記請求項１記載
の構成と併せて、上記動力伝達手段は、上記第１吸水室
に形成した羽根収納室内に一対の各羽根車を軸方向に近
接して軸支すると共に、上記羽根収納室の出力側に軸支
した前部羽根車と上記回転ブラシとを連結し、該羽根収
納室の入力側に軸支した後部羽根車と上記吸引羽根車と
を連結して構成した水槽清浄機であることを特徴とす
る。

【０００８】請求項３記載の発明は、上記請求項１記載
の構成と併せて、上記動力伝達手段は、上記第１吸水室
に形成した羽根収納室内に羽根車を軸支し、該羽根収納
室に軸支した羽根車と上記回転ブラシとを連結すると共
に、上記羽根収納室の一側面に上記羽根車に対して回転
が付与される方向に向けて吐出口を設け、上記羽根収納
室の一側面に形成した吐出口と上記第２吸水室に形成し
た排水口とを返還通路で接続し、上記羽根収納室の他側
面に形成した排水口と上記清浄濾過室に形成した吸水口
とを排水通路で接続して構成した水槽清浄機であること
を特徴とする。

【０００９】

【作用】請求項１記載の水槽清浄機は、第２吸水室に軸
支した吸引羽根車を回転用モータにより回転して、第１
吸水室および第２吸水室に形成した各吸水口を介して水
槽内の貯溜水を吸入すると共に、回転用モータの回転力
を動力伝達手段を介して回転ブラシに伝達するので、回
転用モータと回転ブラシとを直結するよりも大きな回転
力が得られ、水槽の内壁面および堆積物を清浄する作業
が効率的に行える。しかも、回転ブラシに作業者の手や
水中生物等が接触して抵抗が生じると、回転ブラシの回
転が停止される。

【００１０】請求項２記載の水槽清浄機は、上記請求項
１記載の作用と併せて、第２吸水室に軸支した吸引羽根
車と、羽根収納室に軸支した後部羽根車とを回転用モー
タにより回転すると共に、羽根収納室内に流入した液体
（例えば、貯溜水、海水、オイル等）の流動作用により
後部羽根車の回転力を前部羽根車に伝達して、前部羽根
車に連結した回転ブラシを回転させるので、回転用モー
タの回転力が各羽根車の回転作用により増幅して回転ブ
ラシに伝達され、大きな回転力が得られると共に、水槽
の内壁面および堆積物を清浄する作業が効率的に行え
る。

【００１１】請求項３記載の水槽清浄機は、上記請求項
１記載の作用と併せて、第２吸水室に軸支した吸引羽根
車を回転用モータにより回転して、第１吸水室および第
２吸水室に形成した各吸水口介して水槽内の貯溜水を吸
入する。同時に、第２吸水室に形成した排水口から貯溜
水を排出し、返還通路を介して、羽根収納室に形成した
吐出口に貯溜水を供給し、吐出口から吐出される貯溜水
を羽根車に吹き付けて回転を付与し、羽根車に連結した
回転ブラシを回転させるので、水槽の内壁面および堆積
物を清浄する作業が効率的に行えると共に、本体内に吸
入される貯溜水を有効に活用することができる。

【００１２】

【発明の効果】この発明によれば、回転用モータの回転
力を上記機能を有する動力伝達手段により増幅して回転
ブラシに伝達するので、回転用モータと回転ブラシとを
互いに直結して回転するよりも大きな回転力が得られ
る。

【００１３】しかも、作業者の手や水中生物等の物体が
回転ブラシに接触しても、その接触時に生じる抵抗によ
り回転ブラシのみが回転停止されるため、作業者の手や
水中生物などの物体が損傷するのを防止でき、取り扱い
やすく安全である。

【００１４】さらに、水槽内に貯溜された貯溜水を濾過
しながら清浄するので、清浄作業時に貯溜水が汚れるの
を防止でき、魚介類や哺乳類等の水中生物を飼育するの
に適した水質および環境を保つことができる。また、水
槽内に貯溜水を貯溜した状態のままで清浄するため、従
来のように貯溜水を排出または交換するような手間や作
業が省略でき、水槽の内壁面および堆積物を清浄する作
業が容易に行え、作業能率、清浄効率の向上を図ること
ができる。

