JP3276043B2 - 新規な複合体およびその製造方法、ならびに該複合体よりなる酸素吸着剤 - Google Patents
新規な複合体およびその製造方法、ならびに該複合体よりなる酸素吸着剤Info
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Description
びその製造方法、ならびに該複合体よりなる酸素吸着剤
に関する。さらに詳しくは、本発明は、ビス(ヒスチジ
ナト)コバルト(II)錯体をシリカゲルに担持してなる
複合体に関する。本発明の新規な複合体は、ビス(ヒス
チジナト)コバルト(II)錯体をその溶媒に溶解して得
られる溶液にシリカゲルを浸漬した後、該溶媒を除去す
ることにより製造することができる。本発明はまた、こ
の新規な複合体よりなる酸素吸着剤にも関し、この酸素
吸着剤を用いて、酸素を含む混合気体より酸素を吸着分
離することができるのみならず、酸素を吸着した複合体
より酸素を脱着することにより、酸素濃度の高い混合気
体を得ることができる。
属製錬業、各種化学工業、焼却炉、発酵、製紙工業、医
療に用いられるほか、酸素富化空気は燃焼用に用いて燃
焼の効率を高める技術として注目されている。
いるが、これまで深冷分離法又は物理吸着分離法が行わ
れている。深冷分離法は空気を液化分留するもので、大
規模の高価な設備を必要とし、また運転に大量のエネル
ギーを消費している。物理吸着分離法はゼオライトある
いは分子ふるいカーボンを吸着剤として用いて行われて
いる。ゼオライトを用いる方法は、ゼオライトが四重極
子を持つ窒素分子を酸素分子よりも強く吸着することを
利用している。また、分子ふるいカーボンは直径0.3
〜0.4nmの細孔を有し、分子径0.38nmの酸素
分子が分子径0.40nmの窒素分子よりも速い速度で
細孔内へ拡散して吸着することを利用して酸素を窒素よ
り分離している。しかし、これらの窒素分子と酸素分子
の物理吸着性の差は小さいので、分離効率は小さく多量
の吸着剤が必要となり、また運転に多くのエネルギーを
必要としている。このため、最近、酸素の化学吸着が研
究されるようになった。
Dean Burkの報告(J.National C
ancer Institute、第9巻、337頁〜
377頁、1949年)によれば、ビス(ヒスチジナ
ト)コバルト(II)そのものは単独では酸素を吸着しな
いが、その水溶液が15℃で気体の酸素を吸収して、錯
体2モルに対し1モルの酸素が結合した錯体を生成する
こと、および40℃に昇温すると、結合した酸素の解離
がおきることが述べられている。しかし、ビス(ヒスチ
ジナト)コバルト(II)の水に対する溶解度は25℃で
0.03mol/l、また酸素の吸収量は0.013m
ol/l以下と低いものである。このように、単位容積
当りの酸素吸収量が小さいため酸素吸収液としては実用
化されなかった。
(Biochimica et Biophysica
Acta、211号、194頁〜215頁、1970
年)によれば、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(I
I)の水溶液(0.03mol/l)をセルロースエス
テルの多孔質膜(50〜280μm)に含浸させて液体
膜を形成させ、これに酸素を拡散させると、錯体をキャ
リアーとする酸素の促進輸送が起きることが述べられて
いる。しかし、キャリアー濃度が低いため窒素に対する
酸素の分離性能が小さく、また、溶媒の水が蒸発して液
膜の組成が変化し、酸素の分離性能が劣化する、という
欠点がある。
コバルトジヒスチジン錯体を0.4mol/lの濃度で
エチレングリコールとエタノールの1:1の混合溶媒に
