JP3248816B2 - 鋳型及び鋳型の製造方法 - Google Patents

鋳型及び鋳型の製造方法

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JP3248816B2
JP3248816B2 JP21810094A JP21810094A JP3248816B2 JP 3248816 B2 JP3248816 B2 JP 3248816B2 JP 21810094 A JP21810094 A JP 21810094A JP 21810094 A JP21810094 A JP 21810094A JP 3248816 B2 JP3248816 B2 JP 3248816B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳型及びその製造方法
に関し、得られる鋳物にピンホール欠陥が生じにくく、
また鋳物製造時において有害ガスが発生しにくい鋳型及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋳型を製造する際の結合剤として、酸硬
化性フラン樹脂は広く使用されている。過去、酸硬化性
フラン樹脂の硬化用酸性触媒として、燐酸の濃厚溶液が
広く使用されていた。これらの溶液は比較的低毒性であ
るが、反応性が低いので、適正な硬化速度を得るために
は、多量の燐酸が必要であった。一方、鋳型を製造する
際、耐火性粒状材料の有効利用の観点から、再生砂(一
旦製造した鋳型をばらして再生した耐火性粒状材料のこ
と。)を使用することも、広く行われている。従って、
多量の燐酸を使用し、且つ再生砂を利用して、鋳型の製
造を繰り返し行うと、再生砂中に燐原子が多量に蓄積し
て、鋳型中の燐原子の影響によって、しばしばピンホー
ル等の鋳造欠陥を引き起こすということがあった。ま
た、燐原子の多量の蓄積により、再生砂が吸湿し、この
ため得られる鋳型強度が低下するということもあった。
【0003】このため、酸硬化性フラン樹脂の硬化用酸
性触媒として、燐酸に代わり、ベンゼンスルホン酸,ト
ルエンスルホン酸,キシレンスルホン酸のような芳香族
スルホン酸が広く使用されるようになった。しかしなが
ら、芳香族スルホン酸を使用して得られた鋳型に、注湯
すると、注湯時の熱により芳香族スルホン酸が分解し
て、硫黄含有ガス等の有毒な分解生成物を作業環境中に
放出する。従って、芳香族スルホン酸を主成分とする硬
化用酸性触媒を使用すると、作業環境が悪化するという
欠点があった。
【0004】これらの問題を解決するために、特開平5-
237587号公報には、再生砂中の燐原子含有量と硫黄原子
含有量の重量割合を、0.005≦[硫黄原子含有量/(燐
原子含有量+硫黄原子含有量)]≦0.5なる式を満足す
るようにすること、或いは、酸性触媒中の燐原子含有量
と硫黄原子含有量の重量割合を、0.01≦[硫黄原子含有
量/(燐原子含有量+硫黄原子含有量)]≦0.7なる式
を満足するようにすること等が教示されている。即ち、
鋳型を製造する際の材料である、再生砂や酸性触媒中に
おける燐原子含有量と硫黄原子含有量とを、一定の範囲
の重量割合にすることが教示されているのである。この
ような技術を採用して鋳型を製造し、この鋳型を使用し
て鋳物を作成すれば、一般的に、得られる鋳物にピンホ
ール欠陥が生じにくく、また鋳物製造時においても有害
ガスが発生しにくいのである。
【0005】しかしながら、上記の技術を採用しても、
鋳物にピンホール欠陥が生じやすくなる場合があった。
即ち、得られる鋳物表面を綺麗に仕上げるために、鋳型
本体の表面に塗型剤が塗布されることがあり、この場
合、塗型剤の種類によっては、鋳物にピンホール欠陥が
生じやすくなるということがあった。
【0006】一般に、塗型剤中に多量の窒素原子が含有
されていると(0.15重量%以上)、得られる鋳物にピン
ホール欠陥が生じやすくなることは知られている(Foun
dryTrade Journal, 16. 1981)。しかしながら、上記の
技術を採用した場合、塗型剤中に窒素原子が0.15重量%
程度しか含有されていなくとも、得られる鋳物にピンホ
