JP3279671B2 - チエノチオピラン誘導体の製造方法 - Google Patents
チエノチオピラン誘導体の製造方法Info
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Description
ドロキシ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]
チオピラン−7,7−ジオキシドの製造方法に関する。
本化合物は、式(III) :
ルトシュリッテ デア オフタルモロギー(Fortoshurit
te der Ophthalmologie)88巻、513 頁、1991年)へ、通
常用いられる有機化学的手法により変換可能な有用な合
成中間体である。
がって、前記式(II)の構造を有する化合物の工業的規模
で生産しうる効率的な製造方法が求められている。
キソ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオ
ピラン−7,7−ジオキシドを微生物を用いて還元し、
前記式(II)の構造を有する5,6−ジヒドロ−4−ヒド
ロキシ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チ
オピラン−7,7−ジオキシドを製造する方法について
は知られていない。
の製造方法としては、特開平1-100174に記載の合成法が
知られているが、式(I) の構造を有する化合物を微生物
により還元して式(II)の構造を有する化合物をえるステ
ップを利用したプロセスは知られていない。
効率的な式(II)の構造を有する5,6−ジヒドロ−4−
ヒドロキシ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−
b]チオピラン−7,7−ジオキシドの工業的製造方法
について鋭意検討の結果、式(I) の構造を有する5,6
−ジヒドロ−4−オキソ−(S)−6−メチル−チエノ
[2,3−b]チオピラン−7,7−ジオキシドの4位
のカルボニル基を水酸基に還元しうる微生物を見出し、
本発明を完成するにいたった。
キソ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオ
ピラン−7,7−ジオキシドに、アンブロシオチマ属、
アースロアスカス属、アシビア属、クリプトコッカス
属、クルイベロマイセス属、リポマイセス属、ロダロマ
イセス属、メシェニコビア属、パキゾレン属、ロードス
ポリディウム属、ロードトルラ属、サッカロマイコプシ
ス属、シュバニオマイセス属、スポリデオボラス属、ス
ポロボロマイセス属、ステファノアスカス属、トリゴノ
プシス属、トリコスポロン属およびウィンゲア属に属す
る微生物からなる群より選ばれた微生物を作用させ還元
する工程ならびに反応液から、式(II):
ドロキシ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]
チオピラン−7,7−ジオキシドを採取する工程を含ん
でなる、前記式(II)で示される5,6−ジヒドロ−4−
ヒドロキシ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−
b]チオピラン−7,7−ジオキシドの製造方法に関す
る。
する5,6−ジヒドロ−4−オキソ−(S)−6−メチ
ル−チエノ[2,3−b]チオピラン−7,7−ジオキ
シドである。このものは、USP4968814に記載の方法によ
り合成した、式(IV):
チオフェン)ブタン酸を、特開平1-100174号に記載の方
法により変換することによって製造が可能である。
ンブロシオチマ(Ambrosiozyma)属、アースロアスカス
(Arthroascus)属、アシビア(Ashbya)属、クリプト
コッカス(Cryptococcus)属、クルイベロマイセス(Kl
uyveromyces)属、リポマイセス(Lipomyces)属、ロダ
ロマイセス(Lodderomyces)属、メシェニコビア(Mets
chnikowia)属、パキゾレン(Pachysolen)属、ロード
スポリディウム(Rhodosporidium)属、ロードトルラ
(Rhodotorula)属、サッカロマイコプシス(Saccharom
ycopsis)属、シュバニオマイセス(Schwanniomyces)
属、スポリデオボラス(Sporidiobolus)属、スポロボ
ロマイセス(Spolobolomyces)属、ステファノアスカス
(Stephanoascus)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)
属、トリコスポロン(Trichosporon)属およびウィンゲ
ア(Wingea)属に属する微生物などがあげられる。さら
に詳しくは、アンブロシオチマ・フィレントーナ(Ambr
osiozyma philentona)IFO 1847、アースロアスカス・
