JP3259057B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3259057B2
JP3259057B2 JP14144891A JP14144891A JP3259057B2 JP 3259057 B2 JP3259057 B2 JP 3259057B2 JP 14144891 A JP14144891 A JP 14144891A JP 14144891 A JP14144891 A JP 14144891A JP 3259057 B2 JP3259057 B2 JP 3259057B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスク、磁気テー
プ、磁気シート等の磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、磁気テープ等の磁気記録媒体は、高
画質かつ長時間録画可能なものが指向されている。これ
らの要求を満たすためには、例えば磁気テープではテー
プ全厚を薄くすることが必須条件であり、このため、支
持体及び磁性層の各厚みを薄くするための種々の試みが
行われて来た。
【0003】その結果、支持体としてはPEN(ポリエ
チレンナフタレート)或はアラミドフィルム等の高強度
なエンジニアリングプラスチックスを用いることによ
り、薄層化の目的はほぼ達成されて来た。
【0004】しかし、磁性層に関しては、従来の3μm
程度の厚みから薄膜化するにつれて、テープ表面粗れが
生じ、電磁変換特性が低下すること、また、薄膜化のた
めに支持体表面の粗大突起の影響を受け易く、ドロップ
アウトレベルが低下すること等の欠点が明らかとなっ
た。
【0005】上記欠点は、特に強磁性金属粉末或は六方
晶フェライト粉等を用いた高密度の8mmテープで顕著に
発生した。
【0006】これらの欠点を改良するために、例えば特
開平2−302928号公報では、デュアルサーフェスの支持
体を用いる技術が開示されている。即ち、支持体の磁性
層面側の表面粗さ及び粗大突起密度を反対面よりも小と
して、ドロップアウトレベルを改良しようとするもので
ある。しかし、この技術では、反対面側の粗大突起がカ
レンダー時に削れて、却ってドロップアウトレベルが低
下する場合があること、及び磁性層が単層であるため、
例えば磁性層厚を1.5 μm以下にした場合に電磁変換特
性が低下すること等の難点があった。
【0007】また、特開平3−63928 号公報には、強磁
性酸化鉄粉末を使用し、支持体両面のP10(光波干渉式
三次元粗さによるパラメーター)が15〜35nmである比較
的平滑な支持体を用いて、生産性改良及び高C/Nを目
指した技術が開示されている。しかし、この技術を、強
磁性金属粉或は六方晶フェライト粉を磁性粉として用い
た8mmテープに転用した場合には、粗大突起密度のコン
トロールが十分でないためにドロップアウトレベルが低
下し、更に、磁性層厚を1.5 μm以下とした場合の電磁
変換特性も満足できるものではないことがわかった。
【0008】
【発明の目的】本発明の目的は、磁性層の表面粗れを防
ぐことによって走行耐久性を改善し、高い電磁変換特性
を有する薄膜の磁気記録媒体を提供することにある。
【0009】
【発明の構成及びその作用効果】本発明は、支持体上に
複数の磁性層が積層されている磁気記録媒体において、
前記複数の磁性層の厚さの合計が0.1μmより大き
く、1.5μm以下であり、かつ、前記磁性層のうちの
最外層の磁性層が厚さ0.1μm以上、1.0μm以下
であって、前記最外層の磁性層の表面粗さR 10Z が30
nm以下であり、更に、前記複数の磁性層の最外層以外
の少なくとも1層に結晶子サイズが450Å以下の磁性
粉を用いたことを特徴とする磁気記録媒体に関するもの
である。(但し、R 10Z とは、磁気記録媒体を幅方向の
中点から±2mmの範囲で長手方向に基準長だけ垂直に
切断したとき、その切断面における外表面輪郭曲線を切
る水平線に平行な直線のうち、高い方から10番目に低
い山頂を通るものと深い方から10番目に浅い谷底を通
るものを選び、これらの2本の直線間の距離を外表面輪
郭曲線の縦倍率の方向に測定した値をいう。)
【0010】また、本発明は以下のような構成を有する
ことが望ましい。即ち、前記最外層の磁性層の表面粗さ
10Z が50nm以下(但し、0を除く正の値)である
