JP3255172B2 - 光学的情報記録用媒体 - Google Patents

光学的情報記録用媒体

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JP3255172B2 JP2001000938A JP2001000938A JP3255172B2 JP 3255172 B2 JP3255172 B2 JP 3255172B2 JP 2001000938 A JP2001000938 A JP 2001000938A JP 2001000938 A JP2001000938 A JP 2001000938A JP 3255172 B2 JP3255172 B2 JP 3255172B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】書き換え可能な相変化媒体を
利用した、高密度記録可能な光ディスクに関する。詳し
くは、低反射率ながらCDフォーマットと互換性がとれ
るよう溝信号が限定され、かつ高コントラストで、多数
回のデータの書き換えに対し劣化の少ない相変化媒体に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報量の増大に伴い高密度でかつ
高速に大量のデータの記録・再生ができる記録媒体が求
められているが、光ディスクはまさにこうした用途に応
えるものとして期待されている。光ディスクには一度だ
け記録が可能な追記型と、記録・消去が何度でも可能な
書き換え型がある。
【0003】書き換え型光ディスクとしては、光磁気効
果を利用した光磁気記録媒体や、可逆的な結晶状態の変
化に伴う反射率変化を利用した相変化媒体があげられ
る。相変化媒体は外部磁界を必要とせず、レーザー光の
パワーを変調するだけで記録・消去が可能であり、記録
・再生装置を小型化できるという利点を有する。さら
に、現在主流の800nm程度の波長での記録消去可能
な媒体から、特に記録層等の材料を変更することなく短
波長光源による高密度化が可能であるといった利点を有
する。
【0004】このような、相変化型の記録層材料として
は、カルコゲン系合金薄膜を用いることが多い。例え
ば、GeSbTe系、InSbTe系、GeSnTe
系、AgInSbTe系合金があげられる。現在、実用
化されている書換可能相変化型記録媒体では、未記録・
消去状態を結晶状態とし、非晶質のビットを形成する。
【0005】非晶質ビットは記録層を融点より高い温度
まで加熱し、急冷することによって形成される。記録層
のこのような加熱処理による蒸発・変形を防ぐため、通
常は、記録層の上下を耐熱性でかつ化学的にも安定な誘
電体保護膜で挟みこむ。記録過程においては、この保護
層は記録層からの熱拡散を促し過冷却状態を実現して非
晶質ビットの形成にも寄与している。
【0006】さらに、上記サンドイッチ構造の上部に金
属反射層を設けた4層構造とすることで、熱拡散をさら
に促し、非晶質ビットを安定に形成せしめるのが普通で
ある。消去(結晶化)は、記録層の結晶化温度よりは高
く、融点よりは低い温度まで記録層を加熱して行う。こ
の場合、上記誘電体保護層は、記録層を固相結晶化に十
分な高温に保つ蓄熱層として働く。
【0007】いわゆる1ビームオーバーライト可能な相
変化媒体においては、上記、消去と再記録過程を1つの
集束光ビームの強度変調のみによって行うことが可能で
ある(Jpn.J.Appl.Phys.,26(19
87), suppl.26−4, pp.61−6
6)。
【0008】1ビームオーバーライト可能な相変化媒体
では、記録媒体の層構成及びドライブの回路構成が簡単
になる。このため、安価で高密度な大容量記録システム
として注目されている。近年、書換可能なコンパクトデ
ィスク(CD−Erasable、CD−E)が提唱さ
れている(「CD−ROM professiona
l」誌(米国)、1996年9月号、29−44ペー
ジ、あるいは、相変化光記録シンポジウム予稿集、19
95年、41−45ページ)。
【0009】CD−Eでは、70%以上という高反射率
まで含めたCDとの互換性は困難であるものの、15〜
25%の範囲内では、記録信号及び溝信号の点でCDと
の互換性が確保でき、少なくとも、反射率の低いことを
カバーするための増幅系を再生系に付加すれば、現行C
Dドライブ技術の範疇で互換性を確保できる。図1にそ
の模式図を示したが、CD−Eでは、基板1に溝2を設
け、溝内記録を行うが、この溝2にはアドレス情報を含
む蛇行を使用するものと考えられる(特開平5−210
849号公報)。
【0010】蛇行は搬送波周波数22.05kHzで周
波数(FM)変調されており、その振幅(Wobble
Amplitude)は溝ピッチ1.6μmにくらべ
て非常に小さく30nm程度である。この蛇行はウオブ
ル(Wobble)といわれ、蛇行を周波数変調し、あ
るトラックの特定の位置のアドレス情報を組み込んだも
のをATIP信号(Absolute Time In
Pre−groove)といい、記録可能なライトワ
ンスディスク(CD−Recordable、CD−
R)で既に利用されている(「CDファミリー」、中島
平太郎・井橋孝夫・小川博司共著、オーム社(199
6)、第4章)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記相変化媒体の記録
プロセスでは、記録層を溶融せしめるとともに、数十ナ
ノ秒以内に融点以下に急冷するという、過激な熱サイク
ルが生じる。いくら誘電体保護層で覆われているといっ
ても、数千−数万回の繰り返しオーバーライトで微小な
変形や、偏析が蓄積し、ついには、光学的に認識でき
る、ノイズの上昇や、ミクロンオーダーの局所欠陥の発
生につながる(J.Appl.Phys.,78(19
95),pp6980−6988)。
【0012】記録層や保護層材料、あるいは層構成を工
夫する事で、大幅な改善はなされているものの、本質的
に書き換え可能回数に上限が有り、それは、通常の磁気
記録媒体や光磁気記録媒体にくらべて1桁以上少ない。
前述の低反射率CD−E媒体では、記録条件としてCD
線速の高々6倍という低線速、かつマーク長変調記録を
行うため、繰り返しオーバーライト耐久性の観点からは
より厳しい方向である。
【0013】加えて、本発明者らの検討によれば、CD
ドライブとの溝信号の互換性を確保するための溝形状
は、相変化媒体の繰り返しオーバーライト耐久性を低下
させる方向であることが明らかになった。すなわち、波