ール欠陥が生じやすくなるのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このため、本発明者等
がピンホール欠陥が生じる理由を種々検討した結果、以
下のような結論に達した。即ち、鋳型本体中に燐原子が
含有されている場合には、この燐原子と窒素原子の相乗
作用によって、塗型剤中の窒素原子の含有量が比較的低
くても、ピンホール欠陥が生じるのである。特に、硫黄
含有ガス等の有害な分解ガスの発生を抑えるために、燐
酸等を活用し、鋳型本体中の硫黄原子含有量を低くしよ
うとする場合には、相対的に鋳型本体中の燐原子含有量
が多くなり、この燐原子と塗型剤中の窒素原子との相乗
作用によるピンホール欠陥は顕著になるのである。
【0008】そこで、本発明は、特開平5-237587号公報
に記載された技術を使用して、燐原子がある程度含有さ
れてなる鋳型本体を作成し、この鋳型本体に塗型剤を塗
布して鋳型とした場合であっても、得られる鋳物にピン
ホール欠陥が生じにくくなるよう、鋳型本体における燐
原子含有量及び硫黄原子含有量との関係を考慮して、塗
型剤中の窒素原子含有量を調整したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、再生砂
を主体として含有する耐火性粒状材料と、酸硬化性樹脂
からなる結合剤と、酸性触媒とを含む砂組成物を用いて
作成された鋳型本体と、該鋳型本体の表面に塗布されて
なる塗型剤とで構成された鋳型であって、前記再生砂中
の燐原子含有量と硫黄原子含有量の重量割合は、0.005
≦[硫黄原子含有量/(燐原子含有量+硫黄原子含有
量)]≦0.5なる式を満足すると共に、前記塗型剤中の
窒素原子含有量は0.10重量%以下であることを特徴とす
る鋳型及びその製造方法に関するものである。
【0010】本発明において使用する耐火性粒状材料
は、再生砂を主体として含有するものである。一般的に
は、再生砂のみからなる耐火性粒状材料を使用するか、
或いは再生砂が90重量%以上含有されている耐火性粒状
材料を使用する。例外的には、再生砂が90重量%未満で
あっても、再生砂が主体となっている耐火性粒状材料を
使用する場合もある。耐火性粒状材料中に含有される再
生砂以外の砂としては、一般的に珪砂やクロマイト砂等
の新砂が含有される。本発明で言う再生砂は、一度使用
された鋳型中の砂(耐火性粒状材料)を機械的摩耗式又
は焙焼式で再生したものである。一般に、摩耗式で再生
されたものが収率も高く、経済的に優れているので好ま
しい。再生砂の砂本体としては、石英質を主成分とする
珪砂,クロマイト砂,ジルコン砂,オリビン砂,アルミ
ナサンド等が使用される。
【0011】本発明において使用される酸硬化性樹脂と
しては、従来公知の酸硬化性フラン樹脂等が好適に使用
される。例えば、フルフリルアルコール,フルフリルア
ルコール−尿素重縮合物,フルフリルアルコール−アル
デヒド類重縮合物,フルフリルアルコール−フェノール
重縮合物,フルフリルアルコール−レゾルシノール重縮
合物,フルフリルアルコール−メラミン重縮合物,フル
フリルアルコールポリマー,フェノール類−アルデヒド
類重縮合物,メラミン−アルデヒド類重縮合物,尿素−
アルデヒド類重縮合物等が単独で又は混合して使用され
る。また、これらの重縮合物の内、2種以上を更に共縮
合させたものも、酸硬化性樹脂として使用できる。フル
フリルアルコール等と重縮合されるアルデヒド類として
は、ホルムアルデヒド,グリオキザール,フルフラール
等の従来公知のアルデヒド化合物を使用することができ
る。また、これらの酸硬化性樹脂に各種変性剤を併用添
加してもよい。また、鋳型の強度をより向上させるため
に、酸硬化性樹脂にシランカップリング剤を添加しても
よい。シランカップリング剤としては、例えばγ-(2-
アミノ)アミノプロピレメチルジメトキシシラン,γ-
アミノプロピルトリメトキシシラン,γ-アミノプロピ
ルトリエトキシシラン,γ-グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン等が使用される。なお、シランカップリ
