JP3265764B2 - 電子ビーム露光方法および装置 - Google Patents

電子ビーム露光方法および装置

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JP3265764B2
JP3265764B2 JP28694893A JP28694893A JP3265764B2 JP 3265764 B2 JP3265764 B2 JP 3265764B2 JP 28694893 A JP28694893 A JP 28694893A JP 28694893 A JP28694893 A JP 28694893A JP 3265764 B2 JP3265764 B2 JP 3265764B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体ウェーハやマス
ク上に、パターンデータをもとに直接パターンを描く、
直接描画方式の電子ビーム露光技術に関し、荷電粒子で
ある電子が反発しあってピントぼけをひきおこす、空間
電荷効果の低減を行い、かつ、電流密度の均一性を保
ち、均一なビーム電流で無駄なく露光する技術を提供す
るものである。
【0002】また、特に、ブランキングアパーチャアレ
イ(Blanking Aperture Array 以降BAAとよぶ)など
広い面積をもつスリット(またはスリットの集合体)に
対しては、均一照射範囲をオーバーせず、かつ、ラウン
ドアパーチャによるビームの絞りの効果をそこなわず
に、BAA全面にビームをあてることのできる技術を提
供するものである。
【0003】
【従来の技術】電子ビーム露光装置としては以下の4つ
の方法が実用化されている。 1.ビームをスポット状に使用し、その集合でパターン
を形成するポイントビーム方式。 2.二種類の矩形のスリットを用い、組み合わせかたを
変えることでサイズの異なる矩形ビームを形成し、その
集合でパターンを形成する可変矩形ビーム方式。
【0004】3.所望するパターン形状をもつステンシ
ルマスクを使用し、パターンごとに交換して焼き付ける
ステンシルマスク方式。 4.二次元のスリットの集合を使用し、各スリットをオ
ン/オフすることで、任意のパターンを形成するBAA
方式。
【0005】図7に従来用いられている、電子ビーム光
学系の構成図を示す。なお、偏向器等、一部は省略して
描いている。LaB6 フィラメント71により電子ビー
ムを発生する。レンズは第1レンズ74から第6レンズ
84まであり、第1、第2、第3レンズ74、76、7
7は集束レンズ、第4、第5レンズ80、82は縮小レ
ンズ群、第6レンズ84は投影レンズである。
【0006】第1レンズ74と第2レンズ76の間に第
1スリット75が、第3レンズ77内に第2スリット7
8があり、第3レンズ77と第4レンズ80の間にはビ
ームをオン/オフするためのブランキング電極79があ
る。なお、第2スリット78は各方式によって異なり、
可変矩形ビーム方式の場合は矩形であり、ステンシルマ
スク方式の場合には、マスクのパターン形状をしてお
り、BAA方式の場合には、BAAのスリットとなる。
【0007】また、第4レンズ80と第5レンズ82の
間には解像度を上げるために用いる、ビームを絞るラウ
ンドアパーチャ81がある。第6レンズ84には、ビー
ムを偏向するときに発生する非点収差を補正するため
に、四極場を発生する非点収差補正コイル83があり、
主偏向器の偏向位置にあわせて補正量を変化させる動的
補正を行っている。
【0008】なお、非点収差補正用の四極場コイルの動
作原理、効果に関しては、たとえば電子・イオンビーム
ハンドブック (第2版 日刊工業新聞社、昭和61年9 月
25日発行) の72頁から83頁にかけて記述されている。図
中で、実線は電子銃のビームによるクロスオーバー像の
発散、集束を示し、点線は、スリット像の発散、集束を
示している。
【0009】LaB6 フィラメント71で構成された電
子銃から出された電子ビームは、実線に示すように第
2、第3レンズ76、77の間と、ブランキング電極7
9、ラウンドアパーチャ81および第6レンズ84中で
集束して、クロスオーバー像を結像する。第1スリット
75の像は点線で示すように、第2スリット78に結像
され、ここで生じた第2スリット像(可変矩形ビームの
場合には、第1スリットと第2スリットをあわせた像)
は、第4、5レンズ80、82により縮小され、ラウン