長780nmの集束光でトラッキングサーボ(プッシュ
プル及び3ビーム法)に支障がない溝形状の範囲(深さ
20〜100nm、幅0.2〜0.8μm)では、溝内
記録をした場合に、CD−ROMと互換性を取るため
に、記録後のプッシュプル信号をROM規格と同程度
(0.04〜0.09前後)にするためには、溝深さが
60nm未満、幅が0.3〜0.6μmの範囲に限られ
る(特開平8−212550号公報、ただし、この特許
では繰り返しオーバーライト耐久性に関してはいっさい
考慮されていない)。この関係は、相変化媒体の層構成
にほとんど依存しない、実質的に溝形状のみによって決
まるパラメータである。
【0014】一方で、溝幅が狭く・深い方が繰り返しオ
ーバーライト耐久性にすぐれるという傾向がある。本発
明者等の検討によれば、繰り返しオーバーライト耐久性
は溝深さが50nmより浅くなると急激に劣化すること
がわかった。従って、従来型のCDと溝信号の互換性を
とろうとすると、オーバーライト耐久性をある程度犠牲
にしなければならなくなるが、その犠牲は最小限にとど
めたい。
【0015】一方、上記溝信号からくる制限とともに、
相変化媒体を利用したCD−E媒体では、繰り返しオー
バーライトによりウオブル信号が記録信号に漏れこむと
いう新たな劣化現象が見出された。浅溝化によるオーバ
ーライト耐久性を解消するために、細溝化を指向する
と、記録光ビーム端が溝壁に熱ダメージを与えるため
に、ウオブル信号に由来する信号の劣化が促進されると
考えられる。
【0016】さらに、溝底部も記録層の発熱により変形
を生じる。下部保護層は、熱絶縁効果により基板表面の
温度上昇を抑制するとともに、機械的に基板変形を押え
込む機能があるので、その熱伝導、機械物性からZn
S:SiO2混合膜等が広く用いられる。
【0017】本発明者らの検討によれば、CD規格との
互換性をとるための光学的要件から、下部保護層膜厚に
課される制限から、繰り返しオーバーライト耐久性と生
産性をともに満足することは極めて困難であることがわ
かった。上述のようなCD規格との互換性確保のために
課される付加的条件により、繰り返し可能回数はさらに
1桁以上少なくなり、数千回程度となる。
【0018】ウオブルは、書き換え可能なCDにおいて
も情報が記録されるべき未記録領域を検出する上で必須
のアドレス情報を付与するために必須の手法である。書
き換え可能CD媒体で、光磁気ディスクのようなセクタ
ー単位での記録書き換えを行うような使用方法は、まだ
確立されていないが、その場合には特定のセクターへの
書き換え回数が1000回を越えることは十分考えら
れ、上記オーバーライトによる劣化の問題は一層深刻な
ものとなる。
【0019】現行CDドライブとできるだけ互換性を取
りつつ、繰り返しオーバーライト耐久性を改善すること
が信頼性の高いCD−Eを実現するために、緊急の課題
であった。
【0020】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、蛇行する案内溝を設けた基板上に下部保護層、相変
化型記録層、上部保護層、反射層をこの順に設け、反射
率が15%以上25%以下の結晶状態を未記録状態と
し、反射率10%未満の非晶質状態を記録状態として、
案内溝内に基板の記録層とは反対側の面より集束光を用
いて光強度の2値以上の変調により、非晶質マークの記
録・再生・消去を行う光学的情報記録用媒体において、
記録層がMw(SbzTe1-z1-w(ただし、0≦w<
0.3、0.5<z<0.9、MはIn,Ga,Zn,
Ge,Sn,Si,Cu,Au,Ag,Pd,Pt,P
b,Cr,Co,O,S,Seのうち少なくとも1種)
の合金薄膜であり、その膜厚が15nm以上30nm以
下であり、下部保護層の膜厚が、結晶状態の反射率が極
小値となる膜厚より0nmを超えて30nm以下厚いこ
とを特徴とする光学的情報記録用媒体を提供することで
ある。
【0021】あるいは、蛇行する案内溝を設けた基板上
に第一下部保護層、第二下部保護層、相変化型記録層、
上部保護層、反射層をこの順に設け、反射率が15%以
上25%以下の結晶状態を未記録状態とし反射率10%
未満の非晶質状態を記録状態として、案内溝内に基板の
記録層とは反対側の面より集束光を用いて光強度の2値
以上の変調により非晶質マークの記録・再生・消去を行
う光学的情報記録用媒体において、記録層がMw(Sbz
Te1-z1-w(0≦w<0.3、0.5<z<0.9、
MはIn,Ga,Zn,Ge,Sn,Si,Cu,A
u,Ag,Pd,Pt,Pb,Cr,Co,O,S,S
eのうち少なくとも1種)の合金薄膜であり、その膜厚
が15nm以上30nm以下であり、第一下部保護層の
屈折率と基板の屈折率との差が0.05未満であり、第
二下部保護層の膜厚が結晶状態の反射率が極小値となる
最小膜厚より0nmを超えて30nm以下薄いことを特
徴とする光学的情報記録用媒体を提供することである。
【0022】本発明は相変化媒体を利用したCD−E
(書換可能コンパクトディスク、CD−Erasabl
e)の開発過程において、溝信号の互換性に留意し、A
TIP信号を記載するためのウオブルを形成することに
より、繰り返しオーバーライト時の劣化が促進されるこ
とを見出したことに起因する。詳細な評価結果の説明に
入る前に、本発明に用いられるような相変化媒体の構造
及び記録方法について説明しておく。
【0023】本発明の光学的記録用媒体は、基板には、
ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィンなどの透
明樹脂、あるいはガラスを用いることができる。なかで
も、ポリカーボネート樹脂はCDにおいて最も広く用い
られている実績もあり、安価でもあるので最も好まし
い。
【0024】相変化型記録層は、その上下を保護層で被
覆されていることが望ましい。さらに望ましくは図2に
示すように、基板1/誘電体下部保護層3/記録層4/
誘電体上部保護層5/反射層6の構成を有し、その上を
紫外線もしくは熱硬化性の樹脂で被覆(保護コート層
7)されていることが望ましい。
【0025】記録層4、保護層3,5、反射層6はスパ
ッタリング法などによって形成される。記録膜用ターゲ
ット、保護膜用ターゲット、必要な場合には反射層材料
用ターゲットを同一真空チャンバー内に設置したインラ
イン装置で膜形成を行うことが各層間の酸化や汚染を防
ぐ点で望ましい。
【0026】記録時の高温による変形を防止するため、
基板1表面には下部保護層3が、記録層4上には上部保
