JP3278706B2 - シンクロトロン放射光利用装置 - Google Patents
シンクロトロン放射光利用装置Info
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- G03F—PHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
- G03F7/00—Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
- G03F7/70—Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
- G03F7/70058—Mask illumination systems
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- General Physics & Mathematics (AREA)
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シンクロトロンリング
から発生し扇状に発散するシンクロトロン放射光を、真
空領域から大気中に取り出して利用するシンクロトロン
放射光利用装置に係わり、特にシンクロトロン放射光取
り出し窓の熱負荷を軽減し損傷から保護するための機構
を有するシンクロトロン放射光利用装置に関するもので
ある。
から発生し扇状に発散するシンクロトロン放射光を、真
空領域から大気中に取り出して利用するシンクロトロン
放射光利用装置に係わり、特にシンクロトロン放射光取
り出し窓の熱負荷を軽減し損傷から保護するための機構
を有するシンクロトロン放射光利用装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】シンクロトロン放射光利用装置(以下、
SR光利用装置という)は、広い波長域のX線光源とし
て注目を集め、近年、微細加工を目指すX線リソグラフ
ィ,物質の構造解析,組成分析などへの応用が期待され
ている。このSR光利用装置のシンクロトロン放射光
(以下SR光という)の取り出し窓は、真空と大気との
圧力差に耐え、装置内部を高い真空度に保つ必要があ
る。加えて、利用すべきX線をなるべく減衰させずに外
部に取り出すため、極めて薄くしなくてはならない。
SR光利用装置という)は、広い波長域のX線光源とし
て注目を集め、近年、微細加工を目指すX線リソグラフ
ィ,物質の構造解析,組成分析などへの応用が期待され
ている。このSR光利用装置のシンクロトロン放射光
(以下SR光という)の取り出し窓は、真空と大気との
圧力差に耐え、装置内部を高い真空度に保つ必要があ
る。加えて、利用すべきX線をなるべく減衰させずに外
部に取り出すため、極めて薄くしなくてはならない。
【0003】図6は、従来のSR光利用装置の構成を説
明する構成図であり、同図では典型的なSR光利用装置
からSR光を外部へ導きX線リソグラフィに利用するた
めのビームラインを示している。図6において、SRリ
ング1では高いエネルギーを持った電子を、その飛行方
向をマグネット等による磁界により曲げて円周軌道を周
回させており、電子軌道の接線方向にX線を含むSR光
が放射される。この発生するSR光ビーム2は、ビーム
ライン内で上下左右に広がっていくが、SRリング1で
周回している電子軌道面に対して垂直方向へ広がってい
くSR光は一様にその強度を減じていく。
明する構成図であり、同図では典型的なSR光利用装置
からSR光を外部へ導きX線リソグラフィに利用するた
めのビームラインを示している。図6において、SRリ
ング1では高いエネルギーを持った電子を、その飛行方
向をマグネット等による磁界により曲げて円周軌道を周
回させており、電子軌道の接線方向にX線を含むSR光
が放射される。この発生するSR光ビーム2は、ビーム
ライン内で上下左右に広がっていくが、SRリング1で
周回している電子軌道面に対して垂直方向へ広がってい
くSR光は一様にその強度を減じていく。
【0004】ビームラインと呼ばれる細長い真空チャン
バに導かれ、扇状に広がったSR光ビーム2は、第1ミ
ラー3で集光され、第2ミラー4に整形され、SR光取
り出し窓5を介して大気中または他のガス中に導かれ
