JP3254760B2 - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents

内燃機関用スパークプラグ

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JP3254760B2
JP3254760B2 JP28762192A JP28762192A JP3254760B2 JP 3254760 B2 JP3254760 B2 JP 3254760B2 JP 28762192 A JP28762192 A JP 28762192A JP 28762192 A JP28762192 A JP 28762192A JP 3254760 B2 JP3254760 B2 JP 3254760B2
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discharge
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明夫 加藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、同一の電極に負極の電
圧を印加しても、また正極の電圧を印加しても、良好な
火花放電が可能な内燃機関用スパークプラグを提供する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に使用される中心電極と接地電極と
の間の印加電圧により放電を生じさせる内燃機関用スパ
ークプラグは、中心電極側に負の高電圧を印加する(こ
の状態を以下負極性と称す)。
【0003】しかしながら、最近は、複数のスパークプ
ラグに高電圧を分配供給するディストリビューターを廃
止するディストリビューターレスの傾向が強くなり、こ
の傾向とともに、負極性のみの放電でなく、正の高電圧
をスパークプラグの中心電極に印加する(この状態を以
下正極性と称す)点火装置が多く採用されるようになっ
てきた。
【0004】しかしながら、正極性方式において良好な
火花放電を生じさせるスパークプラグとするためには、
以下の如く、従来のスパークプラグの構造では、数々の
問題が生じていた。
【0005】即ち、図12に示す従来の一般的なスパー
クプラグの構造では、負極性においては、中心電極30
に負極の高電圧が印加され、中心電極30が針とみなさ
れ、接地電極31が平板にみなされる、いわゆる負針対
正平板と呼ばれる電極構成を形成する。
【0006】この場合は、火花放電が発生する直前の高
電圧印加時に局部電界の強い針側、つまり中心電極側の
先端近傍で混合気が局所的な電離を発生し、負に帯電さ
れた電子と正に帯電された正イオンが発生する。ここで
生成された電子は、その質量が非常に小さく、移動しや
すいために正平板側、即ち接地電極側へ飛び去る。それ
に対して、生成された正イオンは、その質量が大きく中
心電極30近傍から移動しにくいため、中心電極近傍の
空間にとどまることとなる。そのため、この正イオンと
負高電圧の印加された中心電極の先端との間で、さらな
る高電界が形成され、火花放電発生がさらに容易にな
る。そのため、中心電極に負極の高電圧を印加した場合
には、低い放電電圧で放電可能となり問題は生じない。
【0007】しかしながら、正極性の場合では、中心電
極に正高電圧が印加されることとなり、中心電極30を
針とみなし、接地電極31を平板にみなすと、いわゆる
正針対負平板の電極構成を形成することとなる。
【0008】この場合には、中心電極先端近傍で局所的
な電離が発生したとしても、上述の如くとどまる正イオ
ンと正高電圧の印加された中心電極の間では高電界は形
成されることがない。そのため、中心電極に正極の高電
圧を印加した場合には、高い放電電圧が必要となってし
まうという問題が生じる。
【0009】即ち、従来の一般的な構成を有するスパー
クプラグを負極性、正極性の双方の使用を行う場合、特
に正極性においては、多大な高電圧が必要となってしま
うという問題が生じてしまうのである。
【0010】一方、近年においては、エンジン補機類の
増加により、スパークプラグの脱着は困難さを増してお
り、脱着しなくてもよい長寿命のスパークプラグが要求
されているが、図12に示されるような一般的なプラグ
では、中心電極30および接地電極31はNi基耐熱合
金でできており、火花による電極消耗が著しく、そのた
