JP3272661B2 - 交番電圧パターンを用いる静電アクチュエータ - Google Patents

交番電圧パターンを用いる静電アクチュエータ

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JP3272661B2 JP06591398A JP6591398A JP3272661B2 JP 3272661 B2 JP3272661 B2 JP 3272661B2 JP 06591398 A JP06591398 A JP 06591398A JP 6591398 A JP6591398 A JP 6591398A JP 3272661 B2 JP3272661 B2 JP 3272661B2
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    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N1/00Electrostatic generators or motors using a solid moving electrostatic charge carrier
    • H02N1/002Electrostatic motors
    • H02N1/004Electrostatic motors in which a body is moved along a path due to interaction with an electric field travelling along the path
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N13/00Clutches or holding devices using electrostatic attraction, e.g. using Johnson-Rahbek effect

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に静電アクチ
ュエータに関するものであり、更に詳細には、微細加工
静電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】微細加工法の出現とともに、静電アクチ
ュエータに対する関心が復活した。静電アクチュエータ
は、高エネルギ密度を達成し、簡単な製造手法により製
造できる。静電アクチュエータは、光学装置を位置決め
するのに、スイッチを動作させるのに、および小型歯車
を回転させるのに使用されている。先進的データ記憶装
置および他の用途の場合、その位置決めを高い精度で制
御できる大きな行程を有する微細加工アクチュエータお
よび低作動電圧に応答して動作する微細加工アクチュエ
ータが必要である。これらの必要事項は、既知の微細加
工静電アクチュエータによっては満たされない。
【0003】上の必要事項の幾つかを満たす微細加工静
電アクチュエータは、TimmerおよびGabrielによる「Des
ign Considerations for a Praetical Electrostatic M
icro-Motor」、SENSORS AND ACTUATORS、Vol.11、pp.18
9-206(1987)に、および米国特許第4,754,185号に述べ
られている。これらの文書は、接地可動シリコン基板す
なわち「回転子」が固定シリコン基板すなわち「固定
子」に対して移動する静電アクチュエータについて記し
ている。固定子にはその表面に幾組かの電極があり、そ
の一つは、回転子を位置決めするためにアースとは異な
る電圧に保持されている。固定子および回転子の電極の
ピッチをバーニア関係に設定することにより、ステップ
運動を得ることができる。回転子の電極はすべて同じ電
圧、すなわち、アース電位を有し、装置をかなり製造し
やすくしている。
【0004】しかし、TimmerおよびGabrielが記してい
る静電アクチュエータは、上に示した必要事項を全部は
満たしていない。たとえば、先進的記憶装置を動作させ
るのに必要な力の範囲で回転子面の平面に平行な方向の
回転子上の力(「平面内力」)を加えるのに約100Vの作
動電圧が必要である。この作動電圧は、通常のMOS集
積回路を使用して制御できる電圧の範囲を越えている。
その上、平面内力は回転子の表面に垂直な平面外の力を
伴う。平面外の力は回転子を固定子の方に引き寄せ、平
面内力より10倍も大きい。
【0005】大きな平面外引力は、回転子と固定子との
間の間隔を維持するのに使用される懸垂装置に大きな制
約を加える。通常の大きさの静電アクチュエータの場
合、回転子を引力に抗して支持するにはスペーサ、軸受
および潤滑層が使用可能である。しかし、微細規模の構
造では、動作に悪影響を及ぼす大きな摩擦力なしに回転
子と固定子との間の間隔を維持する有効な方法を得るこ
とは一層困難である。
【0006】微細加工装置で回転子を固定子上に支持す
るのに折返し梁屈曲体(folded beam flexure)が一般
に使用されている。先進的データ記憶装置の用途には回
転子−固定子間隔を0.1μm精度に維持しながら横に25μ
m走行できるアクチュエータが必要である。Timmerおよ
びGabrielが記している静電アクチュエータのように、
平面内力に対する平面外力の比が10に近ければ、幅2μ
mの梁屈曲体の背丈を少なくとも100μmにして平面外剛
性を十分に持たせる必要がある。このような構造を従来
のプロセスにより製造するのは極めて困難である。
【0007】微細加工装置で平面外引力の効果を軽減す
る第1の方法は、可動板の反対側に二つの静止電極板を
使用することである。適切な電極構成を選択することに
より、移動板を二つの静止板の間の比較的安定な位置に
浮揚させることが可能である。しかし、この方法は製造
および/又は組立に際して正確さを要求されるプロセス
制御を必要とする。
【0008】微細加工装置に適用できる第2の公知の方
法は、可動基板の重量を利用して引力を打ち消すことで
ある。しかし、この方法は、静電アクチュエータを傾け
れば動作しないので、その効果はかなり制限される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上に説明した二つの方
法では、回転子電極がすべて単一電圧に保持されてい
る。固定子および回転子の双方に三つ以上の電圧が存在
するマクロ規模の静電アクチュエータが公知である。3
相振動電圧パターンを使用する一方法が、Higuchi等の
米国特許第5,534,740号に記されている。この方法は非
常に大きな平面内力を発生可能である。しかし、大きい
平面内力は平面内力より約4倍大きい平面外力を伴う。
懸垂要素の摩擦に打ち勝つ十分な大きさの平面内力を発
生するには約200Vの振動電圧が必要である。したがっ
て、この方法は、大きな平面外力および三つの振動電圧
を回転子電極に接続する必要があるため、微細加工装置
に合わせて都合の良い大きさを調節できない。可動回転
子に電気的接続を行うのは、微細加工回転子の場合特に
困難であり、それ故回転子電極に存在する電圧の数を極
小にすることが望ましい。加えて、電圧が時間とともに
変化する方法を可能なかぎり簡単にすべきである。
【0010】通常の静電アクチュエータの中には、精密
な位置制御および大きい範囲の走行を行うものがある
が、微細加工静電アクチュエータの用途に合わせて簡単
に大きさを調節することができない。これは、これらア
クチュエータが、通常のMOS集積回路を使用して制御
できるものより大きい作動電圧で動作し、平面内力に比
較して大き過ぎる平面外力を発生し、さらに回転子に対
してあまりにも多数の電気接続を行う必要があるからで
ある。必要なのは、精密な位置決めを行い、かつ通常の
CMOS集積回路を使用して制御できる、静電アクチュ
エータおよび静電アクチュエータを制御する方法であ
る。また必要なのは、集積回路を作るのに使用されるも
のと同様の工程を採用する微細加工法を使用して製造で
きる静電アクチュエータである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上の要求事項は下に更に
詳細に説明する構造を有する微細加工静電アクチュエー
タにより満たされる。交番電圧パターンが回転子および
固定子の両者の対向電極面に配置された電極に加えられ
ている。アクチュエータは、所定の平面内力に対してか
なり低い平面外力を与える。アクチュエータは、通常の
MOS集積回路を使用して制御できる範囲の作動電圧で
駆動されるとき、先進的記憶装置に必要な力の範囲の平
面内力を与える。アクチュエータを、集積回路を作るの
に使用されるものと同様の処理を採用する微細加工法を
使用して製造できる。
【0012】静電アクチュエータは、対向面に沿って配
置された電極の第1の線状アレイを有する固定子、およ
び固定子の対向面とは反対の対向面に沿って配置された
電極の第2の線状アレイを有する回転子を備えている。
固定子および回転子の対向面は、間隔dだけ離れてい
る。回転子は、固定子に対して、回転子を対向面に平行
な、平面内方向に移動可能なよう支持されている。最
初、交番電圧パターンが、固定子および回転子の双方の
電極に加えられる。たとえば、第1の電圧レベルが各ア
レイの各他の電極に加えられ、第1の電圧レベルとは異
なる第2の電圧レベルが第1の電圧レベルにある電極に
隣接する各電極に加えられる。固定子の交番電圧パター
ンに局部的破壊を導入することにより、回転子を平面内
方向に所定の精密な距離だけ移動させることができる。
【0013】交番電圧パターンは、それ自身では平面外
引力を大きい平面内力に匹敵するレベルまで下げない。
所定の平面内力に対して平面外力を下げるには、回転子
の電極ピッチpと回転子および固定子の対向面の間の間
隔dとの間の比であるピッチ/間隔比p/dを最適範囲内
にしなければならない。ピッチ/間隔比が8未満である
とき、使用可能な低い平面外力が生ずる。ピッチ/間隔
比が約2.25未満であるとき、所定平面内力に対して平面
外力が極小になる。
【0014】好適実施例では、平面内運動は、回転子対
向面に配置された電極のステッパ被駆動アレイおよび固
定子の対向面に配置された電極の対応するステッパ駆動
アレイにより与えられる。ns=nr±1とするような各
被駆動アレイは偶数nr個の回転子電極を有し、各駆動
アレイは奇数ns個の固定子電極を有する。固定子電極
のピッチに対する被駆動電極のピッチの比は、ns/nr
である。
【0015】駆動電極を回転子上に交互に配置すること
ができ、この場合には、被駆動電極は固定子上に配置さ
れる。この場合には、各被駆動アレイは偶数の固定子電
極を有し、各駆動アレイは固定子電極の数と1だけ違う
数の奇数の回転子電極を有する。固定子電極のピッチに
対する被駆動電極のピッチの比は、回転子電極の数と固
定子電極の数との比に等しい。
【0016】上述のように、交番電圧パターンが最初回
転子および固定子の各々に配置された電極アレイに存在
する。固定子上の交番電圧パターンは、第1の電圧と第
2の電圧との間で交番し、第1の電圧は固定子アレイの
第1の電極に加えられる。回転子の平面内移動は実際、
第1の電極にかかる電圧を第1の電圧から第2の電圧に
切り替えることにより最初の交番電圧パターンを局部的
に破壊させることによって誘導される。更に他の平面内
移動を第2の固定子電極を第1の電圧に切り替えること
により誘導し、第1の電極にかかる電圧を第2の電圧に
変化させないでおくことができる。
【0017】まさに説明した動作モードは、回転子に固
定子に向かう引力を与える。しかし、すべての回転子電
極が同じ電圧に保持されている場合と異なり、平面外引
力の大きさを、回転子に加えられる最大平面内力にほぼ
等しいレベルにまで、約10分の1に減らすことができ
る。回転子が梁屈曲体により支持されていれば、平面外
力が10分の1となるこの減少により、梁屈曲体のアスペ
クト比は通常の技法で容易に製造できる比にまで減少す
る。
【0018】本発明による静電アクチュエータの他の長
