JP3264056B2 - 短波長レーザ光源 - Google Patents

短波長レーザ光源

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JP3264056B2 JP25964693A JP25964693A JP3264056B2 JP 3264056 B2 JP3264056 B2 JP 3264056B2 JP 25964693 A JP25964693 A JP 25964693A JP 25964693 A JP25964693 A JP 25964693A JP 3264056 B2 JP3264056 B2 JP 3264056B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コヒーレント光を利用
する光情報処理分野、あるいは光応用計測制御分野、光
通信分野に使用する短波長レーザ光源および光情報処理
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光情報処理分野では光記録用短波長レー
ザ光源として10mW以上の出力が必要である。青色レ
ーザ光源としては半導体レーザとその高調波発生が可能
な光波長変換素子の組み合わせが有望である。図13に
従来の青色光を発生する短波長レーザ光源の構成を示
す。半導体レーザ21から出た基本波P1はコリメータ
ーレンズ24で平行化された後、フォーカスレンズ25
で光波長変換素子22に形成された光導波路2に集光さ
れる。この光導波路2内で基本波は高調波P2に変換さ
れ外部に取り出される。外部に取り出された高調波P2
はビームスプリッタ26で一部直角に曲げられディテク
ター27で検出し出力を一定に保つように半導体レーザ
21に制御がかかる。このようにして一定の高調波P2
が取り出される。
【0003】次に使用されている光波長変換素子につい
て詳しく説明する。図14に従来の光波長変換素子の構
成図を示す。以下873nmの波長の基本波に対する高
調波発生(波長437nm)について図を用いて詳しく
述べる(Kazuhisa YamamotoandKiminori Mizuuchi,”B
lue light generation by frequency doubling of alas
er diode in a periodically-domain inverted LiTaO3
waveguide”,IEEEPhotonics Technology Letters,Vo
l.4,No.5,P435-437,1992年、参照)。
【0004】図14に示されるようにLiTaO3基板
1に光導波路2が形成され、さらに光導波路2には周期
的に分極の反転した層3(分極反転層)が形成されてい
る。基本波と発生する高調波の伝搬定数の不整合を分極
反転層3と非分極反転層4の周期構造で補償することに
より高効率に高調波を出すことができる。まず、図15
を用いて光波長変換素子における高調波増幅の原理を説
明する。分極反転していない非分極反転素子31では分
極反転層は形成されておらずに分極反転方向は一方向と
なっている。この非分極反転素子31では光導波路の進
行方向に対して高調波出力31aは増減を繰り返してい
るだけである。これに対して周期的に分極が反転してい
る分極反転波長変換素子(1次周期)32では出力32
aは図15に示されるように光導波路の長さLの2乗に
比例して高調波出力は増大する。ただし分極反転におい
て基本波P1に対して高調波P2の出力が得られるのは
擬似位相整合するときだけである。この擬似位相整合が
成立するのは分極反転層の周期Λ1がλ/(2(N2ω
−Nω))に一致するときに限られる。ここでNωは基
本波(波長λ)の実効屈折率、N2ωは高調波(波長λ
/2)の実効屈折率である。このように従来の光波長変
換素子は分極反転構造を基本構成要素としていた。
【0005】この素子の製造方法について説明する。非
線形光学結晶であるLiTaO3基板1にTaのパター
ンを蒸着とフォトにより幅数μmの周期で形成してい
た。次に260℃の温度でプロトン交換を行った後、5
50℃程度の温度で熱処理を行いLiTaO3基板1と
分極が反対向きに反転した分極反転層3を形成した。次
に再びTaによるスリットを形成した後、ピロ燐酸(2