こと。(但し、R10Z とは、磁気記録媒体を幅方向の中
点から±2mmの範囲で長手方向に基準長だけ垂直に切
断したとき、その切断面における外表面輪郭曲線を切る
水平線に平行な直線のうち、高い方から10番目に低い
山頂を通るものと深い方から10番目に浅い谷底を通る
ものを選び、これらの2本の直線間の距離を外表面輪郭
曲線の縦倍率の方向に測定した値をいう。)
【0011】前記最外層の磁性層に含有される磁性粉の
平均長軸長が0.3μm以下(但し、0を除く正の
値)、結晶子サイズが500Å以下(但し、0を除く正
の値)であること。
【0012】前記支持体磁性層が積層された面側の粗
大突起密度が30個/100cm2以下(但し、0を除
く正の値)であること。
【0013】前記複数の磁性層のうち、最外層以外の少
なくとも1層に含有される磁性粉のBET値が35m5
/g以上、平均長軸長が0.35μm以下(但し、0を
除く正の値)、かつ結晶子サイズが450Å以下(但
し、0を除く正の値)であること。
【0014】前記最外層の磁性層に平均粒径0.3μm
以下(但し、0を除く正の値)の非磁性粒子が含有され
ること。
【0015】本発明の磁気記録媒体は、磁性層を複数と
することによって、例えば磁気テープの場合には、テー
プの表面粗れが顕著に改善される。この効果は、磁性層
の全厚が薄くなるにつれて明確となり、特に全厚が1.5
μm以下、更には1.0 μm以下になると一層顕著であ
る。そして、この表面粗れを防ぐことによって、走行耐
久性が向上し、電磁変換特性が大幅に改善される。
【0016】上記の磁性層複層化に加え、磁性層の表面
粗さR10z を50nm以下、好ましくは30nm以下、更に好ま
しくは20nm以下に調整することによって、電磁変換特性
を更に向上させることが可能である。
【0017】上記の磁性層複層化に加えて、最外層の磁
性層に含有される磁性粉を、平均長軸長0.3 μm以下、
結晶子サイズ500 Å以下の微粒子とすることによって磁
性層表面をより平滑化し、電磁変換特性を更に向上させ
ることが可能である。平均長軸長及び結晶子サイズは0.
25μm以下、400 Å以下であればなお好ましく、0.2μ
m以下、300 Å以下であれば更に良い。
【0018】本発明に係る支持体の、磁性層を積層する
面側の粗大突起密度が30個/100 cm2 以下であれば、ド
ロップアウトレベルを顕著に改善することができる。
【0019】また、最外層以外の少なくとも一層の磁性
粉として、BET値35m2/g以上、平均長軸長0.35μm
以下、結晶子サイズ450 Å以下の微粒子を用いた場合に
は、この磁性層面が平滑化され、これによって最外層の
磁性層表面の粗さに良い影響を与え、電磁変換特性及び
ドロップアウトレベルを更に向上することができる。
【0020】更に、上記の最外層の磁性層中に平均粒径
0.3 μm以下の微粒子化した非磁性粒子を含有させた場
合には、ドロップアウトレベルが更に向上される。
【0021】また、上記の最外層の磁性層に用いる磁性
粉としてFe−Al金属粉を採用する場合には、その抗
磁力Hcが1700Oe以上のものを使用すれば、RF出力
が更に向上するので好ましい。
【0022】上記のFe−Al金属粉にCaを加える
と、磁性塗料の分散性及び分散安定性が向上し、電磁変
換特性は更に向上する。
【0023】本発明の磁気記録材料は、磁気テープの場
合、前記のようにテープの表面粗れが顕著に改善される
ため、高温、高湿下の走行においても、粉落ちが少な
く、またヘッド摩耗も小さい。
【0024】本発明において使用する磁性粉は、強磁性
金属粉、六方晶フェライト磁性粉、酸化鉄磁性粉、その
他どのようなものでも使用できる。これらの磁性粉の好
ましい長軸長及び結晶子サイズは既述の通りである。
【0025】上記の強磁性金属粉は、Fe、Ni、Co
等の単体及びこれらを主成分とするFe−Al系、Fe
−Ni系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Ni系、
Co−Ni系等の金属粉であり、特開平1−277325号公
報の2頁左下18行目〜右下18行目に例示されるもの等が
挙げられる。
【0026】さらに、好ましい強磁性金属粉末の構造と
しては、該強磁性金属粉末に含有されているFe原子と
Al原子との含有量比が原子数比でFe:Al=100 :
1〜100 :20であり、かつ該強磁性金属粉末のESCA
による分析深度で100 Å以内の表面域に存在するFe原
