JP3247096B2 - プラズマエッチング装置及びプラズマエッチング方法 - Google Patents

プラズマエッチング装置及びプラズマエッチング方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマエッチン
グ装置及びプラズマエッチング方法に関し、特に、スパ
イラルコイルに発生する高周波誘導電界により発生した
プラズマによって被エッチング膜をエッチングするプラ
ズマエッチング装置及びプラズマエッチング方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路素子の微細化に伴
って、リソグラフィー工程における露光光は短波長化し
ており、現在では、光源としてKrFエキシマレーザ
(波長248nm)又はArFエキシマレーザ(波長1
93nm)が用いられている。
【0003】ところで、露光光の光源が短波長化すれば
するほど、レジスト膜に対して露光を行なう際の露光光
の基板反射率が増加するため、露光光が基板で反射され
てなる反射光に起因するレジストパターンの寸法変動が
起きやすい。
【0004】そこで、最近では、反射光のレジスト膜へ
の入射を抑制するために、レジスト膜の下に有機系反射
防止膜(Organic Bottom Anti-Reflective Coating:以
下、ARCと称する。)を形成するプロセスが用いられ
ている。このARCプロセスは、主として、ゲート幅が
0.25μm以下のルールを持つ高性能デバイスにおけ
る半導体素子の製造工程において用いられる技術であ
る。
【0005】一方、このARCプロセスにおいては、従
来のリソグラフィー技術によってレジストパターンを形
成した後にARCをエッチングする必要がある。そこ
で、ARCをエッチングする際には、各種のプラズマエ
ッチング装置が用いられており、その中でも、スパイラ
ルコイルを有する誘導結合型プラズマ(Inductively Co
upled Plasma:ICP)エッチング装置がよく用いられ
ている。
【0006】スパイラルコイルを有する誘導結合型プラ
ズマエッチング装置としては、コイル形状が平面型であ
る誘導結合型プラズマエッチング装置(USP.4948458 )
及びコイル形状がドーム型である誘導結合型プラズマエ
ッチング装置(USP.5614055)等が知られている。
【0007】以下、平面型のシングルスパイラルコイル
を有する従来の誘導結合型プラズマエッチング装置につ
いて、図5(a)、(b)を参照しながら説明する。
【0008】図5(a)、(b)に示すように、接地さ
れており且つ内壁面がセラミック、アルミナ又は石英等
の絶縁物で覆われたチャンバー101の下部には、高周
波電力が印加される下部電極として試料台102が設け
られており、該試料台102の上には被エッチング試料
として半導体基板103が搭置されている。試料台10
2の周囲には、エッチングガスをマスフローコントロー
ラを介してチャンバー101内に導入するガス導入部1
08が設けられていると共に、チャンバー101の底部
には、チャンバー101内の圧力を0.1Paから10
Pa程度に制御するターボポンプに接続されたガス排出
部105が設けられている。
【0009】試料台102とガス排出部105との間に
は、弁座と該弁座に対して回転する弁体とを有し、弁体
の回転に伴ってガス排出部105から排出されるガスの
量を調整するスライドバルブ109が設けられている。
スライドバルブ109としては、例えば、スイス国バッ
トホールデイングアーゲー社製であって、VAT:Se
ries65の商品名として知られている(特開平9ー
178000号公報、特開平9ー210222号公報を
参照)ものを用いることができる。
【0010】チャンバー101の天井である石英板10
1aの上つまりチャンバー101の上側には、試料台1
02と対向するように誘導結合型のシングルスパイラル
コイル104が設けられている。シングルスパイラルコ
イル104のコイル部分104aの最も外側の端部A
