JP3257388B2 - 高圧縮多層同心撚線製造用ロータリースエージ加工装置のダイス構造 - Google Patents

高圧縮多層同心撚線製造用ロータリースエージ加工装置のダイス構造

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JP3257388B2
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    • D07B7/00Details of, or auxiliary devices incorporated in, rope- or cable-making machines; Auxiliary apparatus associated with such machines
    • D07B7/02Machine details; Auxiliary devices
    • D07B7/027Postforming of ropes or strands
    • DTEXTILES; PAPER
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    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2207/00Rope or cable making machines
    • D07B2207/20Type of machine
    • D07B2207/204Double twist winding
    • D07B2207/205Double twist winding comprising flyer

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多数の素線を撚り
合わせた撚線の周面を打撃して、素線どうしの隙間を密
とし撚線を高圧縮化するロータリースエージングで用い
るロータリースエージ加工装置用のダイスの構造に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、電線に用いる導体は、可撓性を
確保するために多くの素線を撚り合わせた撚線で構成さ
れており、この撚線の可撓性は素線数が多いほど向上す
ることが広く知られている。そして、この種の撚線の中
でも特に、撚線の周面に高圧縮を加えて素線どうしの隙
間を密とし、撚線の断面に外接する円の面積に対して各
素線の断面積の合計が占める率を非常に高めた高圧縮多
層同心撚線は、端子との圧接接合に際して素線の抜けが
生じないようにすることを目的として使用される。
【0003】上述した高圧縮多層同心撚線の製造過程を
説明すると、まず、図5に斜視図で示すように、中心に
位置する断面円形の撚り素線51の外側を断面円形の6
本の素線52で被い、その外側を断面円形の12本の素
線53でさらに被って撚線を形成し、この撚線を同方向
同ピッチで撚って多層同心撚線50Aを形成する。さら
にその後、この多層同心撚線50Aの周面50aに高圧
縮を加えて、図6に断面図で示すように、占積率を略1
00%とすることで、高圧縮多層同心撚線が形成され
る。
【0004】このような高圧縮多層同心撚線50を製造
する従来の方法としては、本出願人が特願平6−409
01号において提案した高圧縮多層同心撚線の製造方法
及びその装置がある。
【0005】この高圧縮多層同心撚線の製造方法及びそ
の装置では、束ねた複数本の素線をバンチャーによって
二度撚りして同心撚線とし、この同心撚線の周面にロー
タリースエージ加工装置によって高圧縮を加えるという
ものである。具体的な構成を図7を用いて説明すると、
図示せぬ供給装置から送り出される中心用の撚り素線5
1と、その周囲に撚り合わせる複数の撚り素線52,5
3は、バンチャー101の撚り口ダイス122にまず集
合させられる。集合させられた撚り素線51,52,5
3は、第一のガイドロール123と撚り口ダイス122
の間で、フライヤー104の回転によりまず第一の撚り
が加えられて撚線50Bとなる。
【0006】その後、撚線50Bは回転軸102の通路
114を経て、第一のガイドロール123から、ガイド
105a,105b,・・・に導かれてフライヤー10
4に沿って進み、さらに、第二のガイドロール124、
及び、回転軸102′の通路114′を経て、バンチャ
ー101内の固定系115のガイド100へと進む。
尚、図7中引用符号104′は、回転軸102の回りに
回転可能でフライヤー104と共に駆動系116を構成
するダミーのフライヤーを示す。そして、撚線50Bに
は、ガイド100と駆動系116の第二のガイドロール
124との間で第二の撚りが加えられ、これにより、所
定の撚りピッチを有する多層同心撚線50Aとなる。
【0007】さらに、固定系115の内部において多層
同心撚線50Aは、第二のガイドロール124から巻取
装置126に巻取られるまでの間に通過するロータリー
スエージング加工装置90において、後述するような高
速、且つ、微細な圧縮加工をその周面50aから受け、
このロータリースエージング加工装置90を過ぎて巻取
装置126に巻取られる段階において、多層同心撚線5
0Aは、占積率で概ね100%にまで高圧縮がなされた
高圧縮多層同心撚線50となる。
【0008】次に、上述の特願平6−40901号に開
示された、従来のロータリースエージ加工装置90の具
体的な構成の一例を、図8、図9、図10を用いてさら
に説明を加える。図8に断面図で示すロータリースエー
ジ加工装置90は、第二のガイドロール124から巻取
装置126に向かう多層同心撚線50Aが通孔18から
内部に挿通されるケーシング19と、この通孔18に対
向するハウジング19箇所からケーシング19内に挿通
された中空シャフト20と、ケーシング19内で中空シ
