JP3250929B2 - 防音壁 - Google Patents

防音壁

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JP3250929B2
JP3250929B2 JP32208594A JP32208594A JP3250929B2 JP 3250929 B2 JP3250929 B2 JP 3250929B2 JP 32208594 A JP32208594 A JP 32208594A JP 32208594 A JP32208594 A JP 32208594A JP 3250929 B2 JP3250929 B2 JP 3250929B2
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義則 渡辺
喜延 久保
九州男 加藤
福治 宮里
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、騒音の発生源である道
路や鉄道等の側縁近傍に設けられている防音壁に関す
る。特に、道路や鉄道の高架橋梁や高架鉄道等の側縁近
傍に設けられるときに好適な防音壁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、道路や鉄道等が市街地を通過する
場所には、車両が通過するときの騒音を減音させるため
に、道路や鉄道等の側縁に高さ1.5m〜3.0m程度
の防音壁が設けられている。この防音壁は、通常、壁の
内部にグラスウールマット等の吸音材を取り付けたもの
が多い。一方、特公昭58−57397号公報、実公昭
59−21438号公報に記載あるように、幅の異なる
板を平行に並べ、この板の間を通過する音の位相差を利
用して音を干渉させて消音する防音装置が知られてい
る。
【0003】又、実開昭58−171910号公報、実
開昭58−171911号公報に記載あるように、トン
ネルの出入口近傍の高速道路天井部分に平行な板を斜め
方向に多数並べて、光の急激な変化と騒音とを防ぐ遮
光、遮音ルーバーが知られている。又、実公平2−41
270号公報、特開昭60−199142号公報に記載
あるように、換気扇等の風道を横切る状態に断面V字形
の板を隙間がある状態に複数本並列に並べて設けられた
防音換気装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、道路や鉄道等
の側縁に高さ1.5m〜3.0mの防音壁を設けている
と、風荷重が大きく、従って、これを支える支柱を頑丈
にする必要がある。特に、高架橋梁や高架鉄道において
は支柱を頑丈にすると、それだけ荷重が大きくなるか
ら、前記風荷重に支柱の荷重を加えた負担が高架橋梁や
鉄道橋梁にかかり、橋梁そのものを更に頑丈にする必要
がある。例えば、橋梁部の桁高さと同程度の高さの防音
壁を設けると、桁に作用する風荷重は桁のみの場合の約
2倍に達する。特に、長径間高架橋の場合には、橋脚部
に加わる風荷重は地震荷重にも匹敵するほどのものとな
る。従って、風荷重の低減を可能にすると、防音壁の支
柱および基礎部分の設計に対しても風荷重の低減は有利
に働き、建設費の減少につながる。特に、高架橋梁や高
架鉄道の場合には、風荷重の影響が極めて大きくなるか
ら、橋梁設計上その低減は重要な課題である。
【0005】一方、防音壁は、これまでどちらかという
と、減音効果を高めることに注目して研究開発されてい
て、この風荷重等に関しては注目されていなかった。そ
こで、本発明者はこの風荷重に注目して、風荷重の小さ
い防音壁として利用できるであろうと思われる防音構造
を調査した結果、前記公報記載の構造、即ち、板の幅の
異なる平行な板を並べた防音装置、トンネルの出入口近
傍に設けられている遮光・遮音ルーバー、換気扇の風道
に取り付けられているV字形の板等があることが判り、
上記防音構造を道路縁や橋梁縁に取り付けて研究した結
果、風荷重は小さくなるが、板の間を音が多重反射して
透過するために減音効果が減少しないことが判明した。
そこで、更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに到
