JP3265263B2 - 固形ルウの製造方法 - Google Patents
固形ルウの製造方法Info
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Description
シチュー等を作るために用いる容器入り固形ルウの製造
方法に関するものである。
作るために用いる固形ルウは、小麦粉、食用油脂、調味
料などを加熱混合した後、これを容器に入れ冷却固化す
ることにより製造されている。この冷却固化は、通常室
温で放置する方法で行われるが、冷却固化処理に長時間
を要し、また冷却固化処理後、ルウ表面に油脂が浮き出
るという問題があった。これに対し、ルウの油浮きを防
止するために比較的低い温度で冷却処理を施した場合、
冷却後、ルウ表面に光沢のある縞模様が発生するという
新たな問題が生じた。
油浮きを防止でき、かつルウ表面に光沢のある縞模様が
発生しない、品質の優れた容器入り固形ルウの製造方法
を提供することを目的とする。
結果、加熱溶融ルウを容器に充填した後、該ルウの冷却
処理を、その表面温度が特定温度範囲を特定の短時間内
に通過するように急速に行うことにより、所期の目的が
達成されることを見い出した。すなわち、本発明は、澱
粉質原料、油脂及び調味料を含む原料を加熱混合処理し
て得られた加熱溶融ルウを容器に充填した後、冷却固化
させる固形ルウの製造方法において、加熱溶融ルウを容
器に充填した後、ルウの表面温度を5分以内に上記油脂
の上昇融点より5℃以上低い温度にまで冷却すると共
に、この際、上記ルウの表面温度が上記油脂の上昇融点
の±5℃に相当する温度域を2分以内に通過させること
を特徴とする固形ルウの製造方法を提供する。
水と共に、生の肉や野菜、茹でた肉や野菜等の食材を必
要に応じて加え、煮込み等で加熱調理することにより、
カレー、ハヤシ、シチュー等の所望の食品を調理するた
めの食品素材である。
料としては、小麦粉、コーンスターチ等を挙げることが
できる。固形ルウ中の澱粉質原料の含有量は、1〜40
重量%(以下、%と略称する。)が好ましく、特に10
〜30%が好ましい。本発明では、小麦粉をそのまま原
料として使用することができるが、小麦粉を食用油脂
(特に豚脂と牛脂の混合油脂)を用いて予め焙煎処理し
てから用いると、得られるルウの風味を向上させること
ができるので好ましい。この際、小麦粉1重量部当たり
食用油脂を0.5〜2重量部の割合で用いるのがよい。
脂としては、天然油脂、加工油脂及びこれらの混合物の
いずれをも使用することができる。具体的には、バタ
ー、マーガリン、豚脂、牛脂、あるいはこれらの混合物
等が例示できる。上記食用油脂の固形ルウ中の含有量
は、25〜45%が好ましく、特に30〜40%が好ま
しい。油脂含量が多い場合には、油脂がルウ表面上に浮
き出し、外観が損なわれやすい。反対に、油脂含量が少
ない場合には、ルウの物性が固くなり、これを容器に充
填する作業等を円滑に行いにくくなる。
カレー、ハヤシ、ビーフシチュー等のルウを製造すると
きに使用されるものが挙げられる。具体的には、食塩、
各種ブイヨン、グルタミン酸ナトリウム、トマト、リン
ゴ、ニンジン、ガーリック、ジンジャー、チーズなどの
粉末或るいはペースト、脱脂粉乳等が例示できる。ま
た、調味料の固形ルウ中の含有量は、所望に応じて決定
することができるが、20〜50%が好ましく、特に3
0〜40%が好ましい。また、カレー粉等の香辛料を用
いてもよく、香辛料の固形ルウ中の含有量は、所望に応
じて決定することができるが、1〜8%、特に3〜6%
が好ましい。また、本発明においては、小麦粉等の澱粉
質原料、油脂及び調味料を含む原料が、乳化剤を含まな
いのが好ましい。つまり、上記原料が乳化剤を含む場合
は、ルウの油浮きをある程度防止することができる反
面、ルウの風味・香りの際立ちが弱くなる。従って、本
発明によれば、乳化剤を用いなくともルウの油浮きを好
適に防止することができるため、ルウの風味・香りの際
立ちを有効に活かすことができる。尚、ここでいう乳化
剤とは、合成乳化剤のことを指しており、天然原料が元
来的に含有しているものまでを指すものではない。
ウを製造する。加熱混合は、ミキサー中で70〜120
℃で、20〜60分間行うのがよい。このようにして加
熱溶融したルウをそのまま容器に充填することができる
が、該ミキサー中であるいは他の冷却装置を用いて50
〜65℃程度に冷却した後、容器に充填してもよい。ま
た、本発明においては、任意の形状及び容量を有する容
器を使用することができるが、トレイ状容器を用いるの
が好ましい。トレイ状容器の材質も任意とすることがで
きる。例えば、トレイ状容器としては、高さ15〜50
mm、長さ80〜250mm、幅80〜150mmでポ
リプロピレン/EVOH/ポリプロピレン製(厚み0.2
〜0.5mm)のものが好ましく、直方体又は立方体形の
ものであってもよい。
に充填した後、その表面温度を5分以内、好ましくは3
分以内に、上記油脂の上昇融点より5℃以上低い温度
(好ましくは上記油脂のSFCが10%以上となる温
度)、好ましくは8℃以上低い温度(好ましくは上記油
脂のSFCが20%以上となる温度)にまで冷却する。
また、この際、上記ルウの表面温度が、上記油脂の上昇
融点の±5℃に相当する温度域(又は上記油脂のSFC
が0〜10%となる温度域)を2分以内、好ましくは1
分30秒以内に通過させる。本発明においては、冷却固
化後に密封包装をすることができるが、冷却固化の前に
密封包装することもできる。本発明では、上記冷却を任
意の方法で行い得るが、一例として、加熱溶融ルウを充
填した容器をスチールなどの金属製の搬送面を有するコ
ンベヤの搬送面に載せて−30〜−10℃の冷却室内に
搬送するとともに、上記搬送面を冷却媒体を当てるなど
の適宜手段によって冷却し、冷却された搬送面からの伝
達によって冷却することが好ましい。これにより、加熱
溶融ルウの冷却処理を急速に行うことができる。尚、上
記冷却は、市販のスチールベルトフリーザーなどを用い
て実施することができる。
