JP3250980B2 - プラスチック耐火材 - Google Patents

プラスチック耐火材

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JP3250980B2
JP3250980B2 JP04440398A JP4440398A JP3250980B2 JP 3250980 B2 JP3250980 B2 JP 3250980B2 JP 04440398 A JP04440398 A JP 04440398A JP 4440398 A JP4440398 A JP 4440398A JP 3250980 B2 JP3250980 B2 JP 3250980B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は製紙工場の黒液燃焼
ボイラや、1200℃以下の温度で操業されるアルカリ
廃液焼却炉等において、ボイラ及び焼却炉の内面に保護
材として使用されるプラスチック耐火材に関する。
【0002】
【従来の技術】耐火材が保護材として使用される黒液燃
焼ボイラとは、パルプの製造工程において発生する廃液
を濃縮し、これを燃料として燃やしつつ、廃液中のソー
ダ分を回収するためのボイラである。ソーダ回収ボイラ
又はスメルターボイラと呼ばれることもある。従来、製
紙工程では次のようなプロセスで廃液の再利用処理が行
われている。
【0003】まず、樹種を細かく削った木片(チップ)
を白液(カセイソーダと硫化ソーダの混合液)と混合し
て高温高圧で蒸煮する。次に、繊維(パルプ)と廃液
(黒液)に分離する。この黒液を蒸化器等で濃縮する。
濃縮黒液に硫酸ソーダを加え、黒液燃焼ボイラに送る。
黒液燃焼ボイラの噴射装置から、炉内に黒液を噴射・燃
焼させる。黒液燃焼ボイラの炉床には、炭酸ソーダと硫
化ソーダからなるどろどろの液体(スメルト)がたま
る。スメルトの水溶液を処理してカセイソーダと硫化ソ
ーダの混合液(上記の白液)を得、再利用する。
【0004】従来、上記の黒液燃焼ボイラやアルカリ廃
液焼却炉等のアルカリ塩含有物を焼却する炉の内部保護
材には、アルカリ塩の溶融物やアルカリ性の蒸気に対す
る高耐食性を得るためにクロム鉄鉱を原料に使用したク
ロム質耐火材が使用されている。近年では、クロム質耐
火材の他にアルミナ質耐火材やスピネル質耐火材も使用
されている。
【0005】耐火材の代表的種類としては、セメントを
含むキャスタブル耐火材と、プラスチック耐火材があ
る。プラスチック耐火材とは、一般に、耐火性骨材と耐
火粘土、粘結剤などを水で練り合わせた練り土状の耐火
物を指称し、これを打ち込み施行することにより耐火壁
が作られる。プラスチック耐火材の製造工程では、練り
土状にした材料を押し出し機にて、約200から300
mm角の大きさで、厚みが50mm程度の板状(スライ
ス)に成形する。プラスチック耐火材の一般的な施行方
法は、エアーランマーでの打ち込みである。プラスチッ
ク耐火材はセメントを含まないため、通常は加熱して硬
化させる。また、セメントを含まないことから、セメン
トを含むキャスタブル耐火材に比べて化学的な耐食性に
優れるという利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の黒液燃焼ボイラ
やアルカリ廃液焼却炉等に使用する耐火材には、アルカ
リ塩の溶融物やアルカリ蒸気中に存在する化学成分のう
ち、特にNa2OおよびK2Oに対する耐食性及び耐浸透
性が必要となる。そのため、従来、耐食性に優れるとさ
れるクロム鉄鉱を原料にしたクロム質耐火材が、広く使
用されてきた。しかしながら、クロム質耐火材には問題
点がある。すなわち、クロム鉄鉱は、Na2Oの存在下
において以下の反応によりクロム酸ナトリウムを生成す
る。
【0007】
【化1】Na2O+Cr23 → Na2CrO4
【0008】また、K2Oの場合は、上記と同様の反応
でクロム酸カリウムを生成する。これらのクロム酸ナト
リウム及びクロム酸カリウムは、極めて毒性が強く、有
害物質に指定されている六価クロム化合物である。この
ため、クロム質耐火材を黒液燃焼ボイラやアルカリ廃液
焼却炉等に使用すると、使用後の耐火材の廃材中、さら
には焼却灰の中にも六価クロム化合物が含まれることと
なり、安全上深刻な問題がある。また、その処分に莫大
な経費が必要となる。
【0009】そこで、近年、クロム質耐火材の代替品と
してアルミナ質やスピネル質の耐火材の使用が試みられ
ている。これらアルミナ質やスピネル質の耐火材は、操
業温度が1400℃以上の高温の状態ではクロム質耐火
材と同等の耐食性が得られる場合がある。
【0010】しかし、操業温度が1200℃以下の状態
では、耐火材中に溶融アルカリ塩やアルカリ蒸気が容易
に侵入し、耐火材の物理的膨張による割れや、それに伴
う崩壊が起こり、充分な耐用が得られないという問題が
ある。このため、アルミナ質やスピネル質の耐火材はク
ロム質耐火材の完全な代替品とはなり得ておらず、現在
もクロム質耐火材を使用する場合がある。
【0011】以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、溶
融アルカリ塩やアルカリ蒸気の発生する炉(特に、操業
温度が1200℃以下の炉)に使用するプラスチック耐
火材であって、クロム鉄鉱を含まずかつアルカリに対す
る優れた耐食性及び耐浸透性を有するプラスチック耐火
材を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するべ
く、本発明によるプラスチック耐火材は、アルミナ(A
23)成分とシリカ(SiO2)成分を主体とするアルミ
ナ・シリカ質プラスチック耐火材であって、粒径が0.