60℃)中で12分熱処理を行った後420℃で1分間
アニールを行い光導波路2を形成する。上記作製される
光波長変換素子は波長873nmの基本波P1に対し
て、光導波路の長さを10mm、基本波P1のパワーを
37mWにしたとき高調波P2のパワー1.1mWが得
られていた。また光波長変換素子の基本波波長に対する
許容幅は0.1nmと狭く半導体レーザのモードホッ
プ、波長広がりを許すことはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような半導体レ
ーザを基本とした短波長レーザ光源では半導体レーザの
信頼性を考えると100mW以上で使用することは困難
であり、レンズの損失および光導波路との結合損失を考
えると利用できる基本波出力は50〜70mW程度であ
る。そのため高調波出力は2〜4mWしか得られず短波
長レーザ光源の光情報処理分野での実用レベルである1
0mW以上の高調波を安定に得ることが困難であった。
【0007】そこで本発明は、半導体レーザを基本とし
たコンパクトなレーザ光源として高出力な短波長光を得
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体レーザ
の駆動および波長安定化に新たな工夫を加えることによ
り高調波出射パワーの高出力化および安定化を可能とす
るものである。
【0009】また、本発明の短波長レーザ光源によれ
ば、光導波路および分極反転層が形成された非線形光学
効果を有する基板より成る光波長変換素子と、グレーテ
ィングと、半導体レーザとを備え、前記光導波路上には
基本波に対する変調電極を備える。半導体レーザからの
基本波を前記変調電極への電圧印加によりカットオフと
することで変調しグレーティングにより半導体レーザに
帰還し、なおかつ基本波は光導波路中で高調波に変換さ
れるという手段を有する。
【0010】また、本発明を応用した光情報処理装置に
よれば、光導波路および分極反転層が形成された非線形
光学効果を有する基板より成る光波長変換素子と、少な
くとも1つの半導体レーザと、前記半導体レーザを駆動
する電源と、グレーティングと、レンズと、ビームスプ
リッターを有する。前記光導波路中に前記半導体レーザ
からの光が入射し、光の一部が前記グレーティングによ
り半導体レーザに帰還され、また一部は光導波路中で高
調波に変換され、なおかつ光導波路から出射された高調
波がレンズおよびビームスプリッターを通過した後、媒
体に照射され、前記光導波路上には基本波に対する変調
電極を備え、半導体レーザからの基本波を前記変調電極
への電圧印加によりカットオフとすることで変調しグレ
ーティングにより半導体レーザに帰還し、なおかつ基本
波は光導波路中で高調波に変換されるという手段を有す
る。
【0011】
【0012】
【作用】上記したレーザ光源によれば光導波路の変調電
極に印加される電圧の制御により基本波のフィードバッ
クに変調をかけ瞬間的に高いピーク出力を得ることがで
き、これによって高調波の平均パワーの増大も可能とな
る。
【0013】次に、本発明により一定の単一波長が得ら
れる理由を説明する。半導体レーザの駆動電流が変化す
ると半導体レーザの材料の屈折率が変化し、これに伴っ
て発振波長が変化しようとするが、グレーティングから
の帰還波長が一定のためその波長で発振を行う。つまり
発振波長λは、グレーティングの周期Λ、光導波路の屈
折率Nとすると、λ=2NΛとなる。ここで周期Λおよ
び屈折率Nは一定であるため、発振波長λも一定と
る。
【0014】このようにして一定の幅の単一スペクトル
が得られ、これに位相整合波長を合わせることで安定で
かつ高出力の高調波光が得られる。
【0015】
【実施例】本発明の短波長レーザ光源の第1の参考例
ついて図を用いて説明する。図1に光波長変換素子を用
いて構成される短波長レーザ光源の一種である青色レー
ザ光源の構成図を示す。この青色レーザ光源は光導波路
2および周期的に分極反転層3が形成された非線形光学
効果を有する基板から成る光波長変換素子22と半導体
レーザ21と半導体レーザ21を駆動する電源である高
周波電源より基本的に構成される。その製造方法として
はまずマウント20に光波長変換素子22を接着した。
次にNAが0.5のフォーカスレンズ25および半波長
