JP3277231B2 - 車両用ディーゼルエンジンのデコンプレションブレーキ - Google Patents

車両用ディーゼルエンジンのデコンプレションブレーキ

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JP3277231B2
JP3277231B2 JP07355495A JP7355495A JP3277231B2 JP 3277231 B2 JP3277231 B2 JP 3277231B2 JP 07355495 A JP07355495 A JP 07355495A JP 7355495 A JP7355495 A JP 7355495A JP 3277231 B2 JP3277231 B2 JP 3277231B2
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宏一 上原
誠次 鶴田
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
    • F02B3/06Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition

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  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Actuator (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用ディーゼルエン
ジンのデコンプレションブレーキに関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンブレーキ力を高める有効な手段
として排気ブレーキのほか、特願平5−51197号等
に記載されているように、排気バルブ又は第三バルブを
開くことによってエンジンの負仕事を増大させるデコン
プレションブレーキが知られている。これを図4、図5
及び図6を参照して説明する。Aは排気バルブのロッカ
アームで、偏心ブッシュBを介してロッカシャフトCに
支持されている。偏心ブッシュBを駆動する手段たる油
圧式アクチュエータとしての油圧シリンダDがシリンダ
ヘッドEのロッカカバー内でシリンダヘッドEの上面に
取り付けられた、ロッカシャフトCを支持するロッカブ
ラケットTに取り付けられている。
【0003】各油圧シリンダDは、分岐路Fと分岐路F
が合流する合流路Gとを介して油圧発生源H(オイルポ
ンプ)に接続されていて、合流路Gに給排弁Iが介装さ
れている。給排弁Iは図示しないコントローラで制御さ
れ、ブレーキ作動時に油圧発生源Hから各油圧シリンダ
Dへ油圧を供給する一方、ブレーキ解除で油圧シリンダ
D内の油圧をオイルパン側へと開放する。
【0004】偏心ブッシュBは、油圧シリンダDのプラ
ンジャJが油圧の供給を受けて上昇すると、ロッカアー
ムAの回転中心(支点)を下げて図示しない排気バルブ
を所定リフト量だけ開くようになっている。これとは逆
に油圧シリンダD内の油圧が開放されると、プランジャ
Jは下降してロッカアームAが偏心ブッシュBとともに
初期位置へ戻される。
【0005】ところで、偏心ブッシュBを駆動する油圧
式アクチュエータとしての油圧シリンダDとして特開平
6−17632号公報に示すようなものがある。これを
図7を参照して説明する。Kはシリンダで、シリンダK
にはプランジャJが往復動自在に嵌挿されている。シリ
ンダKの上部における内周壁には、環状のプランジャガ
イドMが取り付けられている。プランジャガイドMの内
周面はプランジャJの外周面に摺動自在に接面し、プラ
ンジャJの往復動時における直進性を保持するようにな
っている。
【0006】このプランジャガイドMの上端面と内周面
とが交わってつくる角の部分は、斜面におとして面取り
されている。このように面取りをする理由は、この部分
が鋭角であるとプランジャJの往復動時にプランジャJ
がこの鋭角部分に圧接してプランジャJに損傷が生ずる
いわゆるかじりを防止するためである。したがって、か
かる観点から従来では比較的大きく面取りされていた。
【0007】SはプランジャガイドMに形成された貫通
孔からなる呼吸孔で、プランジャガイドMの軸方向に延
びている。この呼吸孔SはプランジャJが上昇する際に
