JP3258769B2 - 原子炉の制御棒監視制御システム - Google Patents

原子炉の制御棒監視制御システム

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JP3258769B2
JP3258769B2 JP15722893A JP15722893A JP3258769B2 JP 3258769 B2 JP3258769 B2 JP 3258769B2 JP 15722893 A JP15722893 A JP 15722893A JP 15722893 A JP15722893 A JP 15722893A JP 3258769 B2 JP3258769 B2 JP 3258769B2
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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子炉における制御棒の
監視と制御のシステムに係り、特に定期検査時における
制御棒駆動装置の点検や、プラント運転中の制御棒位置
検出器の不具合時にも制御棒操作を可能とする原子炉の
制御棒監視制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電プラントにおいて原子炉の出
力を制御し、その出力分布を調整するものとしては制御
棒があり、各制御棒を目標位置に移動したり、制御棒の
位置を運転員に報知するものとして制御棒監視制御シス
テムがある。
【0003】原子力発電プラントの定期点検時には、制
御棒を炉心内に全挿入して原子炉出力を零にし、制御棒
の健全性確認のための点検作業等を実施している。従っ
てこの期間は、全制御棒の制御棒駆動装置について分解
をするので制御棒操作が不能になる。
【0004】しかしながら、燃料交換作業や制御棒駆動
機構の点検を行うためには、一部の制御棒の操作を行う
必要があった。また、プラント運転中に制御棒駆動機構
内の制御棒位置検出器の1個に不具合が発生すると、制
御棒位置が不明になるので原子炉の安全維持のために制
御棒操作を禁止するように設計されていた。
【0005】なお、制御棒駆動機構は原子炉格納容器内
に設けられているので、制御棒位置検出器の修理には原
子炉の出力を零にする必要があるが、この時に制御棒の
操作ができないと原子炉の出力を零にすることができ
ず、従って原子炉を緊急停止させることでしか対応がで
きない。
【0006】特に出力が 1100MWeクラスの沸騰水型原子
炉においては 185本もの制御棒が配設されてあり、各々
の制御棒に対応して原子炉格納容器内には制御棒駆動機
構が、また原子炉格納容器外には制御棒駆動装置が 185
組設置されている。また、この1組の制御棒駆動装置に
は、方向選択制御弁である挿入供給弁、挿入排出弁、引
抜排出弁および引抜供給弁の4個の弁が設けられてい
る。
【0007】定期点検時では全ての制御棒駆動装置の分
解点検に際しては、前記方向選択制御弁の制御ケーブル
が取り外されることから、制御棒監視制御システムにお
ける電磁弁断線モニタが作動して警報が発生し、制御棒
操作ができなくなる。この対策としては、制御棒操作が
必要な燃料交換作業や制御棒駆動機構の分解点検作業
が、制御棒駆動装置の点検と重ならないようにスケジュ
ールの調整をしているので定期点検期間が長びく結果と
なっていた。
【0008】また、 185組の制御棒駆動機構には制御棒
位置検出器が通常53個、合計では約1000個が設けられて
おり、この制御棒位置検出器に固着、接触不良やチャタ
リング等の不具合が生じた場合には、制御棒監視制御シ
ステムの故障か、制御棒位置検出器の不具合かの判別が
不可能なことから、原子炉の安全を維持するために制御
棒位置が不明の時は、制御棒操作を禁止するインターロ
ックが構築されている。
【0009】従って、 185組の制御棒駆動機構の制御棒
位置検出器においては、約1000個の内で1個でも不具合
が発生すると制御棒操作が不可能になり、原子炉の起動
停止や出力調整ができないので原子炉を緊急停止させる
ことになる。
【0010】図6のブロック構成図は最近のマイクロプ
ロセッサ技術、および光多重伝送技術を採用して計算機
化された沸騰水型原子炉のディジタル型制御棒監視制御
システムで、制御棒手動操作系と制御棒位置指示系を示
す。原子炉1の中には、図示しない燃料と冷却材と共に
制御棒2が設けられている。この制御棒2は出力が 110
0MWeクラスの原子炉では 185本配設されており、各制御
棒2毎に設置している制御棒駆動装置3により引抜、挿
入の位置制御がされる。
【0011】この各制御棒駆動装置3には前記した4個
の方向選択制御弁が設けられているが、ここでは一括し
て方向選択制御弁4として例示する。この方向選択制御
弁4は電磁制御弁で、励磁することにより動作して、駆
動水配管5内の駆動水の方向を変えることで制御棒駆動
装置3を作動させて、制御棒2を引抜、挿入して位置を
制御する。
【0012】中央制御室の主盤に設けられている制御棒
操作ユニット6には、各制御棒2を操作するための制御
棒2の本数分の選択スイッチと、制御棒2の位置を制御
する「挿入」、「引抜」スイッチ、および各制御棒2の
位置を示す制御位置表示器と、これ等の信号を電気信号
より光多重伝送信号に変換して伝送する信号変換器等が
設けられている。
【0013】この信号変換器は二重化されており、光ケ
ーブル7a,7bを経由して制御棒駆動装置を制御する
制御装置の制御棒手動操作系である制御棒手動操作用マ
イクロプロセッサ8a,8bへ信号を伝送する。
【0014】制御棒手動操作用マイクロプロセッサ8
a,8bでは、原子炉保護系が動作していないことや、