5mm以上の耐火性骨材の粒子からなる骨材部と、粒径が
0.5mm未満の耐火性微粉末の粒子からなる微粉末部と
を有する。そして、骨材部と微粉末部の重量比が1:
0.67〜1.5の範囲である。さらに、上記微粉末部
がアルミナ成分とシリカ成分とからなる。微粉末部のア
ルミナ成分は、微粉末部全体の55〜75重量%を占め
る。一方、微粉末部のシリカ成分はシリカフュームを含
み、そのシリカフュームの量は、プラスチック耐火材全
重量の3〜10重量%である。
【0013】本発明ではさらに、上記のアルミナ・シリ
カ質プラスチック耐火材に対してリグニン系分散剤が添
加される。その場合、プラスチック耐火材の上記骨材部
と上記微粉末部を加えた重量と、リグニン系分散剤の重
量の比が1:0.001〜0.02となるように調製さ
れる。
【0014】またさらに、上記のアルミナ・シリカ質プ
ラスチック耐火材に対してアルカリ塩類が添加される。
その場合、プラスチック耐火材の上記骨材部と上記微粉
末部を加えた重量と、アルカリ塩類の重量の比が1:
0.0005〜0.02となるように調製される。
【0015】
【作用】本発明によるプラスチック耐火材では、その成
分組成がアルミナ成分とシリカ成分を主体としており、
クロム成分を用いないので、アルカリ塩含有物の焼却炉
の保護材として用いても有害な六価クロム化合物を生成
しない。
【0016】本発明のプラスチック耐火材の骨材部と微
粉末部のうち、周囲のアルカリとの反応に主として寄与
する微粉末部について、そのアルミナ成分の量を微粉末
部の55〜75重量%とすることによりアルカリに対す
る良好な耐食性及び耐浸透性を得ることができ、また、
微粉末部のシリカ成分中に含まれるシリカフュームの重
量を耐火材全重量の3〜10重量%とすることにより耐
浸透性をさらに向上させることができる。
【0017】また、上記のプラスチック耐火材の骨材部
と微粉末部を加えた重量1に対し、重量0.001〜
0.02の割合でリグニン系分散剤を添加することによ
り、アルカリに対する耐浸透性をさらに向上させられ
る。
【0018】さらに、上記のプラスチック耐火材の骨材
部と微粉末部を加えた重量1に対し、重量0.0005
〜0.02の割合でアルカリ塩類を添加することによ
り、アルカリに対する耐浸透性を向上させると共に耐侵
食性もさらに向上させられる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明によるプラスチック耐火材
は、アルミナ(Al23)成分とシリカ(SiO2)成分を
主体とするアルミナ・シリカ質プラスチック耐火材であ
る。このプラスチック耐火材は、粒径が0.5mm以上の
耐火性骨材の粒子からなる骨材部と、粒径が0.5mm未
満の耐火性微粉末の粒子からなる微粉末部とを有する。
プラスチック耐火材は、前述のように骨材と微粉末とを
水で混練した後、成型することにより作製されるため、
得られるプラスチック耐火材は、骨材部の相と微粉末部
の相とが混在する固体である。通常、微粉末部の相から
なるマトリックス中に骨材部の相が分散する形態とな
る。
【0020】本発明のアルミナ・シリカ質プラスチック
耐火材は、好適には、骨材部と微粉末部の重量比が1:
0.67〜1.5の範囲である。例えば、骨材部の重量
40に対し微粉末部の重量60、あるいは、骨材部の重
量60に対し微粉末部の重量40となるような割合とす
る。さらに微粉末部の組成は、微粉末部の55〜75重
量%をアルミナ成分が占め、微粉末部の残りの部分をシ
リカ成分が占め、かつ、シリカ成分中に含まれるシリカ
フュームの重量がプラスチック耐火材全体の3〜10重
量%を占めるように調製されることが好適である。また
さらに、上記アルミナ・シリカ質プラスチック耐火材に
対してリグニン系分散材及びアルカリ塩類を添加するこ
とが好適であるが、これらについては後に詳述する。
【0021】次に、上記の本発明による好適なアルミナ
・シリカ質プラスチック耐火材の特徴について、詳細に
説明する。
【0022】表1は、本発明のアルミナ・シリカ質プラ
