JP3272511B2 - 耐酸、耐熱性を有する生クリーム乳化物及びその製造方法 - Google Patents
耐酸、耐熱性を有する生クリーム乳化物及びその製造方法Info
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Description
その製造方法に関するものである。本発明に係る生クリ
ーム乳化物は、例えばコーヒー飲料の製造においては、
低pHのコーヒーと甘味料や香料等を含む配合液に添加
してレトルト処理を実施しても、オイルオフ、フェザリ
ング、凝集及びクリーム分離などの好ましくない現象を
ひき起すことがないし、また、常温及び加温流通時にも
このような現象をひき起すことがなく、従来製造するこ
とができなかった生クリーム配合缶コーヒー等の製造を
可能ならしめるものである。
されているが、牛乳に含まれるタンパク質が凝固したり
分離したりするのを防止するため、製品のpHは6.3
以上に設定している。換言すれば、低pHコーヒー飲料
の工業的製造は行われていない。
質によって脂肪球表面が被覆されており、レトルト処理
すると不安定になるので、乳化剤の使用が行われてい
る。そして乳化剤を使用することによって、現行のコー
ヒー飲料(pHは6.3以上である)において、脂肪球
の安定化が実用レベルで得られているが、未だ充分なも
のとはいえない。ましてや、pH6.2以下では脂肪球
が著しく不安定となるため、低pHのコーヒー飲料の工
業的製造は実質的に不可能となる。
物を得る方法としては、牛乳を遠心分離して得られた乳
クリームをチャーニングなどの方法によって予じめ破壊
した後、得られた乳脂肪油分を、乳化剤によって再乳化
する方法(特開昭60−58939)や、油分を加水分
解乳清蛋白質、脱脂粉乳及び乳化剤を用いて乳化する方
法(特開平2−257838)などが提案されている。
られる生クリームの脂肪球は、0.1〜20μm(平均
3.4μm程度)の粒径を有し、その表面は、乳腺細胞
由来のリン脂質や、ガングリオシド、タンパク質などの
親水性被膜によって覆われている。このような生クリー
ムを乳化剤を用いて均質化した乳化クリームは、酸性領
域では著しく不安定である。
ち、原料生クリームをチャーニングなどの方法により破
壊して脂肪球皮膜を除去した後、乳化剤を添加して乳化
することにより、乳化剤のみで被覆された脂肪球を得る
ことにより安定化する方法が提案されているのである
(特開昭60−58939)。しかしながら、この方法
では、生クリームを乳化破壊するために、工程が複雑に
なるとともに、生クリーム本来の風味がそこなわれる。
水分解乳清蛋白質、脱脂粉乳などで均質化する方法も提
案されているが(特開平2−257838)、缶コーヒ
ーのような厳しい殺菌条件(121℃、30分程度)の
もとでは、コーヒー抽出液中で脂肪球径がわずかに大き
くなり、そして加温保存中にも粒径の肥大化が認めら
れ、脂肪が浮上しやすくなる欠点は避けられない。
4.8〜6.0)のような酸性領域で充分な耐熱性を有
する安定な生クリームの乳化方法が開発されていなかっ
たため、レギュラーコーヒー飲用時に広く用いられてい
る生クリームを使った缶コーヒーの製造は不可能であっ
た。
生クリームの風味をそこなうことなく酸性領域で安定な
しかもレトルト加熱等厳しい殺菌条件等によっても脂肪
球の分離等のない安定性の高い、すぐれた乳化生クリー
ムの製造法を開発する目的でなされたものである。
に各方面から鋭意研究を続け、精製ホエータンパク質加
水分解物について詳細に検討したところ、全タンパク質
中に占めるβ−ラクトグロブリン含有割合の重要性には
じめて着目するに到り、β−ラクトグロブリン含有割合
の高い精製ホエータンパク質加水分解物がすぐれた効果
を奏するとの新知見を得た。
化時の配合成分、処理条件その他の条件について更に詳
細な検討を行い、その結果非常にすぐれた乳化生クリー
ムの製造にはじめて成功し、本発明の完成に至ったもの
である。以下、本発明を詳しく説明する。
生クリームに全タンパク質中に占めるβ−ラクトグロブ
リン含有割合の高い精製ホエータンパク質加水分解物を