4個の方向選択制御弁4の動作タイミングや二重化シス
テム間が健全であるかを診断する等の演算を行って、該
当する1本の制御棒2の4個の方向選択制御弁4を制御
する信号を光多重伝送として、光ケーブル9a,9bを
介して、現場の制御棒駆動装置3の近傍に設置されてい
る制御棒手動操作用制御信号出力装置10a,10bへ出力
する。
【0015】制御棒手動操作用制御信号出力装置10a,
10bでは、光ケーブル9a,9bからの光信号を電気信
号に変換して、方向選択制御弁制御信号11a,11bを出
力し、方向選択制御弁4を励磁して動作させる。なお、
方向選択制御弁4においても、その回路は二重化されて
いて、2つの方向選択制御弁制御信号11a,11bが同時
に発生しないと方向選択制御弁4を動作させることがで
きない。制御棒駆動装置3が動作すると、図示しない原
子炉格納容器内の原子炉1の下部に設けられている制御
棒駆動機構12に水圧を供給し、制御棒2の位置を移動さ
せる。
【0016】制御棒駆動機構12内には制御棒2に直結し
た永久磁石13が配されており、この永久磁石13は制御棒
2と一緒に移動して、制御棒駆動機構12内に設けられて
いる制御棒位置検出器14a〜14nを順次動作させる。こ
の制御棒位置検出器14a〜14nはリードスイッチが53個
設けられており、前記制御棒2の移動に伴なって夫々に
永久磁石13が接近することにより閉じる。
【0017】制御棒位置検出器14a〜14nは、図7の回
路図に示すようなマトリックス状に結線されていて、コ
ネクタ15で位置信号ケーブル16を経由して、原子炉格納
容器外に設置されている位置信号入出力制御装置18のコ
ネクタ17に接続されている。この位置信号入出力制御装
置18では、全制御棒2に相当する 185個の信号を位置信
号ケーブル16より入力して、各制御棒2の識別番号と位
置識別番号を統合し、多重化して制御棒位置信号19a,
19bとして、制御棒位置指示系であるシリアル信号変換
器20a,20bに出力する。
【0018】シリアル信号変換器20a,20bは光多重伝
送のためのシリアル信号に変換し、光ケーブル21a,21
bを介して、制御棒位置表示用マイクロプロセッサ22
a,22bに入力する。この制御棒位置表示用マイクロプ
ロセッサ22a,22bにおいては、別途制御棒手動操作用
マイクロプロセッサ8a,8bからも操作対象の制御棒
番号信号を光ケーブル23a,23bで入力し、操作対象の
制御棒2の位置が正しく移動しているかを診断する。
【0019】この診断の結果が正常の動作であれば、こ
れを光ケーブル24a,24bを介して制御棒位置表示板25
に出力すると共に、前記制御棒手動操作用マイクロプロ
セッサ8a,8bで、制御棒操作許可の演算のための信
号を前記光ケーブル23a,23bを介して伝達している。
なお、シリアル信号変換器20a,20b以降の制御棒位置
指示系は、待機二重化されており一系統の電気器具が故
障しても、残りの健全な系統で制御棒2の位置表示を可
能としている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】従来の制御棒監視制御
システムにおいては、定期検査中においては制御棒駆動
装置3の分解点検を行うが、このために制御棒手動操作
用制御信号出力装置10a,10bからの当該方向選択制御
弁制御信号11a,11bが停止される。この方向選択制御
弁制御信号11a,11bの停止により、制御棒手動操作用
制御信号出力装置10a,10bに備えられた電磁弁の断線
モニタが、電磁弁回路の異常発生として検知し、このイ
ンタロックにより制御棒手動操作用マイクロプロセッサ
8a,8bの演算を停止して制御棒手動操作が禁止され
る。
【0021】また、制御棒駆動装置3は 185組もあるの
で、この分解点検には長期間を要することから、この分
解点検期間中は制御棒操作に係わる作業は、制御棒駆動
装置3の分解点検作業の前後に実施することになり、定
期検査期間が長くなる不具合がある。さらに、プラント
運転中に制御棒位置検出器14a〜14nの不具合が発生す
ると、電気器具の故障か制御棒位置検出器14a〜14nの
故障かを区別することができないので、運転員はこの原
因究明作業を行うことになる。
【0022】ここで位置信号入出力制御装置18、制御棒
位置信号19a,19b、シリアル信号変換器20a,20b、
光ケーブル21a,21b、制御棒位置表示用マイクロプロ
セッサ22a,22b、および光ケーブル23a,23b,24
a,24b等の電気器具が健全であれば、原子炉格納容器
外に設置されているコネクタ17を取外して、制御棒位置
検出器14a〜14nの作動における波形観測や抵抗測定を
行う。
【0023】万一制御棒位置検出器14a〜14nの故障で
あると、修復作業が原子炉格納容器内作業となるので原
子炉を停止する必要がある。また制御棒位置指示系の故
障では、原子炉内の制御棒位置が不明となるので、原子
炉の安全第一を考慮して制御棒手動操作を禁止してい
る。
【0024】このために、制御棒2の挿入操作ができ
ず、原子炉を緊急的に自動停止せざるを得ないので、こ
の結果、原子炉の稼働率が大幅に低下することになる。
すなわち、定期検査期間内での制御棒駆動装置3の分解
点検中は、制御棒操作が必要な他の点検作業ができず、
定期検査期間が長くなるという問題があり、またプラン
ト運転中に制御棒位置検出器14a〜14nに故障が発生す
ると、その故障部位の同定に膨大な労力と時間を要し、
さらに、制御棒手動操作による原子炉停止ができないの
で原子炉緊急自動停止をせざるを得ないことから、プラ
ントの炉稼働率が大幅に低下するという支障があった。
【0025】本発明の目的とするところは、運転中の制
御棒位置検出器の診断と、模擬信号を発生により制御棒