ドアパーチャ81により絞られ、投影レンズである第6
レンズ84によって試料台86上の試料85に転写され
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来用いられていた電
子ビーム露光装置では、以下に述べる欠点があった。一
番目の問題点として、ビームぼけを引き起こす空間電荷
効果を小さくすることができないという問題があった。
空間電荷効果は、ビームの飛距離と電流値に比例する。
したがって、ビームの飛距離(=レンズの焦点距離)を
小さくしたり、電流値を小さくすれば、抑えることがで
きる。
【0011】しかし、レンズの焦点距離を小さくするに
は、ビームの屈折率を大きくしなければならない。この
ため、レンズの磁場強度を大きくしなければならず、レ
ンズコイルの電流を多く流す必要がある。この結果、レ
ンズコイルの発熱が大きくなり、この発熱で試料が膨張
をおこし、位置合わせずれやパターンずれなどの問題を
引き起こした。
【0012】また、たとえ発熱の問題をクリアできたと
しても、レンズコイルの磁極に用いる材料の飽和磁極密
度を越えて磁場強度を大きくすることはできないため、
レンズの磁場強度を大きくするには限界があった。一
方、ビームの電流値を下げる対策では、一定の露光量を
確保するために、ショットの時間を長くしてトータルの
電流値を一定にする必要があり、スループットを下げざ
るを得ないという問題があった。
【0013】したがって、従来の方式では、空間電荷効
果を避ける有効な手段をとることができなかった。二番
目の問題点として、ビームの均一照射部の有効面積に対
して、スリットによって切りだした面積が小さいことに
より、効率的にビームを使用できないという問題があっ
た。
【0014】図8は、ビームの均一照射範囲に対する、
スリットによるビームの利用効率を説明する図である。
ビームの均一照射範囲を直径φの円形とし、短辺m、長
辺amの長方形のスリットを切りだすとすると、ビーム
の均一照射面積S1 とスリット面積S2 はそれぞれ、 S1 =π(φ/2)2 =(π/4)φ22 =am・m となる。
【0015】図でピタゴラスの定理から、 φ2 =(am)2 +m2 =(a2 +1)m2 ∴ S2 =am・m=am2 =aφ2 /(a2 +1) したがって、ビーム有効利用率S2 /S1 は、次式であ
らわされる。
【0016】
【数1】 図9は、ビームの有効利用率を示すグラフで、横軸は長
方形スリットの短辺と長辺の比a、縦軸は有効利用率S
2 /S1 である。a=1の正方形のときに、有効利用率
が約64%で最大になり、a>1やa<1の長方形のと
きには、下がることが分かる。
【0017】第2スリットとして、たとえば長辺と短辺
の比が3(a=3)の長方形のものを使用した場合に
は、有効利用率が約38%にまで低下してしまう。通常
用いるスリットは、正方形とは限らない。したがって、
やはり、電流密度が低く、ショット時間が長くなるた
め、スループットが上げられないという問題があった。
【0018】三番めに、特に、BAA方式を用いる問題
点として、BAAに照射するビーム範囲を大きくできな
いという問題があった。BAAは、それまで使用してい
た可変矩形ビーム方式や、ステンシルマスク方式にくら
べて、第2スリット(=BAA)の大きさが巨大になっ
ている。しかし、照射ビームはスリット全面に対して均
一にしなければならない。
【0019】第1スリットの大きさを大きくした場合に
は、電子銃から出てくるビームを絞る効果が小さくな
り、均一照射範囲よりも広い断面積のビームが出るた
め、ビームの均一性が下がる。逆に、第1スリットの大
きさを小さくした場合には、電子銃から出てくるビーム
を絞ることができるため、均一性を上げることができる
が、第2スリットに対する拡大率は大きくしなければな
らない。
【0020】スリット像の拡大率が大きくなると、クロ
スオーバー像の縮小率が大きくなるため、ラウンドアパ
ーチャ部分でのクロスオーバー像が小さくなり、ビーム
を絞る効果が小さくなり、やはり、ビームの均一性が下
がる。このとき、ビームの均一性を上げるためにラウン
ドアパーチャの絞りを小さくすると、電流密度の低下を
招き、スループットを下げることとなる。
【0021】したがって、BAAに均一に照射し、か
つ、試料にも均一に露光する方法がなかった。以上述べ
たように従来方式では、空間電荷効果を抑えることが