る。この、SR光取り出し窓5から取り出されたSR光
は、X線を光源として利用するリソグラフィ用X線アラ
イナなどのX線利用装置6に導かれる。以上のように、
SR光ビーム2は、真空に保たれたビームライン中を、
集光成形されながら通過して、SR光取り出し窓5より
大気中に出ていく。
バに導かれ、扇状に広がったSR光ビーム2は、第1ミ
ラー3で集光され、第2ミラー4に整形され、SR光取
り出し窓5を介して大気中または他のガス中に導かれ
る。この、SR光取り出し窓5から取り出されたSR光
は、X線を光源として利用するリソグラフィ用X線アラ
イナなどのX線利用装置6に導かれる。以上のように、
SR光ビーム2は、真空に保たれたビームライン中を、
集光成形されながら通過して、SR光取り出し窓5より
大気中に出ていく。
【0005】ここで、このSR光取り出し窓5は、この
SR光取り出し窓5を通過し得ずに吸収されてしまう光
の減衰をできるだけ少なくするために薄くする必要があ
る。しかし、一方で、このSR光取り出し窓5は、真空
と大気圧である外部との間に配置されるので、真空側の
真空度を保つように圧力の高い外部との間の圧力差に耐
える必要がある。従ってSR光取り出し窓5の厚さは、
取り出す光の減衰と、圧力差によるSR光取り出し窓5
の破壊の危険性とのトレードオフによって決定せざるを
得ない。その厚さは、SR光取り出し窓5の形状,寸法
などに依存するが、例えばSR光取り出し窓5にベリリ
ウムを用いる場合、典型的には10〜50μm程度であ
る。
SR光取り出し窓5を通過し得ずに吸収されてしまう光
の減衰をできるだけ少なくするために薄くする必要があ
る。しかし、一方で、このSR光取り出し窓5は、真空
と大気圧である外部との間に配置されるので、真空側の
真空度を保つように圧力の高い外部との間の圧力差に耐
える必要がある。従ってSR光取り出し窓5の厚さは、
取り出す光の減衰と、圧力差によるSR光取り出し窓5
の破壊の危険性とのトレードオフによって決定せざるを
得ない。その厚さは、SR光取り出し窓5の形状,寸法
などに依存するが、例えばSR光取り出し窓5にベリリ
ウムを用いる場合、典型的には10〜50μm程度であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来は以上のように構
成されていたので、SR光取り出し窓が、SR光吸収に
よる発熱のため、破壊されやすいという問題があった。
従来のSR光利用装置においては、SRリングから発生
するSR光はX線領域から赤外まで極めて広い範囲にわ
たるが、前述したSR光取り出し窓を通過し得る光は比
較的波長の短い領域であり、通過しなかった光はSR光
取り出し窓に吸収されて熱となり、SR光取り出し窓に
大きな熱負荷を与えることになる。場合によっては、こ
のSR光取り出し窓の材料の耐熱限界を越えた温度上昇
をもたらし、SR光取り出し窓の破壊によるSR光利用
装置の真空漏れなど重大な障害を引き起こす恐れがあ
る。
成されていたので、SR光取り出し窓が、SR光吸収に
よる発熱のため、破壊されやすいという問題があった。
従来のSR光利用装置においては、SRリングから発生
するSR光はX線領域から赤外まで極めて広い範囲にわ
たるが、前述したSR光取り出し窓を通過し得る光は比
較的波長の短い領域であり、通過しなかった光はSR光
取り出し窓に吸収されて熱となり、SR光取り出し窓に
大きな熱負荷を与えることになる。場合によっては、こ
のSR光取り出し窓の材料の耐熱限界を越えた温度上昇
をもたらし、SR光取り出し窓の破壊によるSR光利用
装置の真空漏れなど重大な障害を引き起こす恐れがあ
る。
【0007】このSR光取り出し窓の光吸収による温度
上昇をなるべく小さくするためには、発生する熱を速や
かに逃がすように窓部分の大きさをなるべく狭くして周
囲に熱が伝わりやすくすれば良い。しかし、SR光ビー
ムの形状は必ずしも平坦ではなく、また、図6に示す、
第1ミラー3,第2ミラー4を揺動してSR光ビーム2
をスキャンする場合もあるので、窓部分の大きさをあま
り小さくすることは困難であることが多いのが現状であ
る。
上昇をなるべく小さくするためには、発生する熱を速や
かに逃がすように窓部分の大きさをなるべく狭くして周