駆動装置の分解点検作業中にも制御棒の手動操作を可能
とすることで、定期検査期間の短縮とプラント稼働率が
向上する原子炉の制御棒監視制御システムを提供するこ
とにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明に係る原子炉の制御棒監視制御シス
テムは、原子炉の制御棒を引抜あるいは挿入する制御棒
駆動装置と、前記制御棒の位置を検出する制御棒位置検
出器と、前記制御棒の位置を示す表示手段および前記制
御棒の位置を制御するスイッチング手段を有する制御棒
操作ユニットと、前記制御棒操作ユニットからの信号を
入力し健全性診断を行う制御棒手動操作用マイクロプロ
セッサと、この制御棒手動操作用マイクロプロセッサに
接続して設けられ第1のオーバライド信号を出力する診
断オーバライド指定装置と、予め前記制御棒位置検出器
を評価して得られる制御棒動作評価データを記憶する制
御棒位置検出器データ記憶装置を備える。
【0027】さらに、前記制御棒手動操作用マイクロプ
ロセッサの健全性診断結果と前記制御棒駆動装置の状態
を信号として入力し、前記制御棒位置検出器データ記憶
装置からの制御棒動作評価データを参照して前記制御棒
駆動装置の状態を診断し、前記制御棒駆動装置を作動さ
せる制御信号を出力するとともに、前記診断オーバライ
ド指定装置が第1のオーバライド信号を出力していると
きには前記制御棒駆動装置は常に正常と診断する制御棒
操作用制御信号出力装置と、前記制御棒位置検出器から
の信号を入力して制御棒位置の健全性を診断し、健全な
場合は前記制御棒位置検出器からの信号を制御棒位置信
号として出力するとともに、健全でない場合は健全でな
いと診断された制御棒を指定して第2のオーバライド信
号および指定された擬似位置信号を出力する位置検出器
診断装置と、この位置検出器診断装置からの第2のオー
バライド信号および擬似位置信号の出力を管理する疑似
信号指定装置と、前記位置検出器診断装置からの信号を
入力し、前記第2のオーバライド信号が出力されている
ときには、健全な制御棒に関する制御棒位置信号ととも
に、該健全でないと診断された制御棒に関する前記擬似
位置信号を出力する位置信号入出力制御装置と、を設け
たことを特徴とする。
【0028】
【作用】定期検査期間中の制御棒駆動装置の分解点検作
業において、運転員は方向選択制御弁の制御ケーブルを
取り外したら、この対象の制御棒毎に診断オーバライド
指定装置により方向選択制御弁の診断機能をオーバラ
イド(override)すなわち、診断オーバライド指定装置
により本来の方向選択制御弁の診断機能を阻止させ、こ
れによりインタロックを解いて制御棒手動操作が可能と
する。この制御棒駆動機構の分解点検のために必要な制
御棒引抜操作や、燃料交換作業に必要な制御棒引抜操
作、および燃料交換作業に必要な制御棒挿入、引抜操作
が可能となることから、制御棒駆動機構の分解点検と並
行して作業もできるので定期検査期間の短縮になる。
【0029】また、プラント運転中に制御棒位置検出器
の診断装置が作動しているので、制御棒位置指示系に故
障が発生しても、この故障が制御棒位置検出器の場合に
は迅速に特定できる。さらに、制御棒番号と位置が把握
して当該制御棒位置の疑似信号を発生させることによ
り、制御棒位置指示系を正常状態とすることから制御棒
手動操作を可能にして原子力発電プラントの運転が継続
できる。
【0030】
【実施例】本発明の一実施例を図面を参照して説明す
る。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については
同一符号を付して詳細な説明を省略する。本発明による
沸騰水型原子炉のディジタル型制御棒手動操作系のシス
テムを図1のブロック構成図で示す。
【0031】原子炉1の中に設けられている制御棒2
は、出力が 1100MWeクラスの原子炉では 185本あり、各
制御棒2毎に設置している制御棒駆動装置3により引
抜、挿入の位置制御が行われる。この各制御棒駆動装置
3には4個の方向選択制御弁4が設けられており、この
方向選択制御弁4は電磁制御弁で、励磁することにより
作動して駆動水配管5内の駆動水の方向を変える制御棒
駆動装置3の動作により、制御棒駆動機構12を介して制
御棒2の引抜、挿入操作をして位置制御する。
【0032】中央制御室の主盤に設けられている制御棒
操作ユニット6には、図示しない各制御棒2を操作する
ための制御棒2の本数分の選択スイッチと、制御棒2の
位置を制御する「挿入」、「引抜」スイッチ、および各
制御棒2の位置を示す制御位置表示器と、これ等の信号
を電気信号より光多重伝送信号に変換して伝送する信号
変換器等が設けられている。
【0033】この信号変換器は二重化されており、光ケ
ーブル7a,7bを経由して制御棒駆動装置を制御する
制御棒装置の制御棒手動操作系である制御棒手動操作用
マイクロプロセッサ8a,8bへ信号を伝送する。ま
た、制御棒手動操作用マイクロプロセッサ8a,8bに
は、制御棒番地指定とオーバライド指定、およびオーバ
ライド解除の信号を発生する機能を有する診断オーバラ
イド指定装置26が、光ケーブル27a,27bを介して接続
されている。なお、この明細書に記載のオーバライド
(override)とは、前述の[作用]の項でも触れたが、
「本来機能を阻止状態にする」ことを意味しており、オ
ーバライド指定の信号とは、本来機能を阻止状態に指定
するための信号であり、オーバライド解除の信号とは、
本来機能を阻止状態から解除するための信号である。
【0034】この制御棒手動操作用マイクロプロセッサ
8a,8bでは、原子炉保護系が動作していないこと
や、4個の方向選択制御弁4の動作タイミング、および
二重化システム間が健全であるかを診断する等の演算を