スチック耐火材の主成分であるアルミナ(Al23)及び
シリカ(SiO2)とアルカリとのそれぞれの反応生成物
の特性を示している。
【0023】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 融点(℃) 1100℃前後での状態 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− SiO2とアルカリの反応生成物 1000以下 高粘性の融液 Al23とアルカリの反応生成物 1400前後 固体 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0024】耐火材周囲のアルカリと耐火材中のアルミ
ナ又はシリカとの反応は、主として耐火材のマトリック
ス部分である微粉末部において重点的に起きる。従っ
て、アルミナ・シリカ質耐火材に対するアルカリの侵食
及び浸透の程度は、微粉末部のアルミナ成分及びシリカ
成分の組成と密接に関係している。
【0025】そこで、先ず、従来のアルミナ・シリカ質
プラスチック耐火材(本発明のものと異なり、シリカフ
ューム、リグニン系分散材、アルカリ塩類を含まない)
の微粉末部についてそのアルミナ含有量を変化させて、
アルミナ含有量とアルカリによる侵食、浸透量との関係
を調べた結果、図1のグラフに示す傾向が認められた。
【0026】図1のグラフにおいて、アルミナの含有量
が少なくなるということは、シリカの含有量が増えるこ
とを意味する。アルミナ・シリカ質プラスチック耐火材
中のアルミナ含有量が減少し、シリカに富むようになる
と、アルカリとシリカとの反応が主流となる。従って、
耐火材表面においてシリカとアルカリとの反応生成物で
ある粘性の高い融液が生成される。この結果、耐火材表
面付近での侵食は激しいのに対し、反応生成物の粘性が
高いため耐火材内部への浸透量は少なくなる。
【0027】一方、アルミナ・シリカ質プラスチック耐
火材中のアルミナ含有量が多い場合は、アルミナの固相
とアルカリの液相との反応が主流となる。この反応は耐
火材表面に限らず、アルカリ融液の浸透によって耐火材
内部でも起こる。従って、アルカリによる侵食減量は少
ないが、浸透量はアルミナ含有量の増加と共に急激に大
きくなる。このアルカリの浸透反応は、耐火材内部の体
積膨張、さらには耐火材の割れや崩壊を引き起こすこと
になる。
【0028】以上の知見から、アルミナ・シリカ質プラ
スチック耐火材において、アルカリに対する耐侵食性及
び耐浸透性を得ようとする場合、耐火材の微粉末部に占
めるアルミナ及びシリカの含有量を適切に規定する必要
があることが分かる。そこで、本発明のプラスチック耐
火材では、アルカリによる侵食及び浸透を共に最小に留
めるために、微粉末部のアルミナ含有量が微粉末部全体
の55〜75重量%の範囲になるように調製する。しか
し、これだけでは、図1から分かるように、アルカリに
対する耐侵食性は得られるものの耐浸透性が不良であ
る。
【0029】そこで、本発明では、アルカリの浸透を抑
えるために、微粉末部のシリカ成分として適切な量のシ
リカフュームを含めることとした。シリカ成分中に含め
るシリカフューム含有量の具体的数値については後述す
る。このように微粉末部のアルカリ成分及びシリカフュ
ームの適切な量を規定することにより、従来に比べて良
好な耐侵食性及び耐浸透性を得ることが判明した。
【0030】さらに本発明では、より良好な耐浸透性を
実現するため、微粉末部のシリカ成分中のシリカフュー
ム量を規定することに加えて、プラスチック耐火材に対
してリグニン系の分散剤を添加する。これにより、耐火
材作製時に加える水分量を低減でき、耐火材の組織を緻
密化できる。そして、さらに耐浸透性を向上させるため
には、予めプラスチック耐火材に対してアルカリ塩類を
添加することが有効である。これらの各構成要素による
耐浸透性向上の機構について以下に説明する。尚、以下
の機構によれば耐侵食性も向上させられる。
【0031】機構(1):プラスチック耐火材中にシリカ
