JP3247145B2 - 酸化物系ガラスおよび弗素含有系ガラスの製造方法 - Google Patents
酸化物系ガラスおよび弗素含有系ガラスの製造方法Info
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Description
工程において、新規な脱泡清澄剤を使用することによ
り、環境汚染問題を改善しつつ、脱泡均質性と光線透過
性に優れた酸化物系ガラスおよび弗素含有系ガラスを製
造する方法に関する。
プトエレクトロニクス用、建築用、容器用および装飾用
等のガラスおよびガラスセラミックスの製造分野におい
て、溶融状態のガラスを精製するに際し、種々の脱泡清
澄剤が使用されてきた。例えば、As2O3およびSb2
O3は古くから一般に広く利用されてきたが、これらの
成分は有害性が強く、ガラス製造時に一部は大気中に発
散し、またガラス中の残存分は、ガラス加工時に排出す
るガラス屑やスラッジ等により環境を汚染するという問
題がある。また、Na2SO4等の金属硫酸塩およびNa
Cl等の金属ハロゲン化物等の脱泡清澄剤も知られてい
るが、脱泡効果が小さいうえ、ガラスの光線透過率が悪
いという欠点がある。
技術にみられる諸欠点を総合的に改善し、環境問題を改
善しつつ、脱泡均質性と光線透過性に共に優れたガラス
の製造方法を提供することを目的とする。
め、本発明者等は鋭意試験研究を重ねた結果、意外にも
適量のハロゲン元素と錫元素を含む化合物原料を添加し
たガラス原料を溶融することにより、上記環境問題を改
善しつつ、脱泡清澄度が高く、かつ光線透過率の向上し
たガラスを製造し得ることをみいだすことができ、本発
明をなすに至った。
製造方法の特徴は、珪酸塩系、ホウ珪酸塩系およびリン
酸塩系ガラス等の酸化物系ガラスの製造に当たり、上記
ガラスの調合原料中にこの原料から得られる基礎ガラス
に対し、主要脱泡清澄剤として、1種以上の金属ハロゲ
ン化物および1種以上の錫(Sn)化合物を、ハロゲン
元素(F、Cl、BrおよびI)の1種または2種以上
の合計量で0.005〜2重量%未満および錫元素(S
n)の合計量で0.01〜1重量%添加し、ついでこの
ガラス原料を溶融することにある。ここで、ハロゲン元
素と錫元素の量が、下限値より少ないと所期の効果を得
難く、また上限値より多いとガラスは着色や脈理を生じ
やすくなる。
ガラスの製造方法の特徴は、2重量%以上の弗素(F)
を含有する弗リン酸塩系ガラス、弗化物系ガラスおよび
珪酸弗化物系ガラス等の弗素含有系ガラスの製造に当た
り、上記ガラスの調合原料中にこの原料から得られる基
礎ガラスに対し、主要脱泡清澄剤として、1種以上の金
属ハロゲン化物(ただし、金属弗化物を除く)および1
種以上の錫(Sn)化合物を、ハロゲン元素(Cl、B
rおよびI)の1種または2種の合計量で0.005〜
2重量%および錫元素(Sn)の合計量で0.01〜1
重量%添加し、ついでこのガラス原料を溶融することに
ある。ここで、ハロゲン元素と錫元素の量が、下限値よ
り少ないと所期の効果を得難く、また所期の効果を得る
には上限値までで十分である。
に当たり、脱泡清澄剤が添加されるガラス調合原料は、
酸化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩および弗化物等の成
分原料のみを適宜用いた調合バッチ状のものであっても
よく、ガラスカレットのみのものまたは上記調合バッチ
とガラスカレットの混合状態のものであってもよい。ま
た、脱泡清澄剤はハロゲン化錫を用いることができる
が、これを除く1価ないし4価の金属ハロゲン化物の1
種以上とSnO、SnO2等の錫化合物の1種以上を組
み合わせて用いると好結果がより得やすくなる。
化物の金属元素の種類は、特に限定されるものではない
が、最終ガラス製品の目標性能に影響を与え不都合を生
ずる場合は、基礎ガラス中に含まれる金属元素を1種以
上適宜選択するとよい。なお、上記本発明の脱泡清澄剤
に公知の他の脱泡剤を必要に応じ補助的に添加してもさ
しつかえない。
製造方法にかかる実施例について、説明する。この実施
例では、重量%で、SiO2 31.0%、B2O3 1
8.0%、Al2O3 1.0%、Na2O 1.0%、
BaO 49.0%からなるホウ珪酸塩系の酸化物系ガ