ジャバネシス(Arthroascus javanesis)IFO 1848、ア
シビア・ゴシッピー(Ashbya gossypii)IFO 0560、ク
リプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)
IFO 0378、クリプトコッカス・テレウス(Cryptococcus
terreus)IFO 0727、クルイベロマイセス・マルキアヌ
ス(Kluyveromyces marxianus)IFO 0288、リポマイセ
ス・スターケイ(Lipomyces starkeyi)IFO 0678、ロダ
ロマイセス・エロンギスポラス(Lodderomyces elongis
porus)IFO 1676、メシェニコビア・ビカスピダータ(M
etschnikowia bicuspidata)IFO 1408、メシェニコビア
・パルチェリーマ(Metschnikowia pulcherrima)IFO 0
561、メシェニコビア・ロイカウフィー(Metschnikowia
reukaufii)IFO 0794、パキゾレン・タンノフィラス
(Pachysolen tannophilus)IFO1007、ロードスポリデ
ィウム・ダクリオダム(Rhodosporidium dacryodium)I
FO 1930、ロードスポリディウム・スファエロカルパム
(Rhodosporidium sphaerocarpum)IFO 1438、ロードス
ポリディウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloi
des)IFO 0413、ロードトルラ・グルチニス(Rhodotoru
la glutinis)IFO 0395、ロードトルラ・ラクトーサ(R
hodotorula lactosa)IFO 1423、ロードトルラ・ミニュ
ータ(Rhodotorula minuta)IFO 0928、ロードトルラ・
ミニュータ(Rhodotorula minuta)IFO 0715、サッカロ
マイコプシス・クラタエジェンシス(Saccharomycopsis
crataegensis)IFO 1708、サッカロマイコプシス・マ
ランガ(Saccharomycopsis malanga)IFO 1710、シュバ
ニオマイセス・オシデンタリス(Schwanniomyces occid
entalis)IFO 1840、スポリデオボラス・ジョンソニー
(Sporidiobolus johnsonii)IFO 6903、スポロボロマ
イセス・パラロゼウス(Sporobolomyces pararoseus)I
FO 0471、ステファノアスカス・シフェリ(Stephanoasc
us ciferrii)IFO 1854、トリゴノプシス・バリエビリ
ス(Trigonopsis variabilis)IFO 0671、トリコスポロ
ン・カタネウム(Trichosporon cataneum)IFO 1198、
ウィンゲア・ロベルシー(Wingea robertsii)IFO 1277
などがあげられる。
養に用いられる栄養成分を含む培地(寒天培地などの固
体培地または液体培地)が使用されうる。大量培養時に
は、液体培地が好ましい。培地は、炭素源として、グル
コース、シュクロース、マルトースなどの糖類、乳酸、
酢酸、クエン酸などの有機酸類、エタノール、グリセロ
ールなどのアルコール類あるいはこれらの混合物が、そ
して、窒素源として硫酸アンモニウム、リン酸アンモニ
ウム、尿素、イーストエキス、肉エキス、ペプトンなど
が用いられる。さらに、他の無機塩、ビタミン類などの
栄養源が適宜混合されうる。前記微生物は通常の条件に
より培養されうる。たとえば、pH4.0〜9.5 にて、20
℃〜45℃の温度範囲で好気的に10〜96時間培養する。
−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオピラ
ン−7,7−ジオキシドに前記微生物を作用させるに
は、通常、微生物の培養液をそのまま反応に使用するこ
ともできるが、培養液中の成分が反応に悪影響を与える
ばあいには、培養液を遠心分離することなどによってえ
られる菌体の懸濁液を使用すればよい。基質は反応初期
に一括して添加するか、もしくは分割して添加してもよ
い。反応温度は通常15〜50℃、好ましくは20〜40℃であ
り、反応時のpHは2.5 〜7.0 である。反応液中の菌体
の量は菌体の当該反応の接触能力に応じて適宜使用すれ
ばよく、基質濃度は0.01〜20%(w/v)であることが
好ましく、さらに好ましくは0.1 〜10%(w/v)であ
る。反応は、通常、振とうあるいは通気撹拌しながら行
なう。反応時間は基質濃度、微生物量、およびその他の
反応条件によって適宜決定される。通常、2〜168 時間
で反応が終了するように各条件設定することが好まし
い。上記反応を促進させるために、反応液にエネルギー
源としてグルコースなどを1〜5%の割合で加えるとす
