JP3884405B2 - レーザ装置 - Google Patents

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(技術分野)
本発明は、コヒ−レント光を利用する光情報処理分野あるいは光応用計測制御分野における使用に適した光波長変換素子等の光素子、レーザ光源及びレーザ装置、ならびに光素子の製造方法に関するものである。
【0001】
(背景技術)
図1を参照しながら、光波長変換素子を用いた従来のレーザ光源を説明する。このレーザ光源は、半導体レーザ20と固体レーザ結晶21および非線形光学結晶であるKNbOによる光波長変換素子25より基本的に構成されている。
【0002】
図1に示されるように807nmで発振する半導体レーザ20より出たポンプ光P1aをレンズ30にて集光し、固体レーザ結晶21であるYAGを励起する。固体レーザ結晶21の入射面には全反射ミラー22が形成されている。この全反射ミラーは、波長947nmの光の99%を反射するが、波長が800nm帯の光は透過する。このため、ポンプ光P1aは、効率良く固体レーザ結晶21内に導入されるが、固体レーザ結晶21で生成された波長947nmの光は半導体レーザ20の側へは出射されることなく、光波長変換素子25の側に反射される。更に、光波長変換素子25の出力側にも、波長947nmの光の99%を反射し、400nm帯の光は透過するミラー23が配置されている。これらのミラー22及び23は、波長947nmの光のとって共振器(キャビィティ)を形成しており、この共振器内で、基本波P1となる947nmの発振を生じさせることができる。
【0003】
ミラー22および23で規定される共振器の中に光波長変換素子25が挿入され、それによって高調波P2が発生することになる。共振器の内部における基本波P1のパワーは1W以上に達する。このため、基本波P1から高調波P2への変換が増大し、高いパワーを持つ高調波が得られる。500mW出力の半導体レーザを用いて、1mWの高調波が得られる。
【0004】
次に、図2を参照しながら、光導波路を有する従来の光波長変換素子を説明する。図示されている光波長変換素子は、波長840nmの基本波が入射されると、その基本波に対する第二次高調波(波長420nm)を発生する。このような光波長変換素子は、K.Mizuuchi, K.Yamamoto and T.Taniuchi, Applied Physics Letters,
Vol 58, 2732ページ, 1991年6月号に開示されている。
【0005】
この光波長変換素子では、図2に示されるように、LiTaO基板1に光導波路2が形成されており、光導波路2に沿って分極の反転した層(分極反転層)3が周期的に配列されている。LiTaO基板1のうち、分極反転層3が形成されていない部分は、非分極反転層4となる。
【0006】
基本波P1が光導波路2の一端(入射面10)に入射すると、高調波P2が光波長変換素子の内部で生成され、光導波路2の他端から出力される。このとき、光導波路2を伝搬する光は、分極反転層3と非分極反転層4とが作る周期構造の影響を受けるため、発生する高調波P2と基本波P1との間にある伝搬定数の不整合が、分極反転層3および非分極反転層4の周期構造によって補償される。その結果、この光波長変換素子は高い効率で高調波P2を出力することができる。
【0007】
このような光波長変換素子は、プロトン交換法により作製された光導波路2を基本構成要素として有している。
【0008】
以下に、図3を参照しながら、このような光波長変換素子の製造方法を説明する。
【0009】
まず、図3のステップS10において、分極反転層形成工程を行う。
【0010】
より詳細には、まず、LiTaO基板1の主面を覆うようにTa膜を堆積した後、通常のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いてTa膜をストライプ状にパターニングして、Taマスクを形成する。
【0011】
次に、Taマスクで主面が覆われたLiTaO基板1に対して、260℃で20分間、プロトン交換の処理を行う。こうして、LiTaO基板1のうち、Taマスクで覆われていない部分に厚さ0.5μmのプロトン交換層を形成する。この後、HF:HNFの1:1混合液を用いた2分間のエッチングによって、Taマスクを除去する。
【0012】
次に、550℃の温度で1分間の熱処理を行うことにより、各プロトン交換層内に分極反転層を形成する。熱処理の温度上昇レートは50℃/秒、冷却レートは10℃/秒とする。LiTaO基板1のうちプロトン交換がなされていない部分にくらべて、プロトン交換がなされた部分ではLiの量が減少している。そのために、プロトン交換層のキュリー温度は低下し、550℃の温度でプロトン交換層内に部分的に分極反転層を形成することができる。この熱処理によって、Taマスクのパターンを反映したパターンを持つプロトン交換層を形成することができる。
【0013】
次に、図3のステップ2において、光導波路形成工程を行う。
【0014】
より詳細には、ステップ2は、大きく、ステップS21、ステップS22及びステップS23に分かれる。ステップS21でマスクパターンを形成し、ステップS22でプロトン交換処理を行い、ステップS23で高温アニールを行う。
【0015】
以下、これらの工程を説明する。
【0016】
ステップS21で、光導波路を形成するためのTaマスクを形成する。このTaマスクは、Ta膜にスリット状の開口部(幅4μm、長さ12mm)を形成したものである。ステップS22では、このTaマスクで覆われたLiTaO基板1に対して、260℃、16分間のプロトン交換処理を行うことによって、一方向に直線的に延びる高屈折率層(厚さ0.5μm)をLiTaO基板1内に形成する。この高屈折率層が最終的には導波路として機能することになる。しかし、このままではプロトン交換された部分(高屈折率層)の非線形性が劣化している。この非線形性を回復するため、Taマスクを除去した後、ステップS22で420℃の1分間アニールを行う。このアニールによって、高屈折率層を縦方向及び横方向に拡大し、Liを高屈折率層中に拡散させる。こうして、高屈折率層のプロトン交換濃度を低下することによって、非線形性を回復することができる。結果的に、Taマスクのスリット直下に位置する領域(高屈折率層)の屈折率は、他の領域の屈折率よりも0.03程度上昇し、高屈折率層は光導波路として機能する。
【0017】
次に、保護膜形成工程(ステップS30)、端面研磨工程(ステップS40)、及びARコート工程(ステップS50)を行うことによって、光波長変換素子が完成する。
【0018】
ここで、導波路に沿って周期的に配列された分極反転層の配列周期を10.8μmとすれば、3次の擬似位相整合構造を形成することができる。
【0019】
上記光波長変換素子によれば、光導波路2の長さを9mmにした場合、波長840nmの基本波P1(パワー27mW)に対して、パワー0.13mWの高調波P2が得られる(変換効率0.5%)。
【0020】
1次の擬似位相整合構造を形成する場合は、分極反転層の配列周期を3.6μmにすればよい。この場合、27mWの基本波P1に対して、0.3mWの高調波P2が得られる(変換効率1%)。本願発明者らは、このような光波長変換素子と半導体レーザを組み合わせることによって、青色レーザ光を出力するレーザ光源を試作している。
【0021】
このような光波長変換素子には、時間が経過すると位相整合波長が変化し、その結果、高調波が得られなくなるといった問題がある。半導体レーザから出射される基本波の波長は一定に維持されるのに、光波長変換素子の位相整合波長がシフトすると、高調波の出力が徐々に低下し、ついにはゼロになってしまうことになる。
【0022】
本発明の目的は、レーザ光源の安定化、高出力化を図り、また、高出力のレーザ光源をレーザ装置や光ディスク装置に組み込むことにより、これらの装置を小型・軽量化することを目的としている。
【0023】
(発明の開示)
本発明の光素子の製造方法は、LiNbTa1−x(0≦X≦1)基板にプロトン交換層を形成する工程と、該基板を120℃以下の温度で1時間以上熱処理するアニール工程とを包含する。
【0024】
前記アニール工程は、50℃以上90℃以下の温度で行うことが好ましい。
【0025】
前記アニール工程は、温度を徐々に低下させる工程を包含してもよい。
【0026】
ある実施形態では、前記プロトン交換層を形成する工程は、該基板に対してプロトン交換処理を行う工程と、該基板を150℃以上の温度で熱処理する工程とを包含する。
【0027】
ある実施例形態では、前記プロトン交換層を形成する工程は、周期的に配列された複数の分極反転層を前記基板内に形成する工程と、光導波路を該基板の表面に形成する工程とを包含する。
【0028】
本発明の他の光素子の製造方法は、LiNbTa1−x(0≦X≦1)基板に対してプロトン交換処理を行う工程と、該基板に対して、少なくとも第1及び第2の熱処理を含む複数の熱処理を行うアニール工程と、を包含しており、該第2のアニールの温度は、該第1のアニールの温度よりも200℃以上低い。
【0029】
前記第2のアニールは、50℃以上90℃以下の温度で行うことが好ましい。
【0030】
本発明の光素子は、LiNbTa1−x(0≦X≦1)基板と、該基板内に形成されたプロトン交換層と、を備えた光素子であって、使用時において該プロトン交換層の屈折率が経時的に変化しない安定プロトン交換層から形成されている。
【0031】
ある実施形態では、前記プロトン交換層の少なくとも一部は、光導波路を構成している。
【0032】
本発明のレーザ光源は、半導体レーザと、該半導体レーザから出射されたレーザ光を受け取り、該レーザ光を高調波に変換する光波長変換素子とを備えた光源であって、該光波長変換素子は、該レーザ光をガイドする光導波路と、該光導波路に沿って周期的に配列された分極反転構造とを備えており、該光導波路及び該分極反転構造は、使用時において屈折率が経時的に変化しない安定プロトン交換層から形成されている。
【0033】
本発明の他のレーザ光源は、基本波を出射する半導体レーザと、該基本波を伝えるシングルモードファイバーと、 該ファイバーから出た基本波を受け取り、高調波を生成する光波長変換素子であって、周期状分極反転構造を有している光波長変換素子を備えている。
【0034】
ある実施形態では、前記光波長変換素子が変調機能を有する。
【0035】
前記光波長変換素子はLiNbTa1−x(0≦X≦1)基板に形成されていることが好ましい。
【0036】