めに火花ギャップが拡大し、3〜5万km走行で放電が不
可能となり、交換せざるをえない。
【0011】その上、正の高電圧が印加された電極に
は、電子が衝突するだけであるのに対して、負の高電圧
が印加された電極には、その電極の近傍に発生した、電
子に比べてはるかに大きな質量を有した正イオンが衝突
し、この電極の損失を増大させるため、電極消耗は主に
負の高電圧が印加される電極の方が正の高電圧が印加さ
れる電極よりも大きくなる。
【0012】そして、一般的に、電極が高温になるほど
その消耗が著しくなることもまた知られていることか
ら、特に従来のスパークプラグを正極性として使用した
場合には、接地電極がより内燃機関のシリンダー内に位
置するため中心電極より高温になっているだけでなく、
接地電極が負の高電圧を印加されているので、より消耗
が著しくなってしまう。そのため、従来のスパークプラ
グに正極性方式を採用するということは、電極、特に接
地電極の消耗が非常に大きくなりプラグの寿命がさら
に、短くなるという問題が生じてしまう。
【0013】以上のように、従来のスパークプラグの形
状では、仮に、負極性だけでなく、正極性を施した場合
には、より高い放電電圧が必要となってしまうばかりで
なく、電極の消耗も著しくなってしまうという問題が生
じていた。
【0014】以上のような問題を解決するために、従来
では、長寿命を達成するために、英国特許第976,7
98号明細書に示されるスパークプラグが提案されてい
る。これは、中心電極を白金などの貴金属より成る柱状
形状とすることによって、火花消耗が少なく、電極の寿
命を長くすることができるというものである。
【0015】また、低い放電電圧の達成においては、従
来では、例えば、特開昭60−220586号公報に示
されている如く、接地電極を多極化して、火花の起点を
多く設け、放電電圧の低い起点で放電させる方法が考え
られてきた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、英国特
許第976,798号明細書に記載されるスパークプラ
グの如く構成では、有効に利用される貴金属は、使用さ
れる貴金属の一部であり、ほとんどの貴金属は、スパー
クプラグの寿命とともに無駄なものとなってしまという
問題が生じてしまう。
【0017】さらに、特開昭60−220586号公報
に記載されるようなスパークプラグにおいてもまた、正
極性では接地電極の消耗が大きく、単に中心電極に貴金
属を配しても、長寿命を達成することができないという
問題が生じてしまう。
【0018】そこで、本発明は、上記問題点を鑑みて得
られたものであり、例え、正極性であっても負極性であ
っても、放電電圧を低くすることができるとともに、長
寿命を達成することのできるスパークプラグを提供する
ことを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、金属
ハウジングと、該金属ハウジングに内包されることによ
って固定される絶縁碍子と、該絶縁碍子に保持されると
ともに、前記絶縁碍子の一端より突出した中心電極と、
一端が前記金属ハウジングに固定されるとともに、他端
面が前記絶縁碍子より突出した前記中心電極の一端側側
面と対向することによって、火花間隔を有する複数の火
花ギャップを形成する複数の接地電極と、複数の前記火
花ギャップを形成する前記中心電極と前記接地電極の複
数の対向面に設けられ、かつ前記中心電極および前記接
地電極のそれぞれに一か所ずつのみ設けられた貴金属チ
ップと、からなる内燃機関用スパークプラグを提供する
ものである。
【0020】
【作用】上記手段を採用することによって、放電初期に
おいては、中心電極と複数の接地電極によって形成され
る複数の火花ギャップは、すべてほぼ同一のギャップ間
隔の場合には、火花放電は、全ての火花ギャップにおい
て発生する。
【0021】しかし放電を継続させる内に、負の高電圧
を印加され、かつ貴金属チップを設けられていない中心
電極または接地電極の対向面の消耗が、負の高電圧を印
加され、かつ貴金属チップが設けられている中心電極ま
たは接地電極の対向面の消耗よりもはやいために、負の
高電圧を印加され、かつ貴金属チップの有しない対向面
を有する火花ギャップが大きくなる。そのため、負の高
電圧を印加され、かつ貴金属チップが設けられている対
向面を有する火花ギャップにおける、火花放電の頻度が
高くなる。
【0022】さらに、放電を経ると、負の高電圧を印加
