JP3265779B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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定夫 河原
修一 山本
大成 小早川
敬 森本
昭三 長谷
潔 佐野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスクロール圧縮機の逆止
弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スクロール圧縮機の原理について図面と
ともに説明する。図3において、渦巻羽根2を有する固
定スクロールと固定スクロールの渦巻羽根2とほぼ対称
な渦巻羽根1を有する旋回スクロールとを互いに180
度ずらせた状態で噛み合わせることにより、径方向に左
右対称な複数個の圧縮作業領域3を形成している。ここ
で固定スクロールに対して旋回スクロールを0点を中心
に旋回運動させると、圧縮作業領域3の体積が連続的に
減少する。なお、旋回スクロールは自転拘束部品(図示
せず)により自転を拘束されている。これにより、図3
(a)の網目部分で示すように、渦巻羽根径方向外周部
分で取り込まれた流体が前記圧縮作業領域3の体積が連
続的に減少するに伴って中心部に向かって圧縮される。
図3(b)は図3(a)から旋回スクロールが90度旋
回した状態、図3(c)は図3(b)からさらに90度
旋回した状態を示す。そして、さらに90度近く旋回す
ると図3(d)に示すように、中心部付近まで圧縮され
た左右対称の圧縮作業空間3が連通し、固定スクロール
の中心部付近に設けられた吐出口4から圧縮された流体
が吐出させる。なお、吐出される流体の圧力は渦巻羽根
径方向外周部分で取り込まれる流体の圧力と渦巻羽根の
巻数及び比熱比とで決まる。
【0003】スクロール圧縮機は上記のような原理によ
り圧縮される容積形圧縮機の一種である。
【0004】ところで、このような原理によるスクロー
ル圧縮機においては中心付近まで圧縮された左右対称の
圧縮作業空間が、固定スクロールの中心部付近に設けら
れた吐出口に連通する瞬間に、吐出圧力よりも前記圧縮
作業空間の圧力が低い場合がある。すなわち、不足圧縮
の状態になる場合がある。そのために、吐出口を通し
て、連通した圧縮作業空間に流体が吐出空間から逆流す
る現象が発生する。このような現象が生じると圧力損失
やエネルギー損失を生じ、さらに吐出圧力の変動が増大
するという課題があった。
【0005】特に、径方向の大きさが制限される比較的
小型のスクロール圧縮機においては一般に渦巻羽根の巻
数を多くすることが難しく、中・大型のスクロール圧縮
機に較べて渦巻羽根の巻数をできるだけ少なく設計する
必要が生じる。それゆえ、圧力条件によっては、上記の
ような不足圧縮の状態が生じ易く、効率の低下を招いて
いた。
【0006】また、圧縮機停止時には吐出口から高圧ガ
スが流入し、旋回スクロールを逆転させてしまう現象を
招いていた。
【0007】そこで、上記の課題を解決するために、特
開昭55−35151号公報に示されているように、固
定スクロールの吐出口部分に逆止弁を設けるという手段
がある。この手段の一例の断面図を図4に示す。これに
より、上記のような不足圧縮時においても、吐出口11
2に連通した後の左右対称の圧縮作業空間の圧力が吐出
圧力以下では閉弁しており、前記吐出圧力より大きくな
ったときに開弁するので、連通した圧縮作業空間に流体
が逆流するような現象は発生せず、圧力損失やエネルギ
ー損失といった課題は生じない。
【0008】また、停止時は逆止弁により高圧ガスの流
入を防ぎ、旋回スクロールの逆転を防止する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
示す従来の構成による逆止弁では図4にあるように、前
記逆止弁221の一端を固定スクロール11に固定し、
他端の先端付近で吐出口112を開閉するようになって
いた。そのため、逆止弁221が固定スクロール11の
弁座20を加振し、この瞬間に大きな衝撃音が発生し、
スクロール圧縮機が本来有する静粛性という長所を損な
うという課題を有していた。
【0010】本発明は上記課題を解決するもので、スク
ロール圧縮機において逆止弁を配設し、不足圧縮現象を