所は、所定のアクチュエータ電圧に対して大きい平面内
力が得られるということである。平面内力は同等の大き
さの平行板コンデンサの二つの板の間の引力の3分の1
の大きさとすることが可能である。
【0019】本発明による静電アクチュエータは、回転
子の平面内位置を回転子電極に加えられる交番電圧パタ
ーンを変えずに漸次ステップさせることができるという
点で他の長所を備えている。その結果、ステップ速さは
回転子の動的電気特性により制限されることがない。そ
の上、回転子位置をステップさせるのに一度に各組の固
定子電極の一つの固定子電極だけを切り替えることのみ
が必要とされる。これにより固定子電圧制御回路に加わ
る時間的制約が最小になる。
【0020】本発明による静電アクチュエータは、平面
内および平面外の両方向に、すなわち、それぞれ固定子
および回転子の対向面に平行および垂直の方向に、変位
を与えるのに使用することができる。交番電圧パターン
を加える対向電極は、平面外力を回転子に加えるのに使
用することができる。このような平面外力は平面内力を
発生する電極により回転子に加えられる平面外引力を片
寄せるのに使用することができる。加えてまたは代わり
に、平面外力は回転子の平面外方向の位置を制御するの
に使用することができる。
【0021】平面外力は好適には、固定子の対向面に配
置された浮揚子駆動電極のアレイおよび回転子の対向面
に配置された浮揚子被駆動電極のアレイにより与えられ
る。浮揚子駆動電極および浮揚子被駆動電極のアレイ
は、等しいピッチを備えている。交番電圧パターンは、
回転子にかかる更に高い電圧状態にある浮揚子電極が固
定子にかかる更に高い電圧状態にある浮揚子電極と整合
するように加えられる。この構成で、回転子は固定子か
ら反発される。平面外力は回転子または固定子の一方ま
たは双方にかかる電圧を変化させることにより制御する
ことができる。浮揚子駆動電極のアレイを回転子の対向
面に交互に配置することができ、浮揚子被駆動電極のア
レイを固定子の対向面に交互に配置することができる。
【0022】主として平面内力を発生する電極アレイ
(「ステッパ電極アレイ」)および平面外力を発生する
電極アレイ(「浮揚子電極アレイ」)を組み合わせて付
加的な機能を得ることができる。たとえば、同様の数の
電極アレイを使用して、単独電極アレイにより加えられ
る力を増すことができる。その上、第2のステッパ電極
アレイに垂直に配置された第1のステッパ電極アレイ
は、回転子を二つの垂直な平面内方向のいずれかまたは
双方に移動させることができる。ステッパ電極アレイに
垂直に配置された浮揚子電極アレイを使用してステッパ
電極アレイにより発生された平面外引力を片寄せること
ができる。最後に、ピッチの異なる平行ステッパ電極を
使用して関連する平面外力のない平面内力を回転子に加
えることができる。
【0023】ステッパアレイにより加えられる平面外力
はまた回転子と固定子との間の空間に固体または流体の
誘電体を満たすことにより減らすことも可能である。
【0024】回転子アレイの電極の半分を、アース電位
のような所定電圧に設定された導電平面で置き換えるこ
とができる。この導電平面は、隣接する物理的電極の間
に「有効」電極を形成する。たとえば、導電平面を形成
することができ、絶縁層で覆ってその上に電気的に相互
に接続されている物理的電極の線状アレイを配置するこ
とができる。隣接する物理的電極の間の導電平面の各領
域は、有効電極として機能する。交番電圧パターンは、
電気的に相互に接続された物理的電極を導電平面のもの
とは異なる電圧に設定することにより印加される。
【0025】ステッパアレイを成す駆動電極は、好適に
は対応する被駆動電極と同じ対の電圧レベルに接続され
るが、その電圧が交番電圧パターンを破壊させるよう変
化する電極が対の電圧レベルの間の中間の電圧に接続さ
れれば、付加的な位置決め精度を得ることができる。
【0026】本発明の静電アクチュエータの電圧対平面
内力変換効率が高いため、交番電圧パターンを加えるた
め電極に加えられる電圧の対を通常のMOS回路との適
合性を与えるように選択することができる。20V未満だ
け違う電圧対は、50μmの範囲にわたり回転子の急速移
動を与えることができる。
【0027】この開示を通じて、用語「回転子」は、可
動部分が実際に移動すると否とに拘らず、また横方向に
移動するかまたは回転するかに拘らず、アクチュエータ
の可動部分を記述するのに使用される。以下に説明する
実施例は、回転および直動アクチュエータの双方に直接
採用することができる。回転静電アクチュエータでは、
ステッパアレイの電極は、回転中心の周りに放射状に配
置され、浮揚アレイの電極は、回転中心と同心である。
【0028】センス電極のアレイは付加的にまたは代わ
りに、回転子の位置を示す電気信号を発生するように回
転子および固定子の双方の対向面に配置される。回転子
および固定子の対応するセンスアレイは等しいピッチを
有している。交番電圧パターンはセンサ駆動アレイに加
えられるが、センサ駆動アレイは好適には回転子上に配
置されており、固定子に配置されているセンサ被駆動ア
レイ内に誘導される電圧パターンが検出され、回転子の
位置が電圧パターンから決定される。
【0029】上記のように、回転子の被駆動役割は、ス
テッパ電極および浮揚電極に対する固定子の駆動役割と
交換することができ、回転子の駆動役割をセンサ電極に
対する固定子の被駆動役割と交換することができる。
【0030】上に記したように、使用可能な低い平面外
力は、ピッチ/間隔比、p/dが8未満のときに得られ、
所定の平面内力に対する平面外力はピッチ/間隔比が2.2
5未満であるとき最小である。ピッチ/間隔比が2.25未満
であるとき、平面内力は最大であり、平面外引力は所
定の作動電圧に対して最小である。
【0031】回転子上の交番電圧パターンは時間ととも
に変化する必要がないので、本発明による静電アクチユ
エータは、他の方法により交番電圧パターンが回転子の
対向面に印加されたときにも動作する。たとえば、交番
電圧パターンは、対向面上に堆積された静電荷により、
対向面上に設けられた有極強誘電体により、または対向
面上に配置された圧電材料に印加された歪み場により、
印加可能である。これら代案を説明するために、間隔d
で表した平面内力を最大にする関係が回転子および固定
子の対向面上の電圧分布の一次空間波長λで表して、記
述可能である。この一層解析的な説明は、電極に加えら
れる電圧パターンが正確に交番パターンでないとき、ま
たは中間電圧レベルが電極の幾つかに加えられるとき、
静電アクチユエータを正確に説明するのにも必要であ
る。
【0032】静電アクチユエータの動作を一次空間波長
を用いて説明すると、間隔dで表した平面内力を最大に
する関係は、間隔dに対する一次空間波長λの比、すな
わち空間波長/間隔比が4.5未満であるという要求事項と
して記述することができる。電圧パターンが厳密に交番
であり、電極のピッチが一様且つpに等しければ、一次
空間波長は、簡単に2pで、λに関する制約はpに関す
る制約と同じである。電圧パターンが、固定子上の交番
電圧パターンが局部的に破壊して回転子位置を変化する
ときに生ずるように、厳密に交番でなければ、一次空間
波長λは電圧分布のフーリエ変換を計算することにより
決定される。
【0033】
【発明の効果】本発明による静電アクチユエータの主な
長所は、通常のMOS回路に適合する電圧が数十ミクロ
ンの距離にわたって回転子を固定子に対して移動させる
のに十分な大きさの平面内力を発生するということ、お
よび平面内力を発生する副作用として発生される平面外
力が通常の折返し梁屈曲体に回転子を支持させるのに十
分小さいということである。第2の長所は、二つの電圧
だけを回転子に接続すればよいということであり、これ
により回転子を最少数の電気的接続で組立てることがで
きるようになる。その上、回転子にかかる電圧が静的で
あるから、これら電気接続は比較的高いインピーダンス
を備えることができる。電気接続が簡単になることによ
り工程の複雑さが減り、異種材料を使用することから生
ずる残留機械的歪みの効果が最小になる。
【0034】
【発明の実施の態様】
1)基本実施例の説明 本発明に従う静電アクチユエータ10の基本実施例を図1
に概略図示する。このアクチュエータの構造は、以下に
説明する実施例に特有のものである。静電アクチユエー
タは固定子12および回転子14を備えている。固定子は、
平面対向面13を備えており、その上に沿って固定子電極
16、18、20、22、24、26、および28の線状アレイ11が配
置されている。回転子は、固定子の対向面13と対向する
平面対向面15を備えている。対向面15に沿って配置され
ているのは回転子電極32、34、36、38、40、および42の
線状アレイ17である。固定子電極および回転子電極は、
各々図面の平面に垂直な平面内に延長している。
【0035】回転子14は、固定子の対向面13が回転子の
対向面15から間隔dだけ離れているように固定子12に対
して支持されている。図1に示す実施例は、固定子電極
の単独アレイ11および回転子電極の単独アレイ17だけを
備えている。実用的実施例は、回転子に加わる平面内力
を増すよう固定子および回転子上に鎖状に結合された電
極のアレイを備えることができ、平面外力を発生し且つ
回転子の位置を検出するように付加的な電極アレイを備
えることができる。このような実施例を以下に更に詳細
に説明する。
【0036】図1に示す実施例では、回転子電極のアレ
イ17に関わる電圧パターンは、静的かつ厳密に交番であ
り、電圧源58を交互電極32、36、および40に接続するこ
とにより、および電圧源60を、電極32、36、および40に
隣接する電極34、38、および42にそれぞれ接続すること
により、加えられる。
【0037】実質的に交番である電圧のパターンが、電
極制御器30および電圧源31を介して固定子電極に加えら
れる。以下に更に詳細に説明するように、基本的に交番
電圧パターンは、電圧レベル1を交互電極16、20、24、
および28に、および電圧レベル0を、それぞれ電極16、
20、および24に隣接する電極18、22、および26にそれぞ
れ加えることにより作り出すことができる。
【0038】所定の平面内力について固定子と回転子と
の間に加えられる平面外引力を減らすには、回転子電極
のピッチが、対向面13と15との間の間隔に関連して、回
転子上の電極のピッチprと間隔dとの間の比が8未満
に、すなわち、ピッチ/間隔比pr/dが8未満であるよ
うに選定される。
【0039】回転子電極のピッチprに対する固定子電
極のピッチpsの比は、回転子電極アレイ内の回転子電
極の数nrに対する固定子電極アレイ内の固定子電極の
数nsの比の逆数である。図1に示す例では、回転子電
極のピッチprに対する固定子電極のピッチpsの比は
6:7である。
【0040】回転子14に加わる平面内力に係数mを乗ず
るには、回転子電極アレイ17と同様の回転子電極のm個
のアレイが回転子の対向面15にわたり鎖状に結合され、
固定子電極アレイ11と同様の固定子電極のm個のアレイ
が固定子12の対向面13にわたり鎖状に結合される。した
がって、6個および7個の電極の多重アレイがそれぞれ
回転子および固定子の対向面に沿って鎖状に結合され
る。隣接するアレイは、アレイ自身内の電極のピッチに
等しい間隔だけ互いに離れて、鎖状アレイの長さ方向に
沿ったピッチを一定に維持している。
【0041】その上にすべて電極アレイ17と同様で且つ
電極アレイ17を含む、多数の電極アレイが鎖状に結合さ
れている回転子14の対向面15が、図2に図示されてい
る。交互電極は、二組の電極が形成されるように電気的
に相互に接続されている。第1の組は電極32、36、およ
び40から成り、第2の組は電極34、38、および42から成
る。電極の組の一方を電圧源58に接続し、電極の組の他
方を電圧源58とは異なる電圧を発生する電圧源60に接続
することにより、対向面15に沿って交番電圧パターンが
印加される。
【0042】折返し梁屈曲体120、122、124、および126