された中心電極または接地電極に設けられた貴金属チッ
プもまた、火花放電によって、消耗され、次第に他の火
花ギャップと同一の火花ギャップ間隔となり、再び、火
花放電は、すべての火花ギャップにおいて、発生するよ
うになる。
【0023】また、複数の火花ギャップが異なるギャッ
プ間隔を有する場合には、放電初期から最もギャップ間
隔がせまい箇所での放電頻度が高くなる。しかしなが
ら、この火花放電により、電極の対向面が消耗されやが
て複数の火花ギャップのギャップ間隔がほぼ同一とな
る。その後は上述と同様の作用が繰り返される。
【0024】すなわち、複数のギャップの火花間隔がど
のような間隔であっても上記作用を繰り返しながら、火
花放電は継続して行われることとなるのである。以上の
ようにして、すべての対向面に貴金属チップを設けるこ
となく、長寿命のスパークプラグを得ることができる。
【0025】さらには、複数の火花ギャップが設けられ
ているので、放電電圧もまた、低く抑えることが可能と
なった。
【0026】
【発明の効果】本発明の内燃機関用スパークプラグを採
用することによって、正極性であっても負極性であって
も、放電電圧を低くすることができるとともに、長寿命
を達成することのできるスパークプラグを提供すること
ができた。
【0027】
【実施例】図1は内燃機関に使用されるスパークプラグ
の断面構造を示したものであり、図2は、本発明の要部
拡大図である。
【0028】本発明の第1実施例の内燃機関用スパーク
プラグは、金属材料によって構成された円筒状のハウジ
ング1を備え、このハウジング1の下方部の外周にはね
じ溝1aが形成されている。このハウジング1は、ねじ
溝1aを用いて図示しない内燃機関のシリンダヘッド部
に装着されるもので、ガスケット2によってシリンダヘ
ッドに取り付けられた状態で気密が保持されるようにし
ている。
【0029】また、ハウジング1の内部には、筒状の絶
縁碍子3の下端部が同軸的に嵌め込み設定されるもの
で、この絶縁碍子3の中空部3a部分には、この絶縁碍
子3の下端部分に対応して中心電極4が挿入固定されて
いる。この中心電極4は内材が銅で構成され、外材がN
i 基合金によって構成された円柱体でなり、その先端部
が絶縁碍子3の下端から露出されるようにしている。
【0030】絶縁碍子3の中空部3aの上半部分には中
軸5が挿入されており、絶縁碍子3の上方に突出する中
軸5の端部は、点火電圧信号の供給される端子6を構成
している。この絶縁碍子3の中空部3aの中軸5の端部
と中心電極4の上端との間には、ノイズ対策としての抵
抗体7および導電性のグラスシール部材8が介在されて
おり、この抵抗体7およびグラスシール部材8によって
中軸5と中心電極4とが加熱溶着され、電気的に導通接
続されるようになっている。
【0031】この様にして絶縁碍子3によって保持さ
れ、かつ絶縁碍子3の下端から露出された中心電極4
は、一側面において、平坦面4aを有する柱状形状をな
し、この平坦面4aに、貴金属チップ10が設けられた
構造となっている。
【0032】さらに、中心電極4に取り付けられた貴金
属チップ10に対向する位置には、ハウジング1の端面
1aから一体的に延出された接地電極13が設定され、
この接地電極13の端面13aが貴金属チップ10に対
向するように設けられるとともに、この接地電極13の
端面13aには、第2のチップ11が溶接して取り付け
られ、この貴金属チップ10と貴金属チップ11との間
に第1の火花ギャップ14が形成されている。
【0033】ここで、この貴金属チップ10および貴金
属チップ11は、Pt78wt%−Ir20wt%−N
i2wt%の白金合金で直径0.9mmで厚さ0.4mmの
円盤状のチップを中心電極に抵抗溶接して設けられてい
る。
【0034】さらにまた、ハウジング1の端面1aに
は、接地電極13とは別に接地電極15がハウジング1
と一体的に、かつ接地電極15の端面15aが、中心電
極4の平坦面4aに対向する面に対して対向するように
設けられ、この中心電極4と接地電極15との間で第2
の火花ギャップ16が形成されている。
【0035】次に、第1実施例のスパークプラグの中心
電極4の製法を図3を用いて、詳細に説明する。第1実
施例においては、中心電極4の側面に貴金属チップ10
を接合するために、安価で工数の小さな抵抗溶接を用い
た。その際中心電極4の側面は曲面であるので、平板状
の貴金属チップ10のすわりが悪く作業性が悪い。ま
