JP3270558B2 - L−フェニルアラニンの精製方法および製造方法 - Google Patents
L−フェニルアラニンの精製方法および製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、L−フェニルアラニン
の改良された精製方法および製造方法に関する。例え
ば、桂皮酸を原料としてアンモニアの存在下、フェニル
アラニンアンモニアリアーゼを用いた反応により生成し
たL−フェニルアラニンの精製に好適な改良された精製
方法に関する。L−フェニルアラニンは必須アミノ酸の
一種であり、アミノ酸輸液等の医薬品に使用され、又、
ペプチド系甘味料であるα−L−アスパルチル−L−フ
ェニルアラニンメチルエステルの構成アミノ酸として重
要な成分である。
の改良された精製方法および製造方法に関する。例え
ば、桂皮酸を原料としてアンモニアの存在下、フェニル
アラニンアンモニアリアーゼを用いた反応により生成し
たL−フェニルアラニンの精製に好適な改良された精製
方法に関する。L−フェニルアラニンは必須アミノ酸の
一種であり、アミノ酸輸液等の医薬品に使用され、又、
ペプチド系甘味料であるα−L−アスパルチル−L−フ
ェニルアラニンメチルエステルの構成アミノ酸として重
要な成分である。
【0002】
【従来の技術】L−フェニルアラニンの製造方法として
は、化学合成法、発酵法、酵素法等が挙げられる。酵素
法としては、例えば桂皮酸を原料としてアンモニアの存
在下、フェニルアラニンアンモニアリアーゼを用いる方
法がある。この反応は可逆的であり、原料である桂皮酸
は反応液中に残存するので、精製工程に於て桂皮酸を除
去し、効率的にL−フェニルアラニンを回収しなければ
ならない。
は、化学合成法、発酵法、酵素法等が挙げられる。酵素
法としては、例えば桂皮酸を原料としてアンモニアの存
在下、フェニルアラニンアンモニアリアーゼを用いる方
法がある。この反応は可逆的であり、原料である桂皮酸
は反応液中に残存するので、精製工程に於て桂皮酸を除
去し、効率的にL−フェニルアラニンを回収しなければ
ならない。
【0003】従来、L−フェニルアラニンの精製方法と
しては、イオン交換樹脂吸着剤を用いる方法(特開昭6
1−194056)、濃縮・晶析による方法(特開昭6
0−133893)、低級アルコール類を用いる方法
(米国特許4731469)等がある。
しては、イオン交換樹脂吸着剤を用いる方法(特開昭6
1−194056)、濃縮・晶析による方法(特開昭6
0−133893)、低級アルコール類を用いる方法
(米国特許4731469)等がある。
【0004】前記のL−フェニルアラニンの精製法に於
ては、工業規模で実施する場合、それぞれ次に述べるよ
うな問題点がある。イオン交換樹脂吸着法は、特開昭6
1−194056に記載されている如く、L−フェニル
アラニンと桂皮酸のクロマト分離を行う方法であるが、
容積効率が悪く、しかも多大なエネルギーを消費し大規
模生産には不都合である。
ては、工業規模で実施する場合、それぞれ次に述べるよ
うな問題点がある。イオン交換樹脂吸着法は、特開昭6
1−194056に記載されている如く、L−フェニル
アラニンと桂皮酸のクロマト分離を行う方法であるが、
容積効率が悪く、しかも多大なエネルギーを消費し大規
模生産には不都合である。
【0005】濃縮・晶析による方法は、特開昭60−1
33893に記載されている如く、桂皮酸を含有したL
−フェニルアラニンの水溶液のpHを6〜9に調整し
て、濃縮後冷却晶析を行っているが、この方法では桂皮
酸を完全に分離することは難しい。又、同じく特開昭6
0−133893には別法として、桂皮酸を含有したL
−フェニルアラニンの水溶液のpHを強酸性にし、沈澱
してくる桂皮酸を除去した後にL−フェニルアラニンを
精製する方法が記載されているが、桂皮酸を除くために
強酸性の溶液について濾過等の分離操作をしなければな
らず、操作が煩雑で容積効率が悪い。又、桂皮酸の除去
後、強酸性ではL−フェニルアラニンの溶解度が高いの
で、溶液をL−フェニルアラニンの等電点近辺迄中和す
る必要があり、このため桂皮酸が除去される代わりに大
量の塩が混入するという不都合がある。
33893に記載されている如く、桂皮酸を含有したL
−フェニルアラニンの水溶液のpHを6〜9に調整し
て、濃縮後冷却晶析を行っているが、この方法では桂皮
酸を完全に分離することは難しい。又、同じく特開昭6
0−133893には別法として、桂皮酸を含有したL
−フェニルアラニンの水溶液のpHを強酸性にし、沈澱
してくる桂皮酸を除去した後にL−フェニルアラニンを
精製する方法が記載されているが、桂皮酸を除くために
強酸性の溶液について濾過等の分離操作をしなければな
らず、操作が煩雑で容積効率が悪い。又、桂皮酸の除去
後、強酸性ではL−フェニルアラニンの溶解度が高いの
で、溶液をL−フェニルアラニンの等電点近辺迄中和す
る必要があり、このため桂皮酸が除去される代わりに大
量の塩が混入するという不都合がある。
【0006】低級アルコール類を用いる方法は、米国特
許4731469に記載されている如く、L−フェニル
アラニンの濃縮液に低級アルコール類を添加し、桂皮酸
を低級アルコール類に溶解することにより除去する方法
であるが、この方法では、L−フェニルアラニンに対し
て約5倍重量といった多量の低級アルコール類が必要で