囲に熱が伝わりやすくすれば良い。しかし、SR光ビー
ムの形状は必ずしも平坦ではなく、また、図6に示す、
第1ミラー3,第2ミラー4を揺動してSR光ビーム2
をスキャンする場合もあるので、窓部分の大きさをあま
り小さくすることは困難であることが多いのが現状であ
る。
【0008】したがって本発明は、前述した従来の課題
を解決するためになされたものであり、その目的は、シ
ンクロトロン放射光取り出し窓の熱負荷を低減すること
である。
を解決するためになされたものであり、その目的は、シ
ンクロトロン放射光取り出し窓の熱負荷を低減すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明のシンクロトロ
ン放射光利用装置は、ビームラインの中のシンクロトロ
ンリングとシンクロトロン放射光取り出し窓との間に配
置され、シンクロトロン放射光のうち電子の円周軌道が
形成する面に垂直な方向に上下角±0.5mrad以内
で広がる部分のみが通過するスリットを有し、ビームラ
インの中で、シンクロトロン放射光の水平方向の広がり
がもっとも広いところに配置され、シンクロトロン放射
光のシンクロトロンリングにおける電子の円周軌道が形
成する面に垂直な方向に広がる所定の部分を遮断する遮
光板を有することを特徴とする。
ン放射光利用装置は、ビームラインの中のシンクロトロ
ンリングとシンクロトロン放射光取り出し窓との間に配
置され、シンクロトロン放射光のうち電子の円周軌道が
形成する面に垂直な方向に上下角±0.5mrad以内
で広がる部分のみが通過するスリットを有し、ビームラ
インの中で、シンクロトロン放射光の水平方向の広がり
がもっとも広いところに配置され、シンクロトロン放射
光のシンクロトロンリングにおける電子の円周軌道が形
成する面に垂直な方向に広がる所定の部分を遮断する遮
光板を有することを特徴とする。
【0010】
【作用】シンクロトロンリングより放出するシンクロト
ロン放射光の波長の長い成分は、その多くが遮光板によ
り遮断され、波長の短い成分はそのほとんどが遮光板の
スリットを通過していく。
ロン放射光の波長の長い成分は、その多くが遮光板によ
り遮断され、波長の短い成分はそのほとんどが遮光板の
スリットを通過していく。
【0011】SRリング1からの光の広がりを模式的に
図1に示すように表すと、SR光はSRリング1の光エ
ネルギー電子が周回している電子軌道の接線方向(θ)
にSR光が放射され、電子軌道面から上下に離れる方向
(ψ)には次第に強度を減ずる。ここで、波長がλ−λ
/100からλ+λ/100の光が単位時間当たり立体
角dθdψへ放射される光の光強度を示すフォトン数N
photonは、下記に数1に示すように表すことができる。
なおこのフォトン数Nphotonの単位は「photons
/sec/mrad2/mA/1%BW」である。
図1に示すように表すと、SR光はSRリング1の光エ
ネルギー電子が周回している電子軌道の接線方向(θ)
にSR光が放射され、電子軌道面から上下に離れる方向
(ψ)には次第に強度を減ずる。ここで、波長がλ−λ
/100からλ+λ/100の光が単位時間当たり立体
角dθdψへ放射される光の光強度を示すフォトン数N
photonは、下記に数1に示すように表すことができる。
なおこのフォトン数Nphotonの単位は「photons
/sec/mrad2/mA/1%BW」である。
【0012】
【数1】 ここで、Kは第2種変形ベッセル関数、γはローレンツ
因子(Lorentz factor)と呼ばれる数である。
因子(Lorentz factor)と呼ばれる数である。
【0013】このローレンツ因子γは、静止エネルギー
を単位とする相対論的な粒子のエネルギーに対応し、粒
子のエネルギーをE,静止質量をm,光速をcとしたと
き、下記の数2に示すように表せる。
を単位とする相対論的な粒子のエネルギーに対応し、粒
子のエネルギーをE,静止質量をm,光速をcとしたと
き、下記の数2に示すように表せる。
【0014】
【数2】
【0015】また、ここでλc は臨界波長(critical w
avelength)と呼ばれる量であり、ρを電子の軌道半径
としたとき下記数3に示すように表せる。
avelength)と呼ばれる量であり、ρを電子の軌道半径
としたとき下記数3に示すように表せる。
