JP3267966B2 - 顆粒球―マクロファージコロニー刺激因子受容体およびその誘導体における改良 - Google Patents

顆粒球―マクロファージコロニー刺激因子受容体およびその誘導体における改良

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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は一般に、ヒト組換え体および合成の顆粒球
−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)受容
体、およびその生化学的および/または生物学的な対応
物、同族体、または誘導体に関するものである。これら
の分子は、治療薬および診断薬の製造にとりわけ有用で
あり、またGM−CSFの受容体結合に関連するアゴニスト
およびアンダコニストの産生に有用である。
顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CS
F)は、好中球、好酸球、および単球/マクロファージ
系列細胞の増殖、分化および機能活性を調節する糖タン
パク質型の増殖・分化因子である[メトカーフ(1984
年)、ゴーフおよびニコラ(1989年)、総説]。マウス
[ゴーフら(1984年)]、およびヒト[ウォングら(19
85年)]のGM−CSFを暗号化した分子クローンが単離さ
れ、組換え体タンパク質は動物モデル系[メトカーフら
(1987年)、ドナヒューら(1986年)]および種々の造
血不全患者の臨床第I/II相試験で試験された[モーステ
ィンら(1989年)、総説]。動物実験および臨床試験の
何れの場合も、GM−CSFは単球、好中球、好酸球の循環
量を増大させ、循環する細胞の機能容量を向上させ、化
学療法および/または骨髄移植に伴う造血機能の回復速
度を促進することが判明した[ゴーフおよびニコラ(19
89年)、モースティンら(1989年)]。
マウスおよびヒトのどちらの系でも、オートラジオグ
ラフィー分析で、GM−CSF受容体は単球、好中球、およ
び好酸球系列に属する細胞に少数(1細胞当たり数百)
だけ存在することが判明した[ニコラ(1987年)、ディ
ペルシオら(1988年)]。然しながら、内皮細胞[ブッ
ソリーノら(1989年)]、小細胞肺ガン細胞系およびSV
40を導入したサルCOS細胞[コシタ・ボールドウインら
(1989年)]等を含む非造血系細胞でも同様に機能的な
GM−CSF受容体が検出された。
ウォーカーおびバージェス(1985年)は、マウス系で
高親和性(KD約30pM)および低親和性(KD約1nM)の両
方の受容体を検出したが、パークら(1986年a)はKD1
〜3nM級の単一の受容体を検出した。ヒト系では、造血
系細胞および内皮細胞で高親和性の受容体(KD約30pM)
だけが報告されたが[ギャッソンら(1986年)、ブッソ
リーノら(1989年)、パークら(1986年b)]、COS細
胞では低親和性受容体が報告された[コシタ・ボールド
ウインら(1989年)]。マウス系で、GM−CSF受容体
は、インターロイキン−3−およびその他の活性因子に
よって間接的に下方調節されるが、GM−CSF受容体(複
数もあり)はGM−CSFだけを認識する[ウォーカーら(1
985年)、ニコラ(1987年)]。
GM−CSFの生物学的効果の多くはピコモル濃度で観察
され[メトカーフ(1984年)]、発明者らは高親和性受
容体が選択的に内部化されることを見いだしたから[ゴ
ーフおよびニコラ(1989年)]、低親和性受容体が生物
学的に機能的であるのかどうかは明白でない。マウス系
では、37℃で[ウォーカーら(1985年)]、ヒト系で
は、4℃または37℃で[エリオットら(1989年)、ロペ
ツら(1989年)、パークら(1989年)]、多能性CSF
(インターロイキン−3)は、ある種の型の造血系細胞
のGM−CSF受容体を下方調節することできるが、これは
さまざまな受容体サブクラスによって仲介されるのか、
または受容体−受容体相互作用によって仲介されるのか
は明らかでない[ギアリングら(1989年)、エリオット
ら(1989年)、ロペツら(1989年)]。
本来、GM−CSFは顆粒球/マクロファージ始原細胞の
増殖刺激能によって定義されたが、最近になって、これ
がその他の造血系[メトカーフら(1980年)]の始原細
胞、および非造血系起源の細胞の増殖をも刺激すること
が明らかになった。これらは、ヒト骨髄繊維芽細胞、骨
原性肉腫細胞系、および乳ガン細胞系[デッドハーら
(1988年)]、ヒト小細胞ガン細胞系[コシタ、ポール
ドウインら(1989年)]、ヒト内皮細胞[ブッソリーノ
ら(1989年)]、およびヒト胎盤細胞[ウェグマンら
(1989年)]等である。しかもGM−CSFは、試験管内で
ヒト内皮細胞の遊走[ブッソリーノら(1989年)]、ヒ
ト骨芽球様細胞の増殖および機能[エバンスら(1989
年)]を刺激し、生体内でマウス胎盤細胞の増殖を増大
させる[ウェグマンら(1989年)]。
これらの生物学的な結果から考え、内皮細胞で高親和
性の受容体だけが検出され、繊維芽細胞および胎盤膜で
低親和性の受容体だけが検出される事実にもかかわら
ず、これらの細胞で検出されたGM−CSF受容体が機能的
であることは明白である。
造血系細胞では、低親和性hGM−CSF受容体は37℃でリ
ガンド解離速度が早く、内部化に乏しいが、高親和性受
容体は、はるかに遅いリガンド解離速度を示し効率的に
内部化されることによって鑑別される。この複雑さに加
えて、2つの型の高親和性hGM−CSF受容体が若干の造血
系細胞および細胞系(正常なものばかりではない)で報
告された。1つの型は、hGM−CSFだけを認識し、ヒト好
中球にあるGM−CSF受容体の唯一の型であるが、別の型
は、明らかにhGM−CSFおよびh−IL−3をほぼ同等の親
和性で認識し、好酸球にあるGM−CSF受容体の80%を占
める[ロペツら、(1989年)]。また逆にIL−3に特異
的な受容体、または交差反応性の受容体が報告された
[パークら、(1989年)]。
最後に架橋実験によって、マウスGM−CSF受容体の分
子量は51000[ウォーカーおよびバージェス(1985
年)、または130000[パークら(1986年a)]であるこ
とが示唆されたが、ヒト受容体の分子量は84000と概算
された[ディペルシオら(1988年)]。
GM−CSF受容体の特性の幾つかは推論されたが、受容
体はこれまで単離または精製されていない。
[発明の要旨] この発明は、ヒトGM−CSF受容体を暗号化している遺
伝子を提供する。この遺伝子の発現によって、これまで
入手できなかった大量の組換え体受容体が提供され、そ
れによって、とりわけ受容体治療、診断、およびアゴニ
スト、アンタゴニスト等の開発を可能にする。
したがってこの発明の第1の特徴は、ヒト組換え体ま
たは合成のGM−CSF受容体、およびGM−CSFへの結合能を
有する可溶性領域(膜を伴わない)を含んだ受容体部分
を含むその誘導体に関するものである。
この発明の第2の特徴は、ヒト組換え体または合成の
GM−CSF受容体(およびその誘導体)を認識する抗体に
関するものであって、この抗体は、これらの分子の検出
および/または精製に有用なものである。
この発明の第3の特徴は、GM−CSFの細胞結合受容体
への結合をGM−CSFのアゴニストまたはアンタゴニスト
によって調節することに関する。
この発明の第4の特徴は、組換え体または合成のGM−
CSF受容体、またはその誘導体の有効量を哺乳動物へ投
与することによる哺乳動物、特にヒトにおけるGM−CSF
が関係する疾患の処置方法を提供する。そのような方法
の1つは、哺乳動物におけるGM−CSF刺激感受性細胞の
増殖、分化、または機能の活性化を調節することを含
み、この方法は、非結合型GM−CSFの量を低下させるの
に十分な期間および条件下に、組換え体または合成のGM
−CSF受容体、またはその誘導体の有効量を哺乳動物へ
投与することからなる。有効量は静脈内、筋肉内、皮
下、または経口のような最も有効で、そして/または好
都合な投与経路で投与できるように、日常的な実験によ
り容易に決定できる。徐放性製剤は特殊な目的に好都合
であり得る。好ましくは哺乳動物およびGM−CSF受容体
の起源は相同性であり、一層好ましくはその相同系はヒ
トである。
この発明の第5の特徴は、哺乳動物におけるGM−CSF
刺激感受性細胞で構成され、もしくはそれに随伴するガ
ンおよび/またはその他、GM−CSFが関係する疾患の診
断方法を提供する。この方法は、GM−CSF受容体または
その異常を検出することを含む。この特徴のため、この
発明はそのような診断目的のためのキットを包含する。
例えば放射線免疫検定、蛍光免疫検定、またはELISAを
利用する測定用診断キットが特に期待される。
この発明の第6の特徴は、GM−CSFが関係する疾患の
処置のための医薬の製造に組換え体または合成のヒトGM
−CSF受容体を利用することに関する。
この発明の第7の特徴は、異種GM−CSFに対して低親
和性の受容体をクローン化したGM−CSF依存性造血細胞
系に関する。
この発明の第8の特徴は、GM−CSF受容体を暗号化し
たcDNA断片についてcDNAライブラリーをスクリーニング
する方法に関するものであって、この方法は cDNAライブラリーを組立て、 それからcDNA断片を調製し、 この断片を哺乳動物宿主細胞へトランスフェクトし、 トランスフェクトした細胞を標識したGM−CSFとイン
キュベートし、 トランスフェクトした細胞集団を同定し、 標識したGM−CSFを結合し、 標識したGM−CSFへ哺乳動物宿主細胞を結合させるこ
とができるcDNA断片を導入した宿主細胞クローンを調製
し、 このクローンを単離する からなる段階を含む。
[図面の簡単な説明] 下記の図面により、この発明をさらに詳細に説明す
る。これらは単に例示的なものであって、発明の範囲を
限定する目的をもつものではない。
第1図は、125I−hGM−CSFの A.1.25%(w/v)DMSOで5日間インキュベーション後のH
L60細胞、および B.精製したヒト胎盤膜 への結合の飽和結合等温線、およびスキャッチャード分
析を示す。
(A)は、DMSOで処理したHL60細胞(1点当たり、5
×106)を濃度を増大させた125I−hGM−CSFとともに4
℃で3時間インキュベートし、遠心直後、あるいはリン
酸緩衝化食塩水(PBS)1mlと4℃で10分間インキュベー
ションしたのち、特異的な細胞結合型放射能を測定し
た。これらの結合データのスキャッチャード分析(下
段)を解離前または解離後について示す。未解離の細胞
について電算機処理した高親和性および低親和性結合成
分を実線で示す。(B)は、実施例1のようにして調製
したヒト胎盤膜浮遊液40μlを濃度を増大させた125I−
hGM−CSFとともに20℃で1時間インキュベートし、スキ
ャッチャード変形を行った特異的結合を(B)図の下段
に示す。
第2図は、ヒト胎盤膜上のhGM−CSFおよびh−IL−3
受容体の結合特異性を示す。未標識のhGM−CSF(500n
g)またはh−IL−3(100ng)を添加または添加せず、
膜(40μl)を125I−hGM−CSF(HRF溶液110μl中、20
0000cpm)と20℃で1時間インキュベートした(二
重)。同様に上記と同量の未標識のhGM−CSF、またはIL
−3を添加または添加せず、膜(40μl)を125I−h−
IL−3(HRF溶液110μl中、220000cpm)とインキュベ
ートした。それぞれの膜標品への結合合計(平均値±範
囲)を示す。
第3図は、COS−7細胞へトランスフェクトしたhGM−
CSF受容体の検出および特異性を示す。
(a)cDNAライブラリーのプール138でトランスフェク
