JP3275729B2 - 耐摩耗性のすぐれたFe基焼結合金製バルブシートの製造方法 - Google Patents

耐摩耗性のすぐれたFe基焼結合金製バルブシートの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ディーゼルエン
ジンやガソリンエンジンなどの内燃機関の構造部材であ
るFe基焼結合金製バルブシートの製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関のFe基焼結合金製バル
ブシートとしては、例えば特開昭55−164063号
公報や特開昭58−178073号公報などに記載され
るように、硬質粒子分散型のFe基焼結合金で構成され
たものが多く提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の内燃機関
の高出力化および大型化はめざましく、これに伴ない、
内燃機関の構造部材であるバルブシートは、より一段の
高温環境下での稼働を余儀なくされるが、上記の従来F
e基焼結合金製バルブシートはじめ、その他多くのバル
ブシートをより一段の高温環境下で用いた場合、摩耗進
行が急激に促進されるようになり、比較的短時間で使用
寿命に至るのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、特に高温環境にさらされても、
すぐれた耐摩耗性を発揮するバルブシートを開発すべく
研究を行なった結果、バルブシートを、 (a)素地形成用合金粉末として、重量%(質量%)で
[以下、組成に関する%は重量%(質量%)を示す]、 C:0.2〜3%、 Ni:0.5〜7%、 Co:1〜12%、 Nb:0.05〜1.5
%、 を含有し、さらに、 Cr:0.3〜6%、 Mo:0.2〜6%、 W:0.5〜6%、 Si:0.1〜1%、 のうちの1種または2種以上、を含有し、または含有せ
ず、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有する合
金鋼粉末、 (b)硬質粒子A形成用合金粉末として、 Mo:20〜35%、 Cr:5〜10%、 Si:1〜4%、 を含有し、残りがCoと不可避不純物からなる組成を有
するCo−Mo−Cr系合金からなるCo基合金粉末、 (c)硬質粒子B形成用合金粉末として、 C:0.5〜3%、 W:15〜30%、 Co:15〜30%、 Fe:5〜15%、 Nb:0.2〜2%、 Si:0.2〜2%、 を含有し、残りがCrと不可避不純物からなる組成を有
するCr−W−Co−Fe系合金からなるCr基合金粉
末、以上(a)〜(c)粉末を原料粉末として用いて製
造した、 C:0.5〜2%、 Si:0.05〜1%、 Co:8〜16%、 Cr:2〜8%、 Mo:1.5〜6%、 W:1.5〜6%、 Ni:0.5〜2%、 Nb:0.05〜1%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる全体組
成、合金鋼の素地に、Co−Mo−Cr系合金からなる
Co基合金硬質粒子Aと、Cr−W−Co−Fe系合金
からなるCr基合金硬質粒子Bとが、光学顕微鏡組織写
真で観察して、合量で6〜26面積%の割合で分散分布
し、かつ前記硬質粒子Aの割合が硬質粒子に占める割合
で25〜75面積%である組織、および5〜25%の気
孔率、を有するFe基焼結合金で構成すると、この結果
製造されたFe基焼結合金製バルブシートにおいては、
特に上記硬質粒子Aが高温耐摩耗性にすぐれていること
から、これによってより高温下での使用に際してもすぐ
れた耐摩耗性が確保され、また上記硬質粒子Bはすぐれ
た常温耐摩耗性をもつことから、これによって特に内燃
機関の初期稼動時および低速運転時における耐摩耗性が
確保され、全体的にすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発
揮するようになり、またこれに銅または銅合金を溶浸さ
せると熱伝導性および強度が向上し、さらに鉛または鉛
合金を溶浸させると潤滑性、制振性、および被削性が向
上するようになるという研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、 (a)素地形成用合金粉末として、 C:0.2〜3%、 Ni:0.5〜7%、 Co:1〜12%、 Nb:0.05〜1.5