【００１５】

【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図面は水槽の内壁面および堆積物を清浄する作
業に用いられる第１実施例の水槽清浄機を示し、図１に
おいて、この水槽清浄機１は、中空形状を有する洗浄機
本体２(以下単に本体と略記する)の内部空間を第１吸水
室３と、第２吸水室４と、清浄濾過室５(以下単にろ過
室と略記する)とに分割し、第１吸水室３の吸水側前位
に遮断板６および回転ブラシ７を軸支し、第２吸水室４
の吸水側後位に吸引羽根車８を軸支して、第２吸水室４
内に固定した回転用モータ９(以下単にモータと略記す
る)の駆動力により吸引羽根車８を回転させ、各吸水室
３，４に形成した各吸水口３ａ，４ａを介して水槽Ａ内
の貯溜水Ｗを吸入する。同時に、モータ９の回転力をト
ルクコンバータ１０(トルク変換装置)により増幅して回
転ブラシ７に伝達し、水槽Ａ(図６、図７参照)の壁部Ａ
ａおよび底部Ａｂと、水槽Ａの底部Ａｂに敷設された砂
や小石等の堆積物Ｂとを回転ブラシ７の回転により清浄
すると共に、ろ過室５内に吸入される貯溜水Ｗを清浄ろ
過して機外部に吐出する構成である。

【００１６】上述の第１吸水室３は、該吸水室３の前部
に形成した隔壁３ｂの中心部に回転軸１１を回転可能に
軸支し、回転軸１１を中心とする隔壁３ｂの前面側に多
数の各吸水口３ａ…を所定間隔を隔てて形成し、各吸水
口３ａ…と対向する隔壁３ｂの前位側に遮断板６および
回転ブラシ７を軸方向に対して所定間隔に近接して配設
すると共に、遮断板６および回転ブラシ７の回転中心に
回転軸１１の突出側端部を直結している。かつ、第１吸
水室３の中央部であって、第２吸水室４の前部壁面に対
して所定間隔を隔てられた位置に密閉型のトルクコンバ
ータ１０を固定し、トルクコンバータ１０の出力側に回
転ブラシ７の回転軸１１を直結し、トルクコンバータ１
０の入力側にモータ９の回転軸１６を直結している。

【００１７】遮断板６は、図２、図３に示すように、第
１吸水室３に形成した隔壁３ｂ前面に円盤型の板本体６
ａを対向して配設し、この板本体６ａの回転中心に回転
軸１１の突出側端部を挿通固定すると共に、回転軸１１
を中心とする板本体６ａの前面側に多数の各孔部６ｂ…
を所定間隔を隔てて形成し、適宜大きさを有する砂や小
石等の堆積物Ｂよりも若干小径に各孔部６ｂ…を形成し
ている。かつ、遮断板６の前面側周縁部に、この遮断板
６の半径と対応する長さ寸法に形成した除去ブラシ１２
を対設して、遮断板６の前面側周縁部に集積される砂や
小石等の堆積物Ｂを除去ブラシ１２により除去する。

【００１８】回転ブラシ７は、遮断板６の前面側に円盤
型の回転板７ａを対向して配設し、回転板７ａの回転中
心に回転軸１１の突出側端部を差込み固定すると共に、
回転板７ａの前面側に、例えば、合成ゴム等の弾性体で
形成した多数本の各毛体７ｂ…を所定等間隔を隔てて植
設している。かつ、第１吸水室３の前面側周縁部に、回
転ブラシ７の周囲全体が囲繞される大きさに形成したブ
ラシカバー１３を嵌着固定すると共に、このブラシカバ
ー１３の周縁部に、例えば、合成ゴム等の弾性体で形成
した多数本の各毛体１３ａ…を円周方向に対して所定等
間隔を隔てて植設している。

【００１９】トルクコンバータ１０は、液密状態に密閉
された羽根収納室１０ａ内に、例えば、水道水、海水、
オイル等の封入液体を適量封入し、この収納室１０ａ内
部に前部羽根車１４と後部羽根車１５とを軸方向に対し
て所定間隔に近接して軸支すると共に、収納室１０ａ内
部の出力側に軸支した前部羽根車１４の回転中心に回転
ブラシ７の回転軸１１を直結し、収納室１０ａ後部の入
力側に軸支した後部羽根車１５の回転中心にモータ９の
回転軸１６を直結して、モータ９の回転力をトルクコン
バータ１０により増幅して回転ブラシ７に伝達する。な
お、羽根収納室１０ａの一部を開放して、第１吸水室３
内に吸入される貯溜水Ｗを羽根収納室１０ａ内に流入さ
せても同等の作用およびトルクが得られる。