ャフト20の先端と通孔18との間に配置された打撃装
置30を有している。
【0009】前記中空シャフト20は、ベアリングの軸
受21によりケーシング19に回転可能に支持されてお
り、図示せぬ駆動装置により回転駆動される。
【0010】打撃装置30は、図9に背面から見た収縮
状態の断面図で示すように、ケーシング19の内周壁に
固定される円筒状のインサイドリング22と、前記中空
シャフト20の先端に固定されて該中空シャフト20の
径方向に間隔を置いて配置され、中空シャフト20と共
に前記図示せぬ駆動装置により回転駆動されるスピンド
ル27と、このスピンドル27と前記インサイドリング
22の間に配設された円筒状の複数のハンマーローラー
23と、スピンドル27により中空シャフト20の径方
向に移動可能に支持された一対の拡縮部材24,24を
備えている。
【0011】前記各ハンマーローラー23は、インサイ
ドリング22の周方向に等しい間隔を置いてそれぞれ配
置されていて、不図示のインナケーシングにより相互の
間隔を変えずにそれぞれが回転できるように支持されて
いる。そして、図8に示すように、ハンマーローラー2
3の両周縁には、中空シャフト20先端のテーパ面20
aとの接触を避けるためのテーパ面23aが形成されて
おり、従って、各ハンマーローラー23の周面にはスピ
ンドル27が内接すると共に、インサイドリング22が
外接している。そして、ハンマーローラ23は、前記中
空シャフト20が前記駆動装置により回転駆動されるこ
とで、スピンドル27を介して受ける回転力により、前
記不図示のインナケーシングと一緒に全体で中空シャフ
ト20と同じ方向に公転すると共に、この公転によっ
て、各ハンマーローラ23が中空シャフト20とは反対
方向に自転するように構成されている。
【0012】前記スピンドル27は、図9に示すよう
に、中空シャフト20の中心を通る直線状の拡縮通路2
7aと、この拡縮通路27aを画成する左右の支持壁2
7b,27bからなり、各支持壁27bの外面27c
は、インサイドリング22の内径からハンマーローラー
23の2つ分の直径を差し引いた外径の円上に位置する
円弧面に形成され、各支持壁27bの内面27dが、互
いに対向して平行に延在するように構成されている。
【0013】前記一対の拡縮部材24,24は、前記拡
縮通路27aに配置され、中空シャフト20の中心を挟
み前記各支持壁27bの内面27dに沿って互いに離間
接近する図9中の矢印B方向に移動できるように、前記
スピンドル27によって支持されている。前記各拡縮部
材24は、中空シャフト20の中心側の拡縮通路27a
箇所に配置されるダイス25と、このダイス25に隣接
しダイス25よりも中空シャフト20の径方向外側の拡
縮通路27a箇所に配置されるバッカー26からなる。
【0014】前記各拡縮部材24のダイス25で他方の
拡縮部材24のダイス25に対向する内面25aには、
高圧縮多層同心撚線50の外径に対応する内径の円を半
割りした凹状の打撃面25bがそれぞれ形成されてい
る。また、前記各拡縮部材24のバッカー26で拡縮通
路27aの両端側に位置する外面26aは、拡縮通路2
7aの幅方向略中央の大径部26bと、その両側の小径
部26c,26cからなる。
【0015】前記一対の拡縮部材24,24は、中空シ
ャフト20によりスピンドル27が回転駆動されて、図
9に示すように、バッカー26の大径部26bがハンマ
ーローラー23の周面に当接する状態で、両ダイス2
5,25の内面25aどうしが僅かな間隔を置いて接近
することにより、2つの打撃面25b,25bが近付い
て、これら両打撃面25b,25bにより高圧縮多層同
心撚線50の外径に対応する内径の円が形成されるよう
に構成されている。また、一対の拡縮部材24,24
は、図10に背面から見た拡開状態の断面図で示すよう
に、バッカー26の大径部26bが2つのハンマーロー
ラ23,23の間に位置する状態で、スピンドル27の
回転駆動で作用する遠心力により互いに離間し、前記2
つのハンマーローラ23,23の周面に各バッカー26
の小径部26c,26cがそれぞれ当接して、両ダイス
25,25の内面25aどうしが、大径部26bと小径
部26cの径の差の寸法だけ離間するように構成されて
いる。
【0016】このように構成された従来のロータリース
エージ加工装置90では、第二のガイドロール124か
ら巻取装置126に向かう多層同心撚線50Aが、先に
述べたように、通孔18からケーシング19内に挿通さ
れた後、打撃装置30の両ダイス25,25の打撃面2
5b,25bの間と、中空シャフト20の内部とを通っ
てケーシング19の外側に引き出される。そして、前記
ロータリースエージ加工装置90は、中空シャフト20
の回転駆動により、打撃装置30において、バッカー2
6の大径部26bがハンマーローラー23の周面に当接
する状態と、2つのハンマーローラ23の間に位置する
状態とを繰り返し、これにより、両ダイス25,25が
繰り返して接近離間して、多層同心撚線50Aの周面を
各ダイス25の打撃面25bが打撃し、これにより、各
撚り素線51,52,53間の隙間を詰めて多層同心撚
線50Aの外径を縮め、高圧縮多層同心撚線50を形成
するように構成されている。
【0017】尚、打撃装置30の各ダイス25の打撃面
25bは、多層同心撚線50Aの径方向への直線的往復
移動により多層同心撚線50Aの周面50aに接近離間
することから、各打撃面25bにより打撃される多層同
心撚線50Aの周面50a箇所は、その周方向において
少しずつ位置が変わり、また、多層同心撚線50Aが巻
取装置126に向けて移動することから、打撃面25b
により打撃される多層同心撚線50Aの周面50a箇所
は、多層同心撚線50Aの延在方向においても少しずつ
位置が変わる。
【0018】このような従来のロータリースエージ加工
装置90では、ダイス25の往復移動速度と多層同心撚
