JP3264795B2 - 熱間圧延素材の反り矯正方法及びその矯正装置 - Google Patents

熱間圧延素材の反り矯正方法及びその矯正装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホットスカーフ処理前
の熱間圧延素材の反り矯正方法及び矯正装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延素材としては、例えば鋳片があ
る。製鋼工程において鋳造された鋳片、特に連続鋳造ス
ラブの表面には、鋳造の冷却過程で発生する表面割れ
や、凝固過程で鋳片表層に捕捉された介在物等の欠陥が
あり、鋳片をこの状態で加熱、圧延すると、鋼板の表面
疵、二枚板等が発生して、品質、歩留まりを低下させる
問題がある。この対策として、鋳片加熱炉挿入前にホッ
トスカーフにより鋳片表面の1mm〜6mmを溶削し、表面
欠陥を除去する方法がある。
【0003】ホットスカーフは、予熱ガスにより鋳片先
端部表面を酸素と反応する温度まで予熱し、その後酸素
ジェットを表面に噴射し、酸化反応により鋳片表面を溶
削するので、溶削量の微妙な制御を行うために酸素吹管
吹出口と鋳片表面とを一定間隔で近接する必要がある。
しかしながら、鋳片に反りがある場合、前記の如く一定
間隔に近接出来ないためホットスカーフ処理が出来ず、
鋳片は高温から低温になるまで冷却し、人間がハンド手
入れを行う必要がある。その後、鋳片を加熱炉へ挿入す
るため加熱炉原単位の悪化、手入れ処理コストアップ等
大きなデメリットが発生する。鋼板や鋳片の反り矯正技
術としては、特開平5−32364号公報、特開昭62
−34616号公報等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−32364
号公報は、電磁力による薄鋼板の反り矯正技術を開示し
たものであるが、鋳片の場合、鋼帯に比べ厚みが厚いの
で矯正に要する電磁力は極めて大きな値となり、電磁力
の発生装置が超大型化し、莫大な設備費がかかるととも
に大量の電力を必要とするので、工業上鋳片の反り矯正
には不適当である。
【0005】また、特開昭62−34616号公報は、
圧延時の鋳片上下面の温度差に伴う圧延抵抗変化による
反りを防止するために、加熱炉抽出後の鋳片の上下面温
度を測定し、圧延前に等しくなるように温度の低い側を
加熱する方法であるが、本法を適用すると、加熱される
鋳片の温度が高い場合、入熱効率が悪いため大きな加熱
装置が必要となり設備費が高くなり、また加熱のために
エネルギーロスが発生しランニングコストも高くなる。
【0006】本発明はホットスカーフ直前で鋳片の反り
矯正を低コストの設備投資でかつ非常に安いランニング
コストで確実に実現させる方法及び装置を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は (1)熱間圧延素材を熱間圧延するに際して、加熱炉前
でホットスカーフ処理前で該素材の片面の冷却を行う事
を特徴とする熱間圧延素材反り矯正方法。 (2)熱間圧延素材の片面を冷却するに際して、ホット
スカーフ前で、鋳片長手方向で鋳片前端及び又は後端が
中央より上がっている場合は、鋳片の下面より冷却し、
鋳片長手方向で鋳片前端及び又は後端が中央より下がっ
ている場合は、鋳片の上面より冷却する事を特徴とする
(1)記載の熱間圧延素材の反り矯正方法。 (3)熱間圧延工程におけるホットスカーフ前に設けた
反り矯正装置において、冷却装置の入り側に反り計を有
し、鋳片長手方向で鋳片前端及び又は後端が中央より上
がっている場合は、鋳片の下面より冷却し、鋳片長手方
向で鋳片前端及び又は後端が中央より下がっている場合
は、鋳片の上面より冷却する冷却制御装置を設けたこと
を特徴とする熱間圧延素材の反り矯正装置。 (4)冷却装置内又は冷却装置の出側に反り計を設け、
鋳片長手方向で鋳片前端及び又は後端が中央より上がっ
ている場合は、鋳片の下面より冷却し、鋳片長手方向で
鋳片前端及び又は後端が中央より下がっている場合は、
鋳片の上面より冷却する冷却制御装置を設けたことを特
徴とする(3)記載の熱間圧延素材の反り矯正装置。で
ある。
【0008】
【作用】本発明者は熱間圧延材の反りが加熱炉前の鋳片
の反りに起因することを見い出し、更にホットスカーフ
前での鋳片の反り矯正に関して種々の試験を行なった結
果、熱収縮を利用する事により反り矯正が出来る事を見
い出したものである。即ち、ホットスカーフ前で図1に
示す様に、鋳片長手方向で鋳片前端及び又は後端が中央
より上がっている場合(以降上反りと称す)は、鋳片1
の下面3より冷却(例えば水冷)し(図1(a))、逆
に鋳片長手方向で鋳片前端及び又は後端部が中央部より
下がっている場合(以降下反りと称す)は鋳片1の上面
3より冷却(例えば水冷)する(図1(b))事によ
り、鋳片冷却側の熱収縮により鋳片反り矯正が可能であ
る事を見出した。また、反り矯正を比較的早く行なうに
は、冷却側表面温度降下量を100℃以上確保する事が
望ましい。