が回転子14をアンカー130、132、134、および136に接続
している。アンカーは固定子(図2には示してない)に
接続されている。折返し梁屈曲体はx方向に柔軟である
が、図面の平面に垂直なz方向には堅い。折返し梁屈曲
体のx方向の柔軟性は、回転子がx方向に自由に移動す
ることを可能にする。折返し梁屈曲体のz方向の剛性
は、回転子に加わる平面外力に拘らず、回転子と固定子
との間のz方向の間隔を維持する。
【0043】回転子および固定子に関わる交番電圧パタ
ーンは、簡単に印加されるが、しかも平面外力と平面内
力との間の比を単位元(1、ユニティ)のように小さく
し得る。この比は、固定子に対して関係物体を支持する
折返し梁屈曲体120、122、124、および126が通常の半導
体処理技法を使用して容易に製造し得る範囲内にあるア
スペクト比、すなわち、厚みに対する幅の比、を備える
ことができるようにするのに十分低い値である。たとえ
ば、初期の実験的試作品では、その上に4個の電極から
成るアレイが形成された1mm平方の回転子が、その上に
6個の電極が形成された固定子の上方に懸垂されてい
た。回転子は、7:1のアスペクト比を有する折返し梁
屈曲体を使用して懸垂されていた。4Vの作動電圧が3
μNの平面内力を発生したが、これは回転子を8μmの距
離移動させるのに十分であった。作動電圧は、通常のM
OS回路を使用して制御できるよう十分低かった。
【0044】固定子により回転子に加えられる静電力
は、有限要素モデル化プログラムまたは、JacksonがCLA
SSICAL ELECTRODYNAMICS、John Wiley and Sons、New Y
ork、1975 に述べているもののような静電解析の方法を
使用して更に完全に解析することができる。図3は、固
定子に対する回転子の平面内位置、すなわちx方向の回
転子の位置、の関数として描かれた平面内力Fxおよび
平面外力Fzを示す。x方向の回転子の位置は、回転子
電極のピッチprに正規化されている。平面内力および
平面外力は、同じ寸法の平行板コンデンサの板の間の引
力に正規化されている。この例では、間隔に対する回転
子電極のピッチの比、すなわちpr/dは2.25である。図
3における回転子位置1.5は図1に示す回転子位置に対
応する。
【0045】回転子14に加わる平面内力Fxは、x方向
の回転子の位置の正弦関数であり、原点を中心としてい
る。すなわち、+x方向の最大平面内力は−x方向の最
大平面内力に等しい。回転子に加わる平面外力Fzも回
転子の平面内位置の正弦関数である。しかし、平面外力
は、−z方向の最大平面外力、MaxFz−、が+z方向の
最大平面外力、MaxFz+、より大きいように原点に対し
て偏っている。Fzの負値は平面外力が−z方向に加わ
り、回転子を固定子の方に引き寄せることを表し、正値
は平面外力が+z方向に加わり、回転子を固定子から反
発することを表している。
【0046】図3に示す例において、最大平面内力Max
xの大きさは最大平面外引力MaxFz−と同じ大きさで
ある。最大平面外引力と最大平面内力との間の単位元に
近い比は、回転子と固定子との間の懸垂に関する制約を
少なくし、通常の半導体製造技法を使用して容易に製造
し得るアスペクト比を有する梁屈曲体の使用を可能とす
る。電極を備えた1.0mm平方の回転子が交番電圧パター
ンによって負荷に対して加えることができる最大平面内
力は、間隔d=2.5μmに対して0.25μNV-2である。これ
は、同じ寸法の通常の静電アクチュエータにより加え得
る最大平面内力よりはるかに大きい。本発明による静電
アクチュエータの電圧対平面内力変換効率は、アクチュ
エータを通常のアクチュエータが必要とするよりかなり
小さい駆動電圧で動作可能とする。有効な作動力は、通
常のMOS回路を使用して制御するのに十分低い作動電
圧を使用して発生可能である。
【0047】回転子には、平面内力が負の傾斜で0と交
差する安定な位置がある。本発明による静電アクチュエ
ータは、通常の静電アクチュエータと比較してかなり小
さい平面外力対平面内力比を有するが、回転子はやはり
その安定位置で平面外引力を受ける。更に平面外力を減
らした実施例を以下に説明する。
【0048】図3は、平面内力が0である第2の回転子
位置が存在することを示す。この位置で回転子の平衡は
不安定で、平面外力は正方向に最大であり、すなわち回
転子が固定子から反発される。回転子がこの位置にあっ
てx方向の移動が阻止されれば、平面外力は安定な浮揚
力として回転子に作用する。
【0049】上に記したとおり、電圧の交番パターンは
それ自身で、最大平面外引力に匹敵する最大平面内力を
発生しない。ピッチ/間隔比pr/d、すなわち回転子電
極ピッチpr及びそれぞれ固定子および回転子の対向面1
3と15との間の間隔d、との間の比も最適範囲内になけ
ればならない。図3に示す正弦状の力曲線は、三つの極
値MaxFx、MaxFz+、およびMaxFz−により適切に特徴
付けることができる。MaxFxは最大平面内力であり、Ma
xFz+は最大平面外斥力であり、MaxFz−は最大平面外
引力である。
【0050】図4は、三つの極値がピッチ/間隔比P/d
の関数として如何に変化するかを示している。平面内力
MaxFxおよび平面外斥力MaxFz+は、ピッチ/間隔比が
約1.5であるとき最大値を有する。平面外引力MaxFz
はピッチ/間隔比が増大するにつれて増大し、ピッチ/間
隔比の大きな値において実質上一定値に達する。
【0051】最大平面内力MaxFxに対する最大平面外引
力MaxFz−の比は、非常に高いアスペクト比の回転子懸
垂体を作るのに関する実際的制約のため、微細加工面ア
クチュエータにとって特に重要である。平面外力対平面
内力比が小さければ、はるかに大きい横行程が回転子を
支持する折返し梁屈曲体を使用して達成することを可能
とする。
【0052】図5は、力の比、すなわち最大面外引力と
最大平面内力との間の比をピッチ/間隔比p/dの関数と
して描いたものを示している。都合よく製造し得るアス
ペクト比を有する折返し梁屈曲体による満足な動作は、
8という大きいピッチ/ 間隔比に対応する5という大き
い力比の場合に生ずる。力比が5のように大きい場合、
懸垂体が打ち消さなければならない最大平面外力は、大
きい平面外剛性を有する懸垂体を必要とする。懸垂体の
得られる平面内剛性は、回転子の平面内走行を制限す
る。平面内力の大きさ及びMaxFz−とMaxFxとの比との
間の最適な妥協条件は、ピッチ/間隔比が2.25未満、す
なわち、p/d<2.25のとき生ずる。このピッチ/間隔比
がこの範囲内にあるとき、図4に示すように、大きい平
面内力が発生し、平面外力対平面内力比は1に近い。
【0053】2)ステッピング動作 図1に示す静電アクチュエータは、相当な大きさの静的
横方向力を発生できるばかりでなく、ステップモータと
して動作することもできる。静電アクチュエータの静的
動作と対照的に、回転子の安定位置は、静電アクチュエ
ータがステップモータとして動作するとき固定子の安定
位置に対して平面内方向を変える。回転子の安定な平面
内位置は、回転子または固定子上の電極のアレイに加え
られる基本的に交番電圧パターンに局部的破壊を作るこ
とにより変えられる。電極の他のアレイに加えられる交
番電圧パターンは変化せずに維持される。
【0054】その交番電圧パターンが破壊される電極の
アレイを駆動アレイと言い、駆動アレイ内の電極を駆動
電極と言う。その交番電圧パターンが変化せずに維持さ
れる電極のアレイを被駆動アレイと言い、被駆動アレイ
内の電極を被駆動電極と言う。回転子電極に対するより
も固定子電極に対して多数の電気的接続を行う方が一般
に容易であるから、好適実施例では、駆動電極が固定子
に、被駆動電極が回転子に配置される。しかし位置を逆
にすることもできる。回転子を平面内方向に移動させる
電極アレイをステッパアレイと呼んで他の目的に役立つ
他の電極アレイと区別している。平面内方向の回転子の
運動をステッピング運動という。或る用途では、回転子
が自由に移動できれば駆動電極アレイに加えられる交番
電圧パターンの変化が、回転子の移動を生ずるように、
静電アクチュエータを構成することができる。この開示
では、回転子が自由に移動できれば、移動を生ずる交番
電圧パターンの変化が、実際に移動が生じなくても、回
転子を「移動させる」という。
【0055】図1を参照して上に説明した、ステッピン
グ運動を与えるステッパアレイ11および17の動作が次に
図6を参照して説明される。図6は、被駆動電極アレイ
17および駆動アレイ電極11に加えられる交番電圧パター
ンの一例を概略示している。この例では、被駆動アレイ
17に6個の電極が存在し、駆動アレイ11に7個の電極が
存在する。低および高電圧状態がそれぞれ文字「L」お
よび「H」で示される。駆動電極に加えられる電圧状態
は変化するので、回転子位置をステップさせる4連続ス
テップでの駆動電極の電圧状態が、図でaからdまでの
印を付けたステップで示される。
【0056】被駆動アレイ17は、低および高電圧状態の
一定交番電圧パターンを備えている。駆動アレイ11に関
する電圧状態の最初のパターンが図6のステップaに示
される。これでは、交互電極が同じ電圧状態を有し、隣
接電極が反対の電圧状態を有しているので、最初の電圧
パターンは、上述の交番電圧パターンである。回転子の
平面内移動は、順次移動する局部的破壊を駆動アレイに
関わる交番電圧パターンに加えることにより得られる。
順次移動する局部的破壊は駆動電極の一つの電圧状態を
変化させることにより加えられる。その電圧状態が変化
する電極の位置は、駆動電極アレイに沿って順次移行す
る。図示した例では、局部的破壊は左から右に移行して
いる。しかし、局部的破壊は、右から左に移行すること
も可能である。
【0057】駆動アレイ11に関わる交番電圧パターン
は、駆動電極16を低電圧状態から高電圧状態に切り替
え、残りの6個の駆動電極18-28を変化させずに維持し
た電圧状態としておくことにより局部的に破壊される。
電圧状態の得られるパターンが図6のステップbに示さ
れる。駆動電極にかかる電圧パターンは、同じ電圧状態
にある二つの隣接電極16および18により生ずる局部的破
壊に拘らず実質的に交番を維持する。駆動アレイに関わ
る交番電圧パターンの電極16の電圧状態を切り替えるこ
とによる局部的な破壊は、回転子を平面方向に左に1ス
テップ駆動する平面内力を発生する。
【0058】回転子を平面内方向に左にもう一つのステ
ップ移動させるには、駆動電極18を高電圧状態から低電
圧状態に切り替えることにより、駆動アレイに関わる交
番電圧パターンの局部的破壊を1電極だけ右に移行す
る。電極18は、その電圧状態が前に切り替えられた電極
16に隣接する電極である。残りの6個の駆動電極の電圧
状態は、変化せず維持される。得られる電圧パターンが
図6のステップcに示される。
【0059】回転子を平面内方向に左に更に1ステップ
移動させるには、駆動電極20を低電圧状態から高電圧状
態に切り替えることにより、駆動アレイに関わる交番電
圧パターンの局部的破壊を右に更に1電極だけ移行させ
る。電極20は、その電圧状態が先に切り替えられた電極
18に隣接する電極である。残りの6個の駆動電極の電圧
状態は変化せず維持され、したがって局部的破壊の各側
にある駆動電極に関わる電圧パターンは交番電圧パター
ンのままである。得られる電圧パターンが図6のステッ
プdに示される。
【0060】図6は、各ステップで右に1電極だけ移行
する駆動アレイに加えられる交番電圧パターンの局部的
破壊の位置を示す。駆動電極22、24、および26の電圧状
態が切り替えられる更に三つのステップ(図示せず)
が、局部的破壊を駆動アレイ11の右極端まで移動させ
る。更に1ステップ(図示せず)が駆動電極28の電圧状
態を低から高に切り替えて、高および低の電圧状態が入
れ替わっているという点だけでステップaに示した非破
壊電圧パターンとは異なる非破壊交番電圧パターンを形
成する。更に1ステップで駆動電極16の電圧状態が高か
ら低に切り替わって、局部的破壊を駆動アレイの左極端
に戻す。