ある為、桂皮酸が除去される代わりにL−フェニルアラ
ニンの収率が悪くなる上に容積効率が悪く溶媒回収設備
も大きくなる。又、L−フェニルアラニンの製造を行う
際、未反応の桂皮酸の回収は大きな課題であり、L−フ
ェニルアラニンを取り出した後の晶析濾液には不純物が
多量に混入している為、回収される桂皮酸の純度が低い
といった不都合を有する。又、L−フェニルアラニンの
水に対する溶解度は低く、L−フェニルアラニンの水溶
液からL−フェニルアラニンの結晶を析出させる際、非
常に容積効率が悪いといった問題が残されている。
許4731469に記載されている如く、L−フェニル
アラニンの濃縮液に低級アルコール類を添加し、桂皮酸
を低級アルコール類に溶解することにより除去する方法
であるが、この方法では、L−フェニルアラニンに対し
て約5倍重量といった多量の低級アルコール類が必要で
ある為、桂皮酸が除去される代わりにL−フェニルアラ
ニンの収率が悪くなる上に容積効率が悪く溶媒回収設備
も大きくなる。又、L−フェニルアラニンの製造を行う
際、未反応の桂皮酸の回収は大きな課題であり、L−フ
ェニルアラニンを取り出した後の晶析濾液には不純物が
多量に混入している為、回収される桂皮酸の純度が低い
といった不都合を有する。又、L−フェニルアラニンの
水に対する溶解度は低く、L−フェニルアラニンの水溶
液からL−フェニルアラニンの結晶を析出させる際、非
常に容積効率が悪いといった問題が残されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、L−
フェニルアラニンの製造に於て、原料である桂皮酸とL
−フェニルアラニンを効率的に分離し、高収率で高品質
のL−フェニルアラニンを工業的に有利に得る方法を提
供することである。
フェニルアラニンの製造に於て、原料である桂皮酸とL
−フェニルアラニンを効率的に分離し、高収率で高品質
のL−フェニルアラニンを工業的に有利に得る方法を提
供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決するため鋭意検討を行い、桂皮酸を含むL−フ
ェニルアラニンの水溶液からL−フェニルアラニンの結
晶を取り出すにあたり、L−フェニルアラニンの水溶液
を濃縮する際、L−フェニルアラニンの結晶が析出し始
めた時点より、その溶液の一部または全部を取り出して
固液分離を行い、液相のみを濃縮液に戻し、連続的また
は断続的に濃縮を継続することにより、桂皮酸とL−フ
ェニルアラニンを効率的に分離できることを見い出し
た。さらに、桂皮酸が濃縮液中に多量に存在すると、桂
皮酸を含まないL−フェニルアラニンの収率が減少する
ことに着目し、桂皮酸を予めトルエンにより抽出する工
夫を加え、本発明を完成するに至った。
点を解決するため鋭意検討を行い、桂皮酸を含むL−フ
ェニルアラニンの水溶液からL−フェニルアラニンの結
晶を取り出すにあたり、L−フェニルアラニンの水溶液
を濃縮する際、L−フェニルアラニンの結晶が析出し始
めた時点より、その溶液の一部または全部を取り出して
固液分離を行い、液相のみを濃縮液に戻し、連続的また
は断続的に濃縮を継続することにより、桂皮酸とL−フ
ェニルアラニンを効率的に分離できることを見い出し
た。さらに、桂皮酸が濃縮液中に多量に存在すると、桂
皮酸を含まないL−フェニルアラニンの収率が減少する
ことに着目し、桂皮酸を予めトルエンにより抽出する工
夫を加え、本発明を完成するに至った。
【0009】本発明のL−フェニルアラニンの精製方法
は、桂皮酸とL−フェニルアラニンを含む水溶液からト
ルエンで桂皮酸を抽出する工程、上記桂皮酸を抽出した
水溶液を濃縮しながら固液分離を行い、固相のみを取り
出す工程を含む。
は、桂皮酸とL−フェニルアラニンを含む水溶液からト
ルエンで桂皮酸を抽出する工程、上記桂皮酸を抽出した
水溶液を濃縮しながら固液分離を行い、固相のみを取り
出す工程を含む。
【0010】本発明の方法は、特に桂皮酸を原料として
アンモニアの存在下、フェニルアラニンアンモニアリア
ーゼを用いた反応によりL−フェニルアラニンを製造す
る方法に於ける反応液からのL−フェニルアラニンの精
製に有用である。
アンモニアの存在下、フェニルアラニンアンモニアリア
ーゼを用いた反応によりL−フェニルアラニンを製造す
る方法に於ける反応液からのL−フェニルアラニンの精
製に有用である。
【0011】本発明方法によれば、L−フェニルアラニ
ンと桂皮酸を効率的に分離でき、高品質のL−フェニル
アラニンを高収率でかつ工業的に有利に精製することが
可能となった。特に、フェニルアラニンアンモニアリア
ーゼを用いて桂皮酸とアンモニアからL−フェニルアラ
ニンを合成する際に得られる原料としての桂皮酸と、製
品としてのL−フェニルアラニンの両方を含む反応液か
らのL−フェニルアラニンの分離、精製に本発明の精製
方法を用いることで、高収率で、かつ工業的に有利な精
製L−フェニルアラニンの製造を行うことができる。
ンと桂皮酸を効率的に分離でき、高品質のL−フェニル
アラニンを高収率でかつ工業的に有利に精製することが
可能となった。特に、フェニルアラニンアンモニアリア
ーゼを用いて桂皮酸とアンモニアからL−フェニルアラ
ニンを合成する際に得られる原料としての桂皮酸と、製
品としてのL−フェニルアラニンの両方を含む反応液か
