JP3257170B2 - 小型無線機器の性能評価用測定室 - Google Patents

小型無線機器の性能評価用測定室

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JP3257170B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小型無線機器の性能評
価用測定室に関し、特に、自動車や航空機等の移動体に
設置するか又は人が携帯する移動体通信用小型無線機器
の送信性能又は受信性能の測定、並びに小型無線機器か
ら発生する不要電波やノイズ等のレベルの評価及び外部
からの妨害電波による小型無線機器への影響の試験であ
るEMI及びEMSの測定に使用できる性能評価用測定
室に関する。
【0002】
【従来の技術】無線機の受信性能及び送信性能に関する
電波伝搬特性の測定、電子機器から発生するノイズの評
価測定、並びに外部からの妨害電波による電子機器への
影響に関する試験を行う環境としては、屋外の測定場が
ある。しかしながら、屋外は放送波等の影響を受けたり
天候にも左右されるため、測定に時間を要するばかりか
結果の再現性にも乏しい。そこで、室内空間でこの種の
測定及び試験環境を提供する電波暗室が従来より用いら
れている。
【0003】電波暗室は、その内壁面、好ましくは壁
面、天井面及び床面という全ての内壁面を電波吸収体で
覆ったものであり、気象条件、温湿度条件及び外来ノイ
ズ等の影響を除去できしかも安定かつ信頼度の高い環境
を提供可能であるため広く用いられている。電波暗室の
特性としては、電波的に全く障害がない自由空間を室内
で実現することが要求されており、室内の側壁面、天井
面及び床面から反射する不要な電磁波エネルギを少なく
すること及び優れた電界均一性を受信部で得ることが望
まれている。ここで、自由空間における電波伝搬特性と
は、電波発生源である送信アンテナをモデル的に点波源
とした場合に、放射された電波の電界が同心球状に広が
って伝搬していき、充分に遠方の限られた領域において
大きさ及び位相が面内でそろったいわゆる平面波が実現
されることにより電界均一性が確保されるごとき特性を
いう。ただし、充分に遠方では、伝搬距離が長くなるに
従ってその距離に反比例して電界強度が減衰する。
【0004】以上の点を考慮すると、無線機評価用の電
波暗室としては、一般に、評価対象の最低周波数の波長
の十〜数十倍以上の長さを有することが必要とされる。
例えば、最低周波数が300MHzであるとすると、少
なくとも15m以上の長さの自由空間が確保されるべき
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】移動体無線機器の性能
評価及び検査を行う測定場の環境としては矩形形状又は
テーパ形状の平面を有する電波暗室が最適であるが、こ
の種の電波暗室は非常に大型となり(例えば、縦20
m、横9m、高さ10m)、費用の点及び敷地確保の点
から多大なる困難を伴うこととなる。
【0006】また、各周波数における放射パターンを評
価する必要性から測定すべき無線機器を平面内で回転さ
せつつ測定を行うこと、及び一平面内の指向性のみなら
ず立体指向性をも測定するために測定すべき無線機器を
立体的に回転させつつ測定を行うことも多くの場合に要
求される。このように無線機器を立体的に回転させて評
価を行うと、膨大な時間を要してしまう。さらに、偏波
面の違いによる性能測定を行うため、及び測定精度の向
上を図り再現性を充分得るためには、測定すべき無線機
器の設置に関して多大な手間を要するという問題点もあ
る。
【0007】電波伝搬を外部と遮断する目的で高性能な
シールド特性を有する金属板で測定室を構成するように
した技術も知られている。この測定室は、評価対象機器
からの伝搬のみを隔離測定できることから一部の伝搬試
験等に用いられているが、壁面反射の影響及び共振現象
により多数の大きな固定定在波が存在するため、正確な
測定を行うことが全くできない。
【0008】従って本発明は、従来技術の上述した問題
点を解決するものであり、小型であって設置スペースを
取らず、しかもコストが安く、小型無線機器の送信性能
及び受信性能の検査及び評価が極めて効率よく行える性
