JP3249485B2 - 固形消臭剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は固形消臭剤組成物に
関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】無水消
臭剤スティックが長年にわたって知られており、使用さ
れていた。それらはその他の消臭剤提供形態、特にエア
ゾールに対して多くの利点を与える。これらの利点は、
例えば、使用及び貯蔵の高い安全性、オゾン層に有害な
噴射剤ガスの不在、簡単かつ経済的な包装、並びに乾燥
現象の不在のための貯蔵に関する良好な安定性である。
二つの型のワックス（一方は比較的低い融点、即ち80℃
未満の融点を有し、また他方は高い融点、即ち、80℃よ
り高い融点を有する）の組み合わせが無水消臭剤組成物
中で凝固剤として通常使用される。文献に最も普通に記
載され、また商用製品に使用される低い融点を有するワ
ックスはステアリルアルコールであり、これは60℃の融
点を有する。高い融点を有するワックスと低い融点を有
するワックス、例えば、ステアリルアルコールの組み合
わせの主たる欠点はそれらの耐久性を低下するスティッ
クの棒の脆化、及びかなりオフホワイトの痕跡（これら
は続いて衣類に移されることがある）の皮膚への付着で
ある。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本件出願会社は、無水消
臭剤組成物を凝固するための薬剤として、低い融点を有
するワックスを含まないワックスの混合物、即ち、全て
が80℃より高い融点を有するワックスのみを含む混合物
を使用することによりこれらの欠点を解消することが可
能であることを今発見した。高い融点を有する少なくと
も２種のワックスのこのような組み合わせにより凝固さ
れた本発明の消臭剤組成物は使用時の優れた耐久性及び
適用後の皮膚の少ない白化を示すとともに、それらの化
粧特性、特に展着に関する良好な性質、例えば、平滑
性、スリップ及び磨耗を保持する。それ故、本発明の主
題は凝固剤としての、全てが80℃より高い融点を有する
ワックスの混合物、及び少なくとも一種の消臭剤活性成
分を含む固形消臭剤組成物である。

【０００４】

【発明の実施の形態】更に特別には、本発明のワックス
の混合物は80℃より高い融点を有する少なくとも一種の
合成ポリエチレンワックス、及び80℃より高い融点を有
する少なくとも一種の天然源のワックスを含む。一種以
上のポリエチレンワックスは展着、磨耗及びスリップの
必要な性質を製品に与える作用を有する。一種以上の第
一ワックスと組み合わせて、高い融点を有する一種以上
の天然ワックスはスティックの棒の構造を強化し、ステ
ィックの崩壊を避けるのに必要な剛性に寄与する。本発
明に従って使用される高い融点（80℃より高い）を有す
るポリエチレンワックスはエチレンホモポリマーまたは
エチレンと式(I) CH₂=CH-R (I) （式中、Ｒはモノオキシアルキレン単位またはポリオキ
シアルキレン単位により中断し得る線状または分岐アル
キル鎖、アリール基もしくはアラルキル基、または-CH₂
COOH基もしくは-CH₂CH₂OH 基を表す）に相当する別の共
重合性モノマーのコポリマーである。アルキル基は更に
特別にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基を表
す。モノオキシアルキレン単位またはポリオキシアルキ
レン単位はモノオキシエチレン基もしくはポリオキシエ
チレン基またはモノオキシプロピレン基もしくはポリオ
キシプロピレン基を表すことが好ましい。アリール基は
フェニル基またはトリル基であることが好ましい。アラ
ルキル基は、例えば、ベンジル基またはフェネチル基で
ある。本発明の高い融点を有するポリエチレンワックス
の重量平均分子量は約400 〜1000、更に特別には約400
〜700 であり、約500 であることが好ましい。

【０００５】本発明の組成物の好ましい実施態様によれ
ば、先に定義されたワックスはエチレンホモポリマー、
エチレンとプロピレンのコポリマー、エチレンと無水マ
レイン酸もしくはマレイン酸のコポリマー、または酸化
ポリエチレンもしくはエトキシル化ポリエチレンから選
ばれる。本発明に従って使用し得るエチレンホモポリマ
ーの中で、ペトロライト社によりポリワックス500 、ポ
リワックス655 及びポリワックス1000の商品名で販売さ
れるものが特に挙げられる。本発明に従って使用し得る
エチレンコポリマーの中で、ペトロライト社により商品
名ペトロライト（登録商標）として販売されるエチレン
とプロピレンのコポリマー、ペトロライト社により商品
名セラマー（登録商標）として販売されるエチレンと無
水マレイン酸のコポリマー、ペトロライト社により商品
名ユニリン（登録商標）及びユニシド（登録商標）とし
て販売される酸化ポリエチレン、及びペトロライト社に
より商品名ユニソックス（登録商標）として販売される
エトキシル化ポリエチレンが挙げられる。本発明の特に
好ましい実施態様によれば、ポリエチレンワックスはエ
チレンホモポリマーワックスである。

