JP3253769B2 - クロルヘキシジン含有殺菌消毒組成物 - Google Patents
クロルヘキシジン含有殺菌消毒組成物Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、クロルヘキシジン塩類
を含有する殺菌消毒組成物であって、該クロルヘキシジ
ン塩類のセルロース組成物への吸着を防止するのに十分
な量のサリチル酸またはサリチル酸ナトリウム及びポリ
オキシエチレン系非イオン界面活性剤を含有するクロル
ヘキシジン殺菌消毒組成物に関する。
を含有する殺菌消毒組成物であって、該クロルヘキシジ
ン塩類のセルロース組成物への吸着を防止するのに十分
な量のサリチル酸またはサリチル酸ナトリウム及びポリ
オキシエチレン系非イオン界面活性剤を含有するクロル
ヘキシジン殺菌消毒組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】クロルヘキシジン塩類は殺菌消毒効果を
有し、従来からこのクロルヘキシジン溶液を綿花等のセ
ルロース組成物に浸み込ませたものが皮膚の殺菌消毒等
に用いられてきた。しかし、クロルヘキシジン塩類は優
れた殺菌消毒剤であるが、綿花等のセルロース組成物に
吸着されるため、殺菌消毒効果が著しく低下するという
問題があった。
有し、従来からこのクロルヘキシジン溶液を綿花等のセ
ルロース組成物に浸み込ませたものが皮膚の殺菌消毒等
に用いられてきた。しかし、クロルヘキシジン塩類は優
れた殺菌消毒剤であるが、綿花等のセルロース組成物に
吸着されるため、殺菌消毒効果が著しく低下するという
問題があった。
【０００３】この問題を解決するため、種々の技術が開
発されてきた。例えば、２価以上の金属塩の添加による
吸着防止法（特公昭52-31925号）、高級アルコール硫酸
エステル塩の添加による吸着防止法（特公昭52-37044
号）、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤の添加
による吸着防止法（特公昭53-20568号）および塩化ナト
リウムの添加による吸着防止法（特公昭62-19869）など
がそれである。
発されてきた。例えば、２価以上の金属塩の添加による
吸着防止法（特公昭52-31925号）、高級アルコール硫酸
エステル塩の添加による吸着防止法（特公昭52-37044
号）、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤の添加
による吸着防止法（特公昭53-20568号）および塩化ナト
リウムの添加による吸着防止法（特公昭62-19869）など
がそれである。
【０００４】しかしながら、これらの吸着防止法は、い
づれも完全に満足し得るものではない。例えば、２価以
上の金属塩の添加法では、吸着防止効果の良い塩化カル
シウムは局所刺激作用が強いという欠点を有する。ま
た、高級アルコール硫酸エステル添加法では、クロルヘ
キシジンの殺菌力が減退するという問題があり、さらに
高級アルコール硫酸エステル自体が皮膚に対して望まし
くない作用（浸透性、刺激性）を有するという欠点もあ
る。ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤添加法で
は、吸着防止には高濃度の添加が必要であること、さら
に高濃度の添加時にクロルヘキシジンの殺菌力が減退す
るという欠点がある。塩化ナトリウム添加法では、吸着
防止効果が不十分であり、さらに高濃度添加時にクロル
ヘキシジンと塩化ナトリウムの相互作用による沈澱の生
成があり、クロルヘキシジンの有効量が低下するために
殺菌力が減退するという欠点がある。
づれも完全に満足し得るものではない。例えば、２価以
上の金属塩の添加法では、吸着防止効果の良い塩化カル
シウムは局所刺激作用が強いという欠点を有する。ま
た、高級アルコール硫酸エステル添加法では、クロルヘ
キシジンの殺菌力が減退するという問題があり、さらに
高級アルコール硫酸エステル自体が皮膚に対して望まし
くない作用（浸透性、刺激性）を有するという欠点もあ
る。ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤添加法で
は、吸着防止には高濃度の添加が必要であること、さら
に高濃度の添加時にクロルヘキシジンの殺菌力が減退す
るという欠点がある。塩化ナトリウム添加法では、吸着
防止効果が不十分であり、さらに高濃度添加時にクロル
ヘキシジンと塩化ナトリウムの相互作用による沈澱の生
成があり、クロルヘキシジンの有効量が低下するために
殺菌力が減退するという欠点がある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、クロ
ルヘキシジン塩類のセルロース組成物への吸着を防止
し、殺菌消毒効果の優れた殺菌消毒組成物を提供するこ
とにある。
ルヘキシジン塩類のセルロース組成物への吸着を防止