た、中心電極4と貴金属チップ10との溶接部が線溶融
となるので過剰に発熱してしまい、中心電極材が溶融四
散してしまい、バリ、外観不良等を発生するという問題
が生ずる。そのため、これを防止するために溶接電流を
低下させると充分溶接されず、接合不良を発生し歩溜ま
りが悪かった。
【0036】以上の問題を解決するために、第1実施例
においては、中心電極4の側面の一部を平坦加工するこ
とを見出したのである。即ち、あらかじめ、中心電極の
一側面に平坦部4aを形成しておく。そして、図3
(a)および(b)に示されるように、はじめに中心電
極4の曲面に沿った溝20aが形成される溶接電極の4
aに中心電極4を固定し、平坦部4a上に貴金属チップ
10を抵抗溶接にて固定するのである。
【0037】このような方法を採用することによって、
貴金属チップ10と中心電極4とは、面接触させること
ができるので、貴金属チップ10を確実に中心電極に固
定させることがてきるだけでなく、この平坦部4aが、
貴金属チップ10を固定する箇所の目じるし、または基
準とすることができ製法を容易にすることができる。
【0038】また、他の製法として、溶接時の中心電極
の座りを良くするために、図7に示すように貴金属チッ
プ10を接合する部位と反対側の部位に平坦部4bを形
成するとより好適である。ここで、図中22,23は溶
接電極である。
【0039】次に、第1実施例のスパークプラグの作用
を説明する。まずはじめに、第1実施例のスパークプラ
グを負極性、即ち、中心電極4に負の高電圧を印加させ
た場合の飛火状況と火花消耗による火花ギャップ増加に
ついて述べる。
【0040】第1実施例のスパークプラグにおいては、
走行初期において、第1の火花ギャップ14と第2の火
花ギャップ16とは、同一寸法に設定してある。そのた
め、火花放電は、この第1および第2の火花ギャップ1
4、16にて均等に発生する。
【0041】走行を経るに従い、火花放電によって、中
心電極4の接地電極15と対向する面である貴金属チッ
プの設けられていない側面が主に消耗し、第1ギャップ
14よりも第2ギャップ16の間隔が増加する。そのた
め、火花放電の発生頻度は、火花間隔が狭く、放電の容
易な第1火花ギャップ14で多く生じるようになる。
【0042】さらに、走行を続けると、第1火花ギャッ
プ14を形成する貴金属チップ10および11が徐々に
消耗し、やがて第2火花ギャップ16と同一の火花間隔
となり、再び第1および第2火花ギャップ14、16の
双方において、火花放電が生じるようになる。
【0043】第1実施例のスパークプラグを負極性で採
用すると以上のような放電作用を生じる。次に、第1実
施例のスパークプラグを正極性、即ち、中心電極4に正
の高電圧を印加させた場合の飛火状況と火花消耗による
火花ギャップ増加について述べる。
【0044】第1実施例のスパークプラグにおいては、
走行初期においては、上述の如く、第1の火花ギャップ
14と第2の火花ギャップ16とは、同一寸法に設定し
てある。そのため、火花放電は、この第1および第2の
火花ギャップ14、16にて均等に発生する。
【0045】走行を経るに従い、接地電極15の端面1
5aの消耗が接地電極13の端面13aの消耗よりも、
貴金属チップ11が接地電極15に設けられていない分
だけ著しく、そのため第2火花ギャップ16が第1火花
ギャップ14よりも広くなってしまう。そのため、火花
放電の発生頻度が、火花ギャップの狭い第1火花ギャッ
プ14に、多く発生することとなる。
【0046】さらに、走行を続けると、貴金属チップ1
0、11が火花放電によって消耗し、やがて第2火花ギ
ャップとほぼ同一の火花ギャップとなる。そのため、火
花放電が再び、第1および第2火花放電ギャップにおい
て生じるようになる。
【0047】以上のように、本発明の第1実施例のスパ
ークプラグにおいては、正極生および負極性において
も、貴金属チップを中心電極と接地電極の対向する面に
すべて設ける必要がなく、ある所定の一つの放電面に設
けることによって、所望の寿命に相当する必要十分な貴
金属チップによって、十分な長寿命化を達成することが
できることを見出すことができ、溶接工数が大巾に減少
しコストが安価で経済的な構成を得ることができる。
【0048】さらに、火花消耗に供される箇所は、従来
の如く、第1ギャップ14の貴金属チップ10および1
1のみでなく、第2ギャップ16の中心電極材、接地電
極材も火花消耗に寄与するので、一層長寿命化を図るこ