溶解した溶液をポリフッ化ビニリデンの多孔質膜(11
0μm、孔径0.22μm)に含浸させて液膜を形成さ
せ、これに酸素−窒素混合気体を拡散により透過させ、
酸素を濃縮することが述べられている。しかし、エタノ
ールの蒸発速度が大きいので、液膜の組成が変化し、酸
素の分離性能が劣化し、また、製品気体および排出気体
にエタノール蒸気が混入する、という欠点がある。
スチジナト)コバルト(II)錯体の溶液を酸素吸収液と
する方法、および酸素拡散液膜とする方法では、十分な
酸素吸着能は達成できなかった。
本発明者らは、ビス(ヒスチジナト)コバルト(II)錯
体をベースとし、高い酸素吸着能を有する酸素吸着剤を
得るために鋭意研究を行った。その研究において、多孔
性のシリカゲルを担体として用い、ビス(ヒスチジナ
ト)コバルト(II)錯体を溶媒に溶解して得た溶液に浸
漬し、その後、該溶媒を除去することにより、ビス(ヒ
スチジナト)コバルト(II)錯体をシリカゲルに担持し
てなる複合体を得ることに初めて成功し、この複合体
が、意外にも、従来の溶液系および液膜系のものと比較
して、著しく高い酸素吸脱着能を示すことを見出し、本
発明を完成した。
ビス(ヒスチジナト)コバルト(II)錯体をシリカゲル
に担持してなる複合体およびその酸素吸着剤が提供され
る。また、他の態様によれば、ビス(ヒスチジナト)コ
バルト(II)錯体を溶媒に溶解して得た溶液をシリカゲ
ルに浸漬した後、該溶媒を除去することにより、ビス
(ヒスチジナト)コバルト(II)錯体をシリカゲルに担
持させた複合体の製造方法が提供される。
とヒスチジンとからビス(ヒスチジナト)コバルト(I
I)錯体を合成し、該錯体をその溶媒に溶解させて得た
溶液にシリカゲルを浸漬し、その後該溶媒を除去するこ
とによって調製される。本発明の複合体の調製時に用い
られるコバルト(II)塩としては、例えば酢酸コバルト
(II)、硝酸コバルト(II)、塩化コバルト(II)およ
びチオシアン酸コバルト(II)などが挙げられる。ヒス
チジンはL体、DL体およびD体のいずれも用いること
ができる。シリカゲルとしては、天然品および合成品が
用いられるが、合成品が好ましく、その内、キセロゲル
(Xerogel)型のものが適当である。キセロゲル
型のうち、破砕粒状シリカゲルおよび球状シリカゲルが
用いられる。比表面積50〜800m2/g、平均細孔
径2〜70nm、粒度3〜50mesh(tyler)のも
のが用いられる。耐水性のあるシリカゲルが好ましく用
いられる。
方法について、ビス(ヒスチジナト)コバルト(II)錯
体がビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)である場
合を例にとって説明する。なお、ビス(D−ヒスチジナ
ト)コバルト(II)およびビス(DL−ヒスチジナト)
コバルト(II)の場合についても、原料がD−ヒスチジ
ン及びDL−ヒスチジンに変るだけで、その他は、ビス
(L−ヒスチジナト)コバルト(II)の場合と同様に実
施することができる。 (1)ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)の合成
方法: すべての操作を窒素のような不活性ガス雰囲気下で行
う。酢酸コバルト(II)四水和物を蒸留水に溶解して
0.1〜3.0mol/lの溶液(溶液1)を調製す
る。L−ヒスチジンを蒸留水に溶解して0.01〜1.
0mol/lの溶液(溶液2)を調製する。この際、L
−ヒスチジンの溶解度を高めるため、水酸化ナトリウム
をヒスチジンに対しモル比0.1〜1.2の範囲でを添
加することも可能である。溶液1を撹拌しながら、溶液
2をコバルト(II)塩に対してヒスチジンがモル比1.