は、整合回路(図示は省略している。)を含む電源側引
き出し部104bを介して高周波電力供給源106に接
続されていると共に、シングルスパイラルコイル104
のコイル部分104aの最も内側の端部Bは接地側引き
出し部104cを介してチャンバー101の壁部からな
る接地源107に接続されている。
【0011】高周波電力供給源106からシングルスパ
イラルコイル104に高周波電力が供給されると、シン
グルスパイラルコイル104の周囲には高周波誘導電界
が発生し、発生した高周波誘導電界によって、チャンバ
ー101内に導入されたエッチングガスはプラズマ化さ
れる。プラズマ化されたエッチングガスは、試料台10
2に印加される高周波電力によって、試料台102に保
持された半導体基板103の被エッチング膜に導かれ、
該被エッチング膜をエッチングする。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本件発明者
が、前記従来の誘導結合型プラズマエッチング装置を用
いて、被エッチング膜としてのARCに対して、N2
スとO2 ガスとの混合ガスからなるエッチングガスを用
いると共にチャンバー101内の圧力を一定にした状態
で、ガスの総流量(N2 ガスの流量とO2 ガスの流量の
合計)を変化させながら、つまりガスの流入量及びスラ
イドバルブ109の開口率を変化させながら、エッチン
グ処理を行なった。エッチング条件は[表1]及び[表
2]に示すとおりであって、[表1]及び[表2]に示
すように、ガスの流入量(N2/O2)及びスライドバル
ブの開口率を変化させながらエッチングを行なった。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】[表1]及び[表2]において、ICPと
はシングルスパイラルコイル104に印加される高周波
電力を示し、RFとは試料台102に印加される高周波
電力を示している。被エッチング膜は、図6に示すよう
に、半導体基板110の上に形成されたARC111で
ある。
【0016】以上のような条件でエッチングを行なった
結果、エッチングガスの流量を大きくすると、エッチン
グレートの面内均一性が悪くなることに気がついた。エ
ッチングレートの面内均一性とは、被エッチング膜の面
内におけるエッチングレートのばらつきの程度を意味
し、3σ/μ×100(%)で定義する。ここで、σは
データ値の標準偏差、μはデータ値の平均値であって、
3σは、データ値のばらつきが正規分布を示すときは、
図7に示すように、データ値の99.74%が含まれる
偏差を意味する。尚、3σ及びμは具体的には[数1]
に示すとおりである。
【0017】
【数1】
【0018】図8は、前記従来の誘導結合型プラズマエ
ッチング装置を用いて、ガスの総流量を変化させながら
図6に示すARC111に対してエッチングを行なった
場合における、エッチングレートの面内均一性とガス総
流量との関係を示す図である。図8において、横軸はエ
ッチングガスの総流量(sccm)及びスライドバルブ
の開口率(%)を示し、縦軸はエッチングレートの面内
均一性(%)を示している。
【0019】図8から分かるように、エッチングガスの
総流量の変化ひいてはスライドバルブの開口率が変化す
ると、エッチングレートの面内均一性が変化している。
つまり、開口率が10%から20%に変化すると、面内
均一性は一旦良くなる(エッチングレートのばらつきは
小さくなる)が、開口率が20%よりも大きくなると、
面内均一性は再び悪くなる(エッチングレートのばらつ
きは大きくなる)。
【0020】エッチングレートの面内均一性が悪いとい
うことは、被エッチング膜の面内における実際のエッチ
ング量のばらつきを招く。被エッチング膜の面内におい
て実際のエッチング量がばらつくと、例えば、エッチン
グによりFETのゲート電極を形成する場合には、FE
Tの特性がばらつく等の悪影響が発生する。
【0021】前記に鑑み、本発明は、エッチングガスの
総流量ひいてはスライドバルブの開口率が変化しても、
エッチングレートの面内均一性が変化しないようにする
