JP3270903B2 - 炭素炭素複合材料からなる高摩擦係数を持つブレーキ材料 - Google Patents

炭素炭素複合材料からなる高摩擦係数を持つブレーキ材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高(動)摩擦係数を有
し、かつ摩粍が少ない利点を持つ、光学的異方性ピッチ
系炭素繊維強化材及び石油ピッチ系マトリックス炭素前
駆体を使用した炭素炭素複合材料からなるブレーキ材料
に関するものである。より詳細には、本発明の摺動材料
は、同一材料同士或いは金属等の面と摺動する際の摩擦
力が大きく、しかも摩粍が少ない利点を有しており、ブ
レーキディスク材料、ブレーキドラム材料、ブレーキラ
イニング材料、ブレーキシュー材料等に用いて優れた性
能を示す。また、本発明のブレーキ材料は、非酸化性雰
囲気での熱安定性が極めて優れていると共に、ブレーキ
操作時の大きな発熱により変質、変形することが少な
く、また発熱により該材料が溶融して性能が急に劣化す
ることもなく、ブレーキ材料の信頼性が高い。本発明の
ブレーキ材料は、動摩擦係数が高い割に摩粍に強いこと
から、カセットテープの押さえ部材、高速ミシンの下糸
ボビンケースのように、停止時に急激に停止し、しかも
走行時の抵抗が少ない、軽量のブレーキ材料として使用
することができる。
【0002】
【従来の技術】従来のブレーキ材料は、金属材料系、複
合材料系及びゴム系のように大別されている。これらの
中で、金属材料系ブレーキは高速時に比較的緩慢な減速
を行う場合に有利であり、ゴム系ブレーキは低速範囲で
比較的迅速な減速を行うことができるが、寿命は短いと
言われている。また、複合材料系ブレーキは、原則とし
て強化繊維、摩粍面の粗さを維持するための硬質材料及
びバインダーの3成分から構成されている。これらの複
合材料系ブレーキを構成する3成分は夫々が2種以上の
混合物であっても良く、また1成分が2つの機能を兼備
していても良い。さらに、従来の強化繊維としては、ア
スベストが主に使用されてきた。アスベストは強度が大
きくかつ耐熱性が優れており、摩粍面の粗さの維持にも
有効であることから、理想的な強化繊維とされてきた。
しかし、ブレーキの使用時に、削り取られるブレーキ材
料中に含まれるアスベストの微粉末が健康に有害である
ことが明らかであり、近年、アスベストを使用しないブ
レーキ材料の開発が進められるようになっている。
【0003】また、ガラス繊維の使用は、強化繊維とし
ては安価であることから、研究され実用化が進められて
いるが、ブレーキに無理な負荷を与えた時の安全性に問
題がある。すなわち、摩擦発熱が極限に達した時に、ガ
ラス繊維が溶融し、突然潤滑油的な性能を示すようにな
って、減速能を失う問題を保有している。また、高価で
ある問題はあるが、ケブラー繊維のような芳香族ポリア
ミドなどの高強度有機繊維の使用も研究されている。こ
れらの高強度の有機繊維は、通常のブレーキ使用条件で
は熱劣化を起こすとされている。また、無理な負荷を与
えた時にも溶融しないとは言えない。
【0004】使用中の発熱が大きく、発熱による表面の
変質が問題になることの多いブレーキ材料分野では、炭
素繊維等の炭素材料は非酸化性雰囲気での熱安定性が優
れていることから、従来から注目されている。近年、特
に航空機、リニア・モーターカー等の高速鉄道車両、更
にスポーツカーやレーシングカー等の高速自動車のブレ
ーキ材料として、熱安定性、高温時の高強度、軽量性等
の観点から炭素炭素複合材料が検討され、一部実用化さ
れてきている。しかし、高い結晶性を持つ黒鉛質炭素材
料には、かなり高速時の自己潤滑性があることが知られ
ているために、炭素繊維を強化材としてブレーキ材料を
製造する場合、従来には、強度が大きくて熱伝導率が高
い成分として利用し、黒鉛の自己潤滑性を避けるため、
バインダー中にセラミックス粉末を混合して摩擦面の粗
さを確保することが行われている。この場合に、高い摩
擦係数を得ることが可能であるが、混合セラミックス粉
と強化材炭素繊維或いはマトリックス炭素とが製造段階
時で反応したり、高負荷時の発熱に伴うブレーキ材料の
酸化反応時に混合セラミックス粉がガラス状物質へと変