トしたCOS−7細胞1.5×106で検出された単一の明らか
に陽性の細胞を示した細胞オートラジオグラフィーの顕
微鏡写真(オートラジオグラフィー粒子で覆われたCOS
細胞、倍率×20)、 (b)暗視野照射下に撮影した(a)と同じ顕微鏡写
真、 (c)純粋なhGM−CSF受容体クローン(クローンpGMR13
8)でトランスフェクトし、125I−hGM−CSF 2nMとイン
キュベートしたCOS−7細胞の細胞オートラジオグラフ
ィーの暗視野照射(倍率×10)、 (d)(c)と同じ、ただし細胞を未標識のhGM−CSF受
容体20nMとインキュベートした場合。オートラジオグラ
フィー粒子が劇的に減少している点に注意。
(e)COS−7細胞へトランスフェクトした胎盤hGM−CS
F受容体の特異性。純粋なクローン(pGMR138)で48時間
前にトランスフェクトしたCOS−7細胞を、未標識のhGM
−CSF、h−IL−3、マウスGM−CSF、ヒトG−CSF、ま
たはヒトIL−6 100ngの存在または存在なしに125I−hGM
−CSF結合能について検定した(二重)(平均値±範
囲)。トランスフェクトした細胞(1点当たり30000)
を、EDTA 20mMおよびコンドロイチン硫酸100μg/mlおよ
125I−hGM−CSF(100μl中、70000cpm)を含有するH
RF溶液中で20℃で1時間インキュベートした。
第4図は、COS−7細胞へトランスフェクトした胎盤h
GM−CSF受容体の飽和および競合結合分析を示す。純粋
なクローン(pGMR138)で48時間前にトランスフェクト
したCOS−7細胞(1点当たり、33000を、HRF 85μl/ED
TA 20mM/コンドロイチン硫酸100μg/mlの一定容量の溶
液中で濃度を増大させた125I−hGM−CSF(200000cpm)
(A図)、または一定量の125I−hGM−CSF、および濃度
を増大させた未標識のhGM−CSFまたはh−IL−3(B
図)と20℃で1.5時間インキュベートした。A図上段は
結合合計、非特異的結合、および特異的結合、下段は特
異的結合のスキャッチャード変形を示す。B図上段は結
合合計、下段は特異的結合データのスキャッチャード変
形を示す。
第5図は、DMSO処理したHL60細胞、およびトランスフ
ェクトしたCOS−7細胞におけるhGM−CSF受容体のSDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用した化学的架橋
分析を示す。レーンA〜Dでは、DMSOで9日間処理した
HL60細胞を1点当たり5×106使用し、レーンE〜Jで
は、トランスフェクトしたCOS−7細胞を1点当たり7
×104使用した。それぞれの場合、125I−hGM−CSF(2n
M)と4℃で3時間結合させた。レーンCおよびDは、P
BS溶液1ml中で10分間解離し、または解離せずに、低親
和性結合を除去し、レーンAおよびBは、CおよびDと
同様に、ただし結合反応の間に未標識のhGM−CSF20nMを
加えた。何れの場合も、DSS 1mMを架橋に使用した(氷
上で15分間)。レーンE〜Jは、トランスフェクトした
COS細胞を125I−hGM−CSFと結合させ、ついで氷上で15
分間、DSS 0mM(E)、0.01mM(F)、0.05mM(G)、
0.1mM(H)、0.5mM(I)、および1mM(J)と架橋さ
せたことを表す。ゲル電気泳動を10%(w/v)SDSゲル
(A〜D)、および8%(w/v)SDSゲル(E〜J)で実
施し、オートラジオグラフィーを4週間(A〜D)およ
び2日間(E〜J)感光させた。分子量マーカー(ファ
ーマシア、およびバイオラド)を示す。
第6(A)図はpGMR138およびpGMR29の挿入体cDNAの
制限酵素切断地図である。囲み部分は転写解読枠を表
す。斜線部分および黒塗り部分は、それぞれGM−CSF−
Rコード領域のシグナル配列および膜貫通領域を表す。
点描した囲み枠は上流の転写解読枠を表す。
第6(B)図はpGMR138およびpGMR29の挿入体cDNAの
ヌクレオチド配列と、推定されるアミノ酸配列を組み合
わせて示す。右端の数字はヌクレオチドの位置を示し、
配列上段の数字はアミノ酸配列を表す。#印は可能性の
あるN−グリコシル化部位(Asn−X−Ser/Thr)を示
す。上線を引いた区域は、それぞれ推定されるシグナル
ペプチドおよび膜貫通領域を示す。星印6個からなる組
み合わせは起こり得るポリ(A)付加シグナルを確認し
たものである。クローン138におけるポリ(A)尾部は6
1ヌクレオチドの鎖長であった。
第7図は、ホップおよびウッズの方法(1983年)によ
るhGM−CSF受容体配列の疎水性プロットである(スパン
の長さ=15)。シグナルん配列および膜貫通ドメインに
それぞれ対応する2つの疎水性領域に注意。
第8図はヒトGM−CSF受容体転写産物の検出を示した
写真である。
A.実施例1で説明したノーザンブロット分析により、hG
M−CSF受容体の転写産物について、下記の供給源からの
RNAをプローブした。CEM細胞(レーン1)、HepG2細胞
(レーン2)、HL60細胞(レーン3、および4)、TPA
(100ng/ml)と3日間培養したHL60細胞(5×105細胞/
ml)(レーン5)。28Sおよび18S rRNA分子の位置を示
す。別のゲルでは、同様にRNAサイズ標準(BRL)を含め
た。オートラジオグラフィーの感光時間は5日間。
B.実施例1で説明したcDNAのPCRに基づく増幅によるhGM
−CSF受容体転写産物について、下記の供給源からのRNA
をプローブした。U937細胞(レーン1)、AML193細胞
(レーン2)、HL60細胞(レーン5、および6)、CEM
細胞(レーン7)、ラジ細胞(レーン8)、HepG2細胞
(レーン9)、ヒーラー細胞(レーン10)。レーン3、
4および11は、それぞれ陰性対照として、cDNA合成およ
びPCR反応を実施した無細胞、cDNA合成を行わなかったH
L60 RNA、およびマウス160T細胞からの「RNAブランク」
を含む。
第9図は、他の成長因子受容体とhGM−CSF受容体の配
列を並列して示す。アミノ酸は当技術で標準的な1文字
略記法によって示す。
A.配列の模式図:囲み枠はコード領域を表す。斜線およ
び黒塗り枠は、それぞれシグナル配列および膜貫通領域
を表す。保存された4個のシステイン残基(C)および
保存されたトリプトファン残基(W)の位置を縦線で示
す。点線を付した枠は「WS−WS」ボックスを表す。配列
は最初の保存されたシステイン残基から揃えて並列させ
た。
B.並列させた配列の詳細:配列(i〜vii)の照合位置
の上段にマーク(★)し、各配列のアミノ酸数を対応さ
せた(カッコ内の数字はそれぞれ(i)〜(vii)の位
置に相当する):hGMR(126、136、165、178、236、29
4、331i)、hIL6R(121、132、165、176、233、290、37
4)、mEPOR(52、62、90、106、165、219、NH)、hIL2R
(36、46、60、74、126、182、NH)、rPRLR(31、41、7
0、81、146、199、NH)。NH:相同性なし。Cons:造血系
受容体配列に基づく共通配列。共通配列の場合を除き、
点線は可変間隔を示し、ダッシュは配列を揃えるために
挿入したギャップを示す。
第10図はhGM−R−FD細胞におけるウイルス性組込み
体および転写産物を示す。
(a)FDC−P1細胞からのDNA(レーン1)、hGM−R−F
Dクローン1、6、8、10、11、13、21、24、33、34、4
9、50、52、53、54、55、56、57および58(レーン2〜2
0)、およびhGM−R−FDクローン21、21.13、21.15、2
1.17、21.21、21.22および21.23(レーン21〜27)をPst
Iで消化し、実施例1で報告したようにhGM−R配列に
ついてプローブした。hGM−Rウイルス組立て体から誘
導された共通な2.5Kbp断片に注意。
(b)FDC−P1細胞からの全細胞質RNA(レーン1)、お
よびhGM−R−FDクローン21.13、21.15、21.17、21.2
1、21.22、21.23、21.7、21.8、21.10および21.11(レ
ーン2〜11)を、実施例1で説明したようにウイルス性
hGM−R転写産物についてプローブした。主要種は5.5Kb
の鎖長であり、完全鎖長のスプライシングされていない
ウイルス転写産物に対応する。
第11図は、クローン化したhGMR−FD細胞系からの細胞
の組換え体m−またはhGM−CSFによる増殖刺激に対する
反応性を示す。ヒトGM−CSFで維持された細胞系は、ど
ちらの刺激によってもクローン原性細胞と類似の内容物
を示すが(例えばクローン54)、m+hGM−CSFで維持さ
れた細胞系(例えばクローン21)では、マウス反応性ク
ローン原性細胞は、ヒト反応性細胞より頻度が一層高
い。どちらの型の細胞系でも、クローン原性細胞はマウ
スGM−CSFに対するより、ヒトGM−CSFに対して反応性が
低い。
第12図は、hGM−CSF細胞クローンに対する125I−hGM
−CSFの飽和結合分析およびスキャッチャード変形を示
す。
A、B:h+mGM−CSFで維持されたクローン21(1点当
たり2×106細胞)、 C、D:hGM−CSFだけで維持されたクローン50(1点当
たり0.8×106細胞)。
AおよびCは添加量を増大させた125I−hGM−CSFとの
特異的結合曲線、BおよびDはスキャッチャード変形で
ある。スキャッチャード変形から、クローン21ではKD
4nM(1細胞当たり4000受容体)、クローン50ではKD=6
nM(1細胞当たり20000受容体)が得られた。
第13図は、37℃でhGM−R−FDクローン33細胞(上
図)、またはhGM−R−FDクローン53細胞(下図)へ結
合させた125I−hGM−CSFの内部化を示す曲線。前者の細
胞はマウスおよびヒトのGM−CSF混合物で維持された
が、後者はhGM−CSFだけで維持された。曲線は125I−hG
M−CSF添加後、ニコラが報告した方法(1988年)により
測定した細胞表面に結合している放射能、および内部化
された放射能の時間的変化を示す。ニコラら(1988年)
の報告のように、実験的を結んだ曲線(重複試験管の平
均値)を電算機により当てはめた。クローン33では1点
当たり1.9×106細胞を使用し、125I−hGM−CSF濃度は13
nM、クローン53では1点当たり1.8×106細胞を使用し、
125I−hGM−CSF濃度は13nMであった。
[発明の詳細な説明] 本明細書では下記の略号を使用する。
h,mGM−CSF ヒトまたはマウスの顆粒球−マクロフ
ァージコロニー刺激因子 G−CSF 顆粒球コロニー刺激因子 multi−CSF 多能性コロニー刺激因子 IL−2 インターロイキン−2 HRF 10%(v/v)ウシ胎児血清含有Hepes緩
衝化(10mM、pH7.4)RPMI培地 PBS リン酸緩衝化食塩水 EDTA 四酢酸エチレンジアミン FCS ウシ胎児血清 IL−3 インターロイキン−3 IL−6 インターロイキン−6 EPO エリスロポイエチン PRL プロラクチン h− ヒト(の) m− マウス(の) r− ラット(の) LIF 白血病抑制因子 PCR ポリメラーゼ連鎖反応 ORF 転写解読枠 h−GM−R ヒトGM−CSF受容体 h−GM−R−FD hGM−RでトランスフェクトしたFDC−
P1細胞 IL2R IL−2受容体(β鎖) IL6R IL−6受容体 GMR,GM−CSF−R GM−CSF受容体 KD 平衡解離定数 EPOR EPO受容体 PRLR PRL受容体 SDS ドデシル硫酸ナトリウム SSC 標準クエン酸食塩水 dNTP デオキシヌクレオシド三リン酸 DSS スベリン酸ジスクシンイミジル 「GM−CSF受容体」とは、グリコシル化され、または