護層5が、通常は、10から500nmの厚さに設けら
れている。誘電体等からなる保護層の厚みが10nm未
満であると、基板1や記録膜4の変形防止効果が不十分
であり、保護層としての役目をなさない傾向がある。5
00nmを超えると誘電体自体の内部応力や基板1との
弾性特性の差が顕著になって、クラックが発生しやすく
なる。
【0027】上下の保護層の材料としては、屈折率、熱
伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意し
て決定される。一般的には透明性が高く高融点であるM
g,Ca,Sr,Y,La,Ce,Ho,Er,Yb,
Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Zn,Al,S
i,Ge,Pb等の酸化物、硫化物、窒化物やCa,M
g,Li等のフッ化物を用いることができる。
【0028】これらの酸化物、硫化物、窒化物、フッ化
物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率
等の制御のために組成を制御したり、混合して用いるこ
とも有効である。繰り返し記録特性を考慮すると誘電体
混合物がよい。より具体的にはZnSや希土類硫化物と
酸化物、窒化物、炭化物等の耐熱化合物の混合物が挙げ
られる。
【0029】これらの保護層の膜密度はバルク状態の8
0%以上であることが機械的強度の面から望ましい(T
hin Solid Films, 第278巻(19
96年)、74−81ページ)。混合物誘電体薄膜を用
いる場合には、バルク密度として下式の理論密度を用い
る。 ρ(バルク密度)=Σmi(各成分iのモル濃度)ρi
(単独のバルク密度) 本発明においては、特に下部保護層に関しては、下部保
護層を単層で形成する場合にはその膜厚を70nm以
上、150nm未満、好ましくは70nm以上、90n
m以下とする。好ましくい材質としては(ZnS)1-X
(SiO2X(ただし、0.13≦X≦0.17)であ
り、一方上部保護層の好ましい態様としては、厚さ20
nm以上、30nm以下の(ZnS)1-Y(SiO2Y
(ただし、0.18≦Y≦0.22)である。
【0030】また、下部保護層を2層構造にする場合に
は、基板側にある第一下部保護層の屈折率と基板の屈折
率の差が0.05未満であり、かつ記録層側の第二下部
保護層の膜厚は、結晶状態の時の反射率が極小値になる
最小膜厚より0nmを超えて30nm以下薄く、かつ第
一下部保護層と第二下部保護層を合わせた膜厚を70n
m以上、150nm未満、好ましくは70nm以上、9
0nm以下とするのが良い。
【0031】本発明の媒体の記録層は相変化型の記録層
であり、その厚みは15nmから30nmの範囲であ
る。CDと互換性をとれるほどのコントラストを得るた
めにこの範囲が好適である。15nm未満では反射率が
低くなりすぎ、30nmより厚いと熱容量が大きくなり
記録感度が悪くなる。
【0032】記録層としては後述の光学特性の制限か
ら、Sb70Te30共晶点近傍のSbTe合金を主成分と
する、Mw(SbzTe1-z1-w(ただし、0≦w<0.
3、0.5<z<0.9、MはIn,Ga,Zn,G
e,Sn,Si,Cu,Au,Ag,Pd,Pt,P
b,Cr,Co,O,S,Seのうち少なくとも1種)
合金薄膜が用いられる。この合金薄膜は結晶・非晶質い
ずれの状態も安定でかつ、両状態間の高速の相転移が可
能である。さらに、繰り返しオーバーライトを行った時
に偏析が生じにくいといった利点があり、最も実用的な
材料である。
【0033】より具体的で好ましい例として、AgαI
nβSbγTeη(ただし、3<α<10、3<β<
8、55<γ<65、25<η<35、6<α+β<1
3、α+β+γ+η=100)なる組成を有する記録層
があげられる。本発明者らの検討によれば、上記のよう
に組成を限定することにより、特にCD−Eとして高々
CD線速の6倍速程度でオーバーライトする場合に、繰
り返しオーバーライト耐久性と経時安定性にすぐれた組
成として選択的に用いることができることがわかった。
【0034】線速依存性は主成分であるSbとTeによ
って決まり、Sbが65at.%(原子%)を超えて含
まれると低線速での非晶質マーク形成が困難になり、5
5at.%未満では結晶化速度が遅すぎて十分消去でき
ない。この範囲内でSb/Te比が大きいほど結晶化速
度が速くなるが、層構成によって決まる熱分布を考慮し
て最適な組成が選ばれる。
【0035】Inは結晶化温度を上昇させて経時安定性
を高める効果があり、室温での保存安定性を確保するた
めには少なくとも3at.%以上は必要である。8a
t.%を超えて含まれると相分離が生じ易く、繰りしオ
ーバーライトにより偏析が起きやすくなるため好ましく
ない。
【0036】Agは成膜直後の非晶質膜の初期化を容易
にするために用いられる。初期化方法にもよるが10a
t.%以下の添加で十分であり、多すぎるとかえって経
時安定性を損ねるので好ましくない。また、AgとIn
をあわせて13at.%を超えることは繰り返しオーバ
ーライト時に偏析を生じ易いので好ましくない。
【0037】もう一種の好適な記録層の例としてMz
y(SbxTe1-x1-y-z(ただし、MはAgもしくは
Znの少なくとも1種であり、0.60≦x≦0.8
5、0.01≦y≦0.20、0.01≦z≦0.1
5、0.02≦y+z<0.30である)なる組成を有
する合金があげられる。これは上記のAgInSbTe
合金における低融点金属InおよびIn化合金の析出の
しやすさを改善することができる。
【0038】反射層を設けるのは、光学的な干渉効果を
より積極的に利用して信号振幅を大きくするためと、放
熱層として機能することで非晶質マークの形成に必要な
過冷却状態が得られやすいようにするためである。この
ため、反射層としては、高反射率、高熱伝導率の金属が
望ましく、具体的にはAu,Ag,Al等があげられ
る。しかしながら、より光学的な設計の自由度を増すた
めに、Si,Ge等の半導体を用いることもある。
【0039】経済的、および耐蝕性の観点からはAlに
Ta,Ti,Cr,Mo,Mg,Zr,V,Nb等を
0.5at.%以上、5at.%以下添加したAl合金
が望ましい。特に好ましくはTaとTiである。一般的
にAlに混合する不純物量が多いと熱伝導が低下する性
質を利用して熱伝導率を制御する。特に、Taの添加は
高耐蝕性材料が得られる(特開平1−169751号公
報)。また、最大5at.%までの低下により純Alの