線50Aの移動速度を速くすることで、多層同心撚線5
0Aに高圧縮をかける圧縮加工の速度を向上させること
ができる。但し、ダイス25と多層同心撚線50Aの移
動速度を増加させる場合には、それに応じて、多層同心
撚線50Aの周面50aに対するダイス25の打撃面2
5bが接触し始める時や離れ始める時に、多層同心撚線
50Aの周方向における或る周面50a箇所に連続して
接触する打撃面25bの周方向の寸法が大きくなる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ロータリー
スエージ加工装置というのは元来、棒状や管状で剛性の
高い被加工材を加工対象とした装置であり、ダイスを回
転させながら被加工材に接触させても被加工材の変形に
は至らず、従って、被加工材に対するダイスの接触の仕
方について、緩衝機構等の構造的な手当ては特になされ
ていない。このため、従来のロータリースエージ加工装
置90において、ダイス25と多層同心撚線50Aの移
動速度の増加により、多層同心撚線50Aの或る周面5
0a箇所に連続して接触する打撃面25bの周方向の寸
法が大きくなると、その周面50a箇所を構成する素線
53と、この素線53に摺接するダイス25の打撃面2
5bとの間に発生する摩擦の度合いが大きくなって、素
線53に加わる捩り力が大きくなる。
【0020】ところが、素線53、ひいては、多層同心
撚線50Aは、元来のロータリースエージ加工装置の加
工対象である、棒状や管状で剛性の高い被加工材とは違
い、それ程剛性がなく、むしろ可撓性が要求される被加
工物であるため、上述したように捩り力の加わり具合が
大きくなると、素線53が破断したり、素線53にささ
くれ状のバリ等が発生するという、高圧縮多層同心撚線
50としての機能を損なうような、電線用導体にとって
致命的な損傷が起きてしまうことがあるという不具合が
あった。
【0021】尚、例えば、特公昭56−20940号に
は、被加工材を引き出し装置と挿入装置でチャッキング
しながら約70゜の回転角度で揺動することによって、
被加工材の捻りを防止するスエージ加工法が開示されて
いるが、図7のバンチャー101を用いて多層同心撚線
50Aを製造する場合には、引き出し装置や挿入装置と
いう複雑な動きの装置をバンチャー101の固定系11
5内に収容しなければならなくなり、その結果、バンチ
ャー101の大型化やフライヤー104の回転数の制限
等を招いてしまうので、実用的でなく、実質上利用でき
ない。
【0022】また、被加工材が多層同心撚線50Aのよ
うな長尺の連続体である場合には、上述した捩れの問題
があることから、多層同心撚線50A自身を揺動させる
ことができず、従って、その代わりにロータリースエー
ジ加工装置90を揺動させなければならなくなり、上述
した引き出し装置や挿入装置を固定系115内に収容す
るのと同様に、実質上利用できない。
【0023】そして、上述した引き出し装置や挿入装置
をバンチャー101内に収容する際の問題が全て解決で
きたとしても、ロータリースエージ加工装置90のダイ
ス25から多層同心撚線50Aに加わる捻り力がなくな
る訳ではないので、結局は、特公昭56−20940号
の技術を利用したとしても、ダイス25の往復移動速度
と多層同心撚線50Aの移動速度を速くして、多層同心
撚線50Aに高圧縮をかけたり、スエージング加工速度
を向上させることはできなかった。
【0024】本発明は前記事情に鑑みなされたもので、
本発明の目的は、多層同心撚線の周面を、該多層同心撚
線の周方向に回転しつつ多層同心撚線の径方向に往復移
動するダイスにより間欠的に打撃して、多層同心撚線を
縮径させ高圧縮多層同心撚線とする際の、ダイスの接触
に伴う多層同心撚線の損傷の発生を、多層同心撚線の周
方向や径方向へのダイスの移動速度の緩急に関係なく防
止することができる高圧縮多層同心撚線製造用ロータリ
ースエージ加工装置のダイス構造を提供することにあ
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項1記載の本発明は、多層同心撚線の周面に臨ませ
てダイスを配置し、該ダイスを前記多層同心撚線の周方
向に回転させつつ前記周面に接近離間させて、前記ダイ
スで前記周面に臨むダイス面部分により該周面を間欠的
に打撃し前記多層同心撚線を縮径させ高圧縮多層同心撚
線とするロータリースエージ加工装置において、前記ダ
イス面部分の一部を前記周面に接触可能な打撃面に形成
し、前記ダイスの回転方向における上流側において前記
打撃面に隣接する前記ダイス面部分を、前記打撃面によ
る前記周面の打撃時に該周面から前記径方向に離間する
退避面に形成したことを特徴とする。
【0026】また、請求項2記載の本発明は、前記ダイ
スが、前記多層同心撚線の周方向に分割された複数のダ
イス要素からなり、前記各ダイス要素で前記周面に臨む
ダイス要素面部分に前記打撃面がそれぞれ形成されると
共に、該打撃面よりも前記ダイスの回転方向における下
流側の前記各ダイス要素面部分に前記退避面がそれぞれ
形成され、前記各ダイス要素の前記周面への接近状態に
おいて、該各ダイス要素の前記打撃面に、該ダイス要素
よりも前記ダイスの回転方向における上流側の隣りに位
置するダイス要素の前記退避面が隣接するものとした。
【0027】さらに、請求項3記載の本発明は、前記ダ
イス要素で前記打撃面と前記退避面の間の前記ダイス要
素面部分が、前記各ダイス要素の前記周面への接近状態
において、前記ダイスの回転方向Aにおける上流側から
下流側に至るにつれて、前記多層同心撚線の中心からの
間隔が次第に増して前記周面から次第に離れる間隔変化
面に形成されているものとした。
【0028】また、請求項4記載の本発明は、前記各ダ
イス要素が、前記周面への接近状態において、前記各ダ
イス要素の打撃面が、該ダイス要素よりも前記ダイスの
