JP3116928B2 - Emi測定方法及びその装置 - Google Patents

Emi測定方法及びその装置

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JP3116928B2 JP10345081A JP34508198A JP3116928B2 JP 3116928 B2 JP3116928 B2 JP 3116928B2 JP 10345081 A JP10345081 A JP 10345081A JP 34508198 A JP34508198 A JP 34508198A JP 3116928 B2 JP3116928 B2 JP 3116928B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はEMI測定方法及び
その装置に関し、特に、測定周波数が1GHzを越える
場合において、底面に電波吸収体を敷設することなく、
電波半無響室を使用して実施することができるEMI測
定方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、情報技術装置(ITE)における
EMI(Electromagnetic Inter
ference:電磁妨害)測定においては、測定周波
数が30MHz乃至1GHzの範囲では、地上反射波の
影響を合わせて評価する必要があるため、平坦で電磁的
な障害物のない屋外で実施するか、又はこれと同等の電
波伝搬特性を有する電波半無響室を使用して実施するこ
とがEMI規格により規定されている。図5は電波半無
響室を使用した従来のEMI測定方法に使用される装置
を示す模式図である。
【0003】図5に示すように、従来のEMI測定で使
用される電波半無響室においては、その内部が直方体状
であって、その底面は電波反射体である金属床(表面が
金属からなる床)103であり、それ以外の5面(図示
せず)は電波吸収体により被覆されて構成されている。
この電波半無響室には鉛直軸中心に回転する測定台10
2と、この測定台102上に載置され電磁波を放出する
被試験体101と、この被試験体101から離隔して設
置されたアンテナ支柱108と、この支柱108の上部
に設置された受信アンテナ107とが設けられている。
【0004】なお、受信アンテナ107は指向特性を有
しており、受信可能な範囲を示す仮想のアンテナビーム
109内に入射する電磁波のみ受信可能になっていて、
仮想のアンテナビーム109の範囲外から入射する電磁
波は、ほとんど受信されない。また、仮想のアンテナビ
ーム109内であっても、その中心軸に近い方向から入
射すると、より高感度で受信できるようになっている。
【0005】また、被試験体101と受信アンテナ10
7とはその高さがほぼ等しくなるように設置されてお
り、受信アンテナ107はその仮想のアンテナビーム1
09の中心軸が被試験体101の方向を向いて設置され
ている。即ち、仮想のアンテナビーム109の中心軸
が、ほぼ水平方向になるように設置されている。
【0006】このように構成された電波半無響室を使用
してEMI測定を行う場合においては、測定台102を
鉛直軸中心に回転させながら被試験体101から放出さ
れる電磁波を受信アンテナ107により受信し、この電
磁波の最大値を別途設けられた測定器(図示せず)によ
り測定する。このとき、電磁波は直接受信アンテナ10
7に入射する直接波105と、金属床103に反射して
下方から受信アンテナ107に入射する反射波106と
のベクトル合成波として、受信アンテナ107により受
信される。
【0007】一方、EMI測定において、測定周波数が
1GHzを超える範囲では、直接波に重点を置き、地上
反射波の影響を合わせて評価しないことがEMI規格で
求められている。このため、電波の反射がほとんど発生
しない電波無響室で実施される。図6は電波無響室を使
用した従来のEMI測定方法に使用される装置を示す模
式図である。
【0008】図6に示すように、従来のEMI測定で使
用される電波無響室においては、電波半無響室と異な
り、金属床103の全面又は一部に電波を吸収する電波
吸収体104が敷設されている。それ以外の構成は電波
半無響室と同様である。即ち、底面を含めた全面が電波
吸収体により構成されていて、電波の反射がほとんど発
生しないようになっている。
【0009】このように構成された電波無響室を使用し
て、EMI測定を行う場合においては、電波半無響室を
使用する場合と同様に、測定台102を鉛直軸中心に回
転させながら被試験体101から放出される電磁波を受
信アンテナ107により受信し、この電磁波の最大値を
測定する。このとき、金属床103に向かって放出され
た電磁波は電波吸収体104により吸収されて、その大
きさを減少させるため、反射波106は受信アンテナ1
07にほとんど受信されず、直接受信アンテナ107に