ぐれた結果がえられることが多い。その結果、基質であ
る5,6−ジヒドロ−4−オキソ−(S)−6−メチル
−チエノ[2,3−b]チオピラン−7,7−ジオキシ
ドは、5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−(S)−6
−メチル−チエノ[2,3−b]チオピラン−7,7−
ジオキシドに還元される。
シ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオピ
ラン−7,7−ジオキシドを反応液から採取するには、
一般的な単離法が採用されうる。たとえば、反応液に酢
酸エチルなどの有機溶媒を加えて抽出する。えられた抽
出液を無水硫酸ナトリウムなどで脱水後、減圧下で有機
溶媒を除去する。その結果、5,6−ジヒドロ−4−ヒ
ドロキシ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]
チオピラン−7,7−ジオキシド粗生成物をえることが
できる。さらに、この粗生成物は、必要に応じて再結晶
化を行い純粋な5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−
(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオピラン
−7,7−ジオキシドをえることができる。
−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−(S)−6−メチル−チ
エノ[2,3−b]チオピラン−7,7−ジオキシド
は、4位ヒドロキシの立体配置により二種の立体異性体
(IIa) および(IIb) :
ス体、(IIb) は4S体で6位メチル基に対してトランス
体である。
−507と同じであるのでMK−507の中間体として
利用しうる。
Ia) と化合物(IIb) の割合は、菌株によって異なるが、
化合物(IIb) の割合が高い化合物をえるには、クリプト
コッカス属、リポマイセス属、メシェニコビア属、ロー
ドスポリディウム属、ロードトルラ属、ステファノアス
カス属、トリゴノプシス属、ハンゼヌラ属、クルイベロ
マイセス属、シュバニオマイセス属またはトリコスポロ
ン属に属する微生物を用いればよく、具体的にはクリプ
トコッカス・テレウスIFO 0727、リポマイセス・スター
ケイIFO 0678、メシェニコビア・ビカスピダータIFO 14
08、メシェニコビア・ロイカウフィIFO 0749、ロードス
ポリディウム・トルロイデスIFO 0413、ロードトルラ・
ミニュータIFO 0715、トリコスポロン・カタネウムIFO
1198などがあげられる。
明する。ただし、これら実施例は本発明の範囲を限定す
るものではない。
−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオピラ
ン−7,7−ジオキシドの合成 USP4968814に記載の方法により合成した(S)−3−
(2−メルカプトチオフェン)ブタン酸(IV)を、特開
平1-100174号に記載の方法により変換した。合成された
5,6−ジヒドロ−(S)−6−メチル−チエノ[2,
3−b]チオピラン−4−オン(V)
ル(3.9 L)に溶解し、オキソン(Oxone )(商品名、
デュポン社製)(1460g、2.37mol )水溶液(6.3 L)
を、反応液を15℃に保ちながら、2時間かけて滴下し
た。滴下終了後室温で19時間反応させた。反応液を15℃
以下に冷却し、亜硫酸ナトリウム(223 g、1.77mol )
を、反応液が15℃以上にならないように、小分けして加
えた。反応液を濾過し、濾液を酢酸エチル(1.8 L)で
3回抽出した。濾過されたケーキを酢酸エチル(3L)
で洗浄した。洗液と抽出液をあわせて飽和食塩水で洗浄
した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、活性炭で脱色し、溶
媒を留去して、5,6−ジヒドロ−4−オキソ−(S)
−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオピラン−7,
7−ジオキシド(288.3 g)をえた。
O2 ) IR(KBr,cm-1):1697、1387、1313、1257、114
3、762 、708 、586 、5171 H−HMR:CDCl3 δ:7.61(d,J=4.8Hz,1H)、7.4
9(d,J=4.8Hz,1H)、3.86(m,1H)、3.22(m,2H)、1.57(d,J=
6.8Hz,3H) 実施例1 下記の組成からなる液体培地を調製し、大型試験管に10
mlずつ分注して、120℃で20分間蒸気殺菌を行った。
て、30℃で24〜72時間振とう培養した。つぎに、各培養
液を遠心分離にかけて菌体を集め、水洗後、各菌体を50
mMりん酸緩衝液(pH7.0 )2mlに懸濁させて下記の反
応液成分として使用した。