ラスを脱泡清澄剤添加対象の基礎ガラスとして採用し、
このような酸化物系ガラスが最終的に得られるよう、粒
度120メッシュのSiO2、H3BO3、Al(O
H)3、Na2CO3、BaCO3およびBa(NO3)2の
各成分原料を使用してガラス調合原料とした。この調合
原料は、予めテストに必要な数のバッチを調整した。こ
の基礎ガラスに対し、脱泡清澄剤として、NaF原料を
弗素(F)の量が、重量%で0.005%、0.01
%、0.1%、0.5%および1.0%となるよう、ま
たこれらに加えてSnO2原料を錫元素(Sn)の量
が、重量%でいずれも0.2%となるよう上記の各調合
原料バッチに添加、混合した。つぎにこれらの原料バッ
チを所定の白金製の坩堝と撹拌羽根を用いて、1300
℃で2時間所定の撹拌操作を加えて溶融した後、得られ
たガラスを金型にキャストし、徐冷炉中で冷却した。
ついて容積約100mlを占める部分の泡の総数をカウ
ントし、1ml中の泡個数に換算して、上記脱泡清澄剤
の添加量との関係をプロットし示したものである。図1
の曲線Bは、上記の基礎ガラスにNaFのみ単独で同様
に添加し溶融した場合の結果を比較として示したもので
ある。なお、上記の基礎ガラスにSnO2のみ単独で同
様に添加し溶融した場合、Sn添加量(0.005〜
1.0%)の多少に拘らず、泡は無数に生じた。
=0.5%およびSn=0.2%を添加して得たガラス
の対面研磨試料板(厚さ10mm)について測定した分
光透過率曲線である。また、同図の曲線B′は、上記の
比較として示したNaF単独添加(F=0.5%)の場
合の同様の分光透過率曲線である。ここで、曲線A′お
よび曲線B′のガラス試料について、透過率が80%お
よび5%を与える光線波長(T80/T5)を10nm単
位で表すとそれぞれ36/30および39/30の値と
なる。上記のとおり、この実施例により得られるガラス
は、比較例によるものに比べ脱泡清澄度が一段と高く、
しかも光線透過率がより優れている。
の実施例(No.1〜No.7)について、As2O3や
Sb2O3を除く従来の脱泡剤使用の比較例(No.I〜
No.V)とともに示したが、これらについて同様に原
料を調整し、基礎ガラス組成による溶融の難易度に応
じ、1000〜1450℃、2〜6時間の範囲の溶融条
件を適宜選び同様にガラスを溶融したところ、表にみら
れるようにいずれも上記実施例と同様、泡数と光線透過
率の点で優れた効果が得られた。
系ガラスの製造方法にかかる実施例について、説明す
る。この実施例では、重量%で、SiO2 57.0
%、B2O3 16.0%、K2O 5.6%およびKH
F2 21.0%(F=10.51%)からなる弗素含
有ホウ珪酸塩系ガラスを基礎ガラスとし、このような弗
素含有系ガラスが最終的に得られるよう、前記実施例の
場合と同様粒度120メッシュのSiO2、H3BO3、
K2CO3およびKHF2の各成分原料を使用してガラス
調合原料を所要バッチ個数調整し、これらの原料バッチ
中に、この基礎ガラスに対し、脱泡清澄剤としてKBr
成分原料を臭素元素(Br)の量が、重量%で0.00
5%、0.01%、0.1%、0.5%および1.0%
となるよう、またこれらに加えてSnO2成分原料を錫
元素(Sn)の量が、重量%でいずれも0.2% とな
るようそれぞれ添加、混合した。つぎに、これらの原料
バッチを1300℃で2時間、前記実施例と同様にして
溶融し、得られたガラスを冷却した。
ついて前記実施例と同様にして示した脱泡清澄剤の添加
量と泡数の関係をプロットして得た曲線である。また、
同図曲線Dは、上記の基礎ガラスにKBrのみ単独で同
様に添加した場合の結果を比較して示したものである。
なお、上記の基礎ガラスにSnO2のみ単独で同様に添
加し溶融した場合、Sn添加量の多少に拘らず、泡は無
数に生じた。
Br=0.5%およびSn=0.2%を添加して得たガ
ラスについて測定した分光透過率曲線である。また、同
図の曲線D′は上記の比較として示したKBr単独添加
(Br=0.5%)の場合の同様の分光透過率曲線であ
る。この曲線C′およびD′のガラスのT80/T5の値
は、それぞれ35/28および33/28である。以上
のとおり、この実施例により得られるガラスは、比較例
によるものに比べ、脱泡清澄度が一段と高く、しかも光