らのL−フェニルアラニンの分離、精製に本発明の精製
方法を用いることで、高収率で、かつ工業的に有利な精
製L−フェニルアラニンの製造を行うことができる。
【0012】本発明のL−フェニルアラニンの精製方法
は、(a)桂皮酸とL−フェニルアラニンを主に含む水
溶液にトルエン抽出処理を行う工程、(b)該トルエン
抽出処理後の水相を濃縮しながら固液分離を行う工程、
(c)該固液分離で得られたL−フェニルアラニンの結
晶からなる固相を回収する工程を含む。
は、(a)桂皮酸とL−フェニルアラニンを主に含む水
溶液にトルエン抽出処理を行う工程、(b)該トルエン
抽出処理後の水相を濃縮しながら固液分離を行う工程、
(c)該固液分離で得られたL−フェニルアラニンの結
晶からなる固相を回収する工程を含む。
【0013】(a)の工程において、水溶液のL−フェ
ニルアラニンの濃度は通常6重量%以下、好ましくは4
〜6重量%であり、桂皮酸の濃度は0.6重量以下、好
ましくは0.01〜0.6重量%である。該水溶液の温
度はL−フェニルアラニンを溶解するに充分な温度であ
ればよく、好ましくは60〜80℃である。トルエン抽
出時の該水溶液のpHはpH5以下、好ましくはpH
4.5以下である。pH調整には鉱酸たとえば硫酸、塩
酸、燐酸等が用いられる。pH5をこえると桂皮酸の抽
出効率が悪くなる傾向がある。抽出に使用されるトルエ
ン量は水溶液量に対して通常50重量%未満、好ましく
は8〜15重量%であり、たとえば70℃で15分間攪
拌を行ないトルエン抽出処理が実施される。桂皮酸を含
むL−フェニルアラニン水溶液に対してトルエンを15
重量%加えて70℃で15分間攪拌・静置により抽出を
行った場合の桂皮酸の抽出率はpH4.0で約70%、
pH5.5で約10%であった。このようにして桂皮酸
の一部が抽出除去されたL−フェニルアラニンの水溶液
に対し濃縮操作をおこなう。
ニルアラニンの濃度は通常6重量%以下、好ましくは4
〜6重量%であり、桂皮酸の濃度は0.6重量以下、好
ましくは0.01〜0.6重量%である。該水溶液の温
度はL−フェニルアラニンを溶解するに充分な温度であ
ればよく、好ましくは60〜80℃である。トルエン抽
出時の該水溶液のpHはpH5以下、好ましくはpH
4.5以下である。pH調整には鉱酸たとえば硫酸、塩
酸、燐酸等が用いられる。pH5をこえると桂皮酸の抽
出効率が悪くなる傾向がある。抽出に使用されるトルエ
ン量は水溶液量に対して通常50重量%未満、好ましく
は8〜15重量%であり、たとえば70℃で15分間攪
拌を行ないトルエン抽出処理が実施される。桂皮酸を含
むL−フェニルアラニン水溶液に対してトルエンを15
重量%加えて70℃で15分間攪拌・静置により抽出を
行った場合の桂皮酸の抽出率はpH4.0で約70%、
pH5.5で約10%であった。このようにして桂皮酸
の一部が抽出除去されたL−フェニルアラニンの水溶液
に対し濃縮操作をおこなう。
【0014】(b)の工程における、該トルエン抽出処
理後の水相を濃縮しながら固液分離を実施するための濃
縮−固液分離装置の概略図を第1図(図1)に示す。第
1図において11はトルエン抽出処理後の桂皮酸とL−
フェニルアラニンからなる水溶液を貯蔵または濃度調整
する溶解槽を示す。1は濃縮缶で、ジャケット加熱あい
は加熱管を付属し、結晶成長促進のためドラフトチュー
ブを有する構造でもよい。溶解槽11に満たされたトル
エン抽出処理後の桂皮酸とL−フェニルアラニンからな
る水溶液は溶解液供給ポンプ7を介して濃縮缶1に給液
される。濃縮缶に於いて蒸発した水蒸気は濃縮缶1の上
部に接続された蒸発ライン8を介し、凝縮機9において
凝縮され取り除かれる。濃縮の温度はL−フェニルアラ
ニンのラセミ化等の影響を考慮すると70℃以下が好ま
しい。しかし、あまり低温であれば濃縮缶の真空ポンプ
の設備が過大となるので50〜70℃で操作されるのが
好ましい。濃縮缶1において、L−フェニルアラニンの
結晶が発生した時点でスラリーポンプ6により固液分離
機2に給液される。固液分離機2において分離された結
晶は結晶受器3へ排出される。固液分離機に於いて洗浄
ライン4により結晶洗浄を行ってもよい。結晶を分離し
た濾液は濾液ライン5から排出され、濾液送液ポンプ1
3を介して、濾液加熱器10とパージ液ライン15に分
配される。濾液加熱器10を通過した溶液は濾液戻りラ
イン12を介して濃縮缶1に戻る。連続的濃縮操作は第
1図の溶解槽11に調整された水溶液がポンプ7を介し
て濃縮缶1に連続して給液され、濾液の一部がパージ液
バルブ14を介してパージ液ライン15から排出される
ことにより行われる。断続的濃縮操作は第1図の溶解槽
11の水溶液が濃縮缶1へ連続して給液されるのではな
く、一度濃縮缶1に水溶液を満たし、固液分離しながら
濃縮操作を行う。この間、濃縮缶には溶解槽11の新た
な水溶液の給液は行われないが、そのほかの結晶排出お
よび濾液の戻りと濾液の一部パージは連続的操作と同様
に行われる。たとえば濃縮時のL−フェニルアラニンの
濃度が15重量%を超えた時点で溶解槽11から新たな
水溶液の給液を行う。
理後の水相を濃縮しながら固液分離を実施するための濃
縮−固液分離装置の概略図を第1図(図1)に示す。第
1図において11はトルエン抽出処理後の桂皮酸とL−
フェニルアラニンからなる水溶液を貯蔵または濃度調整
する溶解槽を示す。1は濃縮缶で、ジャケット加熱あい