本発明の更に他のレーザ光源は、ポンプ光を出射する半導体レーザと、該ポンプ光を伝えるファイバーと、該ファイバーから出たホンプ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、該基本波を受け取り、高調波を生成する光波長変換素子であって、周期状分極反転構造を有している光波長変換素子を備えている。
【0037】
前記光波長変換素子は変調機能を有することが好ましい。
【0038】
前記光波長変換素子はLiNbTa1−x(0≦X≦1)基板に形成されていることが好ましい。
【0039】
ある実施形態では、固体レーザ結晶と光波長変換素子が一体化されている。
【0040】
本発明の更に他のレーザ光源は、ポンプ光を出射する半導体レーザと、該ホンプ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、該基本波を伝えるシングルモードファイバーと、該ファイバーから該基本波を受け取り、高調波を生成する光波長変換素子であって、周期状分極反転構造を有している光波長変換素子を備えている。
【0041】
前記光波長変換素子が変調機能を有することが好ましい。
【0042】
本発明の更に他のレーザ光源は、レーザ光を出射する分布帰還型半導体レーザと、該レーザ光を増幅する半導体レーザアンプと、該増幅されたレーザ光を受け取り、高調波を生成する光波長変換素子であって、周期状分極反転構造を有している光波長変換素子を備えている。
【0043】
前記光波長変換素子が変調機能を有することが好ましい。
【0044】
前記光波長変換素子はLiNbTa1−x(0≦X≦1)基板に形成されていることが好ましい。
【0045】
ある実施形態では、半導体レーザが波長ロックされている。
【0046】
本発明の更に他のレーザ光源はでは、レーザ光を出射する半導体レーザと、周期状分極反転構造と光導波路とが形成されている光波長変換素子とを備えたレーザ光源であって、該光導波路の幅および厚みが、それぞれ40μm以上である。
【0047】
前記光波長変換素子が変調機能を有する請求項26に記載のレーザ光源。
【0048】
前記光波長変換素子がLiNbTa1−x(0≦X≦1)基板に形成されている。
【0049】
ある実施形態では、前記光導波路がグレーディッド型である。
【0050】
本発明のレーザ装置は、レーザ光を放射する半導体レーザ、及び該レーザ光に基づいて高調波を発生する光波長変換素子を有するレーザ光源と、該高調波の出力強度を変調する変調器と、該レーザ光源から出射された該高調波の方向を変化させる偏向器と、を備えたレーザ装置であって、該光波長変換素子には周期状分極反転構造が形成されている。
【0051】
ある実施形態では、動作時に、前記半導体レーザに対して高周波が重畳される。
【0052】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザからのレーザ光を前記光波長変換素子伝えるシングルモードファイバーを備えている。
【0053】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザからのレーザ光を伝えるファイバーと、該ファイバーから出たレーザ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、を備えている。
【0054】
ある実施形態では、前記半導体レーザ素子は、分布帰還型半導体レーザであり、前記レーザ光源は、分布帰還型半導体レーザからのレーザ光を増幅する半導体レーザアンプを更に備えている。
【0055】
ある実施形態では、前記光波長変換素子には、光導波路が形成されており、該光導波路の幅および厚みが、それぞれ40μm以上である。
【0056】
本発明の他のレーザ装置は、変調された紫外レーザ光を放射するレーザ光源と、該紫外レーザ光の方向を変える偏向器とを備えたレーザ装置であって、該偏光器は該紫外レーザ光をスクリーンに照射し、それによって該スクリーン上に塗布された蛍光体から赤、緑または青色の光を発生させる。
【0057】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、半導体レーザと、高調波を生成する光波長変換素子と、該半導体レーザからのレーザ光を前記光波長変換素子伝えるシングルモードファイバーを備えている。
【0058】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、半導体レーザと、該半導体レーザからのレーザ光を伝えるファイバーと、該ファイバーから出たレーザ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、該基本波から高調波を生成する光波長変換素子と、を備えている。
【0059】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、半導体レーザと、分布帰還型半導体レーザからのレーザ光を増幅する半導体レーザアンプとを更に備えている。
【0060】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、レーザ光を出射する半導体レーザと、該レーザ光をガイドする光導波路及び周期的分極反転構造が形成された光波長変換素子を備えており、該光導波路の幅および厚みが、それぞれ40μm以上である。
【0061】
本発明の更に他のレーザ装置は、赤、緑及び青色のレーザ光を発生する3つのレーザ光源と、各レーザ光の強度を変化させる変調器と、各レーザ光の方向を変化させる偏向器と、を備えたレーザ装置であって、前記レーザ光源が半導体レーザにより構成されている。
【0062】
ある実施形態では、動作時に、前記半導体レーザに対して高周波が重畳される。
【0063】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、半導体レーザと、高調波を生成する光波長変換素子と、該半導体レーザからのレーザ光を前記光波長変換素子伝えるシングルモードファイバーを備えている。
【0064】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、半導体レーザと、該半導体レーザからのレーザ光を伝えるファイバーと、該ファイバーから出たレーザ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、該基本波から高調波を生成する光波長変換素子と、を備えている。
【0065】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、半導体レーザと、分布帰還型半導体レーザからのレーザ光を増幅する半導体レーザアンプとを更に備えている。
【0066】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、レーザ光を出射する半導体レーザと、該レーザ光をガイドする光導波路及び周期的分極反転構造が形成された光波長変換素子を備えており、該光導波路の幅および厚みが、それぞれ40μm以上である。
【0067】
本発明の更に他のレーザ装置は、半導体レーザを含んだ少なくとも1つ以上のレーザ光源と、サブの半導体レーザと、該レーザ光源からの光の強度を変化させる変調器と、スクリーンと、該レーザ光源からの光の方向を変化させ、該光で該スクリーンを走査させる偏向器と、を備えたレーザ装置であって、該サブの半導体レーザから出た光は該スクリーンの周辺部を走査し、該サブの半導体レーザから出た光の光路がさえぎられた場合、該レーザ光源からのレーザ光の照射を停止する。
【0068】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、高調波を生成する光波長変換素子と、前記半導体レーザからのレーザ光を前記光波長変換素子伝えるシングルモードファイバーを備えている。
【0069】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザと、該半導体レーザからのレーザ光を伝えるファイバーと、該ファイバーから出たレーザ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、該基本波から高調波を生成する光波長変換素子とを備えている。
【0070】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザは分布帰還型半導体レーザであり、該分布帰還型半導体レーザからのレーザ光を増幅する半導体レーザアンプを更に備えている。
【0071】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザからのレーザ光をガイドする光導波路及び周期的分極反転構造が形成された光波長変換素子を備えており、該光導波路の幅および厚みが、それぞれ40μm以上である。
【0072】
本発明のレーザ装置は、半導体レーザを含んだ少なくとも1つ以上のレーザ光源と、該レーザ光源から放射されたレーザ光の方向を変化させ、スクリーン上を該レーザ光で走査する偏向器と、を備えたレーザ装置であって、該レーザの一部を受光すると信号を発生する2つ以上のディテクターを更に備えており、該偏向器が該レーザ光で該スクリーンを走査する間に、該ディテクターが一定時間内に信号が発生しない場合、該レーザ光源からのレーザ光の発生を停止する。
【0073】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、高調波を生成する光波長変換素子と、前記半導体レーザからのレーザ光を前記光波長変換素子伝えるシングルモードファイバーを備えている。
【0074】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザと、該半導体レーザからのレーザ光を伝えるファイバーと、該ファイバーから出たレーザ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、該基本波から高調波を生成する光波長変換素子と、を備えている。
【0075】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザは分布帰還型半導体レーザであり、該分布帰還型半導体レーザからのレーザ光を増幅する半導体レーザアンプを更に備えている。
【0076】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザからのレーザ光をガイドする光導波路及び周期的分極反転構造が形成された光波長変換素子を備えており、該光導波路の幅および厚みが、それぞれ40μm以上である。
【0077】