【0016】
【数3】
【0017】図2は、電子エネルギー600MeV,電
子軌道の半径0.66mとしたSR光利用装置で得られ
るSR光を例にとって、上記の数1から求めた波長5Å
から100Åの光強度のψ方向依存性を示すものであ
る。図2に示されているように、SRリングの電子軌道
に垂直なψ方向の広がりは波長に依存しており、波長が
短いほどψ=0付近に集中し、逆に長波長成分になるほ
ど広がりが大きくなる。リソグラフィに利用するSR光
の波長域は11Å以下であるが、波長がこれを越えるS
R光はほとんどがSR光取り出し窓を透過せず、ここで
吸収されて熱になると考えて良い。
子軌道の半径0.66mとしたSR光利用装置で得られ
るSR光を例にとって、上記の数1から求めた波長5Å
から100Åの光強度のψ方向依存性を示すものであ
る。図2に示されているように、SRリングの電子軌道
に垂直なψ方向の広がりは波長に依存しており、波長が
短いほどψ=0付近に集中し、逆に長波長成分になるほ
ど広がりが大きくなる。リソグラフィに利用するSR光
の波長域は11Å以下であるが、波長がこれを越えるS
R光はほとんどがSR光取り出し窓を透過せず、ここで
吸収されて熱になると考えて良い。
【0018】図3は、SR光の波長に関して波長11Å
以下のSR光と、波長11Åを越え100ÅまでのSR
光と、波長100Åまで全域のSR光各々における、ψ
方向の広がりとその光強度の関係、およびそれらの積分
した光強度のψ方向依存性を示すものである。同図にお
いて、一点鎖線31は左の縦軸をスケールとし、波長が
11Å以下のSR光のψ方向の広がりとその光強度の関
係を示す。また、点線32は左の縦軸をスケールとし、
波長が11Åを越えるSR光のψ方向の広がりとその光
強度の関係を示す。そして、実線33は左の縦軸をスケ
ールとし、波長100Åまでの全域のSR光のψ方向の
広がりとその光強度の関係を示す。
以下のSR光と、波長11Åを越え100ÅまでのSR
光と、波長100Åまで全域のSR光各々における、ψ
方向の広がりとその光強度の関係、およびそれらの積分
した光強度のψ方向依存性を示すものである。同図にお
いて、一点鎖線31は左の縦軸をスケールとし、波長が
11Å以下のSR光のψ方向の広がりとその光強度の関
係を示す。また、点線32は左の縦軸をスケールとし、
波長が11Åを越えるSR光のψ方向の広がりとその光
強度の関係を示す。そして、実線33は左の縦軸をスケ
ールとし、波長100Åまでの全域のSR光のψ方向の
広がりとその光強度の関係を示す。
【0019】一方、一点鎖線31aは右の縦軸をスケー
ルとし、一点鎖線31を積分した光強度のψ方向依存性
を示す。また、点線32aは右の縦軸をスケールとし、
点線32を積分した光強度のψ方向依存性を示す。そし
て、実線33aは右の縦軸をスケールとし、実線33を
積分した光強度のψ方向依存性を示す。なお、SRリン
グ1より放射される波長100Å以上の光のエネルギー
はわずかなものであり、無視できるものであるので、こ
こでは波長が100Åまでの光について考えている。
ルとし、一点鎖線31を積分した光強度のψ方向依存性
を示す。また、点線32aは右の縦軸をスケールとし、
点線32を積分した光強度のψ方向依存性を示す。そし
て、実線33aは右の縦軸をスケールとし、実線33を
積分した光強度のψ方向依存性を示す。なお、SRリン
グ1より放射される波長100Å以上の光のエネルギー
はわずかなものであり、無視できるものであるので、こ
こでは波長が100Åまでの光について考えている。
【0020】同図において、実線33が示すように、全
SR光の殆どは上下角が±2mrad以内に放射され
る。そのうち、約11Å以下の波長域のSR光の光強度
については、一点波線31aに示すように、±0.5m
rad以内にほぼ90%が放射されているのに対し、波
長がそれを越えるSR光については、点線32aに示す
ように、約40%の光強度が上下角±0.5mrad以
上の方向に放射される。
SR光の殆どは上下角が±2mrad以内に放射され
る。そのうち、約11Å以下の波長域のSR光の光強度
については、一点波線31aに示すように、±0.5m
rad以内にほぼ90%が放射されているのに対し、波
長がそれを越えるSR光については、点線32aに示す