った。即ち、本発明の目的は、道路や鉄道等の側縁、特
に、高架橋梁や高架鉄道の側縁近傍に設けたとき、風荷
重が小さく、しかも、吸音効果が大きく、さらに植物を
植生し、景観を大きく向上できる防音壁を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであって、多数の孔が穿設され
断面外開き状の溝状体と、この溝状体の表裏両面に取
り付けられた吸音材とからなる単体が、隙間のある状態
に相隣る単体は山と谷が互いに向き合った状態で複数枚
並列に並べられて道路または鉄道の側縁近傍に立設され
ているものである。
【0007】本発明に使用する溝状体の材質としては、
一定の強度と透過損失とを有するものであれば適宜の材
質でよいが、鉄、アルミニウム等の金属やコンクリー
ト、フレキシブルボード等の無機質材料、ポリメチルメ
タクリル樹脂、FRP、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂等
が好適である。本発明に使用する吸音材としては、グラ
スウールマット、発泡したモルトプレーン、発泡セラミ
ックスやフッ化ビニールで覆われた吸音材等が使用でき
る。本発明においては、多数の孔が穿設された断面外開
き状の溝状体と、この溝状体の表裏両面に取り付けられ
た吸音材とからなる単体が複数枚並べられて立設されて
いるが、この単体を並べる方向は隣接する単体が同一方
向に並列されたものが好適で、すなわち断面V字形の場
合であれば、道路または鉄道の側縁に沿って山と谷とが
互いに向き合って立てられていると吸音性が向上し好ま
しい。又、防音壁の高さ、単体の間隔、吸音材の厚みは
使用場所および目的によって適宜に選定できるが、通常
の場合、高さ0.5m〜3.5m、吸音材の厚み1cm
〜10cmが好適であり、特に吸音材は厚み2cm〜4
cmが最も好適である。また相隣る単体の側端部間の隔
離寸法は、12cm以下が好ましいが、特に風荷重と減
音効果とを考慮すると、8cm以下が好ましい。
【0008】
【作用】本発明防音壁は多数の孔が穿設された断面外開
き状の溝状体と、この溝状体の表裏両面に取り付けられ
た吸音材とからなる単体が、隙間のある状態に複数枚並
列に並べられて立設されているから、風が吹くと、複数
枚並列に並べられた単体の隙間を風が通る。従って、風
荷重が少ない。又、道路や鉄道を通過する車両の発生す
る騒音が道路や鉄道の側縁に設けられている防音壁に到
ると、騒音は隙間のある状態に相隣る単体は山と谷が互
いに向き合った状態で複数枚並列に並べられた単体の隙
間を、断面外開き状の溝状体の表面と裏面との間を多重
反射しながら通過するが、その際、この溝状体に取り付
けられた吸音材によって吸収される。従って、減音効果
が大きい。さらに、並列された単体の隙間に植物を植生
すれば、市街地や高架道路における景観が著しく向上す
る。
【0009】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。図1〜図
10は本発明の防音壁の効果を試すために行った実験
(実施例1)を示すものであって、図1は無響室の中に
設けた模型防音壁を示す正面図、図2は試験体を示すも
ので、(イ)は上方向から見た説明図、(ロ)は吸音材
を取り外して斜め方向から見た説明図、図3は吸音材の
吸音特性を示す図、図4は音源、受音点、壁の位置を示
す説明図、図5は各実験ケースに使用した試験体の形状
と重なりの様子を示す説明図、図6は試験体を取り付け
ないときのインサーションロスを示す図、図7は吸音材
の厚さの違いによるインサーションロスを示す図、図8
は吸音材の有無によるインサーションロスを示す図、図
9は数1による値と実験ケースA−2〜5のインサーシ
ョンロス測定値の差の平均値と標準偏差とを示す図、図
10は数1による値と実験ケースB−2〜5のインサー
ションロス測定値の差の平均値と標準偏差とを示す図で
ある。図11〜図13は音源を壁に平行に移動させたと
きの実験(実施例2)を示すもので、図11は音源と受
音点の位置関係を示す説明図、図12は数1による値と
実験ケースC−1〜8のインサーションロス測定値の差
の平均値と標準偏差を示す図、図13は数1による値と
