JP3280328B2 - 整髪剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ビニルピロリドン
／ビニルアセテートコポリマーの刺激臭マスキング剤、
及びこれを含有し、刺激臭のない整髪剤組成物に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ビニルピロリドン／ビニルアセテートコ
ポリマー（以下、単にコポリマーと略記する場合があ
る）は、優れた整髪作用等を有することから、種々の整
髪剤組成物に配合されている。整髪剤組成物をはじめと
する毛髪化粧料は、使用時に匂いを気にする場面が多
く、使用時及び使用後にも特に心地良い香りが要求され
るが、前記コポリマーは、それ自体の刺激臭及びコポリ
マーから発生する酢酸等の刺激臭があり、特にアルコー
ル等を併用するとその刺激臭が強くなる。このため、こ
れらの配合量が制限されたり、刺激臭のマスキング、マ
ッチング等の目的で、使用する香料をより多く賦香した
り、使用する香料に、より香り立ちが要求されていた。
しかし、これは本来使用する香料のもつパフォーマンス
の低下、つまり、使用時及び使用後に提供される香りの
心地良さを損ねる原因になっていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、コポ
リマーの刺激臭をマスキングする剤、及びこれを含有
し、刺激臭のない整髪剤組成物を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、レ
モンマップオイル、オレンジテルペンオイル、ジャスモ
ン酸メチル、ヒドロジャスモン酸メチル、リリアール、
α−、β−又はγ−ダマスコン、α−、β−又はγ−ダ
マセノン、オイゲノール、イソオイゲノール、メチルオ
イゲノール、カーネーションオイル及びクローブオイル
から選ばれる１種以上を有効成分とする一般式（１）

【０００５】

【化３】

【０００６】（式中、ｐは１以上の数、ｑは０以上の数
を示す）で表わされるビニルピロリドン／ビニルアセテ
ートコポリマーの刺激臭マスキング剤を提供するもので
ある。

【０００７】また、本発明は、（Ａ）前記一般式（１）
で表わされるコポリマー０．０１〜２０重量％、及び
（Ｂ）前記のマスキング剤を含有する整髪剤組成物を提
供するものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明のマスキング剤は、前記成
分の１種以上を有効成分とするもので、一般式（１）で
表わされるコポリマーの刺激臭をマスキングできる。前
記成分のうち、特にジャスモン酸メチル、ヒドロジャス
モン酸メチル、リリアール、α−、β−又はγ−ダマス
コン、α−、β−又はγ−ダマセノン、オイゲノール、
イソオイゲノール、メチルオイゲノールが好ましい。こ
れらの有効成分は、これらのみでマスキング剤として使
用でき、また調合香料中に好ましくは１〜８０重量％、
特に好ましくは１５〜６０重量％配合して、マスキング
剤とすることもできる。

【０００９】また、一般式（１）中、整髪時のスタイル
のしやすさやべたつき等の点から、ｐは１〜１００、特
に３０〜８０が好ましく、ｑは０〜１００、特に２０〜
５０が好ましい。なお、コポリマー中、各くり返し単位
は、ブロック、ランダム等のいずれで重合していてもよ
い。

【００１０】マスキング剤はコポリマー（１）に対し
て、その有効成分を１〜５０重量％、特に５〜２０重量
％用いるのが好ましい。

【００１１】本発明の整髪剤組成物において、成分
（Ａ）は、前記コポリマー（１）であり、これを０．０
１〜２０重量％、好ましくは０．１〜１０重量％含有す
る。

【００１２】成分（Ｂ）のマスキング剤は、その有効成
分として、全組成中に０．００５〜１０重量％、特に
０．０５〜１重量％配合するのが、刺激臭だけをマスキ
ングするので好ましい。

【００１３】本発明の整髪剤組成物には、更に（Ｃ）炭
素数１〜４の脂肪族アルコール、又は炭素数２〜１２の
グリコールを配合できる。これらの各成分も刺激臭を有
するが、これらの刺激臭も、前記マスキング剤により、
マスキングされる。成分（Ｃ）のうち、炭素数１〜４の
脂肪族アルコールとしては、例えばエタノール、プロパ
ノール等が挙げられる。炭素数２〜１２のグリコールと
しては、直鎖又は分岐鎖のいずれでも良く、例えばエチ
レングリコール、１，３−ブチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレン
グリコール等が挙げられる。成分（Ｃ）は１種以上を用
いることができ、全組成中に０．０１〜３０重量％、特
に０．１〜５重量％配合するのが好ましい。

【００１４】本発明の整髪剤組成物には、更に（Ｄ）界
面活性剤を配合できる。界面活性剤の具体的な例として
は、以下のものが挙げられる。まずアニオン界面活性剤
としては、例えば、（１）グリコール酸Ｎ−アルキル
（又はアルケニル）アミド硫酸エステル塩、（２）アル
キルベンゼンスルホン酸塩、（３）アルキル（又はアル
ケニル）エーテル硫酸塩、（４）アルキル（又はアルケ
ニル）硫酸塩、（５）オレフィンスルホン酸塩、（６）
アルカンスルホン酸塩、（７）飽和又は不飽和の脂肪酸
塩、（８）アルキル（又はアルケニル）エーテルカルボ
ン酸塩、（９）α−スルホン酸塩又はエステル、（１
０）Ｎ−アシルアミノ酸型界面活性剤、（１１）リン酸
モノ又はジエステル型界面活性剤、（１２）スルホコハ
ク酸エステル等が挙げられる。