本発明の更に他のレーザ装置は、半導体レーザを含んだ少なくとも1つ以上のレーザ光源と、各レーザ光の強度を変化させる変調器と、各レーザ光の方向を変化させる偏向器と、とを備え、該レーザ光源から出たレーザ光を2つ以上の光路に分割し、2方向よりスクリーンを照射する。
【0078】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、高調波を生成する光波長変換素子と、前記半導体レーザからのレーザ光を前記光波長変換素子伝えるシングルモードファイバーを備えている。
【0079】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザと、該半導体レーザからのレーザ光を伝えるファイバーと、該ファイバーから出たレーザ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、該基本波から高調波を生成する光波長変換素子と、を備えている。
【0080】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザは分布帰還型半導体レーザであり、該分布帰還型半導体レーザからのレーザ光を増幅する半導体レーザアンプを更に備えている。
【0081】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザからのレーザ光をガイドする光導波路及び周期的分極反転構造が形成された光波長変換素子を備えており、該光導波路の幅および厚みが、それぞれ40μm以上である。
【0082】
ある実施形態では、2つのレーザ光源により2つの光路を形成し、かつそれぞれのレーザ光源が別々の変調を受けている。
【0083】
ある実施形態では、2つの光路が時間的に切り替わる。
【0084】
本発明の更に他のレーザ装置は、半導体レーザを含んだ少なくとも1つ以上のレーザ光源と、該レーザ光源から出たレーザ光を平行ビームにする第1の光学系と、該平行ビームを空間変調する液晶セルと、該液晶セルから出た光をスクリーンに照射する第2の光学系とを備えている。
【0085】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、高調波を生成する光波長変換素子と、前記半導体レーザからのレーザ光を前記光波長変換素子伝えるシングルモードファイバーを備えている。
【0086】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザと、該半導体レーザからのレーザ光を伝えるファイバーと、該ファイバーから出たレーザ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、該基本波から高調波を生成する光波長変換素子と、を備えている。
【0087】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザは分布帰還型半導体レーザであり、該分布帰還型半導体レーザからのレーザ光を増幅する半導体レーザアンプを更に備えている。
【0088】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザからのレーザ光をガイドする光導波路及び周期的分極反転構造が形成された光波長変換素子を備えており、該光導波路の幅および厚みが、それぞれ40μm以上であることを特徴とする。
【0089】
ある実施形態では、前記サブの半導体レーザが赤外半導体レーザである。
【0090】
ある実施形態では、光波長変換素子の位相整合波長をずらすことでレーザ光照射を止める。
【0091】
本発明の光ディスク装置は、レーザ光を生成するレーザ光源と、基本波を高調波に変換する光波長変換素子と、該光波長変換素子を内蔵した光ピックアップと、該光ピックアップを移動させるアクチュエータとを備えた光ディスク装置であって、該レーザ光源から放射された該レーザ光は、光ファイバを介して、該光ピックアップに入射される。
【0092】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記光ピックアップの外部に配置された半導体レーザを含む。
【0093】
ある実施形態では、前記レーザ光源は、前記半導体レーザから出射されたレーザ光をポンプ光として前記基本波を生成する固体レーザ結晶を更に備えている。
【0094】
ある実施形態では、前記固体レーザ結晶は、前記光ピックアップの外部に配置され、該固体レーザ媒体によって生成された基本波が、前記光ファイバを介して前記光波長変換素子に入射される。
【0095】
ある実施形態では、前記固体レーザ結晶は、前記光ピックアップの内部に配置され、該半導体レーザから出射された前記レーザ光が、前記光ファイバを介して該固体レーザに入射される。
【0096】
(発明を実施するための最良の形態)
本願発明者らは、光導波路を有する前述の光波長変換素子について、時間が経過すると位相整合波長が短くなり、高調波が出なくなる原因を考察した。
【0097】
図4は、従来の光波長変換素子について、その素子の作製直後からの経過時間と高調波の出力との関係を示している。時間の経過に伴って、高調波出力は急減に低下してゆくことがわかる。
【0098】
図5は、経過時間と位相整合波長との関係を示している。高調波出力は、素子の作製直後から3日後には半分になる。このとき、位相整合波長が短波長側にシフトしていることがわかる。位相整合波長λは分極反転周期Λと高調波、基本波に対する実効屈折率n2W及びnにより決まる。より詳細には、λ=2(n2W−n)・Λとなる。
【0099】
分極反転層の周期Λは経時的に変化することなく、一定に維持されるので、位相整合波長λの低下は、実効屈折率n2W及びnの変化に起因すると考えられる。
【0100】
図6は、実効屈折率n2Wと経過時間との関係を示す。図6から、実効屈折率n2Wは、素子作製日から日が経つにつれ低下していることがわかる。
【0101】
本願発明者は、この原因を以下のように考える。
【0102】
光導波路を形成する場合に行う400℃程度の高温処理が、プロトン交換層に歪等を導入し、その結果、プロトン交換層内に屈折率の上昇した層(変化層)が形成される。この歪が時間の経過とともに徐々に解放され、変化層の屈折率は本来の屈折率に近づいて行く。
【0103】
高温アニール時に発生した歪等によって、屈折率の上昇した変化層が形成されるが、その変化層の屈折率は時間の経過とともに元の大きさに戻り、最終的に、変化層は安定したプロトン交換層になる。しかしながら、変化層がこのような安定プロトン交換層になるには何年もかかる。なお、本願明細書では、常温(約0℃〜約50℃)での使用によっては、実効屈折率が経時的に低下しない状態にあるプロトン交換層を、「安定プロトン交換層」と称することとする。
【0104】
以上が、本願発明者の考える経時変化のメカニズムである。このことを確認するために、経時変化により屈折率が低下したサンプルに対して、300℃1分間のアニールを施した。この程度のアニール温度及び時間では、プロトン等の拡散をほとんど生じないため、導波路は広がらない。このため、従来の考え方によれば、プロトン交換層の屈折率は何も変化しないはずである。ところが、発明者の実験によると、300℃1分間のアニールによって屈折率が再び上昇した。さらに、このアニールの後、時間の経過とともに、屈折率は再び低下するという現象が観測された。
【0105】
本願発明は、比較的に高い温度の熱処理によってプロトン交換層内に生じた歪を緩和し、それによって、光波長変換素子の経時変化を防止することができる。
【0106】
以下に、図面を参照しながら実施例を説明する。
【0107】
(実施例1)
図7を参照しながら、本発明の第1の実施例を説明する。
【0108】
本実施例の光波長変換素子では、安定プロトン交換層からなる光導波路がLiTaO基板1に形成され、光導波路に沿って複数の分極反転層3が周期的に配列されている。光導波路の入力端に基本波P1を入射することで、その出力端から高調波P2が出射される。本実施例の光波長変換素子の長さ(導波路の長さ)は、9mmである。また、波長850nmに対して動作するように、分極反転層3の一周期の長さを3.7μmに設定している。
【0109】
以下に、図8Aから図8Eを参照しながら、光波長変換素子の製造方法を説明する。
【0110】
図8Aに示されるように、まず、LiTaO基板1の主面を覆うようにTa膜を堆積した後、通常のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いてTa膜(厚さ:約200〜300nm)をストライプ状にパターニングして、Taマスク6を形成する。本実施例で使用するTaマスク6は、幅1.2μmで長さが10mmのストリッブが等間隔で配列されたパターンを持ち、ストリップの配列周期は3.7μmである。Taマスク6で主面が覆われたLiTaO3基板1に対して、プロトン交換処理を行う。このプロトン交換処理は、230℃に加熱したピロ燐酸中に基板1の表面を14分間浸すことによって実行される。こうして、LiTaO基板1のうち、Taマスクで覆われていない部分に厚さ0.5μmのプロトン交換層7を形成する。この後、HF:HNFの1:1混合液を用いた2分間のエッチングによって、Taマスクを除去する。
【0111】
次に、図8Bに示されるように、550℃の温度で15秒間の熱処理を行うことにより、各プロトン交換層7内に分極反転層を形成する。熱処理の温度上昇レートは50〜80℃/秒、冷却レートは1〜50℃/秒とする。LiTaO基板1のうちプロトン交換がなされていない部分にくらべて、プロトン交換がなされた部分ではLiの量(濃度)が減少している。そのために、プロトン交換層7のキュリー温度は他の部分よりも低下し、550℃の熱処理でプロトン交換層7内に部分的に分極反転層3を形成することができる。この熱処理によって、Taマスク6の周期パターンを反映した周期的パターンを持つ分極反転層3を形成することができる。
【0112】
次に、光導波路を形成するためのTaマスク(不図示)を形成する。このTaマスクは、基板1の上に堆積したTa膜(厚さ:約200〜300nm)にスリット状の開口部(幅4μm、長さ12mm)を形成したものである。この開口部が、導波路の平面レイアウトを規定することになる。導波路の形状は、直線的なものに限定されないことは言うまでもない。形成すべき導波路の形状に応じて、Taマスクのパターンが決定される。Taマスクで覆われたLiTaO基板1に対して、260℃、16分間のプロトン交換処理を行うことによって、図8Cに示されるように、LiTaO基板1のうちTaマスクの開口部の下に位置する領域に、直線的に延びるプロトン交換層(厚さ0.5μm、幅5μm、長さ10mm)5を形成する。この直線状に延びるプロトン交換層5が、最終的には導波路として機能することになる。この後、HF:HNFの1:1混合液を用いた2分間のエッチングによってTaマスクを除去する。