回転方向における上流側の隣りに位置するダイス要素の
前記退避面に隣接するように構成され、該各ダイス要素
の打撃面で、前記上流側の隣りに位置するダイス要素寄
りの打撃面箇所に、前記ダイスの回転方向における下流
側から上流側に至るにつれて前記周面から離れる逃げ面
を形成するものとした。
【0029】請求項1記載の本発明によれば、多層同心
撚線の周面を打撃面が打撃している間、この打撃面に隣
接するダイスの回転方向における上流側の退避面が、多
層同心撚線の周面から多層同心撚線の径方向に離間する
ことから、打撃面が多層同心撚線の周面に接触したまま
の状態でダイスが回転した場合、次の時点では、打撃面
が接触していた多層同心撚線の周面箇所に退避面が多層
同心撚線の径方向に離間して臨むこととなる。従って、
ダイスの回転に伴って多層同心撚線の同一周面箇所に、
この多層同心撚線の周面に臨むダイス面部分が連続的に
接触することがなくなり、これにより、多層同心撚線の
周方向や径方向へのダイスの移動速度が増したとして
も、ダイス面部分の摺接に伴う摩擦で多層同心撚線の周
面が、破断やバリ等の損傷を受けるのを防止することが
可能となり、ダイスを用いたロータリースエージ加工の
速度を向上させることが可能となる。
【0030】また、請求項2記載の本発明によれば、多
層同心撚線の周方向に分割された複数のダイス要素が多
層同心撚線の周面に接近した状態において、多層同心撚
線の周面に臨む各ダイス要素面部分にそれぞれ形成され
た打撃面に、ダイスの回転方向における上流側の隣りに
位置するダイス要素のダイス要素面部分で打撃面よりも
下流側の退避面が隣接することとなる。従って、多層同
心撚線の周面に複数のダイス要素を同時に接近離間させ
て、多層同心撚線の周方向に間隔を置いた複数の周面箇
所を各ダイス要素の打撃面で打撃する場合であっても、
各ダイス要素の打撃面の摺接に伴う摩擦で多層同心撚線
の各周面箇所が、破断やバリ等の損傷を受けるのを防止
することが可能となる。
【0031】さらに、請求項3記載の本発明によれば、
各ダイス要素の打撃面と、この打撃面でダイスの回転方
向における下流側の間隔変化面との境界の段差部分が、
略直角よりも鈍角となることから、各ダイス要素の退避
面が臨む多層同心撚線の各周面箇所に、ダイスの回転に
伴って、そのダイス要素の退避面よりもダイスの回転方
向における上流側の打撃面が摺接する場合、この打撃面
よりも先に、打撃面と間隔変化面の鈍角の段差部分が摺
接することとなる。従って、退避面と打撃面を直に隣接
させて略直角の段差を形成するのに比べて、多層同心撚
線の周面が損傷を受けるのを確実に防止することが可能
となる。
【0032】また、請求項4記載の本発明によれば、各
ダイス要素の打撃面で、ダイスの回転方向における上流
側寄りの打撃面部分に、面取りされたアール状の逃げ面
が位置し、その逃げ面が、各ダイス要素の上流側の隣り
に位置するダイス要素の退避面に隣接することから、各
ダイス要素の打撃面が接触する多層同心撚線の各周面箇
所に、ダイスの回転に伴って、そのダイス要素の上流側
の隣りに位置するダイス要素の退避面が臨む際、打撃面
に続いて、この打撃面に隣接する逃げ面が摺接すること
となり、打撃面と、隣りのダイス要素の退避面との段差
が略直角となるよう形成するのに比べて、多層同心撚線
の周面が損傷を受けるのを確実に防止することが可能と
なる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態による高
圧縮多層同心撚線製造用ロータリースエージ加工装置の
ダイス構造を図面に基づいて説明する。
【0034】まず、図1及び図2を参照して本発明の第
1実施形態に係るダイス構造を説明する。図1は図8に
示すロータリースエージ装置にて使用可能な本発明の第
1実施形態に係るダイス構造を示す拡大平面図で、図1
中引用符号1で示す本実施形態のダイスは、従来のダイ
ス25に対応しこれに代えて使用される2つのダイス要
素2,2からなる。
【0035】前記各ダイス要素2は、図9に示す従来の
ダイス25のように、スピンドル27の拡縮通路27a
で一対のバッカー26よりも中空シャフト20の径方向
内側の拡縮通路27a箇所にそれぞれ配置され、この状
態で、各ダイス要素2aの他方のダイス要素2に対向す
る内面2aには、図1に示すように、高圧縮多層同心撚
線50の外径よりも大きい内径の円を半割りした凹状の
ダイス面2b(多層同心撚線の周面に臨むダイス面部分
に相当)がそれぞれ形成されている。尚、図1中の矢印
Aは、中空シャフト20及びスピンドル27と共に回転
するダイス1の回転方向、Bはダイス1の回転に伴い拡
縮通路27aの各支持壁27bの内面27dに沿って各
ダイス要素2が互いに離間接近する際の移動方向をそれ
ぞれ示す。
【0036】前記各ダイス面2bは、ダイス面2bの曲
率中心箇所Cを内面2aの幅方向中間箇所Dから若干ず
らしており、これにより、ダイス1の回転方向Aにおけ
る上流側の打撃面部2c(打撃面に相当)から途中の間
隔変化面部2d(間隔変化面に相当)を介して下流側の
退避面部2e(退避面に相当)に至るにつれて、内面2
aの幅方向中間箇所Dから次第に離れるように形成され
ている。
【0037】前記一対のダイス要素2,2は、図9に示
すように、バッカー26の大径部26bがハンマーロー
ラー23の周面に当接する状態において、図1に示すよ
うに、両ダイス要素2,2の内面2aどうしが僅かな間
隔を置いて接近することにより、2つのダイス面2b,
2bが、内面2aに沿って若干位置をずらして近付い
て、このダイス面2b,2bの内部に挿通された多層同
心撚線50Aの周面50aに、各ダイス面2bの打撃面
部2cが接触するように構成されている。そして、前記
間隔変化面部2dは、上述したように、内面2aの幅方
向中間箇所Dから次第に離れるように形成されているこ