シリンダK内で圧縮される空気をシリンダKの外部に逃
がすためのものである。なお、プランジャJの先端部に
は、プランジャJの先端面と周壁とに開口するU字状の
溝Oが形成され、この溝Oの両側壁の貫通孔PにピンQ
の両端部が嵌合されているが、このピンQは偏心ブッシ
ュBの爪Rが係合するためのものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】プランジャJにシリン
ダKの外部からの異物、例えば鋳物砂、機械加工時に発
生する切り粉や摩耗粉等が付着した場合、この異物が作
動油とともにプランジャガイドMの面取りされた部分N
に入り込んでしまう。また、プランジャJが上死点から
下降する場合、シリンダK内に吸引力が発生するが、こ
の吸引力は呼吸孔SからのみならずプランジャJとプラ
ンジャガイドMとの隙間からも生ずるため、シリンダK
の外部からの異物が上記と同様にプランジャガイドMの
面取りされた部分Nに入り込んでしまう。
【0009】一方、上記従来例では、いわゆるかじりを
防止するための手段としてプランジャガイドMに面取り
を施すのみであったため、上述のように比較的大きく面
取りをせざるをえなかった。このため、上記従来例で
は、面取りされた部分Nに入り込んでたまる異物の量が
多かった。この面取りされた部分Nに入り込んだ異物
は、さらにプランジャJとプランジャガイドMとの隙間
に侵入するため、従来のように面取りが大きいとプラン
ジャJとプランジャガイドMとの隙間に侵入する異物の
量も多くなる。このように侵入する異物の量が多くなる
と、プランジャJの損傷にとどまらずプランジャJのロ
ックといった事態をも引き起こされかねないことにな
る。
【0010】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、シリンダに取り付けられたプランジャガイドとプ
ランジャとの隙間への異物の侵入に起因するプランジャ
のロックを未然に防止しうる車両用ディーゼルエンジン
のデコンプレションブレーキを提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、シリンダヘッドのロッカカバー内に油圧式アクチュ
エータを有し、ブレーキ作動時に前記油圧式アクチュエ
ータを駆動して排気バルブ又は第三バルブを開くことに
よってエンジンの負仕事を増大させる車両用ディーゼル
エンジンのデコンプレションブレーキにおいて、前記油
圧式アクチュエータは、油圧発生源に接続されたシリン
ダと、該シリンダに往復動自在に嵌挿され前記油圧発生
源からの該シリンダ内への油圧の供給によって上昇しか
つ該シリンダからの油圧の排出によって下降するプラン
ジャと、該シリンダの内周壁に取り付けられ前記プラン
ジャが摺動自在な内周面を有するリング状のプランジャ
ガイドとからなり、前記プランジャの先端部を縮径して
小径部を設けることにより該小径部と前記プランジャガ
イドとに隙間を形成し、かつ前記小径部と該小径部に連
なる大径部との境界部に形成された段付部は前記プラン
ジャの下死点において前記プランジャガイドの内周面の
プランジャの摺動領域に位置することを特徴とする。
【0012】請求項2に記載の発明では、前記プランジ
ャガイドの上端面と内周面とが交わってつくる角の部分
を斜面におとして面取りしたことを特徴する。請求項3
に記載の発明では、前記プランジャーの先端面に、排気
バルブのロッカアームを支持するロッカシャフトの偏心
ブッシュが係合する溝部を形成し、前記プランジャの下
死点において該プランジャの前記段付部を前記溝部の底
面よりも下方に位置させたことを特徴とする。
【0013】
【作用】請求項1に記載の発明では、プランジャの先端
部を縮径して小径部を形成することにより該小径部とプ
ランジャガイドとに隙間を設けたので、プランジャがプ
ランジャガイドに接触することがなく、したがって当該
接触に起因するプランジャの損傷、いわゆるかじりが生
じない。
【0014】また、プランジャガイドに面取りを施さな
いので、プランジャの小径部とプランジャガイドとの隙
間に侵入する異物の量が少ない。さらに、プランジャに
は段付部が形成されているので、プランジャとプランジ
ャガイドとの隙間に異物が侵入しても、この異物はプラ
ンジャの上昇時に段付部によって隙間から排出される。
【0015】さらに、プランジャの段付部は、プランジ
ャの下死点においてプランジャガイド内周面のプランジ