実験ケースC−9〜15のインサーションロス測定値の
差の平均値と標準偏差を示す図である。図14〜図16
は溝状体の他の実施例であって、図14(イ)、
(ロ)、(ハ)、(ニ)は溝状体の他の実施例を示す平
面図、図15は溝状体の他の並べ方の例を示す平面図、
図16は多数の孔が穿設された溝状体の一例を示す斜視
図である。
【0010】(実施例1)この実施例1では、減音効果
について実験する。図1〜図10において、1は実際の
防音壁の縮尺1/4の模型防音壁であって、この模型防
音壁1の形状、寸法を図1、図2に示す。この模型防音
壁1は無響室(内のり寸法:6.9×6.6×3.3
m、暗騒音NC−15以下)の歩廊床上に、図1に示す
ように設置される。2は試験体であって、この試験体2
は図2に示すように断面V字形に成形された厚さ1.2
mmの鉄板からなる溝状体21の表裏両面に図3に示す
吸音率を有する吸音材(モルトプレーン)22を張り付
けた単体23を山と谷とが重なり合う向きで隙間のある
状態に複数枚並列に並べたものである。
【0011】そして、図1に示す模型防音壁1の中央上
部の斜線部分に試験すべき試験体2を取り付け、その他
の部分に厚み24mmの合板3を取り付けた。4は音源
であり、5は受音点である。そして、図4と表1に示す
音源にスピーカー(FOSTEX H−T926)を取
り付け、受音点5に精密騒音計を取り付け、図5、表2
に示すような実験ケースで実験を行った。なお表2にお
ける隔離寸法dは、単体23の重なりという視点から見
た寸法で、吸音材22を取り外した相隣る溝状体21の
側端部間の寸法を示している。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】尚、実験ケースA群とB群の断面V字形の
幅は150mm、55mm(実寸では60cm、22c
m)となっていて、実験ケースA群の方がB群よりV字
形の開き角度が大きく両者に差があるが、表2の如く隔
離寸法dは同程度になるように計画した。
【0015】次に、実験方法について説明する。音源4
から実験周波数2kHz、4kHz、8kHz(実寸で
は0.5kHz、1kHz、2kHzに対応)の音を発
生させ、この音を受音点5に取り付けた精密騒音計で測
定し、この測定値を1/3オクターブバンド実時間分析
器で各周波数のバンドレベルを求めた。そして、音源4
からの音が点音源的に減衰して受音点5に到着すると仮
定して計算したバンドレベルと、試験体2を取り付けた
場合の受音点5で測定したバンドレベルとの差をインサ
ーションロスと呼び、これにより試験体2の減音量を測
る。
【0016】尚、この無響室では実験周波数の範囲内で
逆二乗則が成立し、更に、斜線の部分に頂部がナイフエ
ッジの合板(厚さ24mm)を取り付けた場合の回折減
音量L(dB)はほぼ次の数1で示す数式から算出され
る値に一致することを確認している。
【数1】 この数1による値はインサーションロスが十分大きい厚
さ24mmの合板の値に相当するものであって、この数
1による値を上回るということは防音壁として極めて優
秀なことを意味する。
【0017】次に、実験結果について説明する。最初に
図1の斜線部分に試験体2を取り付けないときのインサ
ーションロスを測定したところ、図6に示す結果が得ら
れた。この図6から判明するように、試験体2を取り付
けないときには、多少のバラツキはあるもののインサー
ションロスが十分小さく、殆ど、騒音が減少していな
い。次に、厚さの異なる吸音材22を取り付けた試験体
2を、それぞれ取り付けてインサーションロスを測定し
たところ、図7、図8に示す結果が得られた。なお図7
の(イ)は実験ケースA−1、(ロ)は実験ケースA−
3を示し、図8の(イ)は実験ケースB−1、(ロ)は
実験ケースB−2を示している。また図中の実線は数1
で求めた値を表に示したものである。
【0018】この実験結果から言えることは、 1)図8に示されるように、断面V字形の溝状体21の
表裏両面に吸音材22を取り付けてない試験体2(図8
(イ)に示される実験ケースB−1の場合)のインサー
ションロスは小さく、且つバラつくが、吸音材22を取
り付けた試験体2(図8(ロ)に示される実験ケースB