【００２０】第２吸水室４は、該第２吸水室４の前部壁
面に形成した吸水口４ａの後位側に吸引羽根車８を軸方
向に対して所定間隔に近接して軸支し、この第２吸水室
４の中央部に固定したモータ９の回転軸１６を吸引羽根
車８の回転中心に直結している。かつ、第２吸水室４の
後部壁面に形成した排水口４ｂに排水通路１７を接続
し、ろ過室５の後部壁面に形成した吸水口５ａに返還通
路１８を接続すると共に、手動式または電磁式の切換弁
１９を介して、機本体２の後部壁面に形成した第１排水
口２０に各通路１７，１８を接続している。

【００２１】ろ過室５は、該室５の内部空間に、例え
ば、樹脂繊維、金属繊維、多孔質材、多孔構造体等で形
成したフィルタ２１を交換可能に装填し、フィルタ２１
のろ過機能が低下した場合、機本体２の後部側を分離開
放してフィルタ２１を取出し、汚れたフィルタ２１を洗
浄処理または未使用のフィルタ２１に交換する。該室５
の上部周面（例えば、２／３）に、例えば、発泡スチロ
ール等で形成した浮き部材２２を装着して、浮き部材２
２の浮力により本体２を浮上させ、浮き部材２２側を上
向けた状態に本体２の姿勢を保持する。なお、本体２の
両側周面に形成した各水平翼２ａ，２ａの内部空間に浮
き部材２２を装填したり、ろ過室５の上部周面に装着し
た浮き部材２２の大きさおよび面積を変えるだけで浮力
調節できる。かつ、ろ過室５の後部壁面に形成した２箇
所の各排水口５ｂ，５ｂに各排水通路２４，２４を接続
すると共に、手動式または電磁式の切換弁２５を介し
て、本体２の後部壁面に形成した第２排水口２３に各通
路２４，２４を一つに集合させて接続している。

【００２２】また、図４に示すように、ろ過室５と連通
して、本体２の両側部外周面に各電磁切換弁２６，２６
を介して横移動用の各噴射口２７，２７と、昇降用の各
噴射口２８，２８と、傾斜用の各噴射口２９，２９とを
軸方向に対して所定間隔を隔てて並列に配設し、横移動
用の各噴射口２７，２７を本体２に対して左右方向に向
き設定し、昇降用の各噴射口２８，２８を本体２に対し
て上下方向に向き設定し、傾斜用の各噴射口２９，２９
を本体２に対して斜め後方に向き設定している。

【００２３】上述のモータ９および各電磁切換弁２６，
２６は、本体２の後部内壁面に固定した受信器３０にモ
ータ９および各電磁切換弁２６，２６を接続し、モータ
９に接続した電源コード３１を槽外部の電源供給部３２
に接続している。つまり、図５に示すように、無線式の
コントローラ３３から送信される信号を受信器３０で受
信し、受信器３０から出力される指令信号に基づいてモ
ータ９の駆動および停止と、各電磁切換弁２６，２６の
開閉動作とを制御する。

【００２４】図示実施例は上記の如く構成するものにし
て、以下、水槽清浄機１により水槽Ａの内壁面および堆
積物Ｂを清浄する時の動作を説明する。まず、水槽Ａ内
に貯溜した水または海水等の貯溜水Ｗに本体２を浸漬し
て、浮き部材２２の浮力により本体２を水面に浮上させ
た状態に姿勢保持する。作業者の手でコントローラ３３
を操作し、第２吸水室４に軸支した吸引羽根車８をモー
タ９の駆動力により回転させ、第１吸水室３および第２
吸水室４の各吸水口３ａ，４ａを介して水槽Ａ内の汚い
貯溜水Ｗを吸入する。本体２の第２排水口２３に介設し
た切換弁２５を開放し、第１排水口２０に介設した切換
弁１９を切換え操作して、第２吸水室４の排水口４ｂか
ら排水される貯溜水Ｗを本体２の第２排水口２３とろ過
室５の吸水口５ａとにそれぞれ供給する。同時に、ろ過
室５に供給される貯溜水Ｗをフィルタ２１により清浄ろ
過し、本体２の第２排水口２３から貯溜水Ｗを吐出し
て、本体２に推進力を付与する。