ング剤は、一般的に酸硬化性樹脂に添加されるが、耐火
性粒状材料に添加して使用してもよいし、酸性触媒に添
加して使用してもよく、或いは得られた砂組成物に添加
して使用してもよい。
【0012】また、酸硬化性樹脂を硬化させるための酸
性触媒としては、燐酸,縮合燐酸,メチル燐酸やエチル
燐酸等の燐酸エステル,燐酸カルシウムや燐酸水素カリ
ウム等の燐酸塩等の燐酸系化合物が単独で又は混合して
して使用される。この燐酸系化合物は含燐原子化合物で
あり、鋳型本体或いは再生砂中の燐原子含有量に関係し
てくるものである。また、酸性触媒としては、硫酸,メ
タンスルホン酸,エタンスルホン酸,フェノールスルホ
ン酸,ベンゼンスルホン酸,トルエンスルホン酸,キシ
レンスルホン酸等のスルホン酸系化合物が単独又は混合
して使用される。このスルホン酸系化合物は含硫黄原子
化合物であり、鋳型本体或いは再生砂中の硫黄原子含有
量に関係してくるものである。更に、酸性触媒として、
カルボン酸等の有機酸,塩酸や硝酸等の無機酸等を、燐
酸系化合物やスルホン酸系化合物と併用して使用しても
差し支えない。また、酸性触媒中に、酸硬化性樹脂の硬
化を促進させるために、従来から使用されている添加剤
等を含有させてもよい。
【0013】本発明においては、再生砂中の燐原子含有
量と硫黄原子含有量の重量割合は、0.005≦[硫黄原子
含有量/(燐原子含有量+硫黄原子含有量)]≦0.5な
る式を満足する必要がある。即ち、再生砂中において、
[硫黄原子含有量/(燐原子含有量+硫黄原子含有
量)]で表される重量割合が、0.005〜0.5の範囲である
ことが必要である。この重量割合は、特に好ましくは0.
01〜0.3の範囲であるのが良い。この重量割合が0.005未
満であると、再生砂の吸湿が激しく、著しく鋳型の硬化
を阻害するので好ましくない。また、この重量割合が0.
5を超えると、硫黄系の熱分解ガスが注湯時に多量に発
生し、作業環境が著しく悪化するので、好ましくない。
なお、再生砂中に含有されている燐原子及び硫黄原子
は、多くは酸性触媒に由来するものであるが、これに限
らず酸硬化性樹脂や耐火性粒状材料に由来するものの含
まれている。なお、再生砂中の燐原子含有量の測定は、
再生砂を150メッシュ以下に微粉砕したものを試料と
し、ICP(誘導結合プラズマ発光分析装置)にて行
う。また、再生砂中の硫黄原子含有量の測定は、再生砂
を150メッシュ以下に微粉砕したものを試料として、燃
焼中和滴定法にて行う。
【0014】酸性触媒として、燐酸系化合物とスルホン
酸系化合物とを併用した場合には、酸性触媒中の燐原子
含有量と硫黄原子含有量の重量割合は、0.01≦[硫黄原
子含有量/(燐原子含有量+硫黄原子含有量)]≦0.7
なる式を満足するのが好ましい。即ち、酸性触媒中にお
いて、[硫黄原子含有量/(燐原子含有量+硫黄原子含
有量)]で表される重量割合が、0.01〜0.7の範囲であ
るのが好ましい。この重量割合は、特に0.03〜0.6の範
囲であるのが、より好ましい。この重量割合が、0.01未
満であると、鋳型を製造する際の砂組成物の吸湿が激し
く、鋳型の硬化を阻害する傾向が生じる。また、この重
量割合が0.7を超えると、硫黄系の熱分解ガスが注湯時
に発生し、作業環境が悪化する傾向が生じる。なお、酸
性触媒中の燐原子含有量の測定は、ICP(誘導結合プ
ラズマ発光分析装置)にて行う。また、酸性触媒中の硫
黄原子含有量の測定は、燃焼中和滴定法にて行う。
【0015】本発明においては、上記した再生砂を主体
として含有する耐火性粒状材料に、酸硬化性樹脂よりな
る結合剤及び酸性触媒を均一に添加混練して砂組成物を
得る。酸硬化性樹脂と酸性触媒の添加順序は、酸硬化性
樹脂を添加して後酸性触媒を添加してもよいし、その逆
でも構わず、また両者を同時に添加しても構わない。酸
硬化性樹脂の添加量は、耐火性粒状材料100重量部に対
して、0.6〜5重量部程度が一般的であり、酸性触媒の添
加量は0.2〜3重量部程度が一般的であるが、この範囲外
の添加量であっても差し支えない。そして、この砂組成
物を任意の形態の型枠に充填する。そして、一定の型を