解消するとともに逆止弁の閉弁時に発生する衝撃音を低
減した低騒音のスクロール圧縮機を提供することを目的
とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、固定スクロールの中心部近傍に設けられた
圧縮流体の吐出口を開閉するように逆止弁を長手方向の
中心部分にその一端を固定スクロールに配設固定し、前
記逆止弁の開弁高さを規制するための弁押えを備え、前
記固定スクロールの弁座形状を前記逆止弁の固定端とは
反対側の端部近傍を曲面にしたものである。
【0012】
【作用】本発明は上記手段により、吐出口が逆止弁の長
手方向の中心付近に位置するように逆止弁を配置し、逆
止弁が固定スクロールに固定されている側の反対側の弁
座を曲面としたことにより、逆止弁の固定スクロールに
固定されている側の反対の先端において衝突加振力が緩
和され、このとき衝突の際に発生する衝撃音を低減でき
る。
【0013】また、逆止弁とともに弁押えを配置し、弁
押えの断面形状を逆止弁が開弁したときの形状にほぼ近
い形状にして、逆止弁の開弁高さを制限することによ
り、逆止弁の信頼性を高める。
【0014】
【実施例】以下の本発明の一実施例のスクロール圧縮機
について図面を参照しながら説明する。
【0015】図1は本発明の一実施例のスクロール圧縮
機を縦断面図を示し、図2は本発明の実施例におけるス
クロール圧縮機の弁装置の断面図を示す。
【0016】図1において、圧縮機構は渦巻羽根111
を有する固定スクロール11、渦巻羽根101を旋回鏡
板102上に形成した旋回スクロール10及び自転拘束
部品12とから構成されており、前記固定スクロール1
1は軸受部材13とともに密閉容器17に固定されてい
る。前記旋回スクロール10の旋回鏡板102の渦巻羽
根101と反対側には軸103が設けてあり、この軸1
03は軸受部材13の軸受部132とボールベアリング
軸受部15によって回転自在に支承させた主軸14の一
端に形成された偏心穴部141で支承されている。主軸
14の両軸受部132、15の間には密閉容器17に固
定された固定子161と主軸14に固定され主軸ととも
に回転可能な回転子162とからなる電動機16が配置
されている。
【0017】従って、電動機16を駆動させることによ
り、主軸14が回転し、主軸14の偏心穴部141が偏
心回転運動を行う。これにより旋回スクロール10が自
転運動を行おうとするが、自転拘束部品12によって自
転を拘束されているので主軸14と旋回スクロール10
の軸部103との軸間距離を半径とする旋回運動を行
う。その結果、固定スクロール11の渦巻羽根111と
旋回スクロール10の渦巻羽根101をお互いに180
度ずらせた状態で噛み合わせることによって形成された
左右対称な複数個の圧縮作業空間19が吸入管18から
吸入した流体を吸入口113を経て流体を取り込み、前
記圧縮作業空間19の体積が減少するのに伴って連続的
に圧縮作業を行う。そして中心部分まで圧縮されると左
右対称の前記圧縮作業空間19が吐出口112と連通す
る。この連通した瞬間の前記圧縮作業空間19の圧力が
吐出空間20に較べて高い場合は弾性板からなる逆止弁
221が吐出空間20側に開弁して吐出口112と吐出
空間20が連通し、圧縮された流体が吐出される。もし
連通した瞬間の圧縮作業空間19の圧力が吐出空間20
の圧力以下の場合には逆止弁221はまだ開弁せず、さ
らに旋回スクロール10が旋回して流体を圧縮し、前記
圧縮作業空間19の圧力が吐出空間20より高くなって
初めて逆止弁221が開弁する。吐出された圧縮流体は
連通孔131を通って密閉容器内に流入し、吐出管21
から密閉容器17の外部に放出される。
【0018】弁装置22に含まれる弁押え222は逆止
弁221の開弁高さを制限するものである。これは、例
えば液圧縮現象を起こして逆止弁221の高さが過度に
大きくなった場合に逆止弁221が塑性変形をおこし
て、常時開弁した状態になるのを防いだり、あるいは疲
労破壊により逆止弁221が破断することを防止するた
めのものである。なお、液圧縮時は軸方向のコンプライ
アンス機構23が作動し、旋回スクロール10が軸受部
材13側に移動することにより、固定スクロール11の
渦巻羽根111先端に適当な隙間を形成してそこから液
