JP3251545B2 - 精子運動能促進性高分子タンパク質 - Google Patents

精子運動能促進性高分子タンパク質

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JP3251545B2 JP05492598A JP5492598A JP3251545B2 JP 3251545 B2 JP3251545 B2 JP 3251545B2 JP 05492598 A JP05492598 A JP 05492598A JP 5492598 A JP5492598 A JP 5492598A JP 3251545 B2 JP3251545 B2 JP 3251545B2
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    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
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    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P15/00Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、食肉処理場(畜
殺場)の廃棄物を入手源とするバッファローの血清/血
漿から単離される新規な精子運動能促進性高分子タンパ
ク質に関する。
【0002】
【従来の技術】バッファローの血清から単離される精子
の前進運動能促進性タンパク質は、全ての人類における
大きな社会的問題である不妊症(精子の低運動能に起因
する不妊症)の治療に対して潜在的な有用性を有してい
る。本発明によって単離されたタンパク質も家畜、特に
インドを含む多くの国において経済的に非常に重要な搾
乳用動物であるバッファローの繁殖力の改良に関して潜
在的な有用性を有している。
【0003】ヒトの不妊症は当事者に個人的な不幸をも
たらすので大きな社会的問題である。一般的には、約1
5%のカップルが不妊症であると考えられている。概算
によれば、約2000万組のインド人カップルが不妊症
である。従って、ヒトの不妊症は世界中では測り知れな
い規模での社会的問題となっている。男性の不妊の主要
な原因の1つは射精された精液中の精子の数は正常であ
るが精子の運動能が低いこと、あるいは射精された精液
中の精子の運動能は正常であるが精子の数が少ないこと
である。乏精液症の患者および精子無力症の患者の治療
法としてはいくつかの非常に複雑な補助生殖法[例え
ば、IVF(体外受精)およびICSI(細胞質内への精
子注入)等]が知られているが、これらの治療法は多大な
費用が必要なだけでなく、成功率も非常に低い。
【0004】精子の低運動能に起因するヒトの不妊症の
問題の解決のために、精子の前進運動促進能を有するタ
ンパク質として知られているタンパク質を精液や血清か
ら単離する研究がなされている。例えば、次の文献参
照: 1) モリタZ.およびチャンM.C.、J.Reprod.F
ertil.、第24巻、第247頁〜第254頁(1971
年)、 2) ホスキンスD.D.、ブラントH.およびアコット
T.S.、Fed.Proc.、第37巻、第2534頁〜第
2542頁(1978年)、 3) モルトンB.E.、フレーザーC.F.およびアルバ
グリL.、Fertil.Steril.、第32巻、第99頁〜
第106頁(1979年)、 4) ブラウンD.V.およびゼンガーP.L.、Biol.