行って、該当する1本の制御棒2の4個の方向選択制御
弁4を制御する信号を光多重伝送とし、光ケーブル9
a,9bを介して、現場の制御棒駆動装置3の近傍に設
置されている図2のブロック構成図に示す診断機能を備
えた制御棒手動操作用制御信号出力装置10a,10bへ出
力する。
【0035】制御棒手動操作用制御信号出力装置10a,
10bでは、光ケーブル9a,9bからの光信号を電気信
号に変換して、方向選択制御弁制御信号11a、11bを出
力し、方向選択制御弁4を励磁して動作させる。なお、
方向選択制御弁4においても、その回路は二重化されて
いて、2つの方向選択制御弁制御信号11a,11bが同時
に発生しないと方向選択制御弁4を動作させることがで
きない。
【0036】さらに、制御棒手動操作用制御信号出力装
置10a,10bに備えた診断機能は、図2に示すように夫
々が方向選択制御弁制御信号発生器28a,28bと、出力
接点29a,29bおよび抵抗器30a,30bと、診断モニタ
31a,31b、制御棒駆動装置正常信号発生器32a,32b
の他に診断モニタオーバライド信号発生器33a,33bで
形成されている。
【0037】この診断機能は、方向選択制御弁制御信号
発生器28a,28bが動作すると各々の出力接点29a,29
bが閉じ、方向選択制御弁制御信号11a,11bが発生し
て方向選択制御弁4が励磁される。また、方向選択制御
弁制御信号11a,11bが停止すると、抵抗器30a,30b
の両端電圧が変化することから、これを診断モニタ31
a,31bが異常として検出し、制御棒駆動装置正常信号
発生器32a,32bから出力される正常信号34a,34bの
発生を阻止する。
【0038】なお、このままでは制御棒駆動装置3の異
常として、制御棒駆動操作を禁止するインターロックが
働いて制御棒手動操作ができない。さらに、前記制御棒
2毎の制御棒駆動装置正常信号発生器32a,32bに、診
断モニタオーバライド信号発生器33a,33bより診断モ
ニタオーバライド信号を出力すると、診断モニタ31a,
31bからの正常信号がなくても、制御棒駆動装置正常信
号発生器32a,32bから正常信号34a,34bを出力する
ことができる。
【0039】従って、運転員が制御棒駆動装置3の分解
点検に際して、前記診断オーバライド指定装置26から、
当該制御棒2毎に診断モニタオーバライド信号発生器33
a,33bを動作させる信号を出力をすると、制御棒駆動
装置正常信号発生器32a,32bの出力信号が正常信号34
a,34bに固定される。
【0040】なお、制御棒駆動装置3の分解点検終了時
には、運転員の管理のもとに前記診断オーバライド指定
装置26からのオーバライド解除信号で、オーバライド
態(本来機能を阻止している状態)が解除される。また
制御棒駆動装置3が動作すると、図示しない原子炉格納
容器内の原子炉1の下部に設けられている制御棒駆動機
構12に水圧が供給され、制御棒2の位置を移動させる。
【0041】制御棒駆動機構12内において、制御棒2に
は永久磁石13が固定されていて制御棒2と一緒に移動す
る。これにより、この永久磁石13と対峙して制御棒駆動
機構12に配設された多数の制御棒位置検出器14a〜14n
が順次作動される。すなわち、制御棒位置検出器14a〜
14nとしては、リードスイッチが1台の制御棒駆動機構
12に53個設けられており、前記制御棒2の移動に伴なう
永久磁石13が夫々のリードスイッチに接近することによ
り閉作動し、離れることで再び開く。
【0042】なお、複数の制御棒位置検出器14a〜14n
はマトリックス状に結線されていて、この信号はコネク
タ15から位置信号ケーブル16を経由して、原子炉格納容
器の外に設置されている位置信号入出力制御装置18の前
段の位置検出器診断装置35に入力される。
【0043】位置検出器診断装置35は図3のブロック構
成図に示すように、切替装置36,37と波形観測装置38、
および抵抗測定装置39、健全性評価装置40、健全性評価
指定装置41、さらにオーバライド信号発生器42で構成さ
れている。この位置検出器診断装置35では、制御棒位置
検出器14a〜14nの信号を位置信号ケーブル16とコネク
タ43を経由して位置信号44として入力し、通常は閉じて
いる切替装置36を経由して位置信号45とし、コネクタ43
を介して位置信号入出力制御装置18に出力する。
【0044】また、前記制御棒位置検出器14a〜14nの
信号の1個が変化すると健全性評価指定装置41が作動し
て、切替装置36を開き、切替装置37を閉じて位置信号44
を位置信号46として、波形観測装置38および抵抗測定装
置39に入力する。これに接続された健全性評価装置40で
は、基準波形、基準抵抗値および制御棒位置検出器デー
タ記憶装置47からの制御棒位置検出器評価データ48と比
較して健全性評価を行い、健全であれば健全性評価指定
装置41に信号を出力する。
【0045】この健全性評価指定装置41に健全性評価装
置40から健全である信号が入力されると、前記切替装置
36を閉じ、切替装置37を開いて前記位置信号45を位置信
号入出力制御装置18のコネクタ17を介して制御棒位置指
示系への入力信号とする。
【0046】位置信号入出力制御装置18は、オーバライ
ド信号発生器42からの第2のオーバライド信号49の入
力により、前記位置信号45をリフトしたり、ショートし
たりする機能を有している。しかも前記位置信号入出力
制御装置18は、前記第2のオーバライド信号49が入力
されているときに、オーバライド信号発生器42より健全
性評価指定装置41の制御棒位置検出器14a〜14nの異常
信号と、運転員の疑似信号指定装置50による疑似信号デ
ータ51を入力して演算する。このとき、制御棒位置検出