維持する状態になった後、型枠を外し放置する。この放
置している間に、結合剤が硬化し、鋳型本体が得られる
のである。このように、本発明においては、一般的に自
硬性鋳型造型法によって鋳型本体が得られる。なお、混
練,成形,硬化等において、特に加熱や冷却の必要はな
く、雰囲気温度で行って差し支えない。
【0016】そして、鋳型本体の表面(鋳物が接する
面)には、塗型剤が塗布される。そして、塗布された塗
型剤中の窒素原子含有量は、0.10重量%以下でなければ
ならず、好ましくは0.04重量%以下であるのが良い。こ
の窒素含有量が0.10重量%を超えると、鋳型本体中にお
ける燐原子含有量及び硫黄原子含有量の割合を一定の範
囲に設定しても、得られる鋳物にピンホールが生じやす
くなるので、好ましくない。この塗型剤中の窒素原子含
有量は、鋳型本体の表面に塗布された固形分中における
窒素原子含有量であり、ケルダール法によって測定され
るものである。従って、水やアルコール等の希釈溶剤に
溶解又は分散している塗型剤溶液の場合には、これを10
5℃にて5時間放置して、希釈溶剤を蒸発させ、残存固形
分中における窒素原子含有量をケルダール法によって測
定したものを、塗型剤中の窒素原子含有量とする。ま
た、塗型剤中の窒素源としては、黒鉛中の不純物、増粘
剤等が挙げられる。
【0017】本発明において使用する塗型剤について
は、水性塗型剤,油性塗型剤,黒鉛系塗型剤,ジルコン
系塗型剤等の従来公知の塗型剤が使用される。但し、前
記したように塗型剤中の窒素原子含有量が0.10重量%以
下のものを使用しなければならないことは、言うまでも
ない。このような塗型剤は、一般的に、水やアルコール
等の希釈溶剤で希釈して塗型剤溶液として用いられる。
この際のボーメ調整(希釈率のこと)は、従来と同様の
方法で行われる。そして、この塗型剤溶液を鋳型本体の
表面に塗布し、希釈溶剤を蒸発させて、塗型剤を鋳型本
体表面に塗布被覆させるのである。また、塗型剤中の塗
布は、通常の方法で行うことができ、例えば、ハケを使
って塗布する方法、塗型剤溶液中に鋳型本体を浸す方法
等で行うことができる。また、塗型剤溶液として使用せ
ずに、固形状で塗型剤を使用する場合には、そのまま鋳
型本体表面に塗布して被覆させればよい。以上のように
して、鋳型本体の表面に塗型剤が塗布されてなる鋳型を
得ることができるのである。
【0018】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。なお、実施例及び比較例中の%は重量%を示す。 実施例1 珪砂100重量部に対し、表1に示す酸性触媒No1、即ち
トルエンスルホン酸35.0%,メタンスルホン酸2.7%,
硫酸20.0%,85%燐酸24.9%を含有する酸性触媒を0.33
重量部加え、次いで酸硬化性樹脂中の窒素原子含有量が
2.5%のフラン樹脂を0.65重量部添加混練してなる混合
砂を用いて鋳型を作成し、鋳型/熔湯の重量比が2.5の
鋳物を鋳造した。そして、鋳造後の鋳型をばらして回収
した回収砂をクラッシャーにかけ、日本鋳造株式会社製
M型ロータリーリクレーマーを用いて再生砂を得た。こ
の再生砂95重量部と新砂5重量部を混合した後、これに
上記と同様の割合で酸性触媒及び酸硬化性樹脂を添加混
練してなる砂組成物を用いて鋳型を得た。以後、同様に
して再生砂95重量部と新砂5重量部を使用しながら、鋳
型の成形,鋳造,回収,再生のサイクルを20回繰り返し
た。
【0019】
【表1】
【0020】20回目の再生砂を取り出して、再生砂中の
燐原子含有量及び硫黄原子含有量を測定した。また、こ
の再生砂を25℃,90%RHの環境に24時間放置後、再生砂
の吸湿量を測定した。この結果は、表2の再生砂No1に
示したとおりであった。
【0021】
【表2】
【0022】この再生砂No1に、上記したのと同様の酸
性触媒No1を同量添加し20秒間混練し、次に上記したの
と同様のフラン樹脂を同量添加し20秒間混練して、砂組
成物を得た。この砂組成物をチェーンホイール鋳型用の
型枠(特開平5-237587号公報の図4に記載の型枠)に充
填し、鋳型本体No1を得た。得られた鋳型本体No1の圧