板29をマウント20中に挿入し固定した。次にNAが
0.3のコリメータレンズ24、半導体レーザ21を挿
入した後、半導体レーザ21を駆動し基本波P1が光波
長変換素子22の入射部10に焦点を結ぶようにコリメ
ータレンズ24および半導体レーザ21を動かし出射す
る高調波P2が最大になるようにした後、固定を行っ
た。その後、光導波路2から出射される基本波P1に対
して透過し、かつ高調波P2を反射する波長選択ミラー
61をマウント20に取り付けた。次にピッチ0.55
μmのグレーティング9を取り付けた。図1で、半導体
レーザ21は0.86μmの発振波長のものでCW電源
より一定電流(以下これをDCバイアスとよぶ)をまた
高周波電源よりサイン状の高周波(1GHz)が印加さ
れており平均パワー100mWの基本波P1が出射され
ている。この基本波P1がレンズ24,25および半波
長板29を用いて光波長変換素子22に入射し高調波P
2が発生する。半波長板29は半導体レーザ21と長さ
10mmの光波長変換素子22に形成された光導波路2
との偏光方向を一致させるために挿入した。この光波長
変換素子22では光導波路2の内部に50mWの基本波
P1が入射し、12mWの高調波が得られトータルの変
換効率は24%であった。また、高調波の安定性は±1
%以下であった。高周波電源からの電気波形と高周波で
駆動された半導体レーザ21より出射される基本波の波
形を図2(a)および(b)にそれぞれ示す。半導体レ
ーザ21は電気波形(a)の高速性に応答できず緩和振
動を生じ瞬間パルス的に発振する。そしてこの場合の半
導体レーザ21のピーク出力は1W程度となり高調波へ
の変換効率は20%を上回ることとなる。この場合の半
導体レーザ21の平均パワーは100mWと信頼性の点
で問題はない。変換されてでる高調波のパワーはCWに
比べて5〜10倍程度アップした。図3に半導体レーザ
21の平均パワーを100mWとした時の駆動周波数と
高調波出力の関係を示す。この周波数領域では駆動周波
数に対して高調波出力が比例して増加しており高い周波
数の方が有利である。これは周波数が増すと半導体レー
ザのパルス波形の半値幅が狭まるためと考えられる。図
4に高周波駆動と高周波重畳のそれぞれの場合の駆動方
法の違いを説明するための半導体レーザのI−L特性
(電流−出力特性)を示す。高周波重畳は単に半導体レ
ーザの安定化の目的で使用されるため半導体レーザの発
振のしきい値Ithを少し切ったところで使われる。つま
り図4(a)のようにピーク電流Ipと動作電流Ibの差
(Ip−Ib)は動作電流としきい値電流の差(Ib−I
th)の大きくても2倍程度である。これに対して半導体
レーザのピークパワーの増加が目的の高周波駆動では少
なくとも(Ip−Ib)は(Ib−Ith)の3倍、通常で
は5〜10倍はある。なお高周波の駆動パワーは1W以
上のときに特にピークパワーがアップする。又、DCバ
イアスをかけた場合の方がかけない時に比べてピークパ
ワーが大きい。
【0016】半導体レーザに高調波駆動を行うと高調波
出力の変動±1%以下に抑えることができた。高周波駆
動により半導体レーザ21の発振波長は広がろうとする
がグレーティング9により半導体レーザ21に光が帰還
されているので安定に単一波長のみが発振するためであ
る。
【0017】本発明のレーザ光源に関連する第2の参考
の構成を図を用いて説明する。図5に本参考例の短波
長レーザ光源の構成図を示す。短波長レーザ光源は基本
的にはSiサブマウント20と半導体レーザ21と光導
波路が形成された基板22により構成される。また、光
波長変換素子22の光導波路2上にはTa25によるグ
レーティング9が形成されている。Siマウント20に
固定された半導体レーザ21から出射された基本波P1
は直接光導波路2に導入される。これは、半導体レーザ
21の活性層23と光導波路2の位置が、Siサブマウ
ントに対し、同じ高さに調整されているためである。ま
た、半導体レーザには800MHzの高周波が印加され
ている。光導波路2に入った光P1はグレーティングに
より一部が反射され半導体レーザに帰還される。そのた
め半導体レーザはグレーティングの周期と基板の屈折率
で決まる波長に固定され発振する。
【0018】光導波路2はピロ燐酸中でのプロトン交換
により作製した。以下基板への光導波路およびグレーテ