器14a〜14nの全てのうち1個のみの前記第2のオーバ
ライド信号49が出力される
【0047】前記健全性評価指定装置41は、シリアル信
号変換器20a,20bより制御棒位置が変化した制御棒2
の番地と、位置を示す制御棒位置指定信号52a,52bを
入力して、変化した制御棒2の位置と1ノッチ挿入側位
置、および1ノッチ引抜側位置の制御棒位置検出器の位
置信号44が接続されている切替装置36,37を動作させる
と共に、制御棒位置評価指定信号53として制御棒位置検
出器データ記憶装置47に出力する。
【0048】この制御棒位置検出器データ記憶装置47
は、全制御棒2の制御棒位置検出器14a〜14nの接触抵
抗値や波形等を記憶して制御棒位置評価指定信号53の入
力により、前後3つの制御棒位置検出器データを制御棒
位置検出器評価データ48として健全性評価装置40に出力
したり、逆に健全性評価装置40より、この3個の位置検
出器の接触抵抗値や波形等のデータを入力して過去のデ
ータに追加してメモリする。さらに、運転員の指定によ
り制御棒位置検出器データの長期傾向診断や、傾向度合
の分布診断等の診断を行うと共に、警報や表示を行う機
能を有している。
【0049】次に上記構成による作用について説明す
る。定期検査期間中に実施される制御棒駆動装置3の分
解作業に伴ない、当該方向選択制御弁4への制御ケーブ
ルが外されることから、方向選択制御弁制御信号11a,
11bは停止する。これにより運転員は、診断オーバライ
ド指定装置26より、当該制御棒2の番号と図示しない診
断オーバライド指定スイッチの操作により、制御棒毎の
制御棒手動操作用制御信号出力装置10a,10bにおける
診断モニタオーバライド信号発生器33a,33bを動作さ
せる。
【0050】この時に診断モニタ31a,31bが作動して
異常を検知し、異常信号を制御駆動装置正常信号発生器
32a,32bに出力しても、すでに制御駆動装置正常信号
発生器32a,32bには、診断モニタオーバライド信号発
生器33a,33bにより診断モニタオーバライド信号が入
力されているので、制御棒駆動装置正常信号発生器32
a,32bの出力は、正常信号34a,34bを発生して制御
棒手動操作用マイクロプロセッサ8a,8bにディジタ
ル信号として戻され、制御棒手動操作系の演算を行う。
【0051】従って、当該制御棒駆動装置3の分解点検
を行っても、当該制御棒駆動装置3を除く、分解点検対
象外の制御棒2の手動操作は自由に行うことができる。
プラント運転中に制御棒2の位置を変化させると、シリ
アル信号変換器20a,20bより位置が変化した制御棒2
の番号と位置信号が、制御棒位置指定信号52a,52bに
より位置検出器診断装置35内の健全性評価指定装置41に
出力される。
【0052】この健全性評価指定装置41では、位置変化
した制御棒の番号と位置、1ノッチ挿入位置および1ノ
ッチ引抜位置における3つの制御棒位置検出器の位置信
号44に対して、切替装置36を開き、切替装置37を閉じ
て、各々の制御棒位置検出器14a〜14n(3個)の信号
を波形観測装置38および抵抗測定装置39に入力して、制
御棒位置検出器14a〜14n(リードスイッチ)回路の
開、閉における波形観測(立上り、途中、立下り、チャ
タリング等)、および接触抵抗測定値等のデータを採取
して健全性評価装置40に出力する。
【0053】健全性評価装置40では、制御棒位置検出器
14a〜14nにおける基準の開、閉での波形および抵抗値
や、制御棒位置検出器データ記憶装置47よりの該当する
3個の制御棒位置検出器の過去のデータ等を比較して健
全性の評価を行う。この評価が終了すると測定したデー
タを制御棒位置検出器データ記憶装置47に送ってメモリ
させると共に、評価結果が健全であるか、異常であるか
を健全性評価指定装置41に出力する。若しも異常の場合
には、制御棒位置検出器14a〜14nの異常の状況で、例
えば、短絡、接触不良、チャタリング等の情報も含めて
出力される。
【0054】健全性評価指定装置41においては、健全性
評価装置40より評価結果を入力すると、3つの位置信号
の切替装置36を閉じ、切替装置37を開いて、制御棒位置
検出器14a〜14nの位置信号を位置信号入出力制御装置
18のコネクタ17に接続し、制御棒位置指示系の入力情報
とする。
【0055】健全性評価装置40の評価結果が健全である
場合はこのままであるが、異常であった場合には、健全
性評価指定装置41より、異常である制御棒2の番号と位
置の信号を、オーバライド信号発生器42に出力して、図
示しない警報および表示手段により警報と、制御棒番号
および位置異常の状況表示により運転員に対して報知す
る。
【0056】運転員は、この報知により原子炉1の状況
を核計装システムや他の制御棒位置等を勘案して、疑似
信号指定装置50より該当制御棒2の位置検出器14a〜14
nの信号の開、または閉の疑似信号を、疑似信号データ
51としてオーバライド信号発生器42に出力する。
【0057】このオーバライド信号発生器42では、疑似
信号データ51が健全性評価指定装置41における異常判定
出力信号とマッチしているか否かをチェックし、制御棒
位置検出器14a〜14nの本来の機能を阻止するものが1
個しかないことを確認して第2のオーバライド信号49
位置信号入出力制御装置18に出力する。これにより位
置信号入出力制御装置18は該当する制御棒2の位置信号
を開、または閉させる。
【0058】位置信号入出力制御装置18においては制御
棒位置信号が疑似信号に切替ると、通常の制御棒位置信
号19a,19bとしてシリアル信号変換器20a,20bに出
力し、従って、制御棒位置指示系は正常に動作するの
で、制御棒位置表示用マイクロプロセッサ22a,22bよ
り、制御棒手動操作用マイクロプロセッサ8a,8bへ
