JP3246635U - 木製オブジェ - Google Patents
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Abstract
【課題】多様な形状を手軽に作ることができ、木のぬくもりや木の表情を感じさせる木製オブジェを提供する。【解決手段】厚さ0.1mm以上0.7mm未満の突板1と、容器2とを備え、前記突板は、その全部または一部が、湾曲してなる湾曲部11および/または環状に巻かれてなる環状部12を形成しており、前記容器は、前記突板の少なくとも一端部を容器内に入れた状態で前記突板を支持することを特徴とする、木製オブジェ。本考案に係る木製オブジェによれば、用いる突板の色や木目等、容器の色や大きさ、形状、素材等を適宜選択し、突板の幅や長さ、湾曲部や環状部の形状や大きさ等を種々に設定することで、様々な雰囲気を醸成することができる。【選択図】図1
Description
実用新案法第11条において準用する特許法第30条第2項適用申請有り LIVING&DESIGN2023、令和5年9月6日 〔刊行物等〕 令和5年10月1日、moc-sorachi.jp 〔刊行物等〕 The JOHNSON STORE、令和5年10月31日 〔刊行物等〕 北海道くらし百貨店、令和5年11月30日 〔刊行物等〕 令和5年12月15日、https://mokucolle.com/ 〔刊行物等〕 WOODコレクション2024、令和6年1月11日 〔刊行物等〕 空知単板工業株式会社、令和6年1月16日
本考案は、突板を利用した木製オブジェに関する。
突板(ベニヤ)とは、材木を薄く切って得られる板をいい、主として、合板の材料や表面化粧材などの用途に用いられている。突板を積層してつくられる合板は、一枚板で発生する湿度や乾燥による反りの問題が無く、安価であるといった利点がある。また、表面化粧材としては、非木製品の表面に貼り付けることで木製品のように見せることができたり、外見のあまり良くない材木を用いた木製品の表面に木目の美しい突板を貼り付けることで見た目を良くし、製品価値を向上させることができる(非特許文献1)。
ウィキペディア フリー百科事典、突板、最終更新 2023年6月24日 (土) 01:31(日時は個人設定で未設定ならばUTC)[online]、[令和6年2月16日検索]、インターネット<URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AA%81%E6%9D%BF>
突板は、木を削って得られるものであるため、原木の樹種や生育環境はもとより、スライスする方向や位置によっても木目や風合いが異なる。すなわち、一枚一枚どれも同じ物がなく、豊かな木の表情を楽しむことができる。また、軽くて扱いやすく、木のぬくもりを手軽に感じることができる。係る突板について、今般、本考案者らは、従来の合板や表面化粧材以外の新たな利用方法を開発することを課題とした。
そして、鋭意研究の結果、所定の厚さの突板と容器とを用いることにより木製オブジェを作製できることを見出した。そこで、係る知見に基づいて、下記の各考案を完成した。
(1)本考案に係る木製オブジェは、厚さ0.1mm以上0.7mm未満の突板と、容器とを備え、前記突板は、その全部または一部が、湾曲してなる湾曲部および/または環状に巻かれてなる環状部を形成しており、前記容器は、前記突板の少なくとも一端部を容器内に入れた状態で前記突板を支持することを特徴とする。
(2)本考案に係る木製オブジェにおいて、湾曲部および/または環状部は、容器の外部にあってもよい。
(3)本考案に係る木製オブジェにおいて、湾曲部および/または環状部は、幅の異なる複数の突板で形成されていてもよい。
(4)本考案において、容器は、湾曲部および/または環状部を解消して平板状に復元しようとする突板の復元力を抑止するものであってもよい。
(5)本考案において、突板の厚さは0.2±0.1mmであってもよい。