子とAl原子との含有量比が原子数比でFe:Al=3
0:70〜70:30である構造を有するものである。或は、
Fe原子とNi原子とAl原子とSi原子とが強磁性金
属粉末に含有され、更にZn原子とMn原子との少なく
とも一方が該強磁性金属粉末に含有され、Fe原子の含
有量が90原子%以上、Ni原子の含有量が1原子%以
上、10原子%未満、Al原子の含有量が0.1原子%以
上、5原子%未満、Si原子の含有量が0.1 原子%以
上、5原子%未満、Zn原子の含有量及び/又はMn原
子の含有量(但し、Zn原子とMn原子との両方を含有
する場合はこの合計量)が0.1 原子%以上、5原子%未
満であり、上記強磁性金属粉末のESCAによる分析深
度で100 Å以内の表面域に存在するFe原子とNi原子
Al原子とSi原子とZn原子及び/又はMn原子の含
有量比が原子数比でFe:Ni:Al:Si(Zn及び
又はMn)=100 :(4以下):(10〜60):(10〜7
0):(20〜80)である構造を有する強磁性金属粉末等
が挙げられる。
【0027】一方、六方晶フェライト粉としては、バリ
ウムフェライト、ストロンチウムフェライト等があり、
鉄元素の一部が他の元素(たとえば、Ti、Co、Z
n、In、Mn、Ge、Hb等)で置換されていても良
い。このフェライト磁性粉については、IEEE Tr
ans.on MAG−18 16(1982)に詳しく述べら
れている。
【0028】本発明において、特に好ましい「平板状で
あって、磁化容易軸が平板面にほぼ垂直である磁性粒
子」として、バリウムフェライト(以下Ba−フェライ
トと記す)磁性粉を挙げることができる。
【0029】Ba−フェライトは次の一般式で表される
ものであることが好ましい。 BaO・n(Fe1-m m 2 3 〔但し、式中、Mは置換金属原子を表すZn、Co、T
i、Ni、Mn、In、Cu、Ge、Nb、Sn、M
g、Sr、Ta、Cr、Mo、W、Zr、Hf、Vから
選ばれる少なくとも1種、好ましくは2種以上の元素で
あり、mは0〜0.2 、nは5.4 〜6.0 の数を表す。〕
【0030】酸化鉄磁性粉としては、例えばγ−Fe2
3 、Co含有γ−Fe2 3 、Co被着γ−Fe2
3 、Fe3 4 、Co含有γ−Fe3 4 、Co被着γ
−Fe3 4 、Co含有磁性FeOx(3/2 >x >4/3
)が挙げられる。
【0031】上記以外の磁性粉としては、例えばCrO
2 等の酸化物、炭化鉄、窒化鉄等が挙げられる。
【0032】本発明においては、記録の高密度化に応じ
て、BET法による比表面積が最外層の磁性層で45m2
g以上、最外層以外の少なくとも一層で35m2/g以上の
磁性粉が好ましく使用される。
【0033】なお、本発明における磁性粉の比表面積は
BET法と称されている比表面積の測定方法によって測
定されたものを、単位グラム当たりの表面積を平方メー
トルで表したものである。この比表面積ならびにその測
定方法については「粉体の測定」(J.M.Dallavalle,Cly
deorr Jr 共著、弁田その他訳;産業図書社刊)に詳し
く述べられており、また「化学便覧」応用編、P1170 〜
1171(日本化学会編;丸善(株))昭和41年4月30日発
行)にも記載されている。比表面積の測定は、例えば粉
末を105 ℃前後で13分間加熱処理しながら脱気して、上
記粉末に吸着させているものを除去し、その後測定装置
に導入して、窒素の初期圧力を0.5kg/m2に設定し、窒素
により液体窒素温度(−105 ℃)で10分間で吸着測定を
行う。測定装置はカウンターソープ(湯浅アイオニクス
(株)製)を使用した。
【0034】本発明に係る支持体の素材は、ポリエチレ
ンテレフタレート等の公知のものであり、例えば特開平
2−260122号公報の2頁右下6行目〜17行目に挙げられ
るものである。これらの素材は、フィルム化される段階
でフィラー(炭酸カルシウム、シリカ等の粒子)の種
類、添加量、ろ過方法(塗布液のろ過に用いられるフィ
ルターの種類を調整する)等を調節するか、或は積層フ
ィルムを用いて各層のフィラーの種類及び量を調整する
ことで、特定の粗大突起密度を有する支持体とすること
ができる。
【0035】上記粗大突起密度とは、支持体表面(磁性
層を設ける側)に存在する、高さ0.5 μm以上の突起数
を後記の方法でカウントし、単位面積当たりに換算した
ものである。本発明においては、この粗大突起密度が30