の制御棒位置指示系不良による制御棒手動操作禁止のイ
ンターロックが解除されることから、制御棒2の手動操
作が可能となる。
【0059】次に図4の制御棒位置検出器診断説明図に
より、位置検出器診断装置35における作用の詳細につい
て説明する。制御棒2を駆動する制御棒駆動機構12に
は、前記制御棒2に固定してある永久磁石13と対峙し
て、通常53個の制御棒位置検出器14a〜14nが取付けて
あり、この内で3個の制御棒位置検出器14a〜14cの位
置を制御棒位置検出器と同じ符号で制御棒駆動機構12と
共に示す。
【0060】また、この制御棒位置検出器14a〜14cが
作動した時の位置信号44の波形は、夫々信号波形54a〜
54cのように立上りと立下りが、レベル低下する台形波
形であることが正常であり、これに対応した健全性評価
装置40における観測期間55、および評価期間56a〜56d
と、位置信号入出力制御装置18での入力期間57a,57
b、さらにオーバライド期間58を示す。
【0061】制御棒2の引抜き操作を例に、制御棒2の
位置(永久磁石13)が制御棒位置検出器14bより制御棒
位置検出器14cに移動する場合について説明する。制御
棒位置検出器14a〜14cが動作した時の位置信号44は、
正常の状態では図4に示す信号波形54a〜54cのよう
に、立上りと立下りがレベル低下する台形波形となり、
制御棒位置が14bの位置より引抜側に移動すると、位置
信号波形54bは消滅する。
【0062】シリアル信号変換器20a,20bからは、制
御棒位置が変化したことを検出し、変化した制御棒2の
番号と位置信号を制御棒位置指定信号52a,52bとして
健全性評価指定装置41に出力され、これにより制御棒位
置検出器14bと1ノッチ挿入側位置14a、および1ノッ
チ引抜側位置14cの3位置信号の切替装置36を開にして
切替装置37を閉にする。ここで健全性評価装置40におけ
る観測期間は観測期間55のようになる。
【0063】位置信号44の信号波形54bが正常に閉じて
チャタリングもなく、また接触抵抗値も無限大であれ
ば、健全性評価装置40は診断結果が正常である。という
判定情報を健全性評価指定装置41に出力して制御棒位置
指示系の進展を待つ。制御棒2が引抜かれて永久磁石13
が位置14cにくると、信号波形54cが立上り、波形観測
装置38と抵抗測定装置39が測定を行い、波形が落ちつい
た時点で基準値の波形、および抵抗値や過去のデータ等
と比較して、正常であれば正常である判定情報を健全性
評価指定装置41に出力して、切替装置37を開き、切替装
置36を閉じて波形14cの位置信号45を位置信号入出力制
御装置18のコネクタ17に伝える。
【0064】図4の健全性評価装置40の評価期間56dと
位置信号入出力制御装置18の入力期間57dは、この状態
を示す。ここで、健全性評価装置40の評価期間56dが終
わると、3つの制御棒位置検出器14a〜14cの健全性評
価装置40の観測期間55は終了する。
【0065】なお、制御棒2を挿入操作する場合では、
逆に健全性評価装置40の評価期間56aが正常判定である
と、波形14aの位置信号45が位置信号入出力制御装置18
に入力される。図4の位置信号入出力制御装置18の入力
期間57aはこの状態を示す。万一、健全性評価装置40の
評価期間56dで、位置信号波形54cの立上り波形、抵抗
値、チャタリング等が異常になると、この健全性評価装
置40が異常の状況を健全性評価指定装置41に出力する。
【0066】健全性評価指定装置41では、異常の制御棒
2の番号と位置番号の情報、および異常の状況の情報を
オーバライド信号発生器42に入力し、警報表示を行うと
共に、運転員による疑似信号指定装置50からの疑似信号
データ51を入力することにより、第2のオーバライド信
号49を1個、位置信号入出力制御装置18に出力する。
【0067】位置信号入出力制御装置18では第2のオー
バライド信号49により、制御棒位置検出器14cの回路
を切離し、位置検出器14cが閉じる疑似信号に切替え
て、制御棒位置信号19a,19bとして、シリアル信号変
換器20a,20bに出力する。なお、前記第2のオーバラ
イド信号49は、疑似信号指定装置50を運転員が指定解
除することにより消滅する。
【0068】以上、本実施例による効果としては、第1
に定期検査期間中の制御駆動装置3の分解点検を同時に
実施することができ、この期間でも制御棒手動操作系を
正常に動作させることができる。第2には制御棒駆動装
置3の分解点検作業と制御棒駆動機構12の分解点検や燃
料移動の作業が併行実施できるので、定期検査期間が短
縮できると共に、定期検査工程のクリチカルパスがなく
なるので、工程の設定に柔軟性が増す。
【0069】第3としてプラント運転中において制御棒
位置指示系に不具合が発生しても、原子炉格納容器内の
制御棒位置検出器14a〜14nの不具合か、監視装置の不
具合かが迅速に判明するので、不具合原因究明のための
労力が低減されて保全性と運転信頼性が向上する。
【0070】第4に多数配置されている制御棒位置検出
器14a〜14nの内の1個が不具合であっても、プラント
を停止することなく、疑似信号を発生させることでプラ
ントの運転継続が可能なことから稼働率の向上に寄与す
る。第5には制御棒位置検出器14a〜14nの動作データ
が蓄積され、長期的な機能変化傾向の管理ができること
から、この長期診断によるプラント運転の計画的運営が
可能になる。
【0071】次に本発明の応用例について説明する。す
なわち上記した一実施例によれば、原子炉の制御棒監視
制御システムにおける制御棒手動操作用制御信号出力装
置10a,10bの診断モニタ31a,31b本来の機能を阻止
したり、制御棒位置検出器14a〜14nをオンラインで診