ことを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、エッチン
グガスの総流量ひいてはスライドバルブの開口率が変化
したときにエッチングレートの面内均一性が変化する理
由について、種々の検討を加えた結果、以下に説明する
ような知見を得た。
【0023】チャンバー内の圧力を一定に保つという条
件の下では、エッチングガスの総流量の変化は、スライ
ドバルブの開口率の変化により実現される。従って、エ
ッチングレートの面内均一性の変化は、スライドバルブ
109の開口率の変化に伴って起きると考えられる。そ
こで、スライドバルブ109の開口率の変化とエッチン
グレートの面内均一性との関係について検討を行なっ
た。
【0024】図9(a)〜(d)は、板状の弁体109
aがリング状の弁座109bに対して回転軸109cを
中心に回転する構造を有するスライドバルブ109の開
口率の変化、ひいては弁体109aが弁座109bに対
して回転する角度の変化を示している。スライドバルブ
109の開口率が大きくなるにつれて、スライドバルブ
109の開口部109dを線対称に分割する線対称線L
0 は右側が上方へ移動するように傾き、これに伴い、弁
座109bの中心C(スライドバルブが全開したときの
開口部の中心)を通り且つ線対称線L0 に垂直な第1の
直線L1 は上側が左方へ移動するように傾く。言い換え
ると、スライドバルブ109の開口率が大きくなるにつ
れて、図9(a)において左右方向に延びる第1の基準
線LX に対する線対称線L0 の傾き角(=上下方向に延
びる第2の基準線LY に対する第1の直線L1 の傾き
角)は大きくなる。
【0025】図10は、スライドバルブ109の開口率
(%)と、第1の基準線LX に対する線対称線L0 の傾
き角(第2の基準線LY に対する第1の直線L1 の傾き
角)との関係を示している。
【0026】以下においては、図9(b)〜(d)にお
いて、第1の直線L1 により分離されるスライドバルブ
109の2つの領域のうち、開口部109dが含まれる
領域(右側の領域)を排気側領域と定義すると共に開口
部109dが実質的に含まれない領域(左側の領域)を
反排気側領域と定義する。
【0027】また、図5(a)、(b)において、シン
グルスパイラルコイル104のコイル部分104aを、
コイル部分104aの最も外側の端部A(コイル部分1
04aと電源側引き出し部104bとの接続点)と、コ
イル部分の最も内側の端部B(コイル部分104aと接
地側引き出し部104cとの接続点)とを結ぶ第2の直
線L2 で2つの領域に分離して考える。コイル部分10
4aにおける第2の直線L2 で分離された2つの領域の
うち、最も外側の端部Aに直接に接続される部分が含ま
れる領域を高電圧領域(高周波電圧が相対的に高い領
域)と定義すると共に、最も外側の端部Aに直接に接続
される部分が含まれない領域を低電圧領域(高周波電圧
が相対的に低い領域)と定義する。
【0028】図11(a)に示すように、チャンバー1
01のプラズマ発生領域におけるスライドバルブ109
の反排気側領域と対応する領域は、スライドバルブ10
9の排気側領域と対応する領域に比べて、反応性ラジカ
ルの分布量が多いこと、及び、図11(b)に示すよう
に、チャンバー101のプラズマ発生領域におけるシン
グルスパイラルコイル104の高電圧領域と対応する領
域は、シングルスパイラルコイル104の低電圧領域と
対応する領域に比べて、プラズマ密度が高いため反応性
ラジカルの分布量が多いことが分かる。
【0029】従って、図12(a)に示すように、スラ
イドバルブ109の排気側領域とシングルスパイラルコ
イル104の高電圧領域とが一致すると共に、スライド
バルブ109の反排気側領域とシングルスパイラルコイ
ル104の低電圧領域とが一致すると、チャンバー10
1のプラズマ発生領域における反応性ラジカルの分布量
が均一になる。これに対して、図12(b)に示すよう
に、スライドバルブ109の排気側領域とシングルスパ