0〜2.5になるまで徐々に加え混合し、撹拌する。次
に、得られる溶液を大過剰のエタノール中に投入する
と、撹拌の際、溶液中に桃色の沈澱が生じる。この沈殿
物がビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)錯体であ
ることは、前述の John Z. Hearon および
Dean Burkによる“J. National C
ancer Institute、第9巻、337頁〜
377頁、1949年”の文献により支持される。この
沈澱物をガラスフィルターへ移して吸引濾過し、エタノ
ールで洗浄する。その後、減圧乾燥し、固体のビス(L
−ヒスチジナト)コバルト(II)を得る。 (2)シリカゲルとの複合体の調製方法: すべての操作を窒素のような不活性ガス雰囲気下で行
う。上記コバルト(II)錯体を溶解させる溶媒として
は、水、メタノールまたはエチレングリコール、または
これらの混合物が用いられる。特に好ましい溶媒はエチ
レングリコールである。この溶媒に上記で合成したビス
(L−ヒスチジナト)コバルト(II)を加えて撹拌し、
ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)溶液(10〜
2000mmol/l)を調製する。この溶液は、溶媒
としてメタノールを用いた場合には透明な橙色を、水ま
たはエチレングリコールを用いた場合には透明な赤紫色
を呈する。この溶液を、溶液の重量に対して1〜100
重量%の無色透明ないし白色のシリカゲルに加え、0〜
90℃で1〜60時間振とうまたは撹拌する。シリカゲ
ルは次第に透明な橙色または赤紫色に変化する。その
後、上澄み液を抜き取り、溶液に対して1〜1000容
量%のアセトン、メタノール、エタノールまたはこれら
の混合物を添加し、0〜90℃で0〜60分放置して溶
媒置換を行う。次に、溶媒を減圧下に0〜90℃で留去
するかまたはデカンテーションにより、透明な橙色また
は赤紫色に着色したシリカゲルを分離し、このシリカゲ
ルをアセトン、メタノール、エタノールまたはこれらの
混合物で洗浄する。この際、溶液中のビス(L−ヒスチ
ジナト)コバルト(II)のコバルト(II)が酸化されて
コバルト(III)に変るのを防ぐ目的で、上述の溶媒置換
および洗浄に用いるアセトン、メタノール、エタノール
またはこれらの混合物に、アスコルビン酸、クエン酸、
酒石酸、ヒドロキノン及び次亜リン酸などの還元性の弱
酸および/またはフルクトースおよびグリセリンなどの
還元性の多価アルコールを、ビス(L−ヒスチジナト)
コバルト(II)に対しモル比0.01〜3.0の範囲で
添加してもよい。また、該複合体の調製のための溶媒と
してメタノールを用いた場合には、上述の溶媒置換およ
び洗浄に用いる溶媒に、上記の還元性の弱酸や多価アル
コールに加えて少量のエチレングリコールを添加しても
よい。その後、0〜90℃で減圧乾燥してビス(L−ヒ
スチジナト)コバルト(II)−シリカゲル複合体を得
る。上記複合体の調製において、例えば錯体の調製にメ
タノールを用いる場合には、上述の溶媒置換を省略して
もよい。また、この溶媒置換に代えて、洗浄操作の回数
を増やすことによっても、溶媒を効果的に除去すること
が可能である。
(ヒスチジナト)コバルト(II)をシリカゲルに担持し
てなる複合体中のコバルト(II)錯体の担持量は、吸着
担持後の上澄み液相中のコバルト(II)イオンの残存量
および洗浄液中のコバルト(II)イオンの残存量を公知
のニトロソR塩法(Japan Analyst、vo
l.2、322−327頁(1953)参照)を用いて
測定して決定することができる。
ト(II)−シリカゲル複合体のコバルト(II)錯体の担
持量は、シリカゲル1g当り0.05〜10.0mmo
lである。