能評価用測定室を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、不特定
多数の共振モードが内部に同時に存在するように、少な
くとも1対の対向する金属壁間隔が使用される最低周波
数の4波長以上である金属壁で囲まれた多面体構造の、
基本構造的には一種の空胴共振器を構成する、測定室で
あり、不特定多数の共振モードにおける境界条件を15
msec以下の周期で時間的に変動させる境界条件変動
手段を備えた小型無線機器の性能評価用測定室が提供さ
れる。
【0010】境界条件変動手段が少なくとも1つの金属
壁に設けられていることが好ましい。
【0011】境界条件変動手段が、例えばアルミニウ
ム、銅等の金属か又はカーボン繊維強化プラスチック
(CFRP)等の電波反射率の大きな材質で構成されて
おり、取り付けられた金属壁と平行に回転する回転羽根
であるか、又は同様の電波反射体で構成されており、金
属壁近傍であってこの金属壁表面と平行に伸びる複数の
回転軸に関してそれぞれ回動する複数の回動板であって
もよい。
【0012】境界条件変動手段が少なくとも1つの金属
壁を前後に振動させる手段であることも本発明の実施態
様である。
【0013】例えばアルミニウム、銅等の金属か又はC
FRP等の電波反射率の大きな材質で構成されており、
測定すべき無線機器を載置するための回転テーブルを内
部に備えていることが好ましく、これによって放射電磁
界の均一性がより優れたものとなる。
【0014】多面体構造は、六面体以上の多面体である
ことが好ましく、この多面体構造の少なくとも一部の反
射面が測定室内部に設けられた傾斜板で構成されている
ことも本発明の実施態様である。
【0015】測定すべき無線機器(送信機又は受信機)
と測定室内に設置された基準アンテナ(受信アンテナ又
は送信アンテナ)とが直接的に結合することによって固
定した時間的に特異現象の生じることを防止する直接結
合防止手段が設けられていることも電磁界の一様性を得
る点で好ましい。
【0016】測定すべき無線機器の送信又は受信状態を
視認するために、ITV又は電波窓等の視認手段を設け
ることも好ましい。
【0017】
【作用】回りを金属壁で閉じ電磁波の放射エネルギを全
て測定室(金属箱)内に閉じ込めている。多角形構造の
金属箱の少なくとも1辺の内部長さを波長に比して充分
に大きい4波長以上とすることにより、境界条件と形状
とで決まる極めて多くの複雑な不特定多数の共振モード
が同時に存在するようになる。そして、この境界条件を
15msec以下の周期で時間的に変動させることによ
り、時間的に一定した固定共振モードが存在しなくな
り、時間に対して統計的にランダムな電磁界分布が金属
箱内部に得られる。電磁界の強度は、金属箱内に供給さ
れた電磁波エネルギの平方根に比例し、かつ時間的平均
をとれば内部のどのような点であってもほぼ同じ値とな
って時間平均的には空間的な電磁界の一様性が得られ
る。特に、15msec以下の周期で時間的に変動させ
ることにより、±4dBの均一性を得ることができ、し
かも短時間で評価を行うことができる。
【0018】その結果、例えば無線機器から発振された
電磁波エネルギが、測定室内に閉じ込められ、壁面に備
えられた受信アンテナによって受け止められ、スペクト
ラムアナライザのごとき測定用受信機で検知された受信
レベルの時間的平均をとることによって、効率的な、信
頼性の高いかつ再現性に優れた送信性能測定及び評価が
行えることとなる。これとは逆に、壁面に備えられた送
信アンテナによって測定室内に励起された電磁波エネル
ギが無線機器の受信機能によって観測され、その観測値
の時間的平均をとることによって、効率的な、信頼性の
高いかつ再現性に優れた受信性能測定及び評価が行える
こととなる。特に、従来の電波暗室では、基準となる送
信又は受信アンテナについての指向性、ゲインを含めた
性能をあらかじめ充分に求めておく必要があったが、本
発明の測定室では全エネルギを閉じ込めるようにしてい
るのでこのような必要性がなくなり、測定結果に影響を
及ぼすパラメータが少なくて済む。従って、この意味か
らも性能評価の容易性、再現性及び信頼性を非常に高め
ることができる。
【0019】
【実施例】以下図面を用いて本発明の実施例を詳細に説
明する。
【0020】図1は本発明の性能評価用測定室の一実施