1/3〜1/4まで熱伝導率を広範に制御できるという
利点もある。
【0040】反射層の組成及び膜厚は、非晶質形成のた
めに上部保護層を介して冷却する冷却速度を制御する観
点から最適化される。厚くしすぎると感度の低下を招く
ので200nm以下が望ましい。50nm未満では冷却
効果が不十分になりやすい。また、反射層の冷却効果を
有効に利用するためには、上部保護層膜厚は20nm以
上30nm以下が望ましい。
【0041】より具体的に好ましい例として、記録感度
を低下させず、十分な冷却効果を得るための層構成とし
て、上部保護層膜厚は25nm以上、30nm以下と厚
めで、反射層に高熱伝導率のAl1-VTaV、0.01≦
V≦0.02を50nm以上、150nm以下設けると
よい。
【0042】記録層及び保護層の厚みについてより詳し
く説明する。機械的強度、信頼性の面からの制限の他
に、多層構成に伴う干渉効果も考慮して、レーザー光の
吸収効率が良く、記録信号の振幅、すなわち記録状態と
未記録状態のコントラストが大きくなるように選ばれ
る。
【0043】CD−Eとして互換性を確保するために
は、CD規格で定められる変調度を高くとらねばならな
い。変調度は、図3に示されるようにEFM信号を記録
したときのDC再生信号(直流成分を含む再生信号)に
おいて、11Tマークのトップの信号強度Itopと、
信号振幅I11との比I11/Itopとして定義される。
Itopは実際上、未記録部(結晶状態)の溝内での反
射率に相当する。I11は相変化媒体の結晶部分と非晶質
部分から反射光の強度差及び位相差が問題となる。
【0044】反射光の強度差は基本的に結晶状態と非晶
質状態の反射率差で決まる。一方、幅1μm程度より狭
い溝内に記録した非晶質マークを、同程度の径の集束光
ビームで読み出した場合には平面波の干渉を考慮しなけ
ればならない。すなわち、非晶質マークと結晶状態の反
射光の間の位相差を考慮する必要がある。
【0045】位相差δは前述の多層構成を有する記録媒
体を、基板裏面側から再生光ビームを入射して反射光を
読み取る場合の、次式 δ=(結晶領域を通過した反射波の位相)−(非晶質領
域を通過した反射波の位相) によって定義される(図4参照)。δが負の場合は非晶
質状態の位相が進み、δが正の場合は結晶状態の位相が
進んでいることを意味する。
【0046】一方、グルーブ記録を行う場合、下式で表
される溝深さによる位相差が生じる。 Φ=(グルーブ部からの反射波の位相)−(ランド部か
らの反射波の位相) 基板面入射光から見て、ランド部の方が遠くに有り位相
が進むからΦ<0である。さきのδにΦが加わると、集
束光ビーム内で局所的な平面波の干渉が起こって、溝内
に記録された非晶質部の反射率が下がり、単なる結晶状
態と非晶質状態の反射率差以上にコントラストがとれる
場合がある。このための条件は −π<δ<0 である。ただし、位相は2πの周期で既約化できる。
【0047】本発明における基板上に下部保護層、記録
層、上部保護層、反射層を設けた4層構成においては、
下部保護層膜厚依存性が最も顕著である。図5に典型的
な4層構成における反射率及び結晶と非晶質の位相差の
計算例を示した。図5(a)は本発明記録層材料の例と
してAg5In6Sb60Te29記録層の場合、図5(b)
は有望な相変化媒体材料であるが本発明には適さないG
22Sb25Te43記録層の場合である。各層の屈折率は
実測値を用いている。また、記録層、上部保護層、反射
層はそれぞれ、20nm、22.5nm、200nmと
した。
【0048】下部保護層依存性を見る限り、通常は振幅
の変化は小さく、分母であるItop、すなわち結晶状
態の反射率に強く依存する。したがって、結晶状態反射
率は可能な限り低いことが望ましい。図5の計算例で
は、n=2.1の(ZnS)80(SiO220を想定し
たが、第1の極小値d1では60nm以上、80nm以
下、第2の極小値d2では250nm以上、270nm
以下になる。以後は周期的に変化する。
【0049】結晶状態の反射率が極小となる下部保護層
膜厚は反射率が高い記録層であれば実質上、保護層の屈
折率のみで決まる。この点は図5(a),(b)いずれ
においてもほぼ同じ極小点となることからわかる。
【0050】d1、d2に2.1/nをかければ、ほぼ他
の屈折率nにおける極小点膜厚が得られるが、通常n=
1.8〜2.3であるから、d1は高々85nm程度で
ある。下部保護層の屈折率が1.8よりも小さいと極小
点における反射率が増加して変調度が著しく低下し、
0.5未満となるので好ましくない。逆に、2.3以上
とすると、極小点の反射率が低くなりすぎ20%を達成
できず、フォーカスやトラッキングサーボが困難になる
ので好ましくない。
【0051】さて、位相差は前述のように非晶質状態の
位相差が進むことが望ましいが、あまり影響が大きいと
記録と同時に溝形状が変化するのと同等の効果が生じる
のでサーボが不安定になり易い。特に、溝深さによる位
相Φと結晶と非晶質の位相差δの和がπとなる近傍で
は、プッシュプル信号が得にくくなるので好ましくな
い。
【0052】溝深さによる位相差は、本発明の場合、高
々0.08πである。位相差δは0.5π未満であるこ
とが望ましい。
【0053】記録層の膜厚20nm付近では図5(b)
では、結晶状態反射率の極小点近傍で位相差δがπに近
くなるので好ましくない。また、下部保護層膜厚の変化
に対して、位相差δが急激に変化することも好ましくな
い。Ge22Sb25Te43記録層は、相変化媒体として有
望なGe2Sb2Te5組成近傍でありながら、反射率極
小点を利用する本発明記録媒体には適さないことがわか
る。
【0054】Sb70Te30共晶点近傍組成に高々30原
子%程度の添加元素を加えた本発明に係る記録層では、
図5(a)とほぼ類似の光学特性が発揮される。これ
は、従来GeTe−Sb2Te3擬似2元合金で提唱され
た他の発明と本発明との着眼点の大きな差である。
【0055】一般に、誘電体保護膜はZnS:SiO2
のような混合膜であろうと、Ta2 5のような化合物で
あろうと、金属膜に比べでスパッタ法による成膜レート
が極めて遅く、数分の1以下である。このため図5にお
ける第2の極小値となる膜厚は成膜時間がかかり好まし
くない。生産性の観点からは下部保護層膜厚は150n
m未満にとどめるのが望ましい。なぜなら、現状では誘
電体保護層のスパッタ法による成膜速度は高々15nm
/秒であり、その成膜に10秒以上かけることはコスト
を上昇させるからである。