【０００６】本発明の無水消臭剤組成物中に、上記ポリ
エチレンワックスが少なくとも一種の第二ワックス（こ
れはまた80℃より高い融点を有する天然ワックスであ
る）と組み合わせて使用される。この天然ワックスはミ
ネラルワックス、化石ワックス、動物ワックスもしくは
植物ワックス、または水添油、脂肪エステル、脂肪アル
コールもしくはポリオキシエチレン化脂肪アルコール
（これらは25℃で固形である）から選ばれる。本発明の
消臭剤組成物中の天然源のワックスの例として、微結晶
性ワックス、セレシン、オゾケライト、カンデリラワッ
クス、カルナウバワックス、水添ヒマシ油、水添パーム
油または水添ヤシ油が使用し得る。本発明の好ましい実
施態様によれば、天然ワックスは高い融点を有するオゾ
ケライトである。オゾケライトはパラフィンに富む石油
の蒸発からの固形残渣に相当する複雑な組成を有する化
石炭化水素である。商用オゾケライトはバーロチャー社
により販売されるC_20-50炭化水素の混合物である製品セ
ロゾ・ブランチェE626である。

【０００７】本発明の消臭剤組成物は５重量％から20重
量％までの合成ポリエチレンワックス及び２重量％から
20重量％までの高い融点を有する前記天然ワックスを含
む。ポリエチレンワックスの比率は天然ワックスの比率
より大きいことが好ましく、（ポリエチレンワックス／
天然ワックス）重量比は特に10/1〜1/1 、特に7/1〜3/1
である。本発明の消臭剤組成物は、高い融点を有する
ワックスの混合物に加えて、少なくとも一種の消臭剤活
性成分を含む。本発明の意味内で、消臭剤活性成分は汗
の流れを低減することができ、かつ／またはバクテリア
によるヒトの汗の分解により生じる不快な臭気をマスキ
ングし、改善し、または低減することができるあらゆる
物質を意味するものと理解される。それは、例えば、発
汗防止化合物、例えば、アルミニウム塩及び／またはジ
ルコニウム塩、例えば、アルミニウムヒドロキシクロリ
ドまたはアルミニウムヒドロキシクロリドとジルコニウ
ムヒドロキシクロリド、またはミョウバン塩、制菌剤、
殺菌剤、例えば、２，４，４’−トリクロロ−２’−ヒ
ドロキシジフェニルエーテル及び３，７，11−トリメチ
ルドデカ−２，５，10−トリエノール、及び種々の亜鉛
塩、臭い吸収物質、例えば、重炭酸ナトリウム、酸化防
止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン、またはこ
れらの化合物及び／または薬剤の混合物である。３，
７，11−トリメチルドデカ−２，５，10−トリエノール
は、例えば、ドラゴコ社により商品名ファーネゾル（登
録商標）として販売され、また２，４，４’−トリクロ
ロ−２’−ヒドロキシジフェニルエーテルはチバ−ガイ
ギー社により商品名イルガケア（登録商標）MPとして販
売される。アルミニウム塩の中で、レハイス社により商
品名リーチ301 として販売される製品またはギリニ・ケ
ミ社により商品名アロキシコルPF 40 として販売される
製品が挙げられる。アルミニウム塩及びジルコニウム塩
は、例えば、レハイス社により商品名リーチA2P-908-SU
F として販売されるものである。

【０００８】消臭剤活性成分または消臭剤活性成分の混
合物は全組成物に対し約0.01重量％〜40重量％の比率、
好ましくは約0.05重量％〜25重量％の比率で存在する。
消臭剤活性成分がアルミニウムヒドロキシクロリドまた
はアルミニウムヒドロキシクロリドとジルコニウムヒド
ロキシクロリドである場合、それは組成物の合計質量に
対し２重量％〜30重量％の比率、好ましくは５重量％〜
25重量％の比率で存在する。本発明の固形消臭剤組成物
は更に一種以上の軟化剤を含んでもよい。これらの軟化
剤の作用は最終製品の化粧特性を改良し、皮膚上のステ
ィックの棒の良好な滑りを促進し、こうして消臭剤組成
物の適用を促進することである。軟化剤は、例えば、揮
発性シリコーン、例えば、ダウ・コーニング社により商
品名DC246 液として販売される製品、及び不揮発性シリ
コーン、例えば、ダウ・コーニング社により販売される
製品DC556 、ポリデセン、例えば、アモコ社の製品シル
クフロ（登録商標）S366 NF 、脂肪酸エステル、例え
ば、ユニチェマ社により商品名エストール（登録商標）
1517として販売される製品、脂肪アルコール、エトキシ
ル化表面活性剤及び／またはプロポキシル化表面活性剤
またはグリコールのポリアルコキシル化エステルまたは
PPG(ポリプロピレングリコール)(14) ブチルエーテル
（ユニオン・カーバイド社の液体AP）である。本発明の
組成物中の軟化剤の含量は一般に10重量％〜70重量％、
好ましくは20重量％〜60重量％である。