できない。ビームの有効利用率を上げられないため
に、ショット時間を短縮することができない。BAA
タイプのスリット全面に、均一なビームを照射し、かつ
試料にも均一に照射することができない。といった問題
があった。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決した電子ビーム露光技術を提供するものである。前
記課題は、縮小レンズの前段に設けた非点収差発生手段
を用いて非点収差を発生させる工程と、前記縮小レンズ
の後段に設けた非点収差補正手段を用いて前記発生した
非点収差を補正する工程と、投影レンズを用いて試料上
に露光する工程とを具備することを特徴とする電子ビー
ム露光方法によって解決される。
【0023】または、前記非点収差を補正するコイルと
して、前記投影レンズ内に設けた非点収差補正手段を用
いることを特徴とする電子ビーム露光方法によって解決
される。または、第1のスリットの後段で、かつ、クロ
スオーバ像が結像される位置に設けた非点収差発生手段
を用いて非点収差を発生させる工程と、第2スリットの
後段に設けた非点収差補正手段を用いて前記発生した非
点収差を補正する工程と、投影レンズを用いて試料上に
露光する工程とを具備することを特徴とする電子ビーム
露光方法によって解決される。
【0024】または、第1のスリットの前段に設けた非
点収差発生手段を用いて非点収差を発生させる工程と、
前記第1のスリットよりも後段で第1のスリット像が集
束する、第2のスリットの、後段に設けた非点収差補正
手段を用いて、前記非点収差を補正する工程と、投影レ
ンズを用いて試料上に露光する工程とを具備することを
特徴とする電子ビーム露光方法によって解決される。
【0025】または、前記第2のスリットとして、ブラ
ンキングアパーチャアレイを用いることを特徴とする電
子ビーム露光方法によって解決される。または、縮小レ
ンズと、前記縮小レンズの前段に設けた非点収差発生手
段と、前記縮小レンズの後段に設けた非点収差補正手段
とを具備することを特徴とする電子ビーム露光装置によ
って解決される。
【0026】または、第1のスリットと、前記第1のス
リットの後段で、かつ、クロスオーバ像が結像される位
置に設けた非点収差を発生する非点収差発生手段と、第
2スリットと、前記第2スリットの後段に設けた前記発
生した非点収差を補正する非点収差補正手段とを具備す
ることを特徴とする電子ビーム露光装置によって解決さ
れる。
【0027】または、第1のスリットと、前記第1のス
リットの前段に設けた非点収差を発生する非点収差発生
手段と、前記第1のスリットよりも後段で第1のスリッ
ト像が集束する、第2のスリットと、前記第2のスリッ
トの後段に設けた前記非点収差を補正する非点収差補正
手段とを具備することを特徴とする電子ビーム露光装置
によって解決される。
【0028】
【作用】縮小レンズの前段で非点収差を発生させること
でビームの集中を防ぎ、空間電荷効果を防ぐことができ
る。発生させた非点収差は縮小レンズの後段で補正する
ことで、収差のないパターンを焼き付けることができ
る。また、第1スリットの前段の位置や、後段のクロス
オーバ像が結像される位置で非点収差を発生させること
で、BAAタイプのような大きな第2スリット全面に均
一にビームを照射することができる。発生させた非点収
差は第2スリットの後段で補正することで、収差のない
パターンを焼き付けることができる。
【0029】以下に本発明の効果について説明する。図
1は本発明の原理説明図であり、1はスリット像、2は
非点収差発生手段、3は非点収差が発生してないときの
クロスオーバー像、4は非点収差を発生させたときのク
ロスオーバー像、5は縮小レンズ、6は縮小されたスリ
ット像である。
【0030】スリット像1と縮小レンズ5との距離は10
0 mmであり、クロスオーバー像3、4が縮小レンズ5
の手前20mmの面に結像されている。非点収差発生手段
2がない場合には、クロスオーバー像3は半径QS=25
0 μmの円である。縮小レンズ5の焦点距離を20mmと
すれば、幾何光学の公式 1/f=1/s+1/s’ (f:焦点距離、s:レンズと物面の距離、s’:レン
ズと像面の距離)より、像は縮小レンズから25mmの位
置にできる。
【0031】したがって、50μm□のスリット像1は、
縮小レンズ5により、s’/s、すなわち、25/100 =
1/4に縮小されて12.5μm□の像6が結像する。本発