縮強度を、後述の方法で経時的に測定したところ、表3
に示すとおりであった。
【0023】
【表3】
【0024】このようにして得られた鋳型本体No1の表
面に、表5に示した窒素原子含有量の塗型剤をメタノー
ルにて希釈し40ボーメに調整した塗型剤溶液を、ハケ塗
りして塗布した。そして、鋳型本体No1の表面に着火し
てメタノールを蒸発させて、塗型剤を鋳型本体表面に残
存させ、鋳型本体表面に塗型剤が塗布されてなる実験鋳
型を得た。この実験鋳型に熔湯を注湯して鋳物を得た。
なお、熔湯の成分は、表4に示したとおりで、材質はFC
-350である。得られた鋳物の外周面を表面から2mm切削
した後、液体浸透探傷法で鋳物表面のガス欠陥(ピンホ
ール欠陥)の個数を測定し、更に2mm(表面から4mm)切
削し、同法の方法にてガス欠陥の個数を測定し、その結
果を表5に示した。また、鋳物を得る際の作業環境は表
5に示すとおりであった。更に、注湯口からのSO2の発
生量を測定したところ、表5に示すとおりであった。
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】実施例2〜11及び比較例1〜7 実施例1で使用した酸性触媒No1に代えて、表1に示し
た酸性触媒No2〜10を使用する他は、実施例1と同様に
して再生砂No2〜10を採取した。そして、各再生砂中の
燐原子含有量及び硫黄原子含有量を測定した。また、こ
の再生砂を25℃,90%RHの環境に24時間放置後、再生砂
の吸湿量を測定した。この結果は、表2の再生砂No2〜
10に示したとおりであった。
【0028】そして、再生砂No2〜10を使用して、酸性
触媒を変更する他は実施例1と同様にして鋳型本体No2
〜10を製造した。得られた鋳型本体No2〜10の圧縮強度
を経時的に測定したところ、表3に示すとおりであっ
た。
【0029】このようにして得られた鋳型本体No2〜11
の表面に、及び実施例1で得た鋳型本体No1の表面に
(比較例2)、表5に示した窒素原子含有量の塗型剤を
メタノールにて希釈し40ボーメに調整した塗型剤溶液を
塗布した。そして、この後は実施例1と同様にして鋳物
を得、鋳物表面のガス欠陥(ピンホール欠陥)の個数を
測定し、その結果を表5に示した。また、鋳物を得る際
の作業環境は表5に示すとおりであった。更に、注湯口
からのSO2の発生量を測定したところ、表5に示すとお
りであった。なお、比較例7では、鋳型の強度が不足し
ていたため、注湯は行わなかった。
【0030】各表中に示した各項目の測定方法は、以下
のとおりである。 [酸性触媒中の燐原子含有量の測定方法]:ICP(誘
導結合プラズマ発光分析装置)にて行った。 [酸性触媒中の硫黄原子含有量の測定方法]:燃焼中和
滴定法にて行った。
【0031】[再生砂中の燐原子含有量の測定方法]:
再生砂を150メッシュ以下に微粉砕したものを試料と
し、ICP(誘導結合プラズマ発光分析装置)にて行っ
た。 [再生砂中の硫黄原子含有量の測定方法]:再生砂を15
0メッシュ以下に微粉砕したものを試料として、燃焼中
和滴定法にて行った。 [再生砂の吸湿量の測定方法]:再生砂を105℃の乾燥
炉に1時間放置後、デシケーター中で25℃,90%RHに放
置し冷却し、以下の式により再生砂の吸湿量を測定し
た。再生砂の吸湿量(%)={[(25℃,90%RH放置後
の再生砂重量)−(105℃,1時間乾燥後の再生砂重
量)]/(105℃,1時間乾燥後の再生砂重量)}×100
【0032】[鋳型本体の圧縮強度の測定方法]:鋳型
本体の圧縮強度については、便宜的に次のような方法を
採用した。即ち、50mmφ×50mmhのテスト型枠に、砂組
成物を手早く詰めてテストピースを作り、このテストピ
ースの圧縮強度を測定した。
【0033】[塗型剤中の窒素原子含有量の測定方
法]:塗型剤溶液を熱風乾燥機にて105℃,5時間乾燥さ
せたものを、150メッシュ以下に微粉砕したものを試料
として、ケルダール窒素分析法にて測定した。 [液体浸透探傷法による鋳物表面のガス欠陥(ピンホー
ル欠陥)の個数の測定方法]: 1)前処理;鋳物表面を洗浄する。 2)浸透処理;鋳物表面に浸透液をスプレー法で塗布し、