ィング作製方法について説明する。LiTaO3基板1
aにTaを厚み20nm、スパッタ蒸着した後、通常の
フォトプロセスとドライエッチングを用いてTaをパタ
ーニングする。次にプロトン交換を行った後、550℃
で熱処理し周期的に分極反転層を形成する。次に再びT
aパターンを形成した。入射テーパ部を形成するため、
Taによるパターンが形成されたLiTaO3基板の一
部をピロ燐酸中で260℃、30分間浸し、プロトン交
換を行い、スリット直下に厚み1.2μmの入射テーパ
部となるプロトン交換層を形成する。その後、420℃
の温度で20分間熱処理する。これにより厚み5μmの
入射テーパ部が形成される。さらに光導波路2を形成す
るために、ピロ燐酸中で260℃、12分間プロトン交
換を行い、スリット直下に厚み0.5μmのプロトン交
換層を形成した後、420℃の温度で1分間熱処理す
る。次にTa256を膜として30nmの厚みで形成す
る。次にフォトリソとドライエッチングを用いてTa2
5の周期的パターンを形成する。これがグレーティン
グ9となる。グレーティングの周期は1.9μmであ
り、1次周期0.19μmの10倍を用いている。この
ように周期は1次周期の整数倍であれば用いることがで
きる。その後、保護膜となるSiO25をスパッタによ
り厚み2μm形成する。この厚みを調整することで半導
体レーザの活性層と高さを一致させている。最後に研磨
により入出射面を形成する。光導波路2の厚みは1.9
μm、長さは6mmである。また、グレーティングの反
射率は10%である。この程度の反射量で充分波長安定
化が図れる。また、半導体レーザの全面をコーティング
する際反射率を0.5〜2.5%の範囲にすると安定に
波長ロックを行うことができた。さらに半導体レーザと
グレーティングの距離を9mm以上にした場合グレーテ
ィングの反射率10%ではロックがはずれた。特に9m
m以下の距離で安定に使用できる。
【0019】次に長さ8mmのSiサブマウント20上
に半導体レーザ21の活性層側を下にしてボンディング
する。リード線を付けて半導体レーザを光らせながら、
光導波路が形成された光波長変換素子22を光導波路か
ら出射する光P1が最大になるところで接着する。以上
の工程により、コンパクトなレーザ光源が作製できた。
【0020】作製された短波長レーザ光源の高調波出力
は10mW、そのときの半導体レーザの出力は60mW
であった。本発明のレーザ光源では出力変化は見られず
非常に安定していた。
【0021】次に本発明のレーザ光源の実施例を説明す
る。まず、本発明による短波長レーザ光源の実施例の構
造図を図6に示す。この実施例では、短波長レーザ光源
用光導波路としてLiNbO3基板1中にプロトン交換
を用いて作製したプロトン交換光導波路2を用いたもの
である。図6で1は+Z板(Z軸と垂直に切り出された
基板の+側)のLiNbO3基板、2は形成された光導
波路、3は分極反転層によるグレーティング、10は光
P1の入射部、12は光P1の出射部、15は光導波路
上に形成されたAlの電極である。LiNbO3は電気
光学効果が大きく、電界により屈折率を変えることがで
きる。光導波路をカットオフ厚み近傍に作製しておくこ
とで、スイッチングつまり変調が可能である。つまり光
導波路に印加する電圧を変化させることで屈折率が低下
し、光導波路がカットオフとなりビームが伝搬できなく
なる。光導波路上に+電圧を印加し光導波路の横をグラ
ンドに落としておくと電気力線が走り電界がかかる。こ
れにより光導波路の屈折率が低下し、導波光は基板へ放
射モードとして抜けていき、出射部からは出てこなくな
り、これによりスイッチングができる。電極幅は4μ
m、電極間隔は5μm、厚みは200nmである。保護
膜であるSiO2がないと金属である電極15と光導波
路2が直接接触し伝搬損失が増加してしまう。また、こ
の素子の長さは10mmである。
【0022】図6で光P1として半導体レーザ光P1
(波長840nm)を入射部10より導波させたところ
シングルモード伝搬し、グレーティング3により帰還さ
れ半導体レーザは波長安定化された。電極15に10V
の電圧を加えることにより屈折率を10-4低下させ、ビ
ームをカットできた。このとき電界は2×106V/m
である。図7に印加電圧波形と半導体レーザ出力波形を