イラルコイル104の低電圧領域とが一致すると共に、
スライドバルブ109の反排気側領域とシングルスパイ
ラルコイル104の高電圧領域とが一致すると、チャン
バー101のプラズマ発生領域における反応性ラジカル
の分布量は不均一になって、前者の領域は後者の領域に
比べて反応性ラジカルの分布量は少なくなる。
【0030】本発明は前記の知見に基づいてなされたも
のであって、スパイラルコイルの高電圧領域をスライド
バルブの排気側領域とできるだけ一致させると共に、ス
パイラルコイルの低電圧領域をスライドバルブの反排気
側領域とできるだけ一致させることによって、チャンバ
ーのプラズマ発生領域における反応性ラジカルの分布量
を均一化するものである。
【0031】具体的には、本発明に係るプラズマエッチ
ング装置は、チャンバーと、チャンバーに設けられ、チ
ャンバー内にエッチングガスを導入するガス導入部と、
チャンバーの内部に設けられた試料台と、チャンバーの
外部に試料台と対向するように設けられ、高周波誘導電
界を発生させてエッチングガスをプラズマ化するスパイ
ラルコイルと、チャンバーの底部に設けられ、チャンバ
ー内のガスを排出するガス排出部と、弁座に対して回転
する弁体を有し、該弁体の回転によりガス排出部から排
出されるガスの量を調整するスライドバルブと、スパイ
ラルコイルを回転可能に保持するコイル保持手段と、ス
パイラルコイルの高電圧領域とスライドバルブの排気側
領域とがほぼ一致するように、スライドバルブの弁体の
回転に追随してスパイラルコイルを回転させる回転駆動
手段とを備えている。
【0032】本発明のプラズマエッチング装置による
と、スライドバルブの開口率を変化させるべくスライド
バルブの弁体を回転すると、スライドバルブの排気側領
域が移動するが、回転駆動手段により、スパイラルコイ
ルの高電圧領域とスライドバルブの排気側領域とがほぼ
一致するように、スライドバルブの弁体の回転に追随し
てスパイラルコイルを回転させると、シングルスパイラ
ルコイルの低電圧領域とスライドバルブの反排気側領域
とが一致するため、チャンバーのプラズマ発生領域にお
ける反応性ラジカルの分布量が均一になるので、被エッ
チング膜の面内におけるエッチングレートは均一にな
る。
【0033】本発明のプラズマエッチング装置におい
て、スパイラルコイルは、平面形状又はドーム形状を有
するシングルスパイラルコイルであることが好ましい。
【0034】本発明に係るプラズマエッチング方法は、
チャンバー内に導入されたエッチングガスを、チャンバ
ー内の試料台と対向し且つ回転可能に設けられたスパイ
ラルコイルに発生する高周波誘導電界によってプラズマ
化するプラズマ発生工程と、プラズマ化したエッチング
ガスを試料台に保持された基板の被エッチング膜に導い
て、被エッチング膜をエッチングするエッチング工程
と、チャンバー内のガスを、弁座に対して回転する弁体
を有するスライドバルブの弁体を回転することにより排
出量を調整しながら、チャンバーの底部から排出するガ
ス排出工程とを備え、エッチング工程は、スパイラルコ
イルの高電圧領域とスライドバルブの排気側領域とがほ
ぼ一致するように、スパイラルコイルをスライドバルブ
の弁体の回転に追随して回転させる工程を含む。
【0035】本発明のプラズマエッチング方法による
と、スライドバルブの開口率を変化させるべくスライド
バルブの弁体を回転したときには、スパイラルコイルの
高電圧領域とスライドバルブの排気側領域とがほぼ一致
するように、スパイラルコイルをスライドバルブの弁体
の回転に追随して回転させるため、スパイラルコイルの
高電圧領域とスライドバルブの排気側領域とがほぼ一致
すると共に、スパイラルコイルの低電圧領域とスライド
バルブの反排気側領域とがほぼ一致する。このため、チ
ャンバーのプラズマ発生領域における反応性ラジカルの
分布量が均一になるので、被エッチング膜の面内におけ
るエッチングレートは均一になる。
【0036】本発明のプラズマエッチング方法におい