フュームを含有させると、耐火材表面に接触したアルカ
リは選択的にシリカフュームと反応し、珪酸アルカリ
(M2O・SiO2)を生成する。生成した珪酸アルカリ
は高粘性の融液であるため、耐火材内部には浸透せず、
むしろ耐火材の気孔を埋め、アルカリの耐火材内部への
浸透を防止する保護層としての役目を果たす。
【0032】機構(2):予めプラスチック耐火材中にア
ルカリ塩類を添加しておくと、ごく初期の段階におい
て、添加されたアルカリ塩類とシリカフュームとが反応
し、耐火材の表面に保護層である珪酸アルカリを生成す
ることになる。
【0033】これらの機構(1)と(2)には密接な関係があ
り、耐火材中のアルカリ塩類の作用により、初期段階で
耐火材表面に珪酸アルカリの保護層を生成させること
で、その後の外来アルカリがシリカフュームと反応する
よりも速く耐火材内部に浸透するという現象を避けるこ
とが可能である。
【0034】さらに次の段階である機構(3)として、耐
火材表面に生成した珪酸アルカリは、周囲のアルミナ、
ムライト及び外来アルカリと反応して、新たな物質を生
成する。例えば、珪酸アルカリである珪酸ナトリウム
と、アルミナ及び外来アルカリであるNa2Oとの反応
は次のようになる。
【0035】
【化2】Na2O・SiO2+Al23+Na2O→NaA
lSiO4-NaAlO2(固溶体)
【0036】この反応によって生成する固溶体は、いず
れもその融点が高いため、1200℃以下の温度域では
溶融せず固体の状態で存在する。従って、耐火材表面
は、この固溶体層と、固溶体層の隙間を埋める珪酸アル
カリの融液により保護される結果、アルカリによる侵食
量、浸透量ともに低減される。以上の機構により、本発
明のプラスチック耐火材はアルカリに対する優れた耐食
性と耐浸透性を併せ持つことが可能である。
【0037】次に、本発明のアルミナ・シリカ質プラス
チック耐火材の最も好適な実施形態における各構成要素
について、詳細に説明する。
【0038】(1)骨材部 本発明のアルミナ・シリカ質プラスチック耐火材の骨材
部は、粒径0.5mm以上の耐火性骨材の粒子からなる。
プラスチック耐火材の全量中、骨材部と後述の微粉末部
の重量比は1:0.67〜1.5の範囲となるようにす
る。耐火性骨材は、合成ムライト及びムライト質シャモ
ットのうちいずれか又は双方を用いかつ緻密なものが最
も適しているが、本発明のプラスチック耐火材の耐食性
は、主として微粉末部が担うため、他の骨材、例えばア
ルミナやボーキサイト等も使用可能である。
【0039】(2)微粉末部 微粉末部は、粒径が0.5mm未満の耐火性微粉末の粒子
からなり、アルミナ源、シリカヒューム、及び各種の耐
火粘土を組み合わせる。前述のように、微粉末部の重量
は上記の骨材部の重量の0.67〜1.5倍の範囲とな
るようにする。アルミナ源としては、焼成ボーキサイト
微粉末、ムライト微粉末、溶融アルミナ微粉末、焼結ア
ルミナ微粉末等がある。
【0040】微粉末部中のアルミナ成分は、主としてア
ルミナ源及び耐火粘土に含まれるが、微粉末部全量の5
5〜75重量%とすることが好適である。アルミナ成分
の量がこの範囲よりも少ない場合、図1のグラフのよう
に、アルカリによる耐火材の侵食量が大きくなるため好
ましくない。アルミナ成分の量がこの範囲より多いと、
図1のようにアルカリの耐火材への浸透量が大きくな
り、耐火材に割れが生じ、崩壊するため好ましくない。
【0041】また、微粉末部中のシリカ成分は、上記の
アルミナ成分以外の部分であり、主としてシリカフュー
ム及び耐火粘土(シャモット微粉末等)に含まれる。こ
のうちシリカフュームの重量は、プラスチック耐火材全
量の3〜10重量%とすることが好適である。シリカフ
ュームの量がこの範囲よりも少ないと、アルカリの耐火
材への浸透量が大きくなり、耐火材に割れが生じ、崩壊
するため好ましくない。シリカフュームの量がこの範囲
よりも多いと、耐火材の過燒結を招き、耐スポーリング
性が低下するため好ましくない。
【0042】(3)分散剤 本発明のアルミナ・シリカ質プラスチック耐火材に添加