Reprod.、第23巻、第271頁〜第275頁(198
0年)、および 5) マンダルM.、バネルジェーS.およびマジャルダ
ルG.C.、Biol.Reprod.第41巻、第983頁〜
第989頁(1989年)。
【0005】アコットT.S.とホスキンスD.D.は牛
の精液漿/副睾丸漿から糖タンパク質(37kDa)を部分
的に精製した(該糖タンパク質は牛の副睾丸頭の未熟精
子の体外での運動開始に必須である)[J.Biol.Che
m.、第253巻、第6744頁〜第6750頁(197
8年)]。アケルロフらはヒトの血清が、ヒトの射精され
た精液中の精子の前進運動を活性化するタンパク質(約
200kDa)を含有することを報告している[アケルロフ
E.、フレドリックソンB.、グスタフソンO.、ルネ
ルN.O.、ニルンドL.、ローゼンボルクL.、スロ
ッテH.およびポウセッテA.、Int.J.Andro
l.、第12巻、第124頁〜第130頁(1989
年)]。アケルロフとポウセッテはヒトの精子の運動能を
促進するこのタンパク質に関する特許を取得している
[WO 90 12032(1990年10月18日)参
照]。この精子運動能促進性タンパク質(約200kDa)
は5.1の等電点を有しており、アルブミン、アポリポ
タンパク質(Al)およびイムノグロブリンを含有する。
この精子運動能促進性タンパク質は精子運動能アッセイ
および不妊症の治療に有用である。アポリポタンパク質
とイムノグロブリンとの純粋な複合タンパク質(180
〜250kDa)はヒトの血清から単離されている[米国特
許第5304464号(1994年4月19日)および米
国特許第5453354号(1995年9月26日)各明
細書参照]。この高分子タンパク質はアポリポタンパク
質(Al)およびイムノグロブリンと等モル量のアルブミ
ンも含有し、その等電点は5.1であり、また該タンパ
ク質は精子の運動能を刺激する。この複合タンパク質に
対しては抗体を発生させることができる。精子の不十分
な運動能に起因するヒトの不妊症は該タンパク質の投与
によって治療することができる。このタンパク質は診断
と治療の両面で利用可能である。しかしながら、このタ
ンパク質はヒトの血清から誘導されるためにかなり高価
なものとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、精子の運
動能を効果的に促進する新規な高分子タンパク質を低コ
ストで提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ちこの発明は、食肉処
理場の廃棄物を入手源とするバッファローの血清/血漿
から単離される66kDaの分子質量を有する精子運動能
促進性高分子タンパク質に関する。
【0008】本発明による精子運動能促進性高分子タン
パク質は、特に世界中の全ての国々で大きな社会的問題
となっている精子の低運動能に起因するヒトの不妊症の
治療において潜在的な有用性を有している。精子の前進
運動能刺激ファクターとなる本発明による高分子タンパ
ク質の主要な利点は、従来のヒトの血清から誘導される
製品[WO 90 12032号(1990年10月18
日)、米国特許第5304464号(1994年4月19
日)および米国特許第5453354号(1995年9月
26日)各明細書参照]に比べて経済的に非常に有利な食
肉処理場からの廃棄物を入手源とすることである。ヒト
の血清から得られる従来のこの種の製品がヒト以外の種
の精子の運動能促進に効力があるかどうかについてのデ
ータは従来は全く得られていなかった。本発明品はバッ
ファロー、牛およびヤギを含む種々の種の精子の運動能
を活性化する。本発明品の別の利点は家畜、特に多くの
国々において経済的に非常に重要な搾乳動物であるバッ
ファローの繁殖の改良においても潜在的な有用性を有す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は新規な精子運動能促進性
高分子タンパク質および食肉処理場からの廃棄物を入手
源とするバッファローの血清/血漿から該タンパク質を
単離する方法を提供する。該単離法はバッファローの血
清/血漿を分画し、分画した血清/血漿からの精子運動
能促進性タンパク質を常套のクロマトグラフィー法およ
び電気泳動法によって精製する過程を含む。