ャ摺動領域に位置しているので、異物がプランジャの小
径部とプランジャガイドとの隙間からシリンダの内部に
侵入することがない。請求項2に記載の発明では、プラ
ンジャガイドに面取りを施すので、仮にプランジャが大
きく横ぶれしてもかじりが生ずることがない。
【0016】請求項3に記載の発明では、プランジャの
段付部はプランジャに形成した溝部の底面よりも下方に
位置するので、プランジャの先端部における縮径加工が
容易に行える。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。
【0018】図1において、1は排気バルブのロッカア
ームで、偏心ブッシュ2を介してロッカシャフト3に支
持されている。偏心ブッシュ2を駆動する手段たる油圧
式アクチュエータXとしての油圧シリンダ4が、シリン
ダヘッド5のロッカカバー内でシリンダヘッド5の上面
にボルトによって取り付けられた、ロッカシャフト3を
支持するロッカブラケット41に取り付けられている。
【0019】図2はこの油圧シリンダ4を示すもので、
油圧シリンダ4のシリンダ6は、油室Pと油室Pの下部
に形成されたバルブ室Qとからなる。まず、油室Pにつ
いて説明すると、円筒状の油室Pにはプランジャ7が往
復動自在に嵌挿され、その先端部は油室Pから突出して
いる。プランジャ7は、基部8と基部8から延び出すロ
ッド部9とからなり、基部8の外径はロッド部9の外径
よりも大きく形成されて油室Pの内周面に対して摺動自
在になっている。
【0020】なお、10は、プランジャ7の基部8の周
壁に形成された環状の溝11にはめ込まれた油密用のシ
ールリングである。プランジャ7のロッド部9の先端部
には、ロッド部9の先端面に開口するとともに周面にも
開口するU字状の溝部12が形成され、溝部12の両側
壁には貫通孔13が形成されている。この貫通孔13に
は、溝部12を横切る方向に延びるピン14の両端部が
嵌合されていて、このピン14には図1に示すように偏
心ブッシュ2の爪15が係合している。
【0021】このプランジャ7のロッド部9の先端部は
縮径されて小径部16に形成され、小径部16と小径部
16に連なる基部8側の大径部17との境界部には、図
3に拡大して示すように段付部18が形成されている。
ここに段付部18とは、小径部16と境界をなす大径部
17の端面23によって形成される環状面のことをい
う。
【0022】一方、油室Pの上部における内周壁には環
状溝19が形成され、環状溝19にはリング状のプラン
ジャガイド20が取り付けられている。プランジャガイ
ド20の内周面は、プランジャ7の大径部17の外周面
に摺動自在に接面していてプランジャ7が摺動する摺動
領域21を形成している。このプランジャガイド20に
はその軸方向に延びて上下両端面に開口する貫通孔から
なる呼吸孔22が形成されている。
【0023】この呼吸孔22は、プランジャ7が上昇す
る際に油室P内で圧縮される空気を油室Pの外部に逃が
すためのもので、この圧縮された空気の排出によりプラ
ンジャ7の上昇が円滑に行われる。このように呼吸孔2
2は油室P内の圧縮された空気を逃がすためのものであ
るから、その数に特に限定はなく任意でよいが、本実施
例では4個設ける。
【0024】ところで、プランジャ7の段付部18の位
置、すなわち大径部17の端面23の位置であるが、こ
れは図2に示すようにプランジャ7が下死点に位置する
場合において、プランジャガイド20の内周面であるプ
ランジャ7の摺動領域21に位置するように設定する。
このプランジャ7の大径部17の端面23の位置が、プ
ランジャガイド20の内周面であるプランジャ7の摺動
領域21よりも下方、すなわちプランジャガイド20よ
りも下方であると、プランジャ7の小径部16とプラン
ジャガイド20との隙間24に作動油とともに侵入した
異物が油室P内に流下するとともにプランジャ7の直進
性を乱すからである。
【0025】また、このプランジャ7の大径部17の端
面23、すなわち段付部18は請求項3に記載の発明の
ように、プランジャ7の先端部に形成された溝部12の
底面25よりも下方に位置させることが好ましい。プラ
ンジャ7の先端部を縮径して小径部16を形成する際の
切削加工における切削開始点は、溝部12が形成されて
いない円柱面に設定した方が切削が容易だからである。
【0026】より具体的にはこのプランジャ7の大径部
17の端面23の位置は、溝部12の底面25から0.