示す。この電極にピーク電圧10Vのパルス状変調電圧
(繰り返し1ns)を印加した。1000MHzの周波
数の変調電圧に対して出力光もパルス応答していた。こ
のように電極に変調電圧を印加することで高いピーク出
力も得ることができる。
【0023】なお、本実施例では基板として電気光学効
果の大きなLiNbO3を用いたが他のKTP等の強誘
電体材料も有効である。また、光に対してマルチモード
伝搬では出力が不安定で実用的ではなく、シングルモー
ドが有効である。
【0024】次に本発明に第3の参考例として光情報処
理装置の実施例について説明する。光情報処理装置の構
成を図8に示す。短波長レーザ光源の構成は第2の参考
と同じである。本参考例ではLiNbO3を基板とし
て用いた。高周波駆動された半導体レーザ21より出射
された光P1は基板22に形成されている光導波路2に
入射する。入射した光P1は光導波路2中を最低次モー
ドであるTM00モードで伝搬し、光導波路上に形成され
たグレーティングにより半導体レーザに一部帰還され
る。これにより、波長変換された高調波P2は光導波路
2より放射され、レーザビームとして使用される。この
ビームはレンズ40により平行化された後、ビームスプ
リッタ41を通過し、レンズ42により記録のための媒
体である光ディスク43に照射される。反射光は逆にレ
ンズ42によりコリメートされビームスプリッタ41で
反射され、レンズ44で集光後、Siによるディテクタ
45で信号が読み取られる。レンズ42の材料はSF8
(屈折率1.68)であり、開口数(NA)は0.6で
ある。また、集光スポットサイズは1.1μmであっ
た。ビームは安定であり、これにより高密度記録装置が
実現できた。また、短波長レーザ光源のサイズは8mm
角内のコンパクトなものとなっている。さらに、光ディ
スク面上からの戻り光に対しても、波長の変動はなく相
対雑音強度(RIN)も−140dB/Hzと良好であ
った。
【0025】なお、レンズ材料としてSF6等の高屈折
率、高分散なものも、レーザ波長が一定のため使用可能
である。また、光情報処理装置の構成は他にもレンズを
1つで構成するものやプリズムを用いるもの等各種構成
への適用が可能である。
【0026】なお、Siをサブマウントとして用いたが
CuやC等他の熱電導の良い材料であれば良い。また、
参考例では結晶としてLiNbO3およびLiTaO3
用いたが、KNbO3、KTP等の強誘電体、MNA等
の有機材料にも適用可能である。
【0027】本発明の短波長レーザ光源に関係する第4
の参考例について図を用いて説明する。図9に光波長変
換素子を用いて構成される短波長レーザ光源の一種であ
る青色レーザ光源の構成図を示す。ここでは半導体レー
ザの波長をロックするために透過フィルターを用いてい
る。また、この青色レーザ光源は光導波路2および周期
的に分極反転層3が形成された非線形光学効果を有する
基板から成る光波長変換素子22と半導体レーザ21と
半導体レーザ21を駆動する電源である高周波電源より
基本的に構成される。その製造方法としてはまずマウン
ト20に光波長変換素子22を接着した。次にNAが
0.5のフォーカスレンズ25および半波長板29をマ
ウント20中に挿入し固定した。次にNAが0.4のコ
リメータレンズ24、半導体レーザ21を挿入した後、
半導体レーザ21を駆動し基本波P1が光波長変換素子
22の入射部10に焦点を結ぶようにコリメータレンズ
24および半導体レーザ21を動かし出射する高調波P
2が最大になるようにした後固定を行った。光導波路2
の出射面には、基本波P1に対して反射しかつ高調波P
2を透過する波長選択ミラー61が蒸着で形成されてい
る。次に波長幅0.6nmの透過フィルター50を取り
付けた。透過フィルター50の透過特性を図10に示
す。透過フィルターは基本波と80度の角度で入れられ
ている。完全に垂直にすると戻り光が生じるからであ
る。ピークで80%以上の透過光が得られている。ま
た、透過波長は860nmを中心に0.6nmの半値幅
を持つ。特定の波長が透過後、光導波路出射部で反射さ
れた基本波は同じ光路を逆に進行し半導体レーザに帰還
され波長がロックされる。図9で半導体レーザ21は8
60nmの発振波長のものでCW電源より一定電流(以
下これをDCバイアスとよぶ)をまた高周波電源よりサ