て、被エッチング膜は有機膜であることが好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る
プラズマエッチング装置及びプラズマエッチング方法に
ついて、図1(a)、(b)、図2(a)、(b)、図
3及び図4を参照しながら説明する。
【0038】図1(a)は、一実施形態に係る誘導結合
型プラズマエッチング装置におけるスパイラルコイルの
平面構造を示し、図1(b)は、一実施形態に係る誘導
結合型プラズマエッチング装置の断面構造を示してい
る。
【0039】チャンバー1は、外径が例えば400m
m、高さが例えば300mmの円筒状であって、チャン
バー1の内壁面はセラミック、アルミナ又は石英等の絶
縁物で覆われている。チャンバー1の内部には高周波電
力が印加される下部電極としての試料台2が設けられて
おり、該試料台2の上には被エッチング試料としての半
導体基板3が載置されている。
【0040】チャンバー1の内部における試料台2の周
辺部には、エッチングガスをマスフローコントローラを
介してチャンバー1内に導入するガス導入部4が設けら
れていると共に、チャンバー1の底部には、チャンバー
1内の圧力を0.1Pa〜10Pa程度に制御するター
ボポンプ(図示は省略している)に接続されたガス排出
部5が設けられている。チャンバー1における試料台2
とガス排出部5との間には、板状の弁体がリング状の弁
座に対して回転する構造を有するスライドバルブ6が設
けられており、該スライドバルブ6の弁体の回転角ひい
てはスライドバルブ6の開口率はバルブコントローラ7
によって制御される。
【0041】チャンバー1の天井である石英板1aの上
つまりチャンバー1の上側には、試料台2と対向するよ
うに誘導結合型のシングルスパイラルコイル8が設けら
れている。シングルスパイラルコイル8のコイル部分8
aの最外端である電源接続点Aは、整合回路9を含む電
源側引き出し部8bを介して高周波電力供給源10に接
続されている。シングルスパイラルコイル8のコイル部
分8aの最内端である接地接続点Bは、第1のかさ歯車
11aを有し回転自在に設けられた回転軸11に結合さ
れており、これによって、シングルスパイラルコイル8
のコイル部分8aは回転可能である。回転軸11の第1
のかさ歯車11aは、駆動軸12に設けられた第2のか
さ歯車12aと噛み合っており、駆動軸12をモータ等
の回転駆動手段13により所定量だけ回転すると、回転
軸11ひいてはスパイラルコイル8のコイル部分8aは
所定の角度だけ回転する。尚、シングルスパイラルコイ
ル8のコイル部分8aの接地接続点Bは、回転軸11、
駆動軸12及び回転駆動手段13に順次連結されること
によって接地されている。
【0042】高周波電力供給源10からスパイラルコイ
ル8に高周波電力が供給されると、シングルスパイラル
コイル8の周囲には高周波誘導電界が発生し、発生した
高周波誘導電界によって、チャンバー1内に導入された
エッチングガスはプラズマ化される。プラズマ化された
エッチングガスは、試料台2に印加される高周波電力に
よって試料台2に保持された半導体基板3の被エッチン
グ膜に導かれて、該被エッチング膜をエッチングする。
【0043】スライドバルブ6の開口率を制御するバル
ブコントローラ7から出力されるバルブ開口率信号は回
転駆動手段13に出力され、該回転駆動手段13は入力
されたバルブ開口率信号に基づいて、スパイラルコイル
8のコイル部8aを所定の角度だけ回転させる。以下、
回転駆動手段13がバルブ開口率信号に基づいて、スパ
イラルコイル8のコイル部8aを所定の角度だけ回転さ
せる制御方法について説明する。
【0044】図2(a)は図9(a)と対応していると
共に、図2(b)は図9(c)と対応している。図2
(a)、(b)に示すように、弁体6aが弁座6bに対
して回転軸6cを中心に回転する構造を有するスライド
バルブ6において、弁体6aが弁座6bに対して回転す
ると開口部6dが形成される。また、第1の直線L
1 は、開口部6dを線対称に分割する線対称線L0 に対
して垂直な線である。弁体6aを弁座6bに対して回転
