JP3273785B2 - 薬物または熱源送達用混合脂質―重炭酸塩コロイド粒子 - Google Patents

薬物または熱源送達用混合脂質―重炭酸塩コロイド粒子

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JP3273785B2 JP51750491A JP51750491A JP3273785B2 JP 3273785 B2 JP3273785 B2 JP 3273785B2 JP 51750491 A JP51750491 A JP 51750491A JP 51750491 A JP51750491 A JP 51750491A JP 3273785 B2 JP3273785 B2 JP 3273785B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 薬物の吸収 薬物は、その目的とする薬理活性を最大化させるため
には、選択的かつ制御的にその標的に到達しなければな
らない。薬物の活性を最適化する一つの方法は、全身血
液循環系への薬物送達を制御し、持続させることであ
る。経口投与された薬物は腸で吸収されるのが普通であ
る。このような薬物は肝臓と小腸による第1通過排除
(first pass clearance)を受ける。すなわち、薬物は
腸と肝臓によって薬理学的に不活性な代謝物に変換およ
び/または肝臓によって薬物または活性代謝物として胆
汁中に分泌される。その結果、実際に全身循環系に入る
経口投与薬物の量は投与量よりはるかに少なくなること
がある。このような薬物の有効量が循環系に入って体内
の単数または複数の標的部位に到達するのを確実にする
ためには、実際に必要な量より多くの量を投与しなけれ
ばならず、単回投与ではなく少量づつ数回に分けて投与
しなければならないことが多い。また、経口投与薬物は
生体利用性(bioavailability)が低いのが普通であ
る。例えば、経口投与薬物は胃や腸のpHや酵素活性によ
って悪影響を受けることがあり、胃液や腸液に溶解しに
くいこともある。
これらの問題を解決して経口投与薬物の生体利用性を
改善しようとする多くの試みがなされている。一部の経
口投与薬物の生体利用性の有効性は、トリグリセリドや
中性脂肪とともに投与することによって改善されてい
る。このような脂肪は、親油性薬物となじむ環境すなわ
ち水溶性が低い環境である。脂肪はまた、胃や腸で不安
定な薬物の安定性を高める。脂肪消化の最終産物は腸粘
膜の絨毛によって吸収され、リンパ管の1種である中心
乳糜管に入る。吸収は、腸内の薬物代謝が制限されてい
る部分で起きる。吸収された脂肪は最大のリンパ経路で
ある胸管の中を運搬され、続いて血液に入るが、薬物の
第1通過代謝が起きる肝臓に通じている門脈血中には運
搬されない。
グリセオフルビンを高脂肪含有食とともに投与したり
油水乳剤として投与すると、この薬物の吸収が高められ
ることが示されている[クロウンセ(Crounse,R.G.)、
Journal of Investigative Dermatology,37:529(196
1);カリガンとベイツ(Carrigan,P.J.and Bates,T.
R.)、Journal of Pharmacological Science,62:1476
(1973)]。ホルモンであるウンデカン酸テストステロ
ンを落花生油溶液として投与すると、水性微結晶性懸濁
液として投与する場合より生物活性が高くなる[コアー
トら(Coert,A.J.et al.)、Acta Endocrinol,79:789
(1975);ヒルシュハウザーら(Hirschhauser,C.et a
l.)、Acta Endocrinol,80:179(1975)]。この効果
は、このステロイドが門脈血ではなく胸部リンパ経路を
経由して吸収されるためであると考えられる。このよう
にして、肝臓による第1通過排除が回避されるのであ
る。
コレステロール、そのエステル、およびトリグリセリ
ド成分(例えば脂肪酸やモノグリセリド)は胸部リンパ
経路を経由して吸収される。これらの化合物の一部につ
いて、単独でまたは胆汁酸塩の存在下で経口投与薬物の
吸収に及ぼす影響が評価されている。例えば、高血圧の
治療に使われるユビデカレノンを、炭素数12〜18の脂肪
酸およびそのような脂肪酸を含有するモノグリセリドと
から成る混合物とともに経口投与したところ、ユビデカ
レノンを単独で経口投与した後に見られたものより幾分
か高度の薬物吸収が起きた(2.3%に対して8.3%)[タ
キとタカヒラ(Taki,K.and Takahira,H.)、米国特許4,
325,942号(1982年)]。ステロイドであるプロゲステ
ロンをコレステロールまたはそのエステルとともに経口
投与すると、良好な生物活性を持続的に得ることができ
る。これは、胸部リンパ経路を経由するプロゲステロン
の吸収によるものであって門脈循環系を経由するもので
はないと思われる[キンクル(Kincl,F.A.)、Proceedi
ngs of the 6th International Congress of Pharmacol
ogy,5:105(1975)]。
イエサイア(Yesair)は、炭素数12〜18の脂肪酸、こ
れらの脂肪酸のモノグリセリド、および胆汁酸塩が経口
投与されたエストロゲンホルモンの1種エストラジオー
ルの吸収に及ぼす影響を評価した[イエサイア(Yesai
r,D.W.)、PCT WO 83/00294(1983)]。評価された脂
肪酸:モノグリセリド:胆汁酸塩のモル比は10:1:1、1:
1:10、または1:10:1の範囲であった。2:1:2の比が好ま
しいと言われているが、これは胆汁酸塩とカルシウムイ
オンの存在下で腸内で起きるトリグリセリドの酵素消化
によって生じるミセル組成と近い値である。過剰量の胆
汁酸塩が存在すると、2:1:2組成物に組み込まれたエス
トラジオールは胆汁酸塩濃度が高くなったミセル溶液に
移動または分配されうる。エストラジオールの初期血清
中濃度が最初はリンパ系中の濃度より高いという事実に
よって示されるように、このエストラジオールの移動ま
たは分配は薬物の吸収の前に起きた。また、組成物の形
で投与されたエストラジオールの約25〜50%の脂質成分
とともに吸収され、胸部リンパ経路を経由して全身循環
系に入った。
胆汁酸塩は回腸で吸収されるが(ほとんどの脂肪の場
合のように空腸で吸収されるのではない)、胆汁酸塩の
存在が脂肪から胆汁酸塩ミセルへの薬物の移動を強化す
ることによってエストラジオールと脂肪の共吸収が損な
われた。脂肪酸:モノグリセリド:胆汁酸塩が2:1:2の
モル比で存在するミセル組成物中にエストラジオールを
保持しておくためにホスファチジルコリンを使用した。
ホスファチジルコリンが存在しない場合、過剰量の胆汁
酸塩の存在下では、2:1:2ミセル組成物に組み込まれた
エストラジオールの約60%がそれと会合状態のままであ
った。同じ条件下でホスファチジルコリンを用いたとこ
ろ、エストラジオールの約70〜75%は組成物中に保持さ
れたままであった。ところが、この目的でホスファチジ
ルコリンを添加すると、送達系のサイズが大きくなって
しまう。サイズは脂質ミセルの吸収において重要なパラ
メーターであり、ホスファチジルコリンのこの作用は薬
物と脂質の共吸収を妨げることがある。また、過剰量の
ホスファチジルコリンは脂質吸収を低下させることが示
されている[アモンら(Ammon,H.V.et al.)、Lipids,1
4:395(1979);クラーク(Clark,S.B.)、Gastrointes
tinal Physiology,4:E183(1978)]。
薬物の共吸収に使用する脂質処方中に胆汁酸塩が存在
することの影響についても記載されている[ウイルソン
(Wilson,T.H.)、In:Intestinal Absorption,サウンダ
ース(Saunders),(1962);ラックとワイナー(Lac
k,L.and Weiner,I.M.)、American Journal of Physiol