する分散剤は、減水効果が大きく、混練物の経時変化の
少ないリグニン系の分散剤が好ましい。分散剤は、骨材
部と微粉末部とを加えたプラスチック耐火材の全重量1
に対して、別枠で重量0.001〜0.02の範囲で添
加する。この場合、添加量がこの範囲未満であると、減
水効果が少なく、製造時の添加水量の増加を招き、耐火
材組織の高緻密性を得ることができなくなるため好まし
くない。添加量がこの範囲より多いと、分散剤から発生
する気泡が多くなる結果、耐火材の気孔率が増加し、耐
火材組織の高緻密性を得ることができなくなるため好ま
しくない。
【0043】(4)アルカリ塩類 本発明のアルミナ・シリカ質プラスチック耐火材に添加
するアルカリ塩類は、骨材部と微粉末部とを加えたプラ
スチック耐火材の全重量1に対して、別枠で重量0.0
005〜0.02の範囲で添加する。添加量はプラスチ
ック耐火材の化学成分と関連しており、アルミナ成分の
量に比例して添加量を調整する必要がある。例えば、ア
ルミナ成分量が微粉末部の55%の場合には、アルカリ
塩類を上記範囲の最大の添加量とすると、過剰な珪酸ア
ルカリの生成を招く。つまり、耐火材の表面の侵食が激
しくなってしまうため好ましくない。一方、アルミナ成
分量が微粉末部の75%の場合には、アルカリ塩類を上
記範囲の最小の添加量とすると、初期段階における珪酸
アルカリの生成が不十分となり、外来アルカリの耐火材
中への侵入を招く結果、耐火材に亀裂や崩壊が生じるた
め好ましくはない。
【0044】使用するアルカリ塩類の種類としては、N
2CO3、Na2SO4、Na2NO3、K2CO3、K2
4、K2NO3等が挙げられるが、プラスチック耐火材
が使用される炉内のアルカリ物質の融点よりも低い温度
で溶融するものを選択して使用することが望ましい。
【0045】
【実施例】本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明
の効果を詳細に説明する。表2は、本発明の2つの実施
例及び3つの比較例、並びに侵食性及び耐食性に関する
それらの試験結果を示している。
【0046】
【表2】
【0047】本発明の実施例1及び2の試料は、骨材部
の材料としてムライト質骨材(粒径0.5mm以上)を、微
粉末部の材料としてムライト微粉末(粒径0.5mm未
満)、溶融アルミナ微粉末、耐火粘土及びシリカヒュー
ムを用いる。いずれの試料も、微粉末部のアルミナ成分
は微粉末部の65重量%であり、微粉末部のシリカフュ
ームは耐火材全量の4重量%である。また、実施例1及
び2は別枠で分散剤とアルカリ塩類を含む。
【0048】比較例1は、従来使用されているクロム質
プラスチック耐火材の一例であり、クロム鉄鉱93重量
%、耐火粘土2重量%、及びアルカリ塩類5重量%の組
成である。
【0049】比較例2は、アルミナ質キャスタブル耐火
材の一例であり、アルミナ質骨材65重量%、溶融アル
ミナ微粉末15重量%、アルミナ超微粉末13重量%、
シリカフューム3重量%、そしてアルミナセメント4重
量%の組成である。さらに、別枠で分散剤1重量%を含
む。
【0050】比較例3は、骨材部、微粉末部及び分散材
については実施例1及び2と共通するが、アルカリ塩類
を含まない。
【0051】各試料は、材料を最適に添加水量で混練し
た後、材料に応じた流し込み又は叩き込み施工によっ
て、図2に示す寸法のルツボの形状を作製した。作製さ
れたルツボを自然状態(室温)で24時間放置した後、
110℃で24時間の乾燥を行った。
【0052】次に、上記のように作製された各ルツボの
侵食、浸透試験を行った。試験方法は、各ルツボの中
に、反応アルカリ塩としてNa2CO3とNa2SO4を重
量比で1:1に配合したものを15gずつ投入し、電気
炉内で加熱(1100℃で3時間と1200℃で3時
間)した。その後、図2に示すようにルツボを垂直方向
に切断し、その断面から侵食量及び浸透量を面積として
測定した(JIS R 2214「耐火れんがのるつぼ法によるス
ラグ湿潤試験方法」準拠)。また、亀裂の有無は肉眼観