質したりするために、炭素炭素複合材料を構成する基材
強度が著しく低下してしまう問題が残されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の炭素炭素複合材
料からなるブレーキ材料は、(イ)構成炭素繊維が高配
向性を有するためC軸方向の結合力が弱く、大きな負荷
がかかる場合に容易に剪断破壊されると共に、(ロ)炭
素繊維−マトリックス炭素間の結合力が弱く、約150
0℃以上の炭化を行うような場合に、繊維−マトリック
ス炭素間で剥離した状態となり、摩擦係数が低い割に摩
粍量が多くなる問題を保有し、この課題を解決すること
が炭素炭素複合材料からなるブレーキ材料の性能を向上
させるために必須であることが分かった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について種々検討した結果、炭素繊維原料として、高温
で炭化した高密度、高熱伝導性を有する光学的異方性ピ
ッチ系(高弾性率)炭素繊維を強化材とし且つ石油系ピ
ッチ系マトリックス炭素前駆体を用いると共に、炭素炭
素複合材料を構成する炭素成形物の炭化(熱処理)を7
00〜1500℃のように比較的低温で行うことによっ
て、炭素繊維とマトリックス炭素との間の結合力を損な
わずに、ブレーキ材料としての安定した高い摩擦係数を
得ると共に、摩粍量を減少させることができることを
出し、本発明を完成するに至った。 要するに、本発明で
は、ブレーキ材料を構成する炭素繊維原料の密度(体積
含有率(a) )、結晶子寸法 (b)、伸長弾性率(c) 、熱伝
導率(d) を特定の範囲に定め、かつ炭素成形物の炭化温
度を比較的低温(700〜1500℃)で行うと共に、
石油系ピッチ系のマトリックス炭素前駆体を選択するこ
とにより、炭素炭素複合材料からなるブレーキ材料の、
前記(e) 項で示されるように動摩擦係数が比較的高く、
特に高い発熱を伴う摩擦の際の摩擦係数が高くなると言
う利点がある。
【0007】即ち、本発明は: 炭化時の最高温度が
1950℃以上で得た光学的異方性ピッチ系炭素繊維を
炭素炭素複合材料用強化材とし、かつ石油系ピッチを主
体とし、必要に応じてフェノール樹脂、フラン樹脂の群
から選ばれた1種又は2種以上を加えた材料をマトリッ
クス炭素前駆体として得られた炭素成形物を最高温度7
00〜1500℃で炭化することにより得られたブレー
キ材料であって、且つ、(a) ブレーキ材料の炭素繊維体
積含有率が30〜65容積%、 (b)ブレーキ材料を構成
する炭素繊維原料のX線による結晶子寸法Lc (00
2)が10nm以上、(c) 伸長弾性率が40×103
gf/mm2 以上、(d) 室温測定時の熱伝導率が110
kcal/m・hr・k以上であり、(e) ブレーキ材料
の摩擦係数が、炭素鋼の平滑な平面に対して相対すべり
速度2.5〜25.0m/秒で測定した時に、0.25
〜0.60であるという高摩擦係数を持つ低摩粍量の炭
素炭素複合材料からなるブレーキ材料を提供する。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
炭素炭素複合材料からなるブレーキ材料において、炭素
繊維体積含有率(a) が30容積%未満の場合には、従来
品並みの摩擦係数0.2を確保することが難しくなるば
かりか、炭素成形物の耐摩粍性が低くなるので好ましく
ない。また、炭素繊維体積含有率(a) が65容積%を越
える場合には、ブレーキ材料を構成する炭素炭素複合材
料内の炭素マトリックスが過少となり、炭素成形物の炭
化の際にマトリックス炭素中に隙間が発生することを阻
止することが難しくなり、成形が難しくなるばかりか、
発熱する熱が逃げ難く、破損し易くなるので好ましくな
い。ブレーキ材料の炭素繊維体積含有率(a) は好ましく
は30〜65容積%、より好ましくは35〜55容積%
である。ここで、炭素繊維体積含有率(a) とは、主に炭
素マトリックスと共にブレーキ材料を構成する炭素炭素
複合材料中に存在する炭素繊維の体積当たりの百分率で
あり、炭素炭素複合材料における炭素繊維の充填の割合
を示す。
【0009】本発明の炭素繊維原料のX線による結晶寸