ogy,240:313(1961);アモンら(H.V.Ammon et a
l.)、Lipids,14:395(1979)]。例えば、5−フルオ
ロウラシル(5FU)を単独で投与してもモノオレイン/
タウロコール酸ナトリウム混合ミセル処方として投与し
ても、胃または小腸における5FUの吸収にはほとんど差
が見られなかった。大腸における5−FUの吸収は、単独
で投与したときよりも上記処方として投与したときの方
が大きかった。ストレプトマイシンは腸からの吸収はよ
くない。ムラヌシ(Muranushi)らは、胆汁酸塩、モノ
オレインまたは不飽和脂肪酸から成る混合ミセルはスト
レプトマイシンの小腸からの吸収を改善しなかったが大
腸からの吸収を顕著に強化したことを報告している。こ
の大腸における吸収強化の大部分は、モノオレインまた
は不飽和脂肪酸による粘膜透過性の変化によるものであ
った。一方、胆汁酸塩と飽和脂肪酸の混合ミセルは大腸
からのストレプトマイシン吸収すら少し強化しただけで
あった[ムラヌシら(Muranushi,N.et al.)、Journal
of Pharmaceutics,4:271(1980)]。タニグチら(Tani
guchi et al.)は、モノオレイン/タウロコール酸塩ま
たはオレイン酸/タウロコール酸は単独投与時にはあま
り吸収されないヘパリンの吸収を促進すると報告してい
る[タニグチら(Taniguchi,K.et al.)、Internationa
l Journal of Pharmaceutics,4:219(1980)]。ヘパリ
ンの大腸からの吸収は小腸からの吸収の2倍であった。
大腸における強化を引き起こすのに必要な混合ミセル中
のヘパリン濃度は小腸において必要な濃度の約4分の1
であった。
米国特許4,156,719号においてセゾスキーとムラニシ
(Sezoski and Muranishi)は、吸収されにくい水溶性
薬物の直腸投与用のミセル溶液について述べている。こ
の組成物は炭素数6〜18の脂肪酸および/または同種の
脂肪酸を有するモノまたはジグリセリド、胆汁酸塩また
はその他の非イオン系界面活性剤、および水から成る。
リゾホスファチジルコリン部分を脂肪酸およびモノまた
はジグリセリドに置換することができる。胆汁酸塩:混
合脂質ミセルとして薬物を投与すると、直腸および大腸
からのストレプトマイシンとゲンタマイシンの吸収は同
等であることが報告されている。同様の処方は、十二指
腸における吸収増加効果を示さなかった[ムラヌシら
(Muranushi,S.et al.)、International Journal of P
harmaceutics,2:101(1979)]。十二指腸投与した混合
脂質ミセル濃度が他の経路で投与した濃度の4倍であっ
ても、これら2つの薬物の直腸および大腸からの吸収は
同用量を十二指腸に投与した場合により顕著に大きかっ
た。
本願発明者に付与された特許[米国特許第4,874,795
号、イエサイア(Yesair)]において、特定の脂質成分
を処方された比率で含有する脂質組成物は薬物を全身循
環系に送達させるのに有効であることが示されている。
この脂質組成物には、炭素数14〜18の脂肪酸、炭素数14
〜18の脂肪酸部分を有するモノグリセリド、および炭素
数14〜18の脂肪酸部分を有するリゾホスファチジルコリ
ンが含まれていた。モノグリセリドに対する脂肪酸のモ
ル比は2:1から1:2の範囲での変化が可能であり、リゾホ
スファチジルコリンのモルパーセントは脂質組成物全体
に対するモルパーセントで表わした場合、30.0から1.0
の間の変化が可能であった。この脂質組成物は、その脂
質組成物に薬物を組み込ませた場合、効果的に薬物を全
身循環系に輸送することが示された。この脂質組成物
は、個体の体内で代謝されうる脂肪酸をそれ自体が含ん
でいるので熱源(calorie)としての働きをすることも
示された。
栄養 個体のカロリー要求度は主に体の組成と身体活動水準
によって決まる。医学的に問題のある個体、高齢者、お
よび肉体的ストレスを受けている個体は、体脂肪が少な
くなっていることが多い。したがって、必要エネルギー
(カロリー)は主に外部の供給源から満たされる。
身体活動は筋肉を使い、心臓を含むすべての筋肉のエ
ネルギー要求は主に食事に含まれる脂肪または易動化脂
肪組織脂肪(mobilized adipose fat)に由来する脂肪
酸の酸化によって満たされる。すでに述べたように脂肪
組織脂肪は最低になることがあり、したがって、脂肪が
効果的に吸収されることは医学的に虚弱な人、高齢者、
および身体活動の活発な人のエネルギー要求を満たす上
で重要な要件である。
脂肪吸収は多くの環境において損なわれる可能性があ
る。例えば、外分泌腺の異常である嚢胞性繊維症の場
合、膵臓酵素、胆汁酸塩、および重炭酸塩イオンが欠損
している[Nutrition Reviews,42:344(1984);ロス
(Ross,C.A.)、Archives of Diseases of Childhood,3
0:316(1955);スコウ(Scow,R.O.E.)、Journal of C
linical Investigation,55:908(1975)]。嚢胞性繊維
症患者における脂肪吸収はひどく悪影響を受けることが
あり、摂取された脂肪の30〜60%が吸収不良となること
がある。この吸収不良およびその結果起きる脂肪便症は
膵臓リパーゼの経口投与ではうまく処置できないのが普
通である。患者は脂肪便症を抑制しようとして健康維持
に必要な量より脂肪消費が少なくなることがある。
ストレスの多い条件下では脂肪吸収が損なわれること
がある。また、この問題を解決する方法として一般に認
められているのは脂肪消費を減らすことである。この方
法は、急性と慢性の両方の医学的問題を引き起こす可能
性がある。吸収されやすい脂肪源を利用できるようにな
れば、これらの問題を回避または少なくとも最小限にす
ることができる。
現在、経口投与薬物を全身循環系に輸送するためのよ
り効果的な方法が求められている。この要求は、経口摂
取や腸吸収の障害を有する人や輸送能力が低下している
人にとって特に重要である。同時に、特に緊急のエネル
ギー要求を示す人に対して高カロリー物質を経口投与す
るためのより効果的な方法も求められている。このよう
な効率の向上が実現すれば、より効果的な薬物療法が促
進され栄養安定性が向上するであろう。
発明の概要 本発明は、少なくとも1種類の薬物または吸収されや
すい熱源(calorie)を個体に提供するための組成物に
関する。本発明の基本組成は、(1)少なくとも1種の
炭素数14〜18の非エステル化脂肪酸、(2)グリセリン
と炭素数14〜18の脂肪酸のモノエステルである少なくと
も1種のモノグリセリド、(3)脂肪酸部分に14〜18個
の炭素原子を有するリゾホスファチジルコリン、および
(4)重炭酸塩を有して成る。任意に選ばれる5番目の
組成物成分は胆汁酸塩であり、他の4つの基本組成成分
に加えることができる。本発明の組成物は水性環境中で
コロイド懸濁液を形成するので、混合脂質コロイド粒子
の形を取る。成分(1)〜(4)が組成物として存在す
る場合、該組成物を混合脂質−重炭酸塩組成物(すなわ
ち混合脂質−重炭酸塩コロイド)と呼び、成分(1)〜
(4)に加えて胆汁酸塩が存在する場合は、該組成物は
混合脂質−重炭酸塩−胆汁酸塩組成物(すなわち混合脂
質−重炭酸塩−胆汁酸塩コロイド)と呼ぶ。胆汁酸塩成
分は、粒子状基本組成物のサイズを元のコロイドサイズ
からさらに小さくする必要がある場合に添加する。
いずれのタイプの組成物においても、非エステル化脂
肪酸およびモノグリセリドとリゾホスファチジルコリン
のエステル化脂肪酸部分は飽和であってもよいし不飽和
であってもよい。組成物中の非エステル化脂肪酸が飽和
である場合、十分な量(脂肪酸のモル量の約2分の1)
のカルシウムイオンなどの2価陽イオンを任意に加えて
非エステル化脂肪酸塩をつくることができる。これらの
非エステル化脂肪酸塩は本発明の組成物の非エステル化
脂肪酸部分を形成する。
非エステル化脂肪酸とモノグリセリドは約2:1〜約1:2
のモル比(非エステル化脂肪酸:モノグリセリド)で組