【００２５】次に、水槽Ａの上位壁部Ａａを清浄する場
合、図５に示すように、第１吸水室３の各吸水口３ａ…
から貯溜水Ｗを吸入し、本体２の第２排水口２３から貯
溜水Ｗを吐出して、本体２に軸支した回転ブラシ７を水
槽Ａの壁部Ａａに押圧する。同時に、本体２の一側周面
に配設した各噴射口２７，２７のみを開放し、各噴射口
２７，２７から吐出される貯溜水Ｗの吐出力により、水
槽Ａの壁部Ａａに押圧した状態のまま本体２を左右方向
に水平移動させ、壁部Ａａに付着した汚れを回転ブラシ
７により清浄除去する。

【００２６】次に、水槽Ａの下位壁部Ａａを清浄する場
合、図６に示すように、本体２の両側周面に配設した上
向き側の各噴射口２８，２８のみを開放し、各噴射口２
８，２８から吐出される貯溜水Ｗの吐出力により、水槽
Ａの壁部Ａａに押圧した状態のまま本体２を垂直方向に
若干降下させた後、上述と同様にして、水槽Ａの壁部Ａ
ａに押圧した状態のまま本体２を左右方向に水平移動さ
せ、水槽Ａの壁部Ａａに付着した汚れを回転ブラシ７に
より清浄除去する。

【００２７】次に、水槽Ａの底部Ａｂに付着した苔や垢
等の清浄作業、或いは、水槽Ａの底部Ａｂに敷設された
砂や小石等の堆積物Ｂの清浄作業を行う場合、図７に示
すように、本体２の後方側両側部に配設した各噴射口２
９，２９のみを開放し、各噴射口２９，２９から吐出さ
れる貯溜水Ｗの吐出力により、水槽Ａの底部Ａｂと対向
する下向き姿勢に本体２を方向転換させた後、第１吸水
室３の各吸水口３ａ…から貯溜水Ｗを吸入し、本体２の
第２排水口２３から貯溜水Ｗを吐出して、本体２に軸支
した回転ブラシ７を水槽Ａの底部Ａｂに押圧する。同時
に、本体２の一側周面に配設した各噴射口２７，２７の
みを開放して、水槽Ａの底部Ａｂに押圧した状態のまま
本体２を任意方向に横移動させ、底部Ａｂに付着した汚
れを回転ブラシ７により清浄除去する。

【００２８】また、図２に示すように、水槽Ａの底部Ａ
ｂに敷設された砂や小石等の堆積物Ｂを吸引し、堆積物
Ｂに付着した汚れを回転ブラシ７により清浄除去すると
共に、遮断板６の各孔部６ｂ…を介して貯溜水Ｗのみを
吸入し、各孔部６ｂ…よりも大きな砂や小石等の堆積物
Ｂを通過阻止し、遮断板６の周縁部に集積される堆積物
Ｂを自重落下または除去ブラシ１２により払い落とす。

【００２９】他の方法として、図８に示すように、本体
２の吸入側に突出した回転軸１１の突出側端部から回転
ブラシ７を引き抜いた後、回転軸１１の突出側端部に螺
旋状ブラシ３４の回転中心を差込み固定することで、吸
引羽根車８の回転による吸引力と、螺旋状ブラシ３４の
回転による引上げ力とにより、水槽Ａの底部Ａｂに敷設
された砂や小石等の堆積物Ｂが積極的に吸上げられ、砂
や小石等の堆積物Ｂに付着した汚れを清浄除去する作業
が効率よく行える。

【００３０】次に、水槽清浄機１を槽外部に取り出す場
合、本体２の前方側両側部に配設した各噴射口２９，２
９のみを開放し、各噴射口２９，２９から吐出される貯
溜水Ｗの吐出力により本体２を上向き姿勢に方向転換す
る。同時に、第１吸水室３の各吸水口３ａ…から貯溜水
Ｗを吸入し、本体２の第２排水口２３から貯溜水Ｗを吐
出して、本体２を水面まで浮上させて槽外部に取り出
す。或いは、本体２の両側周面に配設した下向き側の各
噴射口２８，２８のみを開放し、各噴射口２８，２８か
ら吐出される貯溜水Ｗの吐出力により本体２を水面まで
浮上させて槽外部に取り出す。また、本体２の全機能を
停止させることで、浮き部材２２の浮力のみにより本体
２が水面まで浮上する。或いは、ワイヤやチェーン等の
牽引手段により本体２を牽引して槽外部に取り出しても
よい。