−シリカゲル複合体は、例えば、酸素と窒素を含む混合
ガスに接触させると、桃色から焦げ茶色に変色する。従
って、シリカゲルに担持されたビス(ヒスチジナト)コ
バルト(II)に酸素が配位し、吸着されたことが分か
る。即ち、本発明のビス(ヒスチジナト)コバルト(I
I)をシリカゲルに担持してなる複合体は優れた酸素吸
着能を有し、酸素吸着剤として有用である。具体的な利
用方法としては、本発明の複合体に酸素を含む混合気体
を接触させることにより酸素含有気体からの酸素を分離
することができる。また、本発明の複合体に酸素含有混
合気体を接触させて酸素を吸着させ、その後、酸素を吸
着含有する焦げ茶色の複合体を、所定雰囲気下において
0〜100℃の範囲内での加熱処理、0.01〜100
mmHgの範囲での減圧雰囲気への暴露処理、および酸
素分率が0〜40%の範囲での貧酸素雰囲気への暴露処
理から選ばれる少なくとも1つの処理にかけると、吸着
した酸素が脱着され、吸着剤の色が焦げ茶色から桃色へ
変化し、酸素吸着能を回復する。この方法により、吸着
剤から酸素を分離させて処理雰囲気の酸素濃度を高める
ことができる。上記の所定雰囲気は、特に限定されない
が、その例としては、窒素、少量の酸素を含有する窒
素、またはその他の貧酸素雰囲気を挙げることができ
る。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでな
い。
持量の測定は、ニトロソR塩法により、次のようにして
行った。まず、数種の異なる濃度の酢酸コバルト(II)
水溶液を調製し、酢酸ナトリウムでpHを5.0〜6.
8に調整した後に、酢酸コバルト(II)の4倍モルのニ
トロソR塩、即ち1−ニトロソ−2−ナフトール−3,
6−ジスルホン酸二ナトリウムを加えて30分間還流
し、キレートを生成させた。次いで、塩酸を加えて2.
5N塩酸酸性液とした後、過ホウ酸ナトリウムで過剰の
1−ニトロソ−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸
二ナトリウムを分解した後、415nmの吸光度を測定
した。これらの測定値に最小二乗法を用いて検量線を作
成した。次に、実施例における担持操作の際の上澄み液
と洗浄液について、まず、溶媒を留去し、硝酸を加えて
錯体を完全に分解し、乾固した後、リン酸−蒸留水
(1:49)でコバルト(II)イオンを抽出し、同様に
上記のニトロソR塩法により415nmの吸光度を測定
して、上記で得られた検量線から上澄み液と洗浄液中の
コバルト(II)イオンの存在量を求め、担持量を算出し
た。
四水和物[Co(CH3COO)2・4H2O 、関東化学
製:試薬特級]19.926g(80mmol)を蒸留
水40mlに溶解した(溶液1)。L−ヒスチジン[C
6H9N3O2、関東化学製:試薬特級]24.826g
(160mmol)と水酸化ナトリウム[NaOH、関
東化学製:試薬特級]6.4g(160mmol)を蒸
留水260mlに溶解した(溶液2)。溶液1を撹拌し
ながら、溶液2を徐々に加えて混合し、1時間撹拌し
た。これをエタノール[C2H6O、関東化学製:試薬特
級]700ml中に投入し、室温で2時間撹拌して不透
明な桃色の沈澱を得た。これをシリンジを用いてガラス
フィルター(G4)へ移して吸引濾過し、エタノール4
0mlで3回洗浄した。その後、20℃、0.1mmH
gで6時間減圧乾燥し、ビス(L−ヒスチジナト)コバ
ルト(II)を得た。このようにして得られたビス(L−
ヒスチジナト)コバルト(II)3.3048g(9.0
mmol)をエチレングリコール[C2H6O2、関東化
学製:試薬特級]12.5mlを加えて溶解し、ビス
(L−ヒスチジナト)コバルト(II)溶液(0.72m
ol/l)を調製した。この溶液を、予め80℃、0.