は加熱管を付属し、結晶成長促進のためドラフトチュー
ブを有する構造でもよい。溶解槽11に満たされたトル
エン抽出処理後の桂皮酸とL−フェニルアラニンからな
る水溶液は溶解液供給ポンプ7を介して濃縮缶1に給液
される。濃縮缶に於いて蒸発した水蒸気は濃縮缶1の上
部に接続された蒸発ライン8を介し、凝縮機9において
凝縮され取り除かれる。濃縮の温度はL−フェニルアラ
ニンのラセミ化等の影響を考慮すると70℃以下が好ま
しい。しかし、あまり低温であれば濃縮缶の真空ポンプ
の設備が過大となるので50〜70℃で操作されるのが
好ましい。濃縮缶1において、L−フェニルアラニンの
結晶が発生した時点でスラリーポンプ6により固液分離
機2に給液される。固液分離機2において分離された結
晶は結晶受器3へ排出される。固液分離機に於いて洗浄
ライン4により結晶洗浄を行ってもよい。結晶を分離し
た濾液は濾液ライン5から排出され、濾液送液ポンプ1
3を介して、濾液加熱器10とパージ液ライン15に分
配される。濾液加熱器10を通過した溶液は濾液戻りラ
イン12を介して濃縮缶1に戻る。連続的濃縮操作は第
1図の溶解槽11に調整された水溶液がポンプ7を介し
て濃縮缶1に連続して給液され、濾液の一部がパージ液
バルブ14を介してパージ液ライン15から排出される
ことにより行われる。断続的濃縮操作は第1図の溶解槽
11の水溶液が濃縮缶1へ連続して給液されるのではな
く、一度濃縮缶1に水溶液を満たし、固液分離しながら
濃縮操作を行う。この間、濃縮缶には溶解槽11の新た
な水溶液の給液は行われないが、そのほかの結晶排出お
よび濾液の戻りと濾液の一部パージは連続的操作と同様
に行われる。たとえば濃縮時のL−フェニルアラニンの
濃度が15重量%を超えた時点で溶解槽11から新たな
水溶液の給液を行う。
【0015】この精製方法をフェニルアラニンアンモニ
アリアーゼを用いたL−フェニルアラニンの製造におけ
る精製工程として用いることで、より効率的で工業的に
有利なL−フェニルアラニンの製造方法を提供すること
ができる。
アリアーゼを用いたL−フェニルアラニンの製造におけ
る精製工程として用いることで、より効率的で工業的に
有利なL−フェニルアラニンの製造方法を提供すること
ができる。
【0016】本発明のL−フェニルアラニンの製造方法
は、(1)フェニルアラニンアンモニアリアーゼの存在
下で桂皮酸とアンモニア源とを反応させて反応液を得る
工程、(2)該反応液の清澄液を調製する工程、(3)
該清澄液からアンモニア源を除去する工程、(4)工程
(3)を経た清澄液にトルエン抽出を行う工程、(5)
該トルエン抽出で得られた水相を濃縮しながら、固液分
離を行う工程、(6)工程(5)で得られた固相をL−
フェニルアラニン結晶として回収する工程、を含む。工
程(1)〜(3)は公知の方法により行うことができ、
工程(4)〜(6)は上述の本発明の精製方法に相当す
る。
は、(1)フェニルアラニンアンモニアリアーゼの存在
下で桂皮酸とアンモニア源とを反応させて反応液を得る
工程、(2)該反応液の清澄液を調製する工程、(3)
該清澄液からアンモニア源を除去する工程、(4)工程
(3)を経た清澄液にトルエン抽出を行う工程、(5)
該トルエン抽出で得られた水相を濃縮しながら、固液分
離を行う工程、(6)工程(5)で得られた固相をL−
フェニルアラニン結晶として回収する工程、を含む。工
程(1)〜(3)は公知の方法により行うことができ、
工程(4)〜(6)は上述の本発明の精製方法に相当す
る。
【0017】本発明方法に於ては、桂皮酸を原料として
アンモニアの存在下、フェニルアラニンアンモニアリア
ーゼを用いた反応によりL−フェニルアラニンを製造す
る。酵素反応としては、例えばフェニルアラニンアンモ
ニアリアーゼの遺伝子を組み込んだ大腸菌の形質転換株
MT10423(FERM P−9023)(特開昭6
3−317086)を培養して得られた菌体、もしくは
該菌体を固定化したものを、適当なアンモニウム源、例
えば炭酸アンモニウム緩衝液(アンモニア濃度13〜1
7重量%、pH9〜11)に乾燥菌体として0.5〜
2.0重量%懸濁し、反応器の内温が通常30〜40℃
になるように調整して反応を行う。反応方法は、例えば
特開昭61−247395に記載されている如く、10
モル/L以上のアンモニア、0.05〜0.5当量の炭
酸イオン、0.05モル/L以下の桂皮酸を存在させる
方法に準拠できる。
アンモニアの存在下、フェニルアラニンアンモニアリア
ーゼを用いた反応によりL−フェニルアラニンを製造す
る。酵素反応としては、例えばフェニルアラニンアンモ
ニアリアーゼの遺伝子を組み込んだ大腸菌の形質転換株
MT10423(FERM P−9023)(特開昭6
3−317086)を培養して得られた菌体、もしくは
該菌体を固定化したものを、適当なアンモニウム源、例
えば炭酸アンモニウム緩衝液(アンモニア濃度13〜1
7重量%、pH9〜11)に乾燥菌体として0.5〜
2.0重量%懸濁し、反応器の内温が通常30〜40℃
になるように調整して反応を行う。反応方法は、例えば
特開昭61−247395に記載されている如く、10
モル/L以上のアンモニア、0.05〜0.5当量の炭
酸イオン、0.05モル/L以下の桂皮酸を存在させる
方法に準拠できる。
【0018】この反応液中の菌体及びそれに由来する固
形物を遠心分離又は濾過等の方法により除去することに
