JP3274196B2 - 鏡の製造方法 - Google Patents
鏡の製造方法Info
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Description
られない普通の平滑な鏡面でありながら、太陽光線のよ
うな平行光を当てると、反射光が明暗の模様としてスク
リーンに投影される魔鏡用鏡の製造方法に関するもので
ある。
銅鏡として現在に伝えられ(中国では透光鏡と呼ぶ)、
我が国では、江戸時代から阿弥陀如来、文字、マリア像
等を描いた同様な鏡が製作され始めた。この狭義におけ
る魔鏡の製造方法については、多くの推考がなされてい
る。また、最近においては、広義における魔鏡、つまり
魔鏡用鏡の製造方法も提案されている(特開平1−31
3009号公報)。
れる仕組みについては、鏡面に僅か0.3〜1.0μm
の窪みの線により像模様が形成されているので、その窪
み部分の反射光によることが判明している。すなわち、
その窪みの部分で光が反射して集束するため、投影像が
光の集束効果により「明」に結ばれる。
は、鏡を薄くなるまで研磨してその弾性変形を利用した
とする。これによれば、鋳造時に鏡の裏面に模様を凸に
より形成し、面押圧により弾性変形させながら表面を研
磨すると、変形し難い肉厚部において表面に窪み(歪
み)が生じ、裏面の突条模様と同様の魔鏡反射面が窪み
により形成される。
造方法は、弾性変形を全く利用しないもので、金属鏡板
の表面を研磨した後、その表面にエッチング等の化学処
理、或いは、プレス、鋳造、鍛造、ダイキャスト等の機
械加工によって、所定の形状の凹凸を形成し、それから
さらに研磨を行なって凹凸を僅少にすることにより、肉
眼では見えない凹凸(歪み)を有する平滑な鏡板を形成
する。
方法によれば、殊に、表面の研磨が長時間を掛けて手作
業によりなされ、しかも、その作業に非常に熟練した技
術を要するために、量産に適しなくコスト高となる。ま
た、製法に謎が多く、推考に基づいて実際に製造して
も、窪みが2〜3倍程度深くなり、狭義の魔鏡に完全に
似せることができない。なお、このことについては雑誌
・応用物理、第61巻、第6号(1992)における
「魔鏡の成因とその解明」が参考となる。
鏡面によって反射投影像が結ばれることについて、それ
に必要な窪みの条件は、その深さがほぼ1.0〜10μ
mの範囲にあれば良いことが知られているので、古来の
魔鏡と比べて、前記の如く2〜3倍程度の窪み誤差があ
っても余り不都合はないとも言える。
ば、窪みの程度を自由に加減できないという制約がある
ために、結像の投影距離、結像の明暗の程度等を自由に
設定することが困難であり、需要者の多様な要望に対応
し難く、また、最近の製法においても同様の問題があっ
た。
工の手段を用いる方法は、上記のような狭義の魔鏡の製
造方法の欠点を解決するために提案されたものである
が、エッチングにおいては、一般的に人体に有害な物質
(例えばFeCl3 等のエッチング液)の使用が避けら
れない。また、使用する材料の耐蝕性等により、エッチ
ング液の種類、エッチング液の温度、エッチング時間等
の多くの処理条件が異なり、データの解析処理が困難で
あるし、実際に自由に凹凸の窪みの深さを数値制御して
形成できない。
の機械加工の手段を用いても、複雑な鋳造用鋳型や高価
な金型を必要とする。しかも、凹凸の段差の許容範囲が
1.0〜10μmと微小に限定されるために、機械加工
ではさらに鏡面の形成が技術的に困難となるし、コスト
高となることは避けられない。また、魔鏡反射面となる
歪みは、全線に亘る均等性が得られないので、所定の投
影距離において結像が不明瞭となりやすく、実際には、
提案者の意に反する結果となっている。
平行光を集束又は拡散して反射するための魔鏡反射面の
歪みが、ほとんど熟練を要しないコンピュータ制御によ
りなし得るために、安価な量産に適し、また、歪みない
し窪みの深さや程度を自由に得られやすいために、魔鏡
像を所定の距離で明瞭に結ぶことのできる鏡の製造方法
を提供することを目的とした。
めに、本願発明は、金属製鏡板の予め研磨された表面
に、レーザー光線を描的に走行照射して溶融初期の軟化
状態となる熱処理を部分的に施してから、仕上げ研磨す
ることにより、熱処理部分に投影像を明により結ぶため
の窪みの歪みを形成する鏡の製造方法を構成した。
ーザー光線を鏡板の表面に照射すると、照射部分に沿っ
て熱膨張・熱応力による歪みが生じるから、必要に応じ
て仕上げ研磨することにより、魔鏡現象を生じさせる凹
凸の鏡面が得られる。歪みの程度は、高エネルギー密度
熱源を発生させるレーザー加工装置の能力、照射走行速
度等、数値的に把握しやすい条件であるから、データの
解析およびその結果のコンピュータへの入力が容易であ
り、また、コンピュータによる制御をなしやすい。
線を照射する際にその照射部分が完全に溶融しないよう
に制御しながら描き走行させると、照射された部分が瞬
間的に軟化し、熱膨張による体積の増加が起こる。この
時、レーザー光線が照射されていない部分は冷えてお
り、軟化は起こっていないので、軟化・膨脹したレーザ
ー光線の照射部分は、周囲の冷えた部分により膨脹が拘
束される結果、塑成変形により上に盛り上がるように隆
起する。この時の冷えた部分による圧縮応力はほとんど
この塑成変形に吸収される。そして、レーザー光線の照
射が終わると、照射部分が逆に収縮して微小な窪みとな
る。
た後、レーザー光線の加工時の酸化等による変色部分を
研磨により除去することによって、肉眼によりほぼ平滑
と認められる鏡面が得られる。
前記の如く、段差1.0〜10μmであるから、この発
明のレーザー加工による方法では、有限要素法による解
析でこの範囲の凹凸が生じるレーザー出力を計算すれ
ば、その数値制限により容易に魔鏡現象が得られる鏡面
が得られる。
にレーザー加工技術が著しく進歩している。例えば、C
ADにより非常に短期間にデザイン開発、図形データの
数値への変換が可能である。一方、有限要素法により、
熱伝導率、比熱等の材料の物性値を与えれば、一定の歪
みを与えるレーザー光線の出力を計算で求めることが可
能である。これらのデータの解析結果をレーザー加工装
置に入力すれば、従来よりも非常に簡易に製品の加工が
可能である。
説明図であり、製造手順を(A)(B)(C)(D)の