【0056】また、膜厚変動の許容値が厳しくなるので
生産上好ましくない。すなわち、図5からわかるよう
に、反射率は所望の膜厚d0からΔdずれると、第1の
極小値d1近傍であろうが、第2の極小値d2近傍であろ
うが同じだけ変動する。一方、製造上膜厚分布はd0
対して何%かで決まり、通常はd0±2〜3%が均一性
の限度である。
【0057】従って、d0が薄いほど膜厚の変動幅Δd
は小さくなり、ディスク面内あるいはディスク間の反射
率変動を抑制できるので有利である。基板自公転機構を
有しない安価な静止対向タイプのスパッタ装置では、結
果として大量生産可能な第1の極小値d1近傍の膜厚を
採用せざるを得ない。
【0058】一方、基板変形を抑制するためには、ある
程度の下部保護層膜厚が必要である。図6に繰り返しオ
ーバーライト耐久性の下部保護層膜厚依存性を示した。
溝幅は0.55μmでほぼ一定である。下部保護層膜厚
が70nm未満になると、耐久性が急激に悪化する。特
に、繰り返し回数が数百回未満の初期に急激にジッタが
増加する。繰り返し初期のジッタの悪化は、下部保護層
膜厚に著しく依存する。
【0059】本発明者らの原子間力顕微鏡(AFM)に
よる観察によれば、この初期劣化は基板表面が2〜3n
m程度へこむ変形によるものであることがわかった。基
板変形を抑制するためには、記録層の発熱を伝えないた
めに熱絶縁効果があり、かつ、機械的に変形を押え込む
ような保護層膜厚が必要であり、この種の媒体に必要と
される最低1000回の耐久性を達成するためには、7
0nm以上好ましくは80nm以上が必要であることが
わかる。
【0060】従って、高変調度を維持しつつ、この種の
書き換え可能媒体に最低限必要とされる、1000回の
オーバーライト耐久性が実現するためには、Itopを
極小値近傍に保ちつつできるだけ厚い膜厚を狙う必要が
ある。この際、図5からわかるように位相差δは振幅が
取れない方向に動くが、たとえ結晶状態の位相が進むδ
>0の状態になっても、|δ|<0.5πであれば問題
無い。δ>0.5πとなると位相差の悪影響を及ぼし、
反射率差から期待される振幅がとれない。このための要
件は第1の極小点d1より0〜30nm以内の膜厚を採
用することである。
【0061】本発明のもう一つの形態として、上記位相
差を積極的に利用する方法がある。光学的には同一反射
率差に対して変調度が大きくとれ好ましい方向である。
このために反射率の極小点より0nmを超え30nm以
下薄い下部保護層を用いるのが好ましい。
【0062】しかし、図6から明らかに繰り返しオーバ
ーライト耐久性が不足している。これを解決するために
は、図7に示すように下部保護層3を第一下部保護層
3’と第二下部保護層3”の2層に分割するのが良い。
【0063】第二下部保護層3”より上の層構成の設計
は光学的な特性を優先して設計し、第二下部保護層3”
の膜厚を反射率の極小点より0nmを超え、30nm以
下、好ましくは2〜30nm薄くする。下部保護層3は
第一下部保護層3’と第二下部保護層3”の合計膜厚と
して70nm以上として機械的強度を増し、繰り返しオ
ーバーライト耐久性を改善するために用いる。
【0064】この際、第一下部保護層の屈折率n1を基
板の屈折率nsubとほぼ等しくすることにより、光学
的設計とは切り離して自由に膜厚を設計できるようにす
る。すなわち、光学的要件と耐久性要件を実際上独立し
て最適化できる。n1とnsubは全く等しいのが理想
であるが、その差が0.05未満であれば実際上問題は
ない。
【0065】代表的なポリカーボネート樹脂基板のns
ubは1.55であるから、n1として1.5から1.
6の誘電体を用いるのがよい。そのための材料としては
具体的にはSiO2やZnSとMgF2もしくはCaF2
との混合物がある。SiO2、SiC、Y23の混合
物、ZnS、SiO2、MgF2もしくはCaF2の混合
物がそれ自身の耐久性に優れており、より好ましい。こ
うして高変調度と生産性及び繰り返しオーバーライト耐
久性のバランスに配慮した層構成を採用することで記録
信号品質は低反射率であることを除いて、実質上CD互
換性を維持できる。
【0066】以下では、溝信号の互換性を考慮した場合
に、溝形状に由来する繰り返しオーバーライトによる劣
化現象が問題となることを実験例によって示す。
【0067】直径120mm、厚さ1.2mmの射出成
形されたポリカーボネート基板上に、溝ピッチは1.6
μmで、溝幅は約0.5μm、深さは約40nmの溝を
スパイラル上に設けた。溝には22.05kHzの信号
で、溝横断方向にウオブルを形成している。ウオブル振
幅は27nm、20nm、13.5nm、0nm(ウオ
ブルなし)の4種類とした。ウオブル振幅はCD−R規
格で定められた測定法によるが、絶対値そのものは参照
値で、相対的な大きさを管理できればよい。
【0068】この基板上に、下部保護層として(Zn
S)80(SiO220(mol%)を100nm、その
上に記録層としてAg5In6Sb61Te28を20nm、
上部保護層として(ZnS)80(SiO220を20n
m、反射層としてAl97.5Ta2 .5を100nm順次積
層し、この上に紫外線硬化樹脂(SD318、大日本イ
ンキ製)を数μmコートして相変化媒体を作成した。
【0069】なお、記録は溝内に行い、結晶領域中に非
晶質マークを形成した。この媒体に対して、いわゆるC
Dの2倍速(2.8m/s)で図8(a)に示すような
基準クロック周期Tに対して3Tから11Tの長さのマ
ーク長を記録するEFMランダム信号を用い繰り返しオ
ーバーライトを行った。EFM信号はCD規格において
用いられる。
【0070】記録は各長さの信号を図8(b)に示すパ
ルスに分割する方法を用いており、記録パワーPwは1
1mW、消去パワーPeは6mW、バイアスパワーPb
は0.8mWである。信号品質はもっとも厳しい3Tジ
ッタで評価した。結果を図9に示す。
【0071】ジッタは2倍速では17.5nsec程度
より小さいことがCDの規格上必要である。図9から明
らかなように、ウオブル振幅のない溝では10000回
のオーバーライト後もほとんどジッタの劣化はないが、
ウオブル振幅の増大とともに、劣化が著しくなり、10
00回程度で劣化が著しくなることがわかる。
【0072】上記、ウオブルの存在による劣化促進のメ
カニズムは必ずしも明らかではないが、図10に示すよ
うに、記録用光ビーム9の一部が溝の側壁10に照射さ
れやすくなるためではないかと考えられる。
【0073】すなわち、トラッキングサーボがかかった