【0010】本発明には(a)バッファローの血清/血漿
からの新規な精子の前進運動能刺激性タンパク質の精製
と特性づけ(キャラクタライゼーション)および(b)バッ
ファローの血清/血漿からの精子運動能促進性タンパク
質の精製法が包含される。この精子運動能促進性ファク
ターは熱安定性タンパク質である。本発明は生物学的液
体から精子運動能促進性タンパク質を見掛けの均質性ま
で精製することを初めて可能にするものである。このタ
ンパク質は被検種(バッファロー、非去勢雄牛、ヤギ、
ラット、ハムスターおよびヒト)の全ての射精された精
液中の精子の前進運動能を活性化させる。このことは精
子の運動能の活性化能において種属特異性がないことを
示す。
【0011】ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法、高性能液体クロマトグラフィーおよ
びセファデックスG−100ゲル濾過法によって測定さ
れた上記の精子運動能促進性タンパク質の分子質量は6
6kDaである。この促進性ファクターは精子の前進運動
能の活性化に関して高いタンパク質特異性と親和性を示
す。この精子運動能プロモーターは0.5μMの濃度に
おいて精子の60〜70%が前進運動能を示すときにほ
ぼ最大の活性を示す。該タンパク質は精子細胞に迅速に
作用して精子の運動能を直ちに活性化する。該タンパク
質はコンカナバリンAに対して高い親和性で結合する糖
タンパク質であって、等電点が約3.7の酸性タンパク
質であり、その活性はMg2+に依存する。この精子運動
能促進性タンパク質はテオフィリンもしくは重炭酸塩の
使用またはこれらの併用の場合よりも精子運動能の活性
化において著しく高い効力を示す。このファクターによ
って誘発される精子運動能は重炭酸塩によって著しく安
定化される。アミノ酸分析によれば、該タンパク質はア
スパラギン酸、グルタミン酸およびロイシンを多く含有
する。
【0012】このタンパク質分子の糖部分とタンパク質
部分はいずれもその生物学的活性にとって必須である。
この精子運動能促進性タンパク質の特異的レセプターは
精子に対するこのファクターの作用を仲介する精子表面
上に存在することが判明している。これは強い免疫原性
がある。バッファローに由来の精子運動能促進性タンパ
ク質に対する抗血清(ラビットの体内で発生)を用いる研
究によれば、該抗血清はヤギ、非去勢雄牛、雌牛および
ヒトの血清と交差反応することが明らかにされている。
このデータは精子運動能プロモーターまたはタンパク質
のような精子運動能プロモーターがその他の種の血清中
にも存在することを示唆するものである。この精子運動
能刺激性ファクターに対する抗体を用いることにより、
精子運動能プロモーターは肝臓に最も多く含まれている
が、睾丸と副睾丸にも存在することが判明した。本発明
による単離物は従来の文献に報告されているものとは明
確に異なる特性を示す新規な精子運動能促進性タンパク
質である。
【0013】本発明には食肉処理場の廃棄物を入手源と
するバッファローの血液からの精子運動能促進性タンパ
ク質の単離法が包含される。活性な精子運動能促進性タ
ンパク質はヒトを含む被検種の全ての血清中に存在する
が、該ファクターの最も高濃度の入手源はバッファロー
の血液である[マンダルM.、バネルジェーS.および
マジャムダーG.C.、Biol.Reprod.、第41巻、
第983頁〜第989頁(1989年)参照]。このファ
クターは血清または血漿から単離することができる。血
清/血漿は先ず第一に硫酸アンモニウムを用いる分画処
理に付す。精子運動能プロモーターは40〜80%の硫
酸アンモニウムの飽和によって沈降する。この精子運動
能促進性タンパク質の塩フラクションは樹脂、例えばカ
ルボキシメチルセルロース/セファデックス等および低
イオン性酸性緩衝液[例えば、10mM酢酸ナトリウム(p
H5.6)]を用いるカチオン交換クロマトグラフィー処
理に付す。このファクターは樹脂カラムに結合するの
で、比較的高濃度の塩、例えば0.4MのNaClによっ
て該カラムから溶離させることができるるこの精子運動
能促進性タンパク質は、樹脂に結合しないときにはジエ
チルアミノエチルセルロース/セファデックスおよび低
イオン性アルカリ性緩衝液[例えば、10mMTris−H
CL(pH8.3)]を用いるアニオン交換クロマトグラフ