線透過率がより優れている。
合の実施例について示したが、これらについて同様に所
定の脱泡清澄剤を添加したガラス原料を調整し、これら
を基礎ガラス組成による溶融の難易度に応じて、800
〜1150℃、2〜4時間の範囲の溶融条件を適宜選
び、同様に溶融したところ、表にみられるように得られ
たガラスはいずれも泡数がゼロに等しく、またT80/T
5の値が34/29であって、優れた効果を示した。な
お、これらの実施例において、各調合原料にそれぞれ基
礎ガラスに対し、Na2SO4原料をSO3の量で0.2
重量 %単独添加した場合および同じくKBr原料をB
rの量で0.2重量%単独添加した場合について、それ
ぞれ同様にテストしたところ、いずれも泡数は2〜5個
であり、またT80/T5の値は35/29であった。
酸化物系ガラスの製造方法は、上記ガラスの調合原料
に、基礎ガラスに対し、所定範囲量のハロゲン元素と錫
元素(Sn)が含まれるよう金属ハロゲン化物および錫
化合物を添加、混合し、これを溶融する方法によるもの
であるから、従来の方法に比べ、環境問題を改善しつ
つ、脱泡清澄度と光線透過率が一段と向上した酸化物系
ガラスを製造することができる。
の製造方法は、上記系のガラスの調合原料に、基礎ガラ
スに対し、所定範囲量の弗素(F)を除くハロゲン元素
と錫元素(Sn)が含まれるよう金属ハロゲン化物およ
び錫化合物を添加、混合し、これを溶融する方法による
ものであるから、従来の方法に比べ、上記同様の優れた
効果を奏する。
加量と得られたガラスの泡数の関係を比較例とともに示
した図である。
られたガラスの分光透過率曲線図である。
を示す図である。
られたガラスの分光透過率曲線図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 酸化物系ガラスの製造に当たり、ガラス
調合原料中に上記系の基礎ガラスに対し、主要脱泡清澄
剤として、1種以上の金属ハロゲン化物および1種以上
の錫(Sn)化合物を、ハロゲン元素(F、Cl、Br
およびI)の1種または2種以上の合計量で0.005
〜2重量%未満および錫元素(Sn)の合計量で0.0
1〜1重量%添加し、ついでこのガラス調合原料を溶融
することを特徴とする酸化物系ガラスの製造方法。 - 【請求項2】 錫(Sn)化合物がSnOおよびSnO
2 から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項
1に記載の酸化物系ガラスの製造方法。 - 【請求項3】2重量%以上の弗素(F)含有系ガラスの
製造に当たり、ガラス調合原料中に上記系の基礎ガラス
に対し、主要脱泡清澄剤として、金属弗化物を除く1種
以上の金属ハロゲン化物および1種以上の錫(Sn)化
合物を、ハロゲン元素(Cl、BrおよびI)の1種ま
たは2種の合計量で0.005〜2重量%および錫元素
(Sn)の合計量で0.01〜1重量%添加し、ついで
このガラス調合原料を溶融することを特徴とする弗素含
有系ガラスの製造方法。 - 【請求項4】 錫(Sn)化合物がSnOおよびSnO
2 から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項
3に記載の弗素含有系ガラスの製造方法。
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JP13588692A JP3247145B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 酸化物系ガラスおよび弗素含有系ガラスの製造方法 |
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- 1992-04-28 JP JP13588692A patent/JP3247145B2/ja not_active Expired - Fee Related
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作花済夫ほか、「ガラスハンドブック」、初版、朝倉書店、昭和50年9月30日発行、p.297−p.298 |
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