イン状の高周波(600MHz)が印加されており平均
パワー50mWの基本波P1が出射されている。この基
本波P1がレンズ24,25および半波長板29を用い
て光波長変換素子22に入射し高調波P2が発生する。
半波長板29は半導体レーザ21と長さ10mmの光波
長変換素子22に形成された光導波路2との偏光方向を
一致させるために挿入した。この光波長変換素子22で
は光導波路2の内部に40mWの基本波P1が入射し、
10mWの高調波が得られトータルの変換効率は25%
であった。また、高調波の安定性は±1%以下であっ
た。透過フィルターの角度合わせはグレーティングに比
べ30倍程度尤度がありアライメントが非常に簡単であ
る。また、蒸着で膜を作製できるので量産化が容易であ
る。半導体レーザ21は電気波形(a)の高速性に応答
できず緩和振動を生じパルス的に発振する。そしてこの
場合の半導体レーザ21のピーク出力は1W程度となり
高調波への変換効率は20%を上回ることとなる。この
場合の半導体レーザ21の平均パワーは50mWと信頼
性の点で問題はない。この実施例では半導体レーザの出
射面と反射面との距離は15mmであり安定に波長がロ
ックされていた。16mm以上では不安定であった。半
導体レーザの出射面での反射率はこの参考例では2%で
ある。実験では2.5%以内で安定してロックがかかっ
ていた。また、0.5%以内では半導体レーザは発振せ
ず位置合わせが困難であった。
【0028】なお、本参考例では反射面を光導波路の出
射面としたが、入射面としても良い。この場合反射率3
%以上でロックがかかった。共焦点であるので光導波路
に光が入射すれば半導体レーザに帰還される。
【0029】半導体レーザに高調波駆動を行うと高調波
出力の変動±1%以下に抑えることができた。高周波駆
動により半導体レーザ21の発振波長は広がろうとする
が透過フィルターと反射面により半導体レーザ21に光
が帰還されているので安定に単一波長のみが発振するた
めである。
【0030】本発明の短波長レーザ光源に関連する第5
の参考例について図を用いて説明する。図11に光波長
変換素子を用いて構成される短波長レーザ光源の一種で
ある青色レーザ光源の構成図を示す。ここでは半導体レ
ーザの波長をロックするために特定の波長の基本波を反
射する反射ミラーを用いている。また、この青色レーザ
光源は光導波路2および周期的に分極反転層3が形成さ
れた非線形光学効果を有する基板から成る光波長変換素
子22と半導体レーザ21と半導体レーザ21を駆動す
る電源である高周波電源より基本的に構成される。高周
波を印加するため、この実施例では高周波モジュールを
用いた。出力は10dBmのものを半導体レーザに近接
して取り付けた。図11で半導体レーザ21は980n
mの発振波長のものでCW電源より一定電流(以下これ
をDCバイアスとよぶ)をまた高周波モジュールにより
サイン状の高周波(600MHz)が印加されており平
均パワー50mWの基本波P1が出射されている。この
基本波P1がレンズ24,25および半波長板29を用
いて光波長変換素子22に入射し高調波P2が発生す
る。半波長板29は半導体レーザ21と長さ20mmの
光波長変換素子22に形成された光導波路2との偏光方
向を一致させるために挿入した。半導体レーザからの基
本波は反射ミラー51で一部反射され、半導体レーザは
波長がロックされる。図12にこの反射ミラーの反射特
性を示す。980nmに対しピークを持ち、15%であ
る。そのため半導体レーザはこの反射波長にロックされ
る。この光波長変換素子22では光導波路2の内部に3
0mWの基本波P1が入射し、10mWの高調波が得ら
れトータルの変換効率は33%であった。また、高調波
の安定性は±1%以下であった。半導体レーザ21は電
気波形(a)の高速性に応答できず緩和振動を生じパル
ス的に発振する。そしてこの場合の半導体レーザ21の
ピーク出力は500mW程度となり高調波への変換効率
はCWに比べはるかに大きくなる。この場合の半導体レ
ーザ21の平均パワーは50mWと信頼性の点で問題は
ない。なお反射ミラーの反射率は20%以下、3%以上
が望ましい。反射率がこれ以上大きいと変換に使用でき
る出力が小さくなり、またこれ以上小さいとロックがか
からない。
【0031】なお駆動パルス間隔に同期をとるように、