十分濡らす。 3)洗浄処理;浸透処理後20分経過した後、洗浄液によっ
てガス欠陥表面以外の表面に付着している余剰の浸透液
を除去する。 4)現像処理;洗浄処理を終えた鋳物表面に対して現像液
をスプレー法で塗布して、ガス欠陥中に残留している浸
透液を鋳物表面に吸い出す。 5)観察 ;現像処理によってできた島模様を目視によ
って観察し、ガス欠陥の個数を測定する。 [作業環境測定方法]:注湯時の作業環境について、労
働安全衛生法に従って、環境測定を行い、管理区分を決
定した。 [SO2発生量の測定方法]:注湯終了1分後に、湯口部に
金属製ロートをかぶせ、30秒後の濃度をロートの口か
ら、北川式ガス検知管を挿入することによって測定し
た。
【0034】表1,表2及び表5から分かるように、酸
性触媒中及び再生砂中の[硫黄原子含有量/(燐原子含
有量+硫黄原子含有量)]の重量割合が低い方がピンホ
ール欠陥が出やすく、また、塗型剤中の窒素原子含有量
の高い方がピンホール欠陥が出やすい傾向にあることが
分かる。
【0035】再生砂中の上記重量割合が0.5以上である
と(表2の再生砂No9)、ピンホール欠陥が発生せず鋳
物品質は良好であるが注湯時においてSO2ガスが大量に
発生し、作業環境が悪化してしまう(表5の比較例
1)。従って、上記重量割合は0.5以下であることが必
要で、好ましくは0.3以下であればよい。また、再生砂
中の上記重量割合が0.005以下であると(表2の再生砂N
o10)、再生砂の吸湿が激しく、鋳型本体の強度低下が
見られる(表3の鋳型本体No10)。従って、再生砂中の
上記重量割合は0.005以上であることが必要で、特に0.0
1以上であるのが好ましい。
【0036】一方、酸性触媒中の上記重量割合に関して
は、概ね以下のような傾向がある。つまり、上記重量割
合が0.6以上になると(鋳型本体のNoで言うと、No1,
2及び9)、ピンホール欠陥が生じにくく鋳物品質は良
好になる傾向があるが、作業環境が悪化する傾向がある
(表5の実施例1及び比較例1,2を参照のこと。)。
また、この重量割合が0.03以下になると(鋳型本体のNo
で言うと、No8及び10)、再生砂の吸湿量が高くなる傾
向があり、得られる鋳型本体の強度が低下する傾向があ
る(表3を参照のこと。)。
【0037】また、塗型剤中の窒素原子含有量について
は、0.10重量%を超えていても、再生砂中の[硫黄原子
含有量/(燐原子含有量+硫黄原子含有量)]の重量割
合によっては、得られる鋳物にピンホール欠陥が生じに
くいことが分かる(表5の比較例1)。即ち、前述した
「Foundry Trade Journal, 16. 1981」に記載されてい
るとおり、塗型剤中の窒素原子含有量は0.15重量%以下
に調整すれば、鋳物にピンホール欠陥は生じにくいので
ある。しかしながら、この場合には、作業環境の悪化を
伴う恐れがある。従って、作業環境の悪化を伴わず、し
かも得られる鋳物にピンホール欠陥が生じにくいように
するためには、再生砂中の燐原子及び硫黄原子含有量の
調整と共に、塗型剤中の窒素原子含有量を0.10重量%以
下にしなければならず、好ましくは0.4重量%以下が良
い。このことは、実施例1〜3及び比較例2〜4、また
実施例8〜11及び比較例5,6を参照すれば明らかであ
る。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、燐原子
含有量と窒素原子含有量の重量割合を特定の範囲に設定
した再生砂を用いて鋳型本体を得ると共に、この鋳型本
体表面に窒素原子含有量が一定値以下である塗型剤を塗
布した鋳型及びこのような鋳型を製造する方法に関する
ものである。従って、実施例において実証したように、
この鋳型を使用して鋳造すると、ガス欠陥(ピンホール
欠陥)の生じにくい鋳物を得ることができるという効果
を奏する。また、鋳造時において、硫黄含有分解ガスの
発生を防止でき、作業環境を良好に維持できるという効
果も奏する。
【0039】また、本発明においては、再生砂中の燐原
子含有量と窒素原子含有量の重量割合を特定の範囲に設
定したので、再生砂の吸湿を防止でき、得られる鋳型本