1mmHgで2時間真空処理を行ったシリカゲル(富士
シリシア化学製、CARiACT 50:平均細孔径5
0nm、比表面積90m2/g、粒度5〜10mes
h、白色)5gに加え、25℃で18時間振とうした。
上澄み溶液を抜き取り、エタノール15mlを添加して
室温で30分間放置し溶媒置換を行い、上澄み溶液を抜
き取った。エタノール6mlで洗浄を3回繰り返し行
い、25℃、0.1mmHgで6時間減圧乾燥すると、
ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)をシリカゲル
に担持してなる均一に桃色に着色した複合体が得られ
た。
R塩法で、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)の
担持量を測定した。この複合体はシリカゲル1g当り
0.66mmolのビス(L−ヒスチジナト)コバルト
(II)が担持されていることがわかった。
1口ナスフラスコに入れ、フラスコ内部を減圧処理
(0.1mmHg)し、1気圧の純酸素(日本酸素
(株)製、純度99.9%以上)150mlを入れたガ
スビュレットと、二方活栓(標準#15、プラグの孔径
3mm)を有する内径12mmのガラス管で連結し、該
二方活栓を開くことにより、フラスコ内に酸素を拡散さ
せた。このようにして酸素を吸着させた複合体を、ガス
ビュレット法により、23℃で酸素吸着量を測定した。
本実施例により得られた複合体による酸素の吸着は迅速
で、1分間で飽和吸着量の80%を吸着し、10分で平
衡吸着量に達した。平衡時の酸素吸着量はシリカゲル1
g当り0.22mmolであった。また、このようにし
て酸素を吸着させた複合体をさらに25℃で3時間減圧
(0.1mmHg)処理したところ、酸素は迅速に脱着
された。この複合体に上記と同様の方法で再び酸素を吸
着させて酸素吸着量を測定した。この時の複合体による
酸素の吸着も迅速で、1分間で飽和吸着量の78%を吸
着し、10分で平衡吸着量に達した。酸素吸着量はシリ
カゲル1g当り0.19mmolであった。以後、この
吸脱着の操作を繰り返しても、酸素の吸着速度および吸
着量にはほとんど変化はみられなかった。
コバルト(II)のエチレングリコール溶液を加えて振と
うした後、上澄み溶液を抜き取った後、エタノール15
mlを添加して溶媒置換を行っているが、この溶媒置換
のみを行わずに、他はすべて実施例1と同様にしてビス
(L−ヒスチジナト)コバルト(II)を担持したシリカ
ゲル複合体を調製した。
R塩法で、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)の
担持量を測定した。この複合体は、シリカゲル1g当り
0.77mmolのビス(L−ヒスチジナト)コバルト
(II)が担持されていることがわかった。
着性能を、実施例1と同様にして測定した。本実施例に
より得られた複合体は、酸素の吸着は迅速で、1分間で
飽和吸着量の70%を吸着し、50分で平衡吸着量に達
した。平衡時の酸素吸着量はシリカゲル1g当り0.2
5mmolであった。また、このようにして酸素を吸着
させた複合体を25℃で3時間減圧(0.1mmHg)
処理したところ、酸素は迅速に脱着された。この複合体
を上記と同様の方法で再び酸素を吸着させて酸素吸着量
を測定した。この時の複合体による酸素の吸着も迅速
で、1分間で飽和吸着量の72%を吸着し、50分で平
衡吸着量に達した。酸素吸着量はシリカゲル1g当り
0.22mmolであった。以後、この吸脱着の操作を
繰り返しても、酸素の吸着速度および吸着量にはほとん
ど変化はみられなかった。
コバルト(II)のエチレングリコール溶液を加えて振と
うした後、上澄み溶液を抜き取った後、エタノール15
mlを添加して溶媒置換を行ない、しかる後、エタノー
ル6mlで洗浄を3回繰り返し行っているが、この溶媒
置換および洗浄においてエタノールの代りにアセトン
[C3H6O、関東化学製:試薬特級]を用いた以外は、
すべて実施例1と同様にして、ビス(L−ヒスチジナ
ト)コバルト(II)を担持したシリカゲル複合体を調製
した。