個/100 cm2 以下であることが好ましく、更に好ましく
は10〜20個/100 cm2 である。
【0036】上記粗大突起密度が30個/100 cm2 を超え
た場合には、磁性層表面の適度な粗度が維持できなくな
り、ドロップアウトレベルが低下することがある。
【0037】最外層に使用することが好ましい非磁性研
磨剤用粒子としては、平均粒径0.3μm以下の、α−ア
ルミナ、酸化チタン、酸化硅素等が好ましく、更に詳し
くは、特開平1−277322号公報7頁左上15行〜右上2行
目のものが挙げられる。
【0038】本発明に用いることのできる磁性層用の結
合剤としては、公知の塩ビ系樹脂、ポリウレタン樹脂、
及びそれらをスルホン酸基等の極性基で変性した樹脂等
があり、更に詳しくは、特開平2−154320号公報3頁右
上2行目〜4頁右下16行目のものが挙げられる。
【0039】本発明の磁性層に使用することのできる遮
光用又は導電性カーボンブラックとしては、例えば特開
平2−154320号公報5頁左上19行目〜右下3行目のもの
が挙げられる。
【0040】その他磁性層には必要に応じて、分散剤、
潤滑剤、及び帯電防止剤等の添加剤を含有させてもよ
い。
【0041】分散剤としては例えば特願平2−249129号
公報の4頁左上3行目〜11行目に示されるものが挙げら
れる。
【0042】
【0043】帯電防止剤としては、例えば特願平2−28
5519号公報の3頁右下16行目〜4頁左上9行目に示され
るものが挙げられる。
【0044】
【0045】本発明において使用される磁性塗料は、強
磁性粉末、結合剤、分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止
剤等を溶媒中で混練及び分散して製造される。磁性塗料
の混練及び分散に使用される混練分散機の例としては、
二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、トロン
ミル、ペブルミル、コンボルミル、サンドミル、サンド
グラインダー、Szegveri、アトライター、高インペラー
分散機、高速度衝撃ミル、高速ストーンミル、ディスパ
ー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オ
ープンニーダー、連続ニーター、加圧ニーダー、プラネ
タリーニーダー等が挙げられる。
【0046】なお、上記結合剤の強度及び耐久性を増す
ために混練、分散後に加える硬化剤としては、例えば特
開平2−132640号公報9頁右上1行目〜右下17行目に示
されるもが挙げられる。
【0047】本発明の磁気記録媒体、例えば磁気テープ
は、図1及び図2に示すように、支持体1の片面に磁性
粉を含有する磁性層2、4及び5と、また、必要あれば
更にオーバーコート層(図示せず)とがこの順序にそれ
ぞれ積層して設けられている。
【0048】下層2は図1に示すような1層でもよいが
図2に示すような2層或はそれ以上でも良い。
【0049】また必要があれば磁性層と反対の面にバッ
クコート層3を設けてもよく、更に下層2と支持体1と
の間に下引き層(図示せず)を設けたものであってもよ
い。また、支持体1にコロナ放電処理を施してもよい。
【0050】本発明に係る磁性層の重層構造は、ウエッ
ト・オン・ウエット方式の重層塗布(即ち、下層の磁性
層用塗料が未乾燥のうちに、上層の磁性層用塗料を塗布
すること)により形成することが望ましいが、勿論ウエ
ット・オン・ドライ方式(即ち、下層を乾燥させた後に
上層を塗布すること)、或はその他の方法による形成で
あてもよい。
【0051】磁性層の厚みは、最外層で1.0 μm以下で
あり、好ましくは0.1 〜0.7 μm、更には0.1 〜0.4 μ
mが好ましく、また、全ての磁性層の合計厚さが1.5 μ
m以下、好ましく1.0 μm以下であることが好ましい。
【0052】次に、ウエット・オン・ウエット方式によ
る磁気記録媒体の製造法の一例を図3に従って説明す
る。まず供給ロール32から繰出されたフィルム状支持体
1上には、押し出しコータ10、11により、上記した磁性
層2、4用の磁性塗料が塗布される。
【0053】複数の磁性層を、ウエット・オン・ウエッ
ト方式で塗布するための押し出しコーターの例を図4に
示す。ここにおいて、図4(A)は2基の押し出しコー
ターを並べて使用する方法であり、図4(B)は押し出
し用スリットは分離されているが、吐出口は一体化した