%、 を含有し、さらに、 Cr:0.3〜6%、 Mo:0.2〜6%、 W:0.5〜6%、 Si:0.1〜1%、 のうちの1種または2種以上、を含有し、または含有せ
ず、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有する合
金鋼粉末、 (b)硬質粒子A形成用合金粉末として、 Mo:20〜35%、 Cr:5〜10%、 Si:1〜4%、 を含有し、残りがCoと不可避不純物からなる組成を有
するCo−Mo−Cr系合金からなるCo基合金粉末、 (c)硬質粒子B形成用合金粉末として、 C:0.5〜3%、 W:15〜30%、 Co:15〜30%、 Fe:5〜15%、 Nb:0.2〜2%、 Si:0.2〜2%、 を含有し、残りがCrと不可避不純物からなる組成を有
するCr−W−Co−Fe系合金からなるCr基合金粉
末、以上(a)〜(c)粉末を原料粉末として用い、 C:0.5〜2%、 Si:0.05〜1%、 Co:8〜16%、 Cr:2〜8%、 Mo:1.5〜6%、 W:1.5〜6%、 Ni:0.5〜2%、 Nb:0.05〜1%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる全体組
成、素地中に、Co−Mo−Cr系合金からなる高温耐
摩耗性Co基合金硬質粒子Aと、Cr−W−Co−Fe
系合金からなる常温耐摩耗性Cr基合金硬質粒子Bと
が、光学顕微鏡組織写真で観察して、合量で6〜26面
積%の割合で分散分布し、かつ前記硬質粒子Aの割合が
硬質粒子に占める割合で25〜75面積%である組織、
および5〜25%の気孔率、を有するFe基焼結合金か
らなり、さらに必要に応じてこれに銅または銅合金、あ
るいは鉛または鉛合金を溶浸してなる、耐摩耗性のすぐ
れFe基焼結合金製バルブシートを製造する方法に特徴
を有するものである。
【0006】なお、この発明のバルブシートは、上記の
通りの組成をもった素地形成用合金粉末、硬質粒子A形
成用合金粉末、および硬質粒子B形成用合金粉末を原料
粉末として用い、これら原料粉末を所定の割合に配合
し、以下通常の条件で、混合し、所定の形状にプレス成
形し、焼結し、さらに必要に応じて銅または銅合金、あ
るいは鉛または鉛合金を溶浸することによって製造され
る。
【0007】つぎに、この発明の方法によって製造され
たバルブシートにおいて、これを構成するFe基焼結合
金の全体組成、硬質粒子の割合、および気孔率を上記の
通りに限定した理由を説明する。 (A) 成分組成 (a) C C成分には、素地に固溶して、これを強化するほか、素
地に分散する炭化物を形成して素地の耐摩耗性を向上さ
せ、さらに硬質粒子A,Bのそれぞれに含有して耐摩耗
性を向上させる作用があるが、その含有量が0.5%未
満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その
含有量が2%を越えると、相手攻撃性が急激に増大する
ようになることから、その含有量を0.5〜2%、望ま
しくは0.8〜1.5%と定めた。
【0008】(b) Si Si成分は、主に硬質粒子A,Bに含有して、硬質の金
属間化合物を形成し、これの耐摩耗性向上に寄与する
が、その含有量が0.05%未満では前記作用に所望の
効果が得られず、一方その含有量が1%を越えると硬質
粒子B自体が脆化し、耐摩耗性低下の原因となることか
ら、その含有量を0.05〜1%、望ましくは0.2〜
0.7%と定めた。
【0009】(c) Co Co成分には、素地にあっては、これを固溶強化し、ま
た硬質粒子Aではこれの高温耐摩耗性向上に寄与し、か
つ硬質粒子Bにおいては、これを固溶強化する作用があ
るが、その含有量が8%未満では前記作用に所望の効果
が得られず、一方その含有量が16%を越えると、バル
ブシート自体の耐摩耗性が低下するようになることか
ら、その含有量を8〜16%、望ましくは10〜14%
と定めた。
【0010】(d) Cr Cr成分には、素地にあってはこれを固溶強化し、また
硬質粒子Bでは、主成分として含有して炭化物および金
属間化合物を形成して常温耐摩耗性を向上させ、さらに
硬質粒子Aでは同じく炭化物および金属間化合物を形成