R塩法で、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)の
担持量を測定した。この複合体はシリカゲル1g当り
0.73mmolのビス(L−ヒスチジナト)コバルト
(II)が担持されていることがわかった。
着性能を、実施例1と同様にして測定した。この複合体
は、酸素の吸着は迅速で、1分間で飽和吸着量の78%
を吸着し、50分間で平衡に達し、シリカゲル1g当り
0.24mmolの酸素を吸着した。
四水和物[関東化学製:試薬特級]9.963g(40
mmol)を蒸留水40mlに溶解した(溶液1)。L
−ヒスチジン[関東化学製:試薬特級]12.413g
(80mmol)を蒸留水300mlに溶解した(溶液
2)。溶液1を撹拌しながら、溶液2を徐々に加えて混
合し、1時間撹拌した。これをエタノール[関東化学
製:試薬特級]700ml中に投入し、室温で2時間撹
拌して不透明な桃色の沈澱を得た。これをシリンジを用
いてガラスフィルター(G4)へ移して吸引濾過し、エ
タノール40mlで3回洗浄した。その後、20℃、
0.1mmHgで6時間減圧乾燥し、ビス(L−ヒスチ
ジナト)コバルト(II)を得た。このようにして得られ
たビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)を用いた以
外は、実施例2とすべて同様にしてビス(L−ヒスチジ
ナト)コバルト(II)をシリカゲルに担持してなる複合
体を調製した。
R塩法で、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)の
担持量を測定した。シリカゲル1g当り0.82mmo
lのビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)が担持さ
れていることがわかった。
着性能を、実施例1と同様にして測定した。本実施例に
より得られた複合体は、酸素の吸着は迅速で、1分間で
飽和吸着量の80%を吸着し、50分で平衡吸着量に達
した。平衡時の酸素吸着量はシリカゲル1g当り0.2
3mmolであった。また、このようにして酸素を吸着
させた複合体を25℃で2時間減圧処理(0.1mmH
g)したところ、酸素は迅速に脱着された。この複合体
を上記と同様の方法で再び酸素を吸着させて酸素吸着量
を測定した。この時の複合体による酸素の吸着も迅速
で、1分間で飽和吸着量の76%を吸着し、50分で平
衡吸着量に達した。酸素吸着量はシリカゲル1g当り
0.17mmolであった。以後、この吸脱着の操作を
繰り返しても、酸素の吸着速度および吸着量にはほとん
ど変化はみられなかった。
コバルト(II)のエチレングリコール溶液を加えて振と
うした後、上澄み溶液を抜き取った後、エタノール15
mlを添加して溶媒置換を行なっているが、この溶媒置
換を行わず、かつ洗浄に用いるエタノールの代りにL−
アスコルビン酸[C6H8O6、岩城製薬製 試薬特級]を
0.02mmol添加したエタノール6mlを用いて洗
浄を3回繰り返し行った以外はすべて実施例4と同様に
して、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)を担持
したシリカゲル複合体を調製した。
R塩法で、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)の
担持量を測定した。この複合体は、シリカゲル1g当り
0.80mmolのビス(L−ヒスチジナト)コバルト
(II)が担持されていることがわかった。
着性能を、実施例1と同様にして測定した。本実施例に
より得られた複合体は、酸素の吸着は迅速で、1分間で
飽和吸着量の83%を吸着し、50分で平衡吸着量に達
した。平衡時の酸素吸着量はシリカゲル1g当り0.2
4mmolであった。また、このようにして酸素を吸着
させた複合体を25℃で2時間減圧処理(0.1mmH
g)したところ、酸素は迅速に脱着された。この複合体
を上記と同様の方法で再び酸素を吸着させて酸素吸着量
を測定した。この時の複合体による酸素の吸着も迅速
で、1分間で飽和吸着量の78%を吸着し、50分で平