し、殺菌消毒効果の優れた殺菌消毒組成物を提供するこ
とにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、クロルヘ
キシジン塩類のセルロース組成物への吸着を防止し、殺
菌消毒効果の優れた殺菌組成物を開発するため鋭意研究
を重ねた結果、クロルヘキシジン溶液に、サリチル酸ま
たはサリチル酸ナトリウムと共にポリオキシエチレン系
非イオン界面活性剤を添加することにより、低濃度のポ
リオキシエチレン系非イオン界面活性剤でクロルヘキシ
ジンのセルロース組成物への吸着を有効に防止すること
ができることを見出し、本発明を完成した。
キシジン塩類のセルロース組成物への吸着を防止し、殺
菌消毒効果の優れた殺菌組成物を開発するため鋭意研究
を重ねた結果、クロルヘキシジン溶液に、サリチル酸ま
たはサリチル酸ナトリウムと共にポリオキシエチレン系
非イオン界面活性剤を添加することにより、低濃度のポ
リオキシエチレン系非イオン界面活性剤でクロルヘキシ
ジンのセルロース組成物への吸着を有効に防止すること
ができることを見出し、本発明を完成した。
【０００７】従って、本発明は、クロルヘキシジン塩類
を含有する殺菌消毒組成物であって、該クロルヘキシジ
ン塩類のセルロース組成物（例えば、綿花）への吸着を
防止するに十分な量のサリチル酸またはサリチル酸ナト
リウム及びポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤が
添加されていることを特徴とするクロルヘキシジン殺菌
消毒組成物に関する。
を含有する殺菌消毒組成物であって、該クロルヘキシジ
ン塩類のセルロース組成物（例えば、綿花）への吸着を
防止するに十分な量のサリチル酸またはサリチル酸ナト
リウム及びポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤が
添加されていることを特徴とするクロルヘキシジン殺菌
消毒組成物に関する。
【０００８】さらに本発明は、クロルヘキシジン塩類を
含有する水溶液をセルロース組成物に浸み込ませること
からなる殺菌消毒組成物の製造法であって、該クロルヘ
キシジン塩類の該セルロース組成物への吸着を防止する
ためにサリチル酸またはサリチル酸ナトリウム及びポリ
オキシエチレン系非イオン界面活性剤を該水溶液に添加
することを特徴とするクロルヘキシジン殺菌消毒組成物
の製造方法に関する。
含有する水溶液をセルロース組成物に浸み込ませること
からなる殺菌消毒組成物の製造法であって、該クロルヘ
キシジン塩類の該セルロース組成物への吸着を防止する
ためにサリチル酸またはサリチル酸ナトリウム及びポリ
オキシエチレン系非イオン界面活性剤を該水溶液に添加
することを特徴とするクロルヘキシジン殺菌消毒組成物
の製造方法に関する。
【０００９】本発明に係わる殺菌消毒組成物を調製する
には、クロルヘキシジン塩類、サリチル酸またはサリチ
ル酸ナトリウム、ポリオキシエチレン系非イオン界面活
性剤及び所望によりその他の成分を常法により精製水に
溶解し、得られた液体成分をセルロース組成物に浸み込
ませればよい。
には、クロルヘキシジン塩類、サリチル酸またはサリチ
ル酸ナトリウム、ポリオキシエチレン系非イオン界面活
性剤及び所望によりその他の成分を常法により精製水に
溶解し、得られた液体成分をセルロース組成物に浸み込
ませればよい。
【００１０】本発明でいうクロルヘキシジン塩類とは、
クロルヘキシジンジグルコネート（住友製薬製）、クロ
ルヘキシジンハイドロクロライド（住友製薬製）、クロ
ルヘキシジンジアセテート（Ｆluka製）などである。本
発明に係る組成物中の液体成分に対してクロルヘキシジ
ン塩類の濃度は０．０１〜０．１重量％の範囲に調製さ
れるのが好ましい。
クロルヘキシジンジグルコネート（住友製薬製）、クロ
ルヘキシジンハイドロクロライド（住友製薬製）、クロ
ルヘキシジンジアセテート（Ｆluka製）などである。本
発明に係る組成物中の液体成分に対してクロルヘキシジ
ン塩類の濃度は０．０１〜０．１重量％の範囲に調製さ
れるのが好ましい。
【００１１】サリチル酸またはサリチル酸ナトリウムの
濃度は本発明に係る組成物中の液体成分に対して０．０
５〜０．５重量％の範囲であるのが好ましい。
濃度は本発明に係る組成物中の液体成分に対して０．０
５〜０．５重量％の範囲であるのが好ましい。
【００１２】ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤
としては、人体に無害なものから選ばれる。例えば、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ポリオ
キシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシ
エチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリエチレング
リコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリ
オキシエチレンセチルエーテル（以上、日光ケミカルズ
製）などを用いることができる。本発明に係る組成物中
の液体成分に対してポリオキシエチレン系非イオン界面
活性剤の濃度は１〜３重量％の範囲であるのが好まし
い。
としては、人体に無害なものから選ばれる。例えば、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ポリオ
キシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシ
エチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリエチレング
リコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリ
オキシエチレンセチルエーテル（以上、日光ケミカルズ
製）などを用いることができる。本発明に係る組成物中
の液体成分に対してポリオキシエチレン系非イオン界面
活性剤の濃度は１〜３重量％の範囲であるのが好まし
い。
【００１３】本発明の殺菌消毒組成物中に含まれ得るそ
の他の成分としては、局所麻酔剤、毛細血管収縮剤、肉
芽形成剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、キレート剤、ビ
タミン剤などの通常殺菌消毒剤に含有される薬効成分、
例えば塩酸ジブカイン、塩酸ナファゾリン、アラントイ
ン、グリチルリチン酸ジカリウム、塩酸ジフェンヒドラ
ミン、マレイン酸クロルフェニラミン、エデト酸、塩酸
ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリ
ウム、アズレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられ
る。さらに、清涼化剤、清式剤、ｐＨ調節剤、基剤など
の添加剤、例えばメントール、カンフル、エタノール、
イソプロパノール、塩酸、酢酸（ナトリウム）、コハク
酸（２ナトリウム）、水酸化ナトリウムなどを適宜配合
することができる。なお、液性は通常の殺菌消炎剤溶液
の範囲であればよく、ｐＨ３．０〜８．０の範囲が好ま
しい。
の他の成分としては、局所麻酔剤、毛細血管収縮剤、肉
芽形成剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、キレート剤、ビ
タミン剤などの通常殺菌消毒剤に含有される薬効成分、
例えば塩酸ジブカイン、塩酸ナファゾリン、アラントイ
ン、グリチルリチン酸ジカリウム、塩酸ジフェンヒドラ
ミン、マレイン酸クロルフェニラミン、エデト酸、塩酸
ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリ
ウム、アズレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられ
る。さらに、清涼化剤、清式剤、ｐＨ調節剤、基剤など
の添加剤、例えばメントール、カンフル、エタノール、
イソプロパノール、塩酸、酢酸（ナトリウム）、コハク
酸（２ナトリウム）、水酸化ナトリウムなどを適宜配合
することができる。なお、液性は通常の殺菌消炎剤溶液
の範囲であればよく、ｐＨ３．０〜８．０の範囲が好ま
しい。
【００１４】本発明に係る組成物の構成成分の一つであ
るセルロース組成物としては、綿花、不織布、ガーゼ等
がその代表的なものである。実用的には、一定の形状に
加工成形した綿花や不織布に本発明の液状殺菌消毒組成
物を浸み込ませたもの、更に、該液状組成物をガーゼに
浸み込ませた後乾燥し、これをバンソウコウに付着させ
て救急バンソウコウとしたものなども本発明に包含され
る。
るセルロース組成物としては、綿花、不織布、ガーゼ等
がその代表的なものである。実用的には、一定の形状に
加工成形した綿花や不織布に本発明の液状殺菌消毒組成
物を浸み込ませたもの、更に、該液状組成物をガーゼに
浸み込ませた後乾燥し、これをバンソウコウに付着させ
て救急バンソウコウとしたものなども本発明に包含され
る。
【００１５】本発明の殺菌消毒組成物は人体、動物、機
械、器具その他の殺菌消毒に用いることができる。例え
ば消毒綿、殺菌消毒ガーゼ、救急バンソウコウ、手拭
き、洗顔用綿、にきび用剤として用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
械、器具その他の殺菌消毒に用いることができる。例え
ば消毒綿、殺菌消毒ガーゼ、救急バンソウコウ、手拭
き、洗顔用綿、にきび用剤として用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
【００１６】
【実施例】試験１ 綿花に対するクロルヘキシジンジグルコネートの吸着現
象を経時的に調べた。局方綿花１ｇに０．０１％、０．