配合して均質化することが必要である。本発明において
使用する精製ホエータンパク質加水分解物は、全タンパ
ク質中に占めるβ−ラクトグロブリン含有割合の高いホ
エータンパク質処理物を酵素等によって加水分解して製
造するものであって、これを生クリームの均質化前及び
/又は均質化時に0.05〜5%、好ましくは0.1〜
2%添加する。
ク質加水分解物は、β−ラクトグロブリン含量が全タン
パク質の70〜95%、好ましくは80%以上のもので
あればすべてのものが使用でき、その製造は、例えば次
のようにして行う。
グロブリン含量の高い精製ホエータンパク質溶液を調製
する。その濃度は、1〜10%(w/v)、好ましくは
2〜5%(w/v)とし、pHは使用する酵素にもよる
が7.0〜8.0に調整する。全タンパク質中に占める
β−ラクトグロブリン含量の高い精製ホエータンパク質
としては、β−ラクトグロブリン含有割合が全タンパク
質の70%以上である精製タンパク質であればすべての
ものが使用でき、例えば、ホエータンパク質濃縮物(W
hey Protein Concentrate、W
PC)やホエータンパク質分離物(Whey Prot
ein Isolate、WPI)といったホエータン
パク質処理物が有利に使用できる。ホエータンパク質処
理物に限らず、β−ラクトグロブリン含量の低い原料に
あっても、精製処理を行って更に該含量を所期の値にま
で高めたものであれば、すべてのものが使用できる。
これにトリプシン、ペプシン、パパイン、ブロメライン
その他各種プロテアーゼなどのタンパク質分解酵素をタ
ンパク質に対して0.01〜5%(好ましくは0.1〜
0.5%)添加し、40〜60℃で30分〜6時間(使
用酵素にもよるが、好ましくは1〜3時間)反応させ
て、加水分解物を得る。精製タンパク質の加水分解は、
上記のように酵素によるほか、塩酸等の酸加水分解も可
能である。
ク質の部分加水分解物を添加配合して生クリームを均質
化することにより、安定な生クリーム乳化物を製造する
ことができるが、乳化剤を併用すれば、脂肪球径を充分
小さく(1μ以下)することが可能となり、更にすぐれ
た生クリーム乳化物が得られる。
ステル、有機酸モノグリセライド、ショ糖脂肪酸エステ
ル、レシチンその他各種乳化剤(HLB5〜16)を1
種又は2種以上併用する。その添加量は0.01〜5%
(好ましくは0.5〜1.0%)であって、均質化前及
び/又は均質化時に添加する。
小さくすることができるが、更に検討の結果、均質化時
の脂肪濃度が30%をこえると、脂肪粒径が1μ以上と
なり、缶コーヒーを高温保存した場合に、クリームが分
離しやすくなるため、均質化時の脂肪濃度を30%以下
とするのが良く、本発明においては、均質化時の乳脂肪
率を2〜30%(好ましくは10〜20%)とすると、
更に良い結果が得られる。
物は、耐酸性及び耐熱性にすぐれ、レトルト殺菌その他
厳しい加熱処理を行う酸性の飲食品に生クリームの風
味、食感を付与することができる。したがって、本発明
によれば、従来製造することができなかった生クリーム
入り缶コーヒー等も有利に製造することがはじめて可能
となったのである。
れる。 (1)コーヒー抽出液(pH4.8〜6.0)に脂肪濃
度が0.1〜2%となるように生クリーム乳化物を添加
し、レトルト処理(121℃、30分)した後であって
も、脂肪粒径がレトルト処理前と変化がない。 (2)缶コーヒーを高温(55〜65℃)に保存した場
合であっても、脂肪粒径に変化がなく、クリームの浮上
も少なく、再分散性も良好である。 (3)生クリーム乳化物は、もとの生クリームの香味を
保持しており、コーヒーに添加したときの風味もきわめ
て良好である。
占めるβ−ラクトグロブリン含有率が95%のホエータ
ンパク質分離物)を4%濃度に溶解し、1N NaOH
で溶液のpHを8.0に調整した後、トリプシン(NO
VO社製)をタンパク質量の0.2%となるように添加
し、60℃で3時間反応させた。
失活させた後、固形分40%となるように減圧濃縮し、
減圧濃縮液を噴霧乾燥して、精製ホエータンパク質加水
分解物(粉末)を得た。
タンパク質中に占めるβ−ラクトグロブリン含有率が6