断し、位置信号入出力制御装置18での異常信号入力によ
る本来の機能を阻止して、原子力発電プラントの稼働率
向上に寄与できることを説明したが、本発明は上記した
要旨を変えずに、次の応用例についても容易に実施され
るものである。
【0072】第1の応用例としては、制御棒駆動装置3
の分解点検作業に伴ない方向選択制御弁4の制御ケーブ
ルを取り外すと、方向選択制御弁4への方向選択制御弁
制御信号11a,11bが停止するが、前記方向選択制御弁
4の回路を別途設けた方向選択制御弁のシュミレータに
接続する。また制御棒位置検出器14a〜14nについても
同様に、位置信号入出力制御装置18との間に別途シュミ
レータを設けて、異常が発生した位置信号のみ当該シュ
ミレータより疑似信号を発生させる構成としても良い。
但し、この場合には制御棒2の本数と位置信号分のシュ
ミレータが別途必要となる。
【0073】第2の応用例は、図5のブロック構成図に
示すように、制御棒2に設けた永久磁石13、および制御
棒駆動機構12に配設した制御棒位置検出器14a〜14nに
対して、もう一組の永久磁石13bと制御棒位置検出器59
a〜59nを追加すると共に、原子炉格納容器の外部に
置信号入出力制御装置18bを設置し、制御棒位置検出器
59a〜59nの信号をコネクタ60および位置信号ケーブル
61を介して接続して、前記位置信号入出力制御装置18と
共に計装系統を二重化して冗長監視を行う。これにより
信頼性が大幅に向上する。
【0074】しかし、この場合には制御棒位置検出器14
a〜14n,59a〜59nの数が多くなり、原子炉格納容器
内のケーブル本数が多くなるので、定期検査時における
点検作業量が増加するという支障が生じる。
【0075】第3の応用例は、制御棒2の位置検出器診
断装置35をオンラインでなく、制御棒位置指示系の不具
合発生時のみオフラインで接続し、制御棒位置検出器14
a〜14nの不具合か、制御棒位置指示系かの不具合かを
判別する装置として使用する。この応用例では、過去の
データとの比較は行うことができず、制御棒位置指示系
の不具合の原因究明に時間と労力を必要とするが、装置
が簡易化され設備費を軽減できる特長がある。
【0076】第4の応用例としては、上記一実施例にお
いては、原子炉1の安全運転管理上の見地から制御棒位
置検出器14a〜14nのオーバライド信号すなわち本来の
機能を阻止する信号はプラントに1個発生させる方式と
したが、別途原子炉の出力状態を確実にシュミレートす
ることができるシュミレータと組み合わせることによ
り、複数個の前述したオーバライド信号を発生させて、
適時、必要とする模擬データを入力することにより、原
子炉を停止させることなくプラント運転の長期化が可能
となる。
【0077】第5の応用例としては、原子炉の制御棒監
視制御システムに、ソフトアイソレーション付きディジ
タル制御装置を適用する。これにより個々の出力信号お
よび入力信号をソフトジャンパー、リフト指定すること
運用が簡素化できる。
【0078】第6の応用例として、制御棒位置検出器14
a〜14nのオーバライド信号を位置信号入出力制御装置
18で入力せず、制御棒位置表示用マイクロプロセッサ22
a,22bで直接入力して、不良の制御棒位置検出器を接
続したままで、オーバライド信号によるソフト演算処理
でマスキングにより無視し、これにより本来の機能を阻
止した制御棒位置信号を表示することも基本的な応用例
である。
【0079】第7の応用例としては、制御棒位置検出器
14a〜14nの位置検出器診断装置35は、3つの位置検出
器の位置信号を対象とせず、制御棒2の操作方向を事前
に設定することで制御棒手動操作系と組み合わせて、移
動開始前と目標位置の2つの制御棒位置検出器14a〜14
nの位置信号を診断対象としても良く、これにより装置
が簡略化できる。
【0080】第8の応用例は、異常が発生した制御棒位
置検出器を連続して診断を行ない、この観測結果のデー
タを記憶しておくことにより、異常原因の究明に際して
検討データとして使用する。
【0081】
【発明の効果】以上本発明によれば、第1の効果とし
て、定期検査期間における制御棒駆動装置の分解点検作
業中でも他の制御棒手動操作が可能なことから、制御棒
駆動機構や燃料移動作業について併行作業が可能とな
り、定期検査期間が短縮できる。
【0082】第2の効果は、プラント運転中の制御棒位
置検出器の不具合をオンラインで検出して、疑似位置信
号を発生させることから、その都度原子炉の停止を行う
必要がない。すなわち、制御棒位置指示系の信頼性が向
上し、上記第1の効果と併せてプラント稼働率の向上が
できる。
【0083】第3の効果としては、プラント運転中の制
御棒位置検出器のデータを蓄積し、長期変化傾向が得ら
れるので、不具合徴候の検知により事前に、異常の制御
棒位置検出器の制御棒を移動させない、出力パターンに
変更する等の運用計画が容易に行えて、プラントの稼働
率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の制御棒監視制御システ
ムのブロック構成図。
【図2】本発明に係る一実施例の制御棒手動操作用制御
信号出力装置の診断モニタのブロック構成図。
【図3】本発明に係る一実施例の位置検出器診断装置の
ブロック構成図。
【図4】本発明に係る一実施例の制御棒位置検出器の診
断説明図。
【図5】本発明に係る第2の応用例を示すブロック構成
図。
【図6】従来の制御棒監視制御システムのブロック構成
図。
【図7】制御棒位置検出器の回路図。
【符号の説明】
1…原子炉、2…制御棒、3…制御棒駆動装置、4…方
向選択制御弁、5…駆動水配管、6…制御棒操作ユニッ
ト、7a,7b,9a,9b,21a,21b,23a,23