各図順に示す。
0mm×100mmのS45C炭素鋼板を使用し(図1
(A))、その表面には予め研磨加工を施しておく。ま
た、高エネルギー密度熱源の照射には、出力900Wの
炭酸ガスレーザー加工装置を用いた(図1(B))。
光線2を照射し、速度0.4m/min.において、長
さ50mmの直線状に熱処理を施した。そうすると、そ
の照射部分が溶解して上面ではやや高く隆起3となり
(図1(C))、また、溶融が下面に波及したので下面
にはその隆起3よりも幅広い膨出4が生じた。しかし、
上面の隆起3は瞬間的であって、照射が終わると同時
に、冷却により収縮し窪み曲面の歪み5となった(図1
(D))。
が肉眼では見えるために、全面的に略均等に研磨したと
ころ、肉眼では加工が視覚されない平滑な鏡面が得られ
た。
光を当て、約1m離れた白壁にその光を反射させたとこ
ろ、直線が「明」により投影され、魔鏡現象を呈するこ
とが確認できた。
黄銅板に、熱処理効果を高めるために反射防止処理を施
し、その鏡板1の表面に、出力200Wの炭酸ガスレー
ザー光線2を照射し、速度0.5m/min.におい
て、長さ50mmの直線状に加工を施し、反射防止処理
材を取り除いてから、変色部分を研磨して肉眼で平滑と
認められる鏡面を形成した。
前記実施例の場合と同様に太陽光を当て、約1m離れた
ところにある白壁にその光を反射させたところ、同様に
魔鏡現象が生じることを確認できた。
子ビーム加工装置を用いるときも、上記実施例とほぼ同
様の作業手順となり、何れの場合も、コンピュータ制御
により運転される。また、鏡板の材料としては、熱溶融
可能であれば、金属に限定されるものではなく、ガラ
ス、プラスチック、セラミック等であっても良く、ほぼ
同様にして凹凸を得ることができる。なお、プラスチッ
ク製やセラミック製の鏡では、反射材料の印刷や蒸着等
によって表面に反射層を形成することができる。
ば、次のような優れた効果がある。
ための魔鏡反射面の歪みの形成について、数値的なデー
タが得られやすく、データの解析処理に基づくコンピュ
ータ制御に適するために、ほとんど熟練を要しない作業
により鏡面の形成が可能となり、その制御によれば魔鏡
用鏡の非常に安価な量産に適する。
みの深さや程度を高い精度で自由に得られ易いために、
魔鏡像を所定の距離で明瞭に結ぶことができる。また、
コンピュータ制御が容易であるために、結像の投影距
離、模様等が自由となり、極めて微細且つ複雑な意匠性
の高いデザインの魔鏡像を得ることが可能となるので、
より高品質、高級感を望む需要者の要望に応えることも
できる。
液等の人体に有害な物質を使用する必要がなく、安全な
作業環境を確保することができる。
に、予め鏡板の裏面に予め凸部を鋳造しておく必要がな
く、また、化学処理や機械加工を要することもなく、こ
れらの数値的に捉え難い条件から離れて、魔鏡面の精密
な加工をなすことができる。
(B)(C)(D)の各図順に図示した断面説明図であ
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 金属製鏡板(1)のあらかじめ研磨され
た表面に、レーザー光線(2)を描的に走行照射して溶
融初期の軟化状態となる熱処理を部分的に施してから、
仕上げ研磨することにより、熱処理部分に投影像を明に
より結ぶための窪みの歪み(5)を形成することを特徴
とする鏡の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31771692A JP3274196B2 (ja) | 1992-11-02 | 1992-11-02 | 鏡の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31771692A JP3274196B2 (ja) | 1992-11-02 | 1992-11-02 | 鏡の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06148411A JPH06148411A (ja) | 1994-05-27 |
JP3274196B2 true JP3274196B2 (ja) | 2002-04-15 |
Family
ID=18091241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31771692A Expired - Lifetime JP3274196B2 (ja) | 1992-11-02 | 1992-11-02 | 鏡の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3274196B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TW200724365A (en) | 2005-12-19 | 2007-07-01 | Nai-Yueh Liang | Manufacturing method of translucent mirror and structure thereof |
JP5621166B2 (ja) * | 2009-09-07 | 2014-11-05 | 株式会社小泉製作所 | 魔鏡の製造方法 |
FR2951281B1 (fr) * | 2009-10-12 | 2012-03-23 | Commissariat Energie Atomique | Procede de microdeformation de la face avant d'une piece mince, par modification de la face arriere ou de la peripherie de la piece |
CN115319031B (zh) * | 2022-08-18 | 2024-07-02 | 华侨大学 | 一种透光青铜镜及其制备方法 |
-
1992
- 1992-11-02 JP JP31771692A patent/JP3274196B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06148411A (ja) | 1994-05-27 |
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