とから、バッカー26の大径部26bがハンマーローラ
ー23の周面に当接する状態において、間隔変化面部2
dは、ダイス1の回転方向Aにおける上流側から下流側
に至るにつれて、多層同心撚線50Aの中心Pからの間
隔が次第に増すこととなり、従って、前記状態で間隔変
化面部2d及び退避面部2eは、前記周面50aから離
間する。
【0038】また、一対のダイス要素2,2は、図10
に示すように、バッカー26の大径部26bが2つのハ
ンマーローラ23,23の間に位置する状態において、
スピンドル27の回転駆動で作用する遠心力により互い
に離間し、前記2つのハンマーローラ23,23の周面
に各バッカー26の小径部26c,26cがそれぞれ当
接し、図2に示すように、両ダイス要素2,2の内面2
aどうしが、大径部26bと小径部26cの径の差の寸
法だけ離間して、2つのダイス面2b,2bが周面50
aから離間するように構成されている。
【0039】さらに、前記各ダイス要素2のダイス面2
bには、図1に示すように、打撃面部2cと内面2aと
の境界部分を面取りした逃げ面2fと、退避面部2eと
内面2aとの境界部分を面取りした逃げ面2gがそれぞ
れ設けられている。このうち、前記逃げ面2fは、ダイ
ス1の回転方向Aにおける下流側から上流側に至るにつ
れて、ダイス面2bの曲率中心箇所Cから離れるように
アール状に形成され、前記逃げ面2gは、ダイス1の回
転方向Aにおける上流側から下流側に至るにつれて、ダ
イス面2bの曲率中心箇所Cから離れるようにアール状
に形成されている。
【0040】次に、上述した構成による本実施形態のダ
イス要素2,2を、従来のダイス25に代えて、図8に
示すロータリースエージ装置にて使用した場合の、ダイ
ス要素2,2の動作(作用)について説明する。
【0041】まず、図9に示すスピンドル27の回転位
置において、両ダイス要素2,2の内面2a,2aどう
しが当接すると、図1に示すように、各ダイス要素2の
打撃面部2cが多層同心撚線50Aの周面50aでその
周方向に180°位相をずらした周面部分Xに接触して
打撃し、これにより、この打撃された周面部分Xにおい
て多層同心撚線50Aに高圧縮が加えられる。この状態
では、各ダイス要素2の間隔変化面部2d及び退避面部
2eは多層同心撚線50Aの周面50aから離間してお
り、従って、各ダイス要素2の打撃面部2cにより打撃
される前記周面部分Xを除く他の周面部分Yにダイス要
素2は接触しない。続いて、図9に示す位置から図10
に示す位置にスピンドル27が回転すると、その間に、
各ダイス要素2が各バッカー26と共に遠心力により互
いに離間すると共に、多層同心撚線50Aが巻取装置1
26に所定長さ巻取られる。
【0042】そして、上述した図9に示す位置から図1
0に示す位置へのスピンドル27の回転に伴い、図9に
示すスピンドル27の回転位置において各ダイス要素2
の打撃面部2cが接触していた図1中の前記周面部分X
は、多層同心撚線50Aの周方向に限って見ると、各ダ
イス要素2の逃げ面2fを経て、この各ダイス要素2に
隣接する前記回転方向Aの上流側のダイス要素2の逃げ
面2gに臨む位置へ相対移動し、さらに、図2に示すよ
うに、この隣接するダイス要素2の退避面部2eに臨む
位置へと相対移動する。この場合、前記逃げ面2fが、
ダイス1の回転方向Aにおける下流側から上流側に至る
につれて、ダイス面2bの曲率中心箇所Cから離れるよ
うにアール状に形成されていることから、スピンドル2
7の回転に伴って前記周面部分Xからダイス面2bが次
第に離間することとなる。
【0043】また、上述した図9に示す位置から図10
に示す位置へのスピンドル27の回転に伴い、図9に示
すスピンドル27の回転位置において各ダイス要素2の
退避面部2eが接触していた、図1中の周面部分Yのう
ちの周面箇所Zは、各ダイス要素2の間隔変化面部2d
を経て、図2に示すように、打撃面部2cに臨む位置へ
と相対移動する。この場合、前記各ダイス要素2のダイ
ス面2bが、打撃面部2cから間隔変化面部2dを経て
退避面部2eに向かうにつれて、内面2aの幅方向中間
箇所Dから次第に離れるように形成されており、換言す
ると、ダイス面2bが、退避面部2eから間隔変化面部
2dを経て打撃面部2cに向かうにつれて、内面2aの
幅方向中間箇所Dに次第に近づくように形成されている
ことから、スピンドル27のさらなる回転に伴って、ダ
イス面2bが前記周面箇所Zよりも前記回転方向Aにお
ける下流側の周面部分Y箇所に次第に近づき、最後に打
撃面部2cがこの周面部分Y箇所に接触することとな
る。
【0044】このように本実施形態によれば、ダイス1
を構成し互いに同期して接近離間する方向に移動する一
対のダイス要素2,2の、互いに対向する内面2aに形
成された、多層同心撚線50Aの周面50aに高圧縮を
加えるためのダイス面2bを、高圧縮多層同心撚線50
の外径よりも大きい内径の円を半割りした凹状として、
ダイス面2bの曲率中心箇所Cを内面2aの幅方向中間
箇所Dから若干ずらして配置し、これによりダイス面2
bを、ダイス1の回転方向Aにおける上流側の打撃面部
2cが多層同心撚線50Aの周面50aを打撃する状態
において、途中の間隔変化面部2dが、前記回転方向A
における上流側から下流側に至るにつれて、多層同心撚
線50Aの中心Pからの間隔が次第に増し、これによ
り、打撃面部2cから間隔変化面部2dを介して下流側
の退避面部2eに至るにつれて、内面2aの幅方向中間
箇所Dからの距離が次第に離れる構成とした。
【0045】そして、各ダイス要素2の打撃面部2c
に、他方のダイス要素2の退避面部2eを、ダイス1の
回転方向Aにおける上流側において隣接させ、各ダイス
要素2の打撃面部2cと内面2aとの境界のダイス面2
b部分に、ダイス1の回転方向Aにおける下流側から上
流側に至るにつれて、ダイス面2bの曲率中心箇所Cか