5%)についても、トリプシンによる加水分解を行い、
未精製ホエータンパク質加水分解物(粉末)を得た。
記表1に示した配合(1〜7)で均質化し、それぞれ7
種類の調製クリームを得た。
ヒー抽出液(生豆6g/100g)90に対して調製ク
リーム10の割合で混合し、10% NaOH液でpH
をそれぞれ6.0、5.5及び5.0に調整し、121
℃、10分オートクレーブ殺菌し、殺菌前の脂肪粒径と
殺菌後の脂肪粒径を、レーザー式粒度の分布計で測定し
て、表−1の結果を得た。
以外は、加熱後の粒径が加熱前に比べて明らかに大き
く、また、配合5と7では、加熱後に脂肪が凝集し、液
面に浮上した。
ームを用いて、コーヒー抽出液(生豆10g/100
g)50部、砂糖6部、調製クリーム10部、精製水3
4部の割合の缶コーヒーミックス(pH6.0)を調製
し、レトルト処理(123℃、20分)した後、55℃
で14日間保存した。
肪の浮上を目視によって視認した。その結果を、下記表
2に示す。その結果から、配合3の調製クリームを用い
た缶コーヒーがすぐれていることが明らかとなった。
Claims (6)
- 【請求項1】 牛乳より分離した生クリームに、全タン
パク質中に占めるβ−ラクトグロブリン含有割合の高い
ホエータンパク質処理物を部分加水分解して得られる精
製ホエータンパク質加水分解物を0.1〜2%配合し、
均質化すること、を特徴とする生クリーム乳化物の製造
方法。 - 【請求項2】 該ホエータンパク質処理物が、ホエータ
ンパク質濃縮物又はホエータンパク質分離物であるこ
と、を特徴とする請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 該精製ホエータンパク質加水分解物が、
全タンパク質中に占めるβ−ラクトグロブリンを80%
以上含有するものであること、を特徴とする請求項1又
は請求項2に記載の方法。 - 【請求項4】 該精製ホエータンパク質加水分解物を生
クリーム均質化前及び/又は均質化時に配合すること、
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載
の方法。 - 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記
載の方法で製造してなる生クリーム乳化物。 - 【請求項6】 生クリーム乳化物がコーヒー飲料用であ
ること、を特徴とする請求項5に記載の生クリーム乳化
物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP25520493A JP3272511B2 (ja) | 1993-09-20 | 1993-09-20 | 耐酸、耐熱性を有する生クリーム乳化物及びその製造方法 |
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Publications (2)
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JPH0779699A JPH0779699A (ja) | 1995-03-28 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP25520493A Expired - Lifetime JP3272511B2 (ja) | 1993-09-20 | 1993-09-20 | 耐酸、耐熱性を有する生クリーム乳化物及びその製造方法 |
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CN115530242B (zh) * | 2022-09-26 | 2023-06-06 | 立高食品股份有限公司 | 一种增益奶油稳定性的复配剂及其制备方法和应用 |
-
1993
- 1993-09-20 JP JP25520493A patent/JP3272511B2/ja not_active Expired - Lifetime
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