【００３１】以上のように、モータ９の回転力をトルク
コンバータ１０により増幅して回転ブラシ７に伝達する
ので、モータ９と回転ブラシ７とを互いに直結して回転
するよりも大きな回転力が得られる。かつ、作業者の手
や生き物等の物体が回転ブラシ７に接触しても、その接
触時に生じる回転抵抗により回転ブラシ７のみがその回
転を停止するため、作業者の手や水中生物などの物体が
損傷するのを防止でき、取り扱いやすく安全である。

【００３２】しかも、水槽Ａ内に貯溜された貯溜水Ｗを
フィルタ２１でろ過しながら清浄するので、清浄作業時
に貯溜水Ｗが汚れるのを防止でき、魚介類や哺乳類等の
水中生物を飼育するのに適した水質および環境を保つこ
とができる。また、水槽Ａ内に貯溜水Ｗを貯溜した状態
のままで清浄するため、従来のように貯溜水Ｗを排出ま
たは交換するような手間や作業が省略でき、水槽Ａの壁
部Ａａおよび底部Ａｂに付着した汚れと、砂や小石等の
堆積物Ｂに付着した汚れとを清浄除去する作業が容易に
行え、作業能率および清浄効率の向上を図ることができ
る。

【００３３】必要以上に貯溜水Ｗの水質が低下した場合
には、本体２の第２排水口２３に介設した切換弁２５を
閉塞し、第１排水口２０に介設した切換弁１９を切換え
操作して、第２吸水室４の排水口４ｂと本体２の第１排
水口２０とを直結し、第１排水口２０に排水用のゴムホ
ース（図示省略）を接続することで、第２吸水室４に軸
支した吸引羽根車８の回転作用により水槽Ａ内の貯溜水
Ｗが揚水され、貯溜水Ｗを排水するポンプ作業に用いる
ことができる。

【００３４】図９は第２吸水室４から排出される貯溜水
Ｗにより回転ブラシ７を回転する第２実施例の水槽清浄
機１を示し、第２吸水室４の前部壁面に固定した羽根収
納室３５内に水車型の前部羽根車３６を軸支し、前部羽
根車３６の回転中心に回転ブラシ７の回転軸１１を直結
し、羽根収納室３５の下部周面に接続した３箇所の各吐
出ノズル３７…と、第２吸水室４の側部壁面に形成した
排水口４ｃとを返還通路３８により接続し、羽根収納室
３５の上部周面に形成した排水口３５ａと、ろ過室５の
前部壁面に形成した吸水口５ｃとを排水通路３９により
接続すると共に、各吐出ノズル３７…の吐出方向を前部
羽根車３６に対して一方向に回転が付与される方向に向
き設定している。

【００３５】つまり、モータ９の駆動力により吸引羽根
車８を回転して、各吸水室３，４に形成した各吸水口３
ａ，４ａを介して水槽Ａ内の貯溜水Ｗを吸入すると共
に、第２吸水室４に形成した排水口４ｃから貯溜水Ｗを
排水し、返還通路３８を介して、羽根収納室３５に接続
した各吐出ノズル３７…に貯溜水Ｗを供給する。各吐出
ノズル３７…から噴出される貯溜水Ｗを前部羽根車３６
に吹き付けて回転力を付与し、前部羽根車３６に直結し
た回転ブラシ７を回転させるので、第１実施例と同様
に、水槽Ａ内に貯溜された貯溜水Ｗを排出または交換す
ることなく、水槽Ａの壁部Ａａおよび底部Ａｂと、砂や
小石等の堆積物Ｂに付着した汚れとを清浄する作業が容
易に行える。また、作業者の手や水中生物等の物体が回
転ブラシ７に接触しても、その接触時に生じる抵抗によ
り回転ブラシ７のみが回転停止されるため、物体が損傷
するのを防止でき、取り扱いやすく安全である。