グリコシル化されないタンパク様分子(即ち、アミノ酸
を含有している)の細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、
および細胞質内尾部を含んでいる分子全体をいう。受容
体分子は放射線標識したGM−CSF、またはその誘導体を
特異的に結合でき、その結合は、とりわけ未標識のGM−
CSFによって競合されるものと定義される。
「組換え体GM−CSF受容体」とは、プロモーターに対
して正しい読み取り枠で受容体またはその誘導体を好適
な発現ベクターへ暗号化し、生じた組換え体発現ベクタ
ーを好適な宿主へ導入し、組換え体受容体またはその誘
導体の発現、および必要であればその宿主からの移動に
好適な条件下でその宿主を成長させ、ついでその組換え
体受容体または誘導体を精製するcDNA分子のライゲーシ
ョンのような組換え手段によって生産され、他の関連分
子(例えば脂質)を伴い、または伴わず、グリコシル化
され、またはグリコシル化されないポリペプチド分子を
いう。
「GM−CSF刺激感受性細胞」とは、前述のようにGM−C
SFが結合でき、それによってその細胞の増殖または機能
活性化の刺激を起こすことができる受容体を保有してい
る細胞をいう。GM−CSFおよびその受容体に関連して用
いる「結合」の語は、その最も広い意味で使用され、GM
−CSFとその受容体との間の、特に細胞結合型受容体に
関連して、その受容体が局在している細胞の増殖または
機能活性化の刺激を誘発するのに十分な任意の結合を意
味する。「非結合型GM−CSF」とは、一般に循環してい
るGM−CSFを意味する。
「実質的なアミノ酸相同性」とは、約75%またはそれ
以上、好ましくは85%より大きいかまたはそれに等し
く、一層好ましくは90〜95%より大きいかまたはそれに
等しい配列相同性を有する分子を意味する。
「ガン」とは、その最も広い意味で使用され、ガン、
腫瘍、および白血病等を包括的に含み、または個々の細
胞を表す。結合型GM−CSF受容体、またはそのヌクレオ
チド配列の「異常」とは、測定された個々の相同の分
析、例えばハイブリッダイゼーション検討によって検出
可能なアミノ酸および/またはヌクレオチド配列におけ
る任意の変化を意味するのに用いられる。したがってガ
ン細胞とは、この発明によって提供されるGM−CSF受容
体、またはそれを暗号化しているヌクレオチド配列の使
用によってその変化を検出し得る変化したGM−CSF受容
体を含み得る。
cDNAをクローン化し、発現する一般的な技術は、当業
界で既知であり、例えばマニアティスら(1982年)によ
って総説されている。単に例示的な目的のため、この発
明ではCOS細胞発現ベクターπH3M[アルフォおよびシー
ド(1987年)]を使用して、COS−7細胞で発現されるh
GM−CSF受容体を暗号化しているcDNAについて説明す
る。これは、この発明がその範囲に任意のベクターおよ
び/または宿主で発現されるhGM−CSF受容体を暗号化し
ているcDNAを包含するという理解のもとに行われる。例
えば対象となるcDNAを原核系発現ベクターへ挿入し、こ
れをエシェリキア・コリ、バシラス種、またはシュード
モナス種のような細菌で発現させることは当業者にとっ
て日常的な実験の問題である。日常的な操作により、cD
NAを酵母、真菌、または昆虫細胞系、COS細胞以外の哺
乳動物細胞系、または植物細胞のような真核細胞で発現
することができる。また既知の方法により、cDNAを生殖
細胞系、または体細胞へ導入し、トランスジェニック動
物を作ることができる。
この発明は、ヌクレオチド鎖の少なくとも1つがヒト
GM−CSF受容体、またはその誘導体を暗号化し、または
それと相補的である1本鎖または2本鎖のDNA、cDNA、
またはmRNA、および任意のベクター、発現を提供し、ま
たはウイルス性ベクター等を含みこれらを包含する。
好ましい実施態様として、この発明はヒト低親和性GM
−CSF受容体を暗号化している遺伝子、またはその受容
体と少なくとも75%の配列同一性を有するポリペプチド
を暗号化し、ヒトGM−CSFに対する天然のヒト低親和性G
M−CSF受容体の相対結合親和性の少なくとも10分の1を
保持しているその相同体を含み、その遺伝子を使用可能
なようにプロモーターへ結合した組換え体DNA分子を提
供する。一層好ましくは、ポリペプチドは細胞外ドメイ
ン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む。
第6B図に示した配列は、特に低親和性GM−CSF受容体
に関するものであるが、本明細書に示した証拠から、低
親和性GM−CSF受容体そのものが高親和性GM−CSF受容体
の成分を構成しており、高親和性GM−CSF受容体は低親
和性GM−CSF受容体の多量体であり得ることが判る。し
たがって高親和性GM−CSF受容体は、具体的にこの発明
の範囲に包含される。
この発明の特に好ましい実施態様では、第6B図に示し
たアミノ酸配列を有するGM−CSF受容体分子を提供す
る。この分子は約45000の分子量を有し、ただ1つの疎
水性膜貫通ドメイン、グリコシル化された細胞外ドメイ
ン、および短い(54アミノ酸)細胞質内尾部を有する40
0アミノ酸ポリペプチドである。リガンド結合ドメイン
(23〜319)は11個のシステイン残基を含む。対象とな
る受容体はトリプシンキナーゼドメインを含まず、免疫
グロブリン遺伝子スーパーファミリーグループと相同性
を示さないが、ヒトIL−6、エリスロポイエチン、およ
びIL−2(β−鎖)のようなその他の造血系成長因子の
受容体と配列相同性を共有している。このGM−CSF受容
体は、GM−CSFに特異性を有するが、IL−3には特異性
をもたない単一親和型の結合親和性(KD=2〜8nM)を
示す。
本明細書で説明するように、十分に確立された方法お
よび容易に入手可能な物質を使用して、第6B図に示した
受容体分子を暗号化しているcDNA配列を組立てることは
当業者の十分に可能な範囲である。
上述のアミノ酸配列および生化学的特性が示されれ
ば、確立された手法により、本明細書で確立された配列
で、アミノ酸の化学的付加によって作成された合成GM−
CSF受容体分子はこの発明の範囲に包含される。この発
明はさらに、上述の任意のまたはすべての受容体分子の
領域またはドメインへ、アミノ酸の単一または多重置
換、欠失および/または付加を保有するGM−CSF受容体
の組換え体または合成誘導体を包含する。そのような誘
導体は、GM−CSFまたはその誘導体に対する結合能の点
で機能的な(即ち生物学的な)対応物であり得、そして
/または上述のGM−CSF受容体のアミノ酸配列と実質的
なアミノ酸相同性を示し得る。GM−CSF受容体の好まし
い1誘導体は、細胞外ドメイン(可溶性部分)の全部ま
たは1部を含む。誘導体はまた、任意のまたはすべての
受容体分子を、グリコシル化され、またはグリコシル化
されない形で包含する。例えば使用した発現系および宿
主に応じて、組換え体受容体はグリコシル化され、また
はグリコシル化され得ない。組換え体または合成のGM−
CSF受容体、またはその誘導体のグリコシル化された
形、およびグリコシル化されない形は何れもこの発明の
範囲に包含される。機能的に活性なGM−CSF受容体の誘
導体または対応物は、本明細書で説明した方法を用いて
容易に同定することができる。
またこの発明は、とりわけ先に定義したようなGM−CS
F受容体を暗号化しているcDNAを提供する。このcDNAは
第6B図に示したヌクレオチド配列を含んでいる。この発
明の範囲は、上述のcDNA配列に関連するヌクレオチドの
単一または多重置換、欠失および/または付加を保有し
ているcDNA誘導体を包含する。そのような誘導体は完全
なGM−CSF受容体分子、またはアミノ酸の単一または多
重置換、欠失および/または付加を保有しているGM−CS
F受容体のようなその誘導体を暗号化し得る。この発明
はまた、対象となるヌクレオチド配列と実質的に相同で
あるヌクレオチド配列を保有する、即ち少なくとも75%
の相同性、好ましくは80〜85%の相同性、一層好ましく
は90〜95%より大きい相同性を保有するcDNAを包含す
る。そのような誘導体を、例えば部位特異的変異、ラン
ダム変異、または核酸の酵素的切断および/またはライ
ゲーションによって生産する方法は、このようにして修
飾した核酸が、対象となる配列と有意な相同性を有する
かどうかを測定する方法(例えばハイブリダイゼーショ
ンによって)と同様に当該技術上既知である。
この発明はさらに、GM−CSF受容体、またはその誘導
体、またはGM−CSF受容体暗号化配列へ隣接しているヌ
クレオチド配列へ融合したポリペプチドのような分子を
包含する。それに限定する目的のためではないが、例え
ばGM−CSF受容体、またはその誘導体、および別のポリ
ペプチドまたはタンパク質からのアミノ酸配列を含んで
いる融合配列を生産するのが望ましく、後者の例とし
て、特に原核系では、β−ガラクトシダーゼ、ホスファ
ターゼ、ウレアーゼ等のような酵素が挙げられる。多く
の融合タンパク質は、その読み取り枠が同調し合うよう
に、2つのコード配列を互いに連結させた組換え体遺伝
子の発現によって生産される。別法として、ポリペプチ
ドは化学的手段によって試験管内で連結することができ
る。GM−CSF受容体、または個々の暗号化したヌクレオ
チド配列のそのような融合またはハイブリッド誘導体
は、すべてこの発明に包含される。
したがってこの発明は、組換え体または合成のGM−CS
F受容体、およびその誘導体を、例えば受容体治療法お
よび診断法の開発に十分な量で提供する。
したがってこの発明のもう1つの特徴は、非結合型GM
−CSFの量を低下させるのに十分な期間および条件下
に、GM−CSF受容体またはその誘導体の有効量を哺乳動
物へ投与することを含む、哺乳動物におけるGM−CSF刺
激感受性細胞の増殖または機能活性化を調節する方法に
関する。対象となる方法は、リンホカインが細胞結合型
受容体へ結合できる前に、生体内で循環しているGM−CS
Fを可溶性受容体へ結合させ、それによってGM−CSF刺激
感受性細胞への結合に利用し得るGM−CSF量を低下させ
ることに基づいている。
この発明はさらに、完全な組換え体または合成のGM−
CSF受容体、またはその誘導体をGM−CSF刺激感受性細胞
の増殖または機能活性化の調節に利用することに関する
が、ただし好ましくはその可溶性の、即ち細胞外ドメイ
ンを利用する。
この方法は、白血病細胞がGM−CSF受容体を発現する
骨髄性白血病[ヤングおよびグリフィン(1986年)]の
ような疾患状態を処置するのに特に有用である。例えば
骨髄性白血病細胞の多くの型は、外来性コロニー刺激因
子が利用できなければ、試験管内で増殖をうけることが
できない[メトカーフ(1984年)]。したがって生体内
に投与された組換え体または合成のGM−CSF受容体、ま
たはその誘導体は循環しているGM−CSFへ結合し、それ
によって細胞結合型GM−CSF受容体へのGM−CSFの結合と
競合する。また対象となる方法は、動物モデル系で観察
されたGM−CSF過剰生産の毒性効果[ラングら(1987
年)、ジョンソンら(1989年)]を解消する治療手段と
して役立ち得る。
さらにこの発明は、組換え体または合成のGM−CSF受
容体、またはその誘導体に対する抗体、特にモノクロー
ナル抗体に関する。そのような抗体はGM−CSF受容体を
精製し、これを定量するのに特に有用である。またさら
にこの発明は、GM−CSF受容体の存在について、血漿、
血清、または体液、細胞表面または細胞抽出物を検定す
る目的のための上記の第1抗体に対する抗体(モノクロ
ーナルまたはポリクローナル抗体)に関する。上記の一
方または他方の抗体を、例えばサンドイッチ検定に使用