し、Coとの共存で高温耐摩耗性向上に寄与する作用が
あるが、その含有量が2%未満では前記作用に所望の効
果が得られず、一方その含有量が8%を越えると焼結性
が低下し、バルブシートに所望の強度を確保することが
できなくなることから、その含有量を2〜8%、望まし
くは4〜6%と定めた。
【0011】(e) Mo Mo成分には、素地においては、これを固溶強化し、か
つ硬質粒子Bには実質的に含有せず、主体が硬質粒子A
に含有して炭化物を形成し、主成分であるCoとの共存
において高温耐摩耗性を向上させる作用があるが、その
含有量が1.5%未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方その含有量が6%を越えると相手攻撃性が増
大するようになることから、その含有量を1.5〜6
%、望ましくは2〜4%と定めた。
【0012】(f) W W成分には、主として硬質粒子Bに含有して炭化物およ
び金属間化合物を形成し、もって常温耐摩耗性の向上に
寄与するが、その含有量が1.5%未満では前記作用に
所望の効果が得られず、一方その含有量が6%を越える
と相手攻撃性が増すようになることから、その含有量を
1.5〜6%、望ましくは2〜4%と定めた。
【0013】(g) Ni Ni成分には、素地および硬質粒子A,Bのいずれにも
固溶して、これを強化する作用があるが、その含有量が
0.5%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方その含有量が2%を越えると耐摩耗性が低下するよう
になることから、その含有量を0.5〜2%、望ましく
は0.8〜1.5%と定めた。
【0014】(h) Nb Nb成分は、主に硬質粒子Bに含有して炭化物を形成
し、常温耐摩耗性向上に寄与する作用をもつが、その含
有量が0.05%未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方その含有量が1%を越えると相手攻撃性が増
すようになることから、その含有量を0.05〜1%、
望ましくは0.2〜0.7%と定めた。
【0015】(B) 硬質粒子の割合 上記の通り、バルブシートは、それぞれの硬質粒子A,
Bによってすぐれた高温耐摩耗性と常温耐摩耗性をもつ
ようになり、したがって硬質粒子に占める割合で、硬質
粒子Aの割合が25面積%未満では所望の高温耐摩耗性
を確保することができず、一方その割合が75面積%を
越えると相対的に硬質粒子Bの割合が少なくなりすぎて
所望の常温耐摩耗性を確保することができなくなること
から、硬質粒子Aの割合を25〜75面積%、望ましく
は40〜60容量%と定めた。また、硬質粒子の全体割
合が6面積%未満では所望の耐摩耗性を確保することが
できず、一方その全体割合が26面積%を越えると相手
攻撃性が急激に増大するばかりでなく、強度も低下する
ようになることから、その全体割合を6〜26面積%、
望ましくは10〜20面積%と定めた。
【0016】(C) 気孔率 10%未満の気孔率では保油効果による潤滑性向上効果
が期待できないばかりでなく、銅および銅合金や鉛およ
び鉛合金の溶浸が不均一になって、これら溶浸による効
果を十分に発揮させることができず、一方気孔率が25
%を越えると強度および耐摩耗性の低下が避けられない
ことから、気孔率を5〜25%、望ましくは10〜20
%と定めた。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明のバルブシート
の製造方法を実施例により具体的に説明する。まず、原
料粉末として、それぞれ表1〜3に示される平均粒径お
よび成分組成をもった素地形成用合金粉末M−1〜M−
13、硬質粒子A形成用合金粉末A−1〜A−6、およ
び硬質粒子B形成用合金粉末B−1〜B−13を用意
し、これらを表4に示される組合せで所定の割合に配合
し、ステアリン酸亜鉛:1%を加えてミキサーにて30
分間混合し後、5〜7ton /cm2 の範囲内の所定の圧力
で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を500℃に30
分間保持して脱脂し、アンモニア分解ガス雰囲気中、1
180〜1250℃の範囲内の所定温度に1時間保持の
条件で焼結して、表5〜8に示される全体組成、硬質粒