−2の場合)のインサーションロスは大きくなる。そし
て図7に示されるように、この吸音材22の厚さが5m
m(図7(イ)で示される実験ケースA−1の場合)、
更に10mm(図7(ロ)で示される実験ケースA−3
の場合)と厚くなるとインサーションロスが大きくなる
ことが判った。 2)また図7に示されるように、吸音材22の厚さが5
mmより10mmの方が、数1のN(フレネル番号)の
値が0.2〜1の範囲でのインサーションロスの落ち込
みが小さく、防音壁として十分な減音効果が得られると
判断される。
【0019】次に、上記結果より吸音材22の厚さを1
0mmとし、単体23の間隔(断面V字形の溝状体21
の重なり)を変えて測定した結果を、数1による値とイ
ンサーションロス測定値との差の平均値と標準偏差で表
した値で示すと、図9(実験ケースA−2〜A−5の場
合)、図10(実験ケースB−2〜B−5の場合)が得
られた。例えば、ケースB−2では図8(ロ)の×、
□、△が測定値として得られるが、同じNに対する測定
値と実線との差はNの範囲を限定すればかなり近い値を
示す。それ故、測定値と数1による値との差について平
均値、標準偏差を求めて比較した。
【0020】その結果から言えることは、 1)図9、図10ともに単体23の間隔、すなわち溝状
体21の隔離寸法dが広くなると、インサーションロス
の平均値が低下するとともに、バラツキも大きくなる傾
向が認められる。 2)図9では間隔100〜110mm、図10では間隔
125〜135mmより大きな所では平均値が急激に変
化したり、負の値が発生しており、好ましくない。 3)溝状体21の重なりという視点からみれば、表2の
隔離寸法dに示されるように、図9の間隔75mm、1
00mm、125mmが、図10の間隔100mm、1
25mm、150mmにそれぞれ対応し、これらの重な
りは同程度である。両者を比較すれば結果に大きな差は
認められない。つまり、溝状体21の幅が150mmか
ら55mmに狭くなってもインサーションロスに大差の
ないことが認められる。溝状体21の幅55mmは実寸
法に換算すれば、22cmである。 4)また前記図9での間隔100〜110mm、図10
での間隔125〜135mmは、相隣る溝状体21間の
隔離寸法dで言えば25〜35mm(実寸では10〜1
4cm)であり、従って吸音材22を取り付けた単体2
3間では、吸音材22の実寸厚み2〜4cmを考慮する
と、実寸で8〜12cm程度の隔離寸法となる。
【0021】以上の結果から、溝状体21の開き角度に
関係なく単体23間の隔離寸法、すなわち側端部間の寸
法は12cm以下、特に8cm以下が好ましいものであ
り、さらに特にインサーションロスの測定値が数1によ
る値に近く、且つ、バラツキが小さいという条件を考え
ると、前記実験ケースで最も適当と判断される単体23
の間隔、溝状体21の幅、吸音材22の厚さは、実験ケ
ースB−3(単体23の間隔125mm、溝状体21の
幅55mm、吸音材22の厚さ10mm、単体23間の
隔離寸法約15mm)であると考えられ、これらの条件
では、インサーションロスは、ほぼ数1に近い値とな
り、又、単体23の間隔もある程度開いているので、風
による荷重も低減できると考えられる。本実施例では1
/4縮尺模型防音壁であるから、これらの条件を実寸法
に換算すれば、防音壁の高さは3m、単体の間隔50c
m、溝状体の幅22cm、単体間の隔離寸法約6cm程
度が最適と考えられる。
【0022】(実施例2)実施例1で使用した模型防音
壁1は平板のように構造的にほぼ一様と見なせないもの
であり、そのために、模型防音壁1に入射する音の角度
が異なれば、インサーションロスに有意な差が生じる可
能性がある。従って次に、音源4の位置と受音点5の位
置を実施例1で使用した模型防音壁1に平行に移動させ
たときのインサーションロスを検討した。実験の対象と
した試験体2は、実施例1で最もよい結果が得られた実
験ケースB−3を使用した。
【0023】この実験で、音源4の位置と受音点5の位
置関係を図11に示す。図中○は音源4と受音点5を試
験体2の中心(図中のS、Rを基準位置とする)に設置
した場合であり、●は試験体2の単体の隙間(図中