5mm〜1mm下方であることが好ましい。プランジャ
7の大径部17の端面23の位置が溝部12の底面25
からあまりに下方であると、大径部17に連なる小径部
16とプランジャガイド20とに隙間24が形成されて
いることから、プランジャ7のプランジャガイド20に
対する摺動面が少なくなり、プランジャ7の直進性が保
持されにくくなるからである。
【0027】一方、プランジャ7の小径部16とプラン
ジャガイド20との隙間24は0.2mm〜0.3mm
であることが好ましい。この程度の隙間があればプラン
ジャガイド20に面取りを施さなくてもプランジャ7の
かじりが防止しうるとともにこれ以上隙間を大きくする
と異物の侵入する量が多くなるからである。このよう
に、本実施例では、プランジャ7の先端部を縮径するの
で、必ずしもプランジャガイド20に面取りを施さなく
てもプランジャ7のかじりは防止しうるのであるが、請
求項2に記載の発明のように、プランジャガイド20の
上端面26と内周面とが交わってつくる角の部分を斜面
におとして面取りしてもよい。
【0028】プランジャ7の横ぶれが大きい場合には、
プランジャ7の先端部を縮径してプランジャ7の小径部
16とプランジャガイド20とに隙間24を設けてもプ
ランジャ7にかじりが生ずることがあるためこれを防止
する必要があるからである。なお、プランジャガイド2
0に面取りを施す場合には、面取りの寸法は0.5c程
度で十分である。この値は従来の3cに比べればかなり
小さい値になっている。この程度の値で十分であるのは
上記したようにプランジャ7の先端部が縮径されている
からである。このように面取りを設けても、その寸法は
かなり小さいので異物が侵入する量はかなり少ない。
【0029】次に、油室Pの下部に形成されたバルブ室
Qについて説明する。バルブ室Qは第一バルブ室27と
第二バルブ室28とからなる。第一バルブ室27の頂壁
には、油室Pと第一バルブ室27とを連通する連通孔2
9が形成され、また第一バルブ室27の周壁には油室P
からの排出油を排出するための排出口30が形成され、
さらに第一バルブ室27の底面は分岐路31からの供給
油が流入する流入口31aを形成している。
【0030】この第一バルブ室27にはフリーピストン
32が摺動自在に嵌挿されていて、上昇時には連通孔2
9と排出口30とを閉じ(図2においてフリーピストン
32の右半分がこの状態を示している)、他方下降時に
は連通孔29と排出口30とを開くようになっている
(図2においてフリーピストン32の左半分がこの状態
を示している)。
【0031】流入口31aには、第一バルブ室27から
のフリーピストン32の落下防止のための図示しないリ
ング状のストッパが固定されている。一方、第二バルブ
室28の頂面は油室Pに開口するとともに低壁には、分
岐路31からの供給油が流入する流入孔33が形成され
ている。この第二バルブ室28には流入孔33を弁座と
する玉弁34と、玉弁34を保持するリテーナ35と、
玉弁34を流入孔33に押し付ける方向のばね力を有す
るリターンスプリング36とが収められていて、玉弁3
4は油室Pから分岐路31への作動油の逆流を阻止する
逆止弁として機能する。
【0032】第一バルブ室27と第二バルブ室28との
それぞれに接続された分岐路31は合流路37を介して
油圧発生源38に接続されている。39は合流路37に
設けられた給排弁である。給排弁39はブレーキ作動時
には油圧発生源38からの油圧を油圧式アクチュエータ
Xに供給し、他方ブレーキ解除時には油圧式アクチュエ
ータXからの油圧をオイルパン側に開放するためのもの
である。
【0033】次に、本実施例の作用について説明する。
ブレーキ作動時には、給排弁39が油圧発生源38から
の油圧を合流路37と分岐路31とを介して第一バルブ
室27と第二バルブ室28とに供給する。第一バルブ室
27に供給された油圧を受けてフリーピストン32は上
昇して連通孔29と排出口30とを閉じる。
【0034】一方、第二バルブ室28に供給された油圧
により玉弁34はリターンスプリング36のばね力に打
ち勝って流入孔33から離れるため、分岐路31からの
油圧が流入孔33を介して第二バルブ室28に入り、さ
らに第二バルブ室28から油室Pに入ってプランジャ7
を上昇させる。