明により、非点収差発生手段を用いて、たとえば1:3
にクロスオーバー像3を引き延ばしたとする。引き延ば
されたクロスオーバー像4は長半径QR=750 μm、短
半径250 μmの長円状となる。
【0032】非点収差発生手段により、スリット像1が
縮小レンズ5から75mmの位置Pから発するように調節
されたとすると、△PQRと△PQ’R’の相似から、 PQ:PQ’=QR:Q’R’ ∴ 55 : 75 =750 :Q’R’ ∴ Q’R’ =1023μm したがって、クロスオーバー像4の面で750 μmに引き
延ばされたスリット像1は、縮小レンズ5の面では1023
μmに引き延ばされる。
【0033】ここで、縮小レンズ5の焦点距離は20mm
であるから、前記の幾何光学の公式を用いて、スリット
像1の引き延ばされた方向(非点収差を生じた方向)の
像面の位置を求めると、像は縮小レンズ5から27.3m
m、像6の位置から2.3 mmの位置にできる。△P’
Q’R’と△P’Q''R''の相似から P' Q' :P' Q''=Q’R’:Q''R'' ∴ 27.3 : 2.3 =1023 :Q''R'' ∴ Q''R'' =86.2μm したがって、縮小された像6の位置では、非点収差を含
んだぼけた像の大きさは、近似的に長さ86.2×2 =172.
4 μm、幅12.5μmの長方形となる。
【0034】このことから、非点収差発生手段を用いな
い場合のスリット像面積が12.5×12.5μm2 =156 μm
2 であるのに対して、非点収差発生手段を用いた場合の
スリット像面積は、172.4 ×12.5μm2 =2155μm2
なる。空間電荷効果は電流密度の2乗に比例するため、
面積の2乗に反比例する。したがって、本発明によれば
空間電荷効果は156 2 /21552 =5.24×10-3と、約0.5
%におさえることが可能となる。
【0035】ここで生じた非点収差を、後段の四極場コ
イルなどの非点収差補正手段を用いて補正することによ
り、空間電荷効果をおさえた露光を行うことができる。
次に、ビームの均一照射部の有効使用率に対する効果に
ついて説明する。図2は、本発明によるビームの均一照
射範囲に対する、スリットのビーム有効利用率の効果を
説明する図である。
【0036】非点収差によって横のびしたビームの均一
照射範囲を長径bφ、短径φの長円とする。ただし、簡
単のため楕円ではなく、長辺(b−1)φ、短辺φの長
方形に、直径φの半円が組み合わさっているものと近似
して考える。短辺m、長辺amの長方形をスリットで切
りだすとすると、ビームの均一照射範囲面積S1 とスリ
ット面積S2 はそれぞれ、 S1 =π(φ/2)2 +(b−1)φ2 =(π/4+b−1)φ22 =am・m ピタゴラスの定理より、 (φ/2)2 =(m/2)2 +〔{am−(b−1)φ}/2〕2 ∴ φ2 =m2 +{am−(b−1)φ}2 =(a2 +1)m2 −2a(b−1)φm+(b−1)2 φ2 ∴ (a2 +1)m2 −2a(b−1)φm+(b2 −2b)φ2 =0 2次方程式の根の公式より、m>0となるmの値を求め
ると、
【0037】
【数2】 2 に代入して、
【0038】
【数3】 したがって、利用効率S2 /S1 は、
【0039】
【数4】 図3は、本発明でのビームの利用効率を示すグラフで、
横軸はスリットの縦横比a、縦軸はビームの利用効率S
2 /S1 であり、クロスオーバー像の長短比bをパラメ
ータとしてふっている。スリットの形(aの値)にあわ
せて、クロスオーバー像の形状(bの値)を適当に選ぶ
ことで、ビーム利用効率を上げることができる。
【0040】スリットがa=1の正方形のときには、ク
ロスオーバー像はb=1の円形で利用効率が最大にな
る。これは、従来用いられていた方式と一致するが、そ
れでも約64%である。BAAのように、たとえばa=
3の長方形のスリットの場合には、クロスオーバー像と
して、3:1(b=3)を選ぶことによって、ビームの
利用効率を約79%にまで上げることができる。
【0041】したがって、電流密度が上げることができ
るため、ショット時間を短くし、スループットを上げる
ことができる。また、スリットの形状にあわせてクロス
オーバー像の形状を選択することで、第1スリットの大
きさは小さくした状態で、第2スリットに対する拡大率
を低くおさえることができ、クロスオーバー像の縮小率
を下げることができる。
【0042】したがって、第1スリットとラウンドアパ