入射する直接波105のみが受信され測定される。
【0010】このように、従来のEMI測定において
は、電波半無響室及び電波無響室の2個の測定環境を使
用して実施されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た如く、従来のEMI測定方法及びその装置において
は、1GHzの測定周波数を境界として、EMI測定を
実施する環境を電波半無響室又は電波無響室に変更する
必要があり、このため、試験実施者は2個の測定環境を
用意する必要があり、経済的な負担が大きいという問題
点がある。
【0012】一方、上記問題点を解決するために、電波
半無響室のみを用意し、測定周波数が1GHzを越える
場合においては、電波半無響室の底面に可搬式の電波吸
収体を敷設して、電波無響室と同等の環境を作り、この
環境でEMI測定を行うことによって、電波無響室を不
要とする方法がある。
【0013】しかしながら、電波半無響室の底面に可搬
式の電波吸収体を敷設する方法においては、測定周波数
を変更する度に電波吸収体を搬入又は搬出する必要があ
る。しかも、電波半無響室の底面積は大きく、電波吸収
体を敷設する面積が大きいので、その敷設及び撤去作業
は容易ではない。また、電波吸収体を使用しない場合に
おいて、その保管場所を確保する必要がある。更に、電
波吸収体は敷設及び撤去を繰り返すことにより形状が変
化して、電磁波の吸収特性が変化する虞がある。このよ
うに、電波半無響室の底面に可搬式の電波吸収体を敷設
する方法は欠点が多く、好ましくない。
【0014】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、測定周波数が1GHzを越える場合におい
て、底面に電波吸収体を敷設することなく、電波半無響
室を使用して実施することができるEMI測定方法及び
その装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るEMI測定
方法は、底面が電波反射体からなり、底面以外の面が電
波吸収体からなる電波半無響室に、鉛直軸中心に回転可
能な測定台と、この測定台上に載置され電磁波を放出す
る被試験体と、この被試験体から離隔して設けられ指向
特性を有する受信アンテナとを設け、この受信アンテナ
をその最大感度の方向が上向きになるように設置するこ
とを特徴とする。
【0016】本発明においては、指向特性を有する受信
アンテナをその最大感度の方向が上向きになるように設
置するため、被試験体から放出され電波半無響室の底面
に反射して受信アンテナに下方から入射する電磁波の反
射波の受信感度は、受信アンテナに直接入射する電磁波
の直接波の受信感度と比較して低い。従って、例えば、
指向特性の鋭い受信アンテナを使用した場合、又は、測
定周波数が高く最大感度から外れた方向から入射すると
受信感度が著しく低下する場合等において、反射波の大
きさの測定値が小さくなる。このため、反射波の影響を
誤差レベルと考え無視することができるため、底面を含
めた全面が電波吸収体で構成された電波無響室を使用し
て実施されることになっている測定周波数が1GHzを
越える場合のEMI測定において、底面に電波吸収体を
敷設することなく、電波半無響室を使用して実施するこ
とができる。
【0017】また、前記被試験体を前記受信アンテナと
比較して高い位置に配置し、前記受信アンテナをその最
大感度の方向が前記被試験体を向くように設置すると好
ましい。これにより、電磁波の直接波を最大感度で受信
することができるため、反射波の影響を更に小さくする
ことができる。このため、EMI測定の精度を向上させ
ることができる。
【0018】更に、前記受信アンテナはその受信部の迎
角を変更可能に構成されていてもよく、また、前記受信
アンテナの受信部の迎角を変更可能に支持するアンテナ
支持台を有していてもよい。これにより、被試験体の配
置高さを変更した場合において、容易に受信アンテナを
その最大感度の方向が前記被試験体を向くように設置す
ることができる。
【0019】前記受信アンテナはホーンアンテナで構成
することができる。
【0020】本発明に係るEMI測定装置は、前記EM
I測定方法で使用されるものであって、底面が電波反射
体からなり、底面以外の面が電波吸収体からなる電波半
無響室と、この電波半無響室に設けられ鉛直軸中心に回
転可能な測定台と、この測定台上に載置され電磁波を放
出する被試験体と、この被試験体から離隔して設けられ
指向特性を有しその最大感度の方向が上向きになるよう
に設置された受信アンテナと、を有することを特徴とす
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例に係るEM
I測定方法及びその装置について、添付の図面を参照し
て具体的に説明する。図1は本発明の第1実施例に係る
EMI測定方法に使用される装置を示す図であって、
