JP3268083B2 - Fm受信装置 - Google Patents

Fm受信装置

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JP3268083B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はFM受信装置に関し、特
に、弱電界におけるFM受信を可能とするFM受信装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】図5はFM受信機(ラジオ)の原理的構
成を示すブロック図であり、1はアンテナ、2は高周波
入力回路、3は高周波増幅器、4は周波数コンバータ、
5は局部発振器、6はIF(中間周波数)フィルタ、7
はリミッター(振幅制限器)、8は周波数ディスクリミ
ネータ、9はLPF(ローパスフィルタ)、10は出力
信号である。
【0003】図5で、アンテナ1で電波を受信し、高周
波入力回路2でラフな同調をとり、高周波増幅器3で所
望チャンネルのRF信号を増幅する。一般に、FM受信
機のS/Nは外来雑音でも劣化するが、弱電界時には高
周波増幅器3の入力信号の振幅が小さく高周波増幅器3
の初段のFETやトランジスタの雑音指数(NF)に支
配されている。高周波増幅器3の出力は周波数コンバー
タ4で局部発振器5の周波数との差周波数をとってIF
(中間周波数)信号とする。IFの搬送波はCOSωi
t(fi=10.7MHz)。周波数コンバータ4の出力
はIFフィルタ6のバンドパスフィルタ(中心周波数f
i±fAのIFフィルタ;fAは、通常、100KHz以
下)を介してリミッター7に加えられる。
【0004】ここで、IFフィルタ6の出力信号のベク
トル図を図2(a)に示す。なお、図2では「ON」が
ノイズを、「NA」がIF信号を示す。図2(a)の場
合はNA>ONでありリミッター7で振幅を一定にして
ノイズの影響を低減する。そして、ディスクリミネータ
8で周波数を電圧に変換してLPF9(FMラジオで
は、モノラル信号で0〜15KHz、ステレオ信号ではベ
ースバンド信号に対して0〜53KHz)を通して出力信
号10を得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようなFM受信機では電界強度を低くしていくと、図
4に示すようにPから点Qに至り、点Qから急激にRへ
とS/N比が低下するという問題点があった(ここで、
Q点がスレッシュホールドレベルである)。この現象は
FM受信機のS/Nが図5の高周波増幅器3の初段のノ
イズで支配され、通常のIF段のベクトル表示が図2
(a)に示すようにIF信号(NA)に比べてノイズ
(ON)が小さいのに対して、弱電界では図2(b)に
示すようにノイズ(ON)>IF信号(NA)の状態を
生ずるため、IF信号がノイズでマスクされた信号にな
ってしまうためである。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、弱電界のFM受信(通常のスレッシュホールド
レベル以下のFM受信)でもFM復調を可能とするFM
受信装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明のFM受信装置は、受信電波からIF信号を
得てFM信号を復調するFM受信装置において、IF信
号の搬送波周波数fiとは異なる周波数foを中心周波
数とし、周波数fiを含む帯域幅を有する第1の信号抽
出手段と、第1の信号抽出手段の出力のレベル制限を行
う信号レベル制限手段と、信号レベル制限手段の出力を
前記第1の信号抽出手段の出力で振幅変調する振幅変調
手段と、第1の信号抽出手段の出力から振幅変調手段の
出力を差し引く引算手段と、を有し、引算手段の出力を
基にFM信号を復調することを特徴とする。
【0008】第2の発明は上記第1の発明のFM受信装
置において、更に、引算手段の出力から周波数fiを中
心とする信号成分を抽出する第2の信号抽出手段を有
し、該信号成分からFM信号を復調することを特徴とす
る。
【0009】
【作用】上記構成により本発明のFM受信装置は、信号
レベル制限手段により第1の信号抽出手段の出力のレベ
ル制限を行い、振幅変調手段により信号レベル制限手段
の出力を第1の信号抽出手段の出力で振幅変調し、引算
手段により第1の信号抽出手段の出力から振幅変調手段
の出力を差し引き、引算手段の出力を基にFM信号を復
調する。
【0010】第2の発明は上記第1の発明のFM受信装
置において、更に、第2の信号抽出手段により引算手段
の出力から周波数fiを中心とする信号成分を抽出し、
該信号成分からFM信号を復調することを特徴とする。
【0011】
【実施例】図1は本発明に基づくFM受信機の一実施例
を示すブロック図であり、図2はIF信号の演算のベク
トル表示図であり、図2で(a)は通常(強電界)にお
ける受信状態の、(b)は弱電界における受信状態での
IFフィルタ6’の出力の、(c)はリミッター7及び
7’の出力信号の、(d)は引算回路15の出力のベク
トル表示図であり、図3は本発明に基づくIF帯域の信