ら離れる逃げ面2fを形成すると共に、退避面部2eと
内面2aとの境界のダイス面2b部分に、前記回転方向
Aにおける上流側から下流側に至るにつれて前記曲率中
心箇所Cから離れる逃げ面2gを形成する構成とした。
【0046】このため、多層同心撚線50Aの周面50
aと各ダイス要素2のダイス面2bとの接離が、不図示
の駆動装置により中空シャフト20と共にスピンドル2
7が回転するのに伴って徐々に行われることとなり、従
って、ダイス面2bの全体を周面50aの打撃面とする
従来の構成に比べて、周面50aがスピンドル27の回
転中に各ダイス要素2のダイス面2bに摺接する度合い
が減る。よって、多層同心撚線50Aの周面50aを構
成する素線53とダイス要素2のダイス面2bとの間に
発生する摩擦の度合いを小さくして、素線53に大きな
捩り力が加わらないようにし、可撓性が要求される被加
工物である多層同心撚線50A、即ち、周面50aを構
成する素線53が破断したり、素線53にささくれ状の
バリ等が発生するという、高圧縮多層同心撚線50とし
ての機能を損なうような、電線用導体にとって致命的な
損傷が起きてしまうのを確実に防止することができる。
【0047】しかも、多層同心撚線50Aの周面50a
を構成する素線53の損傷が確実に防止できることか
ら、ロータリースエージ加工装置90による多層同心撚
線50Aの高速かつ大きなリダクションによる加工を可
能とし、高圧縮多層同心撚線50の生産性を向上させる
ことができる。
【0048】次に、図3を参照して本発明の第2実施形
態に係るダイス構造を説明する。図3中引用符号1Aで
示す第2実施形態のダイスは、第1実施形態のダイス1
と同様に、不図示の駆動装置により前記中空シャフト2
0と共にスピンドル27が回転するのに伴って回転方向
Aに回転する3つのダイス要素2A,2A,2Aからな
る。
【0049】そして、第2実施形態のダイス1Aは、前
記各ダイス要素2Aの内面2Aaを先端が120°で交
差する2面からなる山形に形成した点と、この内面2A
aに、内面2Aaの仮想頂点箇所Eから若干ずらした箇
所に曲率中心箇所Fを置いて、第1実施形態のダイス1
のダイス面2bと同径の円弧からなる凹状のダイス面2
Ab(多層同心撚線の周面に臨むダイス面部分に相当)
を形成した点が、第1実施形態のダイス1とは異なって
いる。また、第2実施形態のダイス1Aは、前記各ダイ
ス要素2Aのダイス面2Abを、ダイス1Aの回転方向
Aにおける上流側から順に逃げ面2f、打撃面部2c、
間隔変化面部2d、並びに、退避面部2e、並びに、逃
げ面2gで構成した点が、第1実施形態のダイス1と同
様に構成されている。尚、図3中の矢印G1〜G3は、
ダイス1Aの回転に伴い各ダイス要素2Aが互いに離間
接近する際の移動方向をそれぞれ示す。
【0050】このように構成された第2実施形態のダイ
ス1Aによれば、不図示の駆動装置により前記中空シャ
フト20と共にスピンドル27が回転するのに伴って、
3つのダイス要素2A,2A,2Aが、120°ずつ位
相をずらした移動方向G1〜G3に、互いに同期して放
射状にそれぞれ往復移動することにより、図3に示すよ
うに、各ダイス要素2Aの内面2Aaが隣接する両ダイ
ス要素2Aの内面2Aaにそれぞれ接触する状態と、図
示を省略するものの、各ダイス要素2Aの内面2Aaが
隣接する両ダイス要素2Aの内面2Aaからそれぞれ離
間する状態を繰り返す。
【0051】そして、各ダイス要素2Aの内面2Aaが
隣接する両ダイス要素2Aの内面2Aaにそれぞれ接触
する状態において、各ダイス要素2Aの打撃面部2cが
多層同心撚線50Aの120°ずつ位相をずらした周面
50a箇所にそれぞれ接触してこの周面50a箇所を打
撃し、各ダイス要素2Aの内面2Aaが隣接する両ダイ
ス要素2Aの内面2Aaからそれぞれ離間する状態にお
いて、各ダイス要素2Aの打撃面部2cが多層同心撚線
50Aの周面50aから離間する。このように構成され
た第2実施形態のダイス1Aによっても、第1実施形態
のダイス1と同様の効果を得ることができる。
【0052】次に、図4を参照して本発明の第3実施形
態に係るダイス構造を説明する。図4中引用符号1Bで
示す第3実施形態のダイスは、4つのダイス要素2B,
2B,2B,2Bからなる。
【0053】そして、第3実施形態のダイス1Bは、前
記各ダイス要素2Bの内面2Baを先端が90°で交差
する2面からなる山形に形成した点と、この内面2Ba
に、内面2Baの仮想頂点箇所Hから若干ずらした箇所
に曲率中心箇所Jを置いて、第1実施形態のダイス1の
ダイス面2bと同径の円弧からなる凹状のダイス面2B
b(多層同心撚線の周面に臨むダイス面部分に相当)を
形成した点が、第1実施形態のダイス1とは異なってい
る。また、第3実施形態のダイス1Bは、前記各ダイス
要素2Bのダイス面2Bbを、ダイス1Bの回転方向A
における上流側から順に逃げ面2f、打撃面部2c、間
隔変化面部2d、並びに、退避面部2e、並びに、逃げ
面2gで構成した点が、第1実施形態のダイス1と同様
に構成されている。尚、図4中の矢印K1〜K4は、ダ
イス1Bの回転に伴い各ダイス要素2Bが互いに離間接
近する際の移動方向をそれぞれ示す。
【0054】このように構成された第3実施形態のダイ
ス1Bによれば、不図示の駆動装置により前記中空シャ
フト20と共にスピンドル27が回転するのに伴って、
4つのダイス要素2B,2B,2B,2Bが、90°ず
つ位相をずらした移動方向K1〜K4に、互いに同期し
て放射状にそれぞれ往復移動することにより、図4に示
すように、各ダイス要素2Bの内面2Baが隣接する両
ダイス要素2Bの内面2Baにそれぞれ接触する状態
と、図示を省略するものの、各ダイス要素2Bの内面2
Baが隣接する両ダイス要素2Bの内面2Baからそれ
ぞれ離間する状態を繰り返す。