【0113】
次に、赤外線加熱装置を用いて420℃で1分間のアニールを行う。このアニールによって、プロトン交換層5の非線形性が回復するとともに、図8Dに示されるように、屈折率の0.03程度上昇した変化層8bが形成される。このアニールは、前述のように、基板1内でLi及びプロトンを拡散させ、プロトン交換層5のプロトン交換濃度を低下させる機能を果たす。このあと、基板1の主面上に保護膜として機能する厚さ300nmのSiO膜(不図示)を堆積する。
【0114】
次に、変化層8bに対して垂直な基板1の面を光学的に研磨し、光波長変換素子の入射部および出射部を形成したあと、図8Eに示されるように、入射部及び出射部の研磨面に、無反射(AR)コート15を形成する。
【0115】
次に、経時変化を防止するための低温アニールを行う。本願明細書では、「低温アニール」は、プロトン交換層のプロトン濃度を実質的に低下させないような温度で行う熱処理を意味する。例えばLiTaO基板の場合、「低温アニール」は、約130℃以下の温度で行う熱処理を意味する。本実施例では、オーブンを用いて大気雰囲気下で60℃、40時間の熱処理を行う。このような低温アニールによって、安定プロトン交換層8aが形成される。この安定プロトン交換層8aが光導波路を構成する。
【0116】
図9を参照して、上記製造工程のフローを説明する。
【0117】
基板への分極反転層形成工程(ステップS10)の後、光導波路形成工程(S20)を行う。光導波路形成工程(S20)は、大きく、ステップS21、ステップS22及びステップS23に分かれる。ステップS21でマスクパターンを形成し、ステップS22でプロトン交換処理を行い、ステップS23で高温アニールを行う。その後保護膜形成工程(ステップS30)、端面研磨工程(ステップS40)、ARコート工程(ステップS50)を施す。このままでは波長変換素子の経時変化があるので、ステップS60で低温アニールを施し、安定プロトン交換層を形成する。
【0118】
図10は低温アニールの温度をが60℃の場合と120℃の場合について、アニール時間ととの関係を示している。位相整合波長シフト量は、120℃のアニールによれば、数時間でほぼ一定になるが、60℃のアニールによれば、ほぼ一定になるのに数十時間かかる。
【0119】
図10から、低温アニールの温度が高いほど、短いアニール時間で安定状態になることがわかる。また、アニール温度が低い程、安定状態に変化したときの位相整合波長シフト量はゼロに近い値を示す。このように、低温アニールの温度を高くすれば、シフト量のゼロへの戻りに要する時間は短いが、その反面、歪みが比較的に大きく残存することなる。
【0120】
図11は、安定状態に復帰したときの位相整合波長シフト量と低温アニールの温度との関係を示す。図11から、120℃のアニールを行えば、位相整合波長が0.5nm程度シフトした状態で安定することがわかる。150℃以上のアニールを行えば、安定化後の位相整合波長のシフト量は0.8nm以上になる。このような大きさの位相整合波長のシフトが残っていると、光波長変換素子の長期的な使用は困難になる。もし位相整合波長のシフトの許容範囲を0.5nm以下とした場合、120℃を越える温度でアニールを行っても許容範囲内にシフト量を縮小することができなくなる。位相整合波長シフトの許容範囲を広げると、変換効率が低下する。位相整合波長のシフト量が0.5nmを越えると、シフト量がゼロの場合の1/4程度の出力しか得られなくなる。低温アニール温度を60℃で行えば、アニール時間は長くなるが、シフト量は0.1nm以下に低減できるので、変換効率低下の問題はなくなる。位相整合波長のシフト量は、約0.2nm以下に抑えることが好ましい。
【0121】
本実施例によれば、光導波路2における非分極反転層4及び分極反転層3の屈折率に経時変化がなく、また、光が導かれるときの伝搬損失は小さい。半導体レーザからのレーザ光(波長850nm)を、基本波P1として入射部に入射し、光導波路を伝搬させたところ、光はシングルモードで伝搬し、波長425nmの高調波P2が出射部から基板外部へ取り出された。光導波路2の伝搬損失は1dB/cmと小さく、高調波P2が有効に得られた。基本波27mWの入力で1.2mWの高調波(波長425nm)を得た。この場合の変換効率は4.5%である。
【0122】
図12は、経過日数と高調波出力との関係を示す。図13は、経過日数と位相整合波長との関係、及び経過日数と屈折率変化との関係を示す。
【0123】
これらの図から、屈折率変化および位相整合波長は、素子の作製直後から一定となっていることがわかる。本発明の光波長変換素子の製造方法によれば、屈折率変化が時間経過に対して生じないため位相整合波長が一定な光波長変換素子が実現できた。この素子を半導体レーザと組み合わせると安定な短波長レーザが製造できる。60℃程度の温度では40時間以上の低温アニールが特に有効である。
【0124】
(実施例2)
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
【0125】
まず、LiTaO基板の主面を覆うようにTa膜を堆積した後、通常のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いてTa膜(厚さ:約200〜300nm)をストライプ状にパターニングして、Taマスクを形成する。本実施例で使用するTaマスクは、幅1.2μmで長さが10mmのストリッブが等間隔で配列されたパターンを持ち、ストリップの配列周期は3.6μmである。Taマスクで主面が覆われたLiTaO基板1に対して、プロトン交換処理を行う。このプロトン交換処理は、260℃に加熱したピロ燐酸中に基板の表面を20分間浸すことによって実行される。こうして、LiTaO基板のうち、Taマスクで覆われていない部分に厚さ0.5μmのプロトン交換層を形成する。この後、HF:HNFの1:1混合液を用いた2分間のエッチングによって、Taマスクを除去する。
【0126】
次に、550℃の温度で15秒間の熱処理を行うことにより、各プロトン交換層7内に分極反転層を形成する。熱処理の温度上昇レートは50℃/秒、冷却レートは10℃/秒とする。この熱処理によって、Taマスクの周期パターンを反映した周期的パターンを持つ分極反転層を形成することができる。
【0127】
図14を参照しながら、上記工程のの後に続く工程のフローを説明する。
【0128】
まず、基板の分極反転層が配列された面に対してプロトン交換処理を施し、それによって光導波路を形成する(ステップS100)。光導波路形成用のマスクとしては、Ta膜に幅4μm、長さ12mmのスリットを形成したものを用いる。
【0129】
次に、260℃、16分間のピロ燐酸中でプロトン交換を行った(ステップS110)後、Taマスクを除去する。厚さ300nmのSiO膜で基板の主面を覆った後に、低温アニール(ステップS120)を行い、光導波路の形成を完了する。低温アニールは、屈折率上昇を防止するため、空気中で120℃の熱処理を200時間行った。この低温アニールによって、安定プロトン交換層が形成される。
【0130】
以上の工程によって、基板に分極反転層および光導波路が形成される。分極反転層の厚さを2.2μmとした場合、波長変換を有効に行うために、光導波路の厚みdを分極反転層の厚さより薄く、例えば1.8μmに設定する。波長840nmに対して動作させるには、分極反転層の周期は3.6μmに設定される。
【0131】
上記製造方法によれば、非分極反転層及び分極反転層に屈折率の経時的変化は生じず、光の伝搬損失は小さい。光導波路に垂直な面を光学研磨し入射部および出射部を形成した。このようにして光波長変換素子が製造できる。また、この素子の長さは9mmである。
【0132】
基本波P1として半導体レーザ光(波長840nm)を導波路の入射部に入射させたところ、波長420nmの高調波P2が出射部から基板外部に取り出された。出力80mWの基本波の入力に対して、出力10mWの高調波(波長420nm)が得られた。この場合の変換効率は12%である。光損傷はなくまた、経時変化もまったくなく高調波出力は非常に安定していた。この実施例のようにプロセスの途中で高温アニール工程を入れないようにすると経時変化が防止できる。
【0133】
(実施例3)
次に、本発明の第3の実施例として、LiNbO基板(厚さ:0.4〜0.5mm)を用いた場合について説明する。
【0134】
まず、通常のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、上記各実施例で使用したTaマスクのパターンと同様のパターンを有するTa電極(第1のTa電極)をLiNbO基板の主面上に形成する。
【0135】
この後、基板の裏面全体にTa膜(第2のTa電極)を堆積する。基板の主面に形成した第1のTa電極と、基板の裏面に形成した第2のTa電極とによって、基板に電界を印加するための電極構造が構成される。
【0136】
次に、第1のTa電極と第2のTa電極との間に電圧(例えば10キロボルト)を与えて、LiNbO基板内に電界を形成する。この電圧印加によって、基板の表面のうち第1のTa電極に接触している部分から基板の裏面にまで延びた分極反転層が形成される。
【0137】
次に、HF:HNFの1:1混合液にて2分間エッチングし、Ta電極を除去する。次に、スリット状の開口部(幅4μm、長さ12mm)を持つTaマスクを基板上に形成した後、ピロ燐酸を用いたプロトン交換処理(230℃、10分間)を施して光導波路を形成する。このTaマスクを除去した後、赤外線加熱装置を用いて420℃2分間のアニールを行う。このアニールによって、光導波路における非線形性は回復するが、屈折率が0.02程度上昇した変化層が形成される。
【0138】
この後、保護膜として機能する厚さ300nmのSiO膜を基板上に堆積する。次に、屈折率上昇の原因でる歪みを緩和するため、空気中で100℃20時間のアニール(第1段低温アニール)を行った後、引き続き、60℃10時間のアニール(第2段低温アニール)を行う。このように、本実施例では2段階の低温アニールを行う。低温アニールを2段階にわけて行うのは、低温アニールに要するトータルの時間を短縮するためである。100℃でのアニールによれば、60℃でのアニールに比べて歪が早く緩和されるが、図11に示されるような100℃における位相整合波長シフト量に対応する歪が残留する。そのため、さらに60℃での低温アニールを追加的に行い、歪を完全に消失させる。この2段階アニールによって、早くかつ完全に、経時変化の生じにくい「安定プロトン交換層」を形成できる。