【０００９】加えて、本発明の消臭剤組成物は一般に組
成物の脂肪物質中に非常に微細な粒子の形態で混入され
た一種以上の充填剤を含む。これらの充填剤は、例え
ば、タルク、シリカ、澱粉誘導体、クレーまたはアクリ
レートコポリマー（ケマノード社のエキスパンセル（登
録商標）551 DE）から選ばれ、一般に組成物の合計質量
に対し約0.1 重量％〜10重量％の比率で存在する。加え
て、本発明の消臭剤組成物はその他のアジュバント、例
えば、香料及び／または着色剤を含んでもよい。勿論、
当業者は、本発明の消臭剤組成物に固有に付加された有
利な性質が考えられる一種以上の添加により有害に影響
されず、または実質的影響されないようにこのまたはこ
れらの可能な付加的な化合物を選ぶのに注意を払うであ
ろう。本発明の固形消臭剤組成物は一般に消臭剤スティ
ックの形態で提供される。本発明の別の主題は汗の流れ
を低減し、かつ／またはバクテリアによるヒトの汗の分
解により生じる不快な臭気をマスキングし、改善し、ま
たは低減するための上記組成物の使用である。この使用
は固形消臭剤組成物を好ましくはわきの下で措置するこ
とが所望されるきれいな皮膚部分に好ましくは毎日適用
することにある。下記の非限定実施例が本発明を説明す
る。

【００１０】

【実施例】実施例１及び２並びに比較例Ａ及びＢ 下記の表１に示された４種の固形消臭剤組成物１、２、
Ａ及びＢを調製し、これらは使用される凝固剤の性質を
実質的に異にする。組成物１及び２は、凝固剤として、
80℃より高い融点を有する２種のワックスを含む本発明
の組成物である。組成物Ａ及びＢは、凝固剤として、高
い融点（80℃より高い）を有するワックスと低い融点
（80℃より低い）を有するワックス、即ち、ステアリル
アルコール（これは60℃の融点を有する）とを含む従来
技術に相当する組成物である。

【００１１】

【表１】 成分 組成物 組成物 組成物 組成物（重量部） １ ２ Ａ Ｂ オゾケライト（セレブロ・ 3.00 7.00ブランチェE626（登録商標)) ポリエチレンワックス 14.00 10.00 10.00（ポリワックス（登録商標)500) 水添ヒマシ油 5.00（クチナ（登録商標) HR） ステアリルアルコール 7.00 17.50 ポリプロポキシル化ブチル 10.00 10.00 10.00 10.00アルコール(14 PO) ジ−tert−ブチル−４− 0.05 0.05 0.05 0.05ヒドロキシトルエン ダウ・コーニング 30.00 30.00 30.00 30.00245 液（登録商標) シルクフロ（登録商標) 25.45 25.45 25.45 19.95 ポリエチレングリコール 2.50 2.50 2.50 2.50ジステアレート(8 EO) アルミニウム塩及び 15.00 15.00 15.00 15.00ジルコニウム塩

【００１２】セレブロ・ブランチェE626（登録商標）は
バーコチャー社により販売される中和され、保護された
C_20-50炭化水素ワックスである。ポリワックス（登録商
標）500 はペトロライト社により販売される500 の分子
量を有するポリエチレンワックスである。クチナ（登録
商標）HRはヘンケル社により販売される水添ヒマシ油で
ある。ダウ・コーニング245 液（登録商標）はダウ・コ
ーニング社により販売されるD₅シリコーン油である。シ
ルクフロ（登録商標）はアモコ社により販売される549
に等しい分子量を有する水添ポリデセンである。これら
の４種の消臭剤組成物の夫々を １−それらの耐剪断性 ２−それらの静的脆性 を評価することを目的とする２種の試験にかける。