成物中に存在する。非エステル化脂肪酸とモノグリセリ
ドを合わせて考えると、脂質組成物全体の約70.0モルパ
ーセント〜99.0モルパーセントを占める。したがって、
リゾホスファチジルコリンは脂質組成物全体の約30.0モ
ルパーセント〜約1.0モルパーセントを占めることにな
る。
本発明の組成物の成分、すなわち脂肪酸、モノグリセ
リド、リゾホスファチジルコリン、重炭酸塩、および任
意に加えられる胆汁酸塩を水性環境に入れる前に混合し
て混合物にすることができるが、基本組成の脂肪酸、モ
ノグリセリド、およびリゾホスファチジルコリン脂質を
混合した後で水性環境に入れ、続いて重炭酸塩および任
意に胆汁酸塩を加えるのが好ましい。いずれの場合も、
水性環境に混合成分を入れた後、組成物をさらに処理し
てコロイド粒子をつくる。例えば、組成物を剪断操作に
付し、混合または攪拌し、超音波処理またはその他の方
法で適当な力を受けさせることができる。これらのコロ
イド粒子を得るためには、脂肪成分のリゾホスファチジ
ルコリン濃度(すなわち個々の脂質成分の濃度の合計)
を少なくとも約0.1mM以上にして安定な混合脂質粒子の
形成を確実にしなければならない。
基本混合脂質−重炭酸塩組成物において重炭酸塩を加
えることは、水性環境中の組成物の成分間に分子間力が
働いてできるコロイド粒子のサイズを制御する手段とな
る。全脂質のリゾホスファチジルコリンに対する重炭酸
塩のモル比が約1.4:1以下であると、混合脂質−重炭酸
塩コロイド粒子サイズは約120nm以上になる。全混合脂
質中のリゾホスファチジルコリンに対する重炭酸塩のモ
ル比を約2:1から約7:1に上げると、混合脂質−重炭酸塩
コロイド粒子サイズは全混合脂質中のリゾホスファチジ
ルコリンに対する重炭酸塩のモル比の上昇と直接関連し
て約120nmから約70nmに低下する。全混合脂質中のリゾ
ホスファチジルコリンに対する重炭酸塩のモル比を約7:
1以上に上げても、混合脂質−重炭酸塩コロイド粒子サ
イズはもはやそれ以上低下しない。
脂質−重炭酸塩組成物にさらに胆汁酸塩を組み込ませ
ると、得られる混合脂質−重短酸塩−胆汁酸塩コロイド
粒子サイズは混合脂質−重炭酸塩コロイド粒子サイズよ
り小さくなる。例えば、全混合脂質中のリゾホスファチ
ジルコリンに対する重炭酸塩のモル比が少なくとも約7:
1であって、全混合脂質中のリゾホスファチジルコリン
に対する胆汁酸塩のモル比が少なくとも約10:1であれ
ば、混合脂質−重炭酸塩−胆汁酸塩コロイド粒子サイズ
は約10nm以下になる。
本発明の組成物は、脂質処方の混合脂質コロイドの小
腸粘膜への取り込み、それに続くキロミクロンへの合
成、合成されたキロミクロンの胸部リンパ経路への転
送、および最終的な全身循環系(すなわち血流)への輸
送を促進するように設計されている。本発明の対象であ
る組成物は、小腸における脂質の急速かつ定量的な吸収
およびリンパ系を経由する脂質の輸送を促進するという
いくつかの特性を有する。第1に、脂肪酸とモノグリセ
リドについて記載されているモル比範囲は空腸における
それらの吸収に最適である。第2に、本発明の組成物に
含まれている不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸カルシウム
塩は、門脈血を経由するのではなく胸部リンパ経路を経
由して最大に吸収され選択的に輸送されることが示され
ている。第3に、本発明の組成物はキロミクロンとして
の脂質粒子の胸部リンパ経路への転送を強化するリゾホ
スファチジルコリンを含んでいる。第4に、脂質粒子の
サイズを小さくすることで、単位容積あたりの粒子存在
数を増大させることができるとともに個々の粒子の輸送
を容易にする。この粒径の低下は、より高濃度の組織化
脂質粒子の水性環境中の存在を可能ならしめる働きもす
る。
本発明の対象である混合脂質組成物は、単数または複
数の薬物の取り込みと生体利用性を強化するための輸送
ビイクルとして働きうる。本明細書において、薬物とは
生体プロセスに影響するあらゆる薬剤または化学物質
(chemical agentsor chemical substances)であると
する広い定義を行なう。これらの化学物質(chemical s
ubstances)は基本脂質粒子中に一体的に取り込まれ
る。本発明の基本組成物に組み込ませることができる物
質の例としては、診断、治療、または予防の目的で投与
される薬物、親油性プロドラッグ、生物活性ペプチド、
およびその他の生体異物が挙げられる。このような物質
の他の例としては、脂溶性ビタミンなどのビタミン類、
およびその他の代謝的または栄養的価値を有する類似の
物質が挙げられる。この取り込みの強化は、本発明の組
成物に組み込まれた物質が脂質とともに吸収された後に
リンパ系を経由して全身循環系に入ることによって起き
る。肝臓による第1通過排除が回避されるので、該物質
は他の形で吸収されるよりも迅速かつ完全に吸収され
る。したがって、混合脂質−重炭酸塩処方を使用しない
場合と比べて、吸収された投与量のうち血液中に入って
個体の体内の標的部位に到達するために利用可能な量が
多くなる。
本発明の組成物は、例えば高カロリー食品成分を必要
とする人向けに使うことができる易吸収脂肪の高度濃縮
供給源としての働きも可能である。本発明の組成物をこ
のようにして使用する場合、薬物を含まず、非エステル
化脂肪酸、モノグリセリド、およびリゾホスファチジル
コリンを有して成るのが普通である。本発明の組成物は
例えば脂溶性ビタミンを含むことができる。
本発明の組成物は、取り込まれた薬物を例えば胃や上
部腸管における酵素分解と化学分解から保護する安定な
混合脂質コロイドも提供する。さらに、本発明の組成物
の脂質成分が本来有する安定性は組成物を長期間安定さ
せるので、混合脂質−重炭酸塩処方に組み込まれた物質
を安定的に送達するためのビイクルの働きをする。
本発明の混合脂質組成物は下記の方法に従って製造す
ることができる。好ましい態様においては、この方法は
以下のステップを含む。まず、下記の成分を非水性環境
中で混合する。(1)少なくとも1種の炭素数14〜18の
非エステル化脂肪酸、(2)グリセリンと炭素数14〜18
の脂肪酸のモノエステルである少なくとも1種のモノグ
リセリド、および(3)脂肪酸部分に14〜18個の炭素原
子を有するリゾホスファチジルコリン。非エステル化脂
肪酸、モノグリセリド、およびリゾホスファチジルコリ
ンを上記のようなモル比で混合した後、重炭酸塩成分を
含有する水性環境に置く。次に、混合脂質組成物に対し
て、均一サイズの脂質粒子の形成に十分な時間にわたり
十分なエネルギーの剪断力をかける。この剪断力は、脂
質成分と重炭酸塩成分が分離して粒子を形成するほどの
空洞化(cavitation)をこれらの成分を含有する水性環
境に引き起こす。この剪断操作の結果、均質かつ均一サ
イズの混合脂質−重炭酸塩コロイド粒子ができる。
剪断力は、重炭酸塩を混合脂質−水性混合物に添加中
に加えてもよいし、全混合脂質に対する重炭酸塩のモル
比を特定のレベルにするために重炭酸塩を添加した後に
加えてもよい。いずれの場合も、同じ混合脂質−重炭酸
塩コロイド粒子の同一サイズが得られる。
同じ方法を用いて本発明の混合脂質−重炭酸塩−胆汁
酸塩組成物をつくる。ここでも、胆汁酸塩は剪断操作の
前または途中に添加することができる。いずれの場合
も、同じ混合脂質−重炭酸塩−胆汁酸塩コロイド粒子サ
イズが得られる。
重炭酸塩および胆汁酸塩は同時にまたは連続的に水性
環境中の脂質混合物に添加することができる。これらの
添加の順序は重要ではない。重炭酸塩と胆汁酸塩のどち
らを先に添加するかにかかわらず同じ均一な混合脂質−
重炭酸塩−胆汁酸塩コロイド粒子サイズが得られる。10
nm以下の混合脂質−重炭酸塩−胆汁酸塩コロイド粒子サ
イズを得るためには、最終剪断操作の前に、全混合脂質
に対する重炭酸塩のモル比および全混合脂質に対する胆
汁酸塩のモル比を適当にしておかねばならない。
上記の脂質粒子は、トゥイーン80などの生体適合性界
面活性剤を上記処方に添加する場合にも、形成され得
る。このような界面活性剤の添加は、混合脂質−重炭酸