ィーによって精製することもできる。
【0014】イオン交換クロマトグラフィー処理によっ
て部分的に精製された精子運動能促進性タンパク質は不
溶性マトリックスとしてセファデックスを用いる分子篩
クロマトグラフィーまたは種々のpH(6.9〜7.5)
とイオン強度(50〜100mM)のリン酸塩緩衝液を用
いる高性能液体クロマトグラフィーによってさらに精製
する。この運動能プロモーターは不溶性ゲルマトリック
ス(例えば、アルミナゲル)を用いる吸着クロマトグラフ
ィーによっても十分に精製することができる。このファ
クターはゲルと結合するので、比較的高濃度の塩[例え
ば、1MのTris−HCl(pH7.4)]によって溶離させ
ることができる。さらにまた、この精子運動能促進性タ
ンパク質はポリバッファー交換体(ファーマシア製のP
BE94樹脂)を用いる等電点クロマトグラフィーによ
っても十分に精製することができる。精子運動能促進性
タンパク質はコンカナバリンA−アガロースアフィニテ
ィーマトリックスカラムに結合するので、α−メチル−
D−マンノシドを用いて該カラムから溶離させることが
できる。
【0015】上記の精製法を適当に併用することによっ
て血清/血漿から精子運動能促進性タンパク質を約20
〜30%の回収率で約100〜400倍精製することが
できる。部分精製されたこのファクターは、ポリアクリ
ルアミドゲルの濃度変化(7〜10%)を含む種々の電気
泳動条件下での天然のポリアクリルアミドゲルを用いる
電気泳動法によって見掛けの均質性まで精製することが
できる。このようにして得られる純粋な精子運動能促進
性タンパク質の精製度は約600倍であり、その回収率
は約20%である。血清/血漿10mlから純粋な精子運
動能促進性タンパク質は約3〜4mg得られる。
【0016】本発明は分子質量が66kDaで、精子の運
動能を活性化する実質上純粋な上記高分子タンパク質お
よび適当な賦形剤を含有する薬用製剤にも関する。適当
な賦形剤としては培地または他の塩溶液が例示される。
この薬用製剤は自体既知の方法によって調製される。本
発明によるこの薬用製剤は不妊症の治療に有効である。
【0017】
【実施例】精子の運動能のプロモーターの分離に関する
本発明方法を以下の2つの実施例によってさらに説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。実施例1 地方の食肉処理場から入手したバッファローの血液試料
を5℃で一夜凝固させた。凝固血液を遠心分離処理(1
4000gで15分間)に付すことによって血清を得た。
この血清は、該血清1mlあたり約180ユニットの活性
な運動能促進性タンパク質を含有する(1ユニットの活
性な精子運動能促進性タンパク質は精子細胞の10%の
前進運動を誘発する該ファクターの量で定義される)。
血清200ml(タンパク質含有量:約100mg/ml)を0
〜40%、40〜60%および60〜80%の濃度の硫
酸アンモニウムを用いる分画処理に付した。各々の分画
過程においては、タンパク質懸濁液を遠心分離処理(1
8000gで15分間)に付し、沈降したタンパク質ペレ
ットを10mMのTris−HCl(pH8.3)に溶解させ、
上澄みには硫酸アンモニウムの固体を添加して飽和させ
た。フラクションは低温室(4℃)において変性リンゲル
液[RPS培地:pH6.9(119mM NaCl−5mM
KCl−1.2mM MgSO4−10mM グルコースペ
ニシリン(50ユニット/ml)−16.3mM リン酸カリ
ウム緩衝液(pH6.9)]に対して徹底的に透析した。6
0〜80%の硫酸アンモニウム溶液によって精子運動能
促進活性が約90%のタンパク質が沈降した。
【0018】(NH4)2SO4を用いる分画処理によって
得られた活性フラクションは、10mM 酢酸ナトリウム
緩衝液(pH5.6)を用いてあらかじめ平衡化処理に付
したカルボキシメチル−セルロースカラム(1×30cm)
を用いるイオン交換クロマトグラフィーによって精製し
た。試料を通過させたカラムは10mM 酢酸ナトリウム
緩衝液(pH5.6)30mlを用いて洗浄した。次いで、
NaClを0.2M、0.4M、0.6Mおよび1Mの濃
度で含有する10mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.