０５％、０．１％のクロルヘキシジンジグルコネート溶
液１０mlを浸み込ませたものをガラス容器に入れ、密栓
して２５℃で保存し、一定期間後に綿花を圧縮して得ら
れる溶液中に残存するクロルヘキシジンジグルコネート
の濃度をＨＰＬＣ法により測定した。結果を図１に示
す。図１から明らかな様に、クロルヘキシジンジグルコ
ネートの濃度は非常に早く低下し、この傾向は初期濃度
が低いほど顕著であることがわかる。クロルヘキシジン
ジグルコネート０．０１％では、わずか１日で大部分の
クロルヘキシジンジグルコネートが綿花に吸着されてし
まうことがわかる。尚、綿花に浸み込ませないクロルヘ
キシジンジグルコネートを同一条件で保存したものは、
全く濃度低下を示さなかった。
象を経時的に調べた。局方綿花１ｇに０．０１％、０．
０５％、０．１％のクロルヘキシジンジグルコネート溶
液１０mlを浸み込ませたものをガラス容器に入れ、密栓
して２５℃で保存し、一定期間後に綿花を圧縮して得ら
れる溶液中に残存するクロルヘキシジンジグルコネート
の濃度をＨＰＬＣ法により測定した。結果を図１に示
す。図１から明らかな様に、クロルヘキシジンジグルコ
ネートの濃度は非常に早く低下し、この傾向は初期濃度
が低いほど顕著であることがわかる。クロルヘキシジン
ジグルコネート０．０１％では、わずか１日で大部分の
クロルヘキシジンジグルコネートが綿花に吸着されてし
まうことがわかる。尚、綿花に浸み込ませないクロルヘ
キシジンジグルコネートを同一条件で保存したものは、
全く濃度低下を示さなかった。
【００１７】試験２ ０．０１、０．０５及び０．１重量％のクロルヘキシジ
ンジグルコネート溶液に、ＨＣＯ−６０（日光ケミカル
ズ製 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油）及びサリチル
酸ナトリウムを種々の濃度になるように添加したクロル
ヘキシジングルコネート溶液におけるクロルヘキシジン
の綿花への吸着防止効果を調べた。局方綿花１gに上記
溶液１０mlを浸み込ませたものをガラス容器に入れ、密
栓して２５℃で保存し、保存後３日目に綿花を圧縮して
得られる溶液中に残存するクロルヘキシジンの濃度をＨ
ＰＬＣ法により測定した。結果を表１に示す。また、ク
ロルヘキシジンジグルコネート０．０５％溶液でのクロ
ルヘキシジンジグルコネートの綿花への吸着防止に対す
るサリチル酸ナトリウムとＨＣＯ−６０の配合効果を図
２に示す。表１及び図２から明らかな様に、ＨＣＯ−６
０の添加により、クロルヘキシジンジグルコネートの綿
花への吸着は抑制されるが、さらにサリチル酸ナトリウ
ムの添加によりクロルヘキシジンジグルコネートの綿花
への吸着がより一層抑制される。例えば、クロルヘキシ
ジンジグルコネート濃度が０．０５重量％の場合、ＨＣ
Ｏ−６０を１．０重量％添加すると、無添加での残存率
約５０％に比べ残存率は約６７％と残存率の上昇はわず
かであるが、さらにサリチル酸ナトリウムを０．２重量
％添加すると、残存率は約９７％であり、クロルヘキシ
ジンジグルコネートの綿花への吸着がほぼ完全に抑制さ
れる。
ンジグルコネート溶液に、ＨＣＯ−６０（日光ケミカル
ズ製 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油）及びサリチル
酸ナトリウムを種々の濃度になるように添加したクロル
ヘキシジングルコネート溶液におけるクロルヘキシジン
の綿花への吸着防止効果を調べた。局方綿花１gに上記
溶液１０mlを浸み込ませたものをガラス容器に入れ、密
栓して２５℃で保存し、保存後３日目に綿花を圧縮して
得られる溶液中に残存するクロルヘキシジンの濃度をＨ
ＰＬＣ法により測定した。結果を表１に示す。また、ク
ロルヘキシジンジグルコネート０．０５％溶液でのクロ
ルヘキシジンジグルコネートの綿花への吸着防止に対す
るサリチル酸ナトリウムとＨＣＯ−６０の配合効果を図
２に示す。表１及び図２から明らかな様に、ＨＣＯ−６
０の添加により、クロルヘキシジンジグルコネートの綿
花への吸着は抑制されるが、さらにサリチル酸ナトリウ
ムの添加によりクロルヘキシジンジグルコネートの綿花
への吸着がより一層抑制される。例えば、クロルヘキシ
ジンジグルコネート濃度が０．０５重量％の場合、ＨＣ
Ｏ−６０を１．０重量％添加すると、無添加での残存率
約５０％に比べ残存率は約６７％と残存率の上昇はわず
かであるが、さらにサリチル酸ナトリウムを０．２重量
％添加すると、残存率は約９７％であり、クロルヘキシ
ジンジグルコネートの綿花への吸着がほぼ完全に抑制さ
れる。
【００１８】
【表１】
【００１９】試験３ （１）供試菌株 表皮ブドウ球菌（Staphylococcus epidermidis ATCC 1
2228） アクネ菌（Propionibacterium acnes ATCC 11827） （２）操作法 本発明品及び対照品（０．０５重量％クロルヘキシジン
ジグルコネート溶液）について殺菌力テストを行った。