【0139】
上記のような工程により形成された光導波路の厚みdは、1.8μmである。分極反転層の配列周期は3μmであり、波長840nmに対して動作する。光導波路に垂直な面を光学研磨し、入射部および出射部を形成した。このようにして光波長変換素子が製造できる。また、この素子の長さは10mmである。基本波P1として半導体レーザ光(波長840nm)を入射部より導波させたところ、波長420nmの高調波P2が出射部より基板外部に取り出された。基本波80mWの入力で13mWの高調波(波長420nm)を得た。経時変化はまったくなく高調波出力は非常に安定していた。
【0140】
なお、この実施例では、異なる温度で2種類の低温アニール(2段アニール)を行ったが、例えば、100℃から60℃まで30時間かけて徐々に温度を低下させるような低温アニールを行っても良い。
【0141】
(実施例4)
次に、図15Aから図15Cを参照しながら、本発明による第4の実施例を説明する。
【0142】
まず、液層エピタキシャル成長法によって、図15Aに示されるように、LiNbOとLiTaOの混合物膜(LiNb0.5Ta0.5膜)16’をLiTaO3基板1上に成長させる。この時、成長温度は1000℃を越え、歪が混合物膜16とLiTaO基板1との境界面に残る。次に、図15Bに示されるように、通常のフォトリソグラフィ技術を用いて、混合物膜16’上にレジストマスク17を形成する。次に、図15Cに示されるように、イオンビームエッチングによって、混合物膜16のうちレジストマスク17で覆われていない部分を除去し、例えば幅が4μmの光導波路16を残置する。
【0143】
蒸着法によって厚さ300nmのSiOを基板1上に堆積した後、屈折率上昇を緩和するための低温アニールを行う。このアニールは、100℃で30時間で行う第1段低温アニールと、これに引き続く70℃で60時間行う第段低温アニールとからなる。この低温アニールによって、屈折率変化のない安定な光導波路層16が得られる。
【0144】
上記工程により形成された光導波路の厚さdは、1.8μmである。また、この素子の長さは9mmである。光導波路に垂直な面を光学研磨し入射部および出射部を形成した。半導体レーザ光(波長840nm)を入射部より導波させたところ、導波ロスは非常に少なかった。屈折率の経時変化も測定限界以下であり非常に安定していた。混合物膜の材料は、LiNb0.5Ta0.5に限定されず、LiNbTa1−x(0<x<1)や他の光学材料であってもよい。
【0145】
(実施例5)
次に、本発明の第5の実施例を説明する。
【0146】
図16を参照しながら、本実施例のプロセスフローの概略を説明する。
【0147】
まず、光導波路形成工程を行う。光導波路形成工程は、大きく、ステップS200、ステップS210及びステップS220に分かれる。ステップS200でマスクパターンを形成し、ステップS210でプロトン交換処理を行い、ステップS220で高温アニールを行う。その後、電極形成工程(ステップS230)、低温アニール工程(ステップS240)、端面研磨工程(ステップS250)、ARコート工程(ステップS260)を施す。
【0148】
以下に、プロセスの詳細を説明する。
【0149】
まず、通常のフォトプロセスとドライエッチングを用いてTaをスリットにパターニングする。次にTaによるパターンが形成されたLiTaO基板1に230℃、10分間プロトン交換を行いスリット直下に厚み0.5μmのプロトン交換層を形成する。次にHF:HNFの1:1混合液にて2分間エッチングしTaを除去する。拡散炉を用いて400℃で1時間アニール(第1のアニール)を行い屈折率が0.01程度上昇した変化層が形成される。次に電極形成工程として、蒸着によりSiO2を300nm付加した。そして電極マスクとしてAlをストライプ状に蒸着した後パターニングを行った。次に屈折率上昇を緩和するため低温アニールを施した。空気中で70℃、10時間アニールを行った。これにより安定プロトン交換層が形成される。ここでは第1のアニールより330℃低い温度で第2のアニールを行った。200℃以上低くすることで歪を大きく緩和でき有効である。最後に研磨、ARコートを施した。
【0150】
上記のような工程により電極付きの光導波路が製造された。これは、光変調器として機能する。この光導波路の厚みは8μmである。光導波路に垂直な面を光学研磨し入射部および出射部を形成した。このようにして光素子が製造できる。また、この素子の長さは9mmである。電極に変調信号を加え、基本波として半導体レーザ光(波長1.56μm)を入射部より導波させたところ、出射部より変調された光が取り出された。経時変化はなくバイアス電圧は2000時間以上安定していた。
【0151】
なお上記実施例では、何れも、光素子の一例として光波長変換素子及び光変調器に関して本願発明を説明してきたが、本願発明はこれに限定されることなく、平面デバイスであるフレネルレンズやホログラム等にも適用可能である。プロトン交換処理に伴う屈折率の時間変化が防止でき特性の劣化が抑えられる。
【0152】
(実施例6)
次に、図17を参照しながら、本発明の第6の実施例を説明する。本実施例は、半導体レーザと光波長変換素子とを備えた短波長光源である。
【0153】
図17に示されるように、半導体レーザ20より出たポンプ光P1aはレンズ30で集光され固体レーザ結晶であるYAG21を励起する。
【0154】
YAG21には947nmに対する全反射ミラー22が形成されており波長947nmでレーザ発振し、基本波P1が放射される。一方光波長変換素子25の出射側に基本波P1の全反射ミラー23が形成されており、レーザ発振はこの間で生じていることになる。基本波P1はレンズ31により集光され光波長変換素子25により基本波P1は高調波P2へと変換される。この実施例では周期構造が形成された周期状分極反転構造を持つ光波長変換素子としてLiTaO基板1中にプロトン交換を用いて作製した光導波路2を用いたものである。
【0155】
図17で1はZ板のLiTaO基板、2は形成された光導波路、3は分極反転層、10は基本波P1の入射部、12は高調波P2の出射部である。光導波路2に入った基本波P1は位相整合長Lの長さを持った分極反転層3で高調波P2に変換され、次の同じくLの長さを持った非分極反転層4で高調波パワーは増す事になる。
【0156】
このようにして光導波路2内でパワーを増した高調波P2は出射部12より放射される。発散された高調波P2はレンズ32で平行光にされる。
【0157】
また、光波長変換素子25には電極14が保護膜13を介して形成されている。次にこの光波長変換素子25の製造方法について図を使って簡単に説明する。
【0158】
まず、図18Aに示されるように、通常のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、上記各実施例で使用したTaマスクのパターンと同様のパターンを有するTa電極(第1のTa電極)6を、厚さ0.3mmのLiNbO基板1の主面上に形成する。
【0159】
この後、基板1の裏面全体にTa膜(第2のTa電極)6bを堆積する。基板1の主面に形成した第1のTa電極6と、基板1の裏面に形成した第2のTa電極6bとによって、基板1に電界を印加するための電極構造が構成される。
【0160】
次に、第1のTa電極6と第2のTa電極6bとの間に電圧(例えば10キロボルト)を与えて、LiNbO基板1内に電界を形成する。この電圧印加によって、図18Bに示されるように、基板1の表面のうち第1のTa電極6に接触している部分から基板1の裏面にまで延びた分極反転層3が形成される。光が伝搬する方向に沿った分極反転層3の長さLは2.5μmである。この後、HF:HNF3の1:1混合液にて20分間エッチングし、Ta電極6及び6bを除去する。
【0161】
次に、スリット状の開口部(幅4μm、長さ12mm)を持つTaマスク(不図示)を基板1上に形成した後、ピロ燐酸を用いたプロトン交換処理(260℃、40分間)を施して、図18Cに示されるように、光導波路2を形成する。Taマスクは、スリット(幅6μm、長さ10mm)を有しており、このスリットが光導波路2の平面レイアウトを規定する。Taマスクを除去した後、赤外線加熱装置を用いて460℃で5時間ののアニールを行う。このアニールによって、プロトン交換された光導波路は非線形性を回復し、その部分の屈折率は0.002程度上昇する。光は、この屈折率の高い光導波路2に沿ってを伝搬する。この光導波路2の厚みdは50μm、幅70μmである。導波路2が延びる方向に沿った分極反転層3の配列周期は5μmであり、この光波長変換素子は波長947nmの基本波に対して動作する。
【0162】
次に、図18Dに示されるように、SiOから形成された保護膜(厚さ300〜400nm)13を基板1上に形成した後、Al膜(厚さ200nm)を蒸着によって保護膜13上に形成する。Al膜をフォトリソグラフイ技術によってパターニングし、Al電極14を形成する。Al電極14は、出力光の強度変調のための用いられる。
【0163】
光導波路2の延びる方向に対して垂直な面を光学的に研磨し、図17に示される入射部10および出射部12を形成する。さらに入射部10には基本波P1に対する無反射コートを施す。出射部12には基本波P1に対する反射コート(99%)、高調波P2に対する無反射コートを施す。
【0164】
このようにして図17に示される光波長変換素子25(素子長さ10mm)を製造できる。
【0165】
図17で基本波P1として波長947nmを入射部10より導波させたところシングルモード伝搬し、波長473nmの高調波P2が出射部12より基板外部に取り出された。光導波路2の伝搬損失は0.1dB/cmと小さく、共振器の性能は向上し、基本波P1のパワー密度が増大し、そして高調波P2が高効率で発生した。
【0166】
低損失化の原因としては、燐酸により均一な光導波路を形成できたこと、および導波路の閉じ込めを小さくしたが考えられる。また、この閉じ込めの弱い光導波路により、高調波の密度は小さくなり、光損傷が大幅に改善された。従来の面積の100倍にすることで、100倍の光損傷に耐えることができるからである。
【0167】
図19は、光導波路厚みと耐光損傷パワーとの関係を示す。耐光損傷パワーとは、いくらまでの青色の高調波に耐えるか、つまり光変動を生じないかのパワーである。光導波路の厚みを広げると、同時に拡散により幅も広がるため、耐光損傷パワーは光導波路厚みのほぼ2乗に対して向上することがわかる。レーザ投射に必要なパワーは最低2Wなので光導波路厚みは40μm以上であることが望ましい。