ーチャでともにビーム整形を行うことができるため、試
料に対して均一な照射を行うことができる。また、ラウ
ンドアパーチャの絞りを小さくする必要がないため、電
流密度も下げなくてすみ、ショット時間を短くし、スル
ープットを上げることができる。
【0043】
【実施例】図4は本発明の第1の実施例を説明するため
の電子ビーム露光装置の構造を説明する模式図である。
なお、偏向器等、本発明に直接関係しない部分は省略し
て描いている。LaB6 フィラメント11より電子ビー
ムを発生する。レンズは第1レンズから第6レンズまで
あり、第1、第2、第3レンズ14、16、17は集束
レンズ、第4、第5レンズ20、22は縮小レンズ群、
第6レンズ24は投影レンズである。
【0044】試料25は試料台26の上に設置される。
第1レンズ14と第2レンズ16の間には、500 μm□
の第1のスリット15があり、ビームの不要な部分が除
去される。第3レンズ17内には、第2スリットとして
BAA18があり、128行、8列の1024個のスリ
ットが集合している。
【0045】第3レンズ17と第4レンズ20の間に
は、ビームをオン/オフするためのブランキング電極1
9があり、第4レンズ20と第5レンズ22の間にビー
ム整形用のラウンドアパーチャ21がある。第6レンズ
24には、ビームを偏向するときに発生する非点収差を
補正するために、四極場を発生する非点収差補正コイル
23があり、主偏向器の偏向位置にあわせて補正量を変
化させる動的補正を行っている。
【0046】図中で、実線は電子銃によるビームの発
散、集束を示し、点線は、スリット像の発散、集束を示
している。LaB6 フィラメント11で構成された電子
銃から出された電子ビームは、実線に示すように第2、
第3レンズ16、17の間と、ブランキング電極19、
ラウンドアパーチャ21および第6レンズ24中で集束
して、クロスオーバー像を結像する。
【0047】第1スリット15の像は点線で示すよう
に、第2スリット18に結像され、ここで生じたBAA
18による第2スリット像は、ラウンドアパーチャ21
の前と第6レンズ24の前および試料面に集束して結像
する。500 μm□の大きさの第1スリット像は、第2レ
ンズ14と第3レンズ16の前段部により6倍に拡大さ
れて、第3レンズ17中のBAA18面に3mm□のビ
ーム照射範囲を形成する。
【0048】BAA18の大きさは、3×1mm2 で、
1024個のスリットは個々にオン/オフが可能である
ため、最大1024個の点で任意の2次元図形を表すこ
とができる。BAA18によって作られた第2スリット
像は、第4、第5の縮小レンズ20、22で縮小され、
ラウンドアパーチャ21により整形され、第6レンズ2
4によって試料25に転写される。
【0049】本実施例では、第4レンズ20とラウンド
アパーチャ21の間に、四極場発生コイル27を設置
し、非点収差を生じさせている。このことにより、第5
レンズ22と第6レンズ24の間にあるスリット像の集
束する、最も電界効果のおきやすい位置でも、非点収差
により電流密度を下げることができるため、従来例にく
らべて空間電荷効果を少なくすることができる。
【0050】四極場発生コイル27によって生じた非点
収差により、第5レンズ22を通した第2スリット像も
非点収差をもって広がっている。しかし、第6レンズ2
4内に入っている非点収差補正用の四極場発生コイルを
用いることにより、収差を補正することができる。もち
ろん、収差補正は、第5レンズ22と第6レンズ24と
の間に、四極場発生コイルを別に設けて、行ってもかま
わない。
【0051】図5は本発明の第2の実施例を説明するた
めの電子ビーム露光装置の構造を説明する模式図であ
る。図4と同じ番号や記号は、同じ部分または相当する
部分を示している。本実施例では、第2レンズ16と第
3レンズ17との間に、非点収差を発生する四極場発生
コイル28を設置し、第3レンズ17の後段に非点収差
補正用の四極場発生コイル29を設置している。
【0052】250 μm□の大きさの第1スリット像は、
第2レンズ14と第3レンズ16の前段部により4倍に
拡大され、かつ、非点収差発生用コイル28により、3
倍に引き延ばされることにより、第3レンズ17中のB
AA18面に3×1mm2 のBAA18と同じ大きさの
ビーム照射範囲を形成する。BAAによる第2スリット
像は、非点収差補正コイル29により、収差を補正さ