するリポーター分子で標識し得る。所望によりアジュバ
ントの利用を含み、ポリクローナル抗体およびモノクロ
ーナル抗体の生産およびスクリーニング方法、およびそ
のような抗体を放射能、蛍光、または化学標識で標識す
る方法、放射線免疫検定法、蛍光免疫検定法、および酵
素結合免疫検定法(ELISA)、抗体を固体支持体へ結合
して免疫吸着剤を作る方法は当該技術上日常的なことで
ある。
さらに組換え体または合成のGM−CSF受容体は、その
細胞結合型受容体へのGM−CSFの結合を増加し、または
減少させるアゴニストおよびアンタゴニストを開発する
のに使用できる。例えばトランスフェクトして、組換え
体GM−CSF受容体を保有している細胞系は、そのような
活性について化合物をスクリーニングするのに使用し得
る。さらにこの発明は、過剰なまたは不十分なGM−CSF
刺激感受性細胞の増殖または機能活性化によって起こる
疾患状態の処置に、そのようなアゴニストまたはアンタ
ゴニストを使用することに関する。可能性のあるアゴニ
ストまたはアンダニストとしては、天然産または合成の
GM−CSF断片、およびその他の天然産または合成の化学
的化合物等が含まれ、これらはマーカーとして細胞へ標
識したGM−CSFの結合を利用する上述の方法によってス
クリーニングし得る。
この発明はまた、GM−CSFまたはその誘導体をGM−CSF
関連疾患の処置のための医薬の製造に使用することに関
する。そのような疾患は、GM−CSF刺激感受性細胞に起
因し、またはそれに関連するガン、腫瘍、および白血病
等である。
この発明のもう1つの特徴は、GM−CSF刺激感受性細
胞で構成され、またはそれに関連するガンを診断するの
に、ガン細胞で、細胞結合型GM−CSF受容体またはその
異常、またはそれを暗号化しているヌクレオチド配列を
検出することによる組換え体または合成のGM−CSF受容
体、またはその誘導体、特にこれらを暗号化しているヌ
クレオチド配列の利用に関する。
この発明では、機能的な低親和性hGM−CSF受容体を胎
盤からクローン化し、これがGM−CSFだけを認識し、イ
ンターロイキン−3を認識しないことを明らかにした。
この受容体をCOS細胞へトランスフェクトすると、これ
は胎盤膜上の受容体とほぼ同一の低親和性および同一の
特異性を示した。しかも造血系細胞上の低親和性のhGM
−CSF受容体と同様に、トランスフェクトした受容体
は、速やかなリガンド解離速度(T1/2=5分)と乏しい
内部化(37℃、2時間語で、約10〜20%)で示される特
徴を示した。
さらに第9図に示したように、4個のシステイン残基
の位置は、GM−CSF、IL−6、エリスロポイエチンおよ
びIL−2(β−鎖)の受容体でそれぞれ近似的に保存さ
れており、これらの残基のうちの3個が見いだされる文
脈は、4種類の受容体間で一致している。これら4個の
システイン残基は分子鎖間ジスルフィド結合対を作るも
のと思われるが、推定免疫グロブリンドメイン構造[ヤ
マサキら(1988年)]と結合するIL−6受容体の2個の
システイン残基の何れとも一致しない。
Trp236は保存されており、3種の受容体でArg残基に
近接している。4種類のすべての受容体配列間で、さら
に相同性が膜貫通ドメインの丁度N−末端で見いだされ
る(第9図)。GM−CSF受容体の294位で始まる共通配列
(「WS−WS」ボックス)が4種の受容体のすべてで認め
られる。この配列の位置は3種の受容体(GM−CSF、エ
リスロポイエチン、IL−2受容体(β−鎖))で膜貫通
ドメインで近接しているが、IL−6受容体では遥かに離
れている。
「WS−WS」ボックス(VXXRXX(6〜11)WSXWS)に基
づく記号列を使用して最新のデータベース(プロテイン
・リサーチ・ファンデーション、日本、1989年4月)を
探索し、ラット・プロラクチン受容体[rPRL受容体、ブ
ーチンら(1988年)]で、その膜貫通ドメインの丁度N
−末端で、この糸と相同な領域を見いだした(第9
図)。意外なことに、rPRL受容体にある4個の細胞外シ
ステイン残基のすべて、およびLys−Trpダブレットは、
4種類の造血系受容体のそれと、ほぼ同一の相対位置で
見いだされる(第9A図)。またrPRL受容体は膜貫通シス
テイン残基を有しているが[ブーチンら(1988年)]、
その膜貫通配列はhGM−CSF受容体と相同ではない。対照
的にプロラクチン受容体の近縁物質である成長ホルモン
受容体[リューングら(1988年)]では、それ以外の領
域でプロラクチン受容体と75〜100%の配列相似性を共
有しているが[ブーチンら(1988年)]、「WS−WS」ボ
ックスは見いだされない。したがってhGM−CSF受容体
は、上記の5種類の受容体[即ち、hGM−CSF、hIL−
6、マウスEPO、hIL−2(β−鎖)およびrPRL受容体]
からなる1組の成長および分化因子受容体の新しいサブ
セットの一員であるものと思われる。
GM−CSF受容体のmRNAでは、GM−CSF受容体を暗号化し
ている長いORFに先行して短い22コドンからなるORFがあ
る。興味深いことは、そのような短いORFがヒトIL−6
受容体[ヤマサキら、(1988年)]、マウスIL−1受容
体[シムズら(1988年)]、およびヒトIL−2受容体α
−鎖およびβ−鎖[ニカイドーら(1984年)、ハテケヤ
マら(1989年)]のDNA配列にある主受容体コード領域
の5'でも見いだされ、これらは翻訳されると、作動して
主受容体コード領域の翻訳を抑制するようである。その
ような機構は、正常細胞型でこれらの受容体の発現が低
水準である理由を一部説明しているのかもしれない。
以下に実施例をあげてこの発明をさらに詳細に説明す
る。実施例は単に発明を説明するためのものであって、
発明の範囲を限定する目的をもつものではない。
実施例1 物質および方法 下記の物質または方法を以下の実施例に使用した。本
明細書で説明する生物学的な出発物質は当該技術で既知
のものである。
COS細胞発現ベクターπH3M[アルフォおよびシード
(1987年)]で組立てられ、約5×106の独立したクロ
ーンからなるポリA+で選ばれたヒト胎盤RNA由来のcDNA
ライブラリーはB.シード博士(マサチューセッツ・ジェ
ネラル・ホスピタル、ボストン、米国)から提供され
た。MC1061/p3細胞を形質転換し、これを選別して約2
×104クローンからなる500プールとし、グリセリンスト
ックを調製することにより、約107クローンを作成し
た。各ストックからのミニプレプDNAを電気穿孔法によ
ってCOS−7細胞へトランスフェクトした。簡単に説明
すると、1.5×106COS−7細胞のリン酸緩衝化食塩水(P
BS)(pH7.3)浮遊液180μlをミニプレプDNA(3μ
g)20μlと混合し、氷上で5分間冷凍した。0.4cmギ
ャップのキュベット中で、細胞を300V、125μFD(tc
8.2〜10.5msec)で電気穿孔し、5分間氷上へ戻し、最
後にスライドグラスでできた小型フラスコ(ラブ・テッ
ク、ヌンク社、ナパービル、米国)で、10%(v/v)ウ
シ胎児血清(FCS)を含有するダルベッコの修飾したイ
ーグル培地(DME)2mlで培養した。放射性ヨウ素化した
抗ICAMモノクローナル抗体W−CAM−1[ボイドら(198
8年)]で標識したICAM/CDM8[シモンズら(1987年)]
の対照トランスフェクションによる評価から、これらの
条件では、生存COS−7細胞で15〜20%のトランスフェ
クション頻度が得られた。48時間後、培地を除き、トラ
ンスフェクトした単層を、放射性ヨウ素化したヒトGM−
CSF[Hepes緩衝化RPMI培地(pH7.2)/10%FCS 1ml中、
125I−GM−CSF(1〜2nM)4〜8×105cpm]の結合(20
℃、60分間)によって評価した。単層を培地で2回洗浄
し、2.5%(w/v)グルタルアルデヒド/PBSで固定し、こ
れを1%(w/v)ゼラチンに浸漬した[ニコラおよびメ
トカーフ(1985年)]。スライドをコダックNTB2写真用
乳液に42℃で浸漬し、乾燥剤を含有する遮光箱中で4℃
で48時間暗所で感光させた。スライドをコダックD19現
像液(40g/水500ml)で3分間現像し、水ですすぎ、ア
グファG433C定着液で3分間定着したのち、10%ギムザ
染色水溶液(濾過)で染色した。スライドを10〜20×倍
率でスクリーニングし、2種類の陽性プール(#29およ
び#138)を選び出した。COS−7細胞に125I−GM−CSF
結合を起こさせることができる単一なcDNAクローンが得
られるまで、対応するエシェリキア・コリ形質転換体の
グリセリンストックを小プール群へ分配した。
配列決定方法 クローン29および138の挿入体および種々の分子内断
片をM13ベクターへサブクローン化し、修飾したT7ポリ
メラーゼ[テーバーおよびリチャードソン(1987年)、
シークエナーゼ、USB]、およびプライマーを内部へサ
ブクローン化したセグメントを使用するジデオキシチェ
ーンターミネーター法[サンガーら(1977年)]によっ
て配列決定した。両義性についてはdITPを使用して解明
した。これらのサブクローンの幾つかに対応するプライ
マーを使用して、隣接するセグメントへ配列を伸長し
た。クローン138の2本鎖は両方とも完全にその配列を
決定した(近接する1形質当たりの平均ゲル形質は4.8
7)。サブクローン化したすへての境界領域は完全鎖長
のクローンで再び配列決定した。クローン29のmRNA−同
義語性の鎖は完全に配列を決定し、両義性については反
対鎖上のオリゴヌクレオチドを使用して解明した。
RNAおよびDNAの分析(ノーザンおよびサザンブロッテイ
ング) 主としてゴフの報告(1988年)に従って調製した細胞
質内ポリアデニル化RNA(約1.5μg)を、20mMモルホリ
ノプロパンスルホン酸、5mM酢酸ナトリウム、1mM EDTA
(pH7.0)+6%(v/v)ホルムアルデヒドを含有する1
%(w/v)アガロースゲルで分画して、ニトロセルロー
スへトランスフェクトした。ハイブリダイゼーションの
前に、RNA含有フィルターを、0.2%(w/v)フィコー
ル、0.2%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.2%(w/v)
ウシ胎児血清アルブミン、2mMピロリン酸ナトリウム、1
mM ATP、変性させたサケ精子DNA 30〜50μg/ml、および
エシェリキア・コリtRNA 50μg/mlを含有する2×SSCに
67℃で数時間浸漬した。ハイブリダイゼーションはこれ
と同じ緩衝液+0.1%(w/v)SDS中で67℃で実施した。
ハイブリダイゼーションプローブは、cDNAクローンpGMR
138の5'末端を伸長し、ゲル精製した1300bp Xho1−EcoR
I断片であって、任意プライミング[ファインバーグお
よびフオーゲルスタイン(1983年)]によって約109cpm
/μgの比活性まで放射線標識し、約5×107cpm/mlでハ
イブリダイゼーションに加えた。フィルターを2×SS
C、0.1%(w/v)SDSで67℃で十分に洗浄し、最後に、オ
ートラジオグラフィーの前に0.2×SSCで67℃で洗浄し
た。
高分子量ゲノムDNAの10μgkアリコートをPst1で消化
し、0.8%アガロースゲルで電気泳動し、これをニトロ
セルロースへ移した。ハイブリダイゼーションおよび洗
浄の条件は、上記のRNA分析と同様に行った。ハイブリ
ダイゼーションプローブは、hGM−CSF受容体コード領域
の3'末端を伸長し、ゲル精製した786bpのKpn−EcoR I断
片であって、ニックトランスレーションによって約2〜
4×108cpm/μgの比活性へ放射線標識し、約2×107cp
m/mlでハイブリダイゼーションに加えた。
ポリメラーゼ連鎖反応を用いるRNA検出 RNA(約1μg)を、50mMトリス−Cl(42℃でpH8.