【００３６】図１０は第１吸水室３内に配設した回転減
速機４０(以下単に減速機と略記する)によりモータ９の
回転力を減速して回転ブラシ７を回転する第３実施例の
水槽清浄機１を示し、第２吸水室４の前部壁面に固定し
た減速機４０の入力側にモータ９の回転軸１６を連結
し、減速機４０の出力側に回転ブラシ７の回転軸１１を
連結して、減速機４０内部に軸支した大小の各ギヤ４
１，４２，４３，４４およびクラッチ４５によりモータ
９の回転力を減速する。つまり、モータ９の駆動力によ
り吸引羽根車８を回転して、各吸水室３，４に形成した
各吸水口３ａ，４ａを介して水槽Ａ内の貯溜水Ｗを吸入
すると共に、減速機４０に軸支した各ギヤ４１，４２，
４３，４４およびクラッチ４５によりモータ９の回転力
を減速して回転ブラシ７を回転させるので、第１実施例
と同様に、水槽Ａ内に貯溜された貯溜水Ｗを排出または
交換することなく、水槽Ａの壁部Ａａおよび底部Ａｂ
と、砂や小石等の堆積物Ｂに付着した汚れとを清浄する
作業が容易に行える。また、作業者の手や水中生物等の
物体が回転ブラシ７に接触した時、その接触時に生じる
回転抵抗によりクラッチ４５が空回転して回転ブラシ７
のみが回転停止されるため、作業者の手や水中生物など
の物体が損傷するのを防止でき、取り扱いやすく安全で
ある。

【００３７】図１１は連動型ブラシ４６により水槽Ａの
内壁面を清浄する第４実施例の水槽清浄機１を示し、連
動型ブラシ４６を構成する固定リング４７と回転リング
４８とをベアリング４９を介して回転可能に嵌合し、固
定リング４７の一側周面に軸支したギヤ５０と、回転リ
ング４８の内周面に設けたラック５１とを互いに噛合
し、固定リング４７の一側周面に軸支した回転軸５２と
ギヤ５０とを直結している。また、回転リング４８に固
定した支持アーム５３の長手方向中央面に複数個の各回
転ブラシ５４…を軸支し、各回転ブラシ５４…の外周縁
部に設けた各ギヤ５４ａ…を互いに噛合し、支持アーム
５３の前面側周縁部に多数本の各毛体５３ａ…を植設す
ると共に、支持アーム５３の前面側に突設した各ノズル
５３ｂ…と、後面側に配管した吐出ホース５５とを接続
している。

【００３８】つまり、水槽Ａの内壁面を清浄する場合、
回転ブラシ７およびブラシカバー１３を取り外した後、
本体２の前面側周縁部に固定リング４７を嵌込み固定
し、支持アーム５３の下端部に軸支した回転ブラシ５４
の回転中心に回転軸１１を差込み固定する。固定リング
４７に軸支した回転軸５２と、本体２に軸支した回転軸
５６とを互いに差込み連結し、支持アーム５３に配管し
た吐出ホース５５と、ろ過室５の前部壁面に形成した吐
出口５ｄとを互いに接続する。なお、通常の清浄作業時
には吐出口５ｄを閉栓する。

【００３９】次に、本体２に内蔵したモータ９の駆動力
により回転軸１１を回転して、支持アーム５３に軸支し
た各回転ブラシ５４…を相反する方向に連動回転させ本
体２の左右バランスを保持する。例えば、支持アーム５
３の上端部に軸支した各回転ブラシ５４…を水槽Ａの貯
溜水Ｗよりも上方に突出した壁部Ａａに押圧し、各ノズ
ル５３ｂ…から吐出される貯溜水Ｗを壁部Ａａおよび各
回転ブラシ５４…に吹き付けながら清浄する。かつ、本
体２の後部側に内蔵した駆動モータ５７の駆動力により
ギヤ５０およびラック５１を介して支持アーム５３を任
意角度に回転させ、或いは、本体２を回転して支持アー
ム５３の向きを変更して、支持アーム５３に軸支した各
回転ブラシ５４…により水槽Ａの壁部Ａａおよび底部Ａ
ｂを清浄し、水槽Ａの底部Ａｂに敷設された砂や小石等
の堆積物Ｂを清浄する。かつ、作業者の手や水中生物等
の物体が回転ブラシ５４に接触しても、その接触時に生
じる回転抵抗により全ての回転ブラシ５４…が回転停止
され、作業者の手や水中生物などの物体が損傷するのを
防止でき、取り扱いやすく安全である。

【００４０】この発明の構成と、上述の実施例との対応
において、この発明の動力伝達手段は、第１実施例のト
ルクコンバータ１０と、第２実施例の前部羽根車３６
と、吐出ノズル３７、返還通路３８および、排水通路３
９と有する水車と、第３実施例のクラッチ４５を有する
減速機４０とに対応し、羽根収納室の吐出口は、羽根収
納室３５の吐出ノズル３７に対応し、羽根収納室の吐出
口と第２吸水室の排水口とを接続する返還通路は、返還
通路１８に対応するも、この発明は、上述の実施例の構
成のみに限定されるものではない。