させて、スライドバルブ6の開口率を大きくしていく
と、スライドバルブ6を排気領域と反排気領域とを分離
する第1の直線L1 は、上下方向に延びる第2の基準線
Y に対して傾き角θを持つようになる。
【0045】図3は、図1(a)と対応しているが、図
1(a)に示されている、整合回路9、高周波電力供給
源10、回転軸11、駆動軸12及び回転駆動手段13
は、図示の都合上省略している。シングルスパイラルコ
イル8のコイル部分8aは、電源接続点Aと接地接続点
Bとを結ぶ第2の直線L2 によって、高電圧領域(高周
波電圧が相対的に高い領域)と低電圧領域(高周波電圧
が相対的に低い領域)とに分離されている。この場合、
スライドバルブ6の排気側領域とシングルスパイラルコ
イル8の高電圧領域とが一致すると共に、スライドバル
ブ6の反排気側領域とシングルスパイラルコイル8の低
電圧領域とが一致するように、シングルスパイラルコイ
ル8のコイル部分8aの位置を設定しておく。
【0046】前述したように、弁体6aを弁座6bに対
して回転させて、スライドバルブ6の開口率を大きくし
ていくと、第1の直線L1 は第2の基準線LY に対して
傾き角θを持つようになるので、スライドバルブ6の排
気側領域とシングルスパイラルコイル8の高電圧領域と
は一致しなくなる。そこで、回転駆動手段13により駆
動軸12を所定量だけ回転駆動して、第2の直線L2
第1の直線L1 が回転した方向に角度θだけ回転させる
ことにより、シングルスパイラルコイル8の高電圧領域
をスライドバルブ6の排気側領域と一致させる。このよ
うにすると、シングルスパイラルコイル8の低電圧領域
はスライドバルブ6の反排気側領域と一致するため、チ
ャンバー1のプラズマ発生領域における反応性ラジカル
の分布量が均一になるので、被エッチング膜の面内にお
けるエッチングレートは均一になる。
【0047】尚、シングルスパイラルコイル8の高電圧
領域とスライドバルブ6の排気側領域とを一致させると
共に、シングルスパイラルコイル8の低電圧領域とスラ
イドバルブ6の反排気側領域とを一致させると、チャン
バー1のプラズマ発生領域における反応性ラジカルの分
布量は確実に均一になるが、シングルスパイラルコイル
8の高電圧領域とスライドバルブ6の排気側領域とがほ
ぼ一致しておれば、チャンバー1のプラズマ発生領域に
おける反応性ラジカルの分布量はほぼに均一になる。
【0048】そこで、シングルスパイラルコイル8の高
電圧領域とスライドバルブ6の排気側領域とが、どの程
度ずれると、被エッチング膜の面内におけるエッチング
レートの均一性が悪くなるかを実験により求めた。実験
の条件としては、流量が50sccmのCl2 ガスと、
流量が2sccmのO2 ガスとの混合ガスからなるエッ
チングガスをチャンバー1内に導入し、シングルスパイ
ラルコイル8に100Wの高周波電力を印加し、試料台
2に100Wの高周波電力を印加して、半導体基板11
0の上に形成されたARC111に対してエッチングを
行なった。
【0049】図4は、スライドバルブ6の開口率を30
%に設定した状態で前記の実験を行なったときにおけ
る、第2の直線L2 が第1の直線L1 に対してずれてい
る角度と、エッチングレートの均一性との関係を示して
いる。エッチングレートの均一性が3%を超えると、半
導体素子の特性がばらつく等の悪影響が出てくるので、
エッチングレートの均一性は3%以下であることが好ま
しい。図4から、エッチングレートの均一性が3%以下
である許容範囲を求めると、第2の直線L2 が第1の直
線L1 に対してずれる角度の許容範囲は3度以下にな
る。従って、第2の直線L2 と第1の直線L1 との角度
が3度以下になる程度に、シングルスパイラルコイル8
の高電圧領域とスライドバルブ6の排気側領域とがほぼ
一致しておれば、エッチングレートの均一性は許容範囲
内であるといえる。
【0050】以下、本実施形態に係るプラズマエッチン
グ装置を用いて、図6に示すARC111に対して行な
うプラズマエッチング方法の実施例について説明する。