法Lc (002) (b)が10nm以上25nm以下、よ
り好ましくは11〜25nmであることが望ましい。こ
こで、X線による結晶子寸法Lc (002) (b)とは、
002回折線から求めた結晶子のC軸方向の厚みのこと
であり、学振法により測定した値を言う。炭素繊維原料
のX線による結晶子寸法Lc (002) (b)が10nm
以上25nm以下比較的大きい結晶粒子を形成する
と、得られたブレーキ材料が摩擦係数が大きく、耐摩粍
性も高くなる。
【0010】本発明の炭素炭素複合材料からなるブレー
キ材料は、炭素繊維原料の伸長弾性率(c) が40×10
3 kgf/mm2 以上80×10 3 kgf/mm 2 以下
である必要がある。本発明における伸長弾性率(c)
は、引張り試験により測定されたものであり、最大破断
応力の30%及び70%近傍2点における応力変位を、
その2点間歪み量で割った値である。
【0011】本発明の炭素炭素複合材料では、炭素繊維
原料として、後述するように1950℃以上の高温の炭
化により得られ、伸長弾性率(c) 40×103 kgf/
mm2 以上80×10 3 kgf/mm 2 以下、密度2.
0g/cm3 以上のピッチ系炭素繊維のような高弾性率
(高強度)、高密度炭素繊維を用いたことと相まって、
ブレーキ材料とした時に、高速摺動時における摩擦係数
が高く、また耐摩粍性が高くなる。本発明のブレーキ材
料において、炭素繊維原料の伸長弾性率(c) が40×1
3 kgf/mm2 未満では、耐摩耗性は比較的良好で
はあるが、摩擦係数が低くて、高速摺動時に十分な制動
が得られない。また、本発明のブレーキ材料において、
炭素繊維原料の密度が2.0g/cm3 以上である必要
がある。2.0g/cm3 未満の密度であると、炭素繊
維原料は熱伝導率が低く、高速摺動時に迅速な放熱が出
来ず、好ましくない。
【0012】本発明のブレーキ材料を構成する炭素成形
物の炭化が最高温度1500℃を越える場合には、炭素
繊維との界面のマトリックス炭素に亀裂や剥離を生じる
ことが多くなり、ブレーキ材料の摩擦特性のバラツキが
大きくなり、ブレーキ使用時に摩粍が多くなるので好ま
しくない。また、700℃未満の場合には、マトリック
ス炭素の硬度が高くなり、摩粍量は減少するものの、摩
擦面の材料如何によっては相手材表面を削り取り易くな
ったり、ブレーキ材料自体が局部的に破壊を生じたりし
て、所謂摩粍粉を生じ易くなり、その結果として摩擦係
数が低くなるので、ブレーキ材料の制動能力が小さくな
り、ブレーキとして無理が効かなくなり好ましくない。
従って、本発明のブレーキ材料を構成する炭素成形物の
炭化は、最高温度700〜1500℃で行う必要があ
【0013】本発明の摺動材料を構成する炭素繊維強化
としては、光学的異方性含有ピッチ及び応力、熱によ
り容易に光学的異方性に転化するピッチよりなる光学的
異方性ピッチからのピッチ系炭素繊維が高弾性率が容易
に得られ、高密度、高熱伝導性を有するために好まし
い。また、該炭素繊維の繊維形態は、連続長繊維、これ
を使用した織物、三次元織物、一方向配列シート、不織
布(シート)や、或いは適当な長さに切断したチョップ
ドストランド、紡績糸のような短繊維も適用可能であ
り、繊維形態に左右されることはない。
【0014】本発明の炭素炭素複合材料からなるブレー
キ材料の摩擦係数(e) は、炭素鋼の平滑な平面に対して
接触面圧5kg/cm2 、相対すべり速度2.5〜2
5.0m/秒で測定した時に、好ましくは0.25〜
0.60、最も好ましくは0.28〜0.5であるもの
が望ましい。本発明のブレーキ材料の場合に、摩擦係数
が大きい程ブレーキとしての能力は大きくなるが、摩擦
係数が0.60を越えて大きくなると、摩耗量の増大又
は相手材によっては摩擦相手を摩粍する能力が大きくな
るので、ブレーキシステム全体としてのメンテナンス費
用が増大するので好ましくない。また、ブレーキ材料の
摩擦係数が0.25未満と小さい場合には、摩粍量が少
なくなって耐久性は向上するが、急制動が掛けられなく
なり好ましくない。ブレーキ材料の摩擦係数は好ましく
は0.25〜0.60、最も好ましくは0.28〜0.