【0168】
また、導波路とその周辺部における屈折率の分布が、ステップ状に変化する場において、導波路の断面を拡大すると、マルチモード伝搬現象が生じる。これを避けるため、本実施例では、グレーディッド型屈折率分布を持つ導波路を形成している。
【0169】
半導体レーザ20の出力光P1aの出力が10Wのとき、出力3Wの高調波P3を得た。この場合の変換効率は30%である。光波長変換素子の波長変動に対する許容度は0.4nmである。波長が0.4nmずれても固体レーザの発振波長は一定であり、高調波出力は安定していた。変調用Al電極14に電圧を印加することで、導波路及びその近傍の屈折率が変化し、光波長変換素子の位相整合波長がシフトする。電圧の印加によって位相整合波長が大きくシフトするという現象を利用することによって、約100Vという比較的に低い電圧の印加で、高調波出力の変調を行うことができる。
【0170】
このように本実施例で用いる周期状分極反転構造を用いた光波長変換素子によれば、電圧を印加することで簡単に高調波出力を変調することができ、必要な印加電圧も低く、産業上の利用価値が高い。
【0171】
これにより変調器を一体化することができ、小型、軽量、低コスト化が図れる。また、本発明で用いた非線形光学結晶であるLiTaOは大型結晶が入手でき光ICプロセスを用いた光波長変換素子の量産化も容易であるという特徴もある。なお基本波に対してマルチモード伝搬では高調波の出力が不安定で実用的ではなくシングルモードが有効である。この実施例のように、光波長変換素子として周期状分極反転構造を有するものを用いると、高効率化が図れ、また光変調器を一体化でき、また、周期を変えると青だけでなく、赤、緑色のレーザ光も取り出せ、その価値は大きい。なお、光変調器は分離しても良い。
【0172】
次に、図20を参照しながら、本発明のレーザ投射装置の実施例を説明する。図20に示されるように、このレーザ投射装置の光源には、図17に示される青色のレーザ光源を用いた。45は青色である波長473nm帯のレーザ光源である。また変調用電極に変調信号を入力することで青色光は変調されている。変調された青色レーザ光は偏向器に入射する。56は垂直偏向器、57は水平偏向器であり、ともに回転多面鏡を用いている。ゲイン3のスクリーン70を用いて、画面サイズ4m×3mにおいて輝度300cd/m、コントラスト比100:1、水平解像度1000TVを得た。従来に比べこのように解像度は大幅に向上した。また、ガスレーザを用いた構成に比べ重量が1000分の1、容量が1000分の1、消費電力が100分の1と大幅に改善することができた。これは、用いたレーザ光源が小型、低消費電力であること、さらに光変調器が一体となっていることが大きく寄与している。つまり、半導体レーザと光波長変換素子を用いた構成は超小型が図れること、また電気からの変換効率がガスレーザの2桁程度高いことによる。特に光波長変換素子として周期状分極反転構造を有するものを用いると、高効率化が図れ、また光変調器を一体化できその効果は絶大である。本実施例ではスクリーン後方から、レーザ光を照射したが、前方から照射することもできる。
【0173】
次に、図21を参照しながら、本発明のレーザ光源の他の実施例を説明する。
【0174】
図21に示されるように、半導体レーザ20から出た基本波P1はレンズ30、半波長板37、集光レンズ31を介して光波長変換素子25に導かれ高調波P2に変換される。つまりこの例では固体レーザを使わず青色光を得ている。光波長変換素子25の構成は実施例1とほぼ同様である。本実施例でもLiTaO基板、光導波路型の光波長変換素子を用いている。また、光変調を行うため電極14および保護膜13が形成されている。ただし、本実施例では共振器構造にはしていない。
【0175】
図22は、半導体レーザ20の内部構成を示す。半導体レーザ20は分布帰還型(以下DBRと略す)半導体レーザ20aと半導体レーザアンプ20bより構成されている。DBR半導体レーザ20aにはグレーティングによるDBR部27が形成されており一定の波長で安定に発振する。このDBR半導体レーザ20aより出た安定化された基本波P0をレンズ30aにより半導体レーザアンプ20bに導く。この半導体レーザアンプ20bの活性層26bでパワーが増幅され、安定な基本波P1となる。これを、光波長変換素子25に入れることで変換効率および高調波出力が大幅に向上する。分極反転の周期は3μm、光導波路長は7mmである。この実施例での半導体レーザの発振波長は960nmで、発生した高調波P2の波長は480nm、色は青色であった。変換効率は10W入力で10%である。光損傷はなく高調波出力は非常に安定していた。DBR半導体レーザは発振波長が安定で、高調波出力の安定化には好都合である。
【0176】
次にこのDBR半導体レーザにRF重畳(高周波重畳)を行った。800MHzのサイン状電気波形をDBR半導体に印加し、緩和振動を利用し半導体レーザをパルス列の光出力化を行った。DBR半導体レーザをこのようにRF重畳すると、発振波長は一定のまま、基本波のピーク出力が大幅に向上する。基本波の平均出力10Wより変換効率50%の高調波、5Wが得られた。RF重畳しないときの5倍変換効率が向上した。
【0177】
なお、本実施例ではDBR半導体レーザと半導体レーザアンプを分離したが、集積化するとより小型化が図れる。
【0178】
次に、図23の断面図を参照しながら、本発明のレーザ光源の更に他の実施例を説明する。半導体レーザ20からの基本波P1はレンズ30で緩やかに光波長変換素子25に集光される。本実施例ではLiTaO3基板の代わりにLiNbOを基板として用いた。またバルク型の光波長変換素子25を用いている。LiNbO基板1aは非線形性が大きいという特徴がある。半導体レーザ20をRF駆動することでピークパワーが向上し、光波長変換素子の変換効率が大幅に向上する。分極反転層3の周期は3.5μm、光波長変換素子25の長さは7mmである。この実施例では光フィードバック法を用いて高調波P2出力を安定化している。光波長変換素子25の波長許容度は0.1nm程度と狭いからである。光波長変換素子25で変換されなかった基本波P1はレンズ32で平行化され、グレーティング36で反射し半導体レーザ20に戻る。これにより半導体レーザ20の発振波長はグレーティング36の反射波長にロックされる。光波長変換素子25の位相整合波長に発振波長を合わせるにはグレーティング36の角度を変えてやれば良い。
【0179】
一方、高調波P2はダイクロイックミラー35で反射され別方向に取り出される。この実施例では半導体レーザの発振波長は980nmで取り出された高調波P2は490nmの青色であった。このときRF周波数は810MHz、出力は5Wの電気波形を入れた。また、基本波の平均出力15Wで3Wの高調波が得られた。光損傷はなく高調波出力は非常に安定していた。光損傷がないのは基本波を100μm程度にしか集光していないため、高調波も同程度と密度の点では大きくないためである。
【0180】
なお、本実施例ではグレーティングによる光フィードバックによる波長ロックを行ったが、フィルターで波長を選択し光フィードバックを行う等これに限ることはない。また、本実施例のレーザ光源を用いてレーザ投射装置を構成すると、小型、軽量、低コスト化が図れる。また、本実施例では半導体レーザを直接変調することで高調波も変調でき、構成が簡単であり低コスト化が図れる。
【0181】
次に、図24を参照しながら、本発明のレーザ光源の他の実施例を説明する。図24において、光波長変換素子(バルク型)25の断面が示されている。
【0182】
波長806nmの半導体レーザ20より出たポンプ光P1aはファイバー40に入射し、ファイバー40中を伝搬する。ファイバー40から出たポンプ光P1aは光波長変換素子25に入る。光波長変換素子25の材料は希土類であるNdがドープされたLiTaO基板1bであり、周期5.1μmの分極反転構造が形成されている。Ndのドープ量は1mol%である。22は全反射ミラーで波長947nmの光を99%全反射し800nm帯の光は透過する。また、23も全反射ミラーで波長947nmの光を99%全反射し470nm帯の光は透過する。また、この全反射ミラー23の部分は球面状に加工されている。つまり球面ミラーの役割を果たしている。光波長変換素子25は半導体レーザ20より励起された947nmの波長で発振し、さらに分極反転層3による周期状分極反転構造により高調波P2に変換され外部に出射される。ポンプ光P1が20Wにて2Wの高調波が得られた。また、光波長変換素子の温度が大きく変化しないようにペルチエ素子にて温度安定化が図られている。この実施例のレーザ光源の変換部の長さは10mmであり、光波長変換素子に希土類をドープすることおよびファイバーでポンプ光を伝搬させることで非常にコンパクトにできる。また、半導体レーザからの発熱から光波長変換素子を遠ざけることで温度変化を防止することができる。
【0183】
また、全反射ミラー22および23のコーティングを1060nm帯の反射に、分極反転層3の周期を1060nm用に変えることで、1060nmが発振し、高調波P2として緑色レーザ光(波長530nm)が得られた。さらに、全反射ミラー22および23のコーティングを1300nm帯の反射に、分極反転層3の周期を1300nm用に変えることで、1300nmが発振し、高調波P2として赤色レーザ光(波長650nm)が得られた。この構成では簡単に青、緑、赤色の三原色レーザ光が得られる。次に固体レーザ結晶と光波長変換素子を分離した構成を図25に示す。固体レーザ結晶21としてNd:YVOをファイバーの出力側に張り付けた。LiTaO基板1の光波長変換素子25には周期状に分極反転構造が形成されている。この構成のレーザ光源においても安定に2Wの青色レーザ光を得ることができた。
【0184】
本発明の更に他の実施例について図面を用いて説明する。図26に本実施例のレーザ光源の構成図を示す。波長806nmの半導体レーザ20より出たポンプ光P1aは固体レーザ結晶21で基本波P1に変換されファイバー40に入射し、ファイバー40中を伝搬する。このファイバー40はシングルモードファイバーである。ファイバー40から出た基本波P1は光波長変換素子25に入る。この実施例では周期状分極反転構造を持つ光波長変換素子25としてLiTaO基板1中にプロトン交換を用いて作製した光導波路2を用いたものである。同図で1はZ板のLiTaO基板、2は形成された光導波路、3は分極反転層、10は基本波P1の入射部、12は高調波P2の出射部である。光導波路2に入った基本波P1は分極反転層3で高調波P2に変換される。このようにして、光導波路2内でパワーを増した高調波P2は出射部12より放射される。発散された高調波P2はレンズ32で平行光にされる。