とができる。
【0049】次に走行中の放電電圧の推移について述べ
る。この時、第1比較例として、図13に示すように、
英国特許第976,798明細書に開示される如く、中
心電極32に、耐消耗のための柱状の貴金属部材よりな
る貴金属部材33の側面に対して、接地電極34の端面
に設けられた貴金属部材35が対向しているスパークプ
ラグを採用した。
【0050】即ち、中心電極32の先端に直径0.9mm
で長さ2mmの白金合金から成る棒33をアルゴン溶接し
てある。かつ接地電極34の先端にも同様の白金合金棒
35をアルゴン溶接し、白金合金棒32の側面に、白金
合金棒35の先端面を対向し、火花ギャップを形成し
た。
【0051】また、第2比較例として、図14の如く、
2本の接地電極40、41の端面40aおよび41aが
中心電極42の側面に対向しているスパークプラグに、
特開昭60−220586号公報に開示されている如
く、単に中心電極42の火花放電が生ずる接地電極4
0、41と対向している面に耐消耗性の貴金属チップ4
3a、43bを設けた。
【0052】この時、接地電極40、41の端面40a
および41aに対向する中心電極42の側面に白金合金
で直径0.9mm,厚さ0.4mmの円盤状の貴金属チップ
43a、43bを抵抗溶接で接合した。
【0053】以上の第1比較例、第2比較例および上記
第1実施例のスパークプラグの走行中における放電電圧
の変位を図5に示す。この時、放電電圧は、スロットル
全開で1000rpmの条件に統一して測定し、その時
のエンジンは、水冷6気筒2000ccとし、正負両極性
の点火装置により運転してみた。(尚、この点火装置の
場合、第1〜3気筒が正極性,第4〜6気筒が負極性と
なっている。)また、図中Aは、第1実施例のスパーク
プラグを正極性の気筒に装着した時の放電電圧推移を示
す。図中Bは、第1実施例のスパークプラグを負極性の
気筒に装着した時の放電電圧推移を示す。図中Cは、第
1比較例のスパークプラグを負極性の気筒に装着した時
の放電電圧推移を示す。図中Dは、第2比較例のスパー
クプラグを正極性の気筒に装着した時の放電電圧推移を
示す。
【0054】第1実施例のスパークプラグを正極性とし
て採用した場合には、図中Aの如く、走行初期において
電極(主に接地電極側)のエッジ部が火花消耗により、
R面となることにより放電電圧はかなり急に上昇する。
その後ギャップ増加に伴ないなだらかに上昇してゆく。
しかし前述したように正極性時に負針(接地電極)対正
平板(中心電極側面)の電極構成になっていることと白
金合金チップによりギャップ増加が抑制されていること
により、10万Km走行後でも電圧は25.5KVと低く
保たれており、点火装置の限界である30KVに対して
大きな余裕がある。
【0055】また、第1実施例のスパークプラグを負極
性として採用した場合においても、図中Bの如く、図中
Aに対して若干高い放電電圧を示したが、同様の推移は
10万Km走行後で26.5KV程度で点火装置限界に対
して大きな余裕がある。さてこの場合正針(接地電極)
対負平板(中心電極側面)という放電電圧が高くなる電
極構成にもかかわらず、放電電圧が低く抑制されてい
る。この理由は、以下の如く説明できる。
【0056】即ち、接地電極が複数あることにより、放
電発生の可能な部位が増加し放電しやすい部位、即ち放
電電圧が低い部位で放電する。加えて接地電極が複数に
なることにより、中心電極を接地電極で取り囲むことに
なり、中心電極と接地電極間の等電位面がひずみ、中心
電極近傍の電界が強化されるためである。
【0057】それに対して、第1比較例を負極性として
採用した場合には、図中Cの如く、正針対負平板の電極
構成であるために、放電電圧は著しく上昇し、走行距離
8万Kmで点火装置限界の30KVに達してしまう。
【0058】また、第2比較例においても、図中Dの如
く、放電電圧が高くなってしまった。これは、以下の理
由で火花消耗によるギャップ増加が非常に大きくなるか
らである。
【0059】火花放電における消耗は、電離された気体
の正イオンが電極に衝突、スパッタリングを発生するこ
とに起因する。つまり主に負極電極が消耗する。また電
極温度が高い程火花消耗は促進される。つまり正極性で
は接地電極が負極となり主に消耗し、加えてエンジン運
転中は中心電極に比べ接地電極の温度が高くなることか
ら、接地電極の消耗は非常に大きくなる。ここで第2比