子の割合(100倍の光学顕微鏡組織写真にもとづいて
画像解析装置にて測定)、および気孔率を有するFe基
焼結合金で構成され、外径:34mm×最小内径:27mm
×厚さ:7.2mmの寸法をもった本発明バルブシート1
〜13および比較バルブシート1〜4をそれぞれ製造し
た。なお、上記比較バルブシート1〜4は、いずれも硬
質粒子の割合がこの発明の範囲から外れ、これによって
全体組成もこの発明の組成範囲から外れるようになった
ものである。
【0018】さらに、上記本発明バルブシート1〜13
および比較バルブシート1〜4を本体とし、これのそれ
ぞれの上面に、純銅、Cu−3%Co合金(以下、Cu
合金1という)またはCu−3%Fe−2%Mn−2%
Zn合金(以下、Cu合金2という)の溶浸材を表9に
示される組合せで載置し、この状態でメタン変成ガス雰
囲気中、温度:1100℃に15分間保持の条件で銅ま
たは銅合金の溶浸処理を施すことにより本発明銅溶浸バ
ルブシート1〜13および比較銅溶浸バルブシート1〜
4をそれぞれ製造した。また、同じく上記本発明バルブ
シート1〜13および比較バルブシート1〜4を本体と
し、これに表10に示される組合せで、純鉛、Pb−4
%Sb合金(以下、合金aという)、またはPb−5%
Sn合金(以下、合金bという)の溶浸材の加熱浴中
に、窒素雰囲気中、浴表面に8kg/cm2 の圧力を付加し
た状態で1時間浸漬の条件で鉛または鉛合金の溶浸処理
を施すことにより本発明鉛溶浸バルブシート1〜13お
よび比較鉛溶浸バルブシート1〜4をそれぞれ製造し
た。
【0019】つぎに、この結果得られた各種のバルブシ
ートについて、バルブシート台上摩耗試験機を用い、 バルブの材質:SUH−3、 バルブの加熱温度:800℃、 バルブの着座回数:3000回/min 、 雰囲気:0.4kg/cm2 の圧力のプロパンガスと、流
量:1.5l/min の酸素ガスによる燃焼ガス、 バルブシートの加熱温度(水冷):300〜400℃、 着座荷重:30kg、 試験時間:1時間の連続運転と10分間の停止を1サイ
クルとして20サイクル、 の条件で摩耗試験を行ない、バルブシートの最大摩耗深
さと相手材であるバルブの最大摩耗深さを測定した。こ
れらの測定結果を表7〜10に示した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
【0025】
【表6】
【0026】
【表7】
【0027】
【表8】
【0028】
【表9】
【0029】
【表10】
【0030】
【発明の効果】表4〜10に示される結果から、本発明
バルブシート1〜13、本発明銅溶浸バルブシート1〜
13、および本発明鉛溶浸バルブシート1〜13は、い
ずれも低い相手攻撃性で、かつ高温運転条件下ですぐれ
た耐摩耗性を示すのに対して、比較バルブシート1〜
4、比較銅溶浸バルブシート1〜4、および比較鉛溶浸
バルブシート1〜4に見られるように、これを構成する
Fe基焼結合金の硬質粒子の割合がこの発明の範囲から
外れると、耐摩耗性が低下したり、相手攻撃性が増した
りすることが明らかである。上述のように、この発明の
方法によって製造されたバルブシートは、特に硬質粒子
A,Bを含有することによって高温および常温耐摩耗性
が著しく向上したFe基焼結合金で構成されているの
で、これを高温運転の内燃機関に用いてもすぐれた耐摩
耗性を長期に亘って発揮するのである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−225008(JP,A) 特開 平8−134607(JP,A) 特開 平6−330261(JP,A) 特開 平6−271998(JP,A) 特開 平5−202451(JP,A) 特開 平2−163350(JP,A) 特開 昭58−178073(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 304 C22C 33/02 C22C 38/52 F01L 3/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)素地形成用合金粉末として、重量
    %(質量%)で、 C:0.2〜3%、 Ni:0.5〜7%、 Co:1〜12%、 Nb:0.05〜1.5