5である。
【0015】本発明の炭素炭素複合材料からなるブレー
キ材料の製造法は特に制限されないが、 (イ) 光学的異方性ピッチ原料を常法の紡糸法(スパン
ボンド法、メルトスピニング法、メルトブロー法、遠心
紡糸法等)により紡糸して光学的異方性ピッチ系繊維を
得る。 (ロ)次いで、常法により、例えば酸化雰囲気中で20
0〜400℃の比較的低温で熱処理して不融化ピッチ系
繊維とし、さらに該不融化ピッチ系繊維を常法により、
例えば1950℃以上、最も好ましくは2000〜28
00℃で炭化することにより光学的異方性ピッチ系炭素
繊維原料を得る。 (ハ)必要に応じてサイジング剤処理された上記炭素繊
維原料を常法により成形(賦形)加工して種々の形状の
成形物とし、この成形物表面に或いは成形前の炭素繊維
原料に石油系ピッチを主体とするマトリックス炭素前駆
体による含浸処理を施こして、必要に応じて硬化し、常
法に従って(不融化、)炭化を行うことにより、炭素炭
素複合材料を得る。 (ニ)必要に応じて、該マトリックス炭素前駆体を該炭
素炭素複合材料に再含浸した後炭化する緻密化処理を繰
り返しても良い。
【0016】本発明の炭素炭素複合材料からなるブレー
キ材料は、炭化時の最高温度が1950℃以上、より好
ましくは2000〜2800℃で得た光学的異方性ピッ
チ系炭素繊維を炭素炭素複合材料用強化材とし、かつ
油系ピッチを主体とし、必要に応じてフェノール樹脂、
フラン樹脂の群から選ばれた1種又は2種以上を加えた
材料をマトリックス炭素前駆体として得られた炭素成形
物を最高温度700〜1500℃、より好ましくは最高
温度700〜1400℃で炭化することにより製造する
ことが望ましい。この場合、炭化温度を最高温度195
0℃未満で得られた光学的異方性ピッチ系炭素繊維を炭
素炭素複合材料用強化材とすると、最高温度1950℃
以上で炭化した炭素繊維と比較して、ブレーキ材料の摩
擦係数が小さく、熱伝導性も小さくなり、ブレーキとし
ての制動力を十分に示さないので好ましくない。
【0017】また、本発明の炭素炭素複合材料を構成す
るマトリックス炭素前駆体として石油系ピッチを主体と
し、必要に応じてフェノール樹脂、フラン樹脂の群から
選ばれた1種又は2種以上の材料を用い、光学的異方性
ピッチ系炭素繊維からの炭素成形物に含浸し、不融化、
炭化を行うが、この炭化は、不活性雰囲気中で発泡を生
じない程度の速度で昇温しながら行うことが必要であ
る。炭化後のマトリックス炭素の性質は、主に炭素前駆
体の種類と炭化時の最高温度に支配される。特に、本発
明のように炭素炭素複合材料の場合には、炭素成形物の
炭化時の最高温度により含有する炭素繊維との界面に働
く歪みが変わり、炭素成形物の性質も大きな影響を受け
るので、炭化温度は最も重要なパラメーターである。
【0018】この炭素成形物の炭化温度が最高温度70
0℃未満の場合には、マトリックス炭素成分の硬度が高
まり、概してブレーキ材料の強度が低く、ブレーキ材料
として使用中に破損し易いので好ましくない。また、最
高温度1500℃を越える場合には、強化用炭素繊維と
の界面の歪みが大きくなり、剥離や亀裂を生じた炭素炭
素複合材料となり、ブレーキ材料として使用中に摩耗量
増加の傾向を示すため好ましくない。従って、炭素成
形物の炭化温度は、好ましくは最高温度700℃〜15
00℃より好ましくは最高温度700〜1400℃が望
ましい。
【0019】ブレーキ材料を構成する炭素繊維原料の配
列に依存するものであるが、1950℃未満の比較的低
温で炭化された炭素繊維原料の熱物性(熱伝導率)は小
さく、摩粍量も多く、かつ熱発散も少なくなり好ましく
ない。従って、本発明に係わるブレーキ材料を構成する
炭素繊維原料の熱伝導率(d)は110kcal/m・h
r・k以上と大きくすることが必要である。ここで、室