3)、20mM KCl、10mM MgCl2、5mMジチオトレイトール、
各dNTPそれぞれ1mM、オリゴ−dT1520μg/ml、およびAMV
逆転写酵素(ベーリンガー・マンハイム)20単位を含有
する反応20μlに加え、42℃で40分間、第1鎖cDNA合成
を行った。第1鎖合成が完結したのち、蒸留水で反応を
10μlに希釈し、これを各PCR(ポリメラーゼ連鎖反
応)に5μlずつ使用した。ポリメラーゼ連鎖反応は、
各dNTPをそれぞれ200μM、それぞれに特異的なプライ
マー1μM、ジェネAMPキットで供給された緩衝液(シ
ータス社、米国)およびTaqポリメラーゼ1.25単位を50
μl容量中に含有していた。PCRに使用するプライマー
は530bp断片を認識する5'−CTTCTCTCTAGACCAGCA(131〜
147位)および5'−ACATGGGTTCCTGAGTC(676〜660位)で
あった。PCR反応条件は、パーキン・エルマー・シータ
スDNA熱サイクラー中、94℃で2分、65℃で2分、72℃
で3分間で、25サイクル行った。PCR反応の1部を1.2%
(w/v)アガロースゲルで電気泳動し、これをニトロセ
ルロースへ移した。フィルターをプレハイブリッド化
し、ハイブリッド形成し、上記と同様に洗浄した。ハイ
ブリダイゼーションプローブは、ゲル精製したpGMR138
の1.9kbp cDNA挿入体を、ランダムプライミングによっ
て約109cpm/μgの比活性へ放射線標識し、約2×107cp
m/mlでハイブリダイゼーションに加えた。
放射性リガンド エシェリキア・コリで、非グリコシル化型で生産し、
精製した組換え体ヒトまたはマウスGM−CSF[デラマー
ターら(1985年)]を、修飾した一塩化ヨウ素法[ニコ
ラら(1988年)]により放射性ヨウ素化した。簡単に説
明すると、タンパク質2μg(2μl)とNa125I 1mCi
(ニューイングランド・ヌクレア、ドライアイヒ、西
独)を、トゥイーン20を0.2%(w/v)含有する0.2Mリン
酸Na緩衝液(pH7.2)40μl溶液中でインキュベートし
た。溶液を撹拌混合しながら、一塩化ヨウ素(2M NaCl
溶液、0.03mM)を2ロット(3μlおよび6μl)に分
けて添加した。反応混合物をセファデックスG−25Mカ
ラム(ファーマシア、アップサラ、スエーデン)へ通
し、遊離ヨウ素から巨大分子放射能を分離した[ヒルト
ンら(1989年)]。125I−hGM−CSFは結合能100%であ
り[カルボら(1983年)]、カルボら(1983年)の自己
置換分析により、20000〜40000cpm/ngの比放射能を示し
た。125I−mGM−CSFは比放射能120000cpm/ngで、結合能
40〜50%であった。未標識および標識した(比放射能40
000cpm/ng)ヒトIL−3はアマーシャム(バッキンガム
シャイア、英国)から購入した。
結合実験 1.25%(w/v)ジメチルスルホキシドを含有するDME培
地/10%FCSで5日間増殖させたHL60細胞を、Hepes(10m
M、pH7.2)で緩衝化し、10%(v/v)ウシ胎児血清(HR
F)を含有するRPMI培地(HR)に、5×106細胞/50μl
で再浮遊させた。未標識のhGM−CSF(0.3μM)の存在
または存在なしで、細胞の50μlアリコートを、濃度増
大させた125I−hGM−CSF(0〜2nM)と4℃で4時間イ
ンキュベートした。ついで細胞浮遊液を冷凍したウシ胎
児血清180μlへ重層し、小型プラスチック製遠心用試
験管で700gで5分間遠心し、外科用メスで試験管を切断
することにより細胞ペレットを取り出した。ガンマ計数
装置で、細胞に結合した放射能および遊離放射能を重複
試験管により別々に測定した。トランスフェクション48
〜72時間後に上清を除き、コンドロイチン硫酸200μg/m
lを含有するHR中で、付着細胞を40mM EDTAとインキュベ
ートし、37℃でさらに40分間インキュベートすることに
より、トランスフェクトしたCOS−7細胞を回収した
[パドマナバンら(1988年)]。分離し、解離させた細
胞を700gで5分間遠心し、20mM EDTAおよびコンドロイ
チン硫酸100μg/mlを含有し、または含有しないHRFに再
浮遊させた。飽和結合等温線または競合実験をHL60細胞
について実施した。主としてユーングらの報告(1987
年)のように、新鮮な出産期胎盤からヒト胎盤膜を調製
した。胎盤6gから膜浮遊液4mlを得た。各結合点毎に、H
RF40μlおよび過剰の未標識hGM−CSF(0.3μM)の存
在または存在なしで、膜浮遊液40μlを、濃度増大させ
125I−hGM−CSFと混合した。20℃で1時間インキュベ
ーションした後、膜を30000gで5分間遠心し、精密パス
ツールピペットで上清を除き、ガンマ計数装置で膜ペレ
ットおよび上清を別々に計数した。
前記のように、20℃で1時間のインキュベーション時
間を用いて、125I−hGM−CSFのhGM−R−FD細胞への飽
和結合およびスキャッチャード変形を実施した。mGM−C
SFによるhGM−CSF受容体の交差調節、およびhGM−CSFに
よる多能性CSFまたはmGM−CSF受容体の交差調節を、ウ
オーカーらの報告(1985年)のように37℃で30分間の前
温置時間、および0℃で3時間の結合時間により実施し
た。表示した125I−hGM−CSF濃度で受容体内部化の研究
を実施し、データを実験点の曲線当てはめによって分析
した[ニコラら(1988年)]。
架橋実験 前記のように溶液中で125I−hGM−CSFの細胞への結合
を4℃で実施し、細胞ペレットを、氷冷したリン酸Na緩
衝化(20mM、pH7.2)食塩水(0.15M)1mlに再浮遊し
た。スベリン酸ジスクシンイミジル(シグマ、ミズー
リ、米国)の無水アセトニトリル溶液(10μl)を直ち
に添加して、0〜1mMの目的濃度を得、細胞を氷上で15
分間インキュベートしたのち、細胞ペレットを13000gで
1分間遠心した。細胞ペレットをプロテアーゼ阻害剤の
存在でデオキシリボヌクレアーゼで処理し、前記のよう
にドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気
泳動用に調製した[ニコラおよびピーターソン(1986
年)]。
結合データ分析 特異的結合を、過剰の未標識hGM−CSFが存在しない場
合、または存在する場合の結合間の差として測定した。
自己置換分析によって測定した125I−GM−CSFの比放射
能を用い、特異的結合(cpm)をモル濃度へ変換した。
スキャッチャード変形へ変換する前に、マンソンおよび
ロドバードのリガンド・プログラム(1980年)を用いて
結合データの曲線当てはめを実施した。2つの結合部位
の当てはめは、データへの当てはめが、1結合部位の当
てはめよりも有意に改善された場合(p<0.05)に限り
採用した。
hGM−Rレトロウイルスの生産および選別 本明細書で説明したようにして調製したpGMR29の挿入
体cDNAを含んでいる1.7kbpのXho1断片を、多重クローニ
ング部位をpMPZenの単一のXho1部位で置き換え、1.7kbp
のネオマイシン耐性発現カセット[pDolのBamH I−EcoR
I断片(コールマン(1987年))の末端を平滑化し、Cl
a Iリンカーヘライゲーションした]をCla I部位[J.チ
ャング、O.バーナードおよびK.クリングラー、未発表デ
ータ]へ挿入したレトロウイルスベクターpMPZenの誘導
体、pJZen2(SVNeo)のXho1部位へ挿入した。以前に報
告されたように[ジョンソンら(1989年)]、ψ2パッ
ケージング細胞[マンら(1983年)]をpJZen2(SVNe
o)−hGM−RDNAともに電気泳動し、2日後に、抗生物質
G418(ゲネチシン、シグマ)400μg/mlを使用して、ト
ランスフェクトした細胞を選別した。2種類のG418耐性
クローンを125I−hGM−CSF結合によるhGM−Rの高度表
面発現のため選び出した。受容体陽性ψ2クローンのレ
トロウイルス力価をNIH3T3繊維芽細胞のポリブレン媒介
感染によって試験した[チュプコら(1984年)]。さら
に検討を重ねて選び出したクローン(ψ2−GMR)は1.2
×104ウイルス粒子/mlの力価を示した。
感染FDC−P1細胞系の誘導体化 付着ψ2−GMR細胞(3×106/75cm2フラスコ)を照射
し(35Gy)、これを106FDC−P1細胞[デクスターら(19
80年)]と一緒に、10%ウシ胎児血清(FCS)および10
%ポークウイードマイトジェン刺激した脾臓細胞ならし
培地を含有するダルベッコの修飾したイーグル培地(DM
EM)20mlで培養した。48時間の同時培養から洗浄した上
清細胞を、寒天培地で、mGM−CSFの103U/ml、またはhGM
−CSFの6×103U/mlの何れか、またはこの両者の組み合
わせと300細胞/mlの密度で培養した。3日間インキュベ
ーションののち、mGM−CSFで発育したクローンは50〜10
0細胞のサイズに達した。これと対照的に、hGM−CSFに
よって刺激した培養では、発育したクローン数は一層少
なかった。これらは形態学上分散しており、その多くは
10〜30細胞を含んでいるだけであった。hGM−CSFによっ
て刺激した培養で増殖した個々のクローンをミクロピペ
ットを使用して採取し、クローン化した細胞系を樹立し
て、6×105U/ml hGM−CSF(12細胞系)、または6×10
3U/ml hGM−CSF+103U/ml mGM−CSF(36細胞系)の何れ
かを含有するDMEM(20%FCS含有)の1ml培養で維持し
た。200細胞/mlずつの寒天培地培養でコロニーを増殖
し、ついでインキュベーション7日後の個々のコロニー
を採取し、これらのコロニーの培養を浮遊液中で続ける
ことによって個々の細胞系のサブクローン化を実施し
た。
寒天培養 寒天培養は、寒天培地1ml(20%FCSおよび0.3%寒天
の最終濃度を有するDMEM)[メトカーフら(1984
年)]、および培養細胞300個を使用して35mmプラスチ
ック製ペトリ皿(ヌンク、アデレード)で実施した。
コロニー生成に使用した刺激は、エシェリキア・コリ
で、非グリコシル化型誘導体として生産した精製組換え
体mGM−CSF(タンパク質1mg当たりの比活性3×10
8U)、または精製組換え体hGM−CSF(タンパク質1mg当
たりの比活性108U)であった。これらを寒天培養調製中
に0.1ml容量で添加し、5%FCSの0.95%食塩水溶液を使
用して2倍系列希釈法を実施した。30〜50系列のコロニ
ーをプールすることにより、7日間培養コロニー中の平
均細胞数を測定した。
実施例2 高親和性および低親和性GM−CSF受容体の検出 本明細書で説明した方法により、高親和性および低親
和性GM−CSF受容体の両受容体を、ヒト骨髄細胞で、一
次ヒト骨髄性白血病細胞、およびヒト前骨髄球性白血病
細胞系、HL−60で検出した(第1図)。第1A図は、5日
間、1.25%(w/v)ジメチルスルホキシド(DMSO)で誘
発し、分化させたHL−60細胞へ結合した125I−hGM−CSF
の4℃での飽和結合等温線を示す。マンソンおよびロド
バード(1980年)のリガンド・プログラムを用いた曲線
当てはめを行ったのち、このデータをスキャッチャード
の方法(1949年)により変形すると、このデータの当て
はめには、1カ所ではなく2カ所の結合部位が必要であ
ることが分かった(p<0.05)。即ち、46pMのKDを有す
る高親和性受容体(1細胞当たり40)および2.9nMのKD
を有する低親和性受容体(1細胞当たり130)である。
同じ細胞で、結合型GM−CSFを4℃で10分間解離したの
ち、細胞上に残存する結合型125I−hGM−CSFを測定する
と高親和性結合部位だけが検出できた(第1A図)。この
ことから、低親和性受容体は高親和性受容体より一層速
いリガンド解離速度を示すことが分かる。実施した結合
方法は、遊離リガンドから細胞結合型を迅速な1段階で
分離する方法からなるから、この成績は、他の実験者ら
[ギャッソンら(1988年)、パークら(1986年b)、ケ
ーラーら(1988年)]が低親和性受容体を検出できなか
った理由を説明していると言える。これらの報告者は、
ヒト造血系細胞で、20〜600pMのKDを有する単一親和型
に属するGM−CSF受容体を報告している。
同様に精製したヒト胎盤細胞膜へのhGM−CSFの特異的
結合を検出したが(第1B図)、この結合は低親和性受容
体(胎盤1mg当たり3×109受容体、KD=4.6M)の単一型
に属していた。ヒト胎盤GM−CSF受容体はhGM−CSFだけ
を認識し、hIL−3を認識しないようである(第2
図)。しかもhIL−3受容体はヒト胎盤膜上では検出さ
れなかった(第2図)。
実施例3 ヒトGM−CSF受容体のクローン化および発現 GM−CSF受容体をクローン化するため、発現スクリー