ように、約40%の光強度が上下角±0.5mrad以
上の方向に放射される。
【0021】従来では、SRリングから発生するψ方向
に広がった光は、特に制限されず、SR光取り出し窓に
到達していたため、SR光取り出し窓の光吸収による熱
量が大きく、そのため、耐熱性を考慮する必要から、X
線の透過率を犠牲にした厚い取り出し窓を使用せざるを
得なかった。本発明では、SRリングとSR光取り出し
窓との間にスリットを有する遮光板を設け、SR光のψ
方向の広がりに制限を設けることにより、SR光取り出
し窓に到達する長波長成分の光強度を減少させ、SR光
取り出し窓で発生する熱負荷を軽減させている。このこ
とにより、SR光取り出し窓をより薄くすることが可能
となり、X線リソグラフィに利用する波長11Å以下の
SR光のSR光取り出し窓による減衰を少なくすること
ができる。
に広がった光は、特に制限されず、SR光取り出し窓に
到達していたため、SR光取り出し窓の光吸収による熱
量が大きく、そのため、耐熱性を考慮する必要から、X
線の透過率を犠牲にした厚い取り出し窓を使用せざるを
得なかった。本発明では、SRリングとSR光取り出し
窓との間にスリットを有する遮光板を設け、SR光のψ
方向の広がりに制限を設けることにより、SR光取り出
し窓に到達する長波長成分の光強度を減少させ、SR光
取り出し窓で発生する熱負荷を軽減させている。このこ
とにより、SR光取り出し窓をより薄くすることが可能
となり、X線リソグラフィに利用する波長11Å以下の
SR光のSR光取り出し窓による減衰を少なくすること
ができる。
【0022】以下、この発明の1実施例を図を参照して
詳細に説明する。 実施例1.図4は、この発明の1実施例であるシンクロ
トロン放射光利用装置の構成を示す構成図である。同図
において、7はスリットを有しSRリング1から放出さ
れるSR光ビーム2の上下方向に広がる部分を遮断する
遮光板であり、他は図6と同様である。図1に示すよう
に、この実施例1では、SRリング1から発生するSR
光ビーム2は、直接SR光取り出し窓5から外部に取り
出されるが、ここでこのSR光ビーム2の扇状に広がる
光の上下方向に広がる部分を遮光板7により制限し、S
R光取り出し窓5へ到達しないようにするものである。
詳細に説明する。 実施例1.図4は、この発明の1実施例であるシンクロ
トロン放射光利用装置の構成を示す構成図である。同図
において、7はスリットを有しSRリング1から放出さ
れるSR光ビーム2の上下方向に広がる部分を遮断する
遮光板であり、他は図6と同様である。図1に示すよう
に、この実施例1では、SRリング1から発生するSR
光ビーム2は、直接SR光取り出し窓5から外部に取り
出されるが、ここでこのSR光ビーム2の扇状に広がる
光の上下方向に広がる部分を遮光板7により制限し、S
R光取り出し窓5へ到達しないようにするものである。
【0023】このような構成によれば、外部へ取り出し
て利用する短波長のSR光は、中心付近に集中している
ため、遮光板7のスリットを通過できるので遮光板7に
よって遮られる程度は長波長の光に比べて少ない。具体
的なスリットの短い方の寸法はSRリング1の仕様,光
源からの距離および利用する光の波長に依存する。ここ
で、例えば図3において説明した例を適用すると、光源
であるSRリング1から見て上下方向に±0.5mra
dの光のみが通過するようにすれば、波長約11Å以下
の光のエネルギーの約90%が通過するが、それを越え
る波長の光では約40%のエネルギーが遮光板7で遮ら
れる。例えば、SRリング1のSR光を放出する光源か
ら10mの距離に遮光板7を置く場合には、この遮光板
7のスリットの短い方の寸法を約10mmとすれば良
い。
て利用する短波長のSR光は、中心付近に集中している
ため、遮光板7のスリットを通過できるので遮光板7に
よって遮られる程度は長波長の光に比べて少ない。具体
的なスリットの短い方の寸法はSRリング1の仕様,光
源からの距離および利用する光の波長に依存する。ここ
で、例えば図3において説明した例を適用すると、光源
であるSRリング1から見て上下方向に±0.5mra
dの光のみが通過するようにすれば、波長約11Å以下
の光のエネルギーの約90%が通過するが、それを越え