塩コロイド粒子や混合脂質−重炭酸塩−胆汁酸塩コロイ
ド粒子の形成を妨げるものではない。
単数または複数の薬物は、それらを組み込ませた本発
明の混合脂質−重炭酸塩組成物の経口投与によって、個
体に投与することができる。同様に、上記混合脂質−重
炭酸塩組成物を経口投与することによって脂肪酸、モノ
グリセリド、またはリゾホスファチジルコリンの形で熱
源を個体に送達することもできる。いずれの場合も、胆
汁酸塩を混合脂質−重炭酸塩組成物の任意の成分とし
て、個体に経口投与することのできる混合脂質−重炭酸
塩−胆汁酸塩組成物をつくることができる。
従って、本発明は、 (1) 下記成分を有する、薬物送達またはカロリー提
供用の組成物、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸とモノグリセリドを合わせると、脂
質組成物の70.0モルパーセントから99.0モルパーセント
を占め、そして該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモ
ル比は2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジル
コリンは該脂質組成物の30.0モルパーセントから1.0モ
ルパーセントを占める、そして ここで、この組成物は水性環境中でコロイド粒子を形
成している、 (2) 該リゾホスファチジルコリンの濃度が、該水性
環境中で少なくとも0.1mMであり、かつ該重炭酸塩の該
リゾホスファチジルコリンに対するモル比が該水性環境
中で1:1を越えるものである、前記(1)記載の組成
物、 (3) 該重炭酸塩の該リゾホスファチジルコリンに対
するモル比が1.4:1を越えるものである、前記(2)記
載の組成物、 (4) 該重炭酸塩の該リゾホスファチジルコリンに対
するモル比が7:1を越えるものである、前記(3)記載
の組成物、 (5) 胆汁酸塩の該リゾホスファチジルコリンに対す
るモル比が該水性環境中で少なくとも10:1である、胆汁
酸塩をさらに有する、前記(4)記載の組成物、 (6) 該胆汁酸塩がタウロコール酸ナトリウムであ
る、前記(5)記載の組成物、 (7) 下記成分を有する、薬物送達またはカロリー提
供用の組成物、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比
は1:1であり、かつ該リゾホスファチジルコリンの該脂
肪酸と該モノグリセリドの和に対するモル比は1:6であ
り、そしてここで、この組成物は水性環境中でコロイド
粒子を形成している、 (8) 下記成分を有し、その中に組み込まれた薬物の
吸収を高める組成物、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
ァチジルコリン、 d.重炭酸塩、並びに e.薬物、 ここで、該脂肪酸とモノグリセリドを合わせると、脂
質組成物の70.0モルパーセントから99.0モルパーセント
を占め、そして該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモ
ル比は2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジル
コリンは該脂質組成物の30.0モルパーセントから1.0モ
ルパーセントを占める、そして ここで、この組成物は水性環境中でコロイド粒子を形
成している、 (9) 該薬物が脂溶性薬物である、前記(8)記載の
組成物、 (10) 該薬物がフェンレチンアミドまたはジルチアゼ
ムである、前記(9)記載の組成物、 (11) 下記の工程を有する方法により製造される、薬
物送達またはカロリー提供用の組成物、 a.下記成分からなる処方で混合する工程、 i.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
ステル化脂肪酸、 ii.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸
のモノエステルである少なくとも1種のモノグリセリ
ド、および iii.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホス
ファチジルコリン、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比
は2:1から1:2であり、かつ該リゾホスファチジルコリン
の量は、この処方の総脂質の1.0モルパーセントから30.
0モルパーセントを占める、 b.脂肪酸、モノグリセリドおよびリゾホスファチジルコ
リンの混合物を、重炭酸塩を含む水性環境中に置く工
程、そして c.該組成物が、均質かつ均一な粒子を形成するように剪
断力を該混合物に加える工程、 (12) 該剪断力を加える前に、該水性環境に胆汁酸塩
の添加をさらに行なう、但し、この処方の該リゾホスフ
ァチジルコリンに対する該胆汁酸塩のモル比は少なくと
も10:1である、前記(11)記載の組成物、 (13) 薬物を下記成分を有する組成物中に組み込むこ
とを特徴とする薬物送達用製剤の製造における該組成物
の使用方法、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比
は2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジルコリ
ンは、この組成物中の総脂質の30.0モルパーセントから
1.0モルパーセントを占める、そして、ここでこの組成
物は水性環境中でコロイド粒子を形成している、 (14) 該組成物がさらに胆汁酸塩を有し、該胆汁酸塩
の該リゾホスファチジルコリンに対するモル比は少なく
とも10:1である、前記(13)記載の使用方法、 (15) 遊離脂肪酸、モノグリセリドおよびリゾホスフ
ァチジルコリンに由来する、容易に吸収可能なカロリー
の送達用製剤の製造における、下記の成分を有する組成
物の使用方法、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比
は2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジルコリ
ンは、この組成物中の総脂質の30.0モルパーセントから
1.0モルパーセントを占める、そして ここで、この組成物は水性環境中でコロイド粒子を形
成している、 (16) 該組成物がさらに胆汁酸塩を有し、該胆汁酸塩
の該リゾホスファチジルコリンに対するモル比は少なく
とも10:1である、前記(15)記載の使用方法、 (17) 皮膚への局所応用のための薬剤の製造におけ
る、下記の成分を有する混合脂質−重炭酸塩組成物の使
用方法、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比
は2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジルコリ
ンは、この組成物中の総脂質の30.0モルパーセントから
1.0モルパーセントを占める、そして ここで、この組成物は水性環境中でコロイド粒子を形
成している、 (18) 個体の胃腸管における、薬物の混合脂質輸送性
の下記工程を有する評価方法、 a.下記成分を有する組成物を調製する工程、 i.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
ステル化脂肪酸、 ii.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸
のモノエステルである少なくとも1種のモノグリセリ
ド、 iii.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホス
ファチジルコリン、および iv.該薬物、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比
は2:1から1:2であり、かつ該リゾホスファチジルコリン
の量は、この処方の総脂質の1.0モルパーセントから30.