がら30℃で24〜72時間反応させた。反応後、各反応液に
2.5 mlのアセトニトリルを加えてよく混合し、遠心分離
により菌体を除いてえられた上清をHPLC(カラム:
Finepak SIL C 18-5、4.5 ×250 mm(日本分光社製)、
溶離液:アセトニトリル/水=1/1、流速:0.8 ml/
min 、検出波長:225 nm)により、基質の残存量と生成
物量を測定した。その結果を表1に示した。さらに、こ
の反応液の一部を分取用薄層クロマトグラフィーにより
生成物を単離し、これの 1H−NMR分析により、生成
物5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−(S)−6−メ
チル−チエノ[2,3−b]チオピラン−7,7−ジオ
キシドのトランス/シス比(ジアステレオマー比)を測
定した。その結果を表1に示した。なお、トランス体と
シス体の 1H−NMRのシグナルは次の通りである。
δ:7.58(d,J=5.2Hz,1H)、7.18(d,J=5.2Hz,1H)、4.90
(t,J=3.6Hz,1H)、3.78(m,1H)、2.70(m,1H)、2.59(m,1
H)、2.36(m,1H)、1.48(d,J=6.8Hz,3H) シス体(4R,6S);CDCl3 ,δ:7.58(d,J=4.8
Hz,1H)、7.16(d,J=4.8Hz,1H)、4.87(q,J=6.0Hz,10.4Hz,
1H)、3.44(m,1H)、2.42(m,2H)、2.08-2.20(br,1H)、
1.51(d,J=6.8Hz,3H)
−ジヒドロ−4−オキソ−(S)−6−メチル−チエノ
[2,3−b]チオピラン−7,7−ジオキシドに作用
させることによって、5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキ
シ−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオピ
ラン−7,7−ジオキシドを効率的に、かつ工業的規模
で生産することが可能となる。本発明でえられる5,6
−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−(S)−6−メチル−チ
エノ[2,3−b]チオピラン−7,7−ジオキシド
は、抗緑内障薬MK−507の中間体とて利用可能であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 式(I) : 【化1】 の構造を有する5,6−ジヒドロ−4−オキソ−(S)
−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオピラン−7,
7−ジオキシドに、アンブロシオチマ属、アースロアス
カス属、アシビア属、クリプトコッカス属、クルイベロ
マイセス属、リポマイセス属、ロダロマイセス属、メシ
ェニコビア属、パキゾレン属、ロードスポリディウム
属、ロードトルラ属、サッカロマイコプシス属、シュバ
ニオマイセス属、スポリデオボラス属、スポロボロマイ
セス属、ステファノアスカス属、トリゴノプシス属、ト
リコスポロン属およびウィンゲア属に属する微生物から
なる群より選ばれた微生物を作用させ還元する工程なら
びに反応液から、式(II): 【化2】 の構造を有する5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−
(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオピラン
−7,7−ジオキシドを採取する工程を含んでなる、前
記式(II)で示される5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ
−(S)−6−メチル−チエノ[2,3−b]チオピラ
ン−7,7−ジオキシドの製造方法。 - 【請求項2】 前記微生物がクリプトコッカス属、リポ
マイセス属、メシェニコビア属、ロードスポリディウム
属、ロードトルラ属、ステファノアスカス属、トリゴノ
プシス属、クルイベロマイセス属、シュバニオマイセス
属またはトリコスポロン属に属し、かつ前記式(II)の構
造を有する化合物の、立体配置(4S,6S)のトラン
ス体をより多い割合で生成せしめる能力を有するもので
ある請求項1記載の製造方法。
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---|---|---|---|
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EP93115506A EP0590549B1 (en) | 1992-09-28 | 1993-09-25 | Process for preparing thienothiopyran derivative |
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