本発明品及び対照品の試料それぞれ２０mlに表皮ブドウ
球菌（Staphylococcusepidermidis）及びアクネ菌（Pro
pionibacterium acnes）の菌懸濁液（１０7〜１０8個／
ml）０．２mlを接種し、１、５、１０、６０分間作用さ
せた。各時間毎に接種試料の内１mlをとり、すぐに滅菌
生理食塩水で１００倍希釈し、その内１mlを２枚のメン
ブランフィルターでろ過する。ろ過後約２５０mlのペプ
トン水（大五栄養化学製）で洗浄し、培地（Staphyloco
ccus epidermidis はブレインハートインフュージョン
培地（ＢＢＬ製）、Propionibacterium acnes はＧＡＭ
ブイヨン（日水製薬製）を使用）を浸み込ませたパッド
上で３０℃にて培養し、コロニー数より生菌数Ｎ’（試
料）を求め、接種菌数Ｎに対する生菌残存率を算出し、
これを殺菌力とした。なお、Propionibacterium acnes
はＢＢＬ製ガスパックシステムで培養する。
2228） アクネ菌（Propionibacterium acnes ATCC 11827） （２）操作法 本発明品及び対照品（０．０５重量％クロルヘキシジン
ジグルコネート溶液）について殺菌力テストを行った。
本発明品及び対照品の試料それぞれ２０mlに表皮ブドウ
球菌（Staphylococcusepidermidis）及びアクネ菌（Pro
pionibacterium acnes）の菌懸濁液（１０7〜１０8個／
ml）０．２mlを接種し、１、５、１０、６０分間作用さ
せた。各時間毎に接種試料の内１mlをとり、すぐに滅菌
生理食塩水で１００倍希釈し、その内１mlを２枚のメン
ブランフィルターでろ過する。ろ過後約２５０mlのペプ
トン水（大五栄養化学製）で洗浄し、培地（Staphyloco
ccus epidermidis はブレインハートインフュージョン
培地（ＢＢＬ製）、Propionibacterium acnes はＧＡＭ
ブイヨン（日水製薬製）を使用）を浸み込ませたパッド
上で３０℃にて培養し、コロニー数より生菌数Ｎ’（試
料）を求め、接種菌数Ｎに対する生菌残存率を算出し、
これを殺菌力とした。なお、Propionibacterium acnes
はＢＢＬ製ガスパックシステムで培養する。
【数１】生菌残存率（％）＝ Ｎ’／Ｎ × １００ 殺菌力評価試料 ［本発明品］ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０５％ サリチル酸ナトリウム ０．２％ ＨＣＯ−６０ １．０％ コハク酸 ０．１４％ コハク酸２ナトリウム 適 量 滅菌精製水 全 １００.０％ ｐＨ４．５ ［対照品］ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０５％ コハク酸 ０．１４％ コハク酸２ナトリウム 適 量 滅菌精製水 全 １００.０％ ｐＨ４．５
【００２０】
【表２】
【００２１】表２から、本発明品の殺菌力は対照品に比
べて同等もしくはやや強く、しかも効果の発現が速やか
であることが分かる。これは、ＨＣＯ−６０及びサリチ
ル酸ナトリウムを添加すると、クロルヘキシジンジグル
コネートの殺菌効果の発現は早くなり、殺菌力も同等以
上であることを示す。
べて同等もしくはやや強く、しかも効果の発現が速やか
であることが分かる。これは、ＨＣＯ−６０及びサリチ
ル酸ナトリウムを添加すると、クロルヘキシジンジグル
コネートの殺菌効果の発現は早くなり、殺菌力も同等以
上であることを示す。
【００２２】実施例１ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０５g、サリチル
酸ナトリウム ０．２g及びＨＣＯ−６０ １．０gに精製
水を加えて１００gとする。この溶液１０mlを局方綿花
１gに浸み込ませ、殺菌消毒綿とする。
酸ナトリウム ０．２g及びＨＣＯ−６０ １．０gに精製
水を加えて１００gとする。この溶液１０mlを局方綿花
１gに浸み込ませ、殺菌消毒綿とする。
【００２３】実施例２ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０５g、サリチル
酸 ０．２g及びＨＣＯ−６０ １．０gに精製水を加えて
１００gとする。この溶液１０mlを局方綿花１gに浸み込
ませ、殺菌消毒綿とする。
酸 ０．２g及びＨＣＯ−６０ １．０gに精製水を加えて
１００gとする。この溶液１０mlを局方綿花１gに浸み込
ませ、殺菌消毒綿とする。
【００２４】実施例３ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０５g、サリチル
酸ナトリウム ０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g及び塩酸
ナファゾリン ０．１gに精製水を加えて１００gとす