例における基本的構成を概略的に示す一部破断斜視図で
ある。
【0021】同図に示すように、本実施例では六面体で
ある測定室10は、高性能なシールド特性を有する金属
板によって内壁の4つの側壁面10a、10b、10c
及び10dと天井面10eと床面10fとを構成した金
属箱となっており、電磁波エネルギを90dB以上のシ
ールド率でほぼ完璧に閉じ込めるようにしている。金属
箱10内に多数の不特定多数の共振モードが同時に存在
するようにするため、金属箱10の少なくとも1対の対
向する壁の間隔が使用される最低周波数の4波長以上の
長さとしている。測定すべき小型無線機器の使用周波数
がほぼ800MHz〜2000MHzであること及び通
常の建屋に設置することを考慮して、本実施例では金属
箱10の内面の大きさとして床面10fの縦方向長さを
3.1m、床面10fの横方向長さを3.1m、高さを
2.6mとしている。
【0022】互いに直交する2つの壁面10b及び10
cの中央には、境界条件変動手段として、長さ1.7
m、幅0.5m、厚さ2mmのアルミニウム製の板状回
転羽根11及び12が壁面より1/4波長程度離してそ
れぞれ設けられている。不特定多数の共振モードを攪拌
する目的で、これらの回転羽根11及び12は、別個の
電動モータ(図6参照)によって互いに異なる回転速度
で駆動される。本実施例において回転羽根11及び12
は、それぞれ90rpm及び120rpmで回転するよ
うに設定されている。このような構成によって、境界条
件を15msec以下の周期で時間的に変動させるよう
にしている。
【0023】図2及び図3は図1に示した測定室を用い
て実際に小型無線機器の送信性能評価及び受信性能評価
を行う場合の構成をそれぞれ示す一部破断斜視図であ
る。
【0024】これらの図において、床面10fの中央に
は測定すべき小型無線機器13を安定して載置するため
の回転テーブル14が設けられている。この回転テーブ
ル14は、電波の吸収や反射がほとんど生じない発泡体
で構成するか又は電波を完全に反射させて吸収がほとん
ど生じない例えばアルミニウム、銅等の金属か又はCF
RP等の電波反射率の大きな材質で構成されている。
【0025】図2の構成例では、側壁面10aには受信
アンテナ15が取り付けられており、この受信アンテナ
15の出力はスペクトラムアナライザ等の測定装置16
に接続されている。このような構成によれば、無線機器
13から発振された電磁波エネルギが測定室10内に閉
じ込められ、これが受信アンテナ15によって受信され
て測定装置16へ送られる。測定装置16において、受
信レベルの時間的平均をとることによって、効率的な、
信頼性の高いかつ再現性に優れた送信性能測定が行える
こととなる。
【0026】図3の構成例では、側壁面10aには送信
アンテナ17が取り付けられており、この送信アンテナ
17には信号発成器18に接続されている。このような
構成によれば、送信アンテナ17によって測定室10内
に励起された電磁波エネルギが無線機器13の受信機能
によって観測され、その観測値の時間的平均をとること
によって、効率的な、信頼性の高いかつ再現性に優れた
受信性能測定が行えることとなる。
【0027】受信アンテナ15及び送信アンテナ17と
しては、対数周期アンテナ(ログペリアンテナ)、ダイ
ポールアンテナ又はホーンアンテナ等が用いられる。こ
れらアンテナの側壁面10aへの取り付けは、本実施例
では、図4に示すごときアンテナ取り付けパネル20に
固着された支持部材21にアンテナ15(17)を固定
することによって行う。このパネルにはアンテナ信号線
の入出力パネル22も設けられている。アンテナ交換を
行う場合に、取り付けパネル20ごと交換するようにす
れば、作業が非常に容易となる。このようなアンテナ取
り付け構造を備えることにより、安定した再現性に富む
評価を行うことができる。なお、図には示されていない
が、無線機器13をセットしたりアンテナ調整をするた
めに測定室10に出入りするためのシールド扉や他の信
号線の測定室内部と外部との間の入出力パネル等が設け
られていることが望ましい。
【0028】図5は図1に示した測定室自体の基本特性
を測定及び評価するための構成例を示す一部破断斜視図
であり、図6はその構成をより詳しく示すブロック図で