【0061】局部的破壊の移動は、ステッパ電極の二つ
以上のアレイが鎖状に結合されているとき一層明瞭に示
される。図7は、第1の被駆動アレイ17と鎖状に結合さ
れている第2の被駆動アレイ63、および第1の駆動アレ
イ11と鎖状に結合されている第2の駆動アレイ65を示
す。鎖状に結合されたアレイは、被駆動アレイ17および
63の被駆動電極のピッチおよび駆動アレイ11および65の
駆動電極のピッチがそれぞれの対向面13および15にわた
って連続しているように、各アレイの電極のピッチに等
しい距離だけ互いに離れている。
【0062】今説明した例では、局部的破壊は、局部的
位相反転を固定子電極アレイに加えられる交番電圧パタ
ーンに導入する。代わりに、局部的破壊は、位相反転よ
り小さい局部的位相移行を交番電圧パターンに導入可能
である。
【0063】連続交番電圧パターンは、図7に示すよう
に、鎖状に結合された被駆動アレイ17および63に加えら
れる。これは、同じ電圧状態を隣接被駆動アレイの対応
する電極に加えることにより行われる。したがって、図
示した例では、被駆動アレイ17の左手電極32の電圧状態
および被駆動アレイ63の左手電極の電圧状態は共に低
い。
【0064】対照的に、駆動電極のアレイに加えられる
交番電圧パターンは、アレイ自身に対して局部的であ
る。隣接駆動アレイの対応する電極の電圧状態は、同じ
であり、したがって、局部的破壊、すなわち、図示した
例における局部的位相反転は、隣接駆動電極アレイ間の
境界に存在する。これは図7のステップaで見ることが
できる。駆動アレイ11の右手電極28および駆動アレイ65
の隣接する左手電極は共に低電圧状態にある。したがっ
て、駆動電極アレイが鎖状に結合されると、駆動電極ア
レイに加えられる実質的な交番電圧パターンには、最初
各対の隣接駆動アレイの間の境界に配置されていた局部
破壊が含まれる。
【0065】ステップb−dは、交番電圧パターンの二
つの局部的破壊が、駆動アレイ11の左端および駆動アレ
イ11および65の境界にあるそのそれぞれの最初の位置か
ら右に1電極ステップ順次移行する仕方を示す。両方の
場合において、局部的破壊は、各ステップで駆動アレイ
11および65の各々の対応する一つの電極の電圧状態を変
えることにより移行する。当業者は、ステップa−dで
示した電圧パターンの例を駆動アレイ11の左端で始まる
局部的破壊が鎖状に結合された駆動アレイを横断して駆
動アレイ63の右端に到達するまで移動可能な方法を示す
ように拡張できることを認識するであろう。
【0066】電極制御器30は、代わりに、交番電圧パタ
ーンに局部的破壊を発生して右から左に移動させ、回転
子を左から右に移動させることが可能である。
【0067】鎖状に結合された電極アレイの使用は、駆
動電極に加えられる電圧を制御する電極制御器30の複雑
さが増大しない。これは、各駆動アレイの対応する電極
が常に同じ電圧状態にあり、したがって並列に電気接続
できるからである。並列接続電極が次に電極制御器30の
一つの出力に接続される。駆動電極の全数に関係なく、
電極制御器の出力の数は、各駆動アレイの電極の数に等
しい。したがって、各駆動アレイに7個の電極が存在す
る図7に示した例では、電極制御器に7個の出力があ
る。
【0068】図8は、e、f、g、およびhと名付けた
別々の四つの電圧パターンが駆動電極に加えられると
き、回転子に加わる平面内力が回転子位置の関数として
変化する仕方を示す。これら電圧パターンは、e-LLH
LLH、f-HLHLLH、g-HLHHLH、およびh-H
LLHLHであった。図8に示した結果は、各駆動アレ
イが6個の電極を有し、各被駆動アレイが4個の電極を
有する静電アクチュエータの数学モデルを使用して計算
された。しかし、回転子位置による平面内力の同様の変
化が、上述のように、各駆動アレイが7個の電極を有
し、各被駆動アレイが6個の電極を有する静電アクチュ
エータで得られる。この例では、回転子ピッチは6μm
であった。平面内力は、回転子位置の小範囲についての
み計算され、したがって正弦波状力曲線の一部分だけを
見ることができる。計算値は、曲線を作成するのに使用
された有限要素モデリングパッケージの限界のため必ず
しもすべてが滑らかな曲線に乗っているわけではない。
【0069】回転子には、平面内力が0である四つの安
定な位置がある。交番電圧パターンeが駆動電極に加え
られると、安定位置は、図8で約+1μmの回転子位置
で生ずる。交番電圧パターンが電圧パターンfに切り替
えられると、固定子は力を回転子に−x方向に加え、こ
れにより回転子は電圧パターンfの安定位置の方向に、
すなわち約0μmの回転子位置にステップする。駆動電
極に加えられる交番電圧パターンを交番電圧パターンg
およびhに順次切り替えると、回転子の安定位置が一様
なステップで移動する。一つの電圧パターンから次に切
り替えると平面内の位置および平面外力の曲線が連続ス
テップで効果的に移行する。ステップの大きさは、被駆
動電極アレイのピッチを各駆動アレイの電極の数で割っ
たものによって決まる。たとえば、固定子上の各駆動ア
レイに7個の電極が存在する上述の実施例では、ステッ
プの大きさは、回転子ピッチの7分の1である。
【0070】回転子を丁度説明したようにステップさせ
る重要な利益が幾つか存在する。第1に駆動電極がディ
ジタル回路で容易に制御できる2電圧状態、たとえば0
Vおよび5Vを有する電圧信号で動作する。
【0071】第2に、被駆動電極に加えられる交番電圧
パターンが、回転子位置がステップするとき変化せず維
持される。被駆動電極を、好適にはそうであるように、
回転子に配置すると、ステップ速度を回転子の電気的特
性に無関係にすることができる。回転子電極は高キャパ
シタンスを備えることができ、回転子電極を電圧源58お
よび60に接続する導体は高抵抗であってよい。しかし、
回転子電極に関わる交番電圧パターンは静的であるか
ら、高抵抗を介して供給される高キャパシタンス電極か
ら生ずる長い時定数は、アクチュエータの動的性能に悪
影響を与えない。静電アクチュエータの動的動作中に静
的のままになっている回転子電極に加えられる交番電圧
パターンは回転子の製造の複雑さを減らす。
【0072】最後に、各駆動電極アレイの唯一つの駆動
電極だけの電圧状態が一度に切り替えられ、回転子をス
テップさせる。これはジッタおよび電極制御器30に関す
る時間的制約を減少させる。
【0073】3)平面外浮揚 上述の静電アクチュエータでは、固定子は、回転子がそ
の安定な平面内位置にあるとき、平面外力が通常の静電
アクチュエータと比較して小さくなっていても平面外引
力を回転子に加える。ただ一つの平面内方向に、たとえ
ば、±x方向にステップさせるのに回転子を必要とする
静電アクチュエータでは、電極の付加的なアレイをそれ
ぞれ固定子12および回転子14の対向面13および15に設け
て平面外引力に対抗する平面外浮揚力を発生することが
できる。電極の付加的なアレイ内の電極が回転子の位置
をステップさせるステッパアレイ内の電極に垂直な向き
である。
【0074】平面内力を発生して回転子をステップさせ
るステッパアレイから平面外浮揚力を発生する電極のア
レイを区別するのに、後者のアレイを浮揚子アレイとい
い、それらの中の電極を浮揚子電極という。ステッパア
レイに適用される駆動および被駆動の慣例を浮揚子アレ
イにも適用する。
【0075】浮揚子アレイは、被駆動浮揚子電極に加え
られる電圧レベルが駆動浮揚子電極に加えられる電圧レ
ベルと異なっているという点でステッパアレイとは異な
っている。その上、浮揚子アレイを有効にするには、回
転子を浮揚子電極の長さ方向に垂直な方向の平面内移動
に対して束縛しなければならない。浮揚子電極の構造お
よび動作を以下に説明する。
【0076】図9は、固定子12および回転子14を備えた
静電アクチュエータ100を示す。固定子は、平面対向面1
3を備え、それに沿って固定子浮揚子電極119、121、12
3、125、127、および129の線状アレイ41が配置されてい
る。回転子は、平面対向面15を備え、それに沿って回転
子浮揚子電極139、141、143、145、147、および149の線
状アレイ47が配置されている。固定子浮揚子電極および
回転子浮揚子電極は各々図面の平面に垂直な、x方向に
延伸している。固定子浮揚子電極のピッチは、回転子浮
揚子電極のピッチに実質的に等しい。各アレイの電極の
数には制約がない。固定子浮揚子アレイは好適には、駆
動浮揚子アレイであり、回転子浮揚子アレイは好適には
被駆動浮揚子アレイである。
【0077】回転子14は、固定子の対向面13が回転子の
対向面15から間隔dだけ離れているように、固定子12に
対して支持されている。ステッパ電極と同様に、駆動お
よび被駆動浮揚子電極のピッチ/間隔比は8未満にする
べきであり、最良の動作はピッチ/間隔比2.25未満で得
られる。
【0078】電圧源158が交互駆動電極139、143、およ
び147に接続され、電圧源160が交互駆動電極141、145、
および149に接続されて、交番電圧パターンを被駆動浮
揚子電極アレイ47に加えている。電圧源159は交互被駆
動電極119、123、および127に接続され、電圧源161は交
互被駆動電極121、125、および129に接続されて、交番
電圧パターンを駆動浮揚子電極アレイ41に加えている。
電圧源158および160により供給される電圧レベルの少な
くとも一つは、電圧源159および161により供給される電
圧レベルとは異なっている。電圧源160および161の電圧
レベルは、それぞれ電圧源158および159の電圧レベルよ
り低いように設定されている。
【0079】ステッパ電極が回転子をステップさせるx
方向に垂直な、y方向に移動できないように、回転子14
は制約されている。回転子をz軸方向に制約することも
でき、またはその方向に自由に移動させることができ
る。最後に、回転子をx軸の方向に制約することがで
き、またはその方向に自由に移動させることができる。
【0080】図9に示した例において、低い電圧レベル
が加えられる回転子浮揚子電極が低い電圧レベルが加え
られる固定子浮揚子電極に実質的に対向するように、回
転子14はy方向に配置されている。電極のこの相対位置
は、図3の回転子位置0に対応する。この位置では、平
面外斥力は最大であり、回転子は固定子12から電圧対力
変換効率最大で反発される。図3はまた回転子がこの位
置にあるとき平面内力が0であることを示している。し
かし、この位置での平面内平衡は不安定であり、それは
回転子をy方向に制約しなければならないからである。
【0081】浮揚子アレイ41と47との間に加えられる平
面外浮揚力の大きさを、電圧源158、159、160、および1
61により与えられる電圧レベルのどれかを変化させるこ
とにより変えることができる。しかし、回転子浮揚子電
極に加えられる電圧が一定のままであることが好まし
い。これにより、同じ電圧を回転子上の浮揚子電極およ
びステッパ電極の双方に加えることが可能になるので、
回転子との電気的接続の数を最小にできる。この場合に
は、回転子にかかる浮揚力は固定子浮揚子電極に接続さ
れた電圧源159の電圧を変えることにより調節される。
この電圧を大きくすると浮揚力が増す。
【0082】浮揚子アレイ41および47により回転子14に
加わる浮揚力がz方向に回転子を移動させるのに使用可
能である。加えてまたは代わりに、ステッパアレイが回
転子を、x方向のような、単独平面内方向にステップさ
せる静電アクチュエータに浮揚子アレイが使用可能であ
る。たとえば、ステッパアレイが回転子を、上述のよう
に、x方向にステップさせ、浮揚子電極がx方向に長さ
方向を配置されれば、駆動および被駆動浮揚子アレイに
かかる交番電圧パターンの逆位相が、回転子がx方向に
移動するとき変化しない。
【0083】最後に、浮揚子アレイ41および47により回
転子に加わる浮揚力は、ステッパアレイにより回転子に
加わる平面外引力を打ち消すのに使用することができ
る。駆動浮揚子アレイに加えられる電圧は、回転子にか
かる正味の平面外力が本質的に0まで減少するように制