る。この溶液１０mlを局方綿花１gに浸み込ませ、殺菌
消毒綿とする。
酸ナトリウム ０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g及び塩酸
ナファゾリン ０．１gに精製水を加えて１００gとす
る。この溶液１０mlを局方綿花１gに浸み込ませ、殺菌
消毒綿とする。
【００２５】実施例４ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０１g、サリチル
酸ナトリウム ０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g及びアラ
ントイン ０．０５gに精製水を加えて１００gとする。
この溶液５mlを不織布１gに浸み込ませ、お手拭きとす
る。
酸ナトリウム ０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g及びアラ
ントイン ０．０５gに精製水を加えて１００gとする。
この溶液５mlを不織布１gに浸み込ませ、お手拭きとす
る。
【００２６】実施例５ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０５g、サリチル
酸ナトリウム０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g、グリチ
ルリチン酸ジカリウム ０．２g及びエタノール１５．０
gに精製水を加えて１００gとする。この溶液５mlを不織
布１gに浸み込ませ、洗顔用綿とする。
酸ナトリウム０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g、グリチ
ルリチン酸ジカリウム ０．２g及びエタノール１５．０
gに精製水を加えて１００gとする。この溶液５mlを不織
布１gに浸み込ませ、洗顔用綿とする。
【００２７】実施例６ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０１g、サリチル
酸ナトリウム ０．５g、ＨＣＯ−６０ １．０g及びマレ
イン酸クロルフェニラミン ０．２gに精製水を加えて１
００gとする。この溶液５mlを不織布１gに浸み込ませ、
にきび用剤とする。
酸ナトリウム ０．５g、ＨＣＯ−６０ １．０g及びマレ
イン酸クロルフェニラミン ０．２gに精製水を加えて１
００gとする。この溶液５mlを不織布１gに浸み込ませ、
にきび用剤とする。
【００２８】実施例７ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０２g、サリチル
酸ナトリウム ０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g及びアラ
ントイン ０．２gに精製水を加えて１００mlとする。こ
の溶液にガーゼを浸漬した後乾燥し、この乾燥ガーゼを
バンソウコウに付着させ、救急バンソウコウとする。
酸ナトリウム ０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g及びアラ
ントイン ０．２gに精製水を加えて１００mlとする。こ
の溶液にガーゼを浸漬した後乾燥し、この乾燥ガーゼを
バンソウコウに付着させ、救急バンソウコウとする。
【００２９】実施例８ クロルヘキシジンジグルコネート ０．０２g、サリチル
酸ナトリウム ０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g及びグリ
チルリチン酸ジカリウム ０．１gに精製水を加えて１０
０mlとする。この溶液にガーゼを浸漬した後乾燥し、こ
の乾燥ガーゼをバンソウコウに付着させ、救急バンソウ
コウとする。
酸ナトリウム ０．２g、ＨＣＯ−６０ １．０g及びグリ
チルリチン酸ジカリウム ０．１gに精製水を加えて１０
０mlとする。この溶液にガーゼを浸漬した後乾燥し、こ
の乾燥ガーゼをバンソウコウに付着させ、救急バンソウ
コウとする。
【００３０】
【発明の効果】本発明の殺菌消毒組成物は、サリチル酸
またはサリチル酸ナトリウム及びポリオキシエチレン系
非イオン界面活性剤を添加することにより、クロルヘキ
シジン塩類のセルロース組成物への吸着を防止するため
に、殺菌消毒効果の優れた組成物として極めて有用であ
る。
またはサリチル酸ナトリウム及びポリオキシエチレン系
非イオン界面活性剤を添加することにより、クロルヘキ
シジン塩類のセルロース組成物への吸着を防止するため
に、殺菌消毒効果の優れた組成物として極めて有用であ
る。
【図１】 綿花に浸み込ませたクロルヘキシジンジグル
コネート溶液中の、クロルヘキシジンジグルコネートの
経時的残存率を示すグラフである。
コネート溶液中の、クロルヘキシジンジグルコネートの
経時的残存率を示すグラフである。
【図２】 サリチル酸ナトリウム及びＨＣＯ−６０濃度
とクロルヘキシジンジグルコネートの綿花への吸着量の