より清澄液が得られる。さらに該清澄液について、通常
40〜100℃、好ましくは40〜70℃の温度で蒸発
等の操作によりアンモニア源を除去することにより、L
−フェニルアラニンの水溶液が得られる。
形物を遠心分離又は濾過等の方法により除去することに
より清澄液が得られる。さらに該清澄液について、通常
40〜100℃、好ましくは40〜70℃の温度で蒸発
等の操作によりアンモニア源を除去することにより、L
−フェニルアラニンの水溶液が得られる。
【0019】該L−フェニルアラニンの水溶液を鉱酸で
酸性pHに調整後、トルエンを添加・接触させることに
より桂皮酸を抽出することができる。又、pH調整後に
活性炭処理を行い、濾過等の方法により活性炭及び活性
炭付着物を除去した溶液に対してもトルエンによる桂皮
酸の抽出を行うことができる。抽出は、通常温度が60
〜80℃、pH5以下、好ましくはpH4.5以下に於
いて行なわれる。pH5をこえると桂皮酸の抽出効率が
悪くなる傾向がある。
酸性pHに調整後、トルエンを添加・接触させることに
より桂皮酸を抽出することができる。又、pH調整後に
活性炭処理を行い、濾過等の方法により活性炭及び活性
炭付着物を除去した溶液に対してもトルエンによる桂皮
酸の抽出を行うことができる。抽出は、通常温度が60
〜80℃、pH5以下、好ましくはpH4.5以下に於
いて行なわれる。pH5をこえると桂皮酸の抽出効率が
悪くなる傾向がある。
【0020】例えば、桂皮酸を含む水溶液に対してトル
エンを15重量%加え、70℃で15分間撹拌・抽出を
行った場合、桂皮酸の抽出率は、pH4.0で約70
%、pH5.5で約10%であった。
エンを15重量%加え、70℃で15分間撹拌・抽出を
行った場合、桂皮酸の抽出率は、pH4.0で約70
%、pH5.5で約10%であった。
【0021】トルエンに抽出された桂皮酸は容易に回収
でき、反応に再利用することができる。即ち、桂皮酸を
含むトルエン相を取り出し、トルエンを蒸発させる方法
又は、新たに水を加えアルカリpHに調整することによ
り、水相に逆抽出する方法等が挙げられる。
でき、反応に再利用することができる。即ち、桂皮酸を
含むトルエン相を取り出し、トルエンを蒸発させる方法
又は、新たに水を加えアルカリpHに調整することによ
り、水相に逆抽出する方法等が挙げられる。
【0022】このようにして桂皮酸の一部が抽出除去さ
れたL−フェニルアラニンの水溶液に対して濃縮操作を
行う。
れたL−フェニルアラニンの水溶液に対して濃縮操作を
行う。
【0023】本発明の濃縮とは、先に述べたように常圧
または減圧下での濃縮をいい、L−フェニルアラニンの
濃度がその水溶液での飽和溶解度を上回った状態で結晶
化を起こさせ、その溶液の一部または全部を取り出し、
濃縮液の温度を保持したままで固液分離を行い、液相は
再び濃縮液に戻し、固相のみを取り出すことにより、連
続的または断続的に濃縮操作を継続するものである。
または減圧下での濃縮をいい、L−フェニルアラニンの
濃度がその水溶液での飽和溶解度を上回った状態で結晶
化を起こさせ、その溶液の一部または全部を取り出し、
濃縮液の温度を保持したままで固液分離を行い、液相は
再び濃縮液に戻し、固相のみを取り出すことにより、連
続的または断続的に濃縮操作を継続するものである。
【0024】濃縮の温度は、ラセミ化等の影響を考える
と50〜70℃の範囲が好ましい。濃縮時のL−フェニ
ルアラニンの濃度は、好ましくは8〜15重量%の範囲
に及ぶものである。この時、8重量%より薄い濃度で固
液分離を行うと処理量が多く、装置が大きくなるという
不都合があり、15重量%を越える濃度で行うと操作性
が悪くなる上に、結晶中の不純物の含量が増加するとい
った不都合が生じる。又、固液分離には、濾過機、遠心
分離機等が適用できるが、デカンター型遠心沈降機を用
いる方法が好ましい。又、得られた固相は、適量の温水
で洗浄する方が好ましい。
と50〜70℃の範囲が好ましい。濃縮時のL−フェニ
ルアラニンの濃度は、好ましくは8〜15重量%の範囲
に及ぶものである。この時、8重量%より薄い濃度で固
液分離を行うと処理量が多く、装置が大きくなるという
不都合があり、15重量%を越える濃度で行うと操作性
が悪くなる上に、結晶中の不純物の含量が増加するとい
った不都合が生じる。又、固液分離には、濾過機、遠心
分離機等が適用できるが、デカンター型遠心沈降機を用
いる方法が好ましい。又、得られた固相は、適量の温水
で洗浄する方が好ましい。
【0025】このように、固液分離を行いながら連続的
または断続的に濃縮を行って得られた固相、即ちL−フ
ェニルアラニンの結晶は、従来のバッチ式の濃縮に比べ
て桂皮酸等の不純物の巻き込みが少なく純度が高い。
又、濃縮液の粘度は十分低いので、移液や濾過等の操作
性が非常に良い。さらに、連続操作にすると濃縮機が非
常に小さくてすみ、容積効率が向上する。こうして得ら
れたL−フェニルアラニンの結晶はそのまま乾燥するこ
とができる。
または断続的に濃縮を行って得られた固相、即ちL−フ
ェニルアラニンの結晶は、従来のバッチ式の濃縮に比べ
て桂皮酸等の不純物の巻き込みが少なく純度が高い。
又、濃縮液の粘度は十分低いので、移液や濾過等の操作
性が非常に良い。さらに、連続操作にすると濃縮機が非
常に小さくてすみ、容積効率が向上する。こうして得ら