れ、縮小レンズ20、21と投影レンズ24で試料25
に露光される。
【0053】本実施例では、第1実施例にくらべて第1
スリットの大きさが小さく、かつ、第2スリットでの拡
大率も小さいため、第1スリットとラウンドアパーチャ
でともにビーム整形を行うことができ、試料25に対し
て均一な照射を行うことができる。図6は本発明の第3
の実施例を説明するための電子ビーム露光装置の構造を
説明する模式図である。図4と同じ番号や記号は、同じ
部分または相当する部分を示している。
【0054】本実施例では、第1レンズ14の前に非点
収差発生用の四極場発生コイル28を設置し、第3レン
ズ17の後段に非点収差補正用の四極場発生コイル29
を設置している。電子銃より発生したビームは、非点収
差発生コイル30により、3倍に引き延ばされた状態で
第1スリットに照射される。第1スリットは750 ×250
μm2 の大きさをもっており、第1スリット像は、第2
レンズ14と第3レンズ16の前段部により4倍に拡大
されて、第3レンズ17中のBAA18面に3×1mm
2のBAA18と同じ大きさのビーム照射範囲を形成す
る。
【0055】BAAによる第2スリット像は、非点収差
補正コイル29により、収差を補正され、縮小レンズ2
0、21と投影レンズ24で試料25に露光される。本
実施例では、第2実施例にくらべて第1スリットの大き
さが大きいが、ビームも3倍に引き延ばされているた
め、スリットの効果は変わらない。また、第2実施例と
同じく第2スリットでの拡大率も小さくできるため、第
1スリットとラウンドアパーチャでともにビーム整形を
行うことができ、試料25に対して均一な照射を行うこ
とができる。
【0056】上記第2、3実施例では、非点収差発生コ
イルを第2スリットの前後にのみ置いたが、第1実施例
で示したように、縮小レンズの前後にも設置することに
より、空間電荷効果を避ける効果も得られるのは言うま
でもない。また、第1〜3実施例で、第2スリットとし
てBAAの場合を示したが、可変矩形ビーム方式や、ス
テンシルマスク方式でも同様な結果が得られるのは言う
までもない。
【0057】
【発明の効果】本発明では、縮小レンズの前段に非点収
差発生手段を、後段に非点収差補正手段を配置し、縮小
レンズの前段で非点収差を発生させ、後段でスリット像
の非点収差を補正して露光することにより、空間電荷効
果をおさえた電子ビーム露光ができる。
【0058】非点収差補正手段として投影レンズ内の非
点収差補正コイルを用いても、同様に空間電荷効果をお
さえた電子ビーム露光ができる。また、第1スリットの
前段に非点収差発生手段を、第2スリットの後段に非点
収差補正手段を配置し、第1スリットの前段で非点収差
を発生させることで、第2スリット全面にビームを均一
に照射することができ、第2スリットの後段で非点収差
を補正することで、第1スリットとラウンドアパーチャ
によるビームの整形ができ、均一な電子ビーム露光を行
うことができる。
【0059】また、第1スリットの後段のクロスオーバ
像が結像される位置に非点収差発生手段を、第2スリッ
トの後段に非点収差補正手段を配置し、第1スリットの
後段で非点収差を発生させることで、第2スリット全面
にビームを均一に照射することができ、第2スリットの
後段で非点収差を補正することで、第1スリットとラウ
ンドアパーチャによるビームの整形ができ、均一な電子
ビーム露光を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】本発明による、ビーム利用効率の効果を説明す
る図である。
【図3】本発明による、ビーム利用効率の効果を示すグ
ラフである。
【図4】本発明の第1実施例を示す電子ビーム露光装置
の模式図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す電子ビーム露光装置
の模式図である。
【図6】本発明の第3実施例を示す電子ビーム露光装置
の模式図である。
【図7】従来例を示す電子ビーム露光装置の構成図であ
る。
【図8】従来例による、ビーム利用効率を説明する図で
ある。
【図9】従来例による、ビーム利用効率を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 スリット像 2 非点収差発生手段 3 非点収差がないときのクロスオ
ーバー像 4 非点収差があるときのクロスオ