ニング方法をサルCOS細胞で使用した。検討した限り、
すべての細胞供給源でGM−CSF受容体愛の潤沢性が低か
ったので、大量のcDNAライブラリーのスクリーニング、
およびその後のトランスフェクト陽性の細胞の高感度の
検出が必要であった。発明者らが採用した検出方法は、
トランスフェクトしたCOS細胞を顕微鏡スライドグラス
上で増殖させ、125I−hGM−CSFをこれへ結合させ、つい
で直接オートラジオグラフィーを行う方法である。この
スクリーニング手法は、放射性ヨウ素化したリガンドを
検出手段として使用するこれまでの受容体クローン化方
法[シムズら(1988年)、ド・アンドレアら(1989
年)]と比べて2つの主な利点を有する。第1にこの方
法は、2×104クローン供給源から単一のクローンが検
出できるから極めて感度が高い[103クローン中、1個
(ド・アンドレアら(1989年))、350クローン中、1
個(シムズら(1988年))と比較]。第2にこの方法
は、非特異的な結合に起因する人為結果を容易に確認す
ることができ、さもなければ約106の陰性COS細胞を含む
スライド上でただ1個のGM−CSF受容体陽性細胞を確認
することは不可能であった。
約5×106の独立した組換え体ヒト胎盤cDNAライブラ
リーを、さらにCOS細胞発現ベクター[アルフォおよび
シード(1987年)]でそれぞれ約2×104クローンの500
プールへ分画し、各プールからのDNAを、電気穿孔によ
って1.5×106COS細胞へ別々にトランスフェクトした。
細胞をスライドグラス上で48時間培養し、これを比較的
高濃度の125I−hGM−CSF(約2nM)とインキュベート
し、固定し、ついで写真用乳液に浸漬した。スライドを
現像し、個々に顕微鏡で検査した。陽性細胞はオートラ
ジオグラフィー粒子の存在によって確認した。スクリー
ニングした最初の250プールのうちの2プールから、1
個または2個の陽性細胞が得られた(プール29および13
8)(第3図)。COS細胞へ高容量の125I−hGM−CSF結合
を伝達できる単一のcDNAが得られるまで、これらのプー
ルのうちの1つ(138)を、各段階でオートラジオグラ
フィーを行うスクリーニングによってさらに小プールへ
分配した(1500組換え体からなる20プール、ついで80組
換え体からなる60プール、最後に200個の単一クロー
ン)。COS細胞での3回の選別に続き、別のDNA陽性プー
ル(プール29)中の個々のcDNAクローンを、クローンpG
MR138の1.8kbp挿入体とのコロニー・ハイブリダイゼー
ションによって、究極的にGM−CSF受容体のためのコー
ドと確認した。クローン29および138のcDNA挿入体を暗
号化しているプラスミドを、それぞれpGMR29およびpGMR
138と命名した。
実施例4 クローン化したGM−CSF受容体の分析 トランスフェクトしたCOS細胞上の受容体に対する[
125I]hGM−CSFの結合は、未標識のhGM−CSFによって競
合されるが、マウスGM−CSF(ヒトの細胞には活性を有
しない)、またはヒトIL−3、G−CSF、またはIL−6
によって競合されないから、特異的である(第3図)。
クローン化したGM−CSF受容体(クローン138、実施例
3)をCOS細胞へトランスフェクトしたときの結合特性
を第4図に示す。トランスフェクトしたCOS細胞への125
I−hGM−CSF結合の20℃での飽和結合等温線は、6.8nMの
平衡解離定数を有する単一型の結合部位、および1細胞
当たり600000の受容体を示した。これとは対照的に、ト
ランスフェクトしないCOS細胞、またはベクター単独で
トランスフェクトしたCOS細胞は、これらの細胞濃度
(1点当たり3〜7×104細胞)で有意な結合を示さな
かった。オートラジオグラフィー分析から、トランスフ
ェクトした細胞の約20%だけが受容体陽性であり(トラ
ンスフェクション効率を反映)、したがって陽性にトラ
ンスフェクトした細胞は、トランスフェクトされないCO
S細胞で報告された1細胞当たり1700受容体[コシタ・
ボールドウインら(1989年)]の値と比較して、恐らく
1細胞当たり約3×106受容体であることが分かる。ま
た未標識のhGM−CSFによる125I−hGM−CSFの置換では、
KD=5.8nMの単一型に属する受容体だけが証明され、こ
の結合は未標識のhIL−3によって置換されなかった
(第4B図)。hGM−CSFを標識または未標識のものに変え
たときに観察された類似の結合親和性から、ヨウ素化
は、この受容体に対するhGM−CSFの結合親和性を有意に
変化させないことが分かる。数回の異なった実験で、ト
ランスフェクトしたCOS細胞への125I−hGM−CSFの結合
を、浮遊液(細胞集合を防止するために20mM EDTAおよ
びコンドロイチン硫酸100μg/mlを添加または添加しな
い結合培地)、または付着細胞で測定した。見かけのKD
は4〜8nMで変化したが、カルシウムも付着もトランス
フェクトした受容体の結合特性を有意に変えないことが
分かった。
実施例5 分子サイズ HL60細胞およびトランスフェクトしたCOS細胞上のhGM
−CSF受容体の分子サイズを、スベリン酸ジスクシンイ
ミジル(DSS)との化学的架橋反応によって測定した
(第5図)。他の研究者「ディペルシオら(1988年)]
が観察したように、HL60細胞上のGM−CSF受容体は約850
00のMrを有するので、125I−hGM−CSF(Mr=15000)と
の架橋により100000のMrが得られた。速やかなリガンド
解離前および解離後のどちらの場合も[それぞれ低親和
性結合の存在または存在なしで(第1図参照)]、Mr10
0000の主架橋バンドおよびMr95000の副架橋バンド(そ
れぞれMr85000および80000の受容体を表す)が認められ
る。これらは単一の結合サブユニットの異なった糖鎖形
成変異体を表し得る。COS細胞上でトランスフェクトし
た受容体への125I−hGM−CSFの架橋では、恐らく一層可
変性のグリコシル化を反映するためか、バンド幅はHL60
細胞で見られたものより若干広いが、類似の分子量(90
000〜110000)の主バンドが得られた。減圧条件下で実
施した類似の架橋ゲルでもこれと同一の架橋結合受容体
分子量が得られたことから、成熟受容体はジスルフィド
結合するサブユニットを含んでいないことが判明した。
実施例6 配列分析 クローン29および138の挿入体をサブクローン化し、
標準的な手法により配列決定した。第6図に示した複合
配列で、クローン29はヌクレオチド1〜1709によって表
され、クローン138はヌクレオチド7〜1807で表され
る。この2つの配列は、クローン29で1148の位置に見ら
れる1カ所のサイレント塩基の違い(G→A)以外は同
一である。各配列は、それぞれ先行する22アミノ酸から
なる短い転写解読枠(ORF)に続く400アミノ酸の大きい
ORFを暗号化している。大きい方の転写解読枠が始まる
メチオニンコドンは、翻訳開始部位のための共通配列
(RCCATGG)とよく対応する文脈にあるが[コザック(1
987年)]、短い方のCRFは文脈に乏しいメチオニンコド
ンで始まる。大きいORFは22アミノ酸の推定シグナルペ
プチド配列で始まり、残基Glu23は、標準的なシグナル
ペプチド切断部位[フォン・ハイジン(1986年)]との
比較により、成熟タンパク質の最初のアミノ酸であると
断定される。
予測される378アミノ酸の成熟GM−CSF受容体は43728
の分子量を有すると計算されるが、これはクローンpGMR
138でトランスフェクトしたHL60細胞およびCOS−7細胞
への125I−hGM−CSFの架橋によって観察された受容体サ
イズの約半分である(第5図)。コア受容体ポリペプチ
ドの予測サイズと細胞上にある成熟受容体との間のこの
差は、先に発明者らによって、成熟受容体がジスルフィ
ド結合したサブユニットを含んでいないことを明らかに
されたことから、多分、11カ所の推定297アミノ酸の細
胞外ドメインにあるN−結合糖鎖形成の可能性のある部
位への炭水化物の付着に起因するのであろう。疎水性プ
ロット(第7図)は、Gly320〜Phe346へまたがる27個の
荷電されていないアミノ酸配列(第6図)が膜貫通ドメ
インを表していることを示唆している。この推定膜貫通
ドメインに続いて、多くの膜貫通タンパク質の細胞質ゾ
ル面に共通する像である、膜へつながるセグメントの次
に塩基性アミノ酸の短い連鎖で始まる554アミノ酸の細
胞内ドメインが続く。GM−CSF受容体の54アミノ酸から
なる細胞内ドメインはIL6−Rのそれと何ら明らかな相
同性を共有していない。
GM−CSF受容体mRNAの3'の翻訳されない領域には、ヒ
ト・ゲノムの約3%を構成する反復要素(残基1943〜17
60)からなる「Alu」ファミリー[ジェリネックおよび
シュミット(1982年)]と配列要素相同性がある。さら
にその下流にはポリA尾部のすぐ前に2つのポリA付加
シグナルがある(第6図)。
予測されたGM−CSF結合細胞外ドメイン(アミノ酸23
〜319)は11個のシステイン残基を含んでいるが、これ
らは免疫グロブリンスーパーファミリー受容体の特徴で
あるジスルフィド・ループ[シムズら(1988年)、ヤマ
サキら(1988年)]を作らないようである。短い細胞内
ドメイン(54アミノ酸)はシグナル導入に役割を有し得
る。このドメインは、チロシンキナーゼであることが知
られている何れの成長因子受容体の触媒性ドメイン[ハ
ンクスら(1988年)]とも明白な配列相同性を有しな
い。ただしGM−CSF受容体をヒトIL−6受容体[ヤマサ
キら(1988年)]と直接比較すると有意な相同性が明ら
かになった(第9図)。4個のシステイン残基行の位置
は近似的に保存され(GM−CSF−R C126、C136、C165、C
178:IL6−R C121、C132、C165、C176)、これらは免疫
グロブリン様ドメインと結合するIL−6受容体[ヤマサ
キら(1988年)]の2個のシステイン残基(C47およびC
96)とは一致しない。さらに細胞内ドメインで相同性の
パッチ(複数)(第9図)、および2種の受容体の膜貫
通ドメイン間で、どちら場合も膜貫通システイン残基を
含んだ恐らく予想外の相似性がある(GM−CSF−R L33
L342:IL6−R L374−L386)。膜貫通領域における一つ一
つの残基の保存は、それぞれ対応する膜における他の膜
貫通タンパク質または脂質と関連する共通の能力を示唆
し得る。事実、セムリキ森林熱ウイルスE1スパイクタン
パク質の膜貫通領域で、膜の内葉中央部に対応して類自
的に配置されているシステイン残基は、パルミトイル化
部位であることが判っている[シュミットら(1988
年)]。しかしながら膜の推定内面に対する膜内システ
イン残基の相対位置[R388(IL6−R)およびK347(GM
−CSF−R)で表される]は、2つの受容体間で異なっ
ており、したがってこの残基が機能的または構造的に重
要であるのなら、これらは各受容体で異なった役割を果
たし得るであろう。
hGM−CSF受容体の細胞外ドメインは、IL−6受容体だ
けではなく、エリスロポイエチン[ド・アンドレアら
(1989年)]、インターロイキン−2[ハテケヤマら
(1989年)]、ラット・プロラクチン[ブーチンら(19
88年)]、インターロイキン−4[モズレーら(1989
年)]、およびインターロイキン−3[イトーら(1990
年)]の受容体細胞外ドメインとも相同性を示す。相同
性の領域は、上述の4個のシステイン残基と、膜貫通領
域の近くにあるTrp−Ser−X−Trp−Ser配列を中心に取
り巻いている短いアミノ酸配列を含む(第9図)。
GM−CSF受容体を暗号化している長いORFに先行して短
いORFがある。その開始メチオニンは良好な翻訳開始の
ための共通配列(上記参照)とは無関係な文脈にあるの
で、この読み取り枠は翻訳され得ないが[コザックら
(1986年)]、多分、ポリペプチドを暗号化している。
主受容体コード領域の5'のそのような短いORFはhIL6受
容体cDNAでも見いだされ[ヤマサキら(1988年)]、事
実、これらの1つ(25ヌクレオチド上流)はhIL−6受
容体前駆物質の開始を指定する文脈より一層強い文脈で
メチオニンで始まる。この知見は、これらの短いORFが
作動して主受容体コード領域の翻訳を抑制するのかも知
れないことを示唆している。
実施例7 GM−CSF受容体の転写産物 cDNAクローンpGMR138をヒト胎盤cDNAライブラリーか
ら単離したので、発明者らは、GM−CSF受容体を発現す
ることが知られている造血系細胞でも、この転写産物に
対応するmRNAが同様に存在しているかどうかを検討し
た。
ノーザンブロット分析(例えば第8A図)から、高親和