【0051】<第1の実施例>図6に示すARC16に
対して、[表1]に示すエッチング条件により、スライ
ドバルブ6の開口率を25%に設定してプラズマエッチ
ングを行なった。この場合、シングルスパイラルコイル
8の高電圧領域がスライドバルブ6の排気側領域とほぼ
一致するように、つまり第2の直線L2 が第1の直線L
1 に一致するように、駆動軸12を回転駆動して、スパ
イラルコイル8のコイル部分8aを回転させた。
【0052】その結果、エッチングレートの面内均一性
は、2.5%であって、スパイラルコイル8のコイル部
分8aを回転させなかった場合の面内均一性(図8から
約3.4%であることが分かる。)よりも向上すること
が確認できた。
【0053】<第2の実施例>図6に示すARC16に
対して、[表2]に示すエッチング条件により、スライ
ドバルブ6の開口率を40%に設定してプラズマエッチ
ングを行なった。この場合、シングルスパイラルコイル
8の高電圧領域がスライドバルブ6の排気側領域とほぼ
一致するように、つまり第2の直線L2 が第1の直線L
1 に一致するように、駆動軸12を回転駆動して、スパ
イラルコイル8のコイル部分8aを回転させた。
【0054】その結果、エッチングレートの面内均一性
は、2.8%であって、スパイラルコイル8のコイル部
分8aを回転させなかった場合の面内均一性(図8から
約5.5%であることが分かる。)よりも向上すること
が確認できた。
【0055】尚、被エッチング膜としては、ARCに代
えて、ポリシリコン等のシリコン系膜、シリコン酸化
膜、シリコン窒化膜、金属膜又は強誘電体膜等でもよ
い。被エッチング膜の材質が変化すると、ガス流量など
のエッチング条件を変更する必要はあるが、スライドバ
ルブ6の開口率の変化に追随してスパイラルコイル8の
コイル部分8aを回転させて、シングルスパイラルコイ
ル8の高電圧領域をスライドバルブ6の排気側領域とほ
ぼ一致させると、エッチングレートの面内均一性を良好
に保つことができる。
【0056】
【発明の効果】本発明に係るプラズマエッチング装置及
びプラズマエッチング方法によると、チャンバーのプラ
ズマ発生領域における反応性ラジカルの分布量が均一に
なるため、被エッチング膜の面内におけるエッチングレ
ートは均一になるので、FETの半導体素子の電気的特
性がばらつく等の悪影響を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は一実施形態に係るプラズマエッチング
装置におけるシングルスパイラルコイルの平面図であ
り、(b)は一実施形態に係るプラズマエッチング装置
の断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、一実施形態に係るプラズ
マエッチング装置及びプラズマエッチング方法におい
て、スライドバルブの排気側領域及び反排気側領域を説
明する図である。
【図3】一実施形態に係るプラズマエッチング装置及び
プラズマエッチング方法において、スパイラルコイルの
高電圧領域及び低電圧領域を説明する図である。
【図4】一実施形態に係るプラズマエッチング装置及び
プラズマエッチング方法において、第2の直線が第1の
直線に対してずれている角度と、エッチングレートの均
一性との関係を示す図である。
【図5】(a)は従来のプラズマエッチング装置におけ
るシングルスパイラルコイルの平面図であり、(b)は
従来のプラズマエッチング装置の断面図である。
【図6】本発明及び従来のプラズマエッチング方法の対
象となる被エッチング膜を説明する断面図である。
【図7】本発明及び従来のプラズマエッチング方法によ
りエッチングを行なう場合におけるエッチングレートの
面内均一性の定義を説明する図である。
【図8】従来のプラズマエッチング方法によりARCに
対してエッチングを行なった場合における、エッチング
ガスの総流量及びバルブ開口率とエッチングレートの面
内均一性との関係を示す図である。
【図9】(a)〜(d)は、従来のプラズマエッチング
装置における、スライドバルブの開口率の変化と弁体が