【0185】
また、素子には電極14が保護膜13を介して形成されている。ポンプ光P1aが30Wにて10Wの高調波P2が得られた。光波長変換素子25に形成されている電極14に変調信号を入れることで青色レーザ光は30MHzで変調された。この実施例のレーザ光源の変換部の長さは10mmであり、ファイバーで基本波P1を伝搬させることで非常にコンパクトにできる。また、半導体レーザから光波長変換素子を遠ざけることで温度上昇を防ぐことができる。
【0186】
図26は、固体レーザ結晶を用いない実施例を示している。
【0187】
半導体レーザは980nm、出力10Wのものを用いる。これを光波長変換素子25にファイバー40を通して結合し、直接変換を行う。490nmの波長で、出力2Wが得られた。
【0188】
次に、図27を参照しながら、本発明のレーザ投射装置を説明する。光源には実施例5の青色レーザ光源および緑色レーザ光源および赤色レーザ光源の3色を用いた。45は青色である波長473nm帯のレーザ光源である。46は波長530nmの緑色のレーザ光源、47は波長650nmの赤色のレーザ光源である。それぞれの光波長変換素子には変調用の電極が付けられている。この変調用電極に変調信号を入力することでそれぞれの光源出力は変調されている。緑色レーザ光はダイクロイックミラー61により青色レーザ光と合波される。また、ダイクロイックミラー62により赤色レーザ光と他の2色が合波される。56は垂直偏向器、57は水平偏向器であり、ともに回転多面鏡を用いている。ゲイン3のスクリーン70を用いて、画面サイズ2m×1mにおいて輝度2000cd/m、コントラスト比100:1、水平解像度1000TV本、垂直解像度1000TV本を得た。このように本発明のレーザ投射装置は明るく、高解像度であり、また消費電力は極めて小さく、その効果は絶大である。
【0189】
本実施例では分極反転型の光波長変換素子を用いたがこれに限ることはない。また、レーザ光源のうち、赤色を半導体レーザ直接発振のものを使用すると、さらに低コスト化が図れる。そのほか、青色、緑色レーザとして半導体レーザ直接発振のものを用いることもできる。その組み合わせは自由である。
【0190】
また、本実施例では安全のために以下の工夫がこらされている。レーザ光のスキャンが停止した時にレーザの電源が自動的に切れるようになっている。また、投射されるレーザ光のまわりには出力の弱いサブの半導体レーザである赤外レーザ光が周囲をスキャンしており、この光に物体が触れるとレーザ光は自動に切れるようになっている。赤外半導体レーザは低コスト、高寿命という特徴がある。
【0191】
次に、これらについて図28を用いて説明する。3原色である3本のレーザ光はスクリーン70において描画範囲71内を偏向器によりスキャンされている。このレーザ光は描画範囲71の周辺に位置するセンサーAおよびB上を通過する。このセンサーAおよびBの出力信号は常にモニターされている。一方赤外半導体レーザによる赤外レーザ光源からのレーザ光は偏向器58によりスクリーン70の周辺を常にスキャンされている。この反射光はセンサーCに入る。つまり、周辺部のあらゆる点での反射光はセンサーCに入るようになっている。
【0192】
次に、制御について図29を用いて説明する。図29においてセンサーAおよびBのいずれかの信号が一定時間に制御回路に入らないときはレーザ光源の主電源が切れ、青、赤、緑色レーザ光源は停止する。つまりスキャンが停止することで、ある特定の部分に集中的にレーザ光が照射されることが防げる。また、センサーCの信号が一瞬でも途切れると制御回路によりレーザ光源の電源は切られることになる。つまり高出力の短波長レーザ光に人間等が触れることはなく、安全である。以上によりこのレーザ投射装置の安全は保たれることになる。
【0193】
なお、実施例ではレーザ光源の電源を切ったが、レーザの光路を遮断しても良い。また、光波長変換素子の位相整合波長を電圧等でずらしたり、基本波光源である半導体レーザの発振波長を変えて、短波長レーザ光の発生を停止しても良い。この方法では再復帰までの時間を大幅に短縮できる。
【0194】
次に、図30を参照しながら、本発明の3次元レーザ投射装置の実施例を説明する。
【0195】
つまり見る側からすると立体的に見える装置である。図30に本実施例のレーザ投射装置の構成図を示す。図30に示すように3色レーザ光にプリズム型光路変換器66を入れることで2方向にレーザ光は分割される。この分割されたレーザ光はそれぞれのミラー64、65で反射され、変調器5aおよび5bで変調されスクリーン70に入る。変調器5a、5bによりそれぞれ右方向から見た画像、左方向から見た画像情報が乗せられ、スクリーン70に異なる方向から光が入り立体的に見える。また、一定時間で光路1と光路2が入れ替わり、人間にとって2つの方向から別方向の像が来たように感じ立体像がさらにクリアになる。この実施例のように立体視用メガネなしに、簡単に立体像を見ることができる。
【0196】
なお、光をハーフミラー等で2分割して、立体化しても良い。また、1つの光源を分割したが同色のレーザ光源を2つ用い別方向よりスクリーンに照射しても良い。この場合1つの光源出力は半分で済む。
【0197】
次に、本発明のレーザ投射装置の更に他の実施例を説明する。
【0198】
図31は、本実施例のレーザ投射装置の構成図を示す。光源には光波長変換素子を基本とした紫外のレーザ光源が用いられている。これを蛍光体が塗布されたスクリーン70に照射することで、赤、緑、青色のRGB光が発光する。レーザ光源の構成は半導体レーザの直接発振である赤色レーザ光650nmをLiTaOの光波長変換素子にて半分の波長325nmにした。この光波長変換素子はバルク型で分極反転構造が形成されたものである。48はこのレーザ光源である。ここでは赤色の半導体レーザを直接変調することで、紫外の変調信号を得ている。変調された紫外レーザ光は偏向器に入る。56は垂直偏向器、57は水平偏向器であり、ともに回転多面鏡を用いている。スクリーン70には赤、緑、青を発生させる蛍光体が塗布されており、蛍光を生じる。画面サイズ1m×0.5mにおいて輝度300cd/m、コントラスト比100:1、水平解像度600TVを得た。この実施例のように1つのレーザ光源で赤、緑、青の3原色光を発生することができ、小型、低コスト化が図れる。この時合波のためのダイクロイックミラーを省けることも有効に作用している。
【0199】
次に、図32を参照しながら、本発明のレーザ投射装置の実施例を説明する。図32に示されるように、光源には光波長変換素子を基本とした青色のレーザ光源45が用いられている。レーザ光源45から出たレーザ光はレンズ30で平行化される。この平行化されたレーザ光に液晶ライトバブル68が挿入されている。この液晶ライトバルブ68に信号を加えることで空間的に変調され、この光をレンズ31で拡大しスクリーンに投射することで映像をみることができる。なお、3原色のレーザ光源を使うとカラー化できる。
【0200】
従来に比べて効率が大幅に向上し、消費電力が低減された。また、発熱が小さく有効である。
【0201】
次に、図32を参照しながら、本発明のレーザ投射装置を説明する。外観構成は図20に示されるレーザ投射装置の実施例と同じである。光源には、図23の青色のレーザ光源を用い、ここでの半導体レーザはRF重畳されている。また、RF重畳に加えて変調信号を入力することで青色光は変調されている。変調された青色レーザ光は偏向器に入射する。ゲイン2のスクリーンを用いて、画面サイズ2m×1mにおいて輝度200cd/mを得た。スクリーン上にレーザ光の干渉によって生じるスペックルノイズは観測されなかった。これはRF重畳によりレーザ光のコヒーレント性を落としているためであり、半導体レーザのRF重畳がスペックルノイズ対策に重要な貢献をはたしている。本実施例では図23のレーザ光源の構成を用いたが、半導体レーザの直接波長変換によるレーザ光源を用いたレーザ投射装置にはRF重畳は有効である。また、半導体レーザ光で直接赤、または緑、青色レーザ光を発生させる場合もスペックルノイズは防止できる。また、カラーのレーザ投射装置に有効であることは言うまでもない。
【0202】
なお、前記実施例では、非線形光学結晶として、LiNbO及びLiTaOを用いたが、KNbO、KTP等の強誘電体、MNA等の有機材料およびそれらの材料に希土類をドープしたものにも適用可能である。また、希土類は実施例で用いたNdだけでなくErやTlも有望である。なお、固体レーザ結晶としてYAGを用いたが他にYLF,YVO等の結晶も効果がある。LiSAFやLiCAFも固体レーザとしては効果がある。
【0203】
次に、図33を参照しながら、本発明のレーザ光源を光ディスク装置に応用した例を説明する。
【0204】
この光ディスク装置は、周期状反転構造を有する光波長変換素子25を有する光ピックアップ104内に備えており、半導体レーザ20から出射されたレーザ光はファイパー40を介して光ピックアップ104内の光波長変換素子25に与えれる。
【0205】
光ピックアップ104は、光波長変換素子25の他に、光波長変換素子25から出た高調波を平行光に変換するコリメーターレンズ32と、コリメートされた光を光ディスクに向けて透過させる偏光ビームスプリッター105と、その光を光ディスク上に集める集光レンズ106と、光ディスクからの反射光を検出するディテクタ一103とを備えている。偏光ビームスプリッター105は、光ディスクからの反射光を選択的に反射してディテクタ一103に与える。
【0206】
光ピックアップ104は、アクチュエーターにより駆動されるが、半導体レーザ20は、光ディスク装置内に固定されている。光ピックアップ104は、光ディスク装置内に固定された半導体レーザ20からのレーザ光をフレキシブルな光ファイバによって確実に受け取ることができる。
【0207】
次に、動作を税明する。
【0208】
半導体レーザ20から出射された光(ポンプ光)は、固体レーザ21で基本波P1に変換され、光ファイバー40を通して、光波長変換素子25に照射される。光波長変換素子25は、前述の実施例と同様の構成を持ち、基本波P1を高調波P2に変換する。この高調波P2はコリメートレンズ32で平行化され、偏光ピームスプッリター105を通過後、集光レンズ106を介して光ディスク媒体102に集光される。光ディスク媒件102からの反射光は再ぴ同一の光路を戻り、偏光ビームスプリッター105で反射され、ディテククー103で検出される.