る波長の光では約40%のエネルギーが遮光板7で遮ら
れる。例えば、SRリング1のSR光を放出する光源か
ら10mの距離に遮光板7を置く場合には、この遮光板
7のスリットの短い方の寸法を約10mmとすれば良
い。
【0024】実施例2.図5は、この発明の他の実施例
であるシンクロトロン放射光利用装置の構成を示す構成
図である。同図において、7は第1ミラー3の手前に配
置され、SRリング1から放出されるSR光ビーム2の
上下方向に広がる部分を遮断する遮光板であり、他は図
6と同様である。この実施例2では、SRリング1を出
射したSR光ビーム2は、遮光板7を通過した後、第1
ミラー3で集光され第2ミラー4によって平行化されS
R光取り出し窓5を通過してX線アライナー6に導かれ
る。
であるシンクロトロン放射光利用装置の構成を示す構成
図である。同図において、7は第1ミラー3の手前に配
置され、SRリング1から放出されるSR光ビーム2の
上下方向に広がる部分を遮断する遮光板であり、他は図
6と同様である。この実施例2では、SRリング1を出
射したSR光ビーム2は、遮光板7を通過した後、第1
ミラー3で集光され第2ミラー4によって平行化されS
R光取り出し窓5を通過してX線アライナー6に導かれ
る。
【0025】ここで、この実施例2では、SRリング1
を出射したSR光ビーム2は、遮光板7により上下方向
に広がる部分を遮断され、他はこの遮光板7のスリット
を通過して第1ミラー3へ導かれる。従って、この実施
例2では、SR光ビーム2は、図1で示したようにψ方
向とθ方向とに広がっていくが、このψ方向の広がりが
遮光板7で制限され、θ方向の広がりは実質的に第1ミ
ラー3の受光幅により制限される。遮光板7のスリット
形状は矩形状であり、その短い方の寸法はSR光ビーム
2の制限すべきψの大きさであり、その長手方向の寸法
は第1ミラー3の受光幅で決定される。遮光板7の設置
場所は、図5に示すように、第1ミラー3の手前である
必要はないが、集光のための第1ミラー3など曲面ミラ
ーによって反射された光ビームの形状は湾曲し、このた
めのスリットの形状は複雑になる。従ってこの場合、遮
光板7は第1ミラー3の手前に配置した方がよい。
を出射したSR光ビーム2は、遮光板7により上下方向
に広がる部分を遮断され、他はこの遮光板7のスリット
を通過して第1ミラー3へ導かれる。従って、この実施
例2では、SR光ビーム2は、図1で示したようにψ方
向とθ方向とに広がっていくが、このψ方向の広がりが
遮光板7で制限され、θ方向の広がりは実質的に第1ミ
ラー3の受光幅により制限される。遮光板7のスリット
形状は矩形状であり、その短い方の寸法はSR光ビーム
2の制限すべきψの大きさであり、その長手方向の寸法
は第1ミラー3の受光幅で決定される。遮光板7の設置
場所は、図5に示すように、第1ミラー3の手前である
必要はないが、集光のための第1ミラー3など曲面ミラ
ーによって反射された光ビームの形状は湾曲し、このた
めのスリットの形状は複雑になる。従ってこの場合、遮
光板7は第1ミラー3の手前に配置した方がよい。
【0026】ここで、SRリング1の諸元が、電子エネ
ルギー600eV,電子軌道の半径0.66mであり、
実効的に利用する波長域が11Å以下である場合、図3
に示したように、上下0.5mrad以上のψ方向に広
がる光を制限することにより、波長が11Å以下の光は
90%程度通過させるが、波長がそれを越えるSR光の
40%は遮断することができる。例えば、遮光板7の位
置がSR光ビーム2の光源から3mの位置にある場合、
スリットの形状は短い方の寸法が3mmとなる。
ルギー600eV,電子軌道の半径0.66mであり、
実効的に利用する波長域が11Å以下である場合、図3
に示したように、上下0.5mrad以上のψ方向に広
がる光を制限することにより、波長が11Å以下の光は
90%程度通過させるが、波長がそれを越えるSR光の
40%は遮断することができる。例えば、遮光板7の位
置がSR光ビーム2の光源から3mの位置にある場合、
スリットの形状は短い方の寸法が3mmとなる。
【0027】ところで、遮光板7の位置はSR光ビーム
2の光源よりなるべくはなして配置する方がよい。遮光
板7で遮断されたSR光は、ほとんどがこの遮光板7を