集束光ビーム9はウオブルの蛇行には追従せず、溝中心
部を直進して行く。溝壁10の蛇行があれば、図10の
ように光ビーム9が、わずかではあるが溝壁10に照射
されやすくなる(図10はウオブル振幅を誇張して描い
てあるが、この傾向は正しいと考えられる)。溝壁10
は薄膜の密着性が悪い溝壁部や溝角部で応力集中が起き
やすい等により、繰り返しオーバーライト時の熱ダメー
ジによる劣化が起きやすいと考えられるので、ここに光
ビームの一部でも照射されれば、劣化は促進されると考
えられる。
【0074】図11はウオブル振幅及び溝深さはそれぞ
れ20nm,31nmで一定とし、溝幅を変化させた場
合の繰り返しオーバーライト耐久性を示した。測定方法
及び層構成は図9と同様に行った。初期ジッタはいずれ
も10nsec程度である。相変化媒体の溝記録では深
溝、細溝であるほど耐久性が良いという傾向があるが、
ウオブルが存在する場合、溝幅が狭すぎるとかえって上
述の溝壁部の劣化現象が顕著になるため劣化が著しいこ
とがわかる。
【0075】すなわち、繰り返しオーバーライト耐久性
の面から溝幅に制限があり、0.4μm以上0.6μm
以下であることが望ましい。より好ましくは0.45μ
m以上、0.55μm以下である。
【0076】CDの互換性の観点からは、たとえば特開
平8−212550号公報に開示されたような溝信号に
配慮する必要がある。この特許で好ましいとして具体的
に開示されている溝形状は、溝深さ50〜60nm、溝
幅0.3〜0.6μmである。本発明者らの検討によれ
ば、上記変調度、生産性、繰り返しオーバーライト耐久
性を考慮した層構成においては、溝深さが45nm未満
でなければ、記録後のプッシュプル値が0.1より過剰
に大きくなりやすい、記録後のラジアルコントラスト値
が0.6以上と記録前の値0.1〜0.2に比べて過剰
に大きくなり、サーボの安定性に問題が生じることがわ
かった。
【0077】ここでラジアル・コントラストRCは以下
のように定義される。 RC=2(IL−IG)/(IL+IG) ここで、IL、IGはそれぞれランド部、グルーブ部にの
反射光強度である。反射光強度はトラック中心に対して
左右に配置された光検出器の和信号I1+I2である。実
際はフォーカスサーボのみをかけて得られるトラック横
断信号の溝部とランド部強度を測定する。記録前後で定
義されるが、記録後のラジアル・コントラストは記録に
よる反射率低下部の信号強度を低域通過フィルタによっ
て平均化した強度を用いる。
【0078】一方、記録後のプッシュプル値PPaは、
やはり、差信号の平均値を用いて、 PPa=(I1−I2)/Itop で定義される。
【0079】いずれも一般的な定義(「コンパクトディ
スク読本」、中島平太郎、小川博司共著、オーム社、第
1版、第6章6節等に詳しい解説がある)であるが、よ
り詳しくは、CDの規格書(レッドブック、オレンジブ
ック)に明記されている。同じCD互換の書換媒体であ
りながら、前記特許ではドライブ設計に関わる溝信号等
を規定しているが、それ実施するためのディスクの具体
的構成については実施例における下部保護層膜厚がすべ
て200nmである。このため、具体的に例示されてい
る溝深さの推奨値が50〜60nmと深めになってい
る。
【0080】前記公開特許との差違が生じるのは下部保
護層膜厚が本発明範囲を超えて厚いことによると考えら
れる。すなわち、下部保護層膜厚が厚いと、溝が埋めら
れて記録層面で見た溝形状が実質上浅くなるため、溝形
状を深めに設定する必要があったと考えられる。
【0081】本発明は光学特性のみならず、信頼性・生
産性のバランスを考慮して記録媒体の層構成と溝形状を
セットで設計した点で、上記公知文献とは全体的な設計
思想に大きな相違が存在し、結果として実施の態様に差
が生じたと言わざるをえない。
【0082】一方、溝深さを浅くしすぎるとスタンパ製
造や基板の成形が困難になる、あるいはラジアル・コン
トラストやプッシュプルの下限規格を下回るため、25
nmより浅くはできない。図6に示す繰り返しオーバー
ライト耐久性の溝深さ依存性を考慮すれば30〜40n
mであることが一層望ましい。
【0083】溝幅は記録後のラジアル・コントラストの
観点から0.45μm以上、ウオブルと溝形状に関した
オーバーライト耐久性の観点から0.6μm以下である
ことが望ましい。0.6μmより広いと相変化媒体一般
の現象として、また、0.4μmより狭いとウオブルの
存在によるオーバーライト耐久性による劣化が著しくな
るので好ましくない。より好ましくは0.45μm以上
0.55μm以下である。本発明は、低反射率ながらC
Dと互換性のある書き換え可能媒体を意図したために生
じる種々の制約を克服し、単なる最適化の手順を超えて
トレードオフ要因間のバランスをとるための具体的方策
を見出したものである。個々の要素のみに注目すれば先
行する相変化媒体技術を飛躍的に超えるものではない
が、CD互換書き換え可能媒体の産業上の利用価値は大
きい。
【0084】
【実施例】以下、CDとの互換性を考慮しつつ高信頼
性、高生産性を達成したCD−E媒体の具体例について
実施例を用いて説明するが、本発明は、その要旨を越え
ない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0085】実施例1−1、実施例1−2 表1、2には、ウオブル振幅は一定とし、溝幅及び溝深
さを変化させた場合の繰り返しオーバーライト耐久性、
光学特性、溝信号特性をまとめた。実験に用いた層構成
は下部保護層(ZnS)80(SiO220が80nm、
Ag5In5Sb60Te30記録層20nm、上部保護層
(ZnS)80(SiO220が23nm、反射層Al98
Ta2が100nmである。
【0086】(ZnS)80(SiO220保護層の膜密
度は3.5g/cm3で理論的バルク密度3.72g/
cm3の94%であった。すべての薄膜はスパッタ法で
真空を解除せずに作成した。また、基板は射出成形で作
成した。各層組成は蛍光X線分析、原子吸光分析、X線
励起光電子分光法等を組み合わせて確認した。成膜直後
の記録層は非晶質であり、バルクイレーザー(日立コン
ピュータ機器、POP120、商品名)により線速3m
/sで初期化パワー500mWを照射して全面結晶化さ
せ初期(未記録)状態とした。このパワーでは記録層は
いったん溶融して再凝固する再に結晶化していると考え
られる。
【0087】下部保護層膜厚は図5の反射率の極小点d
1=75nmより5nm厚くしている。基板は厚さ1.