ーバー像 5 縮小レンズ 6 スリット像の縮小投影像 11,71 フィラメント 12,72 ウェーネルト 13,73 アノード 14,74 第1レンズ 15,75 第1スリット 16,76 第2レンズ 17,77 第3レンズ 18,78 第2スリット 19,79 ブランキング電極 10,80 第4レンズ 21,81 ラウンドアパーチャ 22,82 第5レンズ 23,83 投影レンズ内の非点収差補正用
四極場コイル 24,84 第6レンズ(投影レンズ) 25,85 試料 26,86 試料台 27,28,30 非点収差発生用四極場コイル 29,31 非点収差補正用四極場コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 洋 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−271609(JP,A) 特開 平1−105534(JP,A) 特開 昭54−23381(JP,A) 特開 平1−276719(JP,A) 特開 平5−190430(JP,A) 特開 昭62−176127(JP,A) 特開 昭53−145476(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縮小レンズ(22)の前段に設けた非点収差
    発生手段(27)を用いて非点収差を発生させる工程と、 前記縮小レンズ(22)の後段に設けた非点収差補正手段を
    用いて前記発生した非点収差を補正する工程と、 投影レンズ(24)を用いて試料(25)上に露光する工程とを
    具備することを特徴とする電子ビーム露光方法。
  2. 【請求項2】 前記非点収差を補正する手段として、前
    記投影レンズ内に設けた非点収差補正手段(23)を用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の電子ビーム露光方法。
  3. 【請求項3】 第1のスリット(15)の後段で、かつ、ク
    ロスオーバ像が結像される位置に設けた、非点収差発生
    手段(28)を用いて非点収差を発生させる工程と、 第2スリット(18)の後段に設けた非点収差補正手段(29)
    を用いて前記発生した非点収差を補正する工程と、 投影レンズ(24)を用いて試料上に露光する工程とを具備
    することを特徴とする電子ビーム露光方法。
  4. 【請求項4】 第1のスリット(15)の前段に設けた非点
    収差発生手段(30)を用いて非点収差を発生させる工程
    と、 前記第1のスリット(15)よりも後段で第1のスリット像
    が集束する、第2のスリット(18)の後段に設けた非点収
    差補正手段(31)を用いて、前記非点収差を補正する工程
    と、 投影レンズ(24)を用いて試料(25)上に露光する工程とを
    具備することを特徴とする電子ビーム露光方法。
  5. 【請求項5】 前記第2のスリット(18)として、ブラン
    キングアパーチャアレイを用いることを特徴とする前記
    請求項3または4記載の電子ビーム露光方法。
  6. 【請求項6】 縮小レンズ(22)と、前記縮小レンズの前
    段に設けた非点収差発生手段(27)と、前記縮小レンズの
    後段に設けた非点収差補正手段とを具備することを特徴
    とする電子ビーム露光装置。
  7. 【請求項7】 第1のスリット(15)と、前記第1のスリ
    ット(15)の後段で、かつ、クロスオーバ像が結像される
    位置に設けた非点収差を発生する非点収差発生手段(28)
    と、第2スリット(18)と、前記第2スリット(18)の後段
    に設けた前記発生した非点収差を補正する非点収差補正
    手段(29)とを具備することを特徴とする電子ビーム露光
    装置。
  8. 【請求項8】 第1のスリット(15)と、前記第1のスリ
    ット(15)の前段に設けた非点収差を発生する非点収差発
    生手段(30)と、第2のスリット(18)と、前記第1のスリ
    ット(15)よりも後段で第1のスリット像が集束する、前
    記第2のスリット(18)の後段に設けた前記非点収差を補
    正する非点収差補正手段(31)とを具備することを特徴と
    する電子ビーム露光装置。
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