較例では、接地電極に耐火花消耗性良好な貴金属チップ
が設けられていないので、火花ギャップは非常に拡大し
てしまう。
【0060】尚、第1比較例で、正極性として採用した
場合には、図中Aの特性とほぼ同様な結果となる。また
第2比較例において、負極性として採用した場合には、
第1実施例のスパークプラグの図中Bの特性とほぼ同様
の結果を得ることができた。
【0061】以上のように、従来の構成のスパークプラ
グおよび単に従来の技術を組み合わせたスパークプラグ
では、到底本発明の第1実施例に相当する優れた特性を
得ることができなかった。
【0062】次に、本発明の第2実施例を図6に示す。
第2実施例においては、接地電極13の先端面13aに
貴金属チップ11が接合してあり、中心電極4と貴金属
チップ11との間で、第1火花ギャップ14を形成して
いる。また、先端面に貴金属チップを設置してない接地
電極15の先端面を対向する中心電極4の側面に形成さ
れた平坦面4a上には、貴金属チップ10が接合してあ
り、接地電極15と貴金属チップ10との間で火花ギャ
ップ16が形成されている。
【0063】ここで、第2実施例による作用を説明する
と、正極性の場合には、当初においては、第1ギャップ
14および第2ギャップ16ともほぼ同一のギャップに
設定してある。そこで、放電を開始すると、正極性のた
め、接地電極側の消耗が中心電極側よりも激しくなる。
特に、第2実施例の場合には、接地電極15側には、貴
金属チップが設けられていないために、接地電極15の
端面が消耗し、第1火花ギャップよりも第2火花ギャッ
プが大きくなる。そのため、火花放電の放電頻度が、第
1ギャップ14で大きくなる。
【0064】さらに、放電を継続すると、第1火花ギャ
ップ14を形成する貴金属チップ11が消耗していき、
やがて、第1火花ギャップ14と第2火花ギャップ16
とがほぼ同一のギャップ間隔となり、再び第1および第
2火花ギャップに火花放電が生じるようになる。
【0065】次に、負極性の場合には、当初において
は、第1ギャップ14および第2ギャップ16ともほぼ
同一のギャップを有している。そこで、放電を開始する
と、負極性のため、中心電極4側の消耗が接地電極1
3、15よりも激しくなる。特に、第2実施例の場合に
は、中心電極4の接地電極13と対向する側面には、貴
金属チップが設けられていないために、中心電極4の接
地電極13と対向する面が消耗し、第2火花ギャップ1
6よりも第1火花ギャップ14が大きくなる。そのた
め、火花放電の放電頻度が、第2ギャップ16で大きく
なる。
【0066】さらに、放電を継続すると、第2火花ギャ
ップ16を形成する貴金属チップ10が消耗していき、
やがて、第1火花ギャップ14と第2火花ギャップ16
とがほぼ同一のギャップ間隔となり、再び第1および第
2火花ギャップに火花放電が生じるようになる。
【0067】以上を繰り返すことによって、第1火花ギ
ャップ14と第2火花ギャップ16は相等しく大きくな
る。以上のように、第2実施例のスパークプラグを採用
したとしても、このような火花放電を発生させることに
よって、長寿命且つ低電圧放電が可能なスパークプラグ
を得ることができるのである。
【0068】第2実施例のスパークプラグの場合の電圧
推移は図1で示した第1実施例と同じであり、即ち、図
5中のAおよびBの特性を示し、大きな放電電圧の低減
効果があった。
【0069】以上のように、白金合金チップは対向する
必要性はなく、複数接地電極の中の任意のただ1つの先
端面に設置され、かつ複数接地電極の先端面に対向する
任意の1ヶ所の中心電極側面に設置されていれば良いの
である。
【0070】以下にその他の実施例を示す。図7は接地
電極を3本設けた例で図9(a)は上面図、図9(b)
は正面図である。
【0071】このような構成とすることによって、スパ
ークプラグの耐久性をさらに向上させることができた。
尚、我々発明者らは、接地電極6本まで確認したが上述
の如く、放電電圧低減に対して大きな効果を確認した。
【0072】また、本発明は、貴金属チップが対向して
いなくても良い。図8〜図11は中心電極方向から見た
接地電極先端面の白金合金チップの接合状況の様々な実
施例を示す図である。
【0073】接合する貴金属の形状は、図8の如く、デ
ィスク状の貴金属チップ25を接地電極13に溶接接合
させてもよいし、図9の如く、矩形の貴金属チップ26
を接地電極13に溶接接合してよい。即ち、所望の寿命
が得られれば、貴金属チップの形状は、特に限定される