【００１５】ノニオン界面活性剤としては、例えば、
（１３）ポリオキシエチレンアルキル（又はアルケニ
ル）エーテル、（１４）ポリオキシアルキルフェニルエ
ーテル、（１５）ポリオキシプロピレンアルキル（又は
アルケニル）エーテル、（１６）ポリオキシアルキレン
アルキル（又はアルケニル）エーテル、（１８）高級脂
肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキシド付
加物、（１９）ショ糖脂肪酸エステル、（２０）グリセ
リン脂肪酸モノエステル等が挙げられる。これらのう
ち、ポリオキシエチレン（１〜３０）ラウリルエーテ
ル、グリセリン脂肪酸モノエステルが、増粘作用を示さ
ず好ましい。

【００１６】カチオン界面活性剤としては、第四級アン
モニウム塩、特にモノ長鎖型又はジ長鎖型第四級アンモ
ニウムが好ましい。ここでモノ長鎖又はジ長鎖として
は、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル
基、アルキルカルボニルアミノアルキル基、アルケニル
カルボニルアミノアルキル基、アルキルアミノカルボニ
ルアルキル基、アルケニルアミノカルボニルアルキル
基、アルコキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル
基、脂肪族アシルオキシアルキル基、アルコキシカルボ
ニルアルキル基、アルケニルオキシカルボニルアルキル
基等が挙げられる。ここで、アルキル部分やアルケニル
部分は、長鎖でも分岐鎖でもよい。より具体的には、特
開昭６２−１４１１７６号、同６３−５０５７４号、同
６３−２６０９９１号、同６３−２６０９９２号、同６
３−２９５７６５号、特開平７−９０７７３号、同７−
３０９７２３号、同７−３０９７２４号、同７−３０９
７２４号公報等に記載されている毛髪化粧料や柔軟剤に
用いられる第四級アンモニウム塩が挙げられる。好まし
い例としては、モノ長鎖（直鎖又は分岐鎖）アルキルト
リメチルアンモニウム塩、ジ長鎖（直鎖又は分岐鎖）ア
ルキルジメチルアンモニウム塩、モノ長鎖（直鎖又は分
岐鎖）アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジ長
鎖（直鎖又は分岐鎖）アルキルメチルベンジルアンモニ
ウム塩、ジ長鎖（直鎖又は分岐鎖）アルキルメチルヒド
ロキシエチルアンモニウム塩等が挙げられる。

【００１７】更に、両性界面活性剤の例としては、例え
ば、イミダゾリン型、アミドアミノ酸塩、カルボベタイ
ン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン
型、アルキルスルホベタイン型等が挙げられる。

【００１８】成分（Ｄ）の界面活性剤は、１種以上を用
いることができ、全組成中に０．０５〜３０重量％、特
に０．１〜１０重量％配合するのが、泡立ちなどの点で
好ましい。

【００１９】また、本発明の整髪剤組成物には、シリコ
ーン誘導体を配合することができ、感触の向上、残香性
の向上をはかることができる。かかるシリコーン誘導体
としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルシ
ロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性
シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸変性
シリコーン、フッ素型変性シリコーン、環状シリコー
ン、アルキル変性シリコーン、アルコール変性シリコー
ン、脂肪族変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンな
どが挙げられる。

【００２０】シリコーン誘導体は、１種以上を用いるこ
とができ、全組成中に０．０１〜１５重量％、特に０．
１〜１０重量％配合するのが好ましい。

【００２１】さらに、本発明の整髪剤組成物には、カチ
オン性ポリマーを配合でき、すべり性及び香り立ちを向
上することができる。かかるカチオン性ポリマーとして
は、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱
粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンモ
ニウム塩重合物、ジアリル四級アンモニウム塩／アクリ
ルアミド共重合物、四級化ポリビニルピロリドン誘導体
等が挙げられる。

【００２２】さらに、本発明の整髪剤組成物には、上記
成分のほか、整髪剤組成物に通常用いられる成分、例え
ば保湿剤、粘度調整剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、抗菌剤、防腐剤、精製水などを、発明の効果を損な
わない範囲で適宜添加することができる。

【００２３】本発明の整髪剤組成物は、上記成分を用い
て常法に従って製造し、例えばヘアスプレー、ヘアミス
ト、ヘアフォーム、ヘアクリーム等の剤型にできる。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、コポリマー（１）の刺
激臭をマスキングし、刺激臭のない整髪剤組成物が得ら
れる。