弁座に対して回転する角度との関係を説明する図であ
る。
【図10】従来のプラズマエッチング装置における、ス
ライドバルブの開口率と第1の基準線に対する線対称線
の傾き角との関係を説明する図である。
【図11】(a)は、一実施形態に係るプラズマエッチ
ング装置におけるスライドバルブの排気側領域及び反排
気側領域の反応性ラジカルの分布を説明する図であり、
(b)は、一実施形態に係るプラズマエッチング装置に
おけるスパイラルコイルの高電圧領域及び低電圧領域の
反応性ラジカルの分布を説明する図である。
【図12】(a)は、一実施形態に係るプラズマエッチ
ング装置における排気側領域且つ高電圧領域及び反排気
側領域且つ低電圧領域の反応性ラジカルの分布を説明す
る図であり、(b)は一実施形態に係るプラズマエッチ
ング装置における排気側領域且つ低電圧領域及び反排気
側領域且つ高電圧領域の反応性ラジカルの分布を説明す
る図である。
【符号の説明】
1 チャンバー 2 試料台 3 半導体基板 4 ガス導入部 5 ガス排出部 6 スライドバルブ 6a 弁体 6b 弁座 6c 回転軸 6d 開口部 7 バルブコントローラ 8 シングルスパイラルコイル 8a コイル部分 8b 電源側引き出し部 9 整合回路 10 高周波電源 11 回転軸 11a 第1のかさ歯車 12 駆動軸 12a 第2のかさ歯車 13 回転駆動手段

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャンバーと、 前記チャンバーに設けられ、チャンバー内にエッチング
    ガスを導入するガス導入部と、 前記チャンバーの内部に設けられた試料台と、 前記チャンバーの外部に前記試料台と対向するように設
    けられ、高周波誘導電界を発生させて前記エッチングガ
    スをプラズマ化するスパイラルコイルと、 前記チャンバーの底部に設けられ、チャンバー内のガス
    を排出するガス排出部と、 弁座に対して回転する弁体を有し、該弁体の回転により
    前記ガス排出部から排出されるガスの量を調整するスラ
    イドバルブと、 前記スパイラルコイルを回転可能に保持するコイル保持
    手段と、 前記スパイラルコイルの高電圧領域と前記スライドバル
    ブの排気側領域とがほぼ一致するように、前記スライド
    バルブの弁体の回転に追随して前記スパイラルコイルを
    回転させる回転駆動手段とを備えていることを特徴とす
    るプラズマエッチング装置。
  2. 【請求項2】 前記スパイラルコイルは、平面形状又は
    ドーム形状を有するシングルスパイラルコイルであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング装
    置。
  3. 【請求項3】 チャンバー内に導入されたエッチングガ
    スを、前記チャンバー内の試料台と対向し且つ回転可能
    に設けられたスパイラルコイルに発生する高周波誘導電
    界によってプラズマ化するプラズマ発生工程と、 プラズマ化した前記エッチングガスを前記試料台に保持
    された基板の被エッチング膜に導いて、前記被エッチン
    グ膜をエッチングするエッチング工程と、 前記チャンバー内のガスを、弁座に対して回転する弁体
    を有するスライドバルブの前記弁体を回転することによ
    り排出量を調整しながら、前記チャンバーの底部から排
    出するガス排出工程とを備え、 前記エッチング工程は、前記スパイラルコイルの高電圧
    領域と前記スライドバルブの排気側領域とがほぼ一致す
    るように、前記スパイラルコイルを、前記スライドバル
    ブの弁体の回転に追随して回転させる工程を含むことを
    特徴とするプラズマエッチング方法。
  4. 【請求項4】 前記被エッチング膜は有機膜であること
    を特徴とする請求項3に記載のプラズマエッチング方
    法。
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