    %、 を含有し、さらに、 Cr:0.3〜6%、 Mo:0.2〜6%、 W:0.5〜6%、 Si:0.1〜1%、 のうちの1種または2種以上、 を含有し、または含有せず、残りがFeと不可避不純物
    からなる組成を有する合金鋼粉末、 (b)硬質粒子A形成用合金粉末として、重量%(質量
    %)で、 Mo:20〜35%、 Cr:5〜10%、 Si:1〜4%、 を含有し、残りがCoと不可避不純物からなる組成を有
    するCo−Mo−Cr系合金からなるCo基合金粉末、 (c)硬質粒子B形成用合金粉末として、重量%(質量
    %)で、 C:0.5〜3%、 W:15〜30%、 Co:15〜30%、 Fe:5〜15%、 Nb:0.2〜2%、 Si:0.2〜2%、 を含有し、残りがCrと不可避不純物からなる組成を有
    するCr−W−Co−Fe系合金からなるCr基合金粉
    末、 以上(a)〜(c)粉末を原料粉末として用い、同じく
    重量%(質量%)で、 C:0.5〜2%、 Si:0.05〜1%、 Co:8〜16%、 Cr:2〜8%、 Mo:1.5〜6%、 W:1.5〜6%、 Ni:0.5〜2%、 Nb:0.05〜1%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる全体組
    成、 合金鋼の素地に、Co−Mo−Cr系合金からなる高温
    耐摩耗性Co基合金硬質粒子Aと、Cr−W−Co−F
    e系合金からなる常温耐摩耗性Cr基合金硬質粒子Bと
    が、光学顕微鏡組織写真で観察して、合量で6〜26面
    積%の割合で分散分布し、かつ前記硬質粒子Aの割合が
    硬質粒子に占める割合で25〜75面積%である組織、 および5〜25%の気孔率、 を有するFe基焼結合金で構成されたバルブシートを製
    造することを特徴とする耐摩耗性のすぐれたFe基焼結
    合金製バルブシートの製造方法。
  2. 【請求項2】 (a)素地形成用合金粉末として、重量
    %(質量%)で、 C:0.2〜3%、 Ni:0.5〜7%、 Co:1〜12%、 Nb:0.05〜1.5
    %、 を含有し、さらに、 Cr:0.3〜6%、 Mo:0.2〜6%、 W:0.5〜6%、 Si:0.1〜1%、 のうちの1種または2種以上、 を含有し、または含有せず、残りがFeと不可避不純物
    からなる組成を有する合金鋼粉末、 (b)硬質粒子A形成用合金粉末として、重量%(質量
    %)で、 Mo:20〜35%、 Cr:5〜10%、 Si:1〜4%、 を含有し、残りがCoと不可避不純物からなる組成を有
    するCo−Mo−Cr系合金からなるCo基合金粉末、 (c)硬質粒子B形成用合金粉末として、重量%(質量
    %)で、 C:0.5〜3%、 W:15〜30%、 Co:15〜30%、 Fe:5〜15%、 Nb:0.2〜2%、 Si:0.2〜2%、 を含有し、残りがCrと不可避不純物からなる組成を有
    するCr−W−Co−Fe系合金からなるCr基合金粉
    末、 以上(a)〜(c)粉末を原料粉末として用い、同じく
    重量%(質量%)で、 C:0.5〜2%、 Si:0.05〜1%、 Co:8〜16%、 Cr:2〜8%、 Mo:1.5〜6%、 W:1.5〜6%、 Ni:0.5〜2%、 Nb:0.05〜1%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる全体組
    成、 合金鋼の素地に、Co−Mo−Cr系合金からなる高温
    耐摩耗性Co基合金硬質粒子Aと、Cr−W−Co−F
    e系合金からなる常温耐摩耗性Cr基合金硬質粒子Bと
    が、光学顕微鏡組織写真で観察して、合量で6〜26面
    積%の割合で分散分布し、かつ前記硬質粒子Aの割合が
    硬質粒子に占める割合で25〜75面積%である組織、 および5〜25%の気孔率、 を有するFe基焼結合金で構成され、かつ銅または銅合
    金、あるいは鉛または鉛合金を溶浸してなるバルブシー
    トを製造することを特徴とする耐摩耗性のすぐれたFe
    基焼結合金製バルブシートの製造方法。
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