JP3261023B2 - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

誘電体磁器組成物

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JP3261023B2 JP25343495A JP25343495A JP3261023B2 JP 3261023 B2 JP3261023 B2 JP 3261023B2 JP 25343495 A JP25343495 A JP 25343495A JP 25343495 A JP25343495 A JP 25343495A JP 3261023 B2 JP3261023 B2 JP 3261023B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波,ミリ
波等の高周波領域において、高いQ値を有する誘電体磁
器組成物に関するものであり、例えば、マイクロ波やミ
リ波などの高周波数領域において使用される種々の共振
器用材料やMIC用誘電体基板材料、誘電体導波路用材
料や積層型セラミックコンデンサ等に用いることができ
る誘電体磁器組成物に関する。
【0002】
【従来技術】従来、誘電体磁器は、マイクロ波やミリ波
等の高周波領域において、誘電体共振器、MIC用誘電
体基板や導波路等に広く利用されている。
【0003】従来より、この種の誘電体磁器としては、
例えば、特開昭57−69607号公報に開示されるよ
うなものが知られている。この公報に開示される誘電体
磁器は、BaO−xTiO2 において3.9≦x≦4.
1の組成物100重量部に対して、1〜26重量部のZ
nOを添加してなるものである。
【0004】このような誘電体磁器では、誘電率が30
〜40で、測定周波数f=3.5〔GHz〕におけるQ
値が4500程度(Qf=15750〔GHz〕)であ
り、さらに共振周波数の温度係数τfを−25〜+25
〔ppm/℃〕の範囲で制御することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年に
おいては、ますます使用周波数域が高周波数となり、よ
り高いQf値が要求されるようになっているが、上記特
開昭57−69607号公報に開示される誘電体磁器で
はQf値が15750〔GHz〕程度であり、未だ低い
という問題があった。
【0006】本発明は、誘電率が30〜40で、Qfが
40000〔GHz〕以上であり、さらに共振周波数の
温度係数τfが−15〜+15〔ppm/℃〕の範囲で
制御することができる誘電体磁器組成物を提供すること
を目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記問
題点を解決すべく、鋭意検討した結果、Ba−Ti系誘
電体磁器組成物において、Baの一部をSrで置換する
とともに、Znを所定量添加含有することにより、誘電
率が30〜40で、Qfが40000〔GHz〕以上で
あり、共振周波数の温度係数τfを−15〜+15〔p
pm/℃〕の範囲で制御することができることを見い出
し、本発明に至ったのである。
【0008】即ち、本発明の誘電体磁器組成物は、金属
元素として少なくともBa,Ti,Srを含有し、これ
らのモル比による組成式を、(Ba1-aSra)O−xT
iO2と表した時、前記xおよびaが、3.9≦x≦
4.1、0.01≦a≦0.08を満足する主成分10
0重量部に対して、亜鉛をZnO換算で4重量部以上1
8重量部以下添加含有するとともに、Q値と測定周波数
fとの積で表されるQf値が40000[GHz]以上
である。本発明では、BaTi49を主結晶相とし、こ
のBaTi49結晶相中にBa3Ti12Zn734結晶相
が均一に分散するとともに、BaTi49結晶相および
Ba3Ti12Zn734結晶相にSrが固溶していること
が望ましい。
【0009】
【作用】本発明の誘電体磁器組成物では、Ba−Ti系
誘電体磁器組成物において、Baの一部をSrで置換す
るとともに、Znを所定量添加含有することにより、誘
電率が30〜40で、Qfが40000〔GHz〕以上
であり、共振周波数の温度係数τfを−15〜+15
〔ppm/℃〕の範囲で制御することができる。
【0010】従来の特開昭57−69607号公報に開
示される誘電体磁器ではTi/Ba比が4.1よりも大
きい場合には、Q値が小さくなり、マイクロ波用共振器
として好ましくなくなるという問題があったが、本発明
においては、Ti/Ba比が4.1よりも大きい場合
に、Qfを40000〔GHz〕以上とすることができ
るとともに、共振周波数の温度係数τfを従来よりも0
に近い−15〜+15〔ppm/℃〕の範囲で制御する