関係を示すグラフである。
とクロルヘキシジンジグルコネートの綿花への吸着量の
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−9717（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−104492（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−80325（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−33744（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−18617（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−157311（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−121416（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A01N 47/44
Claims (5)
- 【請求項１】 クロルヘキシジン塩類の水溶液をセルロ
ース組成物に浸み込ませた殺菌消毒組成物であって、該
クロルヘキシジンのセルロース組成物への吸着を防止す
るのに十分な量のサリチル酸またはサリチル酸ナトリウ
ム及びポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤を含有
していることを特徴とするクロルヘキシジン殺菌消毒組
成物。 - 【請求項２】 クロルヘキシジン塩類の濃度が、組成物
中の液体成分に対して０．０１〜０．１重量％である請
求項１の組成物。 - 【請求項３】 サリチル酸またはサリチル酸ナトリウム
の濃度が、組成物中の液体成分に対して０．０５〜０．
５重量％である請求項１の組成物。 - 【請求項４】 ポリオキシエチレン系非イオン界面活性
剤の濃度が、組成物中の液体成分に対して１〜３重量％
である請求項１の組成物。 - 【請求項５】 クロルヘキシジン塩類を含有する水溶液
をセルロース組成物に浸み込ませることからなる殺菌消
毒組成物の製造方法であって、該クロルヘキシジンの該
セルロース組成物への吸着を防止するのに十分な量のサ
リチル酸またはサリチル酸ナトリウム及びポリオキシエ
チレン系非イオン界面活性剤を該水溶液に添加すること
を特徴とするクロルヘキシジン殺菌消毒組成物の製造方
法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19224993A JP3253769B2 (ja) | 1993-08-03 | 1993-08-03 | クロルヘキシジン含有殺菌消毒組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19224993A JP3253769B2 (ja) | 1993-08-03 | 1993-08-03 | クロルヘキシジン含有殺菌消毒組成物 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0748210A JPH0748210A (ja) | 1995-02-21 |
| JP3253769B2 true JP3253769B2 (ja) | 2002-02-04 |
Family
ID=16288152
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP19224993A Expired - Fee Related JP3253769B2 (ja) | 1993-08-03 | 1993-08-03 | クロルヘキシジン含有殺菌消毒組成物 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3253769B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4651760B2 (ja) * | 1998-12-28 | 2011-03-16 | ピジョン株式会社 | 防菌防黴剤の繊維集合材料への吸着量の低減方法 |
| JP6108459B2 (ja) * | 2013-09-03 | 2017-04-05 | 国立大学法人群馬大学 | 消毒剤含浸用担体およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-08-03 JP JP19224993A patent/JP3253769B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0748210A (ja) | 1995-02-21 |
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