【００４１】上記実施例では、モータ９および各電磁切
換弁２６，２６とを無線式のコントローラ３３により駆
動制御するが、例えば、本体２に内蔵した制御回路（図
示省略）或いは有線式のコントローラ（図示省略）によ
り駆動制御してもよく、また、本体２に内蔵したバッテ
リ（図示省略）によりモータ９を駆動してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の水槽清浄機を示す断面図。

【図２】 回転ブラシによる水槽底部の清浄動作を示す
説明図。

【図３】 遮断板による堆積物の集積動作を示す説明
図。

【図４】 本体の両側周面に並列した各噴射口の噴射方
向を示す側面図。

【図５】 本体の左右移動を示す平面図。

【図６】 本体の昇降動作を示す側面図。

【図７】 本体の傾動動作を示す側面図。

【図８】 螺旋状ブラシによる水槽底部の清浄動作を示
す部分断面図。

【図９】 第２実施例の水槽清浄機を示す断面図。

【図１０】 第３実施例の水槽清浄機を示す断面図。

【図１１】 第４実施例の水槽清浄機を示す側面図。

【符号の説明】

Ａ…水槽 Ｂ…堆積物 Ｗ…貯溜水 ２ …本体 ３…第１吸水室 ４…第２吸水室 ５…ろ過室(洗浄濾過室) ３ａ，４ａ，５ａ，５ｃ…吸水口 ４ｂ，４ｃ，５ｂ，３５ａ…排水口 ５ｄ…吐出口 ７…回転ブラシ ８…吸引羽根車 ９…モータ １０…トルクコンバータ １０ａ…羽根収納室 １ ４…前部羽根車 １５…後部羽根車 １７，２４，３９…排水通路 １８，３８…返還通路 ２０…第１排水口 ２ ３…第２排水口 ３ ５…羽根収納室 ３６…前部羽根車 ３７…吐出ノズル(吐出口) ３８…返還通路． ３９…排水通路 ４０…減速機

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】本体内に軸支した吸引羽根車を回転用モー
   タにより回転して、該本体の前部側に形成した吸水口か
   ら水槽内の貯溜水を吸入し、該本体内に形成した清浄濾
   過室に貯溜水を供給して濾過すると共に、上記本体の後
   部側に形成した排水口から濾過済みの貯溜水を吐出し、
   上記本体の前部側に軸支した回転ブラシを回転させて水
   槽内部を清浄する水槽清浄機であって、 上記中空形状を有する本体の内部空間を第１吸水室と第
   ２吸水室とに分割し、上記第１吸水室に形成した吸水口
   の前位側に回転ブラシを軸支し、 上記第２吸水室に形成した吸水口の後位側に吸引羽根車
   を軸支し、該吸引羽根車と上記本体に内蔵した回転用モ
   ータとを連結すると共に、 上記本体の内部に上記回転用モータの回転力を回転ブラ
   シに伝達し、かつ物体接触時の抵抗により回転ブラシの
   みが停止する機能をもった動力伝達手段が設けられた水
   槽清浄機。
2. 【請求項２】上記動力伝達手段は、上記第１吸水室に形
   成した羽根収納室内に一対の各羽根車を軸方向に近接し
   て軸支すると共に、 上記羽根収納室の出力側に軸支した前部羽根車と上記回
   転ブラシとを連結し、該羽根収納室の入力側に軸支した
   後部羽根車と上記吸引羽根車とを連結して構成した請求
   項１記載の水槽清浄機。
3. 【請求項３】上記動力伝達手段は、上記第１吸水室に形
   成した羽根収納室内に羽根車を軸支し、該羽根収納室に
   軸支した羽根車と上記回転ブラシとを連結すると共に、 上記羽根収納室の一側面に上記羽根車に対して回転が付
   与される方向に向けて吐出口を設け、 上記羽根収納室の一側面に形成した吐出口と上記第２吸
   水室に形成した排水口とを返還通路で接続し、 上記羽根収納室の他側面に形成した排水口と上記清浄濾
   過室に形成した吸水口とを排水通路で接続して構成した
   請求項１記載の水槽清浄機。