2mmのポリカーボネート基板で、射出成形により1.
6μmピッチで振幅、周期、変調信号等CD−R規格
(オレンジブック、パート2)に準じたウオブルが形成
されている。
【0088】記録には図8のパルスストラテジーを用い
た。記録パワーPwと消去パワーPe、バイアスパワー
Pbはそれぞれ12mW、6mW、0.8mWとした。
このパワー近傍において最も良好なジッタが得られた。
記録用光学ヘッドは波長780nm、NA=0.55で
あり、記録時の線速はいわゆるCD線速の2倍速(2.
4m/s)である。
【0089】オーバーライト耐久性の回数とは2倍速で
繰り返しオーバーライトしたときに3Tマークのジッタ
がCD規格の上限値である17.5nsc以下に保たれ
る回数とした。また、同表には記録後のラジアルコント
ラスト値RCb、RCaも記入されているが、深溝化で
溝深さが45nmを超すとRCaが0.6を上回るよう
になり好ましくない。
【0090】また50nmより深くなると記録後のプッ
シュプルPPaが0.1を上回るようになり好ましくな
い。また、溝内反射率が低下して、15%ぎりぎりもし
くはそれ以下となり、トラッキングサーボが不安定にな
った。溝幅は0.4〜0.6μmの範囲でないと繰り返
しオーバーライト回数1000回が達成できない。溝深
さが25nm未満であると記録前後のラジアルコントラ
スト比が0.3を大きく下回り、また繰り返しオーバー
ライト回数も500−600回未満となり好ましくな
い。
【0091】実施例2−1、実施例2−2 実施例2−1及び実施例2−2では、下部保護層を反射
率の極小近傍(75nm、及び250nm)となる2つ
の膜厚80nm(実施例2−1)と、260nm(実施
例2−2)でディスクを作成した。いずれも同一スパッ
タ装置内で作成した。保護層の膜密度はバルクの約93
%であった。
【0092】記録層Ag5In6Sb59Te30の膜厚は2
0nm、上部保護層膜厚は23nm、反射層は100n
mである。光学的には同等の特性が得られる。しかし、
反射率分布を測定した結果、図12、図13に示すよう
に、明らかに実施例2−2の260nmの方がディスク
面内の反射率分布が大きいという結果が得られた。
【0093】ここで図12、図13はそれぞれ実施例2
−1、2−2のディスクの反射率の半径方向分布を示
す。図中、中央の折れ線は各半径における平均値、上下
の点折れ線は各半径における最大値と最小値を示す。変
動率がわかりやすいように全測定点の平均値を<Rto
p>として、<Rtop>で規格化している。
【0094】周方向分布も含めると実施例2−2では平
均値+11%、−7%の範囲になった。一方、実施例2
−1では平均値±6%に収まった。本実験ではスパッタ
成膜装置において平均値±約3%の膜厚分布を生じてい
るので、各々±約2.5nm、8nmの分布を含んでい
る。これは現状の静止対向型スパッタ装置では極めて良
好な部類の分布である。
【0095】一方、いずれの膜厚でも同一の膜厚変化Δ
dに対して同じだけ反射率が変化するから、±約8nm
も分布がある実施例2−2の場合は反射率分布が大きく
なる。反射率分布は同一ディスク面内では±10%に入
るのが光ディスクでは望ましい。この観点から、また、
成膜時間・材料コストも約1/3になることから、生産
性の観点からは明らかに最初の極小点近傍の下部保護層
膜厚を用いることが望ましいことが確認された。
【0096】実施例3 Ag5In5Sb59Te31記録層を20nm、(ZnS)
80(SiO220上部保護層を23nm、Al98Ta2
射層を100nmとし、下部保護層ZnS:SiO2
組成及び膜厚依存性を検討した。溝深さは35nm、溝
幅は0.53μmである。
【0097】ZnS:SiO2混合膜の屈折率nabは、
ZnS(屈折率na=2.3)、SiO2(屈折率nb
1.45)のモル比に比例して決まる。すなわち、(Z
nS) 1-m(SiO2mなる組成に対して、 nab=na(1−m)+nbm である。
【0098】図14に、m=0.15、0.20、0.