(a)は全体模式図、(b)はアンテナへの入射波を示
す拡大図である。
【0022】図1(a)及び(b)に示すように、本発
明の第1実施例に係るEMI測定方法及びその装置にお
いては、測定周波数が30MHz乃至1GHzの範囲で
は、従来と同様に、電波半無響室を使用すると共に、測
定周波数が10GHzを超える範囲においても、電波半
無響室を使用する。この電波半無響室においては、従来
と同様に、その内部が直方体状であって、その底面は電
波反射体である金属床(表面が金属からなる床)3であ
り、それ以外の5面(図示せず)は電波吸収体が被覆さ
れて構成されている。この電波半無響室には鉛直軸中心
に回転する測定台2と、この測定台2上に載置され電磁
波を放出する被試験体1と、この被試験体1から離隔し
て設置されたアンテナ支柱8と、この支柱8の上端に設
置された受信アンテナ7とが設けられている。
【0023】なお、受信アンテナ7は、例えば、標準ホ
ーンアンテナのような鋭い指向特性を有するものであっ
て、受信可能な範囲を示す仮想のアンテナビーム9内に
入射する電磁波のみ受信可能になっていて、仮想のアン
テナビーム9の範囲外から入射する電磁波は、ほとんど
受信されない。また、仮想のアンテナビーム9内であっ
ても、その中心軸に近い方向から入射すると、より高感
度で受信できるようになっている。
【0024】また、測定台2の上面は受信アンテナ7の
位置より十分に高くなっているため、測定台2上に載置
された被試験体1は受信アンテナ7の位置より十分に高
い位置に配置されている。更に、受信アンテナ7はその
仮想のアンテナビーム9の中心軸が被試験体1の方向を
向いて迎角を有して設置されている。即ち、直接波を最
大感度で受信できるようになっている。
【0025】このように構成された本発明の第1実施例
に係るEMI測定方法及びその装置においては、測定台
2を鉛直軸中心に回転させながら被試験体1から放出さ
れる電磁波を受信アンテナ7により受信し、この電磁波
の最大値を別途設けられた測定器(図示せず)により測
定する。なお、被試験体1から放出される電磁波は電波
半無響室内の空間を光学的に直線的に伝搬し、直接受信
アンテナ7に入射する直接波5と、金属床3に反射して
受信アンテナ7に入射する反射波6とのベクトル合成波
として、受信アンテナ7により受信される。
【0026】なお、直接受信アンテナ7に入射する直接
波5は、仮想のアンテナビーム9の中心軸をほぼ通るの
で、最高感度で受信アンテナ7に受信され測定される。
【0027】一方、金属床3に反射して、例えば、直接
波5と相対角度θを有して下方から受信アンテナ7に入
射する反射波6は、仮想のアンテナビーム9の範囲外か
ら受信アンテナ7に入射するので、その受信感度は低
く、ほとんど測定されない。
【0028】次に、以下に示す数式及び幾何学図を使用
して、被試験体の高さ:ht(m)、受信アンテナの高
さ:hr(m)、及び被試験体と受信アンテナとの水平
距離(測定距離):R(m)との相関を説明する。図2
は直接波及び反射波の到達距離を幾何学的に示す模式図
である。
【0029】図2に示すように、被試験体においては、
その放出電磁波の送信点11が高さ(送信高さ)ht
位置し、受信アンテナにおいては、電磁波の受信点12
が高さ(受信高さ)hrに位置し、また、送信点11と
受信点12とは水平距離(測定距離)Rを有して配置さ
れている。この場合、直接波5の到達距離(送信点11
と受信点12との直線距離)r1、及び金属床3を反射
した反射波6の到達距離(送信点11と反射点18との
直線距離と、反射点18と受信点12との直線距離との
和)r2は、以下に示す数式1で表すことができる。
【0030】
【数1】r1(m)={R2+(ht−hr21/22(m)={R2+(ht+hr21/2
【0031】また、受信点12における直接波5と反射
波6との相対角度θは以下に示す数式2で表すことがで
きる。
【0032】
【数2】θ(deg)=tan-1{(ht+hr)/R}
+tan-1{(ht−hr)/R}
【0033】更に、遠方界における電界強度E(V/
m)は、Pt:送信電力(W)、G:送信アンテナの相
対ゲイン(倍)とすると、以下の数式3で表すことがで
きる。
【0034】
【数3】E(V/m)=7(Pt・G)1/2/R
【0035】数式3に示すように、電界強度Eは測定距
離Rに反比例して減衰するため、受信点12における直
接波5と反射波6とのレベル差は数式1に示す夫々の距
離の差により求めることができる。
【0036】なお、ホーン型受信アンテナは、強い指向
特性を有している。図3はホーン型受信アンテナの指向
特性(電磁波の入射角度と減衰レベルとの相対値)を示
すグラフ図であって、(a)は測定周波数が1GHzの
場合を示す図、(b)は測定周波数が9GHzの場合を
示す図である。
【0037】図3(a)及び(b)に示された指向特性
曲線は、電磁波の受信アンテナへの入射角度(仮想のア