ものではない。
【0074】さらに、貴金属チップの接地電極の接合方
法については、図10の如く、接地電極27の外側側面
に溝27aを作り、その中に矩形のチップ23を収めて
接合してもよいし、また、図示していないが、接地電極
内側側面に同様に接地しても良い、さらには、溝を作ら
なくても良い。また、図11の如く、接地電極29の先
端面に溝29aを作り、貴金属チップ30を収め接合し
た例である。
【0075】以上のようにどんな接合状況でも良く、よ
うするに所望の寿命に相当する貴金属チップを配するれ
ばよいのである。また、中心電極側も同様にどんな接合
状況でも良く、所望の寿命に相当する貴金属チップを配
すればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の全体半断面図である。
【図2】本発明の実施例の要部拡大図である。
【図3】(a)および(b)は本発明のスパークプラグ
の製造方法の一実施例を示す説明図である。
【図4】(a)および(b)は本発明のスパークプラグ
の製造方法の他の一実施例を示す説明図である。
【図5】第1実施例のスパークプラグおよび他の比較例
のスパークプラグにおける走行距離と放電電圧との関係
を示す特性図である。
【図6】本発明の他の実施例のスパークプラグを示す要
部拡大図である。
【図7】(a)は、本発明の他の実施例のスパークプラ
グを示す要部拡大上面図であり、(b)は、その正面図
である。
【図8】本発明の他の貴金属チップ形状を説明する説明
図である。
【図9】本発明の他の貴金属チップ形状を説明する説明
図である。
【図10】本発明の他の貴金属チップの取付構造を説明
する説明図である。
【図11】本発明の他の貴金属チップの取付構造を説明
する説明図である。
【図12】従来技術を示す要部拡大図である。
【図13】従来技術を示す要部拡大図である。
【図14】従来技術を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
4 中心電極 10 貴金属チップ 11 貴金属チップ 13 接地電極 15 接地電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01T 13/00 - 21/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属ハウジングと、 該金属ハウジングに内包されることによって固定される
    絶縁碍子と、 該絶縁碍子に保持されるとともに、前記絶縁碍子の一端
    より突出した中心電極と、 一端が前記金属ハウジングに固定されるとともに、他端
    面が前記絶縁碍子より突出した前記中心電極の一端側側
    面と対向することによって、火花間隔を有する複数の火
    花ギャップを形成する複数の接地電極と、 複数の前記火花ギャップを形成する前記中心電極と前記
    接地電極の複数の対向面に設けられ、かつ前記中心電極
    および前記接地電極のそれぞれに一か所ずつのみ設けら
    れた貴金属チップと、 からなることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
  2. 【請求項2】 前記貴金属チップは、前記中心電極と前
    記接地電極の対向する複数の対向面の内、互いに対向す
    るように設けられていることを特徴とする請求項1記載
    の内燃機関用スパークプラグ。
  3. 【請求項3】 前記貴金属チップは、前記中心電極と前
    記接地電極の対向する複数の対向面の内、互いに対向し
    ないように設けられていることを特徴とする請求項1記
    載の内燃機関用スパークプラグ。
  4. 【請求項4】 前記中心電極の前記接地電極と対向し、
    かつ前記貴金属チップを設ける箇所には、平坦面が形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の内燃機関用
    スパークプラグ。
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JP4956579B2 (ja) * 2008-06-04 2012-06-20 日本特殊陶業株式会社 内燃機関用スパークプラグ及びその製造方法
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