【0055】そして、各ダイス要素2Bの内面2Baが
隣接する両ダイス要素2Bの内面2Baにそれぞれ接触
する状態において、各ダイス要素2Bの打撃面部2cが
多層同心撚線50Aの90°ずつ位相をずらした周面5
0a箇所にそれぞれ接触してこの周面50a箇所を打撃
し、各ダイス要素2Bの内面2Baが隣接する両ダイス
要素2Bの内面2Baからそれぞれ離間する状態におい
て、各ダイス要素2Bの打撃面部2cが多層同心撚線5
0Aの周面50aから離間する。このように構成された
第3実施形態のダイス1Bによっても、第1実施形態の
ダイス1と同様の効果を得ることができる。
【0056】尚、上述した第2及び第3実施形態のダイ
ス1A,1Bを、従来のダイス25に代えて、図8に示
すロータリースエージ装置にて使用する際には、ダイス
1A,1Bを構成するダイス要素2A,2Bの個数と各
ダイス要素2A,2Bの移動方向G1〜G3,K1〜K
4に合わせて、打撃装置30のスピンドル27の拡縮通
路27aの形状を変えると共に、ダイス要素2A,2B
の個数に合わせてバッカー26の個数を変える必要があ
る。また、第2実施形態のダイス1Aを前記ロータリー
スエージ装置にて使用する際には、スピンドル27とイ
ンサイドリング22の間に配設するハンマーローラー2
3の個数及び配置間隔と、バッカー26の外面26aの
大径部26bとその両側の小径部26c,26cとの割
合等を適宜変える必要がある。
【0057】さらに、上述した各実施形態においては、
ダイス要素2,2A,2Bのダイス面2b,2Ab,2
Bbで、退避面部2eと内面2a,2Aa,2Baとの
境界部分にそれぞれ逃げ面2gを設ける構成としたが、
この逃げ面2gは省略してもよく、同様に、打撃面部2
cと内面2a,2Aa,2Baとの境界のダイス面2
b,2Ab,2Bb部分に設けた逃げ面2f、及び、打
撃面部2cと退避面部2eとの間のダイス面2b,2A
b,2Bb部分に設けた間隔変化面部2dのうち少なく
とも一方を省略してもよい。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載した
本発明によれば、多層同心撚線の周面に臨ませてダイス
を配置し、該ダイスを前記多層同心撚線の周方向に回転
させつつ前記周面に接近離間させて、前記ダイスで前記
周面に臨むダイス面部分により該周面を間欠的に打撃し
前記多層同心撚線を縮径させ高圧縮多層同心撚線とする
ロータリースエージ加工装置において、前記ダイス面部
分の一部を前記周面に接触可能な打撃面に形成し、前記
ダイスの回転方向における上流側において前記打撃面に
隣接する前記ダイス面部分を、前記打撃面による前記周
面の打撃時に該周面から前記径方向に離間する退避面に
形成する構成とした。
【0059】このため、打撃面が多層同心撚線の周面に
接触したままの状態でダイスが回転した場合、次の時点
では、打撃面が接触していた多層同心撚線の周面箇所に
退避面が多層同心撚線の径方向に離間して臨むこととな
り、従って、ダイスの回転に伴って多層同心撚線の同一
周面箇所に、この多層同心撚線の周面に臨むダイス面部
分が連続的に接触することがなくなる。これにより、多
層同心撚線の周方向や径方向へのダイスの移動速度が増
したとしても、ダイス面部分の摺接に伴う摩擦で多層同
心撚線の周面が、破断やバリ等の損傷を受けるのを防止
することができ、ダイスを用いたロータリースエージ加
工の速度を向上させることができる。
【0060】また、請求項2に記載した本発明によれ
ば、前記ダイスが、前記多層同心撚線の周方向に分割さ
れた複数のダイス要素からなり、前記各ダイス要素で前
記周面に臨むダイス要素面部分に前記打撃面がそれぞれ
形成されると共に、該打撃面よりも前記ダイスの回転方
向における下流側の前記各ダイス要素面部分に前記退避
面がそれぞれ形成され、前記各ダイス要素の前記周面へ
の接近状態において、該各ダイス要素の前記打撃面に、
該ダイス要素よりも前記ダイスの回転方向における上流
側の隣りに位置するダイス要素の前記退避面が隣接する
構成とした。
【0061】このため、多層同心撚線の周方向に分割さ
れた複数のダイス要素が多層同心撚線の周面に接近した
状態において、多層同心撚線の周面に臨む各ダイス要素
面部分にそれぞれ形成された打撃面に、ダイスの回転方
向における上流側の隣りに位置するダイス要素のダイス
要素面部分で打撃面よりも下流側の退避面が隣接するこ
ととなる。従って、多層同心撚線の周面に複数のダイス
要素を同時に接近離間させて、多層同心撚線の周方向に
間隔を置いた複数の周面箇所を各ダイス要素の打撃面で
打撃する場合であっても、各ダイス要素の打撃面の摺接
に伴う摩擦で多層同心撚線の各周面箇所が、破断やバリ
等の損傷を受けるのを防止することができる。
【0062】さらに、請求項3に記載した本発明によれ
ば、前記ダイス要素で前記打撃面と前記退避面の間の前
記ダイス要素面部分が、前記各ダイス要素の前記周面へ
の接近状態において、前記ダイスの回転方向Aにおける
上流側から下流側に至るにつれて、前記多層同心撚線の
中心からの間隔が次第に増して前記周面から次第に離れ
る間隔変化面に形成されている構成とした。
【0063】このため、各ダイス要素の打撃面と、この
打撃面でダイスの回転方向における下流側の間隔変化面
との境界の段差部分が、略直角よりも鈍角となり、各ダ
イス要素の退避面が臨む多層同心撚線の各周面箇所に、
ダイスの回転に伴って、そのダイス要素の退避面よりも
ダイスの回転方向における上流側の打撃面が摺接する場
合、この打撃面よりも先に、打撃面と間隔変化面の鈍角
の段差部分が摺接することとなる。従って、退避面と打
撃面を直に隣接させて略直角の段差を形成するのに比べ
て、多層同心撚線の周面が損傷を受けるのを確実に防止
することができる。
【0064】また、請求項4に記載した本発明によれ
ば、前記各ダイス要素が、前記周面への接近状態におい