ンテナビームの中心軸との相対角度)θが0(deg)
のときの電磁波の大きさを1として、この入射角度θを
種々変化させたときの電磁波の大きさの相対値(減衰レ
ベル相対値)sを示したものである。
【0038】図3(a)及び(b)に示すように、入射
角度θが大きくなるに連れて、相対値sが漸減し、即
ち、受信される電磁波の大きさは漸減している。また、
測定する電磁波の周波数が大きくなると、入射角度に対
する電磁波の大きさの減衰の程度が大きくなることがわ
かる。
【0039】このように、受信点12(図2参照)に指
向特性を有する受信アンテナを設置し、その最大感度を
得られる方向を送信点11に向けた場合、数式2並びに
図3(a)及び(b)に示すように、反射波において
は、一定の減衰が得られることがわかる。
【0040】このように、本実施例においては、直接波
5は最大感度で受信されるが、反射波6はほとんど受信
されないため、その影響を誤差レベルと考え無視するこ
とができる。このため、底面反射波の影響を評価しない
測定周波数が1GHzを越える範囲のEMI測定を行う
場合においても、底面反射波の影響を評価して実施され
る30MHz乃至1GHzの範囲でのEMI測定で通常
使用される電波半無響室で実施することができる。
【0041】ところで、本発明の第2実施例として、よ
り鋭い指向特性を有する受信アンテナを使用し、被試験
体の設置高さを従来と同様に受信アンテナとほぼ等しい
高さ(通常80cm)にしてEMI測定を行う方法があ
る。図4は本発明の第2実施例に係るEMI測定方法に
使用される装置を示す模式図である。
【0042】図4に示すように、本発明の第2実施例に
係るEMI測定方法及びその装置においては、受信アン
テナ37の仮想のアンテナビーム39は第1実施例にお
ける受信アンテナ7の仮想のアンテナビーム9と比較し
て、指向特性がより鋭くなっている。例えば、以下の表
1に示す指向特性(アンテナビームの幅)を有するもの
である。
【0043】
【表1】
【0044】また、測定台32の高さは従来のEMI測
定方法の場合と同様の高さ(80cm)となっている。
このため、被試験体1及び受信アンテナ37の高さはほ
ぼ等しくなっている。更に、受信アンテナ37は、その
仮想のアンテナビーム39の中心軸が上向きに迎角を有
して設置されている。これら以外は第1実施例と同様で
あり、説明を省略する。
【0045】このように構成された本発明の第2実施例
に係るEMI測定方法及びその装置においては、受信ア
ンテナ37が、その仮想のアンテナビーム39の中心軸
が上向きに迎角を有して設置されると共に、受信アンテ
ナ37の指向特性が鋭く仮想のアンテナビーム39の受
信可能範囲が狭い。このため、直接波5に対して下方か
ら受信アンテナ37に入射する反射波6の相対レベルを
小さくすることができ、第1実施例と同様の効果を得る
ことができると共に、従来と同様の高さ(80cm)を
有する測定台を使用してEMI測定することができる。
【0046】なお、第2実施例においては、第1実施例
と比較して被試験体1の位置が低く、反射波5の受信ア
ンテナ37への入射角と、反射波6のそれとの相対角度
θが小さくなるため、反射波の減衰の程度が不十分とな
り、測定誤差が大きくなる。しかしながら、比較的高い
測定周波数に適用する場合においては、電磁波の入射方
向が仮想のアンテナビーム39の中心軸から外れたとき
の減衰の程度が大きいため、測定誤差が小さく十分実用
的である。
【0047】なお、本発明においては、例えば、受信ア
ンテナがアンテナ支柱に対し揺動可能に設けられていた
り、アンテナ支柱がそれを支持するアンテナ支持台に対
し揺動可能に設けられていることにより、仰角を容易に
変更可能な構成にしてもよい。これにより、被試験体の
配置高さを変更した場合において、容易に受信アンテナ
をその最大感度の方向が被試験体を向くように設置する
ことができる。また、受信アンテナはホーンアンテナに
限らず、指向特性を有していれば、他のアンテナでもよ
い。
【0048】
【実施例】具体的にht=4(m)、hr=1(m)、R
=3(m)として、周波数が1GHzの垂直偏波を測定
した場合においては、直接波に対する反射波のレベル差
を計算し、以下に示す。
【0049】1.反射波と直接波との到達距離の違いに
よるレベル差は数式1より、 直接波:反射波=1/{32+(4−1)21/2:1/
{32+(4+1)21/2=1/4.24:1/5.8
3=0.73:1 となり、反射波の大きさは直接波の大きさの0.73倍
になる。
【0050】2.また、直接波と反射波とのなす角度
(相対角度)θは数式2より、 θ(deg)=tan-1{(4+1)/3}+tan-1
{(4−1)/3}=104(deg)となる。
【0051】3.このθ=104(deg)を図3
(a)に示す周波数が1GHzである場合の指向特性曲
線に代入すると、相対レベルs=0.1以下となる。