【0009】次に、本発明の一例を図面において説明す
る。図2において、鋳片1を計測位置に停止して、鋳片
先端部の反り量及び反り方向(上反りか下反り)鋳片反
り検出装置10で検出し、その結果をもとにシーケンサ
11で必要な時間だけ反り外周面側の電動弁8を開き水
冷を行ない、熱間圧延素材1の反りを矯正する。ここ
で、上反りの場合は反り外周面が下面であり、下面冷却
用電動弁8を開にして下面冷却装置6にて該素材の下面
冷却を行ない、下反りの場合は反り外周面が上面であ
り、上面冷却用電動弁9を開にして上面冷却装置7にて
該素材の上面冷却を行なう。また、冷却時間を決定する
にあたり、上述した様に反り検出装置10の値からシー
ケンサ11で一義的に決定する方法とは別に、冷却中の
反り量を反り検出装置12を用いて随時検知し、反り量
が目標値以下になるまで冷却する様に冷却制御装置13
で制御する方法も可能である。
【0010】なお、熱間圧延素材としては材種に関係な
くいずれでもかまわなく、極低炭素鋼(いわゆるSUL
C鋼)、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、低合金鋼、高
合金鋼等の鋼、アルミ、アルミ合金、銅、銅合金などで
も良い。図において、4は鋳片1を搬送する搬送ロー
ル、5,5aは反りを矯正された鋳片1の上下面の溶削
を行なうためのホットスカーフィング装置である。
【0011】
【実施例】次に、本発明方法の実施例と比較例を表1に
挙げる。各種鋼材の鋳片を、熱間圧延工程で、加熱炉前
のホットスカーフ処理前で図2の方法で鋳片の反り外周
面を水冷した。本発明例の採用により1カ月の圧延にお
いてホットスカーフの不可材は1%から0.12%へと
大幅に減少した。
【0012】
【表1】
【0013】
【発明の効果】かくして本発明によれば、熱間圧延素材
の反りをホットスカーフ前で確実に矯正できるので、オ
フラインでの冷間での手動手入れが防止出来、かつ該素
材を温熱間にて加熱炉に装入する事が出来るので、加熱
コストも大幅に減少する事が出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】素材の反りと冷却の関係の説明図。
【図2】本発明の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1 熱間圧延素材 2 反り内周面 3 反り外周面 4 搬送ロール 5、5a ホットスカーフィング装置 6 下面冷却装置 7 上面冷却装置 8 下面冷却用電動弁 9 上面冷却用電動弁 10 鋳片反り検出装置 11 シーケンサ 12 鋳片反り検出装置 13 冷却制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 哲男 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵 株式会社 名古屋製鐵所内 (56)参考文献 特開 平8−257627(JP,A) 特開 平6−315702(JP,A) 特開 平8−90225(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 1/00 - 1/14 B21B 37/00 B21B 37/28 B21B 45/02 320

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延素材を熱間圧延するに際して、
    加熱炉前でホットスカーフ処理前で該素材の片面の冷却
    を行う事を特徴とする熱間圧延素材反り矯正方法。
  2. 【請求項2】 熱間圧延素材の片面を冷却するに際し
    て、ホットスカーフ前で、鋳片長手方向で鋳片前端及び
    又は後端が中央より上がっている場合は、鋳片の下面よ
    り冷却し、鋳片長手方向で鋳片前端及び又は後端が中央
    より下がっている場合は、鋳片の上面より冷却する事を
    特徴とする請求項1記載の熱間圧延素材の反り矯正方
    法。
  3. 【請求項3】 熱間圧延工程におけるホットスカーフ前
    に設けた反り矯正装置において、冷却装置の入り側に反
    り計を有し、鋳片長手方向で鋳片前端及び又は後端が中
    央より上がっている場合は、鋳片の下面より冷却し、鋳
    片長手方向で鋳片前端及び又は後端が中央より下がって
    いる場合は、鋳片の上面より冷却する冷却制御装置を設
    けたことを特徴とする熱間圧延素材の反り矯正装置
  4. 【請求項4】 冷却装置内又は冷却装置の出側に反り計
    を設け、鋳片長手方向で鋳片前端及び又は後端が中央よ
    り上がっている場合は、鋳片の下面より冷却し、鋳片長
    手方向で鋳片前端及び又は後端が中央より下がっている
    場合は、鋳片の上面より冷却する冷却制御装置を設けた
    ことを特徴とする請求項3記載の熱間圧延素材の反り矯
    正装置。
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