れたL−フェニルアラニンの結晶はそのまま乾燥するこ
とができる。
【0026】又、本発明方法に従って濃縮して得られた
L−フェニルアラニンの結晶に対して、低級アルコール
類をその沸点以下の温度に於て添加して、T%を向上さ
せることも可能である。ここで、低級アルコール類とし
て、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコ
ール、メチルアルコール、エチルアルコールが包含され
る。これら低級アルコール類の添加量は、好ましくはL
−フェニルアラニンに対して50〜150重量%であ
る。この時、低級アルコール類の添加量が50重量%未
満では固体分の濃度が高すぎてスラッジングの操作性が
悪いという不都合があり、150重量%を越える量では
L−フェニルアラニンの収率が低下する上に容積効率が
悪くなる。
L−フェニルアラニンの結晶に対して、低級アルコール
類をその沸点以下の温度に於て添加して、T%を向上さ
せることも可能である。ここで、低級アルコール類とし
て、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコ
ール、メチルアルコール、エチルアルコールが包含され
る。これら低級アルコール類の添加量は、好ましくはL
−フェニルアラニンに対して50〜150重量%であ
る。この時、低級アルコール類の添加量が50重量%未
満では固体分の濃度が高すぎてスラッジングの操作性が
悪いという不都合があり、150重量%を越える量では
L−フェニルアラニンの収率が低下する上に容積効率が
悪くなる。
【0027】このようにして得られたスラッジングマス
について、濾過等の操作を行ってL−フェニルアラニン
の結晶を回収することができる。又、この濾液について
は、蒸発等の方法により低級アルコール類を除いた後、
精製工程に回収することは十分可能である。
について、濾過等の操作を行ってL−フェニルアラニン
の結晶を回収することができる。又、この濾液について
は、蒸発等の方法により低級アルコール類を除いた後、
精製工程に回収することは十分可能である。
【0028】
【実施例】実施例及び比較例に於て、L−フェニルアラ
ニン中の桂皮酸の定量は、結晶0.1gを水100gで
希釈した水溶液について、紫外吸収分光光度計を検出器
に設置した液体クロマトグラフィー法により行った。分
析条件は以下の通りである。 カラム :Fine Pack TSL C18(日本
分光社製) 移動相 :燐酸でpH2に調整した50%メタノール水
溶液 検出波長:280nm この条件下での桂皮酸の検出限界は0.2ppmであっ
た。L−フェニルアラニンの分析法は以下の方法によっ
た。0.3gのサンプルを精密に量り、50mlの氷酢
酸を加え、加温して溶解し、放冷後、10滴のα−ナフ
トールベンゼン指示薬(p−Naphtholbenz
ein indicatorsolution)を指示
薬として添加し、0.1N−過塩素酸溶液にて滴定す
る。同様のサンプルを入れない空試験で補正をする。N
−過塩素酸溶液1mlは16.519mgのL−フェニ
ルアラニンに相当する。
ニン中の桂皮酸の定量は、結晶0.1gを水100gで
希釈した水溶液について、紫外吸収分光光度計を検出器
に設置した液体クロマトグラフィー法により行った。分
析条件は以下の通りである。 カラム :Fine Pack TSL C18(日本
分光社製) 移動相 :燐酸でpH2に調整した50%メタノール水
溶液 検出波長:280nm この条件下での桂皮酸の検出限界は0.2ppmであっ
た。L−フェニルアラニンの分析法は以下の方法によっ
た。0.3gのサンプルを精密に量り、50mlの氷酢
酸を加え、加温して溶解し、放冷後、10滴のα−ナフ
トールベンゼン指示薬(p−Naphtholbenz
ein indicatorsolution)を指示
薬として添加し、0.1N−過塩素酸溶液にて滴定す
る。同様のサンプルを入れない空試験で補正をする。N
−過塩素酸溶液1mlは16.519mgのL−フェニ
ルアラニンに相当する。
【0029】実施例1 フェニルアラニンアンモニアリアーゼの遺伝子を組み込
んだ大腸菌の形質転換株MT10423(FERM P
−9023)(特開昭63−317086)を培養し、
得られた湿菌体19.2g(乾燥菌体として4.0g)
を炭酸アンモニウム緩衝液750g(アンモニア濃度1
3重量%)に懸濁し、反応液のpHをアンモニアで1
0.4に保つようにしながら桂皮酸47.8gを紛状の
まま16時間かけて逐次添加し、反応液800gを得
た。この反応液中に生成したL−フェニルアラニンは4
8.0g、残存桂皮酸は4.8gであった。この反応マ
スを遠心分離により菌体を除き、上澄液を70℃で加熱
して炭酸アンモニウムを除去し、L−フェニルアラニン
の水溶液を得た。上記L−フェニルアラニンの水溶液を
濃硫酸でpH4.0とし、トルエン100gを添加し、
15分間撹拌後、静置・分液を行った。この桂皮酸抽出
操作を計4回繰り返した。この時のトルエン相中の桂皮
酸濃度は1.19%であった。水相については、減圧下
70℃に於て以下のように濃縮操作を行った。濃縮槽の
液量を160g、L−フェニルアラニンの濃度が10重
量%になるように保持するように、濃縮原液を80g/
Hrで濃縮槽にフィードした。一方、濃縮液の一部を連
続的に抜き出し、固液分離を行った。液相の一部を4.