25の場合の、第1の反射率極小点近傍での反射率及び
変調度の下部保護層膜厚依存性を示した。変調度につい
ては図中各点の近くに数値で示している。
【0099】SiO2のモル比が大きくなり、屈折率が
低下すると極小点における反射率が増加する。この場合
変調度を大きく低下させずに厚膜化できる範囲が狭くな
り、高々5nm程度である。一方、SiO2を減らして
m=0.15とし屈折率を大きくすると、溝内反射率1
5%を維持するためにはむしろ極小点をはずす必要があ
る。10〜20nm厚膜化する余地が生じ、同一の反射
率・変調度を維持しつつ、オーバーライト耐久性を向上
できる。
【0100】図6で示したようにこの膜厚領域では5n
mでも厚膜化した方が耐久性に有利である。実際、図1
5に図14中に1、2、3として示した下部保護層にお
ける繰り返しオーバーライト耐久性を図11と同様に評
価した結果を示す。特に、図中3で示した下部保護層が
光学的特性、繰り返しオーバーライト耐久性のバランス
がとれ、本発明の好適な例であることがわかる。
【0101】ただし、保護層自身の耐久性はm=0.2
0がベストであり、mとして0.1未満は好ましくな
い。また、mが0.3より大であると経時安定性に問題
があるのでやはり好ましくない。上下の保護層とも同一
組成を用いるか、下部保護層は0.13≦m≦0.1
7、上部保護層は0.18≦m≦0.22として若干組
成差(屈折率差)をつけるかは、光学的要件の厳しさに
より適宜選択できる。
【0102】実施例4 実施例1−1(b)の基板及び層構成において、記録層
のみをZn3Ge8Sb 61Te28合金層に変更して同様に
ディスクを作成し、バルクイレーザーで初期化した後、
図8の記録パルスストラテジーを照射してCDの2倍速
でのオーバーライトを行った。Pw=13mW,Pe=
6.5mW、Pb=0.8mWの時、ジッタはクロック
周期T=115nsecの10%未満、変調度は0.7
0、反射率は18.1%、PPa=0.076、RCb
=0.16、RCa=0.51(RCb/RCa=0.
31)を得た。繰り返しオーバーライト耐久性は200
0回以上であった。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ウォブルの説明図である。
【図2】 本発明に関わる光学的記録用媒体の一例を示
す説明図である。
【図3】 変調度の説明のための図である。
【図4】 位相差δの説明図である。
【図5】 4層構成における反射率と、結晶と非晶質の
位相差の説明図である。
【図6】 オーバーライト耐久性と、下部保護層膜厚の
関係を説明する図である。
【図7】 本発明に関わる光学的記録用媒体の一例を示
す説明図である。
【図8】 EFMランダム信号の一例を示す図である。
【図9】 ウォブル振幅によるオーバーライト特性の変
化を説明するための図である。
【図10】 ウォブルと記録用光ビームの関係の説明図
である。
【図11】 溝幅によるオーバーライト特性の変化を説
明するための図である。
【図12】 本発明の実施例におけるディスクの反射率
の分布の説明図である。
【図13】 本発明の実施例におけるディスクの反射率
の分布の説明図である。
【図14】 反射率と変調度の下部保護層膜厚依存性を
説明する図である。
【図15】 下部保護層膜厚に対するオーバーライト耐
久性を説明する図である。
【符号の説明】 1 基板 2 溝 3 下部保護層 4 記録層 5 上部保護層 6 反射層 7 保護コート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G11B 7/24 535 G11B 7/24 535H 561 561M (72)発明者 坪谷 奏子 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 堀江 通和 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (56)参考文献 特開 平8−63781(JP,A) 特開 平8−315425(JP,A) 特開 平8−321077(JP,A) 特開 平5−89519(JP,A) 特開 平1−211249(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛇行する案内溝を設けた基板上に下部保
    護層、相変化型記録層、上部保護層、反射層をこの順に
    設け、反射率が15%以上25%以下の結晶状態を未記
    録状態とし反射率10%未満の非晶質状態を記録状態と
    して、案内溝内に基板の記録層とは反対側の面より集束
    を用いて光強度の2値以上の変調により、非晶質マー
    クの記録・再生・消去を行う光学的情報記録用媒体にお
    いて、 記録層がMw(SbzTe1-z1-wただし、0≦w<
    0.3、0.5<z<0.9、MはIn,Ga,Zn,
    Ge,Sn,Si,Cu,Au,Ag,Pd,Pt,P
    b,Cr,Co,O,S,Seからなる群より選ばれる
    少なくとも1種)合金薄膜であり、その膜厚が15nm
    以上30nm以下であり、 下部保護層の膜厚が、結晶状態の反射率が極小値となる
    膜厚より0nmを超えて30nm以下厚いことを特徴と
    する光学的情報記録用媒体。
  2. 【請求項2】 下部保護層が厚さ70nm以上、150
    nm以下の(ZnS)1-X(SiO2X (ただし、0.
    13≦X≦0.17であり、上部保護層が厚さ20n
    m以上、30nm以下の(ZnS)1-Y(SiO2
    Y (ただし、0.18≦Y≦0.22である請求項1
    記載の光学的情報記録用媒体。
  3. 【請求項3】 蛇行する案内溝を設けた基板上に第一下
    部保護層、第二下部保護層、相変化型記録層、上部保護
    層、反射層をこの順に設け、反射率が15%以上25%
    以下の結晶状態を未記録状態とし反射率10%未満の非
    晶質状態を記録状態として、案内溝内に基板の記録層と
    は反対側の面より集束光を用いて光強度の2値以上の変
    調により、非晶質マークの記録・再生・消去を行う光学
    的情報記録用媒体において、 記録層がMw(SbzTe1-z1-wただし、0≦w<
    0.3、0.5<z<0.9、MはIn,Ga,Zn,
    Ge,Sn,Si,Cu,Au,Ag,Pd,Pt,P
    b,Cr,Co,O,S,Seのうち少なくとも1種)
    合金薄膜であり、その膜厚が15nm以上30nm以下
    であり、 第一下部保護層の屈折率と基板の屈折率との差が0.0
    5未満であり、第二下部保護層の膜厚が結晶状態の反射
    率が極小値となる最小膜厚より0nmを超えて30nm
    以下薄いことを特徴とする光学的情報記録用媒体。
  4. 【請求項4】 案内溝の深さが25nm以上45nm以
    下、幅が0.4μm以上0.μm以下である請求項1
    乃至3のいずれかに記載の光学的情報記録用媒体。
  5. 【請求項5】 下部保護層の膜厚又は第一下部保護層と
    第二下部保護層の合計の膜厚が70nm以上90nm以
    下であり、上部保護層の膜厚が10nm以上30nm以
    下であり、反射層が50nm以上200nm以下のAl
    1-VV (ただし、0.005≦V≦0.05、MはTa
    又はTiである請求項1乃至4のいずれかに記載の光
    学的情報記録用媒体。
  6. 【請求項6】 相変化型記録層が、AgαInβSbγ
    Teη(ただし、3<α<10、3<β<8、55<γ
    <65、25<η<35、6<α+β<13、α+β+
    γ+η=100である請求項1乃至5のいずれかに記
    載の光学的情報記録用媒体。
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