温測定時の熱伝導率(d) とは、レーザー・フラッシュ法
等の非定常法で測定することにより得られるものであ
る。炭素炭素複合材料を構成する炭素繊維原料が110
kcal/m・hr・k以上と熱伝導率を大きくするこ
とにより、熱発散が速くなり、従って発熱量が少なくて
摩耗も少ないことを意味している。
【0020】本発明の炭素炭素複合材料からなるブレー
キ材料に用いるマトリックス炭素前駆体としては、石油
ピッチを主体とし、必要に応じてフェノール樹脂、フ
ラン樹脂の群から選ばれた1種又は2種以上を加えた材
料を用いる。上記材料が比較的熱経歴温度の低い材料で
あるので、光学的異方性ピッチ系炭素繊維原料との密着
性及び非酸化性雰囲気中での熱安定性に優れていて好ま
しい。
【0021】本発明の炭素炭素複合材料からなるブレー
キ材料には、予め賦形された成形物状の炭素炭素複合材
料をそのままのブレーキ構造品に適用しても良いし、ま
た、或る程度賦形された形状の炭素炭素複合材料を、さ
らに切削その他の二次加工に付してブレーキ構造品に適
用し易くしたものをも含むものである。
【0022】
【作用】本発明の高弾性率を有する光学的異方性ピッチ
炭素繊維を用いた炭素炭素複合材料からなるブレーキ
材料は、高速摺動時における摩擦係数が高く、また耐摩
粍性が大きい特徴を有する。また、このような光学的異
方性ピッチ系炭素繊維を強化材とし、かつ複合材料を構
成するマトリックス炭素前駆体として比較的熱経歴温度
の低い石油系ピッチを主体とする材料を用いると、該高
弾性率炭素繊維との密着性及び非酸化性雰囲気中での熱
安定性に優れているために、ブレーキ材料として優れた
性能の炭素炭素複合材料を形成できる。
【0023】
【実施例】本発明は以下の実施例により詳細に説明され
るが、これらは本発明の範囲を制限されるものではな
い。 (実施例1) 光学異方性分率がほぼ100%の石油系ピッチである光
学的異方性ピッチを溶融紡糸し、300℃で空気酸化に
より不融化し、250℃から5℃/分の昇温温度により
最高温度2250℃で炭化を行った。得られた炭素繊維
は、X線による結晶子寸法Lc (002)13nm、伸
長弾性率52×103 kgf/mm2 、密度2.10g
/cm3 、熱伝導率130kcal/m・hr・kであ
った。この炭素繊維を直径100mmのマンドレルに巻
取り、これに石油系ピッチ(軟化点150℃、800℃
残炭率49重量%)を溶融含浸させ、円筒状の炭素繊維
/ピッチ複合成形物を得た。該炭素成形物の高さ方向
に、約100kg/cm2 (接触面積換算)のプレスを
かけながら、650℃まで予備炭化をした後、マンドレ
ルを抜き取り、これを炭素炭素複合材料スケルトンとし
た。この時の炭素繊維体積含有率は約40容積%であっ
た。引き続き、前記石油系ピッチを再度含浸処理し、窒
素ガス雰囲気中で650℃まで炭化した。この緻密化処
理を3回行い、嵩密度約1.7g/cm3 の炭素成形物
を得た。この炭素成形物を300℃から2℃/分の昇温
速度で最高1200℃まで昇温し炭化した。得られた炭
素炭素複合材料を内径105mm、外径139mm、厚
さ7mmのリングに加工し、以下の通り摩擦・摩粍測定
を行った。即ち、炭素鋼(FC−25)を摩擦子とし、
接触面積2cm2 のチップを作製し、チップオンリング
式摩擦摩粍試験を行った。相対すべり速度は16.7m
/秒、接触圧15kg/cm2 、接触時間10秒、繰り
返し数200回とし、平均摩擦係数、摩粍量(減肉厚み
mm/回)を求めた。平均摩擦係数0.36、摩粍量
4.8×10-3mm/回であった。
【0024】(実施例2) 実施例1に使用したピッチ系炭素繊維の炭化温度、炭素
炭素複合材料を構成する炭素成形物の炭化温度及び炭素
繊維体積含有率(a) を変えて、実施例1と同様の条件で