0g/Hrで系外にパ−ジし、残りを濃縮槽に戻した。
この時、装置全体を保温して操作を行った。この様にし
て得られた固相中のL−フェニルアラニンは34.4g
であり純度は99.5%であった。また、この中に含ま
れる桂皮酸は検出限界以下であった。
んだ大腸菌の形質転換株MT10423(FERM P
−9023)(特開昭63−317086)を培養し、
得られた湿菌体19.2g(乾燥菌体として4.0g)
を炭酸アンモニウム緩衝液750g(アンモニア濃度1
3重量%)に懸濁し、反応液のpHをアンモニアで1
0.4に保つようにしながら桂皮酸47.8gを紛状の
まま16時間かけて逐次添加し、反応液800gを得
た。この反応液中に生成したL−フェニルアラニンは4
8.0g、残存桂皮酸は4.8gであった。この反応マ
スを遠心分離により菌体を除き、上澄液を70℃で加熱
して炭酸アンモニウムを除去し、L−フェニルアラニン
の水溶液を得た。上記L−フェニルアラニンの水溶液を
濃硫酸でpH4.0とし、トルエン100gを添加し、
15分間撹拌後、静置・分液を行った。この桂皮酸抽出
操作を計4回繰り返した。この時のトルエン相中の桂皮
酸濃度は1.19%であった。水相については、減圧下
70℃に於て以下のように濃縮操作を行った。濃縮槽の
液量を160g、L−フェニルアラニンの濃度が10重
量%になるように保持するように、濃縮原液を80g/
Hrで濃縮槽にフィードした。一方、濃縮液の一部を連
続的に抜き出し、固液分離を行った。液相の一部を4.
0g/Hrで系外にパ−ジし、残りを濃縮槽に戻した。
この時、装置全体を保温して操作を行った。この様にし
て得られた固相中のL−フェニルアラニンは34.4g
であり純度は99.5%であった。また、この中に含ま
れる桂皮酸は検出限界以下であった。
【0030】実施例2〜4 実施例1の操作で最後に残った濃縮槽中のL−フェニル
アラニンの水溶液に、実施例1と同様にして得られた濃
縮原液をフィードすることにより、実施例1と同様の操
作を3回繰り返し、結果を第1表(表1)にまとめた。
得られたL−フェニルアラニンの結晶は純度99.0%
以上であった。
アラニンの水溶液に、実施例1と同様にして得られた濃
縮原液をフィードすることにより、実施例1と同様の操
作を3回繰り返し、結果を第1表(表1)にまとめた。
得られたL−フェニルアラニンの結晶は純度99.0%
以上であった。
【0031】実施例5 実施例1の操作で炭酸アンモニア除去後のL−フェニル
アラニンの水溶液を濃硫酸でpH4.0に調整後、トル
エン100gを添加し、15分間撹拌後、静置・分液を
行った。こうして得られた濃縮原液800g(L−フェ
ニルアラニン48.0g及び桂皮酸1.4g)を用いて
以下の操作を行った。この濃縮原液のL−フェニルアラ
ニンの濃度が10重量%になるまで70℃で減圧濃縮を
行った後、濃縮温度を保ったまま濾過を行い、L−フェ
ニルアラニンの結晶を分離した。得られた結晶は、それ
とほぼ同量の70℃の温水で洗浄した。濾洗液について
は再び濃縮、濾過といった同様の操作を行い、合計で7
回繰り返した。得られた結晶は、合計で45.5g(乾
燥重量)であり、純度は98.5%で含まれる桂皮酸は
検出限界以下であった。
アラニンの水溶液を濃硫酸でpH4.0に調整後、トル
エン100gを添加し、15分間撹拌後、静置・分液を
行った。こうして得られた濃縮原液800g(L−フェ
ニルアラニン48.0g及び桂皮酸1.4g)を用いて
以下の操作を行った。この濃縮原液のL−フェニルアラ
ニンの濃度が10重量%になるまで70℃で減圧濃縮を
行った後、濃縮温度を保ったまま濾過を行い、L−フェ
ニルアラニンの結晶を分離した。得られた結晶は、それ
とほぼ同量の70℃の温水で洗浄した。濾洗液について
は再び濃縮、濾過といった同様の操作を行い、合計で7
回繰り返した。得られた結晶は、合計で45.5g(乾
燥重量)であり、純度は98.5%で含まれる桂皮酸は
検出限界以下であった。
【0032】実施例6 実施例5で得られた結晶(T%96.2)に80%イソ
プロピルアルコ−ルを60g添加し、10℃で1時間ス
ラッジング後、濾過を行った。得られた結晶は43.4
g(乾燥重量)でT%98.5であった。
プロピルアルコ−ルを60g添加し、10℃で1時間ス
ラッジング後、濾過を行った。得られた結晶は43.4
g(乾燥重量)でT%98.5であった。
【0033】比較例1 実施例1の操作でトルエン抽出前のpH4.0のL−フ
ェニルアラニンの水溶液(L−フェニルアラニン48.
0g、桂皮酸4.8gを含む)を用いて以下の操作を行
った。L−フェニルアラニンの濃度が10重量%になる
まで70℃で減圧濃縮を行った後、濃縮温度を保ったま
ま濾過を行い、L−フェニルアラニンの結晶を分離し
た。得られた結晶は、それとほぼ同量の70℃の温水で
洗浄した。濾洗液については再び濃縮、濾過といった同
様の操作を行い、合計で7回繰り返した。得られた結晶
は、合計で42.3g(乾燥重量)であり、含まれる桂
皮酸は0.1%であった。
ェニルアラニンの水溶液(L−フェニルアラニン48.