0モルパーセントを占める、 b.脂肪酸、モノグリセリドおよびリゾホスファチジルコ
リンおよび薬物を、重炭酸塩を含む水性環境中に置く工
程、 c.混合脂質(薬物)重炭酸塩コロイド粒子を形成せしめ
るために剪断力を該混合物に加える工程、 d.該粒子をサイズ排除クロマトグラフィーカラムにかけ
る工程、 e.該サイズ排除クロマトグラフィーカラムから該粒子を
溶出させる工程、そして f.溶出された粒子の溶出プロフィルを決定する工程、こ
こで該粒子と共に溶出する薬物は該胃腸管中で安定に輸
送が可能であると評価する、並びに (19) 該剪断力を加える前に、該水性環境に胆汁酸塩
をさらに添加する、但し、この処方の該リゾホスファチ
ジルコリンに対する該胆汁酸塩のモル比は少なくとも1
0:1である、前記(18)記載の評価方法 に関する。
図面の簡単な説明 図1は、混合脂質処方の表面張力と混合脂質処方中の
リゾホスファチジルコリン(および混合脂質)のモル濃
度の関係を示すグラフである。
図2は、混合脂質処方の粒子サイズまたは表面張力と
水性環境中の重炭酸ナトリウムの量の関係を示すグラフ
である。
図3は、混合脂質処方の粒子サイズと水性環境中の胆
汁酸塩の1種タウロコール酸ナトリウムの量の関係を示
すグラフである。
図4は、混合脂質処方の粒子サイズまたは表面張力と
重炭酸塩と胆汁酸塩の1種タウロコール酸ナトリウムの
組み合わせの関係を示すグラフである。
図5は、混合脂質(フェンレチンアミド)−重炭酸
塩、混合脂質(フェンレチンアミド)−重炭酸塩−胆汁
酸塩、および遊離フェンレチンアミドのセファロース4B
カラムからの溶出パターンを示すグラフである。
図6は、混合脂質−重炭酸塩処方とジルチアゼム(薬
物A)およびヒドロクロロチアジド(薬物B)を含有す
る混合脂質−重炭酸塩−胆汁酸塩処方のセファロース4B
カラムからの溶出パターンを示すグラフである。
発明の詳細な説明 本発明の組成物は、非エステル化脂肪酸、それら脂肪
酸のモノグリセリド、脂肪酸部分にそれらの脂肪酸を有
するリゾホスファチジルコリン、および重炭酸塩を有し
て成る。本発明の組成物の成分は、脂肪酸の吸収特性と
輸送特性、脂質組成物中の薬物の可溶化へのリゾホスフ
ァチジルコリンの寄与、安定なサブミクロンサイズの脂
質含有粒子の存在ならびに吸収された脂肪のリンパ経路
への転送(門脈循環への転送ではない)を可能ならしめ
る重炭酸塩の物性に基づいて選択される。
飽和脂肪酸の吸収はその脂肪酸の炭素原子数に反比例
することが示されている。例えばデカン酸(10:1、鎖長
と不飽和度を示す)はほぼ定量的に吸収される。ラウリ
ン酸(12:0)の場合、吸収率は95%以上であり、ミリス
チン酸(14:0)では80〜90%、パルミチン酸(16:0)で
は65〜70%、ステアリン酸(18:0)では30〜45%であ
る。不飽和脂肪酸(例えばリノール酸18:2)のリンパ経
路への吸収は、飽和脂肪酸の場合より急速かつ程度が大
きいことが示されている[タニグチ(Taniguchi,K.)、
International Journal of Pharmaceutics,4:219(198
0)]。
吸収された脂肪酸のリンパ経由輸送(門脈循環系への
輸送ではない)は大きく異なる。すなわち、吸収された
不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸の場合よりはるかに大きな
割合がリンパ経路中に運ばれることが示されている。不
飽和脂肪酸の約85%はリンパ経路中に運ばれることが示
されている[ミウラら(Miura,S.et al.)、Keio Journ
al of Medicine,28:121(1979)]。これらの吸収脂肪
酸がリンパ経路中に運ばれる量も鎖長と反比例し、ミリ
スチン酸では68〜80%、パルミチン酸とステアリン酸で
は85%である。
本発明の組成物に飽和脂肪酸を含ませる場合、カルシ
ウム塩または他の陽イオンの塩として含ませることがで
きる。その理由は、飽和脂肪酸を放出するトリグリセリ
ドの酵素的加水分解が飽和脂肪酸のカルシウムセッケン
形成に好適であるからである[タクとグリゴール(Tak,
Y.A.and Grigor,M.R.)、Biochimica Biophysica Acta,
531:257(1978)]。
吸収された脂肪のリンパ経路への転送は、リゾホスフ
ァチジルコリンを必要とすることが示されている。吸収
された脂肪の転送の速度(程度ではない)は明らかにリ
ゾホスファチジルコリンの脂肪酸部分と関係がある。例
えば、オレオイルリゾホスファチジルコリンは、主に飽
和脂肪酸(例えばC16:0のパルミチン酸、C18:0のステア
リン酸)から成るホスファチジルコリンに由来するリゾ
ホスファチジルコリンの作用と比べて、リンパ経路へ輸
送された脂肪中のトリグリセルドとリン脂質を100%増
加させる。本発明の組成物に不飽和リゾホスファチジル
コリンを組み込ませると、吸収された脂質および共に吸
収された薬物またはその他の物質の転送が強化される。
また、リゾホスファチジルコリンは一部薬物の可溶化に
おいて役目を果たす(すなわちその存在は本発明の組成
物中の薬物の溶解度を上げる)。
本発明の組成物に使用することのできる不飽和脂肪酸
の例としては下記のものが挙げられる。
パルミトール酸 C16H30O2 16:1 オレイン酸 C18H34O2 18:1 リノール酸 C18H32O2 18:2 リノレン酸 C18H30O2 18:3 本発明の組成物に使用することのできる飽和脂肪酸の
例としては下記のものが挙げられる。
ミリスチン酸 C14H28O2 14:0 パルミチン酸 C16H32O2 16:0 ステアリン酸 C18H36O2 18:0 これらの不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸は単独でまた
は組み合わせて存在することができる。すなわち、脂質
成分(脂肪酸、モノグリセリド、およびリゾホスファチ
ジルコリン)のうちの1種以上のものの脂肪酸成分を同
定することができ、好ましい脂肪酸群のうちの不飽和お
よび/または飽和のものの混合物であってもよい。
非エステル化脂肪酸およびモノグリセリドは、約2:1
から1:2のモル比(非エステル化脂肪酸:モノグリセリ
ド)が得られる量で存在している。
また、本発明の組成物はリゾホスファチジルコリンを
有し、その脂肪酸部分は14〜18個の炭素原子を有し、好
ましくは不飽和である。リゾホスファチジルコリンの脂
肪酸成分は上記したもののうちの1種であることが好ま
しい。本発明の組成物中のリゾホスファチジルコリンの
量は、本発明の組成物中で投与される薬物の可溶化を強
化するのに要する量および転送においてそれが果たす役
割に必要な量によって決める。一般に、リゾホスファチ
ジルコリンは組成物全体の約1.0モル%ないし約30.0モ
ル%を占める。本発明の組成物を構成する脂肪酸(非エ
ステル化脂肪酸としてでもモノグリセリドまたはリゾホ
スファチジルコリンの成分としてでもよい)、いずれも
同じものであってもよく、複数の異なるものが含まれて
いてもよい。
上記脂肪酸、モノグリセリド、およびリゾホスファチ
ジルコリンを含む脂質処方は、加熱して手で振とうする
と蒸留水の存在下で膨潤する。最終的にゼラチン様基質
ができるが、これを偏光顕微鏡で見ると結晶性であるよ
うに思われる。0.1NのHClまたはpH7.0のリン酸緩衝液の
存在下では、これらの脂質処方を加熱して手で振とうし
ても蒸留水の存在下で膨潤せず、これらの溶液中で大型
の油/固体粒子のままである。一方、これらの脂質処方
を蒸留水と水溶性胆汁酸塩の存在下で加熱して手で振と
うすると、偏光顕微鏡で見てミクロンサイズの粒子がで
きる。これらの観察結果から、水性媒体中のイオン性物
質はこれらの脂質処方からできた粒子のサイズと構成に
影響するという結論が導かれる。特に、陰イオン性物質
は脂質粒子の形成、構成、サイズを大きく変化させる。
胆汁酸塩以外に小腸上部に見られる主要陰イオンは重
炭酸塩であることが知られている。この陰イオンが十分
な量で脂質処方の水性媒体中に存在するとサブミクロン
粒子をつくることができることがわかった。重炭酸塩を
脂質成分と直接混合することによって、または好ましく
は重炭酸ナトリウムや重炭酸カリウムなどのこの陰イオ
ンの塩を、組成物のあらかじめ混合しておいた本発明の
組成物の脂質成分を入れておいた水性環境中に溶解する
ことによって、重炭酸塩を本発明の組成物に組み込ませ
る。混合脂質コロイド粒子を剪断操作によってつくると
きに、重炭酸塩は一体的に粒状組成物に取り込まれる。
水性環境中に十分な量の胆汁酸塩がさらに存在する
と、すでにサブミクロンサイズとなっていた粒子のサイ
ズをさらに小さくすることができる。混合脂質−重炭酸
塩コロイド粒子のサイズを小さくする胆汁酸塩の例とし
ては、タウロコール酸ナトリウムとグリココール酸ナト
リウムが挙げられる。胆汁酸塩は非水性混合脂質−重炭
酸塩混合物に加えることができるが、脂質成分と重炭酸
塩をすでに合わせておいた水性環境に加えるのが好まし