号処理による周波数変動(分布)の説明図である。
【0012】図1で、1はアンテナ、2は高周波入力回
路、3は高周波増幅器、4は周波数コンバータ、5は局
部発振器、7はリミッター(振制限器)、8は周波数
ディスクリミネータ、9はLPF(ローパスフィル
タ)、10は出力信号であり、前述した従来例(図5)
と同様の機能を有する。また、6’はIFフィルタであ
り第1の信号抽出手段に相当し、7’はリミッターであ
り信号レベル制限手段に相当し、11は振幅(エンベロ
ープ)検出器、12は乗算回路、13はBPF(バンド
パスフィルタ)、14は利得をkとする増幅器、15は
引算回路、18はBPFであり第2の信号抽出手段に相
当する。また、振幅検出器11および乗算回路12は振
幅変調手段を構成する。なお、IFフィルタ6’はIF
フィルタ6と特性が異なり、BPF13はIFフィルタ
6’と、BPF18はIFフィルタ6と通過帯域を等し
くしている。
【0013】図1で、アンテナ1で電波を受信し周波数
コンバータ4で局部発振器5の周波数との差周波数をと
ってIF(中間周波数)信号とするまでの動作はほぼ同
様である。図5の場合との相違点は、高周波入力回路2
の選択性を図5の場合より強くする点である。IFフィ
ルタ6’の通過帯域(イ)は図3(a)に示すようにI
Fの中心周波数fiではなくてfoを中心周波数として
おり、FM波を含んでいる。なお、図5で述べたIFフ
ィルタ6の通過帯域は図3(c)に示す通過帯域(ロ)
と等しい特性である。また、図2でIFフィルタ6’の
出力について、図2(b)に示すようにノイズENCO
S(ωit+θn)をベクトル成分ONで表示しFMの
変調波を成分NAで示す。
【0014】次に、IFフィルタ6’の出力を遅延回路
20で遅延させてリミッター7’に入力しゼロクロス信
号を発生させる。図2(c)はそのゼロクロス信号のベ
クトル図であり図2(b)に対してノイズONを揃えた
大きさで示す(すなわち、信号とノイズの比を一定のま
まとしてノイズONの大きさを図2(b)と揃えて出力
する)。なお、IFフィルタ6’の出力を遅延回路20
で遅延させてリミッター7’に加えるのは振幅検波器1
1(後述)の遅延にリミッター7’の出力タイミングを
一致させるためである。
【0015】図2(c)でONはノイズ、CN,DNは
信号分のベクトルであり、CNとDNはONに対して位
相の回転が逆になり合成ベクトルBNは図2(b)のB
Nと等しい。また、IFフィルタ6’の出力を振幅検波
器11で振幅検波して振幅ENを得て乗算回路12でリ
ミッター7’の出力と乗算して、IFフィルタ6’と特
性の等しいBPF13を通して引算回路15の負入力端
子に加える。引算回路15の正入力端子にはIFフィル
タ6’の出力を利得kの増幅器14で振幅調整して入力
し、両者(図2(b)から図2(c))を引算して図2
(d)のベクトルを示す出力を得る。図2(d)で信号
CNとENは位相回転が逆である。
【0016】図3のIF信号の周波数分布ではノイズの
分布はIFフィルタ6’に一様に分布しているものとし
て、信号(FM)分はIFフィルタ6’の出力としては
図3(a)が、リミッター7’の出力としては図3
(b)が相当する。なお、ここでもノイズ成分ONは引
算回路15で引算すると消去されて、図3(b)で実線
(中心周波数;fi)で示すCN成分と、破線(中心周
波数;2fo−fi)で示すDN成分(図2(c)参
照)とが残る。
【0017】引算回路15の出力をBPF18を通して
周波数fiを中心とする信号成分を取り出してリミッタ
ー7で振幅を一定にして、ディスクリミネータ8で周波
数を電圧に変換してLPF9を通して出力信号10を得
る。上述したIFフィルタ6’〜引算回路15、及びB
PF18に至る出力信号について、以下、式を用いて詳
述する。まず、信号成分を、ES(t)COS(ωit
+△ωCOSωpt)(1)ノイズ成分を、EN(t)
COS(ωot+θn(t)) (2)とする。但
し、上式で、△ωは周波数偏位、COSωptはベース
バンド信号周波数であり、ES(t)は一定であり、EN
(t)は変動するものとし、θn(t)には帯域内の変
動周波数を含んでいるものとする。
【0018】次に、図1で、IFフィルタ6’の出力を
E(t)とすると、 E(t)=ES(t)COS(ωit+△ωCOSωpt) +EN(t)COS(ωot+θn(t)) (3) =ES(t)COS{ωot+(ωi−ωo)t+△ωCOSωpt} +EN(t)COS(ωot+θn(t)) (4) リミッター7’の出力はL(t)は近似的に次式(5)
となる。 L(t)≒COS(ωot+θn(t)) +(ES(t)/2EN(t))COS{ωot+(ωi−ωo)t +△ωCOSωpt} −(ES(t)/2EN(t))COS{ωot+2θn(t) −(ωi−ωo)t−△ωCOSωpt} (5)
【0019】式(5)の第1項は図2(c)のベクトル
図のノイズ成分ONであり、第2項は信号成分CNであ
り、第3項は信号成分DNに対応している。振幅検波器
11の出力をAE(t)とすると変調器(乗算器)12
の出力は次式(6)となる。 AE(t)L(t)=AE(t)COS(ωot+θn(t)) +(AE(t)ES(t)/2EN(t))COS{ωot+(ωi−ωo)t +△ωCOSωpt} −AE(t)ES(t)/2EN(t))COS{ωot+2θn(t) −(ωi−ωo)t−△ωCOSωpt} (6)
【0020】また、増幅器14の出力は利得をkとする
と次式(7)となる。 kE(t)=kEN(t)COS(ωot+θn(t)) +kES(t)COS{ωot+(ωi−ωo)t+△ωCOSωpt}(7) 上記式(6)と式(7)との差が引算回路15の出力F
(t)となる。これを次式(8)として示す。 F(t)=kE(t)−AE(t)L(t) =(kEN(t)−AE(t))COS(ωot+2θn(t)) +kES(t)−(AE(t)ES(t)/2EN(t))COS{ωot+ (ωi−ωo)t+△ωCOSωpt} +(AE(t)ES(t)/2EN(t))COS{ωot+2θn(t) −(ωi−ωo)t−△ωCOSωpt}(8)
【0021】ここで、EN(t)>ES(t)の条件か
ら、kを適当に選べば次式(9)となり上式(8)の第
1項は消える。 すなわち、 kEN(t)=AE(t) (9)と おけるので、 F(t)=(k/2)ES(t)COS{ωot+(ωi−ωo)t +△ωCOSωpt} +k/2ES(t)/COS{ωot+2θn(t)−(ωi−ωo)t −△ωCOSωpt} (10) と表わされる。ここで、式(10)の第1項は図2
(d)の信号成分CNであり、第2項は信号成分ENで
ある。
【0022】更に、F(t)は次式(11)で表わすこ
とができる。 F(t)=(k/2)ES(t)COS{ωit+△ωCOSωpt} +(k/2)ES(t)COS{(2ωo−ωi)t +2θn(t)−COSωpt} (11) 式(11)の第1項を中心周波数fiのBPF18で取
り出し、F’(t)とする。 F'(t)=(k/2)ES(t)COS{ωit+△ωCOSωpt} (12)式 (12)はFMの変調波式(7)に比例している。
【0023】以上の信号処理ではEN(t)>ES(t)
を仮定しているので、受信電界強度が高くない場合(E
S(t)>EN(t)の場合)は図5の構成に切換え、E
N(t)>ES(t)の場合には図1に示すような構成に
切換えるよう、FM受信装置を構成すればよい。また、
ノイズEN(t)の分布によってもFM復調でクリック
ノイズを発生するので、通常のノイズキャンセラ(N
C)をES(t)>EN(t)の弱電界モードではFM復
調後のベースバンドの信号処理に使用すると効果が上が
る。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明のFM受信装
置によれば、高周波増幅器の初段の素子で発生するノイ
ズよりも微弱なFM信号を受信するような弱電界でも、
ノイズを打ち消してFM変調波を分離できるので、良好
な受信が可能となる。これにより、本発明のFM受信装
置を用いることにより従来受信不能であった弱電界でも
受信できるのでFM放送の場合にはサービスエリアが拡
大されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づくFM受信機の構成例を示すブロ
ック図である。
【図2】IF信号のベクトル表示図である。
【図3】本発明に基づくIF帯域の信号処理による周波
数変動(分布)の説明図である。
【図4】受信電界強度とFM復調信号のS/N比の説明
図である。
【図5】FM受信機(ラジオ)の原理的構成を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
6’ IFフィルタ(第1の信号抽出手段) 7’ リミッター(信号レベル制限手段) 11 振幅検出器(振幅変調手段) 12 乗算回路(振幅変調手段) 15 引算回路(引算手段) 18 バンドパスフィルタ(第2の信号抽出手段)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受信電波からIF信号を得てFM信号を
    復調するFM受信装置において、IF信号の搬送波周波
    数fiとは異なる周波数foを中心周波数とし、前記周
    波数fiを含む帯域幅を有する第1の信号抽出手段と、
    前記第1の信号抽出手段の出力のレベル制限を行う信号
    レベル制限手段と、前記信号レベル制限手段の出力を前
    記第1の信号抽出手段の出力で振幅変調する振幅変調手
    段と、前記第1の信号抽出手段の出力から前記振幅変調
    手段の出力を差し引く引算手段と、を有し、前記引算手
    段の出力を基にFM信号を復調することを特徴とするF
    M受信装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のFM受信装置において、
    更に、引算手段の出力から周波数fiを中心とする信号
    成分を抽出する第2の信号抽出手段を有し、前記信号成
    分からFM信号を復調することを特徴とするFM受信装
    置。
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