b,24a,24b,27a,27b…光ケーブル、8a,8b
…制御棒手動操作用マイクロプロセッサ、10a,10b…
制御棒手動操作用制御信号出力装置、11a,11b…方向
選択制御弁制御信号、12…制御棒駆動機構、13,13b…
永久磁石、14a〜14n,59a〜59n…制御棒位置検出
器、15,17,43,60…コネクタ、16,61…位置信号ケー
ブル、18,18b…位置信号入出力制御装置、19a,19b
…制御棒位置信号、20a,20b…シリアル信号変換器、
22a,22b…制御棒位置表示用マイクロプロセッサ、25
…制御棒位置信号表示板、26…診断オーバライド指定装
置、28a,28b…方向選択制御弁制御信号発生器、29
a,29b…出力接点、30a,30b…抵抗器、31a,31b
…診断モニタ、32a,32b…制御棒駆動装置正常信号発
生器、33a,33b…診断モニタオーバライド信号発生
器、34a,34b…正常信号、35…位置検出器診断装置、
36,37…切替装置、38…波形観測装置、39…抵抗測定装
置、40…健全性評価装置、41…健全性評価指定装置、42
…オーバライド信号発生器、44,45,46…位置信号、47
…制御棒位置検出器データ記憶装置、48…制御棒位置検
出器評価データ、49…第2のオーバライド信号、50…疑
似信号指定装置、51…疑似信号データ、52a,52b…制
御棒位置指定信号、53…制御棒位置評価指定信号、54a
〜54c…位置信号波形、55…健全性評価装置の観測期
間、56a〜56d…健全性評価装置の評価期間、57a,57
b…位置信号入出力制御装置の入力期間、58…位置信号
入出力制御装置のオーバライド期間

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉の制御棒を引抜あるいは挿入する制
    御棒駆動装置と、 前記制御棒の位置を検出する制御棒位置検出器と、 前記制御棒の位置を示す表示手段および前記制御棒の位
    置を制御するスイッチング手段を有する制御棒操作ユニ
    ットと、 前記制御棒操作ユニットからの信号を入力し健全性診断
    を行う制御棒手動操作用マイクロプロセッサと、 この制御棒手動操作用マイクロプロセッサに接続して設
    けられ第1のオーバライド信号を出力する診断オーバラ
    イド指定装置と、 予め前記制御棒位置検出器を評価して得られる制御棒動
    作評価データを記憶する制御棒位置検出器データ記憶装
    置と、 前記制御棒手動操作用マイクロプロセッサの健全性診断
    結果と前記制御棒駆動装置の状態を信号として入力し、
    前記制御棒位置検出器データ記憶装置からの制御棒動作
    評価データを参照して前記制御棒駆動装置の状態を診断
    し、前記制御棒駆動装置を作動させる制御信号を出力す
    るとともに、前記診断オーバライド指定装置が第1のオ
    ーバライド信号を出力しているときには前記制御棒駆動
    装置は常に正常と診断する制御棒操作用制御信号出力装
    置と、 前記制御棒位置検出器からの信号を入力して制御棒位置
    の健全性を診断し、健全な場合は前記制御棒位置検出器
    からの信号を制御棒位置信号として出力するとともに、
    健全でない場合は健全でないと診断された制御棒を指定
    して第2のオーバライド信号および指定された擬似位置
    信号を出力する位置検出器診断装置と、 この位置検出器診断装置からの第2のオーバライド信号
    および擬似位置信号の出力を管理する疑似信号指定装置
    と、 前記位置検出器診断装置からの信号を入力し、前記第2
    のオーバライド信号が出力されているときには、健全な
    制御棒に関する制御棒位置信号とともに、該健全でない
    と診断された制御棒に関する前記擬似位置信号を出力す
    る位置信号入出力制御装置と、 を設けたことを特徴とする原子炉の制御棒監視制御シス
    テム。
  2. 【請求項2】 制御棒操作用制御信号出力装置における
    第1のオーバライド信号に基づく制御棒駆動装置の診断
    は各制御棒毎になされるとともに、前記位置検出器診断
    装置における第2のオーバライド信号の出力に起因する
    診断は各制御棒位置検出器毎になされ、かつ、これらの
    第1または第2のオーバライド信号は運転員により出力
    および出力解除の操作が可能であることを特徴とする請
    求項1記載の原子炉の制御棒監視制御システム。
  3. 【請求項3】 制御棒位置検出器からの位置信号が変化
    した場合に、変化前の位置と1ノッチ挿入側位置、およ
    び1ノッチ引抜側位置の3つの制御棒位置検出器の位置
    信号を位置検出器診断装置に入力し、その診断結果が健
    全判定であれば前記3つの制御棒位置検出器の位置信号
    を位置信号入出力制御装置に入力して制御棒位置検出器
    の位置信号をオンラインで診断することを特徴とする請
    求項1記載の原子炉の制御棒監視制御システム。
  4. 【請求項4】 位置検出器診断装置が、制御棒位置検出
    器からの位置信号について波形観測および回路抵抗値を
    基準値や過去より蓄積したデータと比較して、波形およ
    び回路抵抗の健全性を評価し、健全でない場合は健全で
    ないと診断された制御棒を特定しその位置および異常状
    況を報知すると共に、運転員の管理による疑似信号指定
    装置からの入力により位置検出器診断装置に第2のオー
    バライド信号が入力されることを特徴とする請求項1記
    載の原子炉の制御棒監視制御システム。
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