性GM−CSF受容体を発現することが知られているHL−60
細胞は、高度緊縮でpGMR138プローブへハイブリッド形
成する2.1kbの転写産物を含んでおり(レーン3〜
5)、一方、CEM T−リンパ芽球様細胞およびHepG2肝細
胞ガン細胞は、このプローブとハイブリッド形成する何
ら検出可能な転写産物を含有していないことが判明した
(レーン1および2)。
このRNA種の低い潤沢性のため、種々のRNAに対応する
cDNAのPCRに基づく増幅を使用して、種々の造血系およ
び非造血系細胞からのRNAの一層感度のよい調査に着手
した。そのような分析(例えば第8B図)から、HL−60、
U937、およびAML193等を含む種々のヒト骨髄細胞系で、
GM−CSF受容体転写産物の存在が明らかになったが、CEM
T−リンパ系、ラジ・バーキットリンパ腫、およびHepG
2肝細胞では認められなかった。興味深いことにヒーラ
ー細胞で同様にGM−CSF受容体が認められ、このcDNAク
ローンに対応する転写産物を有することが判明した(第
8B図)。
実施例8 hGM−CSF受容体のマウス細胞への導入 前述のように胎盤細胞からクローン化したヒトGM−CS
Fに対する低親和性受容体は、レトロウイルスベクター
を使用してマウスGM−CSF依存性造血細胞系(FDC−P1)
へ導入されると、その低親和性表現型を保持するが、細
胞増殖に必要な生物学的シグナルを伝達することはやは
りできなかった。
使用したマウスFDC−P1造血細胞系はhGM−CSF 106
位/mlを含有する培養で増殖せず、そのような培養で生
存する細胞もない。hGM−CSF受容体レトロウイルスを産
生する2細胞と同時培養する4種の別々の実験で、hGM
−CSFによって刺激した寒天培養で、FDC−P1細胞の0.3
〜1%をクローン的に増殖することができた。クローン
化した細胞系(hGM−R−FD系)を個々のコロニーから
発育させ、高濃度のhGM−CSFか、またはmGM−CSFと低濃
度のhGM−CSFとの混合物の何れかを使用してこれを維持
した。
19種のそのようなhGM−R−FD系からのDNAのサザンブ
ロット分析(第10a図、レーン2〜20)によって、各ク
ローンで単一なウイルス性組込み体の存在が明らかにな
ったが、クローン57(レーン19)では2つの組込み体が
明らかに認められた。潜在的に同胞種であったクローン
50および52を除いて(レーン13および14)、ウイルス組
込み部位は、ハイブリッド形成したDNA断片の大きさが
それぞれ異なることによって明らかなように、ウイルス
組込み部位が各クローン系で異なり、系毎にそれぞれ独
立したクローン起源であることが確かめられた。
実施例9 ヒトGM−CSF:(マウス+ヒト)GM−CSFで維持された細
胞系間の相違 クローン化した系の樹立後25〜39日に、無作為に選ん
だ19種のこれらの系の比較分析の結果、2つの型の系の
間でクローン培養における挙動に明白な違いが明らかに
なった(第11図)。
親FDC−P1細胞系をmGM−CSFによって刺激すると、寒
天培地では通常60〜100%のクローン化効率を示し、大
きく密なコロニーを形成する。hGM−CSFで維持されたhG
M−R−FD系では、通常これよりも低いクローン原性を
示し(42±17%)、コロニー数の合計は、hまたはmGM
−CSFで刺激された培地と類似していた(第11図)。コ
ロニーは特徴的に不規則な形を示し、あるいは全体的に
分散し、最大コロニーサイズは比較的小さかった。平行
してmGM−CSFによる刺激で行った培養では、コロニーサ
イズは標準的にこれよりも2〜4倍大きかった(9種類
の細胞系で平均コロニーサイズは、mGM−CSFの場合は53
0±340細胞、これに対してhGM−CSFの場合は240±110細
胞であった)。
(マウス+ヒト)GM−CSFで維持したhGM−R−FD細胞
系をhGM−CSFで刺激すると、コロニーの形態は類似して
いるが、クローン原性細胞の頻度は、hGM−CSF単独で維
持した細胞系より低かった(15±15%)。m+hGM−CSF
混合物では維持期間の増大とともに、hGM−CSF単独に反
応性であるクローン原性細胞の頻度は次第に低下を来し
た。これと著しく対照的に、これらの系の細胞をmGM−C
SFで刺激すると、クローン原性細胞の頻度ははるかに高
かった(96±21%)。これらのコロニーの形態およびサ
イズは親FDC−P1細胞の場合に似ており、mまたはhGM−
CSFで刺激したコロニーサイズの間で10倍以上の差があ
った。10種類の細胞系で平均コロニーサイズは、mGM−C
SFの場合は1900±880細胞で、これに対してhGM−CSFの
場合は170±130であった。
実施例10 ヒトGM−CSF:(ヒト+マウス)GM−CSFで維持された系
のGM−CSFに対する反応性 hまたはmGM−CSFによる刺激に反応するhGM−F−RD
系の用量−反応曲線から、hGM−CSFに対する反応性は、
mGM−CSFに対する反応性より500〜1000倍率で低いこと
が分かった(第11図、第1表)。hGM−CSFを使用して増
殖させた細胞系、およびm+hGM−CSFの混合物で維持さ
れた細胞系は、両タイプともmGM−CSFに対して類似の反
応性を示したが、前者はhGM−CSFに対して後者より2倍
反応性が高かった(第11図、第1表)。
300細胞を、2倍濃度に増大させたマウスまたはヒトG
M−CSFを含有する複製培地へ添加した。7日目にコロニ
ー算定を実施し、50%最大コロニー数を刺激するGM−CS
F濃度を各滴定曲線から決定した。5×106細胞を使用し
て、131I−標識ヒトGM−CSFの結合を平行して測定し
た。
実施例11 トランスフェクトしたFDC−P1細胞に対するhGM−CSF受
容体の作用特徴 種々のクローン化したhGM−R−FD系を、125I−hGM−
CSFを特異的に結合する結合能について検討した。それ
らはすべて有意な結合を示したが、この結合の程度には
かなり変動があった(第1表)。hGM−CSF単独で連続的
に維持したクローンは、hGM−CSFおよびmGM−CSFの混合
物で維持したクローンより高い平均結合水準を示した
(第1表)。
種々のhGM−R−FDクローンに対する125I−hGM−CSF
の結合に変動があったにもかかわらず、飽和結合分析お
よび結合データのスキャッチャード変形は、検討したす
べてのクローンで類似の結合親和性を示した(第12図)
(スキャッチャード変形の勾配、KD=4〜6nM)。この
結合親和性は単一低親和性型に属し、ヒト胎盤膜、トラ
ンスフェクトしたCOS−7細胞、およびレトロウイルス
感染させた2種類のクローンの受容体の場合と同一であ
った。
hGM−R−FDクローンで、トランスフェクトした受容
体に対するhGM−CSFの1μg/mlまでの濃度(37℃で30分
間)での結合は、これらの細胞で同時トランスフェクト
した天然mGM−CSF受容体に対する125I−mGM−CSFのその
後の結合に影響しなかった。同様に、hGM−R−FD細胞
上での天然受容体に対するmGM−CSF、またはマウス多能
性CSFの0.5μg/mlまでの濃度(37℃)での結合は、トラ
ンスフェクトしたhGM−CSF受容体に対する125I−hGM−C
SFのその後の結合に影響しなかった。
125I−hGM−CSFをhGM−R−FD細胞と37℃でインキュ
ベートすると、速やかに細胞表面のGM−CSF受容体と結
合し、ついでゆっくりと細胞内へ内部化された。結合お
よび内部化の速度はmまたはhGM−CSFで維持したhGM−
R−FDクローンの場合と本質的に同じであった(第13
図)。ただしリガンド結合した(occupied)hGM−CSF受
容体の内部化の速度(ke)は、hGM−R−FD細胞(ke
0.0042/分)では、ヒトHL60細胞の場合(ke=0.061/
分)、およびFDC−P1細胞上でリガンド結合したマウスG
M−CSF受容体の場合(ke=0.056/分)[ニコラら(1988
年)]よりも遅かった。
マウス造血系FDC−P1細胞を、低親和性ヒト胎盤GM−C
SF受容体を暗号化しているcDNAでレトロウイルス依存的
にトランスフェクション後、細胞表面のhGM−CSF受容体
は104〜105/細胞濃度で単一結合型の低親和性を示した
(KD=4〜6nM)。注意深い分析にもかかわらず、高親
和性結合は検出されなかったが、トランスフェクトした
細胞は、依然としてhGM−CSF受容体を内部化することが
でき(内在性mGM−CSF受容体の場合より10倍率遅い速度
ではあるが)、hGM−CSFに反応する増殖能を獲得した。
hGM−R−FD細胞のhGM−CSFに対する定量的な反応性
は、mGM−CSFに対する場合より500〜1000倍率低かった
が、結合定数の測定から、リガンド結合したhGM−CSFま
たはmGM−CSF受容体は、マウスFDC−P1細胞に増殖シグ
ナルを導入するのに同程度効率的であり得ることが示唆
される。第1に、トランスフェクトされたhGM−CSF受容
体は内在性のmGM−CSFに対する高親和性受容体(KD=50
pM)[ウォーカーおよびバージェス(1985年)]より10
0倍率低い親和性(KD=5nM)でhGM−CSFを結合する。第
2に、リガンド結合したhGM−CSF受容体の内部化速度
(37℃)が、リガンド結合したmGM−CSF受容体と比べて
10倍率遅いことは、見掛けの定常状態の「親和定数」が
さらに10倍率で異なるであろう[ニコラら(1988年)]
ことを意味している。
実施例12 再クローン化した亜系の進化 m+hGM−CSFを使用してhGM−R−FD細胞系から増殖
させたコロニーの分析では、これらがmGM−CSFだけに反
応性である主細胞集団とhGM−CSFに反応性である副集団
を含んでいることが判明した。この後者の集団では、mG
M−CSFだけを使用して1週間増殖させるとコロニーが急
速に減少した。hGM−CSFだけを使用して維持した細胞系
から増殖させたコロニーは、どちらの型のGM−CSFにも
反応するクローン原性細胞の安定な内容を保有してい
た。
mGM−CSFで刺激し、もっぱらmGM−CSFだけで維持した
系から誘導した9種の亜系(subline)からの細胞は、
通常、mGM−CSFで刺激したときだけコロニーを形成し
(クローン化効率68±24%)、生成したコロニーは一律
に大型サイズのものであった。同様にm+hGM−CSFで刺
激した培養から誘導し、ただしついでヒトGM−CSFで維
持した13種の亜系からの細胞は、hまたはmGM−CSFで刺
激した培養で、2つの型のコロニー間で2〜4倍率の特
徴的なサイズ差を維持する中型サイズの比較的少数のコ
ロニー(クローン化効率37±25%)を形成した。
hGM−CSFで刺激した系から誘導し、hGM−CSFで維持し
た6種のクローン化した亜系の試験で、クローン原性細
胞の50±26%は、抗生物質G418 800ng/mlを含有する培
養でコロニーを形成することができた。これに反して、
mGM−CSFを使用して維持した6種のクローン化した亜系
からのクローン原性細胞は、G418の存在で一律にコロニ
ーを形成することができなかった。このことは、細胞を
もっぱらmGM−CSFだけで刺激すると、挿入したネオマシ
ン耐性遺伝子の転写産物が維持されなかったことを示唆
している。
初代系21種の一連のmGM−CSF反応性亜系およびヒト反
応性亜系からのDNAサザンブロット分析で、hGM−Rウイ
ルス性組込み体の内容物および文脈が、すべてのサブク
ローンで、ともに維持されていることが明らかにされ
(例えば第10A図、レーン21〜27)、分岐した生物学的
特性にもかかわらず、これらの系の共通の起源が確認さ
れた。したがって細胞表面hGM−CSF受容体のhGM−CSF反
応性およびその特徴がともに欠乏したことは、hGM−R
組立て体の喪失に起因するのではないことが示唆され
た。
mGM−CSFで維持した6種の亜系からのRNAは、hGM−CS
Fで維持された亜系で明白に潤沢なhGM−Rウイルス性の
転写産物(レーン8〜11、他の成績は示さず)と比べ
て、検出可能なhGM−Rウイルス性転写産物を何ら含有
せず(第10B図、レーン2〜7)、そのような細胞での
変化が、転写レベルまたは転写直後レベルで起こること
を示唆していた。
即ち、クローン化したhGM−R−FD細胞系の挙動は、
それらをhGM−CSF単独で維持したか、あるいはhGM−CSF
およびmGM−CSFの混合物で維持したかによって異なっ
た。前者の細胞系は、hGM−CSFまたはmGM−CSFで、同等
なクローン原性で安定な表現型を維持したが、クローン
原性は、mGM−CSFで維持した細胞系の場合よりも有意に
低かった。mGM−CSFおよび低濃度のhGM−CSFの混合物で
維持した細胞系では、hGM−CSFによる刺激に反応できる
細胞の漸増的な喪失を示した。
hGM−CSFで維持した細胞系の挙動はウイルス組込み部