衡吸着量に達した。酸素吸着量はシリカゲル1g当り
0.17mmolであった。以後、この吸脱着の操作を
繰り返しても、酸素の吸着速度および吸着量にはほとん
ど変化はみられなかった。
ルト(II)を得た。ビス(L−ヒスチジナト)コバルト
(II)0.918g(2.5mmol)に蒸留水50m
lを加えて溶解し、透明な赤紫色のビス(L−ヒスチジ
ナト)コバルト(II)溶液を調製した。この溶液を、予
め80℃、0.1mmHgで2時間真空処理を行ったシ
リカゲル(富士シリシア化学製、CARiACT 1
0: 平均細孔径10nm、比表面積 300m2/g、
粒度5〜10mesh、白色透明)5gに加え、18
℃、12時間振とうした。上澄み溶液を抜き取り、アセ
トン15mlを加え、室温で30分間放置して溶媒置換
を行い、その後上澄み溶液を抜き取った。アセトン6m
lで3回繰り返し洗浄を行い、20℃、0.1mmHg
で6時間減圧乾燥すると、ビス(L−ヒスチジナト)コ
バルト(II)をシリカゲルに担持してなる不透明な青紫
色に均一に着色した複合体が得られた。
R塩法で、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)の
担持量を測定した。この複合体はシリカゲル1g当り
0.15mmolのビス(L−ヒスチジナト)コバルト
(II)が担持されていることがわかった。
着性能を実施例1と同様にして測定した。本実施例によ
り得られた複合体は、酸素の吸着は迅速で、1分間で飽
和吸着量の80%を吸着し、10分で平衡吸着量に達し
た。平衡時の酸素吸着量はシリカゲル1g当り0.09
mmolであった。また、このようにして酸素を吸着さ
せた複合体を25℃で2時間減圧処理(0.1mmH
g)したところ、酸素は迅速に脱着された。この複合体
を上記と同様の方法で再び酸素を吸着させて酸素吸着量
を測定した。この時の複合体による酸素の吸着も迅速
で、1分間で飽和吸着量の80%を吸着し、10分で平
衡吸着量に達した。酸素吸着量はシリカゲル1g当り
0.04mmolであった。以後、この吸脱着の操作を
繰り返しても、酸素の吸着速度および吸着量にはほとん
ど変化はみられなかった。
コバルト(II)のエチレングリコール溶液を加えて振と
うした後、上澄み溶液を抜き取った後、エタノール15
mlを添加して溶媒置換を行ない、しかる後、エタノー
ル6mlで洗浄を3回繰り返し行っているが、この溶媒
置換および洗浄を行わなかった以外はすべて実施例1と
同様にして、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)
を担持したシリカゲル複合体を調製した。
R塩法で、ビス(L−ヒスチジナト)コバルト(II)の
担持量を測定した。この複合体はシリカゲル1g当り
0.93mmolのビス(L−ヒスチジナト)コバルト
(II)が担持されていることがわかった。
着性能を、実施例1と同様にして測定した。本実施例で
得られた複合体は、10分でシリカゲル1g当り0.0
2mmol、60分でシリカゲル1g当り0.05mm
ol、120分でシリカゲル1g当り0.07mmol
の酸素を吸着した。また、この複合体を25℃で2時間
減圧(0.1mmHg)処理したところ、酸素は迅速に
脱着された。この複合体を上記と同様の方法で再び酸素
を吸着させて酸素吸着量を測定したところ、10分でシ
リカゲル1g当り0.02mmol、120分でシリカ
ゲル1g当り0.07mmolの酸素を吸着した。
体をシリカゲルに担持してなる本発明の複合体は、ビス
(ヒスチジナト)コバルト(II)錯体をその溶媒に溶解
して得た溶液にシリカゲルを浸漬し、しかる後に、該溶
媒を除去することによりビス(ヒスチジナト)コバルト
(II)錯体をシリカゲルに担持する方法で調製される。
このようにして得られる複合体は優れた酸素吸着能を有
する。
合体を酸素吸着剤として用いた場合、酸素分率(酸素が
しめる容量%)が1〜100%である0.5〜5atm
の混合気体または酸素ガスを0〜100℃で接触せしめ
ると、迅速に酸素を吸着する。一方、吸着した酸素は、
該酸素吸着剤を0〜100℃の範囲で昇温するか、0.