例である。また図4(C)は、スリット及び吐出口を一
体化した例である。
【0054】上記の塗布方法において、各塗料は、図示
しないインラインミキサーを通して押し出しコータ10、
11へと供給してよい。押し出しコータ10、11には夫々、
液溜り部13、14が設けられ、各コーターからの塗料をウ
エット・オン・ウエット方式で重ねる。
【0055】このウエット・オン・ウエット方式におけ
る重層塗布においては、下層が湿潤状態のままで上層の
磁性層を塗布するので、下層の表面(即ち、上層との境
界面)が滑らかになるとともに上層の表面性が良好にな
り、かつ、上下層間の接着性も向上する。
【0056】この結果、特に高密度記録のために高出
力、低ノイズの要求される例えば磁気テープとしての要
求性能を満たしたものとなり、更にドロップアウトも低
下することができるため、信頼性も向上する。
【0057】上記ウエット・オン・ウエット方式によっ
て形成される上下層間には、明確な境界が実質的に存在
する場合以外に、一定の厚みで以て、両層の成分が混在
してなる境界領域が存在する場合があるが、こうした領
域を除いた上側及び下側の層を上記の磁性層とするいず
れの場合も、本発明の範囲に含まれる。
【0058】上記ウエット・オン・ウエット方式によっ
て各層が形成された後、例えば2000Gauss の前段配向磁
石33により配向され、更に、例えば2000Gauss の後段配
向磁石35を配した乾燥器34に導入され、ここで上下に配
したノズルから熱風を吹き付けて乾燥する。
【0059】次に、乾燥された各塗布層付きの支持体1
はカレンダーロール38の組合わせからなるスーパーカレ
ンダー装置37に導かれ、ここでカレンダー処理された後
に、巻き取りロール39に巻き取られる。
【0060】このようにして得られた磁性フィルムをス
リットして磁気テープを製造する。
【0061】本発明においては、上記によって形成され
る磁性層の表面粗さR10z を50nm以下とするのが好まし
く、30nm以下、更には20nm以下とするのが一層好まし
い。
【0062】本発明に係る表面粗さR10z とは、図5に
示すように磁気記録媒体の幅方向の中点Pから±2mm
(図ではRで示す)の範囲で長手方向に基準長だけ垂直
に切断したとき、その切断面における外表面輪郭曲線を
切る水平線に平行な直線のうち、高い方から10番目に低
い山頂を通るものと深い方から10番目に浅い谷底を通る
ものを選び、この2本の直線(l1 及びl2 )間の距離
dを外表面輪郭曲線の縦倍率の方向に測定した値を示す
ものである。
【0063】上記のR10z を測定するには、タリステッ
プ粗さ計(ランク・テイラ・ホブソン社製)を用い、測
定条件としては、スタイラスを2.5 ×0.1 μm、針圧を
2mg、カット・オフ・フィルターを0.33Hz、測定スピー
ドを2.5 μm/sec 、基準長を0.5 mmとした。なお、粗
さ曲線においては0.002 μm以上の凹凸はカットしてい
る。
【0064】上記のR10z を50nm以下にコントロールす
るには、例えば前記の製造工程においてカレンダー条件
を設定し、磁性層の表面平滑状態をコントロールするば
よい。即ち、この正面平滑化処理においては、カレンダ
ー条件として制御する因数は温度、線圧力、C/S(コ
ーティングスピード)等を挙げることができる。また、
その他の因数としては、磁性層中への添加粒子のサイズ
や量等がある。
【0065】本発明の目的達成のためには、通常、上記
温度を50〜140 ℃、上記線圧力を50〜400kg/cm、上記C
/Sを20〜600m/minに保持することが好ましい。これら
の数値の範囲を外れると、磁性層の表面粗さを前記の如
く特定することが困難になるか、あるいはそれが不可能
となることがある。
【0066】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに説明
する。成分、割合、操作順序等は、本発明の精神から逸
脱しない範囲において種々変更しうる。なお、下記の例
において「部」はすべて重量部である。
