JP3280027B2 - 誤操作防止装置を備えたカセット型蠕動ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は誤操作防止装置を備えたカセット型蠕動ポン
プに関するものである。

蠕動ポンプおよびカセット型蠕動ポンプは当該技術分
野で周知のものである。カセット型蠕動ポンプは変形自
在なチューブと複数のローラとを収容するケーシングを
有し、ローラを駆動してチューブを変形させてチューブ
内部の流体を吐出させる。ローラはカセット外側のモー
タブロックによって駆動される。

フランス国特許第2,595,765号に記載の蠕動ポンプは
平行に配置された少なくとも２本の弾性チューブと、こ
の弾性チューブに作用する複数のプレスローラとを有し
ている。このポンプの目的は規則的な流量を供給するこ
とにある。

フランス国特許出願第2,644,212号には変形自在なチ
ューブを有する蠕動ポンプ用カセットと、このカセット
を備えたポンプとが記載されている。カセットは各端部
の近傍に円筒形のすべり溝を有するケーシングを有し、
すべり溝にはこのすべり溝の両端部の間に配置された変
形自在なチューブを圧搾する回転遊星歯車が当接してい
る。

フランス国特許出願第2,644,522号には独立した変形
自在なチューブのアーチをハウジング内部に備えた変形
チューブ式蠕動ポンプが記載されている。この特許では
瞬間流量の変動を小さくするため、ポンプの占める空間
を小さくしている。

上記のカセット型蠕動ポンプは医療分野で有効である
ことが知られている。すなわち、ある種の用途では従来
の滴下装置が使用できないため、カセット型蠕動ポンプ
が有利である。

しかし、公知のカセット型蠕動ポンプには欠点があ
る。その主たる問題点は使用条件から生じる。すなわ
ち、全てのカセットが任意の蠕動ポンプに適用できるた
め、その結果として、治療にあたる人間の側の誤操作
（操作ミス）が生じることがある。

本発明の目的は場合によっては起こりうる治療者のミ
スを防止することにある。

本発明ではある型のカセットはある型のポンプとしか
対にすることができないようにする手段を備えている。

より正確には、本発明のカセット型蠕動ポンプは人的
操作ミスを完全に防止する誤操作防止装置を備えてい
る。

本発明はモータ本体と、モータ本体の駆動シャフトに
よって駆動されて変形自在なチューブを圧搾する回転ロ
ーラを備えたケーシングよりなるカセットとを有する蠕
動ポンプにおいて、駆動シャフトが回転ローラを駆動す
る作動位置と回転ローラが固定される静止位置とを占め
ることができる台と、この台を静止位置から作動位置へ
変えるためのカセットの下部に設けられた少なくとも１
つの指状部材とを有することを特徴とする蠕動ポンプを
提供する。

本発明は下記特徴を単独または組み合わせて有してい
る： １） モータ本体が少なくとも１つの溝を有し、台が横
方向に運動可能な少なくとも１つのスライダを有し、ス
ライダは溝と係合した時に静止位置に固定され、ケーシ
ングの少なくとも１つの指状部材がスライダに作用して
台２を１方の位置から他方の位置へ移動させる。

２） ポンプ本体の溝と係合する位置の方へスライダを
押す少なくとも１つの弾性要素がスライダに連結されて
いる。

３） カセットの指状部材がポンプ本体の溝と係合した
位置からスライダを外すようにスライダに作用する傾斜
面を有している。

４） 各スライダがカセットの指状部材を受ける窓部を
有している。

５） 台が平らな上側表面と円筒形側面とを有し、平ら
な上側表面は駆動シャフトを通すための中央開口部と各
カセットの指状部材の１つを通すための窓部とを有し、
円筒形側面には各スライダを通すための切欠きを有し、
スライダは台の下側表面に備えられたすべり溝内を移動
する。

６） 各スライダの窓部の位置で台の１つの位置から他
の位置へ移動させることができるカセットの型が決定さ
れる。

７） カセットが可撓性チューブが通る入口管と出口管
とを有し、各可撓性チューブの端部に嵌め込まれる雄形
部分と、外部チューブを受ける雄形部分の２つの円筒形
要素とで形成される液体を循環させる案内管を有し、雄
形部分はカセットの端部に配置された少なくとも１つの
上方ボスと下方ボスとによって対応する受け部内に可撓
性チューブを確実に固定する。