01〜100mmHgの範囲で減圧するか、あるいは酸
素分率を0〜40%の範囲に減少せしめることにより、
容易に脱離放出させることができる。またこれらの条件
を組み合わせることにより、酸素吸着剤に吸着した酸素
は、前述よりもさらに穏やかな昇温、減圧および酸素分
圧条件下で脱離放出させることが可能になり、雰囲気中
の酸素濃度はさらに高められる。しかも、本発明の複合
体は、酸素の吸脱着を繰り返してもその酸素吸着能が劣
化しない。したがって、本発明の複合体は、酸素吸着剤
として非常に有用なものである。また、本発明の複合体
を構成するビス(ヒスチジナト)コバルト錯体は、酸素
吸着能を有することで知られるポリフィリン錯体および
N,N’−ジサリチリデンジアミナートコバルト(II)
錯体と比べて、合成が容易で比較的安価である。また、
担体であるシリカゲルおよび本発明の製造方法で用いる
溶媒もまた安価であるため、本発明の複合体は、経済的
に製造できる、という有利点も有している。
め取り扱いが容易であり、酸素分離の装置として、充填
塔形式、充填カラム形式、および流動層形式などの装置
を用いることができる。また、酸素脱着時に溶媒の混入
が起こらず、溶媒蒸気を回収する付加的装置を必要とし
ない。
Claims (7)
- 【請求項1】 ビス(ヒスチジナト)コバルト(II)錯
体をシリカゲルに担持してなる複合体。 - 【請求項2】 該錯体がシリカゲル1g当り0.05〜
10.0mmol担持されてなる請求項1に記載の複合
体。 - 【請求項3】 ビス(ヒスチジナト)コバルト(II)錯
体をその溶媒に溶解して得られる溶液にシリカゲルを浸
漬し、その後、該溶媒を除去することを包含する、ビス
(ヒスチジナト)コバルト(II)錯体をシリカゲルに担
持してなる複合体の製造方法。 - 【請求項4】 ビス(ヒスチジナト)コバルト(II)錯
体をシリカゲルに担持してなる複合体よりなる酸素吸着
剤。 - 【請求項5】 該錯体がシリカゲル1g当り0.05〜
10.0mmol担持されてなる請求項4に記載の酸素
吸着剤。 - 【請求項6】 請求項4または5に記載の酸素吸着剤に
酸素を含む混合気体を接触させて酸素を該吸着剤に吸着
させることを包含する、酸素含有気体からの酸素の分離
方法。 - 【請求項7】 請求項4または5に記載の酸素吸着剤に
酸素を含む混合気体を接触させ、その後、酸素を吸着含
有する該吸着剤を所定雰囲気下での加熱処理、減圧雰囲
気への暴露処理および貧酸素雰囲気への暴露処理から選
ばれる少なくとも1つの処理にかけて吸着した酸素を脱
着させて、該処理雰囲気の酸素濃度を高めることを包含
する、雰囲気中の酸素濃度を高める方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07840195A JP3276043B2 (ja) | 1995-03-10 | 1995-03-10 | 新規な複合体およびその製造方法、ならびに該複合体よりなる酸素吸着剤 |
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JPH08243386A JPH08243386A (ja) | 1996-09-24 |
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CA2479660C (en) | 2002-05-02 | 2009-11-24 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Fuel cell power generation system and method for operating same |
-
1995
- 1995-03-10 JP JP07840195A patent/JP3276043B2/ja not_active Expired - Fee Related
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