ある。
【0029】これらの図において、23及び24は回転
羽根11及び12をそれぞれ回転駆動する電動モータ、
25は受信アンテナ、26は送信アンテナ、27はスペ
クトラムアナライザ16及び信号発生器18にさらに電
動モータ23及び24に接続されたコンピュータであ
る。コンピュータ27は電動モータ23及び24の駆
動、特に回転速度等、を適切に制御すると共に後述する
評価演算を行う。送信アンテナ26は受信アンテナ25
の取り付けられた壁面10aと直交する壁面10dに取
り付けられている。
【0030】このような構成の測定室10において、信
号発生器18から壁面10dの送信アンテナ26を介し
て一定レベルPi の信号を送信し、これとは異なる壁面
10aの受信アンテナ25で受信した場合の受信レベル
o を測定した結果が図7に示されている。ただし、図
7は周波数が1500MHzの場合であり、横軸は観測
時間、縦軸は相対電界強度で表した出力(受信レベル)
o をそれぞれ示している。回転羽根11及び12の回
転によって電波的な境界条件が時々刻々変化し時間的に
一定した固定共振モードが存在しないので、最大値及び
最小値の大きな段差の繰り返しで偏りのないランダムな
波形が観測されている。
【0031】コンピュータ27は、このような測定デー
タを時間的平均値で次のように評価演算する。即ち、図
7に例示するように、一定の観測時間T0 を定め、その
0の間における金属箱10内の伝搬損失特性(結合減
衰量特性)のピーク値Cp と平均値Cd とを次式で求め
る。 Cp =Pi −Popd =Pi −Pod ただし、Pi は入力レベル(信号発生器18の出力をア
ンテナを通すことなくスペクトラムアナライザ16に直
接入力させて測定した値)、PopはT0 の間における出
力Po のピーク値、PodはT0 の間における出力Po
平均値である。なお、Pop及びPodは測定回数をnとす
るとn回分を集計して求めている。
【0032】図8は観測時間T0 の適正値を見るため
に、観測時間T0 の変化に対する結合減衰量の収束性を
測定したものを表している。同図において、周波数を1
500MHzとし、観測時間T0 を0.1sec、0.
3sec、1.0sec、3.0sec、10.0se
cと変化させた際の結合減衰量特性をピーク値Cp 、平
均値Cd 別に表している。ただし、測定回数nは、n=
100である。この図から明らかのように、観測時間T
0 が3.0secに近くなると結合減衰量はほぼ収束し
て1.0〜1.5dB程度の満足できるバラツキ範囲内
に収まる。もちろん、これより長い観測時間であるT0
=10.0secではバラツキの範囲はさらに小さい1
dB以下となる。なお、データとしては示されていない
が、測定室10内に回転テーブルやITVを設けた実用
状態(図17参照)における再現性試験(測定回数n=
10のデータ処理を1つの単位として10回繰り返す試
験)を行った結果においても、結合減衰量の最大値と最
小値との差が1.5dB以下となり、バラツキの少ない
非常に安定した信頼性の高い結果となっている。
【0033】図9は結合減衰量の周波数特性を800M
Hz〜2000MHzの範囲で評価した結果をピーク値
p 、平均値Cd 別に示している。使用周波数範囲であ
る上述の各周波数においてバラツキの少ない安定した結
果が得られていることが分かる。
【0034】因に、本発明による測定室が有効性を発揮
するのは、電波的な境界条件を時々刻々変化させ一定し
た固定の共振モードが存在しなくなる状態が実現したと
きである。その場合に、時間に対して統計的にランダム
な電磁界分布がもたらされる。その結果として、観測時
間T0 及び測定回数nを適切に選ぶことにより、より効
率的で安定した再現性のよい評価が可能となるのであ
る。観測時間T0 については、上述したように3.0s
ecに近付くと結合減衰量がほぼ収束してバラツキのな
い良好な結果が得られる。しかしながら、測定の効率化
を考慮した場合、観測時間T0 は許容できる範囲ででき
るだけ短いことが望ましく、最長でも3.0sec程度
であることが望まれる。測定回数nについては、観測時
間T0 内でのデータ処理において、統計手法の1つであ
る多変量解析では常識となっているように200以上の