８） ２つの円筒形要素が一体化され且つそれらをカセ
ットに固定する少なくとも１つのフックを有している。

本発明の各種の利点および特徴は添付図面を参照した
下記の説明から明らかになろう。

第１図は本発明のカセット型蠕動ポンプの斜視図。

第２図は第１図のポンプを上方から見た図。

第３図は本発明のカセットを下方から見た斜視図。

第４図は台とスライダとを下方から見た図。

第５図はカセットと共に図示した第４図の線Ｖ−Ｖに
よる断面図。

第６図はカセット−ポンプ本体組立体の軸線方向断面
図。

第７図は第６図の線VII−VIIによる断面図。

第８図は案内管の斜視図。

第９図はカセットの端部断面図。

添付図面では類似部分には同じ参照番号が付けてあ
る。

本発明の誤操作防止装置を備えたカセット型蠕動ポン
プはその全体が参照番号44で示してある。第１図、第２
図に示すように、このカセット型蠕動ポンプ44はポンプ
本体17を収容するカセット１を有し、変形自在なチュー
ブ25は案内管16によって案内され、作動時にはローラ15
が変形自在なチューブ25に押圧される。カセット１は変
形自在なチューブ25が当接する表面を有し、チューブ25
の早い磨耗を引き起こす恐れのある鋭角が全く無いよう
に設計される。第１図、第２図に示した実施例ではロー
ラ15の数は３つであるが、これは単なる一例であって、
ローラ15の数は任意に変更することができる。蠕動ポン
プ44はカセット取り出しボタン18、操作ボタン19および
制御パネル20を備えている。

第３図は本発明の誤操作防止装置の一例を示してい
る。図示した実施例では、この誤操作防止装置はカセッ
ト１のケーシング31の下部に設けた指状部材23になって
いる。

カセット１のケーシング31は上部13と下部14とを有
し、各指状部材23は、以下で説明するようにスライダの
開口部と協働するボス12を備えている。カセット１の端
部には変形自在なチューブ25が通る入口管27と、出口管
38とが設けられている。

ケーシング31の接合管37、38の近傍に形成された凹部
22には赤外線センサが収容される。この赤外線センサは
窓部24内に生じる危険のある気泡の通過を検出するため
のものである。この凹部22の位置でも誤操作は防止され
る。

第４図は誤操作防止装置の他の部品である台２と側方
スライダとを示している。図示したように、台２は平ら
な上側表面33と、中央開口35を有する円筒形側面34とを
有している。台２のスリーブ30中を案内される駆動シャ
フト10は中央開口35を通って延びている。台２の平らな
上側表面33にはカセット１の指状部材23が通る側方窓26
が形成されている。

台２の下側表面のスリーブ30の近傍にはすべり溝28
（その機能は以下で説明する）が形成されている。台２
の固定を良くするために、はめ歯（picots）29がスリー
ブ30に対向して配置されている。

台２の円筒形側面34にはスライダ３を通過させるため
の切欠き36が形成されている。各スライダ３は開口部11
を有し、少なくとも１つの弾性要素27を有している。

第５図の左側部分はスライダ３がポンプ本体４の溝５
内に配置された状態での台２を示しており、右側部分は
スライダ３がすべり溝28から離れ、弾性要素27（例えば
バネ）が円筒形側面34の切欠き36から外れた状態を示し
ている。

ポンプ本体４は溝５の後方に勾配を有する傾斜部分６
を有している。図示した構造によって、台２は定位置に
確実に維持され、スリーブ30が駆動シャフト10を確実に
収容（carenant）される。

各スライダ３は窓32と弾性要素27の側の傾斜面７とを
有している。以下、カセット１と台２との間の協働機
能、特に台２の上側表面33の側部窓部26内に指状部材23
を挿入した時に生じる効果を説明する。

既に説明したカセット１のケーシング31の下部14に形
成された指状部材23は、３つの部分すなわち下向きの傾
斜面８と、外向きの切欠き９と、この切欠き９を延長し
たボス12とを備えている。