御することが可能である。これにより回転子懸垂体の平
面外剛性の要求事項を実質的に減らすことができる。
【0084】4)実用実施例および変更例 上述のステッパアレイ11および17および浮揚子アレイ41
および47は共に、精密なステップ、大きな走行、および
回転子懸垂体にかかる最小の平面外力を与える静電アク
チュエータに使用可能である。このような静電アクチュ
エータは、たとえば、高密度記憶装置でプローブのアレ
イに関連してメモリ面の位置を変えるのに使用すること
が可能である。このような静電アクチュエータの好適実
施例を次に説明する。
【0085】図10は、その対向面15に多数の電極アレ
イを有する回転子14の下面図を示す。各アレイは、6個
の電極から成るアレイである。ステッパ電極アレイ17が
図1に示す実施例のステッパ電極32-42を備えているよ
うに図示される。図10に示す回転子の向きで、ステッ
パ電極アレイ17は、回転子14を、対向面15に平行にx方
向に、すなわち、上述のように、電極32-42の長さ方向
に垂直な方向に、ステップさせることができる。電極ア
レイ19、21、および23は、電極アレイ17と物理的に同一
であるが、以下に説明するように、別の機能を備えるこ
とができる。
【0086】電極アレイ17、19、21、および23のすべて
が被駆動ステッパアレイとして使用され、回転子14をx
方向に移動させることができる。この場合には、鎖状に
結合された電極アレイ17-23の電極ピッチが連続するよ
うに、電極アレイが対向面15に沿って互いに回転子電極
ピッチprに等しい距離だけ離される。好適実施例で
は、各ステッパ電極アレイは、図1に示すように、6個
の電極から構成されている。代わりの実施例は、各アレ
イに更に少ないまたは更に多い電極を備えることができ
る。交互電極は電気的に相互に接続されているので、電
極を二つの異なる電圧に接続すると、鎖状に結合された
電極アレイをx方向に横断して延びる交番電圧パターン
が印加される。
【0087】アレイ11と同様の鎖状に結合されたステッ
パ電極アレイが図1に示すものと同様の装置で固定子12
の対向面13に配置されている。好適実施例では、固定子
上のステッパ電極の各アレイは、7個の電極から構成さ
れている。他の実施例は、各アレイに更に少ないまたは
更に多い電極を備えることができる。固定子上のステッ
パ電極の各アレイは、回転子上のステッパ電極のアレイ
と対を成している。この好適実施例では、回転子電極上
のステッパ電極アレイは、被駆動アレイであり、固定子
上のステッパ電極アレイは、駆動アレイである。駆動ア
レイおよび被駆動アレイの位置は、交換できるが、駆動
アレイは奇数個のステッパ電極を備えるべきであり、被
駆動アレイは偶数個のステッパ電極を備えるべきであ
る。
【0088】回転子をx方向にステップさせる4個のス
テッパ電極アレイ17、19、21、および23に加えて、二つ
の他の電極アレイ47および49が対向面15に配置されてい
る。これらアレイは電極アレイ17-23に垂直に配置され
ている。アレイ47は、図9に示す浮揚子電極アレイ 47
に対応する浮揚子電極アレイであり、電極139、141、14
3、145、147、および149から構成されている。浮揚子電
極アレイ47および49の交互電極は、電気的に相互接続さ
れているので、浮揚子電極が二つの異なる電圧に接続さ
れると、交番電圧パターンが各浮揚子電極アレイ上に印
加される。
【0089】浮揚子電極アレイ47および49は、図9に示
すように、固定子上に配置された浮揚子電極アレイ41と
同様の対応する浮揚子電極アレイに関連して動作可能で
あり、(図示しないが)浮揚力を回転子に加えることが
できる。浮揚子電極アレイは、ステッパ電極アレイ17-2
3により発生される平面外引力を打ち消すのに使用でき
る平面外斥力を発生する。浮揚子電極アレイ47および49
により発生される平面外力が制御され、回転子平面内位
置に従って平面外引力が変化するに拘らず、それぞれ回
転子および固定子の対向面15および13の間の間隔dを維
持することができる。
【0090】代替的に、浮揚子電極アレイ47および49に
加えられる電圧が変化されることにより、間隔dを変え
ることができる。たとえば、先進的記憶装置において、
駆動浮揚子電極に加えられる電圧レベルの一つが切り替
えられて回転子に配置されている記憶媒体をプローブの
アレイと接触させることができる。記憶媒体は対向面15
と対向する回転子14の表面に配置されている。
【0091】回転子と固定子との間の間隔dは30μm未
満にすべきである。好適実施例では、1〜6μmの範囲
内のdの値が最適結果を生ずる。
【0092】静電アクチュエータの好適実施例は、通常
の集積回路製造技法を使用して微細加工により形成され
る。たとえば、回転子および固定子は、その上にパター
ン状の誘電体および導電体の層が形成される半導体基板
を備えることができる。一実施例では、単結晶シリコン
基板が、その表面を窒化シリコンの層で保護して使用さ
れた。タングステンの層を二酸化シリコン層の上に堆積
し、選択的にエッチングして、電極および電極を接続す
る導体を形成した。集積回路製造技法を使用して微細加
工静電アクチュエータを形成することは、当業者に公知
である。代替的に、回転子および固定子の基板が、印刷
回路板またはフレックス回路を形成するのに通常使用さ
れる材料から形成される。
【0093】駆動および被駆動電極に加えられる「低」
電圧をアース電位にしてよい。駆動および被駆動電極に
加えられる「高」電圧は、好適には20V未満であり、十
分な動作は、10V未満の作動電圧で生ずる。
【0094】回転子14が多数の種々の方法で固定子12の
上に支持される。上に述べたように、折返し梁屈曲体の
ような曲がり屈曲体を使用する機械的支持法は、このよ
うな構造が認め得る静的および動的摩擦なしに回転子を
支持するので、好ましい。折返し梁屈曲体の一例が図2
に示される。本発明による静電アクチュエータで達成さ
れる平面外力対平面内力の低い比は、折返し梁屈曲体が
比較的小さいアスペクト比を使用できるようにする。こ
のような折返し梁屈曲体は通常の半導体製造技法を使用
して比較的容易に作ることができる。
【0095】回転子は固定子の上方に他の方法により懸
垂することが可能である。回転子は空気層または誘電液
体層のような流体層により、転がり軸受または他の転が
り接触により、滑り接触により、一方の部材を超音波振
動させて摩擦を減らす滑り接触により、およびその間に
適切な誘電流体を配置する表面間のファンデルワールス
反発により、懸垂することができる。
【0096】図10に示す一実施例の第1の変更例で、
電極アレイ47および49の一方または両方が回転子14を平
面内でy方向にステップさせるステッパアレイとして使
用される。この場合には、被駆動アレイ47および49は固
定子に配置された対応するステッパアレイと整合する。
ステッパ電極アレイは、図1に示すステッパ電極アレイ
11と同様の駆動アレイである。電極のこのアレイによ
り、アレイ47および49に対向する駆動アレイに関わる交
番電圧パターンの破壊が、回転子をy方向にステップさ
せる。アレイ17-23、47および49は、ステッパアレイと
して使用されるとき、回転子をx方向およびy方向の双
方にステップさせることができる。
【0097】第2の変更例では、電極アレイ19および21
が電極アレイ17および23と共にステッパ電極として使用
され、回転子14を無視し得る平面外力でステップさせ
る。平面外力は電極アレイ17および23、およびそれらの
対応する固定子電極アレイの電極ピッチを電極アレイ19
および21の電極ピッチとは異なるようにすることによっ
て無視し得るレベルにまで下がる。
【0098】ピッチの違う電極アレイが回転子14をステ
ップさせるのに使用されると、回転子に加わる力は図2
に示す簡単な正弦波曲線にならない。代わりに、回転子
にかかる力は、空間周波数の異なる多数の力成分の和と
なる。力成分の数は、異なる電極ピッチの数に依存す
る。4個の電極アレイ17-23の相対位置を適切に選択す
ることにより、回転子は、正味の平面外引力がそれに加
わらない安定位置を有することが可能である。この位置
は、回転子が大きな平面外引力を受ける回転子の別の可
能な安定位置が存在するという点で、準安定である。し
かし、初期条件を適切にすれば、回転子をそれに平面外
引力がかからずに準安定位置に保持することができる。
【0099】第3の変更例では、電極アレイ19および21
の一方または双方が位置センサとして使用され、回転子
14のx方向の位置を検出することが可能である。たとえ
ば、電極アレイ21は、固定子12(図示せず)の対応する
センサアレイと関連して、センサアレイの一つに電圧が
時間とともに変わる交番電圧パターンを加え、監視回路
を他のセンサアレイに接続することにより、センサアレ
イとして使用することができる。交番電圧パターンの電
圧はa.c.電圧でよい。反位相a.c.信号が隣接電極に
加えられる交番電圧パターンが特に有効である。代替的
に、交番電圧パターンはディジタル的に変えることがで
き、ディジタル監視回路が他のセンサアレイに接続され
る。固定子に対する回転子14の位置が、誘導電荷または
誘導電圧の変化を検出する監視回路により追跡される。
【0100】電極アレイは、回転子および固定子の上の
アレイが共に同じピッチを有し、各アレイの交互電極が
互いに電気的に接続されているいるとき、センサアレイ
として使用するのに最も良く構成される。電圧源が接続
されるアレイはセンサ駆動アレイと見做すことができ、
監視回路が接続されるアレイはセンサ被駆動アレイと見
做すことができる。
【0101】誘導電荷または誘導電圧の変化を検出する
のに使用される監視回路は、交互センサ駆動電極を大き
さが等しく、かつ位相が反対の電圧に設定することによ
り、単純にすることができる。センサ電極のピッチ/間
隔比が2.25未満であれば、駆動電圧のこのパターンは、
被駆動アレイに、回転子位置に応答してほぼ正弦波的に
変化する信号を発生する。通常の容量性センサでは、ピ
ッチ/間隔比がはるかに大きいが、正弦波的位置信号を
発生するのに位相差90度の駆動信号が必要である。この
ような駆動信号を発生するには本発明による位置センサ
に使用される反位相駆動信号を発生するより複雑な回路
が必要である。
【0102】第4の変更例は、回転アクチュエータ200
であり、これでは回転子が回転し、回転子および固定子
上に配置されたステッパ電極が回転中心202の周りに放
射状に配置されている。図11は、このような回転アク
チュエータの回転子214の一部を示す。ステッパ被駆動
アレイ217および浮揚子被駆動アレイ247が回転子の対向
面215に配置し得る電極アレイの一例として図示されて
いる。また図示されているのは、加えられた平面内力を
増大するのにまたは回転子回転を検出するのに使用し得
る付加的なアレイ219である。これら被駆動電極アレイ
の各々は、固定子(図示せず)の対向面上に対応する駆
動電極アレイを備えている。
【0103】上に記したように、ステッパ電極は回転中
心の周りに放射状に配置されているが、浮揚子電極は円
周状に配置されている。図示した例では、電極アレイ21
7のような各ステッパ被駆動アレイは、10個の電極から
構成されている。したがって、固定子(図示せず)の上
の対応するステッパ駆動アレイは、好適に9または11個
の電極から構成されている。ステッパ電極が放射状に配
置されているので、電極ピッチはピッチを測定する半径
によって変わる。ステッパアレイのピッチ/間隔比は電
極の長さに沿って半分の長さのところで測定したピッチ
を使用して決定される。
【0104】図12に示す第5の変更例では、被駆動電
極の構造が変化している。上述の実施例および変更例で
は、被駆動アレイの電極は各々明確な導電要素である。
このような電極を物理的電極という。図12に示す実施
例300の回転子314では、導電平面78が回転子の対向面31
5に形成されている。絶縁層80が導電平面上に堆積し、
物理的電極34、38、および42が絶縁層上に配置される。
絶縁層上に配置される物理的電極34、38、および42の数