摩擦・摩粍試験を行った。その結果を下記表1に表し
た。
【0025】
【表1】
【0026】(炭素炭素複合材料の製造条件と摩擦・摩
粍特性) (実施例) 実施例1の炭素炭素複合材料により構成される摩擦子を
作製し、炭素繊維配向方向が同一な炭素炭素複合材間の
摩擦・摩粍試験を実施例1記載の条件で行った。その炭
素炭素複合材料からなるブレーキ材料は、平均摩擦係数
0.31、摩粍量5.4×10-3mm/回と良好な結果
であった。
【0027】(参考例1) 実施例1の石油系ピッチの代わりに、フェノール樹脂、
又はフラン樹脂を使用して、実施例1と同様にして、炭
素炭素複合材料を作製し、実施例1と同様の条件で摩擦
・摩粍試験を行った。実施例1と同様に優れた摩擦特性
を有する炭素炭素複合材料からなるブレーキ材料が得ら
れた。
【0028】
【発明の効果】本発明の光学的異方性ピッチ系炭素繊維
強化材及び石油系ピッチ系マトリックス炭素前駆体を使
用した炭素炭素複合材料からなるブレーキ材料は、同一
材料同士或いは金属等の面と摺動する際の摩擦力が大き
く、しかも摩粍摩耗が少ない利点を有しており、ブレー
キディスク材料、ブレーキドラム材料、ブレーキライニ
ング材料、ブレーキシュー材料等に用いて優れた性能を
示す。また、本発明のブレーキ材料は、非酸化性雰囲気
での熱安定性が極めて優れていると共に、ブレーキ操作
時の大きな発熱により変質、変形することが少なく、ま
た発熱により該材料が溶融して性能が急に劣化すること
もなく、ブレーキ材料の信頼性が高い。本発明のブレー
キ材料は、(動)摩擦係数が高い割に摩粍に強いことか
ら、カセットテープの押さえ部材、高速ミシンの下糸ボ
ビンケースのように、停止時に急激に停止し、しかも走
行時の抵抗が少ない、軽量のブレーキ材料として使用す
ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 久夫 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 審査官 佐藤 健人 (56)参考文献 特開 平4−224327(JP,A) 特開 昭62−119289(JP,A) 特開 平2−57733(JP,A) 特開 平4−316612(JP,A) 特開 昭63−51432(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 69/02 C09K 3/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化時の最高温度が1950℃以上で得
    た光学的異方性ピッチ系炭素繊維を炭素炭素複合材料用
    強化材とし、かつ石油系ピッチを主体とし、必要に応じ
    フェノール樹脂、フラン樹脂の群から選ばれた1種又
    は2種以上を加えた材料をマトリックス炭素前駆体とし
    て得られた炭素成形物を最高温度700〜1500℃で
    炭化することにより得られたブレーキ材料であって、且
    つ、 (a) ブレーキ材料の炭素繊維体積含有率が30〜65容
    積%、 (b)ブレーキ材料を構成する炭素繊維原料のX線
    による結晶子寸法Lc (002)が10nm以上、(c)
    伸長弾性率が40×103 kgf/mm2 以上、(d) 室
    温測定時の熱伝導率が110kcal/m・hr・k以
    上であり、(e) ブレーキ材料の摩擦係数が、炭素鋼の平
    滑な平面に対して相対すべり速度2.5〜25.0m/
    秒で測定した時に、0.25〜0.60であることを特
    徴とする、高摩擦係数を持つ低摩粍量の炭素炭素複合材
    料からなるブレーキ材料。
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