【００１３】１−剪断試験は標準ワイヤにより与えられ
る最大応力（単位ｇ）を測定することにあり、サンプル
がこのワイヤにより苛酷試験される前に特定条件下で存
続する。この試験をオレアルRAD により設計され、J.ボ
ウレフロイ社（エストレ・セン−デニ、フランス）によ
り製造された電気破損測定装置により行う。試験すべき
サンプルを20±1 ℃で安定化された制御室中に少なくと
も16時間入れる。測定の直前に、サンプルをカップ・ホ
ルダーにフィットし、ワイヤとスティックの棒の間の距
離が2-3 mmに等しく、かつワイヤがスティックの底（カ
ップ）から正確に10 mm の位置でスティックの長さ方向
の軸に垂直に置かれるようにホルダーを調節する。ステ
ィックを前記標準ワイヤで苛酷試験するために必要な最
小応力（単位ｇ）を続いて測定する。２−静的脆性試験
は標準道具（カリパーの平らな表面）により与えられる
最大応力（単位Ｎ）を測定することにあり、サンプルが
この道具により割かれる前に特定条件下で存続する。こ
の試験をまた上記耐剪断性を測定するのに使用された破
損測定装置を使用して行う。試験すべきサンプルを20±
1 ℃で安定化された制御室中に少なくとも16時間入れ
る。測定の直前に、それをカップ・ホルダーにフィット
し、そのスティックの切断面がカリパーから３mmの距離
でカリパーの平らな表面に平行になるようにホルダーを
調節する。スティックの切断面に対し押しつけられた、
カリパーの平らな表面がスティックを割くのに必要な最
小応力（単位Ｎ）を続いて測定する。本発明の２種の組
成物（１及び２）及び２種の比較組成物（Ａ及びＢ）に
ついて得られたこれらの試験の結果を下記の表２に示
す。

【００１４】

【表２】 組成物１ 組成物２ 組成物Ａ 組成物Ｂ 耐剪断性 185±5 154±3 121±4 測定不能 （単位ｇ） （スティック 崩壊） 静的脆性 6.9±1.1 5.7±0.3 4.4±0.2 測定不能 （単位Ｎ） (スティック 崩壊）

【００１５】得られた値は10回の測定から計算された算
術平均±標準偏差である。これらの結果は、本発明の組
成物１及び２が組成物Ａ及びＢ（その後者はあまりに脆
すぎて測定することができない）の耐剪断性及び静的脆
性よりもかなり良好である耐剪断性及び静的脆性を示
す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−35348（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−2678（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−145013（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−189352（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−101008（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−82560（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−181011（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61K 7/00 - 7/38 A61L 9/00 - 9/22 ＣＡ（ＳＴＮ)

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 実質的に無水であり、かつ凝固剤として
   の、全てが８０℃より高い融点を有するワックスの混合
   物、及び少なくとも一種の消臭剤活性成分を含む、皮膚
   に適用するための固形消臭剤組成物であって、ワックス
   の混合物が、８０℃より高い融点を有する少なくとも一
   種の合成ポリエチレンワックス、及び８０℃より高い融
   点を有する少なくとも一種の天然源のワックスを含むこ
   とを特徴とする該固形消臭剤組成物。
2. 【請求項２】 ８０℃より高い融点を有する合成ワック
   スがエチレンホモポリマーまたはエチレンと式（Ｉ） ＣＨ₂＝ＣＨ−Ｒ （Ｉ） （式中、Ｒはモノオキシアルキレン単位またはポリオキ
   シアルキレン単位により中断し得る線状または分岐アル
   キル鎖、アリール基もしくはアラルキル基、または−Ｃ
   Ｈ₂ＣＯＯＨ基もしくは−ＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基を表す）に
   相当する別の共重合性モノマーのコポリマーであること
   を特徴とする請求項１に記載の固形消臭剤組成物。
3. 【請求項３】 前記ポリエチレン系ワックスが組成物の
   合計質量に対し５重量％〜２０重量％の比率で存在する
   ことを特徴とする請求項１又は２に記載の固形消臭剤組
   成物。
4. 【請求項４】 前記天然ワックスが組成物の合計質量に
   対し２重量％〜２０重量％の比率で存在することを特徴
   とする請求項１に記載の固形消臭剤組成物。
5. 【請求項５】 前記合成ワックス対前記天然ワックスの
   重量比が１０／１〜１／１であることを特徴とする請求
   項１〜５のいずれか１項に記載の固形消臭剤組成物。
6. 【請求項６】 消臭剤活性成分がアルミニウム塩、ジル
   コニウム塩、アルミニウム及び／又はジルコニウム塩、
   ミョウバン塩、制菌剤、殺菌剤、臭い吸収物質及び酸化
   防止剤からなる群から選ばれることを特徴とする請求項
   １〜５のいずれか１項に記載の固形消臭剤組成物。