形成する材料に吸収され熱に変化し、この遮光板7は加
熱されることになる。ここで、SR光ビーム2が広がっ
ている所の方が、SR光ビーム2の照射光エネルギー密
度が低いので、遮光板7の温度上昇も抑えることができ
る。たとえば、実施例1では遮光板7をSR光取り出し
窓5の直前に設置し、実施例2では遮光板7を第1ミラ
ー3の直前に設置することが望ましい。
2の光源よりなるべくはなして配置する方がよい。遮光
板7で遮断されたSR光は、ほとんどがこの遮光板7を
形成する材料に吸収され熱に変化し、この遮光板7は加
熱されることになる。ここで、SR光ビーム2が広がっ
ている所の方が、SR光ビーム2の照射光エネルギー密
度が低いので、遮光板7の温度上昇も抑えることができ
る。たとえば、実施例1では遮光板7をSR光取り出し
窓5の直前に設置し、実施例2では遮光板7を第1ミラ
ー3の直前に設置することが望ましい。
【0028】なお、X線に対する透過率の高い材料から
形成されたフィルタ膜をこの遮光板7のスリットに取付
けるようにしても良い。例えば、SR光取り出し窓に用
いる材料から形成されたフィルタ膜を取り付ければ、S
R光取り出し窓に置ける発熱に寄与する吸収される波長
の光が、このフィルタ膜で吸収されるので、SR光取り
出し窓に置ける発熱がより抑制できる。このフィルタ膜
は、典型的にはダイヤモンドやベリリウムなどの軽元素
が材料として用いられる。このフィルタ膜を、例えば、
熱伝導に優れた銅で構成した遮光板のスリットに取り付
ければ、スリットの高さが小さいのでフィルタ膜で発生
した熱の伝達距離が短く熱抵抗が小さくなり冷却効果に
優れている。
形成されたフィルタ膜をこの遮光板7のスリットに取付
けるようにしても良い。例えば、SR光取り出し窓に用
いる材料から形成されたフィルタ膜を取り付ければ、S
R光取り出し窓に置ける発熱に寄与する吸収される波長
の光が、このフィルタ膜で吸収されるので、SR光取り
出し窓に置ける発熱がより抑制できる。このフィルタ膜
は、典型的にはダイヤモンドやベリリウムなどの軽元素
が材料として用いられる。このフィルタ膜を、例えば、
熱伝導に優れた銅で構成した遮光板のスリットに取り付
ければ、スリットの高さが小さいのでフィルタ膜で発生
した熱の伝達距離が短く熱抵抗が小さくなり冷却効果に
優れている。
【0029】しかし、フィルタ膜を単独で用いて設置す
ると、この膜厚が薄いため放熱が困難となり、このため
かなり高温になるが、この温度がフィルタ膜を構成する
材料の耐熱温度を超えることにより破壊される危険性が
ある。また、フィルタ膜の材料の耐熱温度を超えなくて
も、高熱と冷却を繰り返すヒートサイクルによって破壊
されてしまう危険性がある。よって、このフィルタ膜を
遮光板のスリットに取り付けて用いることで、破壊の危
険性が低減できる。
ると、この膜厚が薄いため放熱が困難となり、このため
かなり高温になるが、この温度がフィルタ膜を構成する
材料の耐熱温度を超えることにより破壊される危険性が
ある。また、フィルタ膜の材料の耐熱温度を超えなくて
も、高熱と冷却を繰り返すヒートサイクルによって破壊
されてしまう危険性がある。よって、このフィルタ膜を
遮光板のスリットに取り付けて用いることで、破壊の危
険性が低減できる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、スリットを有する遮光板によりシンクロトロンリン
グが放射したシンクロトロン放射光の波長の長い成分
が、シンクロトロン放射光取り出し窓に到達しないよう
にしたので、シンクロトロン放射光取り出し窓の熱負荷
を低減でき、破壊し難くできるという効果がある。従っ
て、シンクロトロン放射光取り出し窓を耐熱性を考慮し
た厚いものとする必要がなく、X線透過性によりすぐれ
た状態とすることが可能となる。
ば、スリットを有する遮光板によりシンクロトロンリン
グが放射したシンクロトロン放射光の波長の長い成分
が、シンクロトロン放射光取り出し窓に到達しないよう
にしたので、シンクロトロン放射光取り出し窓の熱負荷
を低減でき、破壊し難くできるという効果がある。従っ
て、シンクロトロン放射光取り出し窓を耐熱性を考慮し
た厚いものとする必要がなく、X線透過性によりすぐれ
た状態とすることが可能となる。
【図1】SRリング1からのSR光の広がりを示した説