察による。
【0053】試験結果は、表2に示す通りである。実施
例1及び2は共に本発明による好適なプラスチック耐火
材であるが、実施例1と2ではアルカリ塩類の添加量が
異なる。アルカリ塩類量が多い実施例1の方が浸透量が
少ない。実施例1及び2は共に侵食量及び浸透量が少な
く、優れた耐侵食性および耐浸透性が得られていること
が分かる。これに対し、アルカリ塩類を添加していない
比較例3は、実施例1及び2に比べると侵食量、浸透量
共に大きくなっている。
【0054】比較例1は、従来のクロム質プラスチック
耐火材の一例であるが、耐侵食性には極めて優れている
ものの、実施例1及び2と比較して浸透量が非常に大き
い。
【0055】比較例2は、アルミナ質の低セメントキャ
スタブル耐火材の一例であるが、耐侵食性に優れるもの
の、実施例1及び2と比較して浸透量が非常に大きく、
耐火材に割れが認められた。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアルミナ
・シリカ質プラスチック耐火材は、微粉末部のアルミナ
成分の量を微粉末部の55〜75重量%の範囲内とし、
シリカ成分中のシリカフュームの量を耐火材全量の3〜
10重量%の範囲内とすることにより高耐食性を実現
し、さらに、分散剤及びアルカリ塩類を添加することに
より耐浸透性を実現することができる。従来の耐火材と
比較して耐浸透性に優れ、耐侵食性についても遜色な
い。
【0057】特に、耐浸透性については、従来のクロム
質プラスチック耐火材と比較して非常に優れている。従
って、黒液燃焼ボイラやアルカリ廃液焼却炉等、アルカ
リ含有物の存在する炉内の保護材として、有効でかつ安
全性の高い材料が実現された。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミナ・シリカ質プラスチック耐火材の微粉
末部のアルミナ含有量と、アルカリによる耐火材の侵食
量及び浸透量との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の実施例および比較例の試験用に形成し
たルツボの形状、寸法、及び試験時の切断箇所を示す図
である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−35067(JP,A) 特開 昭54−113617(JP,A) 特開 昭59−203776(JP,A) 特開 平2−6373(JP,A) 特開 平4−280876(JP,A) 特開 平5−221737(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/66 F23G 7/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ塩含有物の存在する炉の内面の
    保護材として用いられるプラスチック耐火材において、 前記プラスチック耐火材が粒径0.5mm以上の粒子から
    なる骨材部と、粒径0.5mm未満の粒子からなる微粉末
    部とを有し、かつ前記骨材部と前記微粉末部の重量比が
    1:0.67〜1.5であり、 前記微粉末部がアルミナ成分とシリカ成分とからなり、
    前記アルミナ成分は該微粉末部の55〜75重量%を占
    め、かつ、前記シリカ成分は前記プラスチック耐火材全
    重量の3〜10重量%のシリカヒュームを含み、 前記プラスチック耐火材がさらにリグニン系分散剤を添
    加され、かつ、前記骨材部及び前記微粉末部を加えた重
    量と前記リグニン系分散剤の重量の比が1:0.001
    〜0.02であり、 前記プラスチック耐火材がさらにアルカリ塩類を添加さ
    れ、かつ、前記骨材部及び前記微粉末部を加えた重量と
    前記アルカリ塩類の重量の比が1:0.0005〜0.
    02であることを特徴とするプラスチック耐火材。
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