ことができるのである。
【0011】また、本発明では、SrとBaのイオン半
径が異なるため、Baの一部をSrで置換することによ
り格子歪みが発生し、その結果、磁器の強度を向上する
ことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体磁器組成物は、B
a−Ti系誘電体磁器組成物において、Baの一部をS
rで置換するとともに、Znを所定量添加含有するもの
であるが、モル比による組成式を、(Ba1-a Sra
O−xTiO2 と表した時、3.9≦x≦4.1とした
のは、xが3.9よりも小さい場合には磁器中にBa4
Ti1330結晶相が析出し、共振周波数の温度係数τf
が+15〔ppm/℃〕よりも大きくなるからである。
一方、xが4.1よりも大きい場合には磁器中にTiO
2 結晶相が析出し、共振周波数の温度係数τfが+15
〔ppm/℃〕よりも大きくなるからである。xはQf
値が高いBaTi4 9 結晶相が形成され易いという点
から、3.96〜4.03であることが望ましい。
【0013】また、BaのSrによる置換量aは0.0
1≦a≦0.08であるが、これは、aが0.01より
小さい場合には磁器の機械的強度が低下するとともに、
Ti/Ba比が4.1より大きい領域でQf値が低下す
るからである。一方、aが0.08よりも大きくなると
Srの固溶限界量を超え、Srを含む結晶相が析出し、
Qf値が低下するからである。BaのSrによる置換量
aは、高いQf値と機械強度の向上という観点から0.
03〜0.05であることが望ましい。
【0014】さらに、主成分100重量部に対して亜鉛
をZnO換算で4重量部以上18重量部以下添加含有さ
せたのは、亜鉛が4重量部よりも小さい場合には共振周
波数の温度係数τfが+15〔ppm/℃〕よりも大き
くなるからであり、18重量部よりも多い場合には共振
周波数の温度係数τfが−15〔ppm/℃〕よりも小
さくなり、実用的でないからである。亜鉛の含有量は、
共振周波数の温度係数τfをより0に近くするという観
点から主成分100重量部に対して8.7〜13.9重
量部添加含有することが望ましい。
【0015】本発明の誘電体磁器組成物は、上記組成式
において、3.96≦x≦4.03、0.03≦a≦
0.05であり、主成分100重量部に対して、亜鉛を
ZnO換算で8.7重量部以上13.9重量部以下添加
含有させたことが望ましい。この場合には、Qf値が4
0000〔GHz〕以上、共振周波数の温度係数τfが
−4.8〜+6.6〔ppm/℃〕の範囲に制御するこ
とができる。さらに、本発明では、4.00≦x≦4.
03、0.03≦a≦0.05であり、主成分100重
量部に対して、亜鉛をZnO換算で8.7重量部以上1
3.9重量部以下添加含有させることが特に望ましい。
この場合には、Qf値が47000〔GHz〕以上、共
振周波数の温度係数τfが−4.8〜+4.5〔ppm
/℃〕の範囲に制御することができる。
【0016】また、本発明の誘電体磁器組成物には、図
1に示したように、BaTi4 9結晶相1が主結晶相
として存在し、磁器中にBa3 Ti12Zn7 34結晶相
2が均一に分散するものである。その他の結晶が少々析
出していても良い。図1におけるBaTi4 9 結晶相
1中の点A、Ba3 Ti12Zn7 34結晶相2中の点B
をX線マイクロアナライザ(EPMA)で分析した結果
を図2に示す。この図2より、添加されるSrはBaT
4 9 結晶相とBa3 Ti12Zn7 34結晶相中に固
溶することが判る。このSrは、BaTi4 9 とBa
3 Ti12Zn734の結晶相のBaの一部と置換されて
いる。本発明ではBa3 Ti12Zn7 34結晶相を析出
させることにより、Qf値を向上するとともに、温度係
数τfをプラス側からマイナス側に制御することができ
る。
【0017】本発明の誘電体磁器組成物は、原料粉末と
して、BaCO3 ,TiO2 ,SrCO3 ,ZnO粉末
を準備し、これらを上記した組成比となるように秤量
し、ZrO2 ボールにより粉砕混合し、この混合粉末を
仮焼した後、再度ZrO2 ボールにより粉砕混合し、こ
の仮焼粉末をプレス成形やドクタ−ブレ−ド法等の公知
の方法により所定形状に成形し、大気中または酸素雰囲
気中において1200〜1300℃で2〜10時間焼成
することにより得られる。原料粉末は、焼成により酸化
物を生成する水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を用
いても良い。本発明の誘電体磁器中には、不可避不純物
として、Al,Si,Ca,Mg,Fe,Hf,Sn等
が含まれることもある。
【0018】本発明の誘電体磁器組成物では、BaTi