【0052】上述したように求めた距離減衰とアンテナ
の指向特性による減衰とを積算した直接波に対する反射
波の相対レベルtは0.73×0.1=0.073とな
る。このため、本実施例方法により、上述した条件でE
MI測定を行うと、直接波のみを測定する従来の電波無
響室を使用したEMI測定の場合と比較して、直接波の
レベルに対し、0.073倍という極めて低い誤差率を
含んで測定可能であることがわかる。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
例えば、指向特性の鋭い受信アンテナを使用した場合、
又は、測定周波数が高く最大感度から外れた方向から入
射すると受信感度が著しく低下する場合等において、反
射波の大きさの測定値が小さくなる。このため、反射波
の影響を誤差レベルと考え無視することができるため、
底面を含めた全面が電波吸収体で構成された電波無響室
を使用して実施されることになっている測定周波数が1
GHzを越える場合のEMI測定において、底面に電波
吸収体を敷設することなく、電波半無響室を使用して実
施することができる。
【0054】また、前記被試験体を前記受信アンテナと
比較して高い位置に配置し、前記受信アンテナをその最
大感度の方向が前記被試験体を向くように設置すると、
電磁波の直接波を最大感度で受信することができるの
で、反射波の影響を更に小さくすることができる。この
ため、EMI測定の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るEMI測定方法に使
用される装置を示す図であって、(a)は全体模式図、
(b)はアンテナへの入射波を示す拡大図である。
【図2】直接波及び反射波の到達距離を幾何学的に示す
模式図である。
【図3】ホーン型受信アンテナの指向特性(電磁波の入
射角度と減衰レベルとの相対値)を示すグラフ図であっ
て、(a)は測定周波数が1GHzの場合を示す図、
(b)は測定周波数が9GHzの場合を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るEMI測定方法に使
用される装置を示す模式図である。
【図5】電波半無響室を使用した従来のEMI測定方法
に使用される装置を示す模式図である。
【図6】電波無響室を使用した従来のEMI測定方法に
使用される装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1、101;被試験体 2、32、102;測定台 3、103;金属床 5、105;直接波 6、106;反射波 7、37、107;受信アンテナ 8、108;アンテナ支柱 9、39、109;仮想のアンテナビーム 11;送信点 12;受信点 18;反射波 104;電波吸収体

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底面が電波反射体からなり、底面以外の
    面が電波吸収体からなる電波半無響室に、鉛直軸中心に
    回転可能な測定台と、この測定台上に載置され電磁波を
    放出する被試験体と、この被試験体から離隔して設けら
    れ指向特性を有する受信アンテナとを設け、この受信ア
    ンテナをその最大感度の方向が上向きになるように設置
    することを特徴とするEMI測定方法。
  2. 【請求項2】 前記被試験体を前記受信アンテナと比較
    して高い位置に配置し、前記受信アンテナをその最大感
    度の方向が前記被試験体を向くように設置することを特
    徴とする請求項1に記載のEMI測定方法。
  3. 【請求項3】 前記受信アンテナはその受信部の迎角を
    変更可能になっていることを特徴とする請求項1又は2
    に記載のEMI測定方法。
  4. 【請求項4】 前記受信アンテナの受信部の迎角を変更
    可能に支持するアンテナ支持台を有することを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれか1項に記載のEMI測定方
    法。
  5. 【請求項5】 前記受信アンテナはホーンアンテナであ
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記
    載のEMI測定方法。
  6. 【請求項6】 底面が電波反射体からなり、底面以外の
    面が電波吸収体からなる電波半無響室と、この電波半無
    響室に設けられ鉛直軸中心に回転可能な測定台と、この
    測定台上に載置され電磁波を放出する被試験体と、この
    被試験体から離隔して設けられ指向特性を有しその最大
    感度の方向が上向きになるように設置された受信アンテ
    ナと、を有することを特徴とするEMI測定装置。
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