明図である。
明図である。
【図2】SR光の光強度のψ方向依存性を示すものであ
る。
る。
【図3】SR光の波長に関してψ方向の広がりとその光
強度の関係、およびそれらの積分した光強度のψ方向依
存性を示す相関図である。
強度の関係、およびそれらの積分した光強度のψ方向依
存性を示す相関図である。
【図4】この発明の1実施例であるシンクロトロン放射
光利用装置の構成を示す構成図である。
光利用装置の構成を示す構成図である。
【図5】この発明の他の実施例であるシンクロトロン放
射光利用装置の構成を示す構成図である。
射光利用装置の構成を示す構成図である。
【図6】従来のSR光利用装置の構成を説明する構成図
である。
である。
1 SRリング 2 SR光ビーム 3 第1ミラー 4 第2ミラー 5 SR光取り出し窓 6 X線アライナー 7 遮光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−52998(JP,A) 特開 平4−225199(JP,A) 特開 平4−282500(JP,A) 特開 昭61−248400(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21K 5/00
Claims (2)
- 【請求項1】 高エネルギーの電子を円周軌道に沿って
周回させ、扇状に発散するシンクロトロン放射光を放出
するシンクロトロンリングと、 前記シンクロトロン放射光が減衰しないように真空状態
となっている前記シンクロトロン放射光が通過するビー
ムラインと、 前記ビームラインの真空領域を外部より遮断し、前記シ
ンクロトロン放射光を透過するシンクロトロン放射光取
り出し窓と、 前記シンクロトロンリングとシンクロトロン放射光取り
出し窓との間に配置され、前記シンクロトロン放射光の
うち電子の円周軌道が形成する面に垂直な方向に上下角
±0.5mrad以内で広がる部分のみが通過するスリ
ットを有し、前記ビームラインの中で、前記シンクロト
ロン放射光の水平方向の広がりがもっとも広いところに
配置された遮光板とを有することを特徴とするシンクロ
トロン放射光利用装置。 - 【請求項2】 請求項1記載のシンクロトロン放射光利
用装置において、前記遮光板のスリットに、 前記シンクロトロン放射光取
り出し窓と同様の光透過特性を有する材料からなるフィ
ルタ膜を設置したことを特徴とするシンクロトロン放射
光利用装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21108893A JP3278706B2 (ja) | 1993-08-04 | 1993-08-04 | シンクロトロン放射光利用装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21108893A JP3278706B2 (ja) | 1993-08-04 | 1993-08-04 | シンクロトロン放射光利用装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0749400A JPH0749400A (ja) | 1995-02-21 |
JP3278706B2 true JP3278706B2 (ja) | 2002-04-30 |
Family
ID=16600223
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21108893A Expired - Fee Related JP3278706B2 (ja) | 1993-08-04 | 1993-08-04 | シンクロトロン放射光利用装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3278706B2 (ja) |
-
1993
- 1993-08-04 JP JP21108893A patent/JP3278706B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0749400A (ja) | 1995-02-21 |
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