サンプル数が要求され、T0 =3.0secとすると、
1sec内に約67以上の周期性を有することが必要と
なる。1sec内に約67以上の周期性を有するために
は、1周期が15msec以下であること、即ち境界条
件を15msec以下の周期で時間的に変動させること
が必要となるのである。
【0035】図10は図1の金属箱10内の特に中央部
の電界分布を測定した結果を示す電界分布特性図であ
り、図11はその測定の様子を示す一部破断斜視図であ
る。
【0036】送信アンテナ26から1500MHzの電
磁波を金属箱10内部に放射し回転羽根11及び12を
回転させた状態での各位置における電磁界を半波長ダイ
ポールアンテナによって受信することにより電磁界分布
を測定している。なお、図10において、横軸は床面1
0fに平行な方向の距離L(図11参照)を表し、縦軸
は結合減衰量を表している。また、図10にはピーク値
p 、平均値Cd 毎に3つの特性が示されているが、こ
れらは、床面10fからの高さが95cm、125cm
(中央)及び155cmの位置にそれぞれ対応してい
る。図10から明かのように、時間平均的な電磁界の一
様性が極めて優れている3dB以内の幅に安定して分布
している。
【0037】図12は金属箱10内部に放射源がある場
合の受信レベルの減衰量の周波数特性図である。
【0038】図2に示すごとく受信アンテナ15を配置
し、無線機器13の代わりに垂直に立てた自動車用のア
ンテナを箱の中心位置、この中心位置から前後左右に5
0cmそれぞれ離れた4つの位置に置いて受信レベル減
衰量の周波数特性をそれぞれ測定している。従って、図
12にはピーク値Cp 、平均値Cd 毎に5つの特性が示
されている。高い方の周波数(880MHz以上)では
位置によるバラツキが小さいが、低い周波数ではバラツ
キが大きい。これは、送信側のアンテナと受信アンテナ
15との距離が近くしかも両アンテナの偏波方向が一致
しているためにアンテナ間の直接結合が生じているため
と考えられる。
【0039】そこで、本発明の他の実施例として、アン
テナ間の直接結合を防止する手段として図13に示すご
とく、アンテナ間に800mm×400mm程度の反射
板30を設置する。この実施例において、無線機器13
の代わりに自動車用アンテナを上述の場合と同様に5つ
の位置に置き受信レベル減衰量の周波数特性を測定した
ものが図14に示されている。図12の特性と比較して
も明らかのように、いずれも3dB以内の幅に収まって
おり極めて安定した結果となっている。なお、データと
しては示されていないが、測定室10内に回転テーブル
やITVを設けた実用状態(図17参照)における再現
性試験(測定回数n=10のデータ処理を1つの単位と
して10回繰り返す試験)を行った結果においても、結
合減衰量の最大値と最小値との差がほぼ1dB以下とな
り、バラツキの少ない非常に安定した信頼性の高い結果
となっている。
【0040】次に、この測定室10による実際の小型無
線機器の送信性能評価について説明する。図2に示すよ
うに、測定すべき小型無線機器13を測定室10内の回
転テーブル14の上に載置し、受信アンテナ15を介し
てスペクトラムアナライザ16で受けた受信レベルの周
波数特性を測定した結果が図15に示されている。比較
のため同図には、従来の電波暗室で同じ小型無線機器に
ついて全く同様の測定(ただし一方向のゲイン特性であ
る)を2回行った結果も示されている。
【0041】同図からも明らかのように、本実施例の測
定室によれば、非常に良い相関性が得られることが分か
る。しかも、従来の電波暗室による場合に比して、レベ
ルが約20dB程度高くなっている。これは、本発明の
測定室は全放射電界を受信しているためであり、このよ
うに高い受信レベルが得られることにより、測定値が安
定し、精度が大幅に高くなる。なお、図15に示す受信
レベルの周波数特性は、933MHz付近で一旦低下す
る傾向があるが、これは図16に示した測定室10自体
の結合減衰量の周波数特性と傾向が良く一致しており、
測定室10固有の一定の特性であるから評価する際には
除去可能である。
【0042】図17は本発明の性能評価用測定室のさら
に他の実施例における構成を概略的に示す一部破断斜視
図である。
【0043】本実施例においては、測定室10内に被測