【００２５】

【実施例】実施例１ 以下に示す組成のマスキング剤を常法により製造した。
得られたマスキング剤は、コポリマーの刺激臭をマスキ
ングする効果に優れていた。

【表１】 （マスキング剤Ａ） シンナミックアルコール ２００（重量部） イランイラン油 ３０ ゲラニオール ４０ オイゲノール ５４５ オリス ３ シナモンバーク油 ５ ローズ油 ２０ ヘリオトロピン ６０ クミンアルデヒド ２ キャロットシード油 １０ ピメントベリー油 １５ ベンジルサリシレート ７０ １０００

【００２６】実施例２ 表２〜表３に示す組成の整髪剤組成物を常法により製造
し、その刺激臭の有無について評価した。結果を表２〜
表３に併せて示す。

【００２７】（評価方法）室温２５℃、湿度６５ＨＲの
環境に保たれた室内において、専門パネラー１０人（男
女各５人）で、下記のガラス瓶嗅ぎ口における香りのス
ニフ評価を行った。 （ａ）評価場面： ガラス瓶嗅ぎ口 １００mlガラス瓶広口規格瓶ＰＳ Ｎｏ．１１に各整髪
剤組成物を、７５ml±５ml充填し、その嗅ぎ口について
評価した。

【００２８】（ｂ）評価基準： ○；８人以上がマスキングが良好で刺激臭がしないと評
価した。 △；５〜７人がマスキングが良好で刺激臭がしないと評
価した。 ×；４人以下がマスキングが良好で刺激臭がしないと評
価した。

【００２９】

【表２】

【００３０】

【表１】

【００３１】表２〜表３の結果より、本発明の整髪剤組
成物はいずれも、ビニルピロリドン／ビニルアセテート
コポリマー自体の刺激臭及びコポリマーから発生する酢
酸等の刺激臭をマスキングすることができた。

【００３２】実施例３（ヘアスプレー組成物） 次に示す処方のヘアスプレー組成物を常法により製造し
た。

【表４】 （成分） （重量％） ビニルピロリドン／ビニルアセテートコポリマー （ルビスコールＶＡ６４、ＢＡＳＦ社製） ５ グリセリン ２ オレイルアルコール ５ ポリオキシエチレン（20E.O.）イソセチルエーテル ０．５ α−モノイソステアリルグリセルエーテル ２ ジメチルポリシロキサン １ ジプロピレングリコール １ ９５％エタノール ８３．４ マスキング剤Ａ（実施例１） ０．１ １００

【００３３】実施例４（ヘアミスト組成物） 次に示す処方のヘアミスト組成物を常法により製造し
た。

【表５】 （成分） （重量％） ビニルピロリドン／ビニルアセテートコポリマー （ルビスコールＶＡ６４、ＢＡＳＦ社製） ４ 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム（28％） ０．５ ソフタノール ０．１ グリセリン ３ ９５％エタノール １０ マスキング剤Ａ（実施例１） ０．０５ 精製水 バランス １００

【００３４】実施例５（ヘアクリーム組成物） 次に示す処方のヘアクリーム組成物を常法により製造し
た。

【表６】 （成分） （重量％） ビニルピロリドン／ビニルアセテートコポリマー （ルビスコールＶＡ６４、ＢＡＳＦ社製） １ ジメチルポリシロキサン ５ ソルビトール １０ α−モノイソステアリルグリセルエーテル １ オレイルアルコール ７ プロピレングリコール ２ ９５％エタノール ２ ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート ４ グリセロールモノステアレート ２ マスキング剤Ａ（実施例１） ０．１５ 精製水 バランス １００

【００３５】実施例３〜５で得られた整髪剤組成物はい
ずれも、コポリマーの刺激臭がマスキングされていた。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−139923（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−49627（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−106314（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−77641（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−167942（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−269027（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−59829（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−315012（ＪＰ，Ａ) 特開2000−143455（ＪＰ，Ａ) 特表2001−507371（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61K 7/00 - 7/50 C11B 9/00 A61L 9/01

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レモンマップオイル、オレンジテルペン
   オイル、ジャスモン酸メチル、ヒドロジャスモン酸メチ
   ル、リリアール、α−、β−又はγ−ダマスコン、α
   −、β−又はγ−ダマセノン、オイゲノール、イソオイ
   ゲノール、メチルオイゲノール、カーネーションオイル
   及びクローブオイルから選ばれる１種以上を有効成分と
   する一般式（１） 【化１】 （式中、ｐは１以上の数、ｑは０以上の数を示す）で表
   わされるビニルピロリドン／ビニルアセテートコポリマ
   ーの刺激臭マスキング剤。
2. 【請求項２】 （Ａ）一般式（１） 【化２】 （式中、ｐは１以上の数、ｑは０以上の数を示す）で表
   わされるビニルピロリドン／ビニルアセテートコポリマ
   ー０．０１〜２０重量％、及び（Ｂ）請求項１記載のマ
   スキング剤を含有する整髪剤組成物。
3. 【請求項３】 更に、（Ｃ）炭素数１〜４の脂肪族アル
   コール、又は炭素数２〜１２のグリコールを含有する請
   求項２記載の整髪剤組成物。
4. 【請求項４】 更に、（Ｄ）界面活性剤を含有する請求
   項２又は３記載の整髪剤組成物。