じ、残ったわずかな量の固相が存在するまま全体が流動
を開始する温度のことをいい、用いる油脂によって変動
する。油脂のSFCとは、液体油のNMRのシグナルの
大きさを基準にして求めた、所定温度における固体脂含
量の百分率のことをいう。また、ルウの表面温度とは、
ルウの表層3mm以内の部分の温度のことであり、熱電
対を突き刺すことによって容易に測定することができ
る。
止でき、かつルウ表面に光沢のある縞模様が発生しな
い、品質の優れた固形ルウの製造方法が提供される。本
発明により製造されたルウは、カレールウ、シチュー用
ルウ、ハヤシライス用ルウなどとして、幅広く使用する
ことができる。次に実施例により本発明を説明する。
0重量部を用いて焙煎処理した小麦粉ルウ50重量部、
食用油脂(豚脂と牛脂の混合脂)5重量部、カレー粉5
重量部、食塩10重量部及び各種ブイヨン等の調味料3
0重量部をミキサーにて90℃で30分間加熱混合して
溶融状のルウを得た後、これを一旦60℃まで冷却し、
この溶融状のルウ250gを充填機によりトレイ状容器
に充填した。ここで用いたトレイ状容器は、ポリプロピ
レン/EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体
又はエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物)/ポリプロ
ピレン厚さ0.3mm、高さ22mm、長さ190mm、
幅95mmの上方に開放部を有する直方体状のトレイで
ある。また、上記食用油脂は、上昇融点が約46℃のも
のである。次いで、溶融したルウ250gを充填したト
レイ状容器をスチールベルトフリーザーのスチールベル
ト(搬送面)に載せて、風速1.5m/秒の−20℃の冷
風が流れる冷却室内に搬送するとともに、上記搬送面に
−35℃の冷却板を当てて冷却しながら、当該ルウの表
面温度をトレイ状容器に充填後約3分間で約38℃(上
記食用油脂のSFCが約20%となる温度)にまで冷却
固化した。また、この際、上記ルウの表面温度は51〜
41℃の温度域(上記食用油脂のSFCが約0〜14%
となる温度域)を約1分20秒で通過していた。得られ
た固形ルウの表面には、油浮きや光沢のある縞模様がな
く、品質の優れたものであった。この後、トレイ状容器
の開放部にポリプロピレンテレフタレート/EVOH/
シーラントからなる蓋シートを載せ、カートンに入れた
後、カートンをプラスチックフィルムで密封収容し、ト
レイ状容器入り固形ルウを得た。
Claims (3)
- 【請求項1】 澱粉質原料、油脂及び調味料を含む原料
を加熱混合処理して得られた加熱溶融ルウを容器に充填
した後、冷却固化させる固形ルウの製造方法において、
加熱溶融ルウを容器に充填した後、ルウの表面温度を5
分以内に上記油脂の上昇融点より5℃以上低い温度にま
で冷却すると共に、この際、上記ルウの表面温度が上記
油脂の上昇融点の±5℃に相当する温度域を2分以内に
通過させることを特徴とする固形ルウの製造方法。 - 【請求項2】 澱粉質原料、油脂及び調味料を含む原料
が乳化剤を含まない請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 澱粉質原料、油脂及び調味料を含む原料
を加熱混合処理して得られた加熱溶融ルウを容器に充填
した後、冷却固化させる固形ルウの製造方法において、
加熱溶融ルウを容器に充填した後、加熱溶融ルウを充填
した容器を金属製の搬送面を有するコンベヤの搬送面に
載せて−30〜−10℃の冷却室内に搬送するととも
に、上記搬送面を冷却し、冷却された搬送面からの伝達
によって冷却して、ルウの表面温度を5分以内に上記油
脂の上昇融点より5℃以上低い温度にまで冷却すると共
に、この際、上記ルウの表面温度が上記油脂の上昇融点
の±5℃に相当する温度域を2分以内に通過させること
を特徴とする固形ルウの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14127298A JP3265263B2 (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | 固形ルウの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14127298A JP3265263B2 (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | 固形ルウの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11332526A JPH11332526A (ja) | 1999-12-07 |
JP3265263B2 true JP3265263B2 (ja) | 2002-03-11 |
Family
ID=15288042
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14127298A Expired - Lifetime JP3265263B2 (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | 固形ルウの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3265263B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4598029B2 (ja) * | 2007-07-20 | 2010-12-15 | ハウス食品株式会社 | 冷却方法 |
-
1998
- 1998-05-22 JP JP14127298A patent/JP3265263B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11332526A (ja) | 1999-12-07 |
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