第６図は誤操作防止装置の各構成要素が互いに係合し
た状態すなわち、台２とカセット１のケーシング31の指
状部材23とが係合した状態を示している。指状部材23を
挿入すると、台２はポンプ本体４の傾斜面６に沿って滑
動し、ポンプ本体４の溝５から離れる。すべり溝28内に
配置された弾性要素27は駆動シャフト10を案内するスリ
ーブ30に当接する。傾斜面８とボス12とが係合され、組
み合うことによって指状部材23はスライダ３と一致す
る。

第７図は、弾性要素27でスライダ３を台２のスリーブ
30の近傍のすべり溝28内に収容した場合の詳細図であ
る。この図は開口部11内にボス12がスライダ３の窓部32
と係合した状態を示している。

第８図は案内管16の斜視図で、図示したように、案内
管16は液体を循環させる２つの円筒形要素39、40を有し
している。雄型部分41は柔軟な管25の端部に嵌め込まれ
る。雌型部分42は外部チューブを受けるためのものであ
り、雄型部分41は可撓性チューブ25を対応する受け部3
7、38内に固定する役目をする。

２つの円筒形要素39、40は互いに一体で且つそれらを
カセット１に固定する少なくとも１つのフック43を有し
ている。この案内管16はシリコーンをベースとした材料
で作られていて、チューブ中よ泡が存在するか否かを調
べる光センサの前でのチューブを安定性を良くし且つ変
形自在なチューブ25の気密性を確保する役目をしてい
る。

第９図は可撓性チューブと患者または注入液に接続さ
れる１つまたは複数のチューブとの間の接続状態を示す
断面図で、カセット端部の上部45には上方ボス48が設け
られ、カセット端部の下部46には下方ボス49が設けられ
ている。参照番号47はローラに圧搾されるチューブの部
分を示している。

以下、誤操作防止装置を備えた本発明のカセット型蠕
動ポンプの機能を説明する。

休止位置では、スライダ３がポンプ本体４の溝５内に
配置されていて、このスライダ３に連結された弾性要素
27は台２のスリーブ30に隣接したすべり溝28内部に収容
されている。この位置では装置は作動しない（すなわち
静止状態にある）。

台２を解除するには、カセット１をポンプのモータの
シャフト10上に挿入する。それによって、カセット１の
指状部材23の傾斜面８はスライダ３の傾斜面７上を摩擦
摺動し、それによって台２内でスライダ３を滑動させ
る。その結果、スライダ３がポンプ本体４の溝５から完
全に引き出された時に、台２は解除される。カセット１
がない時には、台２は静止位置に維持されて作動位置を
とることができないということは容易に理解できよう。

台２を解除した後、カセット１は台２を下方へ動か
し、スライダ３はポンプ本体４の傾斜面６上を滑動し、
スライダ３は側方へ移動し、カセット１の指状部材23の
切欠き９内に配置される。その結果、台２とカセット１
とが機械的に接続する。

台２がポンプ本体４の溝５に連結されなくなる作動位
置に来ると、駆動シャフト10がローラ15を回転駆動し、
このローラ15によって変形自在なチューブ25が変形して
このチューブ25内の液体が前進する。ローラ15は形状は
特に限定はされないが、適当な円筒形のローラにするこ
とができ、また、樽形要素にすることもできる。

カセット１を上へ上げて静止位置すなわち不作動位置
へ戻すと、スライダ３がポンプ本体４の溝５へ入る。そ
れによってスライダ３の窓部からボス12が離れて、カセ
ット１の指状部材23が外れる。

駆動シャフト10によるローラ15の駆動は台２が作動位
置にある時しか可能ではなく、台２とそれに対応するカ
セット１とが係合した時しか台２は作動位置にならな
い。

従って、ボス12とカセット１の指状部材23の切欠き９
との形状および係合状態、スライダ３の窓部32の形状、
そして、スライダ３の傾斜面７の傾斜を選択することに
よって、少なくとも１つの特定な型のカセットが少なく
とも１つの特定な型の蠕動ポンプと合う誤操作防止装置
にすることができ、それによって誤操作、操作ミスを防
止することができる。すなわち、各カセットが所定の蠕
動ポンプと対になるようにすることができる。