6)30mlを用いてカラムを溶離処理に順次付した。精
子運動能促進性タンパク質はカラム樹脂に結合し、活性
な該タンパク質の大部分は10mM 酢酸ナトリウム−
0.2M NaCl緩衝液(pH5.6)によって溶離され
た。得られた精子運動能促進性タンパク質はポリエチレ
ングリコール化合物を用いて濃縮させた後、低温室内に
おいて0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.9)に対
して徹底的に透析した。これらの処理操作によって精子
運動能促進性タンパク質は約100倍精製された。
【0019】精子運動能促進性タンパク質は次いで高性
能液体クロマトグラフィー処理に付した。即ち、濃縮さ
れた該タンパク質は高性能液体クロマトグラフィー用ゲ
ル濾過カラム[LKB Ultrofac、TSK 3000
SWG(21.5×600mm)]上において、475B
データモジュール(ウォーターズ社製)を備えた分光光度
計(ウォーターズ社製、481LC)を用いて吸光度を2
80nmに維持する条件下で処理した。移動相としては
0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.9)を使用した
(流速:2.2ml/min)。高性能液体クロマトグラフィー
処理は室温でおこない、活性フラクションは氷冷容器内
へ捕集した。
【0020】精子運動能促進性タンパク質の保持時間は
43.5分であり、その主要なピークは約60%の活性
な精子運動能促進性血清タンパク質を示した。このタン
パク質は7.5%天然のポリアクリルアミドチューブを
用いるゲル電気泳動法[ラエンムリU.K.、ネイチャ
ー、第227巻、第680頁〜第685頁(1970年)
参照]によってさらに精製した。試料を適用する前に、
ゲルはあらかじめ5分間作動させた。電気泳動後、一方
のゲルはタンパク質バンドを検出するためにクーマシー
ブルーを用いて染色させ、他方のゲルは厚さが0.5cm
の薄片に切断した。活性な精子運動能促進性タンパク質
を溶離させるために、各々のゲル薄片をRPS培地(pH
7.35)0.5ml中に4℃において一夜分散させた。
染色後、ゲルはRf値がそれぞれ0.3および0.6の
2つの主要なタンパク質バンドを示した。活性測定によ
り、Rf値が0.6のタンパク質バンドが精子運動能促
進性タンパク質の主要な活性成分であることが判明し
た。分取のために、数本のゲルチューブを精製処理に使
用し、Rf値が0.6のタンパク質バンドを各々のゲル
から溶離させた。捕集したフラクションをアミコン(4m
icon)社製PM−10膜を用いる濾過処理によって濃縮
させ、−70℃で保存した。特に言及しない限り、全て
の精製処理過程は0〜4℃でおこなった。これらの精製
処理により精子運動能促進性タンパク質は見掛けの均質
性まで精製された(約600倍の精製度)。単離精製され
たファクターのタンパク質1mgあたりの比活性は約11
00ユニットであった。血清200mlから得られた純粋
な精子運動能促進性タンパク質の収量は7mgであり、そ
の活性の全回収率は約20%であった。
【0021】実施例2 食肉処理場から入手したバッファローの血液をクエン酸
ナトリウム2.6%溶液を保有するコニカルフラスコ内
に捕集し、血液の凝固を防止した。遠心分離処理(65
00gで5分間)によって血球から血漿を分離させた。血
漿(400ml)を実施例1に記載のようにして硫酸アンモ
ニウムを用いる分画処理に付した。活性な精子運動能促
進性タンパク質フラクションを10mMのTris−HCl
(pH8.3)に対する透析処理に付した後、ジエチルア
ミノエチルセルロースクロマトグラフィー処理に付し
た。この樹脂は10mMのTris−HCl(pH8.3)を用
いて平衡化させた。試料(50ml)を通過させた後のカラ
ム(30×1.5cm)は平衡化用緩衝液80mlで洗浄した
後、0.1M、0.2M、0.3M、0.5Mおよび1
Mの濃度のTris−HCl(pH8.3)80mlを用いる溶
離処理に順次付した。活性測定の前、各々のフラクショ
ンは10mMのTris−HCl(pH7.4)に対する透析処
理に付した。活性な精子運動能促進性タンパク質の主要
フラクション(約85%)は樹脂に結合しなかった。ジエ
チルアミノエチルセルロースクロマトグラフィー処理に
よって保持されなかったフラクションはポリエチレング
リコール化合物によって濃縮させた後、10mMの酢酸
ナトリウム緩衝液(pH5.6)に対する透析処理に付し
た。透析処理に付した精子運動能促進性タンパク質は、
あらかじめ10mMの酢酸ナトリウム(pH5.6)を用い
て平衡化させたカルボキシメチルセルロースカラム(3
0×1cm)上でのイオン交換クロマトグラフィー処理に
付した。試料(10ml)を通過させた後のカラムは10m
M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)30mlを用いて洗
浄した。次いで、このカラムはNaClを0.1M、0.