体の強度低下を防止しうるという効果をも奏する。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−237587(JP,A) 特開 昭57−58948(JP,A) 特開 昭62−142048(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 1/00 - 3/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再生砂を主体として含有する耐火性粒状
    材料と、酸硬化性樹脂からなる結合剤と、酸性触媒とを
    含む砂組成物を用いて作成された鋳型本体と、該鋳型本
    体の表面に塗布されてなる塗型剤とで構成された鋳型で
    あって、前記再生砂中の燐原子含有量と硫黄原子含有量
    の重量割合は、0.005≦[硫黄原子含有量/(燐原子含
    有量+硫黄原子含有量)]≦0.5なる式を満足すると共
    に、前記塗型剤中の窒素原子含有量は0.10重量%以下で
    あることを特徴とする鋳型。
  2. 【請求項2】 耐火性粒状材料中の再生砂の重量割合が
    90重量%以上である請求項1記載の鋳型。
  3. 【請求項3】 酸性触媒として、燐酸,縮合燐酸,燐酸
    エステル及び燐酸塩よりなる群から選ばれる1種又は2
    種以上の燐酸系化合物を含有するものを用いる請求項1
    又は2記載の鋳型。
  4. 【請求項4】 酸性触媒として、燐酸,縮合燐酸,燐酸
    エステル及び燐酸塩よりなる群から選ばれる1種又は2
    種以上の燐酸系化合物と、芳香族スルホン酸,脂肪族ス
    ルホン酸,硫酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以
    上のスルホン酸系化合物とを含有するものを用い、且
    つ、酸性触媒中の燐原子含有量と硫黄原子含有量の重量
    割合は、0.01≦[硫黄原子含有量/(燐原子含有量+硫
    黄原子含有量)]≦0.7なる式を満足する請求項1及至
    3のいずれか一項に記載の鋳型。
  5. 【請求項5】 燐原子含有量と硫黄原子含有量の重量割
    合が、0.005≦[硫黄原子含有量/(燐原子含有量+硫
    黄原子含有量)]≦0.5なる式を満足する再生砂を主体
    とする耐火性粒状材料に、酸硬化性樹脂からなる結合剤
    と酸性触媒とを添加混練して砂組成物を得、該砂組成物
    を所定の型枠に充填し、次いで結合剤を硬化させて鋳型
    本体を得た後、該鋳型本体の表面に、窒素原子含有量が
    0.10重量%以下である塗型剤を希釈溶剤に溶解又は分散
    させた塗型剤溶液を塗布し、その後該希釈溶剤を蒸発さ
    せることを特徴とする鋳型の製造方法。
  6. 【請求項6】 耐火性粒状材料中の再生砂の重量割合が
    90重量%以上である請求項5記載の鋳型の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸性触媒として、燐酸,縮合燐酸,燐酸
    エステル及び燐酸塩よりなる群から選ばれる1種又は2
    種以上の燐酸系化合物を含有するものを用いる請求項5
    又は6記載の鋳型の製造方法。
  8. 【請求項8】 酸性触媒として、燐酸,縮合燐酸,燐酸
    エステル及び燐酸塩よりなる群から選ばれる1種又は2
    種以上の燐酸系化合物と、芳香族スルホン酸,脂肪族ス
    ルホン酸,硫酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以
    上のスルホン酸系化合物とを含有するものを用い、且
    つ、該酸性触媒中の燐原子含有量と硫黄原子含有量の重
    量割合は、0.01≦[硫黄原子含有量/(燐原子含有量+
    硫黄原子含有量)]≦0.7なる式を満足する請求項5及
    至7のいずれか一項に記載の鋳型の製造方法。
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