誤操作を防止するために、スライダ３は開口部11を有
し、カセット１は指状部材23にボス12を有している。開
口部11の位置と指状部材23のボス12の位置とによって、
スライダ３をカセット１上に戻したり、当接することが
できる。

本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発
明の範囲内で種々変更することができる。

請求の範囲に記載の参照番号は理解を容易にするため
に示したもので、本発明の範囲を何ら限定するものでは
ない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−118161（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−75785（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−12688（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F04B 43/00 - 47/14

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】モータ本体（４）と、このモータ本体
   （４）の駆動シャフト（10）によって駆動されて変形自
   在なチューブ（25）を圧搾する回転ローラ（15）を備え
   たケーシング（31）よりなるカセット（１）とを有する
   チューブ蠕動ポンプにおいて、 カセット（１）が誤操作防止手段を有し、この誤操作防
   止手段は駆動シャフト（10）が回転ローラ（15）を駆動
   する作動位置と回転ローラ（15）が固定される静止位置
   とを占めることができる台（２）と、カセット（１）の
   下部（14）に設けられた少なくとも１つの指状部材（2
   3）とを有し、台（２）は横方向に運動可能な少なくと
   も１つのスライダ（３）によって静止位置に固定され、
   指状部材（23）がスライダ（３）に力を加えた時に台
   （３）が静止位置から作動位置へ移動することを特徴と
   する蠕動ポンプ。
2. 【請求項２】モータ本体（４）が少なくとも１つの溝
   （５）を有し、この溝（５）にスライダ（３）が挿入さ
   れた時に台（２）が固定される請求項１に記載の蠕動ポ
   ンプ。
3. 【請求項３】ポンプ本体（４）の溝（５）と係合する位
   置の方へスライダを押す少なくとも１つの弾性要素（2
   7）がスライダ（３）に連結されている請求項１または
   ２に記載の蠕動ポンプ。
4. 【請求項４】カセット（１）の指状部材（23）がポンプ
   本体（４）の溝（５）と係合した位置からスライダ
   （３）を外すようにスライダ（３）に作用する傾斜面
   （８）を有する請求項１〜３のいずれか一項に記載の蠕
   動ポンプ。
5. 【請求項５】各スライダ（３）がカセット（１）の指状
   部材（23）を受ける窓部（32）を有する請求項１〜４の
   いずれか一項に記載の蠕動ポンプ。
6. 【請求項６】台（２）が平らな上側表面（33）と円筒形
   側面（34）とを有し、平らな上側表面（33）は駆動シャ
   フト（10）を通すための中央開口部（35）と各カセット
   （１）の指状部材（23）の１つを通すための窓部（26）
   とを有し、円筒形側面（34）には各スライダ（３）を通
   すための切欠き（36）を有し、スライダ（３）は台
   （２）の下側表面に備えられたすべり溝（28）内を移動
   する請求項１〜５のいずれか一項に記載の蠕動ポンプ。
7. 【請求項７】各スライダ（３）の窓部（32）の位置で台
   （２）を１つの位置から他の位置へ移動させることがで
   きるカセット（１）の型が決まるようになっている請求
   項５または６に記載の蠕動ポンプ。
8. 【請求項８】カセット（１）が可撓性チューブ（25）が
   通る入口管（37）と出口管（38）とを有し、各可撓性チ
   ューブ（25）の端部に嵌め込まれる雄形部分（41）と、
   外部チューブを受ける雄形部分（42）の２つの円筒形要
   素とで形成される液体を循環させる案内管（16）を有
   し、雄形部分（41）はカセット（１）の端部に配置され
   た少なくとも１つの上方ボス（48）と下方ボス（49）と
   によって対応する受け部（37、38）内に可撓性チューブ
   （25）を確実に固定される請求項１に記載の蠕動ポン
   プ。
9. 【請求項９】２つの円筒形要素（39、40）が一体化され
   且つそれらをカセット（１）に固定する少なくとも１つ
   のフック（43）を有する請求項８に記載の蠕動ポンプ。