2Mおよび0.5Mの濃度で含有する10mMの酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.6)30mlを用いる溶離処理に
順次付した後、さらに1MのNaClを含有する酢酸ナト
リウム緩衝液30mlを用いる溶離処理に付した。
【0022】活性な精子運動能促進性タンパク質の主要
フラクションは1MのNaClを含有する10mM酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.6)によって溶離された。得ら
れた活性な精子運動能促進性タンパク質は、10mMの
Tris−HCl(pH7.4)に50mg/mlの濃度で懸濁さ
せたアルミナゲル(シグマ・ケミカル社製)10mlと混合
し、該混合物は氷温度で45分間撹拌し、得られた懸濁
液を遠心分離処理(500gで10分間)に付した。上澄
み(非吸着フラクション)を廃棄し、精子運動能促進性タ
ンパク質を1M Tris−HCl(pH7.4)を用いてペ
レットから溶離させた。得られたタンパク質をポリエチ
レングリコール化合物を用いて濃縮させた後、2mMエ
タノールアミン−HCl(pH9.4)に対する徹底的な透
析処理に付した。このタンパク質はPBE94(ファー
マシア社製ポリバッファー交換体を用いる等電点クロマ
トグラフィーによってさらに精製した。この場合、イオ
ン交換樹脂であるポリバッファー交換体(PBE94)カ
ラム(15×1cm)は上記の緩衝液を用いてあらかじめ平
衡化させた後、該タンパク質の精製処理に使用した。該
カラムに試料を通過させた後、平衡化用緩衝液を用いて
カラムを洗浄した。精子運動能促進性タンパク質はポリ
バッファー96−HCl(pH7.0)(ファーマシア社製)
を用いて溶離させた(各々のフラクションの体積は4.
5mlであった)。活性フラクションを捕集し、ポリエチ
レングリコール化合物を用いて濃縮させた後、0.15
4MのNaClを含有する10mMリン酸カリウム緩衝液
に対する徹底的な透析処理に付した。全ての精製過程は
0〜4℃でおこなった。このファクターは約25%回収
率で約400倍に精製された。単離された精子運動能促
進性タンパク質の純度は約70%であった。血漿400
mlから約14mgの部分的に精製された精子運動能促進性
タンパク質が得られた。
【0023】得られた高分子タンパク質のアミノ酸組成
の分析例を以下の表1に示す。アミノ酸分析は「マテリ
アルズ・アンド・メソッズ」セクションに記載の方法に
よっておこなった。
【表1】
【0024】
【発明の効果】食肉処理場(畜殺場)の廃棄物を入手源と
するバッファローの血清/血漿から単離される本発明に
よる新規なタンパク質はヒトおよび家畜等のその他の種
属の精子の運動能を効果的に刺激促進するので、ヒトの
不十分な精子運動能に起因する不妊症の治療や家畜の繁
殖改良等において特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ゴパル・チャンドラ・マジュムデル インド700032ウエスト・ベンガル、カル カッタ、ジャダヴプル、ラジャ・スボド ー・チャンドラ・マリック・ロード4 番、インディアン・インスティテュー ト・オブ・ケミカル・バイオロジー (72)発明者 マヒトシュ・マンダル インド700032ウエスト・ベンガル、カル カッタ、ジャダヴプル、ラジャ・スボド ー・チャンドラ・マリック・ロード4 番、インディアン・インスティテュー ト・オブ・ケミカル・バイオロジー (72)発明者 サスワティ・バネルジェー インド700032ウエスト・ベンガル、カル カッタ、ジャダヴプル、ラジャ・スボド ー・チャンドラ・マリック・ロード4 番、インディアン・インスティテュー ト・オブ・ケミカル・バイオロジー (56)参考文献 Biol.Reprod.,Vol. 41,No.6(1989)p.983−989 J.Biol.Chem.,Vol. 253,No.19(1978)p.6744−6750 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/47 C07K 1/16 - 1/26 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) WPI(DIALOG)