定対象の機器の送信又は受信状態を確認する視認手段と
してITV31が設置されている。その他の構成及び作
用効果は図1〜図6に示した実施例の場合と全く同じで
ある。このようにITV31を内部に設けた場合の結合
減衰量特性への影響及び内部に放射源があるときの受信
レベル減衰量特性への影響を測定したが、いずれも減衰
量が0.5〜1dB程度わずかに上昇するのみで特性全
体の傾向は変わらなかった。なお、視認手段としてはI
TV31の代わりに電波窓を設けてもよいことは明らか
である。
【0044】以上説明した実施例においては、回転羽根
が2つ設けられているが、本発明の測定室は1つの回転
羽根のみを設けてもよいし、3つ以上の回転羽根を設け
てもよい。また、送信アンテナと受信アンテナとの取り
付け面は、互いに異なる面であれば直交する面であって
も相対する面であってもよい。
【0045】測定室10に設ける境界条件変動手段とし
ては、回転羽根の代わりに種々のものが適用可能であ
る。例えば、図18に示すごとく、少なくとも1つの壁
面10cから一定距離だけ離れた位置にこの壁面10c
に平行に伸びるように並べられた細長い複数の回動板4
0、41及び42をその回転軸を中心としてそれぞれ回
転又は振動させるように構成してもよい。ただし、回動
板の数は図示の3つに限定されない。または、図19に
示すごとく、少なくとも1つの壁面43自体を前後に振
動させるようにしてもよい。この場合の壁面43のアク
チュエータ44としては、スピーカのごとく電磁的な駆
動により振動を起こさせるもの若しくは機械的な駆動に
より振動を起こさせるものが例としてあげられる。
【0046】さらに、上述した実施例においては、測定
室の内面が六面体形状で構成されているが、本発明の測
定室は内面が六面体以上の多面体構造であってもよい。
その場合、例えば図20に示すように、六面体構造の内
部に例えばアルミニウム、銅等の金属か又はCFRP等
の電波反射率の大きな材質で構成された傾斜板45、4
6、47及び48を設けることによって多面体構造とし
てもよい。
【0047】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、少なくとも1対の対向する金属壁間隔が使用される
最低周波数の4波長以上である金属壁で囲まれた多面体
構造とすることにより不特定多数の共振モードを内部に
同時に存在させ、不特定多数の共振モードにおける境界
条件を15msec以下の周期で時間的に変動させるこ
とにより時間平均的に電磁界の一様性を得ることができ
る。その結果、小型であって設置スペースを取らず、し
かもコストが安く、小型無線機器の送信性能及び受信性
能の検査及び評価が短時間で極めて効率よくかつ繰り返
しの再現性にも優れて行える性能評価用測定室を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の性能評価用測定室の一実施例における
基本的構成を概略的に示す一部破断斜視図である。
【図2】図1に示した測定室を用いて実際に小型無線機
器の送信性能評価を行う場合の構成を示す一部破断斜視
図である。
【図3】図1に示した測定室を用いて実際に小型無線機
器の受信性能評価を行う場合の構成を示す一部破断斜視
図である。
【図4】アンテナ取り付けパネルの構成を示す斜視図で
ある。
【図5】図1に示した測定室自体の特性を測定及び評価
するための構成例を示す一部破断斜視図である。
【図6】図5の構成をより詳しく示すブロック図であ
る。
【図7】測定室自体の受信レベルについて測定した時間
変化特性図である。
【図8】観測時間の変化に対する結合減衰量の収束性を
表す図である。
【図9】結合減衰量の周波数特性図である。
【図10】図1の測定室内の電界分布を測定した結果を
示す電界分布特性図である。
【図11】図10の測定の様子を示す一部破断斜視図で
ある。
【図12】測定室内部に放射源があり反射板がない場合
の受信レベルの減衰量の周波数特性図である。
【図13】図1に示した測定室に反射板を設け実際に小
型無線機器の送信性能評価を行う場合の構成を示す一部
破断斜視図である。
【図14】測定室内部に放射源があり反射板がある場合
の受信レベルの減衰量の周波数特性図である。
【図15】実際の小型無線機器の放射を図2に示した測