はアレイ317の中の電極の数の半分である。導電平面
は、電圧源58に接続され、物理的電極34、38、および42
は、電圧源60に接続されている。物理的電極34、38、お
よび42の間の導電平面78の部分は、図1に示す実施例の
電極32、36、および40と同等の有効電極として動作し、
物理的電極34、38、および42と共に動作して対向面315
に沿って交番電圧パターンを印加する。したがって、導
電平面78および三つの物理的電極34、38、および42から
構成される電極アレイ317は、図1に示す6個の物理的
電極32-42から成る電極アレイ17と同じ特性を備えてい
る。したがって、本開示では、用語「電極」は、物理的
電極および有効電極双方を含むと理解するものとする。
【0105】第6の変更例では、回転子と固定子との間
の空間に、図13に示すように、固体誘電層84および流
体誘電層86が満たされている。回転子と固定子との間の
空間に誘電体層を満たすと、回転子に加わる平面外引力
が減少する。二つの誘電体層の誘電率および相対的厚み
を適切に選定すると平面外力を無視し得るレベルまで減
少することができる。
【0106】固体誘電層84の材料は好適には低誘電率で
あり、その厚みは固定子12の対向面13と回転子14の対向
面15との間の間隔dの半分よりも大きい。固体誘電層は
固定子に隣接して設けられている。固体誘電層の材料の
一例はポリ四フッ化エチレン(PTFE)である。
【0107】代替的に、固体誘電層84の代わりに空気の
層を使用することができる。空気層を固定子に隣接して
設ければ、たとえば、浅い空洞が固定子に形成され、固
定子電極が空洞の床に配置される。空洞は、空気層を誘
電流体86から分離する薄い固体膜により蓋をされてい
る。
【0108】流体層86の誘電体材料の誘電率は誘電層84
の誘電率より大きい。適切な流体は3M社からFluorine
rtの商標で販売されている。
【0109】誘電体層および流体層を別にすれば、図1
3に示す静電アクチュエータの構造および動作は、図1
に示すものと同じである。一実施例では、PTFEが誘
電体層84として使用され、Fluorinertが流体層86として
使用され、誘電体層の厚みは、対向面13と15との間の間
隔dの0.9倍であり、流体層の厚みは、0.1dであり、回
転子ピッチ対間隔比pr/dは1である。この実施例で
は、誘電体層および流体層は集合的に、固定子と回転子
との間の平面外引力を実質上0まで減らしている。ピッ
チ対間隔比の更に大きい値を用いると、固定子は、回転
子に平面外引力を加えるが、ピッチ対間隔比の更に小さ
い値を用いると、固定子は、回転子に平面外斥力を加え
る。
【0110】平面外力を実質上0の力まで減らすのに必
要なピッチ対間隔比の値は、流体層の厚みに対する誘電
体層の厚みの比および誘電材料の誘電率と流体の誘電率
との差によって決まる。流体層の厚みに対する誘電体層
の厚みの比を大きくすると、平面外力が反発性になるピ
ッチ対間隔比が大きくなる。ピッチ対間隔比が大きい構
造は製造が容易である。
【0111】二つの誘電体層は、固定子に対する回転子
の走行の方向に関係なく、回転子14と固定子12との間の
平面外引力を減少する。移動を基板の主面に平行な平面
に沿って発生させようとすれば、動作は図1、図6、お
よび図7を参照して説明した動作と同じである。したが
って、偶数個の「有効」回転子電極および奇数個の固定
子電極が存在する。回転子電極および固定子電極に沿っ
て適切な電圧パターンを印加すれば、一つの電極を切り
替えることにより回転子が駆動される。
【0112】5)ステッピングおよび浮揚の変更例 本発明が回転子電極に関わる固定された交番電圧パター
ンを有するとして説明してきたが、これは決定的ではな
い。或る状況においては、電荷が加えられた電圧に対抗
する被駆動電極の上に蓄積することがある。この問題の
苛酷さは、被駆動電極の電圧状態を時折反転することに
より減らすことができる。
【0113】さらに、本発明による静電アクチュエータ
が電極に加えられたDC電圧状態とともに説明されてき
たが、これは決定的ではない。アクチュエータの基本動
作機能ではすべて、回転子電極に加えられるa.c.電圧
が固定子電極に加えられるa.c.電圧と同位相であれ
ば、a.c.電圧を電極に加えることができる。
【0114】図6を簡単に参照すると、駆動電極の電圧
状態を三つ以上の可能な電圧状態に設定することによ
り、回転子14の平面内移動の付加的な位置制御が達成で
きる。図1を参照して上に説明した実施例では、一度に
一つの駆動電極、たとえば、電極16、の電圧状態が低電
圧状態間で切り替えられて回転子を1ステップだけ移動
させている。代わりに、電極制御器30が電極16の電圧を
低電圧レベルと高電圧レベルとの間の中間の電圧を設定
すれば、回転子はなおもx方向に移動する。しかし、回
転子による移動距離は、低電圧レベルから高電圧レベル
へ変化する電圧状態から生ずるステップ距離より少な
い。このような平面内移動を「マイクロステップ」とい
う。代わりに、電極、たとえば、電極16、にかかる電圧
を低電圧レベルと高電圧レベルとの間で繰り返し切り替
えることにより回転子は、マイクロステップだけ移動可
能である。回転子が移動する距離は、切り替え波形のマ
ーク−スペース比(mark-space ratio)によって決ま
る。切り替え周波数は回転子に関連するどんな機械的周
波数より大きくすべきである。
【0115】6)静電アクチュエータの空間波長による
定義 回転子および固定子に関わる交番電圧パターンの単純さ
がこのような交番電圧パターンを電極以外の要素を使用
して印加することを可能にする。回転子または固定子の
対向面に交番電圧パターンを印加するための、電極に代
わる代案には下記のようなものがある。
【0116】対向面に沿って、空洞共振器におけると
同様の電磁定在波を印加する発振器。
【0117】対向面上に堆積する帯電粒子。
【0118】対向面に配置された圧電材料および圧電
材料に音響定在波を与える発振器。音響定在波は圧伝材
料の表面に沿って電荷及び電圧定在波を印加する。
【0119】対向面に設けられた電荷のパターンを貯
える強誘電体材料。
【0120】電極を使用してすなわち上の代案のいずれ
かにより交番電圧パターンを印加する静電アクチュエー
タの実施例を、図14に示すように数学的に説明するこ
とができる。図14に示す静電アクチュエータ400は、
固定子412および回転子414を備えている。固定子は平面
対向面413を備えており、これに沿って第1の電圧パタ
ーン411が印加されている。回転子は平面対向面415を備
えており、これに沿って第2の電圧パターン417が印加
されている。回転子414は、固定子の対向面413が回転子
の対向面415から間隔dだけ離れるように、固定子412に
対して支持されている。
【0121】回転子414は、x方向に自由に移動できる
が、z方向には束縛されるように、支持されている。対
向面413および415からの交番電圧パターン411および417
を表す点線の曲線の距離は、それぞれその特定の位置で
の交番電圧パターンの電圧ベクトルを示す。二つの電圧
パターン411および417は、同じ一次空間波長λを有する
ように図示されるが、これは必要な事項ではない。一般
に、各電圧パターンは、幾つかの空間波長を備えている
ことがある。固定子が回転子に平面内力を加える場合、
固定子および回転子の対向面に関する電圧パターンは、
少なくとも一つの空間波長を共通に備えるべきである。
【0122】回転子414をステップさせるのに、電圧制
御器457は、少なくとも一つの交番電圧パターン411およ
び417に局部的破壊を導入する。これにより回転子をス
テップさせる平面内力が発生する。平面外力が付加的に
回転子に加わる。図1を参照して上に説明した実施例と
同様に、交番電圧パターンと対向面413と415との間の間
隔との周期性の間の関係は、一定の範囲内にあって平面
外力対平面内力の比を受け入れ可能レベルまで減らさな
ければならない。この実施例では、交番電圧パターンの
周期性は、一次空間波長λにより特徴づけられている。
平面外力対平面内力の比は、間隔に対する一次空間波長
の比が4.5未満であるとき、すなわち、波長/間隔比λ/
d<4.5であるとき、それらの力が同等であるレベルに
まで下がる。電極が交番電圧パターンを印加するのに使
用されると、得られる空間波長は電極のピッチの2倍で
ある。したがって、4.5の波長/間隔比は、上記のピッチ
/間隔比2.25に対応する。
【0123】更に複雑な電圧パターンの一次空間波長
は、空間フーリエ変換を使用して決定される。フーリエ
変換を使用すると、電極以外により印加された交番電圧
パターンの特性を数量化する仕方が得られるばかりでな
く、交番電圧パターンが電極により印加されたときの回
転子と固定子との間の力を計算する仕方も得られる。た
とえば、図3および図4に示すプロットはフーリエ変換
を使用して計算されたものである。
【0124】第1の例として、図1に示す実施例の回転
子に関わる電圧パターンを対向面13および15に関わる交
番電圧パターンの波長により解析することができる。対
向面の一方に関わる交番電圧パターンが純粋に正弦波状
であれば、得られる電圧波形は、波長がλである一つの
空間波長成分だけを備えている。しかし、図1に示す実
施例では、回転子および固定子に関する電圧パターンは
実際に方形波であるから、交番電圧パターンの波形は、
多数の調和的に関係する波長の成分を含んでいる。交番
電圧パターンの波形を正弦波の和と考えることができ
る。最低周波数および最大振幅を有する正弦波、すなわ
ち、基本波の波長λ=2pである。更に高い高調波の振
幅は基本波より小さく、波長は2p/(2n+1)であり、こ
こでnは整数である。回転子に加わる力を決定する際に
はより高い周波数成分の効果をも考慮しなければならな
い。
【0125】どんな交番電圧パターンもフーリエ変換を
使用して色々な空間波長の空間周波数成分に分解するこ
とができる。フーリエ変換を、特定の成分の波長によっ
てではなく、空間波数ベクトルkによって表すのが好ま
しい。波長λの成分に対しては、関連する空間波数ベク
トルの大きさは2π/λである。
【0126】交番電圧パターンおよびそれらの対応する
フーリエ変換は、数学的用語で以下のように記述され
る。図14に示す固定子412の対向面413および回転子41
4の対向面415に関わるx軸方向の交番電圧パターンは、
それぞれV1(x)およびV2(x)で示される。関連するフー
リエ変換
【0127】
【数1】
【0128】および
【0129】
【数2】
【0130】は波数ベクトルkの関数である。k軸はx
軸に平行である。固定子の対向面413に関わる交番電圧
パターンのフーリエ変換は、下記式を使用して決定され
る。
【0131】
【数3】
【0132】回転子414の対向面415に関わる交番電圧パ
ターンのフーリエ変換は、下記式により決定される。
【0133】
【数4】
【0134】回転子電極32-42に関わる交番電圧パター
ンのフーリエ変換にはk=π/pに鋭いピークがある。
ただしpは電極のピッチである。k=π(2n+1)/pに付
加的な小さいピークがある。ただしnは整数である。
【0135】まさに説明したより形式的なアプローチ
は、更に複雑な交番電圧パターンの解析に使用可能であ
り、どの空間周波数成分が存在するかを決定することが
でき、空間周波数成分の相対的大きさを決定することが
できる。複雑な交番電圧パターンは二つ以上の一次空間
周波数成分を備えていることがある。複雑な交番電圧パ
ターンの一次空間周波数成分は、最大の振幅を有し、且
つ共に元の交番電圧パターンのエネルギの3分の2より
多くを構成する空間周波数成分と定義されている。
【0136】複雑な交番電圧パターンの一例は、図7に
示す一定ピッチpsを有する7個の駆動電極16-28の鎖状
に結合されたアレイにより固定子12の対向面13に印加さ
れているものである。駆動アレイ11に対応する各駆動ア
レイにおいて、電極16、20、24、および28に対応する電
極の電圧状態は、高であり、電極18、22、および26に対