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食肉処理場の廃棄物を入手源とするバッ
    ファローの血清/血漿から単離される66kDaの分子
    質量を有する精子運動能促進性高分子タンパク質。
  2. 【請求項2】 アスパラギン酸、グルタミン酸およびロ
    イシンの含有量が多い請求項1記載のタンパク質。
  3. 【請求項3】 アスパラギン酸とアスパラギンを約10
    %含有する請求項1記載のタンパク質。
  4. 【請求項4】 グルタミン酸とグルタミンを約9%含有
    する請求項1記載のタンパク質。
  5. 【請求項5】 ロイシンを約11%含有する請求項1記
    載のタンパク質。
  6. 【請求項6】 3.7の等電点を有する請求項1記載の
    タンパク質。
  7. 【請求項7】 Mg2+に依存する請求項1記載のタン
    パク質。
  8. 【請求項8】 熱安定性(100℃で5分間の安定度:
    60%)である請求項1記載のタンパク質。
  9. 【請求項9】 糖タンパク質である請求項1記載のタン
    パク質。
  10. 【請求項10】 糖側鎖が活性にとって必須である請求
    項1記載のタンパク質。
  11. 【請求項11】 バッファロー、ヒト、非去勢雄牛、ヤ
    ギ、非去勢雄羊、ラットおよびハムスターの精子の前進
    運動能を刺激する請求項1記載のタンパク質。
  12. 【請求項12】 その抗体が、ヤギ、非去勢雄牛、雌牛
    およびヒトの血液中の精子運動能促進性のタンパク質/
    類似タンパク質の存在と関連するこれらの種の血清と交
    差反応する請求項1記載のタンパク質。
  13. 【請求項13】 食肉処理場の廃棄物を入手源とするバ
    ッファローの血清/血漿を分画処理に付し、次いでクロ
    マトグラフィーまたは電気泳動法によって該分画処理物
    から精子運動能促進性タンパク質を精製することを含む
    精子運動能促進性タンパク質の調製方法。
  14. 【請求項14】 分画処理を80%飽和濃度までの濃度
    の硫酸アンモニウムを用いておこなう請求項13記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 タンパク質の精製をイオン交換クロマ
    トグラフィー、分子篩クロマトグラフィー、等電点クロ
    マトグラフィーまたは高性能液体クロマトグラフィーに
    よっておこなう請求項13記載の方法。
  16. 【請求項16】 クロマトグラフィーに用いるイオン交
    換樹脂がカルボキシメチル−セルロース/セファデック
    ス、ジエチルアミノエチル−セルロース/セファデック
    スおよびポリバッファー交換体(PBE94樹脂)から
    選択される請求項13記載の方法。
  17. 【請求項17】 クロマトグラフィーに用いる溶離液が
    pHが6.9〜7.5でイオン強度が50〜100mM
    のリン酸塩緩衝液である請求項13記載の方法。
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