い。次いで、剪断操作によって組成物のコロイド粒子が
できるときに、胆汁酸塩が粒子に取り込まれる。
本発明の組成物は下記の方法によって予備的に作成す
る。加熱条件または加熱しない条件下で成分脂質を秤
量、混合して均質液体を得る。薬物を組み込ませる場
合、加熱条件または加熱しない条件下でその薬物を脂質
混合物に添加、溶解させる。混合物が液体状態で存在す
るのに適当な温度で固形物がまったくないこと、および
シュリーレン(schleiren)がみられないことが均一な
状態の目安となる。脂質混合物中に薬物が含まれている
場合、その薬物濃度が高くなればシュリーレン効果(sc
hleiric effect)はより顕著になる。処方は数回の凍結
融解サイクルに対して安定であり、固形物やシュリーレ
ン(schleirin)が現われたら処方が不安定になったこ
とを示す。
第2の予備的な処方作成方法は、成分脂質および薬物
が含まれる場合はその薬物成分を溶媒または溶媒混合物
に溶解し、均質になるように混合する。溶媒は真空中で
または他の適当な方法によって除去する。適当な処方の
基準は上記と同様である。
所定量の上記予備処方を水性環境に入れる。この水性
環境は主に水である。基本組成を変えない範囲で他の物
質を存在させることができる。これらの他の物質の例と
しては、pH緩衝剤、アミノ酸、アルブミンやカゼインな
どのタンパク質、キサンチンガムやアラビアゴムなどの
増粘剤などが挙げられる。これらその他の物質の存在に
関する唯一の基準は、組成物の各成分に対して組成物の
コロイド粒子を形成させる作用を実質的に妨げたり変化
させたりしないことである。
重炭酸塩を水性環境に添加するときは、予備処方を水
性環境に入れる前または後に所定量の重炭酸塩と水性環
境に溶解することによって行う。
次いで、水性環境中の成分脂質混合物に適当な手段に
よる剪断力を加える。通常は、これらの剪断力は超音波
処理装置(sonicator)またはマイクロフルイダイザー
(microfluidizer)によって得られる。剪断操作は、適
当なエネルギーにて、希望するサイズの均一な脂質含有
粒子を得るのに十分な時間にわたって行なう。以下に示
す実施例で述べるように、脂質処方の量に対する重炭酸
塩の量は混合脂質−重炭酸塩コロイド粒子の最終サイズ
を決める際に重要である。モル比が1.4:1(重炭酸塩:
混合脂質処方)以下になると、混合脂質−重炭酸塩コロ
イド粒子サイズは約120nmより大きくなる。モル比が1.
4:1と7:1の間になると、混合脂質−重炭酸塩コロイド粒
子サイズは混合脂質処方に対する重炭酸塩のモル比に応
じて約120nmと約70nmの間になる。重炭酸塩は、剪断操
作を行なう際に、徐々に加えてもよいし全量を一時に加
えてもよい。あるいは、剪断操作を行なう前に重炭酸塩
を加えてもよい。
より小さいサブミクロン粒子を得るために、重炭酸塩
の添加の前、同時、または後に適当なモル比(胆汁酸
塩:混合脂質処方)で胆汁酸塩を水性媒体に加えること
ができる。混合脂質処方に対する胆汁酸塩のモル比およ
び混合脂質処方に対する重炭酸塩のモル比は、それらの
それぞれが少なくとも約1:1(すなわち胆汁酸塩濃度ま
たは重炭酸塩濃度は少なくとも混合脂質濃度と同じでな
ければならない)であれば、いかなる値を取ってもよ
い。すなわち、胆汁酸塩:混合脂質処方のモル比と重炭
酸塩:混合脂質処方のモル比を独立に変化させて、混合
脂質−重炭酸塩−胆汁酸塩コロイド粒子サイズを変化さ
せることができる。しかし、10nm以下の混合脂質−重炭
酸塩−胆汁酸塩コロイド粒子を得るためには、混合脂質
処方に対する胆汁酸塩のモル比は少なくとも約10:1であ
って、混合脂質処方に対する重炭酸塩のモル比は少なく
とも7:1でなければならない。ここでも、胆汁酸塩は剪
断操作を行なう前または実施中に徐々に加えてもよい
し、全量を一時に加えてもよい。
すでに述べたように、本発明の組成物は薬物を含むこ
ともでき、その薬物は生体プロセスに作用するどのよう
な薬剤または化学物質(chemical agent or chemical s
ubstance)であってもよい。これらの物質としては、診
断、治療、または予防の目的で投与される薬物、親油性
プロドラッグ、脂溶性ビタミンなどの栄養物、およびそ
の他の生体異物が挙げられるが、これらの例に限定され
ない。
生体適合性界面活性剤を脂質処方と重炭酸塩を含有す
る(胆汁酸塩も任意に含有することがある)水性媒体に
いつでも添加することができる。生体適合性界面活性剤
の例としては、トゥイーン20やトゥイーン80などが挙げ
られる。これらの界面活性剤は剪断操作の前または後に
添加することができる。
混合脂質−重炭酸塩コロイド粒子または混合脂質−重
炭酸塩−胆汁酸塩コロイド粒子は安定であり、通常の保
存条件下で保存することができる。これらの組成物のい
ずれかに薬物を組み込ませると、コロイド粒子は薬物含
有粒子の個体への経口投与後に薬物を腸粘膜細胞に輸送
するためのビイクルの働きをする。これらの薬物含有コ
ロイド粒子は、例えば組み込まれた薬物の特定用量を経
口投与するため、個別容器に包装することができる。薬
物含有コロイド粒子の経口投与を行なうためには、各人
がこの包装容器を開封してその中身をのむだけでよい。
同様に、混合脂質−重炭酸塩組成物または混合脂質−
重炭酸塩−胆汁酸塩組成物は、薬物を組み込まない状態
で投与した場合、熱源供給源としての働きもする。ここ
でも、各人が一定量の混合脂質処方の入った容器の中身
をのむだけで目的の組成物の経口投与ができる。
薬物成分の有無にかかわらず、混合脂質−重炭酸塩組
成物または混合脂質−重炭酸塩−胆汁酸塩組成物は個体
の皮膚に局所応用することもできる。このような塗布は
目的の如何を問わず皮膚表面に対して脂質、および薬物
が含まれている場合はその薬物の供給源となる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する
が、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではな
い。
実施例1 脂質処方のサブミクロンサイズ粒子の形成 下記の脂質を混合して、ダイズリゾホスファチジルコ
リン(LPC)、18:1モノオレインモノグリセリド(M
G)、および18:1オレイン酸脂肪酸(FA)から成る非水
性脂質混合物を得た。これらの脂質の入手先は、LPCがA
vanti Polar Lipids,5001A Whitling Drive,Pelhem,AL
35124、MGとFAがNu−Chek−Prep,Inc.,P.O.Box 295,Ely
sian,MN 56028であった。これらの脂質成分のモル比はL
PC:MG:FA=1:3:3であった。この非水性脂質混合物を10
-3から1mMの範囲のLPC濃度で水に加えた。LPC:MG:FAの
モル比は1:3:3であったので、水性環境中の全脂質混合
物モル濃度も10-3〜1mMの範囲であった。次いで、これ
らの処方をプローブ超音波処理(Cole−Parmer社製4710
シリーズにS&M社製10 86チップを取付けたもの、フ
ルパワー出力で1.25分)に付した。ドロップ間の時間を
測定することによってこれらの混合脂質処方の表面張力
(dynes/cm)を求めた。この手法を用いて、この混合脂
質処方の臨界ミセル濃度は約0.1mMであることがわかっ
た(図1参照)。
プローブ超音波処理を行った後、水中のLPC:MG:FA=
1:3:3の処方の1.5mA濃度のLPC(および全脂質混合物)
の粒子サイズを測定した。粒子サイズは、ナイコンプ社
製アナライザ(Nicomp Analyzer)またはブルックヘブ
ン社製パーティクルサイザー(Brookhaven Particle Si
zer)のいずれかを用いて測定した。最初のプロープ超
音波処理後の粒子サイズは約170nmであった。重炭酸ナ
トリウム(NaHCO3)を徐々に加え、超音波処理を続け、
粒子サイズをモニターした。脂質処方に対する重炭酸塩
のモル比(重炭酸塩:脂質)を1.4:1に近付けると、粒
子サイズは約120nmに近付いた。重炭酸塩:脂質のモル
比を7:2に上げたところ、粒子サイズは約70nmに低下し
た。これらの重炭酸塩:脂質のモル比の間では、中間サ
イズの粒子の脂質処方が見られた(図2参照)。重炭酸
塩:脂質のモル比をさらに上げたところ、粒子サイズは
あまり変化しなかった。
別の実験においては、第1の実験で使用したものと同
じ入手先から入手したダイズリゾホスファチジルコリ
ン、18:1モノオレインモノグリセリド、および18:1オレ
イン酸脂肪酸を混合して、LPC:MG:FA=1:3:3のモル比を
有する非水性脂質混合物を得た。LPC(および全脂質混
合物)のモル濃度が約1.7mMになるようにこの非水性脂
質混合物を水に加えた。次いで、この処方をプローブ超
音波処理(Cole−Parmer社製超音波処理装置)またはマ
イクロフルイダイザー(モデル110T、70psiで2回通
過)の作用による剪断に付した。剪断操作後の1:3:3処
方の粒子サイズは約150nmであった。胆汁酸塩であるタ