S’、R’を基準位置とする)に設置した場合である。
そして、これらの点から約10cmずつ音源4を移動さ
せて受音点5で測定した。又、図11中の記号は、それ
ぞれの音源4の位置での実験ケース(表3参照)であ
る。表3に、各実験ケースの基準位置とした音源4から
のズレをまとめて示す。
【0024】
【表3】
【0025】例えば、図11中のC−5は、基準となる
位置(模型防音壁1の中心)より11.5cmほど、右
にズレている位置に音源を設置し、そのインサーション
ロスを求めた実験である。尚、実施例1における表1に
示した実験では、音源4と受音点5を結んだ線と模型防
音壁1が直交するものであるが、それに対して、表3に
はそれが直交しない場合の実験が多数含まれている。表
3に示す各実験ケース毎に図7、図8と同様な結果が得
られたので、図9、図10を求めたときと同じ手順で図
12、図13を求めた。この結果から明らかなように、
すべての実験ケースにおいてインサーションロスに有意
な差は認められず、従って模型防音壁1に入射する音の
角度が異なっても、インサーションロスに有意な差が生
じていないことが判った。
【0026】(実施例3)この実施例では、風荷重につ
いて実験した。無響室での実験から、その効果が明らか
になった試験体2(実験ケースB−3)と形状を一致せ
さた縮尺1/20の試験体を風洞内に設置して、抗力係
数を測定した。試験体2はアルミニウムのアングルを重
ね合わせたもので、試験体2間の間隔を重ね合わせたア
ングルの厚さで調整したため、その間隔を連続的に変化
させることができなかったが、測定結果によれば、通常
の抗力係数の求め方と同様に、試験体2の投影面積で無
次元化すると、基準長さあたりの間隔が6(アルミニウ
ムのアングルを6枚重ねた試験体2での間隔)の場合は
Cd=1.577で、基準長さあたりの間隔が2(アル
ミニウムのアングルを2枚重ねた試験体2での間隔)の
場合にはCd=1.193となっている。
【0027】このように試験体の間隔を大きくすると、
抗力係数が小さくなる。一般に、現在用いられている防
音壁に相当する無限平板の抗力係数はCd=2.13で
あるため、最も小さい抗力係数となっている試験体2の
間隔が2の場合は抗力係数は無限平板よりも44%も小
さくなっていることになる。従って、本発明の防音壁を
用いることによって、従来の平板型の防音壁に較べて橋
梁の風による荷重を半分程度減少できることが判る。
【0028】以上の如く本発明防音壁は、風荷重が小さ
くなり且つ減音効果に優れたものであるが、本発明に使
用される断面外開き状の溝状体は、上記した図2の如き
V字状に限定されるものではなく、断面外開き状であれ
ば、図14(イ)〜(ニ)や図1に例示したような他
の形状であってもよい。またその並び方は、図2、図5
の如く、山と谷とが互いに向き合って立てられるもので
ある。
【0029】なお図16に例示した溝状体は、多数の孔
が穿設されており、吸音材が取り付けられても、その孔
から若干の音漏れが生じるものの、その孔からも風が通
り抜けることができる。従って若干の音漏れが無視でき
且つ特に風圧の強い場所等に用いることができるもので
ある。
【0030】また相隣る単体の隙間に植物を植生すれ
ば、市街地や高架道路における景観が著しく向上する。
この場合上記実験ケースについて言えば、V字形の開き
角度が大きい実験ケースA群の方が、植物を植生するた
めの隙間を大きくとれるので好ましい。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明防音壁は断
面外開き状の溝状体と、この溝状体の少なくとも一面に
取り付けられた吸音材とからなる単体が、隙間のある状
態に複数枚並列に立設されているから、板状に連続して
設置される従来の防音壁に較べて軽量化でき、またその
軽量化に加えて、風が吹くと複数枚並列に並べられた単
体の隙間を風が通るので風荷重も小さくなることから、
本発明防音壁を設置する際、基礎工事が簡単になると共
に支柱及び基礎部分の軽量化も図ることができる。従っ
て防音壁の基礎の軽量化等が図れることから、本発明防
音壁が高架橋等に設置されても、長径間高架橋の橋脚部