【0035】プランジャ7の上昇により偏心ブッシュ2
はロッカアーム1の回転中心を下げて図示しない排気バ
ルブを所定リフト量だけ開く。このように排気バルブを
開くことで増大するエンジンの負仕事を利用してエンジ
ンブレーキ力を高める。ブレーキ解除時には、給排弁3
9はバルブ室Qからの油圧をオイルパンに開放するた
め、第二バルブ室28の玉弁34はリターンスプリング
36のばね力により流入孔33に押し付けられて流入孔
33を閉じる。このため油室Pからの油圧は分岐路31
に排出されず、分岐路31内の圧力は急激に減少する。
【0036】この圧力の低下と油室Pのプランジャ7よ
りも下側の高圧部との圧力差とにより第一バルブ室27
内のフリーピストン32は直ちに下降して連通孔29と
排出口30とを開くため、油室P内の油圧は連通孔29
を通って排出口30からオイルパンに開放される。油室
P内の油圧の排出によりプランジャ7は下降し、偏心ブ
ッシュ2とロッカアーム1は初期位置に復帰する。
【0037】ところで、プランジャ7の上昇時には油室
P内の空気が圧縮されてプランジャガイド20の呼吸孔
22から油室P外に排出され、一方プランジャ7の下降
時には油室P内に生ずる吸引力により油室P外の空気が
鋳物砂等の異物とともに油室P内に吸引される。この吸
引力は呼吸孔22を通してのみならずプランジャ7の小
径部16とプランジャガイド20との隙間24をも通し
て生ずるため、この隙間24に異物が侵入する。
【0038】また、異物がプランジャ7に付着している
場合には、プランジャ7の下降時に作動油とともに異物
がプランジャ7の小径部16とプランジャガイド20と
の隙間24に侵入する。なお、プランジャガイド20に
面取りが施されている場合には、異物は面取りされた部
分40にも入り込み、ここからさらにプランジャ7の小
径部16とプランジャガイド20との隙間24に侵入す
る。
【0039】この異物がそのまま放置されと、上述した
ように、プランジャ7のロックといった事態が惹起され
かねないが、本実施例では、プランジャ7に形成された
段付部18がプランジャ7の上昇時に異物をかき出すよ
うにして排出するのでこういった事態は生じない。すな
わち、プランジャ7の上昇とともにプランジャ7の大径
部17の端面23、すなわち段付部18も上昇するが、
この大径部17の端面23はプランジャ7の小径部16
とプランジャガイド20との隙間24の底面の役割を果
たしているので、プランジャ7の下降時に異物がこの隙
間24に入り込んだとしても、異物はプランジャ7の上
昇とともに上昇するプランジャ7の大径部17の端面2
3によってこの隙間の外に排出されるからである。
【0040】このように本実施例では、プランジャ7の
小径部16とプランジャガイド20との隙間24に異物
が入り込んだとしても、プランジャ7の上昇時に、プラ
ンジャ7の段付部18を形成する大径部17の端面23
が異物をこの隙間24から排出するので、異物の侵入に
起因するプランジャ7のロックといった事態が未然に防
止されることになる。
【0041】また、このプランジャ7の大径部17の端
面23は、プランジャ7の下死点においてプランジャガ
イド20の内周面のプランジャ7の摺動領域21に位置
しているので、異物が油室Pの内部に流下することがな
く、したがって侵入した異物が確実に排出される。さら
に、このプランジャ7の大径部17の端面23は、プラ
ンジャ7の先端部に形成された溝部12の底面25より
も下方に位置しているので、プランジャ7の先端部の縮
径のための切削加工が容易となる。
【0042】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、プランジャ
の先端部を縮径してプランジャの小径部とプランジャガ
イドとに隙間を形成することにより、プランジャガイド
のプランジャに対するいわゆるかじりに対処しているの
でプランジャガイドに面取りを施す必要がない。
【0043】したがって、プランジャの小径部とプラン
ジャガイドとの隙間に侵入する異物の量が少ないうえ
に、侵入した異物もプランジャの段付部によってプラン
ジャの上昇時に隙間から排出されるため、異物の侵入に
起因するプランジャのロックといった事態が未然に防止
されることになる。さらに、プランジャの段付部は、プ