0g、桂皮酸4.8gを含む)を用いて以下の操作を行
った。L−フェニルアラニンの濃度が10重量%になる
まで70℃で減圧濃縮を行った後、濃縮温度を保ったま
ま濾過を行い、L−フェニルアラニンの結晶を分離し
た。得られた結晶は、それとほぼ同量の70℃の温水で
洗浄した。濾洗液については再び濃縮、濾過といった同
様の操作を行い、合計で7回繰り返した。得られた結晶
は、合計で42.3g(乾燥重量)であり、含まれる桂
皮酸は0.1%であった。
【0034】比較例2 実施例1の操作でトルエン抽出前のL−フェニルアラニ
ン48.0g及び桂皮酸4.8gを含む濃縮原液800
gを用い、L−フェニルアラニンの濃度が20重量%に
なるまで70℃で減圧濃縮を行った。さらに、10℃で
1時間晶析を行った後、濾過を行った。得られた結晶は
41.2g(乾燥重量)で含まれる桂皮酸は0.2%で
あった。
ン48.0g及び桂皮酸4.8gを含む濃縮原液800
gを用い、L−フェニルアラニンの濃度が20重量%に
なるまで70℃で減圧濃縮を行った。さらに、10℃で
1時間晶析を行った後、濾過を行った。得られた結晶は
41.2g(乾燥重量)で含まれる桂皮酸は0.2%で
あった。
【0035】比較例3 実施例1の操作でトルエン抽出前のL−フェニルアラニ
ン48.0g及び桂皮酸4.8gを含む濃縮原液800
gを用い、L−フェニルアラニンの濃度が20重量%に
なるまで70℃で減圧濃縮を行った。さらに、濃縮液に
240gの80%イソプロピルアルコール水溶液を添加
し、冷却して10℃で1時間晶析を行った後、濾過を行
った。得られた結晶は40.8g(乾燥重量)で含まれ
る桂皮酸は0.1%であった。
ン48.0g及び桂皮酸4.8gを含む濃縮原液800
gを用い、L−フェニルアラニンの濃度が20重量%に
なるまで70℃で減圧濃縮を行った。さらに、濃縮液に
240gの80%イソプロピルアルコール水溶液を添加
し、冷却して10℃で1時間晶析を行った後、濾過を行
った。得られた結晶は40.8g(乾燥重量)で含まれ
る桂皮酸は0.1%であった。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明方法によれば、原料である桂皮酸
を効率的に分離でき、高品質のL−フェニルアラニンを
高収率で精製することが可能となった。
を効率的に分離でき、高品質のL−フェニルアラニンを
高収率で精製することが可能となった。
【図1】本発明を実施する濃縮ー固液分離装置の概略図
である。
である。
1.濃縮缶 2.固液分離機 3.結晶受器 4.洗浄ライン 5.濾液ライン 6.スラリーポンプ 7.溶解液供給ポンプ 8.蒸発ライン 9.凝縮機 10.濾液加熱機 11.溶解漕 12.濾液戻りライン 13.濾液送液ポンプ 14.パージ液バルブ 15.パージ液ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−71189(JP,A) 特開 昭59−14796(JP,A) 特開 平4−267885(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 13/22 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (11)
- 【請求項1】下記工程を含むL−フェニルアラニンの精
製方法: (a)桂皮酸とL−フェニルアラニンを主に含む水溶液
にpH4.5以下の範囲に於てトルエン抽出を行う工
程、 (b)該トルエン抽出で得られた水相を濃縮しながら固
液分離を行う工程、 (c)工程(b)で分離されたL−フェニルアラニン結
晶からなる固相を回収する工程。 - 【請求項2】濃縮しながら固液分離を行う工程にデカン
ター型遠心沈降機を用いる請求項1記載の方法。 - 【請求項3】固相に低級アルコール類を添加してスラッ
ジングする請求項1記載の方法。 - 【請求項4】低級アルコール類がイソプロピルアルコー
ル、ノルマルプロピルアルコール、メチルアルコール、
エチルアルコールよりなる群から選ばれるものである請
求項3記載の方法。 - 【請求項5】低級アルコール類の添加量がL−フェニル
アラニンに対して50〜150重量%である請求項3記
載の方法。 - 【請求項6】下記工程を含むL−フェニルアラニンの製
造方法: (1)フェニルアラニンアンモニアリアーゼの存在下で
桂皮酸とアンモニア源とを反応させて反応液を得る工
程、 (2)該反応液の清澄液を調製する工程、 (3)該清澄液からアンモニア源を除去する工程、 (4)工程(3)を経た清澄液にpH4.5以下の範囲
に於てトルエン抽出を行う工程、 (5)該トルエン抽出で得られた水相を濃縮しながら、
固液分離を行う工程、 (6)工程(5)で得られたL−フェニルアラニン結晶
からなる固相を回収する工程。 - 【請求項7】濃縮しながら固液分離を行う工程にデカン
ター型遠心沈降機を用いる請求項6記載の方法。 - 【請求項8】アンモニア源を除去した後活性炭処理を行
う請求項6記載の方法。 - 【請求項9】濃縮で得られた固相に低級アルコール類を
添加してスラッジングする請求項6記載の方法。 - 【請求項10】低級アルコール類がイソプロピルアルコ
ール、ノルマルプロピルアルコール、メチルアルコー
ル、エチルアルコールよりなる群から選ばれるものであ
る請求項9記載の方法。 - 【請求項11】低級アルコール類の添加量がL−フェニ
ルアラニンに対して50〜150重量%である請求項9
記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02463293A JP3270558B2 (ja) | 1992-02-17 | 1993-02-15 | L−フェニルアラニンの精製方法および製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2920592 | 1992-02-17 | ||
JP4-29205 | 1992-02-17 | ||
JP02463293A JP3270558B2 (ja) | 1992-02-17 | 1993-02-15 | L−フェニルアラニンの精製方法および製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05304970A JPH05304970A (ja) | 1993-11-19 |
JP3270558B2 true JP3270558B2 (ja) | 2002-04-02 |
Family
ID=26362182
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02463293A Expired - Fee Related JP3270558B2 (ja) | 1992-02-17 | 1993-02-15 | L−フェニルアラニンの精製方法および製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3270558B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5561506B2 (ja) * | 2007-10-24 | 2014-07-30 | 三菱レイヨン株式会社 | L−カルニチンの単離精製方法 |
-
1993
- 1993-02-15 JP JP02463293A patent/JP3270558B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05304970A (ja) | 1993-11-19 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |