JP3268483B2 - エレベータ制御装置 - Google Patents

エレベータ制御装置

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JP3268483B2 JP11709395A JP11709395A JP3268483B2 JP 3268483 B2 JP3268483 B2 JP 3268483B2 JP 11709395 A JP11709395 A JP 11709395A JP 11709395 A JP11709395 A JP 11709395A JP 3268483 B2 JP3268483 B2 JP 3268483B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油圧式エレベータ、ロ
ープ式エレベータ及びリニア式エレベータにおいて、乗
りかご停止時に発生する乗りかごの沈下又は浮上の防
止、並びに乗りかご走行時に発生する乗りかごの縦振動
の抑制を図ったエレベータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エレベータでは、駆動用アクチュエータ
と乗りかごの間に弾性体が介在されている。例えば、ロ
ープ式エレベータやリニア式エレベータの場合、駆動用
アクチュエータと乗りかごの間にはロープの弾性が介在
し、また間接押上型油圧式エレベータの場合には、ロー
プの弾性の他に作動油の弾性も介在している。このた
め、エレベータにおいては次の2つの現象が生じるのが
一般的である。
【0003】第1の現象は、停止時に乗客が乗りかご内
に乗り込むと乗りかごが沈下し、逆に乗客が降りると乗
りかごが浮上する現象である。また第2の現象は、走行
時の乗りかごに縦振動が発生するという現象である。
【0004】このうちエレベータの沈下/浮上現象を防
止する手段としては、図22に示すようなエレベータ位
置補正装置が提案されている。この装置では、まずエレ
ベータ機構部1に取り付けられた位置センサ2によりエ
レベータの乗りかご位置を検出し、その乗りかご位置信
号を制御装置5に伝える。制御装置5内では、偏差算出
装置3により、乗りかご目標位置発生器4の出力から乗
りかご位置信号を減算した値を計算し、ゲイン装置6に
より増幅した後に出力する。制御装置5の出力はエレベ
ータ駆動装置7に伝えられ、エレベータ機構部1を作動
させて乗りかごの停止位置を適正に保つようになってい
る。ところが、図22の装置では、エレベータ機構部1
が有する弾性のために振動が生じ、乗りかご位置フィー
ドバックループの不安定化を招くという問題がある。
【0005】この問題を解決するために、図23に示す
ように、乗りかごの加速度を検出して負帰還する位置補
正装置が提案されている(例えば、特開平4−4137
5号公報)。この位置補正装置は、図22に示した構成
の他に、乗りかご加速度を検出する加速度センサ8、加
速度センサ8の信号を増幅するゲイン装置9、およびゲ
イン装置6の出力からゲイン装置9の出力を減算してエ
レベータ駆動装置7に出力する減算装置10を有する。
【0006】また、加速度負帰還制御はエレベータ走行
時の縦振動の抑制にも有効である。図24に、縦振動を
抑制する手段をもたない従来の典型的なエレベータ走行
制御装置の概略を示す。この装置では、まず制御装置5
内部の乗りかご目標速度発生器12により目標速度を計
算し、その目標速度の信号をゲイン装置13により増幅
した後に出力する。制御装置5の出力はエレベータ駆動
装置7に伝えられ、エレベータ機構部1を作動させて乗
りかごに速度を発生させる。この走行制御装置は縦振動
を抑制する手段をもたないため、同装置を用いてエレベ
ータを駆動すると、乗りかごに縦振動が発生する。
【0007】そこで、この走行制御装置に加速度負帰還
制御を併用して、縦振動を抑制することが提案されてい
る(例えば、特開昭52−43246号公報、特開昭6
2−211277号公報および特開平6−171841
号公報)。この装置は、図25に示すように、加速度セ
ンサ8により乗りかごの加速度を計測し、その信号を制
御装置5内部に取り込む。そして制御装置5内部では、
取り込んだ信号をゲイン装置9により増幅し、演算器1
0によりゲイン装置13の出力からゲイン装置9の出力
を減算した後に、エレベータ駆動装置7へ出力するよう
になっている。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】図23に示したエレ
ベータ位置補正装置は、原理的には安定かつ高応答な位
置補正制御を実現できる有効な装置である。また図25
に示したエレベータ走行制御装置も、縦振動を抑制でき
る有効な装置である。しかし両装置には、以下に示す問
題点がある。 (1)加速度センサが故障した場合の安全性に欠ける。 (2)加速度センサを備えなければならないため高価な
装置となる。 (3)加速度センサの零点調整が不正確でバイアス誤差
が生じる場合には、誤った位置に乗りかごを移動させて
しまう。 上記ような問題点があるため、図23に示したエレベー
タ位置補正装置および図25に示したエレベータ走行制
御装置は実用化には至っていない。
【0009】本発明の目的は、加速度センサを用いるこ
となく、乗りかご停止時における乗りかご位置補正制御
と、乗りかご走行時における乗りかごの縦振動抑制とを
実現できるエレベータ制御装置を提供することにある。
【0010】
【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに、本発明は、乗りかごが停止する目標位置信号を発
生する目標位置発生手段と、乗りかごの現在位置を検出
する現在位置検出手段と、前記目標位置発生手段および
現在位置検出手段からの出力信号を取り込んで、乗りか
ごの目標位置と現在位置との偏差を算出する偏差算出手
段と、前記現在位置検出手段で検出した乗りかご現在位
置のデータから乗りかご加速度を推定する加速度推定手
段と、前記加速度推定手段で推定した加速度を、前記偏
差算出手段で算出した偏差に負帰還することにより、乗
りかごの停止位置を補正する停止位置補正手段と、を具
し、前記加速度推定手段は、3次以上の次数を有する
オブザーバであるエレベータ制御装置を構成したもので
ある。
【0011】また、本発明は、走行時の乗りかご目標速
度信号を発生する目標速度発生手段と、乗りかごの現在
位置を検出する現在位置検出手段と、前記現在位置検出
手段で検出した乗りかご現在位置のデータから乗りかご
加速度を推定する加速度推定手段と、前記加速度推定手
段で推定した加速度を、前記目標速度発生手段で発生し
た目標速度に負帰還することにより、乗りかごの速度制
御を行う速度制御手段と、を具備し、前記加速度推定手
段は、3次以上の次数を有するオブザーバであるエレベ
ータ制御装置を構成したものである。
【0012】さらに本発明は、上記各エレベータ制御装
置を、油圧式エレベータ、ロープ式エレベータ、リニア
式エレベータのいずれかに設置したものである。
【0013】
【作用】加速度推定手段は、低周波数領域においては2
階の微分と同等に機能し、高周波数領域においてはゲイ
ンが零となるように作用する。よって、通常のエレベー
タで問題となる低周波数領域においては、加速度推定手
段の出力はほぼ実際の乗りかご加速度に一致する。そし
て、この推定加速度を負帰還することにより、加速度セ
ンサを用いることなく、実際の加速度を負帰還した場合
と同様に安定かつ高応答な位置補正制御および走行時縦
振動の抑制を実現できる。これにより、加速度センサに
付随する問題、つまり低信頼性、高価格、バイアス誤差
の影響といった問題点を解決することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って説明す
る。 (第1実施例)図1に、本発明によるエレベータ制御装
置の概略構成を示す。エレベータ機構部1には、乗りか
ごの位置を検出する位置センサ2が設けられ、この位置
センサ2の出力は制御装置5に入力される。制御装置5
の内部では、偏差算出装置3が乗りかご目標位置発生器
4の出力から位置センサ2からの乗りかご位置信号を減
算し、その結果をゲイン装置6に出力する。一方、制御
装置5内に設けられた加速度推定器11は、乗りかご位
置信号より推定乗りかご加速度を算出する。減算装置1
0は、ゲイン装置6の出力からゲイン装置9の出力を減
算し、その値をエレベータ駆動装置7へ出力する。エレ
ベータ駆動装置7は、入力に比例した速度でエレベータ
機構部1を動作させ、乗りかごの停止位置を適正に保つ
ように作用する。
【0015】なお、図1において、乗りかご目標位置発
生器4は目標位置発生手段を、位置センサ2は現在位置
検出手段を、偏差算出装置3は偏差算出手段を、加速度
推定器11は加速度推定手段を、減算装置10は停止位
置補正手段をそれぞれ構成している。
【0016】加速度推定器11は、低周波数領域におい
ては2階の微分と同等に機能するため、ゲインは周波数
に対して傾き40dB/decで増加し、位相は180
度とならなければならない。また高周波数領域において
は、推定ノイズ除去のため、ゲインが減少して零に漸近
しなければならない。このような特性を示す加速度推定
器11は、図2に示すフィルタにより実現できる。図2
に示すフィルタは、2次の微分要素に時定数μのローパ
スフィルタを3個掛け合わせた構成となっている。以下
の説明では、図2のフィルタを3次の加速度推定器と呼
ぶ。
【0017】図3および図4に、時定数μを5Hzに設
定したときの3次の加速度推定器のゲイン特性および位
相特性を示す。低周波数領域においては2階微分と同様
にゲインが40dB/decで増加し、位相も180度
となっている。また高周波数領域では、位相遅れが生じ
るが、ゲインが20dB/decで減少する傾向を示し
ているので、推定ノイズが防止されることが分かる。
【0018】加速度推定器はアナログ制御装置でもディ
ジタル制御装置でも実現できる。図5は3次の加速度推
定器を、サンプリング時間Δtのディジタル制御装置で
実現するためのアルゴリズムである。このアルゴリズム
では、まずステップ100において、乗りかご位置を入
力端より読み込む。次にステップ101において、図の
ように内部変数を初期化する。さらにステップ102に
おいて、再度乗りかご位置を入力端より読み込んだ後、
ステップ103で図のように変化率d1〜d3を計算す
る。その後ステップ104において、図のように内部変
数を数値積分して、その結果得られた推定加速度をステ
ップ105において出力する。最後にステップ106で
Δt時間経過するまで待った後にステップ102に戻
る。
【0019】加速度推定器は、3次の加速度推定器以外
の構成をとることもできる。図6は、他の方法によって
加速度推定器11を構成したものであり、2次の微分要
素に時定数μのローパスフィルタを4個掛け合わせた構
成となっている。以下の説明では、図6のフィルタを4
次の加速度推定器と呼ぶ。4次の加速度推定器は、3次
のものに比べて高周波数領域におけるゲインの減少率が
高く、推定ノイズをより一層減少する効果があるが、位
相遅れも大きくなる。
【0020】加速度推定器の次数は3以上であればよい
ので、図7のようにn(n≧3)という値を用いて一般
的に構成することができる。次数nが大きくなればなる
ほど高周波数領域におけるゲインの減少率が高くなり、
推定ノイズ減少効果も大きくなるが、一方では位相遅れ
も大きくなってしまう。よって、次数nはせいぜい3〜
6の間で選択すべきである。
【0021】(第2実施例)図8は、上述の推定加速度
帰還制御を、速度制御を主体とした走行制御装置に応用
した実施例である。この制御装置では、まずエレベータ
機構部1に取り付けられた位置センサ2によって乗りか
ご位置を検出し、その信号を制御装置5に入力する。制
御装置5内部では、加速度推定器11によって乗りかご
位置から乗りかご加速度を推定し、ゲイン装置9により
増幅する。一方、乗りかご目標速度発生器12は、エレ
ベータ乗りかごの走行速度パターンを発生し、これをゲ
イン装置13へ出力する。そして減算器10により、ゲ
イン装置13の出力からゲイン装置9の出力を減算し、
エレベータ駆動装置7へ出力する。エレベータ駆動装置
7は、入力に比例した速度でエレベータ機構部1を動作
させ、乗りかご位置を適正に保つように作用する。この
ように走行制御装置を構成することにより、エレベータ
走行時の縦振動抑制効果を得られる。
【0022】なお、図8において、乗りかご目標速度発
生器12は目標速度発生手段を、位置センサ2は現在位
置検出手段を、加速度推定器11は加速度推定手段を、
減算装置10は速度制御手段をそれぞれ構成している。
【0023】(第3実施例)図9は、図1の位置補正装
置および図8の走行制御装置を、間接押上型油圧式エレ
ベータに適用した実施例である。図において、乗りかご
21はロープ22の一端により支持され、ロープ22の
他端はプーリ23を介して建屋に固定されている。プー
リ23は、油圧シリンダ24から突出しているプランジ
ャ25により支持され、プランジャ25の動作に従って
上下に駆動される。油圧シリンダ24は、2方向制御弁
26を介して油圧ポンプ27に接続され、油圧ポンプ2
7の他端は油タンク28に接続される。2方向制御弁2
6は、閉弁時には逆止弁として動作し、開弁時には逆止
動作が解除されるものであり、弁駆動装置29により駆
動される。また油圧ポンプ27は、モータ駆動回路30
により駆動される可変速モータ31により動作する。
【0024】制御装置5の内部には運行管理装置32が
設けられている。まずエレベータが停止状態にあり位置
補正を行う場合、運行管理装置32は、弁駆動装置29
に2方向制御弁26を開弁させ、切替スイッチ33を接
点a側とし、乗りかご目標位置発生器4に命令して目標
位置信号を発生させる。次に偏差算出装置3は、乗りか
ご目標位置発生器4の出力から、乗りかご21に設けら
れた位置センサ2により検出した乗りかご位置を減算し
た値を、ゲイン装置6に入力する。ゲイン装置6の出力
は切替スイッチ33の接点aを経て減算器10に導かれ
る。一方、加速度推定器11は、位置センサ2により検
出した乗りかご位置から乗りかご加速度を推定し、その
信号をゲイン装置9に入力する。減算器10は、ゲイン
装置6の出力からゲイン装置9の出力を減算して、モー
タ駆動回路30に入力する。モータ駆動回路30は、入
力に比例した回転数でモータ31および油圧ポンプ27
を回転させ、その結果発生した作動油流量により、乗り
かご21が駆動されて、乗りかご停止位置が適正に保た
れる。
【0025】一方、エレベータを走行させる場合、運行
管理装置32は、上昇時には弁駆動装置29に2方向制
御弁26を閉弁させ、下降時には開弁させる。また切替
スイッチ33を接点b側とし、乗りかご目標速度発生器
12に命令して目標速度信号を発生させる。乗りかご目
標速度発生器12の出力はゲイン装置13に入力され、
切替スイッチ33の接点bを経て減算器10に至る。減
算器10では位置補正時と同様に、ゲイン装置13の出
力信号から、加速度推定器11の出力をゲイン装置9で
増幅した信号を減算した値を出力し、モータ駆動回路3
0に入力する。モータ駆動回路30は、入力に比例した
回転数でモータ31および油圧ポンプ27を回転させ、
その結果発生した作動油流量により乗りかご21が駆動
されて、乗りかご速度が目標値に保たれ、乗りかご21
の移動が行われる。なお、ゲイン装置9の増幅率は、位
置補正時と走行時では最適値が異なるため、運行管理装
置32の指令により変更する。
【0026】(第4実施例)図10は、図1の位置補正
装置および図10の走行制御装置を、間接押上型油圧式
エレベータに適用した実施例である。この実施例は図9
のものと比べて、エレベータ走行時の駆動回路は同一で
あるが、位置補正時の駆動回路を走行時のものとは別に
用意した点が異なっている。すなわち、位置補正用の補
助油圧ユニット34が別に設けられている。この補助油
圧ユニット34は、固定回転数モータ35によって駆動
される油圧ポンプ36により、油タンク37より作動油
を吸い上げて油圧を発生するものである。発生した油圧
は圧力センサ39により検出され、第1の設定圧力以下
になった時点でモータオンオフ回路40により固定回転
数モータ35を作動させ、より高い第2の設定圧力とな
った時点で固定回転数モータ35を停止させる。また油
圧回路中には、リリーフ弁38、アキュムレータ41、
および3方向制御弁42が設けられている。リリーフ弁
38は油圧回路が異常高圧となることを防ぐために設け
てあり、設定した上限圧力以上になると作動油を油タン
クに還流して回路の油圧を下げる。またアキュムレータ
41は、エレベータ駆動のために作動油を給排する際、
回路の油圧レベルを一定に保つ目的で設置される。3方
向制御弁42は、油圧ポンプ36、油タンク37、およ
び油圧シリンダ24に接続されており、油圧ポンプ36
から油圧シリンダ24へ、または油圧シリンダ24から
油タンク37への流量を調整することにより、油圧シリ
ンダ24を駆動して、乗りかご21の位置を適正に保
つ。
【0027】本実施例は、図9の実施例に比べて装置点
数が多くなるため高価となる欠点はあるが、その反面の
利点として安全性の高さが挙げられる。すなわち、位置
補正時において、2方向制御弁26を開状態とする必要
がないため、制御装置5が故障した場合においても、油
圧シリンダ24内の作動油は3方向制御弁42を経ない
と排出されない。ここで3方向制御弁42は位置補正の
みに用いて走行時には用いないため、一般に小径の構造
となり、排出される作動油流量は微小に限られる。よっ
て、制御装置5が故障した際にも、乗りかご21が急激
に落下することはない。
【0028】(第5実施例)図11は、図1の位置補正
装置および図10の走行制御装置を、ロープ式エレベー
タに適用した実施例である。乗りかご21はロープ43
の一端に固定され、ロープ43の他端はシーブ44と反
らせ車45を経て釣合い錘46に接続されている。ま
た、シーブ44は減速器47とブレーキ48を経てモー
タ49に接続されている。そして、モータ49はモータ
駆動回路50によって速度制御される。本実施例におい
ても、制御装置5は図9の実施例と同様の動作によっ
て、位置補正制御および走行制御を行うことが可能であ
る。
【0029】(第6実施例)図12は、図1の位置補正
装置および図10の走行制御装置を、リニア式エレベー
タに適用した実施例である。乗りかご21はロープ43
の一端に固定され、ロープ43の他端はプーリ51a,
51bを経て釣合い錘46に接続されている。釣合い錘
46内部には1次側コイルを含むリニアモータ52が設
けられており、昇降路の上部と下部に固定または回転自
由に固定された2次側導体53と接している。また釣合
おもり46の下部にはブレーキ54が設けられている。
図12では、ブレーキ54は2次側導体との摩擦により
働く構造として描いてあるが、別途設けたレールとの摩
擦により働く構造としてもよい。リニアモータ52はモ
ータ駆動回路55によって速度制御される。本実施例に
おいても、制御装置5は図9の実施例と同様の動作によ
って、位置補正制御および走行制御を行うことが可能で
ある。
【0030】次に、間接押上型油圧式エレベータにおい
て乗客の乗降が行われた際の、乗りかご位置および乗り
かご加速度の実測値について説明する。図13および図
14は、位置補正制御を全く行わない状態における乗り
かご位置および乗りかご加速度の実測値を示している。
また図15および図16は、加速度帰還も推定加速度帰
還も行わない図22のエレベータ制御装置により位置補
正制御を行っている状態における、乗りかご位置および
乗りかご加速度の実測値を示している。また図17およ
び図18は、加速度センサを用いて加速度帰還を行う図
3のエレベータ制御装置により位置補正制御を行ってい
る状態における、乗りかご位置および乗りかご加速度の
実測値を示している。
【0031】図19、図20および図21は、加速度推
定器を用いて推定加速度帰還を行う図1のエレベータ制
御装置により位置補正制御を行っている状態における、
乗りかご位置、乗りかご加速度および乗りかご推定加速
度の実測値を示している。なお、全ての実験において、
ゲイン装置6およびゲイン装置9の増幅率は等しく設定
してある。
【0032】まず図13および図14は、約1.5sec時
および約9.1sec時において乗客の乗り込みが発生し、
約5.0sec時において乗客の降車が発生したものであ
る。この実験結果より、位置補正を行わないと乗客の乗
降に応じて乗りかご位置が顕著に沈下/浮上してしまう
ことが確認される。
【0033】次に図15および図16は、約3.0sec時
において乗客の乗り込みが発生し、約6.8sec時におい
て乗客の降車が発生したものである。この実験結果よ
り、加速度帰還も推定加速度帰還も行わずに、乗りかご
位置帰還のみで位置補正を行おうとすると、乗客乗り込
み時の沈下に対する制御はかろうじて安定性を保ってい
るが、乗客降車時の浮上に対する制御は不安定となり乗
りかご位置が発散してしまっていることが確認される。
上記のように沈下側と浮上側で安定性が変化しているの
は、実験に用いた3方向制御弁42の特性のアンバラン
スによるものであり、高性能な3方向制御弁42を用い
ればこのような現象は生じない。いずれにせよ、乗りか
ご位置帰還のみによる位置補正は極めて不安定な制御で
あることが分かる。
【0034】次に図17および図18は、約1.6sec時
において乗客の乗り込みが発生し、約5.7sec時におい
て乗客の降車が発生したものである。この実験結果よ
り、加速度センサを用いた乗りかご加速度帰還を併用し
て位置補正を行うと、安定な制御が実現できることが分
かる。また、図15および図16のものと比べて、乗り
かごの最大沈下量、最大浮上量および加速度の最大値も
小さく抑えれていることが確認される。すなわち、乗り
かご加速度帰還の併用は、位置補正制御の安定化および
高剛性化に効果大であるといえる。
【0035】最後に図19、図20および図21は、約
2.2sec時において乗客の乗り込みが発生し、約6.2s
ec時において乗客の降車が発生したものである。この実
験結果より、加速度推定器を用いた推定乗りかご加速度
帰還を併用して位置補正を行うと、図17および図18
の場合とほぼ同様な応答を得られることが確認できる。
すなわち、推定乗りかご加速度帰還の併用により、加速
度センサを用いることなく位置補正制御の安定化および
高剛性化を図ることが可能であるといえる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
乗りかごの加速度を加速度推定器により推定して負帰還
することにより、加速度センサを用いることなく、実際
の加速度を負帰還した場合と同様に位置補正制御および
走行制御の安定性と剛性を高めることができる。
【0037】また、加速度センサを用いていないため、
加速度センサに付随する低信頼性、高価格、バイアス誤
差の影響といった問題点を含まないエレベータ制御装置
またはエレベータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるエレベータ制御装置
の概略構成図である。
【図2】3次の加速度推定器の構成図である。
【図3】3次の加速度推定器のゲイン特性を示す図であ
る。
【図4】3次の加速度推定器の位相特性を示す図であ
る。
【図5】3次の加速度推定器をディジタル制御装置で実
現するためのアルゴリズムを示す図である。
【図6】4次の加速度推定器の構成図である。
【図7】n次の加速度推定器の構成図である。
【図8】本発明の第2実施例によるエレベータ制御装置
の概略構成図である。
【図9】本発明の第3実施例による間接押上式油圧エレ
ベータの概略構成図である。
【図10】本発明の第4実施例による間接押上式油圧エ
レベータの概略構成図である。
【図11】本発明の第5実施例によるロープ式エレベー
タの概略構成図である。
【図12】本発明の第6実施例によるリニア式エレベー
タの概略構成図である。
【図13】位置補正制御なしの状態での乗りかご位置実
測値を示した図である。
【図14】位置補正制御なしの状態での乗りかご加速度
実測値を示した図である。
【図15】従来のエレベータ制御装置により位置補正制
御を行っている状態での乗りかご位置実測値を示した図
である。
【図16】従来のエレベータ制御装置により位置補正制
御を行っている状態での乗りかご加速度実測値を示した
図である。
【図17】従来のエレベータ制御装置により位置補正制
御を行っている状態での乗りかご位置実測値を示した図
である。
【図18】従来のエレベータ制御装置により位置補正制
御を行っている状態での乗りかご加速度実測値を示した
図である。
【図19】本発明のエレベータ制御装置により位置補正
制御を行っている状態で乗りかご位置実測値を示した図
である。
【図20】本発明のエレベータ制御装置により位置補正
制御を行っている状態での乗りかご加速度実測値を示し
た図である。
【図21】本発明のエレベータ制御装置により位置補正
制御を行っている状態での乗りかご推定加速度実測値を
示した図である。
【図22】従来技術によるエレベータ制御装置の概略構
成図である。
【図23】従来技術によるエレベータ制御装置の概略構
成図である。
【図24】従来技術によるエレベータ制御装置の概略構
成図である。
【図25】従来技術によるエレベータ制御装置の概略構
成図である。
【符号の説明】
1 エレベータ機構部 2 位置センサ 3 偏差算出装置 4 乗りかご目標位置発生器 5 制御装置 6 ゲイン装置 7 エレベータ駆動装置 8 加速度センサ 9 ゲイン装置 10 減算装置 11 加速度推定器 12 乗りかご目標速度発生器 13 ゲイン装置 21 乗りかご 22 ロープ 23 プーリ 24 油圧シリンダ 25 プランジャ 26 2方向制御弁 27 油圧ポンプ 28 油タンク 29 弁駆動装置 30 モータ駆動回路 31 モータ31 32 運行管理装置 33 切替スイッチ 34 補助油圧ユニット 35 固定回転数モータ 36 油圧ポンプ 37 油タンク 38 リリーフ弁 39 圧力センサ 40 モータオンオフ回路 41 アキュムレータ 42 3方向制御弁 43 ロープ 44 シーブ 45 反らせ車 46 釣合おもり 47 減速器 48 ブレーキ 49 モータ 50 モータ駆動回路 51a,51b プーリ 52 リニアモータ 53 2次側導体 54 ブレーキ 55 モータ駆動回路
フロントページの続き (72)発明者 首藤 克治 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (72)発明者 小笠原 剛 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (72)発明者 佐々木 英一 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式 会社 日立製作所 水戸工場内 (56)参考文献 特開 平4−41375(JP,A) 特開 昭57−141371(JP,A) 特開 平7−2439(JP,A) 特開 昭52−57647(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B66B 1/00 - 1/52

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乗りかごが停止する目標位置信号を発生
    する目標位置発生手段と、乗りかごの現在位置を検出す
    る現在位置検出手段と、前記目標位置発生手段および現
    在位置検出手段からの出力信号を取り込んで、乗りかご
    の目標位置と現在位置との偏差を算出する偏差算出手段
    と、前記現在位置検出手段で検出した乗りかご現在位置
    のデータから乗りかご加速度を推定する加速度推定手段
    と、前記加速度推定手段で推定した加速度を、前記偏差
    算出手段で算出した偏差に負帰還することにより、乗り
    かごの停止位置を補正する停止位置補正手段と、を具備
    、前記加速度推定手段は、3次以上の次数を有するオ
    ブザーバであるエレベータ制御装置。
  2. 【請求項2】 走行時の乗りかご目標速度信号を発生す
    る目標速度発生手段と、乗りかごの現在位置を検出する
    現在位置検出手段と、前記現在位置検出手段で検出した
    乗りかご現在位置のデータから乗りかご加速度を推定す
    る加速度推定手段と、前記加速度推定手段で推定した加
    速度を、前記目標速度発生手段で発生した目標速度に負
    帰還することにより、乗りかごの速度制御を行う速度制
    御手段と、を具備し、前記加速度推定手段は、3次以上
    の次数を有するオブザーバであるエレベータ制御装置。
  3. 【請求項3】 乗りかごが停止する目標位置信号を発生
    する目標位置発生手段と、走行時の乗りかご目標速度信
    号を発生する目標速度発生手段と、乗りかごの現在位置
    を検出する現在位置検出手段と、前記目標位置発生手段
    および現在位置検出手段からの出力信号を取り込んで、
    乗りかごの目標位置と現在位置との偏差を算出する偏差
    算出手段と、前記現在位置検出手段で検出した乗りかご
    現在位置のデータから乗りかご加速度を推定する加速度
    推定手段と、前記加速度推定手段で推定した加速度を、
    前記偏差算出手段で算出した偏差に負帰還することによ
    り、乗りかごの停止位置を補正する停止位置補正手段
    と、前記加速度推定手段で推定した加速度を、前記目標
    速度発生手段で発生した目標速度に負帰還することによ
    り、乗りかごの速度制御を行う速度制御手段と、を具備
    し、前記加速度推定手段は、3次以上の次数を有するオ
    ブザーバであり、低周波数領域では2階の微分と同等に
    機能し、高周波数領域ではゲインが零となる特性を有す
    るフィルタで あるエレベータ制御装置。
  4. 【請求項4】 乗りかごが停止する目標位置信号を発生
    する目標位置発生手段と、走行時の乗りかご目標速度信
    号を発生する目標速度発生手段と、乗りかごの現在位置
    を検出する現在位置検出手段と、前記目標位置発生手段
    および現在位置検出手段からの出力信号を取り込んで、
    乗りかごの目標位置と現在位置との偏差を算出する偏差
    算出手段と、前記現在位置検出手段で検出した乗りかご
    現在位置のデータから乗りかご加速度を推定する加速度
    推定手段と、前記加速度推定手段で推定した加速度を、
    前記偏差算出手段で算出した偏差に負帰還することによ
    り、乗りかごの停止位置を補正する停止位置補正手段
    と、前記加速度推定手段で推定した加速度を、前記目標
    速度発生手段で発生した目標速度に負帰還することによ
    り、乗りかごの速度制御を行う速度制御手段と、を具備
    し、前記加速度推定手段は、3次以上の次数を有するオ
    ブザーバであって、低周波数領域では2階の微分と同等
    に機能し、高周波数領域ではゲインが零となる特性を有
    するフィルタであり、前記フィルタは、2次の微分要素
    と3次以上の次数を有するローパスフィルタを掛け合わ
    せたものであるエレベータ制御装置。
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