位によって影響されなかった。hGM−CSF単独で培養する
ことによって働く選別ストレスは、両方のウイルス遺伝
子の発現(hGM−CSFおよびネオR)、受容体発現、およ
びhGM−CSFに対する定量的な反応性の一定水準を維持し
た。しかしながらこれらの細胞によって示された低いク
ローン原性およびコロニーサイズは、子孫細胞のhGM−C
SF中で維持された系内で、hGM−CSFへの反応性を喪失し
た連続的な世代を示唆している。それ以外に刺激が存在
しない場合、これらの細胞は非可逆的に増殖能を失い、
その後のmGM−CSFでの培養によって救済できなかった。
この現象は、mGM−CSFだけの存在で維持された、サブク
ローン化したhGM−R−FD系の分析によって確認され
た。そのようなサブクローン化した系はそのウイルス挿
入体を維持しているが、hGM−CSF受容体およびネオR遺
伝子の両方の発現は、培養時間の増大とともに次第に減
少してゼロへ近づいた。ウイルス遺伝子が比較的高頻度
で残っている理由は明らかでないが、これは明らかにウ
イルス挿入部位によって左右されるのではない。事実、
レトロウイルス発現の抑制は、マウス造血系細胞[チャ
ングら(1987年)、マグリら(1987年)、エマーマンお
よびテミン(1984年)]を含む種々の異なった細胞で観
察された。ネオマイシン耐性遺伝子を駆動するためこの
組立て体で使用したSV40早期領域プロモーターは、トラ
ンス−およびシス−作用陰性の調節因子に特に感受性で
あることが判明した[チャングら(1987年)、マグリら
(1987年)、エマーマンおよびテミン(1984年)、ゴー
マンら(1985年)、ウイリアムズら(1986年)]。
ヒト胎盤GM−CSF受容体がマウス造血系FDC−P1細胞の
増殖を刺激した知見は、この受容体サブユニットが造血
系細胞上のヒトGM−CSF受容体成分を構成し得るという
示唆に支持を与える。また非造血系起源の低親和性GM−
CSF受容体は、高親和性結合成分が存在しなくても増殖
シグナルを導入することができ、リガンド依存的な態様
で造血系細胞に内部化され得るということが証明され
た。事実、トランスフェクトしたFDC−P1細胞の生物学
的反応性は、受容体−リガンド結合の基準で、mまたは
hGM−CSFと殆ど同一であるから、このことはさらに、h
およびmGM−CSF受容体双方のシグナル発信成分が高度に
保存され得、高親和性サブユニットの主な機能は、単に
受容体内部化の速度を増大し、低いGM−CSF外部濃度へ
の造血系細胞の反応性を増大させることであるかもしれ
ないことを示唆している。導入されたhGM−CSF受容体
の、外来性のmGM−CSFまたは多能性CSF受容体との相互
作用、または同時内部化を含むデータに関して別の解釈
は除外された。
ヒトおよびマウスGM−CSF受容体間のシグナル発信の
保存にもかかわらず、GM−CSF結合ドメインにおける機
能的保存はなく、また高親和性mGM−CSF受容体を現すマ
ウス細胞との相互作用による高親和性受容体へのhGM−C
SF受容体の保存もなかった。高親和性GM−CSF受容体に
対する、クローン化した低親和性hGM−CSF受容体の関係
は不明のまま残っている。高親和性GM−CSF受容体が低
親和性GM−CSF受容体と無関係である可能性はまだあ
る。しかしながら、発明者らが仮定したように、「アダ
プター」サブユニットとの相互作用によって低親和性サ
ブユニットが高親和性サブユニットへ変換され得るので
あれば、この相互作用はこれらの種を越えて起こらない
ように思われる。
この発明のGM−CSF受容体には、以下に挙げる治療
的、診断的、および調製用に可能性のある広範囲な応用
が期待されるが、ただしこれだけに限定されるものでは
ない。
1.GM−CSFに依存する骨髄性白血病の増殖抑制。
2.GM−CSFを過剰投与された患者の処置。
3.GM−CSF投与患者に不都合な副作用の局所的な処置。
4.過剰反応または不適当な炎症反応患者における全身的
または局所的なGM−CSF濃度の調節。
5.慢性感染症(例えば、肺真菌感染、リステリア症、結
核、急性呼吸困難症候群)、自己免疫反応、または不適
当なGM−CSF産生患者の炎症反応の軽減。
6.治療成績および治療選択のための骨髄性白血病の層化
分類。
7.GM−CSFおよび化学療法剤の併用治療を受ける患者を
選択する腫瘍(GM−CSF−Rのガンを除く)におけるGM
−CSF−Rの異常発現の検出(例えば肺ガン、乳ガン、
膀胱ガン、骨髄性白血病)。
8.再生不良性貧血および先天性好中球減少症におけるGM
−CSF反応性のある患者のスクリーニング。
9.自己免疫性抗GM−CSF−R抗体によって生じる疾患状
態の確認(例えば自己免疫性好中球減少症)。
10.臨床研究および治療的用途のためのGM−CSFの迅速精
製を行うアフィニティーマトリックスの調製。
11.GM−CSF作用の潜在的アゴニストおよびアンタゴニス
トのスクリーニング。
12.a.循環する可溶性GM−CSF−Rの同定および定量化、 b.治療前の評価のための骨髄細胞のスクリーニング、 c.前処置患者における保存骨髄の評価、 d.GM−CSF−Rの臨床試験におけるGM−CSF−Rの薬動学
的測定 に使用するhGM−CSF−Rに対する抗体の調製。
13.治療および全身性脂質濃度の低下する用途のためのG
M−CSF作用を真似る抗イディオタイプ抗体の調製。
14.骨髄性白血病のような疾患で異常GM−CSF受容体遺伝
子を同定するための核酸プローブの調製。
これらの応用は、hGM−CSFについて列挙したが、当業
者であれば、好適な動物のGM−CSFの対応する動物用診
断、治療、および調製用の応用がこの発明の範囲に包含
されることが明らかであろう。
引用した参考文献を以下の頁に列挙する。
この発明の一般的な態様は、以上説明した個々の詳細
にのみ限定されるものでないことは自明のことである。
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ド、第68巻第1178−1181頁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ギアリング、デヴィッド・ポール アメリカ合衆国98199ワシントン州シア トル、ウエスト・ニュートン・ストリー ト ナンバー302 2324番 (72)発明者 メットカーフ、ドナルド オーストラリア連邦3103ヴィクトリア、 バルウィン、ユニオン・ロード 268番 (72)発明者 キング、ジュリー・アン アメリカ合衆国98199ワシントン州シア トル、ウエスト・ニュートン・ストリー ト ナンバー302 2324番 (56)参考文献 Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,Vol.85,P.487−491 (1988) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 C07K 14/715 C07K 6/28 C12N 5/10 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (26)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の(a)または(b)のタンパク質を
    コードする核酸配列または当該核酸配列に相補的である
    核酸配列を有することを特徴とする、核酸: (a)次のアミノ酸配列を有するタンパク質: または (b)アミノ酸配列(a)において1ないし数個のアミ
    ノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有
    し、ヒトGM−CSFに結合する能力を有するタンパク質。
  2. 【請求項2】以下の(a)または(b)のタンパク質を
    コードする核酸配列または当該核酸配列に相補的である
    核酸配列を有することを特徴とする、核酸: (a)次のアミノ酸配列を有するタンパク質: または (b)アミノ酸配列(a)において1ないし数個のアミ
    ノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有
    し、ヒトGM−CSFに結合する能力を有するタンパク質。
  3. 【請求項3】核酸が一本鎖DNA、二本鎖DNA、cDNAおよび
    RNAから選択されたものである、請求項1または2記載
    の核酸。
  4. 【請求項4】核酸がcDNAである、請求項1または2記載
    の核酸。
  5. 【請求項5】核酸が以下の核酸配列を有するDNAであ
    る、請求項1記載の核酸:
  6. 【請求項6】核酸が以下の核酸配列を有するDNAであ
    る、請求項2記載の核酸:
  7. 【請求項7】核酸が以下の核酸配列を有するDNAであ
    る、請求項1または2記載の核酸:
  8. 【請求項8】ヒトGM−CSF受容体をコードする核酸配列
    に隣接して更なる核酸配列を有する、請求項1〜7のい
    ずれかに記載の核酸。
  9. 【請求項9】以下の(a)または(b)のタンパク質を
    コードする遺伝子を含む、DNA分子: (a)次のアミノ酸配列を有するタンパク質: または (b)アミノ酸配列(a)において1ないし数個のアミ
    ノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有
    し、ヒトGM−CSFに結合する能力を有するタンパク質。
  10. 【請求項10】以下の(a)または(b)のタンパク質
    をコードする遺伝子を含む、DNA分子: (a)次のアミノ酸配列を有するタンパク質: または (b)アミノ酸配列(a)において1ないし数個のアミ
    ノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有
    し、ヒトGM−CSFに結合する能力を有するタンパク質。
  11. 【請求項11】遺伝子が作動しうるようにプロモータに
    結合している、請求項9または10記載のDNA分子。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれかに記載の核酸ま
    たはDNA分子を有する、プラスミドまたはベクター。
  13. 【請求項13】請求項1〜11のいずれかに記載の核酸ま
    たはDNA分子を有する、組換細胞。
  14. 【請求項14】原核細胞である、請求項13記載の組換細
    胞。
  15. 【請求項15】真核細胞である、請求項13記載の組換細
    胞。
  16. 【請求項16】真核細胞が哺乳類、酵母、昆虫、真菌お
    よび植物から選択されるものである、請求項15記載の組
    換細胞。
  17. 【請求項17】真核細胞がサルCOS細胞である、請求項1
    5記載の組換細胞。
  18. 【請求項18】真核細胞が造血細胞であり、核酸が異種
    GM−CSFに対する低親和性受容体をコードするものであ
    る、請求項15記載の組換細胞。
  19. 【請求項19】真核細胞がGM−CSF依存性造血細胞であ
    る、請求項15記載の組換細胞。
  20. 【請求項20】以下の(a)または(b)のタンパク
    質: (a)次のアミノ酸配列を有するタンパク質: または (b)アミノ酸配列(a)において1ないし数個のアミ
    ノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有
    し、ヒトGM−CSF結合能を有するタンパク質。
  21. 【請求項21】以下の(a)または(b)のタンパク
    質: (a)次のアミノ酸配列を有するタンパク質: または (b)アミノ酸配列(a)において1ないし数個のアミ
    ノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有
    し、ヒトGM−CSF結合能を有するタンパク質。
  22. 【請求項22】合成または組換タンパク質である、請求
    項20または21記載のタンパク質。
  23. 【請求項23】請求項13〜19のいずれかに記載の組換細
    胞によって産生される、GM−CSF受容体。
  24. 【請求項24】請求項20〜23のいずれかに記載のタンパ
    ク質またはGM−CSF受容体に特異的に結合する、抗体ま
    たはその抗原結合性フラグメント。
  25. 【請求項25】第6B図の核酸配列7〜1807に対応する核
    酸を有する、プラスミドpGMR138。
  26. 【請求項26】第6B図の核酸配列7〜1709に対応する核
    酸を有する、プラスミドpGMR29。
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