光パルスが半導体レーザに帰還されるよう光路長を決め
ると特に大きなパルス基本波パワーが得られ、結果とし
て高調波は増大する。具体的にはパルス間隔が1nsの
時、基本波が出射されてから半導体レーザに帰還される
までの時間を1nsにするために往復の光路長を33c
mにすれば良い。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ光
源によれば光導波路の変調電極に印加される電圧の制御
により基本波のフィードバックに変調をかけ瞬間的に高
いピーク出力を得ることができ、これによって高調波の
平均パワーの増大も可能となる。
【0033】上記短波長レーザ光源を組み込んだ光情報
処理装置としては高出力で安定な短波長光を利用でき記
録密度が大幅に向上する。また、本発明の光情報処理装
置に波長安定なレーザ光源を用いることにより、簡単に
収差のないスポットを安定に得ることができる上に、媒
体からの戻り光にも強く、その実用的効果は極めて大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】短波長レーザ光源の第1の参考例の構造図
【図2】(a)半導体レーザに印加する電気波形図 (b)半導体レーザに印加する半導体レーザの出力波形
【図3】高調波出力の駆動周波数依存性を示す特性図
【図4】(a)半導体レーザのI−L特性図で、ピーク
電流Ipと動作電流Ibの差(Ip−Ib)が(Ib
th)の2倍程度の場合を示す図 (b)半導体レーザのI−L特性図で、ピーク電流Ip
と動作電流Ibの差(Ip−Ib)が(Ib−Ith)の5倍
程度の場合を示す図
【図5】本発明の短波長レーザ光源の第2の参考例の構
造図
【図6】(a)本発明の光波長変換素子の実施例の構造
斜視図 (b)本発明の光波長変換素子の実施例の構造断面図 (c)本発明の光波長変換素子の実施例の構造上面図
【図7】(a)光波長変換素子への印加電圧図 (b)光波長変換素子への半導体レーザの出力波形図
【図8】第3の参考例における光情報処理装置の構成図
【図9】短波長レーザ光源の第4の参考例の構造図
【図10】透過フィルターの透過特性図
【図11】本発明の光波長変換素子の第5の参考例の構
造図
【図12】反射ミラーの反射特性図
【図13】従来の短波長レーザ光源の構成図
【図14】従来の光波長変換素子の構成図
【図15】光波長変換の原理図
【符号の説明】
1 基板 2 光導波路 3 分極反転層 9 グレーティング 10 入射テーパ部 15 電極 20 サブマウント 21 半導体レーザ 22 光波長変換素子 P1 基本波 P2 高調波 40、42、44 レンズ 41 ビームスプリッター 50 透過フィルター 51 反射ミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 誠 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−66440(JP,A) 特開 平5−257184(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/37 H01S 5/06 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光導波路および分極反転層が形成された非
    線形光学効果を有する基板より成る光波長変換素子と、
    グレーティングと、半導体レーザとを備え、前記光導波
    路上には基本波に対する変調電極を備え、半導体レーザ
    からの基本波を前記変調電極への電圧印加によりカット
    オフとすることで変調しグレーティングにより半導体レ
    ーザに帰還し、なおかつ基本波は光導波路中で高調波に
    変換されることを特徴とする短波長レーザ光源。
  2. 【請求項2】前記光導波路がカットオフ厚み近傍に設定
    されていることを特徴とする請求項記載の短波長レー
    ザ光源。
  3. 【請求項3】非線形光学効果を有する基板としてLiN
    xTa1-x3(0≦X≦1)基板を使用したことを特
    徴とする請求項1または2に記載の短波長レーザ光源。
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