ロウコール酸ナトリウムを徐々に加え、剪断を続けた。
胆汁酸塩を添加しながら粒子サイズをモニターした。胆
汁酸塩がモノマー状態(すなわち約5mM未満)の間は、
粒径は約100nmまで下がり、混合脂質に対する胆汁酸塩
のモル比は約5:1となった。さらに胆汁酸塩を加えたと
ころ、胆汁酸塩が主にミセル状態(すなわち約5mMを越
えた場合)のときに、この処方の粒子サイズは約50nmに
低下し、混合脂質に対する胆汁酸塩のモル比は約9:1と
なった。これらの胆汁酸塩:混合脂質モル比の間では、
中間サイズの粒子の脂質処方が見られた(図3参照)。
超音波処理しながら重炭酸塩を後者の実験の処方に加
えたところ、重炭酸塩:脂質のモル比が少なくとも7:1
に上がるのにともない、粒子サイズはさらに低下して約
10nm以下となった。超音波処理しながら胆汁酸塩である
タウロコール酸ナトリウムを第2の実験の処方に加えた
ところ、胆汁酸塩:脂質のモル比が10:1に上がるのにと
もない、すなわち胆汁酸塩が臨界ミセル濃度に到達する
のにともない(ミセル状態に到達)、粒子サイズはさら
に低下して約10nm以下になった。すなわち、重炭酸塩イ
オンと胆汁酸塩の両者が最小サイズの脂質処方粒子の形
成に最適な濃度に到達したとき、粒子サイズは約10nm以
下となった(図4参照;LPC:MG:FA=1:3:3の処方の場
合、LPCおよび全脂質混合物の濃度は約2.7mMであっ
た)。
実施例2 コロイド粒子への薬物の組み込み 溶媒調製法を用いて、混合脂質LPC:MG:FA(モル比1:
3:3)にフェンレチンアミドを処方した。フェンレチン
アミドのモル濃度は混合脂質(薬物)処方におけるLPC
(および全脂質混合物)に対して0.8であった。LPC(お
よび全脂質混合物)濃度が約1.3mMになるようにこの非
水性混合脂質(薬物)処方を水性環境に入れた。この水
性環境は12.5mM濃度の重炭酸塩(すなわち重炭酸塩:混
合脂質中LPCのモル比が約10:1)またはそれぞれ12.5mM
濃度の重炭酸塩と胆汁酸塩(すなわち混合脂質:重炭酸
塩:胆汁酸塩中のLPCのモル比が1:10:10)のいずれかを
含んでいた。重炭酸塩のみまたは重炭酸塩と胆汁酸塩を
含むこの混合脂質(フェンレチンアミド)のコロイド粒
子は、実施例1に述べた方法で作成した。この薬物は本
来疎水性であり、混合脂質−重炭酸塩処方または混合脂
質−重炭酸塩−胆汁酸塩処方の炭化水素部分に存在する
傾向がある。セファロース4Bカラム上のサイズ排除(si
ze exclusion)クロマトグラフィーを行なったところ、
薬物は混合脂質−重炭酸塩粒子または混合脂質−重炭酸
塩−胆汁酸塩粒子と会合したままであった(図5参
照)。遊離薬物すなわち粒子が存在しない状態の薬物
は、図5に‘遊離薬物(free drug)’として示した部
分に異なった溶出プロフィルを示しながらカラムから溶
出された。サイズ排除カラムから溶出される前の滞留時
間が長いことから、混合脂質(薬物)−重炭酸塩粒子と
比べて混合脂質(薬物)−重炭酸塩−胆汁酸塩粒子の方
がサイズが小さいことがわかる。
溶媒調製法を用いて、ベンゾチアゼピンの1種である
ジルチアゼムを、混合脂質LPC:MG:FA(モル比1:3:3)と
共に処方した。重炭酸塩のみまたは重炭酸塩と胆汁酸塩
を含むこの混合脂質(ジルチアゼム)のコロイド粒子は
先の実験で述べた方法によって作成した。この薬物は本
来疎水性であり、混合脂質−重炭酸塩処方の炭化水素部
分に存在する傾向がある。セファロース4Bカラム上のサ
イズ排除クロマトグラフィーを行なったところ、薬物は
混合脂質−重炭酸塩粒子および混合脂質−重炭酸塩−胆
汁酸塩粒子と会合したままであった。遊離薬物すなわち
粒子が存在しない状態の薬物がカラムから溶出され、混
合脂質−重炭酸塩粒子と会合した薬物と比べて異なった
溶出プロフィルが得られた。(図6の薬物Aおよび‘遊
離薬物’参照)。
別の実験において、溶媒調製法を用いて、ヒドロクロ
ロチアジド(HCTZ)を、混合脂質LPC:MG:FA(モル比1:
3:3)と共に処方した。モノグリセリドと脂肪酸だけの
存在下ではこの薬物はそれ自体不溶性であるが、この混
合脂質(HCTZ)処方に重炭酸塩を加えたもののコロイド
粒子を本実施例の第1の実験に述べた方法によって作成
した。これらの混合脂質(HCTZ)重炭酸塩粒子をセファ
ロース4Bカラム上でサイズ排除クロマトグラフィーを行
なったところ、遊離HCTZとしてのHCTZの溶出プロフィル
が得られた。このことは、HCTZはおそらく混合脂質−重
炭酸塩処方の極性部分に存在し、重炭酸塩が存在すると
遊離薬物になることを示している。次に、先の実験の混
合脂質(HCTZ)処方および混合脂質(ジルチアゼム)処
方をそれぞれの処方の重量比が約1:5になるように混合
した。次いで、この‘超混合物(super mixture)’を
重炭酸塩水溶液または重炭酸塩−胆汁酸塩水溶液中で超
音波処理し、得られた物質をサイズ排除クロマトグラフ
ィーによってセファロース4Bカラムから溶出させた。混
合脂質(ジルチアゼム)−重炭酸塩コロイド粒子または
混合脂質(ジルチアゼム)−重炭酸塩−胆汁酸塩コロイ
ド粒子(図6の薬物A)および遊離HCTZ(図6の薬物
B)を溶出させた。これらの結果は、混合脂質(薬物)
−重炭酸塩コロイド粒子または混合脂質(薬物)−重炭
酸塩−胆汁酸塩コロイド粒子を作成するこの手法をサイ
ズ排除クロマトグラフィーと組み合わせて用いれば、胃
腸管環境に対する混合脂質−薬物処方の安定性を知るこ
とができることを示している。
実施例3 コロイド粒子の皮膚塗布 実施例1の混合脂質処方にさらにカゼイン(脂質混合
物に対する重量比1〜2%のカゼイン)または可視光染
料または蛍光染料を混合した。実施例1に述べた方法に
より重炭酸塩とコロイド粒子の混合物を作成した。これ
らのコロイド粒子を皮膚に局所塗布した。この塗布の後
で皮膚表面に残ったコロイド脂質は、例えば軟らかさや
皮膚表面撥水性などの好ましい感触を与えた。可視光染
料または蛍光染料を含んだコロイド粒子は洗剤によって
皮膚表面から可溶化された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/14 A61K 9/107 A61K 47/02 A61K 47/12 A61K 47/24

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記成分を有する、薬物送達またはカロリ
    ー提供用の組成物、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
    ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
    モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
    ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸とモノグリセリドを合わせると、脂質
    組成物の70.0モルパーセントから99.0モルパーセントを
    占め、そして該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル
    比は2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジルコ
    リンは該脂質組成物の30.0モルパーセントから1.0モル
    パーセントを占める、そして ここで、この組成物は水性環境中でコロイド粒子を形成
    している。
  2. 【請求項2】該リゾホスファチジルコリンの濃度が、該
    水性環境中で少なくとも0.1mMであり、かつ該重炭酸塩
    の該リゾホスファチジルコリンに対するモル比が該水性
    環境中で1:1を越えるものである、請求項1記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】該重炭酸塩の該リゾホスファチジルコリン
    に対するモル比が1.4:1を越えるものである、請求項2
    記載の組成物。
  4. 【請求項4】該重炭酸塩の該リゾホスファチジルコリン
    に対するモル比が7:1を越えるものである、請求項3記
    載の組成物。
  5. 【請求項5】胆汁酸塩の該リゾホスファチジルコリンに
    対するモル比が該水性環境中で少なくとも10:1である、
    胆汁酸塩をさらに有する、請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】該胆汁酸塩がタウロコール酸ナトリウムで
    ある、請求項5記載の組成物。
  7. 【請求項7】下記成分を有する、薬物送達またはカロリ
    ー提供用の組成物、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
    ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
    モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
    ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比は
    1:1であり、かつ該リゾホスファチジルコリンの該脂肪
    酸と該モノグリセリドの和に対するモル比は1:6であ
    り、そしてここで、この組成物は水性環境中でコロイド
    粒子を形成している。
  8. 【請求項8】下記成分を有し、その中に組み込まれた薬
    物の吸収を高める組成物、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
    ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
    モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
    ァチジルコリン、 d.重炭酸塩、並びに e.薬物、 ここで、該脂肪酸とモノグリセリドを合わせると、脂質
    組成物の70.0モルパーセントから99.0モルパーセントを
    占め、そして該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル
    比は2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジルコ
    リンは該脂質組成物の30.0モルパーセントから1.0モル
    パーセントを占める、そして ここで、この組成物は水性環境中でコロイド粒子を形成
    している。
  9. 【請求項9】該薬物が脂溶性薬物である、請求項8記載
    の組成物。
  10. 【請求項10】該薬物がフェンレチンアミドまたはジル
    チアゼムである、請求項9記載の組成物。
  11. 【請求項11】下記の工程を有する方法により製造され
    る、薬物送達またはカロリー提供用の組成物、 a.下記成分からなる処方で混合する工程、 i.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
    ステル化脂肪酸、 ii.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸
    のモノエステルである少なくとも1種のモノグリセリ
    ド、および iii.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホス
    ファチジルコリン、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比は
    2:1から1:2であり、かつ該リゾホスファチジルコリンの
    量は、この処方の総脂質の1.0モルパーセントから30.0
    モルパーセントを占める、 b.脂肪酸、モノグリセリドおよびリゾホスファチジルコ
    リンの混合物を、重炭酸塩を含む水性環境中に置く工
    程、そして c.該組成物が、均質かつ均一な粒子を形成するように剪
    断力を該混合物に加える工程。
  12. 【請求項12】該剪断力を加える前に、該水性環境に胆
    汁酸塩の添加をさらに行なう、但し、この処方の該リゾ
    ホスファチジルコリンに対する該胆汁酸塩のモル比は少
    なくとも10:1である、請求項11記載の組成物。
  13. 【請求項13】薬物を下記成分を有する組成物中に組み
    込むことを特徴とする薬物送達用製剤の製造における該
    組成物の使用方法、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
    ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
    モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
    ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比は
    2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジルコリン
    は、この組成物中の総脂質の30.0モルパーセントから1.
    0モルパーセントを占める、そして、ここでこの組成物
    は水性環境中でコロイド粒子を形成している。
  14. 【請求項14】該組成物がさらに胆汁酸塩を有し、該胆
    汁酸塩の該リゾホスファチジルコリンに対するモル比は
    少なくとも10:1である、請求項13記載の使用方法。
  15. 【請求項15】遊離脂肪酸、モノグリセリドおよびリゾ
    ホスファチジルコリンに由来する、容易に吸収可能なカ
    ロリーの送達用製剤の製造における、下記の成分を有す
    る組成物の使用方法、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
    ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
    モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
    ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比は
    2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジルコリン
    は、この組成物中の総脂質の30.0モルパーセントから1.
    0モルパーセントを占める、そして ここで、この組成物は水性環境中でコロイド粒子を形成
    している。
  16. 【請求項16】該組成物がさらに胆汁酸塩を有し、該胆
    汁酸塩の該リゾホスファチジルコリンに対するモル比は
    少なくとも10:1である、請求項15記載の使用方法。
  17. 【請求項17】皮膚への局所応用のための薬剤の製造に
    おける、下記の成分を有する混合脂質−重炭酸塩組成物
    の使用方法、 a.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
    ステル化脂肪酸、 b.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の
    モノエステルである少なくとも1種のモノグリセリド、 c.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホスフ
    ァチジルコリン、並びに d.重炭酸塩、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比は
    2:1から1:2であり、そして該リゾホスファチジルコリン
    は、この組成物中の総脂質の30.0モルパーセントから1.
    0モルパーセントを占める、そして ここで、この組成物は水性環境中でコロイド粒子を形成
    している。
  18. 【請求項18】個体の胃腸管における、薬物の混合脂質
    輸送性の下記工程を有する評価方法、 a.下記成分を有する組成物を調製する工程、 i.14〜18個の炭素原子を有する、少なくとも1種の非エ
    ステル化脂肪酸、 ii.グリセロールと14〜18個の炭素原子を有する脂肪酸
    のモノエステルである少なくとも1種のモノグリセリ
    ド、 iii.脂肪酸部分に14〜18個の炭素原子を有するリゾホス
    ファチジルコリン、および iv.該薬物、 ここで、該脂肪酸の該モノグリセリドに対するモル比は
    2:1から1:2であり、かつ該リゾホスファチジルコリンの
    量は、この処方の総脂質の1.0モルパーセントから30.0
    モルパーセントを占める、 b.脂肪酸、モノグリセリドおよびリゾホスファチジルコ
    リンおよび薬物を、重炭酸塩を含む水性環境中に置く工
    程、 c.混合脂質(薬物)重炭酸塩コロイド粒子を形成せしめ
    るために剪断力を該混合物に加える工程、 d.該粒子をサイズ排除クロマトグラフィーカラムにかけ
    る工程、 e.該サイズ排除クロマトグラフィーカラムから該粒子を
    溶出させる工程、そして f.溶出された粒子の溶出プロフィルを決定する工程、こ
    こで該粒子と共に溶出する薬物は該胃腸管中で安定に輸
    送が可能であると評価する。
  19. 【請求項19】該剪断力を加える前に、該水性環境に胆
    汁酸塩をさらに添加する、但し、この処方の該リゾホス
    ファチジルコリンに対する該胆汁酸塩のモル比は少なく
    とも10:1である、請求項18記載の評価方法。
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