応する電極の電圧状態は低である。この交番電圧パター
ンの空間周波数成分は、回転子14の対向面15上の比駆動
電極アレイ17により発生される交番電圧パターンの空間
周波数成分より見かけ上少ない。上述の正式な式を使用
して解析すると、得られるフーリエ変換は、2π/7ps、4
π/7ps、6π/7ps、8π/7ps、10π/7ps、12π/7ps、……
に等しい波数ベクトルkに鋭いピークを有する。波数ベ
クトルと空間波長λとの間の関係k=2π/λを使用す
ると、関連する空間波長λは、7ps、7ps/2、7ps/3、7ps
/4、7ps/5、7ps/6……である。成分の相対振幅の計算値
は、振幅の平方の和を1に等しくするように正規化した
後に、0.2406、0.3135、0.7301、0.5476、0.1253、0.04
02、……である。7ps/3および7ps/4の空間波長を有する
成分の振幅の平方の和は0.833である。これら二つの成
分は、共に元の交番電圧パターンのエネルギの3分の2
より多くを構成しており、したがって一次空間周波数成
分である。
【0137】上に記したように、平面外力は、一次空間
波長及び回転子と固定子との対向面の間の間隔dとの
比、すなわち、λ/d、が4.5未満であるとき、平面内力
と同等のレベルにまで減少する。
【0138】回転子と固定子との間に平面内力を発生す
るようにフーリエ変換
【0139】
【数5】
【0140】のピークの少なくとも一つはフーリエ変換
【0141】
【数6】
【0142】のピークの少なくとも一つと一致してなけ
ればならない。平面内力を最大にするには、回転子電極
のピッチprは、回転子に関わる交番電圧パターンの一
次空間波長が固定子に関わる交番電圧パターンの二つの
一次空間波長の一方と一致するように、すなわち、2pr
=7ps/3または7ps/4であるように、選定しなければなら
ない。固定子に関わる交番電圧パターンの一次空間波長
がより短い場合、これは8pr/4=7ps/4、または8pr=7ps
になる。固定子に関わる交番電圧パターンの一次空間波
長がより長い場合、これは6pr/3=7ps/4、または6pr=7
psになる。これは、図1に示す静電アクチュエータの設
計を支配する条件である。これらの関係の確定は7個の
固定子電極について上に例示したが、その関係はどのよ
うな奇数の固定子電極についても大きな平面内力および
良好なステップ挙動を生ずる。
【0143】回転子と固定子との間の力は各々の対向面
に関わる交番電圧パターンの一次空間波長を用いて表す
ことができる。この力の計算は、交番電圧パターンが電
極を使用して発生される図3および図4に示すものと同
様の結果を生ずる。
【0144】図14に示すアクチュエータでは、二つの
対向面413および415に関わる交番電圧パターンは、同一
でありまた唯一つの空間波長λを有する。図14に示す
交番電圧パターンにより回転子414に加えられる力が、
4.5の空間波長/間隔比、λ/d、について、図15に示
される。それぞれ、固定子12および回転子14の対向面13
および15に配置された電極により発生される交番電圧パ
ターンについて図3および図4に示した特性と同様に、
平面内力および平面外力は回転位置とともに正弦波状に
変化する。平面外力Fzの負値は回転子が固定子の方に
引き寄せられることを示すが、Fzの正値は回転子が固
定子から反発されることを示す。図15において、回転
子に加えられる最大平面内力MaxFxは最大平面外引力Ma
xFz−とほぼ同じ大きさである。上に記したとおり、平
面内および平面外引力の同様の大きさは、回転子を支持
する梁屈曲体のアスペクト比を下げるので、微細加工装
置ではかなりの利益になる。アスペクト比の低い梁屈曲
体は工程の複雑さを減少させる。
【0145】平面内および平面外の力は、対向面413と4
15との間の間隔dおよび固定子412と回転子414に関する
電圧パターンの空間波長λに依存する。図15に示す力
対平面内位置曲線をそれらの極値MaxFx、MaxFz+、お
よびMaxFz−により特徴づけることができる。空間波長
/間隔比λ/dの関数としてのこれら極値の挙動を図16
に示す。この図で、交番電圧パターンは、固定子412お
よび回転子414の双方で同一であると仮定され、一つの
空間波長成分を有すると仮定される。
【0146】平面内力MaxFxおよび平面外斥力MaxFz
は、空間波長λの限定範囲内でのみ最大になる。これら
最大値は、空間波長/間隔比がほぼ3のところで現われ
る。したがって、所定の駆動電圧および固定子と回転子
との対向面間の所定の間隔について最大の平面内力を生
ずるアクチュエータを作るには、二つの対向面に関する
電圧パターンのフーリエ変換を、約3の空間波長/間隔
比を与える空間波長の周りの実質的中心とすべきであ
る。
【0147】或る用途では、平面内力に対する平面外力
の比が所定の駆動電圧に対する平面内力の大きさより重
要な場合がある。空間波長/間隔比λ/dが大きいとき、
平面内力に対する平面外力の比は大きい。大きい空間波
長/間隔比は、ピッチの大きい大きな電極を使用すると
き生ずる。このような電極は、小さいピッチの小さな電
極より作るのが簡単で且つ廉価である。図1は、平面
内力に対する平面外力の比が空間波長/間隔比λ/dが16
より大きいとき、よりはるかに大きいことを示してい
る。力の比は、空間波長/間隔比が4.5未満になるにつれ
て2未満にまで減少する。力の比は、空間波長/間隔比
が2未満であるとき、ほぼである。
【0148】微細加工アクチュエータの場合、回転子を
支持する梁屈曲体が製造しやすいアスペクト比を備える
ようにすることを低い力の比が可能にすることから、平
面内力に対する平面外力の比を低くすることは特に重要
である。たとえば、代表的先進記憶装置の用途におい
て、回転子の全行程を約50μmにすることができ、回転
子と固定子との間の間隔dを約0.1μmの精度以内に維持
させるすることができる。通常の回転子が使用されれ
ば、すべての電極が同じ電圧に保持されるが、平面外力
対平面内力比はほぼ10である。このような回転子を支持
するにはアスペクト比が少なくとも50:1の折返し梁屈
曲体が必要である。すなわち、折返し梁のz方向の高さ
をx方向の幅より少なくとも50倍大きくしなければなら
ない。このような大きいアスペクト比を有する折返し梁
は現在の製造技法を使用しては極めて製造が困難であ
る。しかし、図14に示す交番電圧パターンが回転子お
よび固定子の対向面13および15に関して印加され、且つ
空間波長/間隔比が4.5未満であれば、平面外力対平面内
力比は約1.6未満である。この場合には、回転子はアス
ペクト比が約20の折り返し梁屈曲体を使用してz方向に
所要精度で支持することができる。このアスペクト比を
有する構造は現在の製造技法を使用して簡単に作られ
る。
【0149】この開示は本発明の例示実施例を詳細に説
明しているが、本発明は記述した精密な実施例に限定さ
れるものではなく、種々の修正案を付記した特許請求の
範囲により規定された本発明の範囲内で実施し得ること
を理解すべきである。
【0150】以下においては、本発明の種々の構成要件
の組み合わせからなる例示的な実施態様を示す。
【0151】1.第1の対向面を有し、該第1の対向面
がピッチprを有する被駆動電極のアレイを備えた第1
の部材、第2の対向面を有し、該第2の対向面が駆動電
極のアレイを備えた第2の部材、 第1の部材と第2の
部材との間に配置された支持体であって、互いに隣接す
る第1の部材および第2の部材を第1の対向面を第2の
対向面から間隔dだけ離して支持し、該間隔とピッチは
8未満のpr/d比を有し、第1の部材および第2の部材
の一方を他方に対して移動可能にする支持体、被駆動電
極のアレイに実質的な交番電圧パターンを印加する手
段、および駆動電極のアレイに実質的な交番電圧パター
ンを印加し、且つ駆動電極のアレイに関わる実質的な交
番電圧パターンに選択的に変化を加えて第1の部材およ
び第2の部材の一方を他方に対して移動させる手段、を
備えていることを特徴とする静電アクチュエータ。
【0152】2.駆動電極のアレイに実質的な交番電圧
パターンを印加し、且つ駆動電極のアレイに関わる実質
的な交番電圧パターンに選択的に変化を加えることによ
り、駆動電極のアレイに関わる実質的な交番電圧パター
ンに局部的破壊を加えて第1の部材および第2の部材の
一方を他方に対してステップさせることを特徴とする1
項記載の静電アクチュエータ。
【0153】3.被駆動電極のアレイに実質的な交番電
圧パターンを印加する手段が、被駆動電極の交互の一方
を第1の電圧に接続し、および該被駆動電極の交互の一
方に隣接する電極を、第1の電圧とは異なる第2の電圧
に接続する手段を備えており、駆動電極のアレイに実質
的な交番電圧パターンを印加する手段が、駆動電極の交
互の一方を第1の電圧に接続し、および該駆動電極の交
互の一方に隣接する電極を第2の電圧に接続する手段、
および局部的破壊を駆動電極のアレイに沿って漸次ステ
ップさせる手段を備えていることを特徴とする2項記載
の静電アクチュエータ。
【0154】4.被駆動電極のアレイが、偶数nr個の
駆動電極から構成され、駆動電極のアレイが、被駆動電
極のアレイを成す被駆動電極の数とは1だけ異なる奇数
s個の駆動電極から構成され、駆動電極がピッチを有
し、駆動電極のピッチに対する被駆動電極のピッチの比
が、実質的にns:nrである、ことを特徴とする2項記
載の静電アクチュエータ。
【0155】5.第1の対向面がさらに、被駆動電極の
付加的なアレイを備えており、被駆動電極の付加的なア
レイの電極が、実質上prに等しいピッチを有し、第2
の対向面がさらに、実質上prに等しいピッチを有する
駆動電極の付加的なアレイを備えており、駆動電極の付
加的なアレイが、被駆動電極の付加的なアレイと対向し
て配置されており、被駆動電極のアレイに実質的な交番
電圧パターンを印加する手段がさらに、被駆動電極の付
加的なアレイに交番電圧パターンを印加し、静電アクチ
ュエータがさらに、駆動電極の付加的なアレイに実質的
な交番電圧パターンを印加する手段、及び実質的な交番
電圧パターンに選択的な変化を加えて間隔dを設定する
手段を備えている、ことを特徴とする2項記載の静電ア
クチュエータ。
【0156】6.第1の対向面がさらに第1のセンサ電
極のアレイを備えており、該第1のセンサ電極が実質上
rに等しいピッチを有し、第2の対向面がさらに、実
質上prに等しいピッチを有する第2のセンサ電極のア
レイを備えており、該第2のセンサ電極が第1のセンサ
電極のアレイと対向して配置され、被駆動電極のアレイ
に実質的な交番電圧パターンを印加する手段がさらに、
第1のセンサ電極のアレイに交番電圧パターンを印加
し、静電アクチュエータがさらに、第1のセンサ電極の
アレイにより第2のセンサ電極のアレイに誘導された電
圧および電荷の一方の変化を監視し、第1の部材および
第2の部材の一方の他方に対する位置を監視する手段を
備えている、ことを特徴とする2項記載の静電アクチュ
エータ。
【0157】7.第1のセンサ電極のアレイに実質的な
交番電圧パターンを印加する手段が、電圧が時間ととも
に周期的に変化する交番電圧パターンを印加するもので
あることを特徴とする6項記載の静電アクチュエータ。
【0158】8.第1の対向面がさらに、被駆動電極の
アレイに垂直に配置される被駆動電極の付加的なアレイ
を備え、該付加的なアレイの電極が実質上prに等しい
ピッチを有し、第2の対向面がさらに、被駆動電極のア
レイに垂直に且つ被駆動電極の付加的なアレイと対向し
て配置された駆動電極の付加的なアレイを備えている、
ことを特徴とする2項記載の静電アクチュエータ。
【0159】9.被駆動電極のアレイが被駆動電極の第
1のアレイであり、駆動電極のアレイが駆動電極の第1
のアレイであり、第1の対向面がさらに、被駆動電極の
第1のアレイに平行に配置され、かつprとは異なるピ
ッチを有する被駆動電極の第2のアレイを備えており、
第2の対向面がさらに、駆動電極の第1のアレイに平行
に配置される駆動電極の第2のアレイを備えており、第