【0067】実施例1 〈上層用磁性塗料A〉 Fe−Al系強磁性金属粉 100部 (Fe:Al=100 :5、Hc:1580Oe、σs :120emu/g、 平均長軸長0.12μm、結晶子サイズ170 Å) スルホン酸カリウム基含有塩ビ系樹脂 10部 〔日本ゼオン(株)製、商品名MR−110 〕 スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン 5部 〔東洋紡績(株)製、商品名VR−8300〕 アルミナ(平均粒径0.2 μm) 6部 カーボンブラック(平均粒径40mμ) 1部 ミリスチン酸 1部 ブチルステアレート 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 100部 トルエン 100部
【0068】〈下層用磁性塗料B〉上層用塗料Aにおい
て磁性粉をCo−含有酸化鉄(Hc:800 Oe、平均長
軸長0.16μm、結晶子サイズ330 Å)に代えた以外は同
様とした。
【0069】上記組成の各塗料を、前記の方法で混練、
分散して調製した。次に、得られた上層用磁性塗料と下
層用磁性塗料とに、硬化剤としてそれぞれポリイソシア
ネート化合物(コロネートL:日本ポリウレタン社製)
5部を添加した後、ウエット・オン・ウエット方式によ
り、厚み10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
上に塗布した。これを、塗膜が未乾燥であるうちに磁場
配向処理を行い、続いて乾燥を施してからカレンダー表
面平滑化処理を行い、厚み1.0 μmの下層と厚み0.5 μ
mの上層とからなる磁性層を形成した。カレンダー条件
は、温度80℃、圧力300 Kg/cm2 、C/S(コーティン
グスピード)30/min とした(表1に示すカレンダー条
件中の条件(1))。
【0070】さらに、下記の組成を有するバックコート
層用塗料を上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの
磁性層と反対側の面に塗布し、乾燥後の膜厚が0.8 μm
であるバックコート層を形成した。 〈バックコート層用塗料〉 カーボンブラック 40部 (ラーベン1035) 硫酸バリウム 10部 (平均粒径300 μm) ニトロセルロース 25部 ポリウレタン 25部 (日本ポリウレタン社製のN−2301) ポリイソシアネート化合物 10部 (日本ポリウレタン社製のコロネートL) シクロヘキサノン 400部 メチルメチルケトン 250部 トルエン 250部
【0071】こうして得られた原反をスリットして8mm
ビデオテープを作成した。この8mmビデオテープの詳細
及び性能評価の結果を表2に示す。
【0072】実施例2〜32、比較例1〜6 最外層(表2中では上層と表記してある。)の磁性粉の
種類、平均長軸長、結晶子サイズ(磁性粉が強磁性金属
粉の場合は抗磁力Hcも変化させた。)、最外層以外の
少なくとも一層(ここでは2層のため、表2中では下層
と表記してある。)の磁性粉のBET値、平均長軸長、
結晶子サイズ、上層膜厚、下層膜厚、非磁性粒子の粒
径、磁性層の表面粗さR10z 及び支持体の粗大突起密度
を種々変化し、他は実施例1と同様にした(但し、上層
に酸化鉄磁性粉を使用した場合のテープスリット巾は1/
2 インチとした。)。内容の詳細及び得られた結果を表
2に示した。
【0073】実施例33、34 磁性層が3層の例である。中間層として表3に示す磁性
粉を用いた以外は実施例1と同様にした。この結果を表
3に示した。
【0074】なお、各例によって得られた8mmテープ及
び1/2 インチテープの物性測定は下記方法によって行っ
た。
【0075】(a)粗大突起密度 2検出方式の走査型電子顕微鏡(エリオニクス(株)
製:ESM−3200)及び断面測定装置(エリオニクス
(株)製:PMS−1)を用いてテープ面の凹凸を測定
した。次にこのデータを画像処理装置(カールツアイス
(株)製:IBAS2000)で処理し、0.5 μm以上の突
起数をカウントした。
【0076】(b)RF出力、クロマ出力 (8mmテー
プ) シバソク社製ノイズメータ925 Cを用い、8mmビデオム
ービーV900 (ソニー社製)を用いて測定した。(測定
単位:dB)
【0077】(c)ルミS/N 試料テープ上にホワイト100 %の信号を基準レベルで入
力し、再生ビデオ信号を921 D/1〔(株)シバソク製
ノイズメータ〕に入力し、得られるノイズ絶対値よりル
ミS/Nを読み取った。(測定単位:dB)
【0078】(d)クロマS/N(8mmテープ) シバソク社製ノイズメータを使用し、基準テープとの比
較においてクロマ信号における試料テープのS/Nの差
を求めた。(測定単位:dB)