に作用する力が減少し、橋梁設計上有利となり、かつ、
工期の短縮、建設費の軽減等顕著な効果がある。
【0032】又、道路や鉄道を通過する車両の発生する
騒音は相隣る単体は山と谷が互いに向き合った状態で
数枚並列に並べられた単体の隙間を通過する際、この断
面外開き状の溝状体の表面と裏面との間を多重反射しな
がら通過し、取り付けられた吸音材によって吸音されて
減音効果が大きい。従って、周辺の住民が騒音に悩まさ
れることがなく効果的である。さらに相隣る単体には隙
間が設けられているので、その隙間に植物を植生するこ
とによって都市景観を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明防音壁の効果を試すために行った実験を
示すものであって、無響室の中に設けた模型防音壁を示
す正面図である。
【図2】試験体を示すもので(イ)は上方向から見た説
明図、(ロ)は吸音材を取り外して斜め方向から見た説
明図である。
【図3】吸音材の吸音特性を示す図である。
【図4】音源、受音点、壁の位置を示す説明図である。
【図5】各実験ケースに使用した試験体の形状と重なり
の様子を示す説明図である。
【図6】試験体を取り付けないときのインサーションロ
スを示す図である。
【図7】吸音材の厚さの違いによるインサーションロス
を示す図である。
【図8】吸音材の有無によるインサーションロスを示す
図である。
【図9】数1による値と実験ケースA−2〜5のインサ
ーションロス測定値の差の平均値と標準偏差とを示す図
である。
【図10】数1による値と実験ケースB−2〜5のイン
サーションロス測定値の差の平均値と標準偏差とを示す
図である。
【図11】音源の位置を壁に平行に移動させたときの実
験を示すもので、音源と受音点の位置を示す説明図であ
る。
【図12】数1による値と実験ケースC−1〜8のイン
サーションロス測定値の差の平均値と標準偏差とを示す
図である。
【図13】数1による値と実験ケースC−9〜15のイ
ンサーションロス測定値の差の平均値と標準偏差とを示
す図である。
【図14】溝状体の他の実施例を示す平面図である。
【図15】多数の孔が穿設された溝状体の一例を示す斜
視図である。
【符号の説明】
1 模型防音壁 2 試験体 21 溝状体 22 吸音材 23 単体 3 合板 4 音源 5 受音点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 義則 福岡県北九州市戸畑区菅原1−10−5 (72)発明者 久保 喜延 福岡県北九州市八幡西区高江1−4−26 (72)発明者 加藤 九州男 福岡県宗像市大字大井508−1 (72)発明者 宮里 福治 滋賀県蒲生郡竜王町鏡松陽台1417−72 (56)参考文献 特開 昭60−199142(JP,A) 実開 平2−70009(JP,U) 実開 平4−30113(JP,U) 実公 昭54−29153(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01F 8/00 G10K 11/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の孔が穿設された断面外開き状の溝
    状体と、この溝状体の表裏両面に取り付けられた吸音材
    とからなる単体が、所定の間隔を置いて相隣る単体は山
    と谷が互いに向き合った状態で複数枚並列に並べられて
    道路または鉄道の側縁近傍に立設されていることを特徴
    とする防音壁。
  2. 【請求項2】 単体が、断面V字形の溝状体の表裏両面
    に吸音材が取り付けられてなる請求項1記載の防音壁。
  3. 【請求項3】 並列された単体の少なくとも上端もしく
    は下端が水平方向の桟材に取り付けられた請求項1また
    は2記載の防音壁。
  4. 【請求項4】 相隣る単体の隙間に植物が植生された請
    求項1、2または3記載の防音壁。
  5. 【請求項5】 相隣る単体の側端部間の隔離寸法が8c
    m以下である請求項1、2、3または4記載の防音壁。
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