1アレイの電極および第2のアレイの電極が、第1の部
材および第2の部材の一方を他方に対してステップさせ
るように集合的に動作する、ことを特徴とする2項記載
の静電アクチュエータ。
【0160】10.さらに、第1の部材と第2の部材と
の間に流体層および固体誘電層を備え、該流体層が第1
の部材に隣接し、該固体誘電層が第2の部材に隣接し、
前記流体層の誘電率は固体誘電層の誘電率より大きく、
かつ流体層の厚みが固体誘電層の厚みより小さいことを
特徴とする2項記載の静電アクチュエータ。
【0161】11.駆動電極のアレイに実質的な交番電
圧パターンの変化を選択的に加える手段が、所定時刻の
駆動電極の一つの電圧状態を変化させる手段を備えてい
ることを特徴とする2項記載の静電アクチュエータ。
【0162】12.静電アクチュエータが回転アクチュ
エータであり、駆動電極および被駆動電極が、ピボット
の周りで放射状および円周状の一方で配置されているこ
とを特徴とする1項記載の静電アクチュエータ。
【0163】13.静電アクチュエータがさらに、導電
平面を備え、被駆動電極の交互の一方が該導電平面の部
分であることを特徴とする1項記載の静電アクチュエー
タ。
【0164】14.間隔とピッチとの比が2.25未満であ
ることを特徴とする1項記載の静電アクチュエータ。
【0165】15.駆動電極のピッチが被駆動電極のピ
ッチに実質的に等しく、被駆動電極のアレイに実質的な
交番電圧パターンを印加する手段が、被駆動電極の交互
の一方を第1の電圧に接続し、かつ被駆動電極の交互の
一方に隣接する電極を第1の電圧より小さい第2の電圧
に接続する手段を備えており、駆動電極のアレイに実質
的な交番電圧パターンを印加し、実質的な交番電圧パタ
ーンに選択的に変化を加える手段が、駆動電極の交互の
一方を第3の電圧に接続し、かつ駆動電極の交互の一方
に隣接する電極に第3の電圧より小さい第4の電圧に接
続し、第3の電圧および第4の電圧の一方を変化させて
第1の部材および第2の部材の一方を他方に対して浮揚
させる手段を備えており、電極は、第3の電圧に接続さ
れた被駆動電極が第1の電圧に接続された駆動電極と対
向して整合するように配置されている、ことを特徴とす
る1項記載の静電アクチュエータ。
【0166】16.第1の電圧が約0Vであり、第2の
電圧は20V未満であることを特徴とする15項記載の静
電アクチュエータ。
【0167】17.静電アクチュエータを駆動する方法
であって、その各々が対向面を備えている第1の部材お
よび第2の部材を準備するステップ、第1の部材および
第2の部材の一方を他方に対して対向面に平行な方向に
移動可能に、第1の部材の対向面を間隔dで第2の部材
の対向面と対向して配置するステップ、第1の部材の対
向面に実質的な交番電圧パターンを印加し、第2の部材
の対向面に静的な、実質的交番電圧パターンを印加する
ステップ、各交番電圧パターンが、空間波長/間隔条件
λ/d<16を満たす一次空間波長λを有する波形を画定
し、および第1の部材の対向面に関わる交番電圧パター
ンに選択的に変化を加えて第1の部材および第2の部材
の一方を他方に対して移動させるステップ、を備えてい
ることを特徴とする方法。
【0168】18.第1の部材の対向面に関わる実質的
な交番電圧パターンに選択的に変化を加えるステップに
おいて、局部的破壊が実質的な交番電圧パターンに加え
られ、第1の部材および第2の部材の一方を他方に対し
てステップさせることを特徴とする17項記載の方法。
【0169】19.さらに、駆動アレイを通して第1の
部材および第2の部材の一方を直前のステップで切り替
えられた電極に隣接する電極の電圧状態を変えるステッ
プを繰り返し行なうことにより増分的にステップさせ
る、増分的に移動する局所的破壊を含むことを特徴とす
る18項記載の方法。
【0170】20.第1の部材の対向面に実質的な交番
電圧パターンを印加し、かつ第2の部材の対向面に静的
な、実質的交番電圧パターンを印加するステップにおい
て、交番電圧パターンが、互いに反対に設けられた電圧
最大値を有し、第1の部材の対向面に印加された実質的
な交番電圧パターンが、電圧最小値を有し、第1の部材
の対向面に関わる交番電圧パターンに選択的に変化を加
えるステップが、交番電圧パターンの電圧最大値および
電圧最小値の一方が変化することを含んでいる、ことを
特徴とする17項記載の方法。
【0171】21.第1の部材および第2の部材の対向
面に実質的な交番電圧パターンを印加するステップにお
いて、二つの電圧状態から成る交番電圧パターンを印加
し、第1の部材の対向面に関わる交番電圧パターンを成
す局部的破壊を選択的に加えるステップは、電圧パター
ンの所定位置で二つの電圧状態の一方を二つの電圧状態
の間の中間の電圧状態に変更するステップを備えてい
る、ことを特徴とする17項記載の方法。
【0172】22.第1の部材および第2の部材の対向
面に実質的な交番電圧パターンを印加するステップにお
いて、二つの電圧状態を有する交番電圧パターンを印加
し、第1の部材の対向面に関わる交番電圧パターンを成
す局部的破壊を選択的に加えるステップは、交番電圧パ
ターンの所定の位置を二つの電圧状態の間で急速に切り
替えるステップを備えている、ことを特徴とする17項
記載の方法。
【0173】23.第1の部材および第2の部材の各々
の対向面に実質的な交番電圧パターンを印加するステッ
プにおいて、各交番電圧パターンが、空間波長/間隔条
件λ/d<4.5を満たす一次空間波長λを有する波形を画
定することを特徴とする17項記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による静電アクチュエータの基本実施例
の概略側面図である。
【図2】図1に示す回転子の一実施例の下面図である。
【図3】図2に示した回転子に加えられる正規化力を、
回転子の平面内位置の関数として描いたものである。
【図4】図3の力曲線から三つの極値を回転子電極のピ
ッチ/間隔比の関数として描いたものである。
【図5】平面外引力対平面内力比を回転子電極のピッチ
/間隔比の関数として描い たものである。
【図6】図1に示す静電アクチュエータを動作させる電
圧状態を示す。
【図7】図1に示す静電アクチュエータの隣接する電極
アレイの電圧状態を示す。
【図8】本発明の一実施例における四つの電圧状態につ
いて平面内力を回転子位置の関数として描いたものであ
る。
【図9】浮揚子電極アレイが平面外浮揚力を回転子に加
える本発明の一実施例の概略側面図である。
【図10】多数の電極アレイを有する一実施例における
回転子の対向面を示す。
【図11】回転アクチュエータとして動作する本発明の
一実施例の回転子の対向面を示す。
【図12】被駆動電極アレイが交互有効電極および物理
的電極から構成されている本発明の一実施例の概略側面
図である。
【図13】回転子と固定子との間の空間が液体および固
体の誘電体で満たされている本発明の一実施例の概略側
面図である。
【図14】回転子および固定子の表面に任意の電圧パタ
ーンが存在する本発明の一実施例の概略側面図である。
【図15】図14の回転子に加えられる正規化力を回転
子の横方向位置の関数として描いたものである。
【図16】図15の力曲線から三つの極値を回転子およ
び固定子の表面上の電圧パターンの空間波長の関数とし
て描いたものである。
【符号の説明】
12 固定子 13 固定子の対向面 14 回転子 15 回転子の対向面 16、18、20、24、26、28 固定子電極 32、34、36、38、40、42 回転子電極 31、58、60 電圧源 120、122、124、126 折返し梁屈曲体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 399117121 395 Page Mill Road Palo Alto,Californ ia U.S.A. (72)発明者 カール・タウシグ アメリカ合衆国カリフォルニア州94061, レッドウッド・シティー,アラメダ・ デ・ラス・パルガス・2295 (56)参考文献 特開 平8−140365(JP,A) 特開 平8−186987(JP,A) 特開 平5−122948(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 1/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の対向面を有し、該第1の対向面が
    ピッチprを有する被駆動電極のアレイを備えた第1の
    部材、 第2の対向面を有し、該第2の対向面が駆動電極のアレ
    イを備えた第2の部材、 互いに隣接する前記第1の部材および前記第2の部材を
    前記第1の対向面を前記第2の対向面から間隔dだけ離
    して支持し、前記第1の部材および前記第2の部材の一
    方を他方に対して移動可能にする支持体前記間隔と
    前記ピッチ8未満のpr/d比を有することと 前記被駆
    動電極のアレイに対し、実質的に交番する空間的電圧パ
    ターンを印加する手段と、 前記 駆動電極のアレイに対し、実質的に交番する空間的
    電圧パターンを印加し、且つ前記駆動電極のアレイに沿
    って局部的位相反転を漸次ステップさせることによって
    前記駆動電極のアレイに対して印加され前記実質的に
    交番する空間的電圧パターンに選択的に変化を加えるこ
    とにより、前記第1の部材および前記第2の部材の一方
    を他方に対して移動させる手段、 を備えていることを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 前記駆動電極のアレイに対し、実質的に
    交番する空間的電圧パターンを印加し、且つ前記駆動電
    極のアレイに対して印加され前記実質的に交番する空
    間的電圧パターンに選択的に変化を加える前記手段が、
    直前に切り替えられた電極に隣接する電極の位相反転を
    漸次ステップさせることによって、前記第1の部材およ
    前記第2の部材の一方を他方に対してステップさせる
    ことを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 静電アクチュエータを駆動する方法であ
    って、 その各々が対向面を備えている第1の部材および第2の
    部材を準備するステップ、前記 第1の部材および前記第2の部材の一方を他方に対
    して前記対向面に平行な方向に移動可能に、前記第1の
    部材の前記対向面を間隔dで前記第2の部材の前記対向
    面と対向して配置するステップ、前記 第1の部材の前記対向面に対し、実質的に交番する
    空間的電圧パターンを印加し、前記第2の部材の前記
    向面に対し、静的な、実質的に交番する空間的電圧パタ
    ーンを印加するステップ、各実質的に交番する空間的電
    圧パターンが、空間波長/間隔条件λ/d<16を満たす一
    次空間波長λを有する波形を画定し、および前記第1の
    部材の前記対向面に沿って局部的位相反転を漸次ステッ
    プさせることによって、前記第1の部材の前記対向面に
    対して印加され前記実質的に交番する空間的電圧パタ
    ーンに選択的に変化を加えて前記第1の部材および前記
    第2の部材の一方を他方に対して移動させるステップ、 を備えていることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 前記第1の部材の前記対向面に対して印
    加され前記実質的に交番する空間的電圧パターンに選
    択的に変化を加える前記ステップにおいて、直前のステ
    ップで切り替えられた電極に隣接する電極の位相反転を
    行うステップを繰り返し行うことによって、前記第1の
    部材および前記第2の部材の一方を他方に対してステッ
    プさせることを特徴とする請求項3記載の方法。
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