定室及び従来の電波暗室で受けた際の受信レベルの周波
数特性図である。
【図16】測定室自体の結合減衰量の周波数特性図であ
る。
【図17】本発明の性能評価用測定室のさらに他の実施
例における構成を概略的に示す一部破断斜視図である。
【図18】境界条件変動手段の変更例を示す一部破断斜
視図である。
【図19】境界条件変動手段の変更例を示す一部破断斜
視図である。
【図20】多面体構造の測定室の他の例を示す一部破断
斜視図である。
【符号の説明】
10 測定室 10a、10b、10c、10d 側壁面 10e 天井面 10f 床面 11、12 回転羽根 13 小型無線機器 14 回転テーブル 15、25 受信アンテナ 17、26 送信アンテナ
フロントページの続き (72)発明者 柳川 太成 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティ ーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−5763(JP,A) 特開 平5−19074(JP,A) 特開 平2−42799(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 9/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不特定多数の共振モードが内部に同時に
    存在するように、少なくとも1対の対向する金属壁間隔
    が使用される最低周波数の4波長以上である金属壁で囲
    まれた多面体構造の測定室であり、不特定多数の共振モ
    ードにおける境界条件を15msec以下の周期で時間
    的に変動させる境界条件変動手段を備えたことを特徴と
    する小型無線機器の性能評価用測定室。
  2. 【請求項2】 前記境界条件変動手段が少なくとも1つ
    の前記金属壁に設けられたことを特徴とする請求項1に
    記載の性能評価用測定室。
  3. 【請求項3】 前記境界条件変動手段が、電波反射体で
    構成されており取り付けられた金属壁と平行に回転する
    回転羽根を含んでいることを特徴とする請求項2に記載
    の性能評価用測定室。
  4. 【請求項4】 前記境界条件変動手段が、電波反射体で
    構成されており金属壁近傍であって該金属壁表面と平行
    に伸びる複数の回転軸に関してそれぞれ回動する複数の
    回動板を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の
    性能評価用測定室。
  5. 【請求項5】 前記境界条件変動手段が少なくとも1つ
    の前記金属壁を前後に振動させる手段を含んでいること
    を特徴とする請求項2に記載の性能評価用測定室。
  6. 【請求項6】 電波反射体で構成されており測定すべき
    無線機器を載置するための回転テーブルを内部に備えて
    いることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に
    記載の性能評価用測定室。
  7. 【請求項7】 前記多面体構造が六面体以上の多面体で
    あることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に
    記載の性能評価用測定室。
  8. 【請求項8】 前記多面体構造の少なくとも一部の反射
    面が内部に設けられた傾斜板で構成されていることを特
    徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の性能評
    価用測定室。
  9. 【請求項9】 測定すべき無線機器と当該測定室内に設
    置されたアンテナとが直接的に結合することを防止する
    直接結合防止手段が設けられていることを特徴とする請
    求項1から8のいずれか1項に記載の性能評価用測定
    室。
  10. 【請求項10】 測定すべき無線機器の視認手段が設け
    られていることを特徴とする請求項1から9のいずれか
    1項に記載の性能評価用測定室。
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