4 9 結晶相中にBa3 Ti12Zn7 34結晶相を均一
に分散させ、BaTi4 9 結晶相およびBa3 Ti12
Zn7 34結晶相にSrを固溶させるためには、特に1
050〜1150℃の温度で6時間以上仮焼することが
必要である。それは、1050℃よりも低温で6時間未
満の仮焼では、Ba3 Ti12Zn7 34結晶相が形成さ
れ難いからである。
【0019】
【実施例】原料として純度99%以上のBaCO3 ,T
iO2 ,SrCO3 ,ZnOの粉末を用いて、上記した
組成式のx,aおよび亜鉛量が表1に示す割合となるよ
うに秤量し、純水を媒体とし、ZrO2 ボールを用いた
ボ−ルミルにて20時間湿式混合した。次にこの混合物
を乾燥(脱水)し、1100℃で6時間仮焼した。
【0020】この仮焼物を粉砕し、誘電特性評価用の試
料として直径10mm高さ8mmの円柱状に1トン/c
2 の圧力でプレス成形し、これを酸化雰囲気中におい
て1250℃で2時間焼成し、直径8mm、高さ6mm
の円柱状の試料を得た。
【0021】誘電特性の評価は、前記試料を用いて誘電
体円柱共振器法にて周波数6GHzにおける比誘電率と
Q値を測定した。Q値と測定周波数fとの積で表される
値を表1に記載した。また、−40〜85℃の温度範囲
における共振周波数を測定し、25℃での共振周波数を
基準にして共振周波数の温度係数τfを算出した。これ
らの結果を表1に記載した。
【0022】
【表1】
【0023】この表1から、本発明の誘電体磁器組成物
では、比誘電率が33以上、Qf値が40000〔GH
z〕以上、共振周波数の温度係数τfが±15〔ppm
/℃〕の範囲内の優れた特性を有することがわかる。
【0024】そして、本発明者等は、Srを含有してい
ない比較例の試料No.23と、Srを含有している本発
明の試料No.12について、強度を比較した結果、本発
明の試料No.12の強度は試料No.23よりも大幅に高
いことを確認した。
【0025】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、B
a−Ti系誘電体磁器組成物において、Baの一部をS
rで置換するとともに、Znを所定量添加含有すること
により、誘電率が30〜40で、Qfが40000〔G
Hz〕以上であり、共振周波数の温度係数τfを−15
〜+15〔ppm/℃〕の範囲内で制御することがで
き、さらに磁器強度を向上することができ、これにより
マイクロ波やミリ波などの周波数領域において使用され
る種々の共振器用材料やMIC用誘電体基板材料、誘電
体導波路用材料等に最適とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1の試料No.12の本発明の誘電体磁器を示
す縦断面図である。
【図2】BaTi4 9 を主結晶相とBa3 Ti12Zn
7 34結晶相中のEPMA分析結果を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1・・・BaTi4 9 結晶相 2・・・Ba3 Ti12Zn7 34結晶相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久和 登代美 鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ 株式会社総合研究所内 審査官 武重 竜男 (56)参考文献 特開 平5−325641(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/49 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素として少なくともBa,Ti,S
    rを含有し、これらのモル比による組成式を、(Ba
    1-aSra)O−xTiO2と表した時、前記xおよびa
    が、 3.9 ≦x≦4.1 0.01≦a≦0.08 を満足する主成分100重量部に対して、亜鉛をZnO
    換算で4重量部以上18重量部以下添加含有するととも
    に、Q値と測定周波数fとの積で表されるQf値が40
    000[GHz]以上であることを特徴とする誘電体磁
    器組成物。
  2. 【請求項2】BaTi49を主結晶相とし、このBaT
    49結晶相中にBa3Ti12Zn734結晶相が均一に
    分散するとともに、BaTi49結晶相およびBa3
    12Zn734結晶相にSrが固溶していることを特徴
    とする請求項1記載の誘電体磁器組成物。
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