【0079】(e)RF出力、ルミS/N、クロマS/
N、クロマ出力(1/2 インチテープ)カラービデオノイ
ズメーター「Shibasoku 952 D/1」を用い、日本ビク
ター社製「HR−S7000」のデッキでリファレンステー
プに対する値(dB)で表した。各信号の周波数は次の
通りである。 RF出力 : 6MHz ルミS/N : 6MHz クロマS/N: 629KHz クロマ出力 : 629KHz
【0080】(f)ドロップアウト(D/O) 8mmテープについては、8mmビデオムービーV900 (ソ
ニー社製)を用い、1/2 インチテープについてはHR−
S7000(日本ビクター社製)を用い、−12dB以上の出
力低下を5μS以上おこすドロップアウトの個数を測定
した。
【0081】(g)走行耐久性 測定用デッキとして、8mm幅のテープについてはV−90
0 (ソニー社製)、1/2 インチ幅のテープについてはH
R−S7000(日本ビクター社製)を用い、40℃、80%温
湿度下でテープの全長走行を50パス(100 時間)行い、
走行後の粉落ちのレベル、ヘッド摩耗の測定を行った。
【0082】粉落ちについては、デッキのピンやヘッド
の清浄時の汚れにより次の3段階で評価した。 A 粉落ちが非常に多い B 粉落ちがややみられる C 粉落ちがほとんどなし
【0083】ヘッド摩耗については、上記の走行後のヘ
ッド面の摩耗量を測定した。
【0084】 表1 カレンダー条件 温度(℃) 圧力(kg/cm2) C/S(m/min) ──────────────────────────── (1) 80 300 30 (2) 70 250 30 (3) 70 200 50 (4) 70 180 50 (5) 60 200 50 (6) 60 150 50
【0085】
【表A】
【0086】
【0087】
【表B】
【0088】
【表C】
【0089】
【表D】
【0090】
【表E】
【0091】
【表F】
【0092】表2及び表3の結果から明らかなように、
本発明に係る磁気テープは高温高湿(40℃、80%)の厳
しい条件の場合であっても磁性層表面の粉落ち及びヘッ
ド摩耗が改良され(即ち、走行耐久性が改善され)、高
い電磁変換特性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】重層塗布の磁気記録媒体の断面図の例である。
【図2】重層塗布の磁気記録媒体の断面図の他の例であ
る。
【図3】磁気記録媒体の製造装置の例である。
【図4】押し出しコータの断面図の例である。
【図5】磁性層の表面粗さR10z を測定する状況を説明
する図である。
【符号の説明】
1 支持体 2、4、5 磁性層 3 バックコート層 10、11 押し出しコータ 13、14 液溜まり部 32 供給ロール 33 前段配向磁石 34 乾燥器 35 後段配向磁石 37 スーパーカレンダー装置 38 カレンダーロール 39 巻取りロール
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−49032(JP,A) 特開 平2−154320(JP,A) 特開 平2−192019(JP,A) 特開 平2−302928(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に複数の磁性層が積層されてい
    る磁気記録媒体において、前記複数の磁性層の厚さの合
    計が0.1μmより大きく、1.5μm以下であり、か
    つ、前記磁性層のうちの最外層の磁性層が厚さ0.1μ
    m以上、1.0μm以下であって、前記最外層の磁性層
    の表面粗さR 10Z が30nm以下であり、更に、前記複
    数の磁性層の最外層以外の少なくとも1層に結晶子サイ
    ズが450Å以下の磁性粉を用いたことを特徴とする磁
    気記録媒体。(但し、R 10Z とは、磁気記録媒体を幅方
    向の中点から±2mmの範囲で長手方向に基準長だけ垂
    直に切断したとき、その切断面における外表面輪郭曲線
    を切る水平線に平行な直線のうち、高い方から10番目
    に低い山頂を通るものと深い方から10番目に浅い谷底
    を通るものを選び、これらの2本の直線間の距離を外表
    面輪郭曲線の縦倍率の方向に測定した値をいう。)
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