こうして、光ディスク媒体に対して信号が記録され、または記録されていた信号を再生することかできる。
【0209】
4分の1波長板108が偏光ピームスプッリター105と集光レンズ106との間に挿入されており、高調波の往路と復路でその偏光方向を90度だけ回転させる。
【0210】
半導体レーザ20として、出力が1Wのものを用いた場合、200mWの高調波P2を得た。固体レーザ21から出射される光の波長は947nmであり、高調波の波長は473nmである。
【0211】
出カ200mWというハイパワーのレーザ光を用いることで、従来の20mWの出力光を用いていた光ディスク装置によるときの記録速度の10倍の速度で記録することができる。転送レートは60Mbpsであった。
【0212】
また、動作時に発熱する半導体レーザ20は、光ディスク装置の筐体に固定さてれており、光ピックアッブからは離れている。このため、光ピックアップ内から半導体レーザが取り除かれた結果、半導体レーザのための特別の放熟構造を設ける必要が無くなる。このため、超小型、軽量の光ピックアップを構成することができる。その結果、光ピックアップをアクチュエーターを高速で駆動することができるので、高い転送レートの高速記録が達成される。
【0213】
なお、本実施例では、固体レーザを半導体レーザ側に配置したが、光波長変換素子側に配置しても良い。また、固体レーザを用いず、半導体レーザからの光を基本波として直接に高調波に変換しても良い。
【0214】
なお、光ピックアップ104の内部構成は、本実施例のものに限定されない。例えば、偏光分離ホログラムを用いることによって、レンズおよび偏光ビームスプリッターを省くこが可能となる。そうすれば、光ピックアップをさらに小型化することができる。
【0215】
(産業上の利用の可能性)
以上説明したように、本発明の光波長変換素子によれば、LiNbTa1−x(0≦X≦1)基板に光素子作製後、低温アニールすることで高温アニール等の熱処理時に生じた屈折率上昇を戻し、安定プロトン交換層を形成し、これにより安定な光素子を形成することができる。特に、屈折率変化に伴い位相整合波長が変化する光波長変換素子の実用化には本発明が不可欠である。
【0216】
また、低温アニールとして温度を2段にする2段アニールにより早くかつ完全に経時変化がない状態である安定プロトン交換層に戻すことができ有効である。また、第1のアニールより200℃低い温度で第2のアニールを行うことで歪を大きく緩和でき安定プロトン交換層が形成でき有効である。また、低温アニール温度としては120℃以下で、少なくとも1時間以上行えば経時変化0.5nm以下であり有効であり、特に、90℃以下では位相整合変化は小さく特に有効である。50℃以下になるとアニール時間が極端にかかり問題となるのでそれ以上で行う必要がある。
【0217】
また、本発明のレーザ光源によれば分布帰還型半導体レーザと光波長変換素子の間に半導体レーザアンプを介することにより、半導体レーザの発振波長を安定化し、かつ基本波出力を増大させること、および高効率である分極反転構造を有する光波長変換素子を用いることで、最高の高調波出力が安定に得られる。
【0218】
また、本発明のレーザ光源ではファイバーでポンプ光または基本波を伝搬させることで光波長変換素子部分が非常にコンパクトにできる。また、半導体レーザからの発熱から光波長変換素子を遠ざけることができ、温度変化を防止することができ、高出力半導体レーザを用いることができる。
【0219】
また、光波長変換素子として、周期状分極反転構造を用いると、変換効率が大幅に向上するだけでなく、電圧を印加することで簡単に変調することができ、また電圧も低く工業的である。これにより変調器を一体化することができ、小型、軽量、低コスト化が図れる。また光波長変換素子として閉じ込めの弱い光導波路を採用することで、高調波の密度は小さくなり、光損傷が大幅に改善された。例えば、従来の面積の100倍にすることで、100倍の光損傷に耐えることができるからである。また、本発明のレーザ光源によれば、固体レーザ結晶によるポンプ光から基本波への変換により、マルチストライプやワイドストライプの高出力半導体レーザを用いることができ高出力の高調波を得ることができる。
【0220】
これらより、例えば半導体レーザの電気−光間の変換効率30%の光波長変換素子の変換効率70%をかけ、20%のトータル変換効率を得ることが可能となる。また、本発明のレーザ光源において半導体レーザをRF重畳することでRF重畳しないときの例えば5倍変換効率が向上する。
【0221】
また、本発明のレーザ投射装置によれば半導体レーザをベースとしているため大幅な小型、軽量化、さらに低コスト化が図れる。また、半導体レーザおよび光波長変換素子を基本とした高出力レーザ光源を用いることにより装置の小型、軽量、低コスト化を一挙に図るものである。また、消費電力も極めて小さくできる。この装置は別にレーザ光の変調器を有さず、光波長変換素子と一体化することもその要因の一つである。また、従来に比べ解像度も大幅に向上する。例えば、ガスレーザを用いた構成に比べ重量が1000分の1、容量が1000分の1、消費電力が100分の1と大幅に改善することができた。これは、用いたレーザ光源が小型、低消費電力であること、さらに光変調器が一体となっていることが大きく寄与している。つまり、半導体レーザと光波長変換素子を用いた構成は超小型が図れること、また電気からの変換効率がガスレーザの2桁程度高いことによる。特に光波長変換素子として周期状分極反転構造を有するものを用いると、高効率化が図れ、また低電圧駆動の光変調器を一体化できその効果は絶大である。
【0222】
また、紫外のレーザ光源で蛍光体をたたき3原色を出せるのでさらなる小型、低コスト化が図れその工業的価値は大きい。このように1つのレーザ光源で赤、緑、青の3原色光を発生することができる。この時合波のためのダイクロイックミラーを省けることも有効に作用している。
【0223】
また、本発明のレーザ投射装置によればスキャンが停止すると、ある特定の部分に集中的にレーザ光が照射されることが防ぐため、レーザ光停止またはカット機能がある。また、センサーの信号が一瞬でも途切れると制御回路によりレーザ光源の電源は切られることになる。つまり高出力の短波長レーザ光に人間等が触れることはなく、安全である。以上によりこのレーザ投射装置の安全は保たれることになる。
【0224】
また、半導体レーザの直接波長変換によるレーザ光源を用いたレーザ投射装置にはRF重畳は有効である。これはスペックルノイズを防止でき、きれいな映像を再生できるからである。また、半導体レーザ光で直接赤、または緑、青色レーザ光を発生させる場合もスペックルノイズは防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来の短波長光源を示す図。
【図2】図2は、従来の光波長変換素子の構成図。
【図3】図3は、従来の方法による光波長変換素子の製造方法の工程フローチャート。
【図4】図4は、従来の光波長変換素子の高調波出力の時間変化を示す図。
【図5】図5は、従来の光波長変換素子の位相整合波長の経時変化を示す図。
【図6】図6は、従来の光素子の屈折率経時変化を示す図。
【図7】図7は、本発明の第1の実施例の光波長変換素子の構成図。
【図8A】図8Aは、本発明の第1の実施例の光波長変換素子の製造方法の工程図。
【図8B】図8Bは、本発明の第1の実施例の光波長変換素子の製造方法の工程図。
【図8C】図8Cは、本発明の第1の実施例の光波長変換素子の製造方法の工程図。
【図8D】図8Dは、本発明の第1の実施例の光波長変換素子の製造方法の工程図。
【図8E】図8Eは、本発明の第1の実施例の光波長変換素子の製造方法の工程図。
【図9】図9は、本発明の第1の実施例の光波長変換素子の製造方法の工程フローチャート。
【図10】図10は、アニール温度をパラメーターにした位相整合波長のアニール時間に対する変化を示す特性図。
【図11】図11は、アニール温度と位相整合波長変化量との関係を示す特性図。
【図12】図12は、本発明の第1の実施例の光波長変換素子の出力時間特性を示す図。
【図13】図13は、本発明の第1の実施例の光波長変換素子の位相整合波長および実効屈折率の時間特性を示す図。
【図14】図14は、本発明の第2の実施例の光波長変換素子の製造方法の工程フローチャート。
【図15A】図15Aは、本発明の第4の実施例の光素子の製造方法の工程図。
【図15B】図15Bは、本発明の第4の実施例の光素子の製造方法の工程図。
【図15C】図15Cは、本発明の第4の実施例の光素子の製造方法の工程図。
【図16】図16は、本発明の第5の実施例の光素子の製造方法の工程フローチャート。
【図17】図17は、本発明のレーザ光源の実施例の構造図。
【図18A】図18Aは、本発明のレーザ光源における光波長変換素子の製造工程図。
【図18B】図18Bは、本発明のレーザ光源における光波長変換素子の製造工程図。
【図18C】図81Cは、本発明のレーザ光源における光波長変換素子の製造工程図。
【図18D】図18Dは、本発明のレーザ光源における光波長変換素子の製造工程図。
【図19】図19は、本発明のレーザ光源に使用する光波長変換素子の光導波路厚みと耐光損傷性の関係を示す特性図。
【図20】図20は、本発明の実施例のレーザ装置の構成図。
【図21】図21は、本発明の実施例のレーザ光源の構成図。
【図22】図22は、本発明の実施例のレーザ光源に使用する半導体レーザの構成図。
【図23】図23は、本発明の実施例のレーザ光源の構成図。
【図24】図24は、本発明の実施例のレーザ光源の構成図。
【図25】図25は、本発明の実施例のレーザ光源で分離タイプの構成図。
【図26】図26は、本発明の実施例のレーザ光源の構成図。
【図27】図27は、本発明の実施例のレーザ装置の構成図。
【図28】図28は、本発明の実施例のレーザ装置の自動停止装置の構成図。
【図29】図29は、本発明の実施例のレーザ装置の自動停止装置の制御系の図。
【図30】図30は、本発明の実施例のレーザ装置の構成図。
【図31】図31は、本発明の実施例のレーザ装置の構成図。
【図32】図32は、本発明の実施例のレーザ装置の構成図。
【図33】図33は、本発明の実施例の光ディスク装置の構成図。

Claims (6)

  1. 半導体レーザを含んだ少なくとも1つ以上のレーザ光源と、
    サブの半導体レーザと、
    前記レーザ光源の出力強度を変調する変調器と、
    前記レーザ光源から出射された光の方向を変化させる偏向器と、
    を備えたレーザ装置であって、
    前記サブの半導体レーザから出た光はスクリーンの周辺部を走査し、前記サブの半導体レーザから出た光の光路がさえぎられた場合、前記レーザ光源からのレーザ光の照射を停止することを特徴とするレーザ装置。
  2. 前記レーザ光源は、
    高調波を生成する光波長変換素子と、
    前記半導体レーザからのレーザ光を前記光波長変換素子に伝えるシングルモードファイバーと、
    をさらに備えている、請求項1に記載のレーザ装置。
  3. 前記レーザ光源は、
    前記半導体レーザからのレーザ光を伝えるファイバーと、
    前記ファイバーから出たレーザ光を受け取り、基本波を生成する固体レーザ結晶と、
    前記基本波から高調波を生成する光波長変換素子と、
    をさらに備えている請求項1に記載のレーザ装置。
  4. 前記半導体レーザは分布帰還型半導体レーザであり、前記レーザ光源は、前記分布帰還型半導体レーザからのレーザ光を増幅する半導体レーザアンプを更に備えている請求項1に記載のレーザ装置。
  5. 前記レーザ光源は、
    前記半導体レーザからのレーザ光をガイドする光導波路及び周期的分極反転構造が形成された光波長変換素子をさらに備えており、
    前記光導波路の幅および厚みが、それぞれ40μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  6. 前記サブの半導体レーザが赤外半導体レーザである請求項1に記載のレーザ装置。
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