ランジャの下死点においてプランジャガイドの内周面で
あるプランジャの摺動領域に位置しているので、プラン
ジャの先端部を縮径してプランジャの小径部とプランジ
ャガイドとに隙間を形成しても異物がこの隙間から油室
の内部に侵入することがない。
【0044】請求項2に記載の発明では、プランジャガ
イドに面取りが施されているので、プランジャの小径部
とプランジャガイドとの隙間をごく小さくしてもプラン
ジャにかじりが生ずることがない。すなわち、この面取
りはプランジャが大きく横ぶれする場合のかじり防止対
策として有効である。請求項3に記載の発明では、プラ
ンジャの段付部を、プランジャの先端部に形成した溝部
の底面よりも下方に位置させるので、プランジャの先端
部の縮径加工が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、車両用ディー
ゼルエンジンのデコンプレションブレーキの概略正面
図。
【図2】同じく、車両用ディーゼルエンジンのデコンプ
レションブレーキに使用される油圧式アクチュエータの
断面図。
【図3】同じく、図2のY部の拡大図。
【図4】従来技術を説明するシリンダヘッド内の平面
図。
【図5】従来の車両用ディーゼルエンジンのデコンプレ
ションブレーキの概略正面図。
【図6】同じく、シリンダの油圧配管図。
【図7】同じく、プランジャガイドの面取り部分の拡大
図。
【符号の説明】
5 シリンダヘッド 6 シリンダ 7 プランジャ 16 小径部 17 大径部 18 段付部 20 プランジャガイド 21 摺動領域 38 油圧発生源 X 油圧式アクチュエータ
フロントページの続き (72)発明者 鶴田 誠次 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社 ユニシアジェックス内 (56)参考文献 特開 平6−17632(JP,A) 特開 平5−5408(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 13/06 F15B 15/14 335

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッドのロッカカバー内に油圧
    式アクチュエータを有し、ブレーキ作動時に前記油圧式
    アクチュエータを駆動して排気バルブ又は第三バルブを
    開くことによってエンジンの負仕事を増大させる車両用
    ディーゼルエンジンのデコンプレションブレーキにおい
    て、前記油圧式アクチュエータは、油圧発生源に接続さ
    れたシリンダと、該シリンダに往復動自在に嵌挿され前
    記油圧発生源からの該シリンダ内への油圧の供給によっ
    て上昇しかつ該シリンダからの油圧の排出によって下降
    するプランジャと、該シリンダの内周壁に取り付けられ
    前記プランジャが摺動自在な内周面を有するリング状の
    プランジャガイドとからなり、前記プランジャの先端部
    を縮径して小径部を設けることにより該小径部と前記プ
    ランジャガイドとに隙間を形成し、かつ前記小径部と該
    小径部に連なる大径部との境界部に形成された段付部は
    前記プランジャの下死点において前記プランジャガイド
    の内周面のプランジャの摺動領域に位置することを特徴
    とする車両用ディーゼルエンジンのデコンプレションブ
    レーキ。
  2. 【請求項2】 前記プランジャガイドの上端面と内周面
    とが交わってつくる角の部分を斜面におとして面取りし
    たことを特徴する請求項1に記載の車両用ディーゼルエ
    ンジンのデコンプレションブレーキ。
  3. 【請求項3】 前記プランジャーの先端面に、排気バル
    ブのロッカアームを支持するロッカシャフトの偏心ブッ
    シュが係合する溝部を形成し、前記プランジャの下死点
    において該プランジャの前記段付部を前記溝部の底面よ
    りも下方に位置させたことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の車両用ディーゼルエンジンのデコンプレション
    ブレーキ。
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