て、前記各ダイス要素の打撃面が、該ダイス要素よりも
前記ダイスの回転方向における上流側の隣りに位置する
ダイス要素の前記退避面に隣接するように構成され、該
各ダイス要素の打撃面で、前記上流側の隣りに位置する
ダイス要素寄りの打撃面箇所に、前記ダイスの回転方向
における下流側から上流側に至るにつれて前記周面から
離れる逃げ面を形成する構成とした。
【0065】このため、各ダイス要素の打撃面が接触す
る多層同心撚線の各周面箇所に、ダイスの回転に伴っ
て、そのダイス要素の上流側の隣りに位置するダイス要
素の退避面が臨む際、打撃面に続いて、この打撃面に隣
接する逃げ面が摺接することとなり、打撃面と、隣りの
ダイス要素の退避面との段差が略直角となるよう形成す
るのに比べて、多層同心撚線の周面が損傷を受けるのを
確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来公知のロータリースエージ装置にて使用可
能な本発明の第1実施形態に係るダイス構造で多層同心
撚線の周面を打撃する状態を示す拡大平面図である。
【図2】図1のダイス構造で多層同心撚線の周面から離
間した退避状態を示す拡大平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るダイス構造で多層
同心撚線の周面を打撃する状態を示す拡大平面図であ
る。
【図4】本発明の第3実施形態に係るダイス構造で多層
同心撚線の周面を打撃する状態を示す拡大平面図であ
る。
【図5】高圧縮多層同心撚線の製造過程で形成される多
層同心撚線の構成の一例を示す斜視図である。
【図6】図5に示す多層同心撚線から形成される高圧縮
多層同心撚線の断面図である。
【図7】従来公知の高圧縮多層同心撚線の製造装置の構
成を示す説明図である。
【図8】従来のロータリースエージ加工装置の具体的な
構成を示す断面図である。
【図9】図8に示す打撃装置の背面から見た収縮状態の
断面図である。
【図10】図8に示す打撃装置の背面から見た拡開状態
の断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B ダイス 2,2A,2B ダイス要素 2b,2Ab,2Bb ダイス面(多層同心撚線の周面
に臨むダイス面部分) 2c 打撃面部(打撃面) 2d 間隔変化面部(間隔変化面) 2e 退避面部(退避面) 2f 逃げ面 50 高圧縮多層同心撚線 50A 多層同心撚線 50a 多層同心撚線周面 A ダイス回転方向 P 多層同心撚線中心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 康順 静岡県沼津市大岡2771 矢崎電線株式会 社内 (56)参考文献 特開 昭61−286033(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 13/02 B21H 3/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多層同心撚線の周面に臨ませてダイスを
    配置し、該ダイスを前記多層同心撚線の周方向に回転さ
    せつつ前記周面に接近離間させて、前記ダイスで前記周
    面に臨むダイス面部分により該周面を間欠的に打撃し前
    記多層同心撚線を縮径させ高圧縮多層同心撚線とするロ
    ータリースエージ加工装置において、 前記ダイス面部分の一部を前記周面に接触可能な打撃面
    に形成し、 前記ダイスの回転方向における上流側において前記打撃
    面に隣接する前記ダイス面部分を、前記打撃面による前
    記周面の打撃時に該周面から前記径方向に離間する退避
    面に形成した、 ことを特徴とする高圧縮多層同心撚線製造用ロータリー
    スエージ加工装置のダイス構造。
  2. 【請求項2】 前記ダイスは、前記多層同心撚線の周方
    向に分割された複数のダイス要素からなり、前記各ダイ
    ス要素で前記周面に臨むダイス要素面部分に前記打撃面
    がそれぞれ形成されると共に、該打撃面よりも前記ダイ
    スの回転方向における下流側の前記各ダイス要素面部分
    には前記退避面がそれぞれ形成され、前記各ダイス要素
    の前記周面への接近状態において、該各ダイス要素の前
    記打撃面に、該ダイス要素よりも前記ダイスの回転方向
    における上流側の隣りに位置するダイス要素の前記退避
    面が隣接する請求項1記載の高圧縮多層同心撚線製造用
    ロータリースエージ加工装置のダイス構造。
  3. 【請求項3】 前記ダイス要素で前記打撃面と前記退避
    面の間の前記ダイス要素面部分は、前記各ダイス要素の
    前記周面への接近状態において、前記ダイスの回転方向
    における上流側から下流側に至るにつれて、前記多層同
    心撚線の中心からの間隔が次第に増して前記周面から次
    第に離れる間隔変化面に形成されている請求項2記載の
    高圧縮多層同心撚線製造用ロータリースエージ加工装置
    のダイス構造。
  4. 【請求項4】 前記各ダイス要素は、前記周面への接近
    状態において、前記各ダイス要素の打撃面が、該ダイス
    要素よりも前記ダイスの回転方向における上流側の隣り
    に位置するダイス要素の前記退避面に隣接するように構
    成され、該各ダイス要素の打撃面で、前記上流側の隣り
    に位置するダイス要素寄りの打撃面箇所に、前記ダイス
    の回転方向における下流側から上流側に至るにつれて前
    記周面から離れる逃げ面を形成した請求項2又は3記載
    の高圧縮多層同心撚線製造用ロータリースエージ加工装
    置のダイス構造。
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