流体を逃がして圧力の異常上昇を回避する。なお、逆止
弁221と弁押え222は予めリベットによって一体に
なっている。
【0019】なお、軸受部材の旋回スクロール10側に
は背圧仕切帯24が設置してあり、旋回鏡板102の前
記背圧仕切帯24中心側には吐出圧力が、また外側には
吸入圧力が作用し、通常運転中はスラスト力が作用する
ようになっている。
【0020】弁装置22は図2に示すように、固定スク
ロール11の弁座形状を前記逆止弁の固定端とは反対側
の端部近傍で曲面としているので、逆止弁221による
固定スクロール11への衝突加振力が緩和され、衝突の
際に発生する衝撃音を低減でき、大幅な騒音低減が図れ
る。
【0021】
【発明の効果】本発明は上記の説明から明らかなよう
に、固定スクロールの中心部近傍に設けられた圧縮流体
の吐出口を開閉する逆止弁を長手方向の中心部分に位置
するように前記逆止弁の一端を固定スクロールに配設固
定し、前記固定スクロールの弁座形状を前記逆止弁の固
定端とは反対側の端部近傍を曲面とする構成により、逆
止弁による衝突加振力を緩和させ、大幅な騒音低減効果
を得ることができる。
【0022】さらに、逆止弁とともに弁押えを配置し、
弁押えの断面形状を逆止弁が開弁したときの形状にほぼ
近い形状となるように弁押えによって開弁高さを規制し
ているので、逆止弁の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるスクロール圧縮機の
縦断面図
【図2】本発明の一実施例におけるスクロール圧縮機の
弁装置の断面図
【図3】(a)は同スクロール圧縮機の旋回スクロール
の旋回角度0度(吸入完了)の状態を示す断面図 (b)は同スクロール圧縮機の旋回スクロールの旋回角
度90度の状態を示す断面図 (c)は同スクロール圧縮機の旋回スクロールの旋回角
度180度の状態を示す断面図 (d)は同スクロール圧縮機の旋回スクロールの旋回角
度270度の状態を示す断面図
【図4】(a)は従来のスクロール圧縮機における弁装
置の断面図 (b)は同弁装置の平面図
【符号の説明】
1 固定スクロールの弁座 10 旋回スクロール 101 旋回スクロールの渦巻羽根 102 旋回鏡板 11 固定スクロール 111 固定スクロールの渦巻羽根 112 吐出口 113 吸入口 12 自転拘束部品 13 軸受部材 14 主軸 19 圧縮作業空間 20 吐出空間 22 弁装置 221 逆止弁 222 弁押え 223 弁装置固定用ボルト
フロントページの続き (72)発明者 小早川 大成 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 森本 敬 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 長谷 昭三 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 佐野 潔 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 18/02 311 F04C 29/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 渦巻羽根を有する固定スクロールと、こ
    の固定スクロールと噛み合わせて複数個の圧縮作業空間
    を形成配置した渦巻羽根を旋回鏡板上に形成した旋回ス
    クロールと、この旋回スクロールの自転を拘束して旋回
    運動を行わせるための自転拘束部品からなる圧縮機構
    に、前記固定スクロールの中心部近傍に設けられた圧縮
    流体の吐出口を開閉するように逆止弁を長手方向の中心
    部分にその一端を固定スクロールに配設固定し、前記逆
    止弁の開弁高さを規制するための弁押えを備え、前記固
    定スクロールの弁座形状を前記逆止弁の固定端とは反対
    側の端部近傍で曲面としたスクロール圧縮機。
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JP4872480B2 (ja) * 2006-06-23 2012-02-08 パナソニック株式会社 圧縮機
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