本考案によれば、多様な形状を手軽に作ることができ、木のぬくもりや木の表情を感じさせる木製オブジェを提供することができる。
本考案に係る木製オブジェによれば、用いる突板の色や木目等、容器の色や大きさ、形状、素材等を適宜選択し、突板の幅や長さ、湾曲部や環状部の形状や大きさ等を種々に設定することで、様々な雰囲気を醸成することができる。
以下、本考案についてさらに説明する。
本考案において、突板は、定法に従って製造されたものを用いることができる。突板は、通常、丸太を一定の形・大きさに切り出して製材とし、加熱処理した後、スライスし、乾燥させて製造される。突板は、例えば、天然木一枚板から切削された突板であってもよく、積層・糊付けして作製されたフリッチから切削された突板であってもよい。
突板の厚さは、通常、薄(0.2~0.3mm)、厚(中厚)(0.40mm~0.60mm)、本厚(0.60mm~0.80mm)、特殊厚(1.00mm~2.00mm)などがあるが、このうち、本考案においては、0.1mm以上0.7mm未満の厚さが好ましい。0.2±0.1mmの厚さであれば、比較的小さい容器内にも収まり、柔らかく美しい印象のオブジェを作製することができる。一方、0.6±0.1mmの厚さであれば、比較的大きい形状をつくることができ、ハリがあって力強い印象のオブジェを作製することができる。これらの比較的薄い突板は、柔軟性に富み、曲げやすく、また、湾曲させたり、環状に巻いたりしたときに裂けたり割れたりし難いため、好ましい。
突板の樹種は、作製する木製オブジェの所望の印象や仕様等に応じて、適宜設定することができる。樹種は、製材可能なあらゆる樹種を例示することができ、具体的には、例えば、ホワイトオーク、ウォールナット、チェリー、ハードメープル、バーチ、ホワイトアッシュ、ナラ、タモ、マカバ、メジロカバ、クリ、ニレ、ヒノキ、トドマツ、カラマツ、アカエゾマツ、シナ、スギなどを例示することができる。
突板の木目もまた、作製する木製オブジェの所望の印象や仕様等に応じて、適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、板目、柾目、杢目などのいずれであってもよい。
突板は、所望の幅のテープ状とし、これで湾曲部および/または環状部を作製して用いる。突板は、手で裂く、刃物等で切るなど、所望の手法でテープ状にすることができる。突板をテープ状にする際の幅は、例えば、5~1000mmなどを例示することができるが、作製する木製オブジェの所望の印象や仕様等に応じて、適宜設定することができる。
湾曲部は、テープ状にした突板を曲げることにより作製できる。湾曲部の形状や大きさ、数、配置等は、作製する木製オブジェの所望の印象や仕様等に応じて、適宜設定することができる。
環状部は、テープ状にした突板を巻くことにより作製できる。環状部の長さや大きさ、数、配置等もまた、作製する木製オブジェの所望の印象や仕様等に応じて、適宜設定することができる。
木製オブジェにおいて、突板の一方の端部または両方の端部は、容器内に入れた状態とする。湾曲部または環状部を形成している突板は、その形状を保持するために留め具等を用いてもよいが、形状によっては、留め具等を用いずとも、容器内に端部を入れることで当該形状を保持することができる。その際、容器は、湾曲部や環状部を解消して平板状に復元しようとする突板の復元力を抑止する役割を果たす。この場合は、オブジェの形状を作り替えることが極めて容易であり、試作を重ねたり、印象の変化を楽しむことを、手軽に行うことができる。
一方、突板で形成された湾曲部や環状部は、容器の内部および外部のどちらにあってもよく、作製する木製オブジェの所望の印象や仕様等に応じて、適宜設定することができる。例えば、湾曲部や環状部の全部または一部が容器外にあれば、広がりのある印象を与えることができる。
木製オブジェにおいて、湾曲部および/または環状部は、1つであってもよく、複数であってもよい。また、湾曲部や環状部は、幅が異なる複数のテープ状の突板で形成されているものであってよい。さらに、木製オブジェは、本考案の特徴を損なわない限り、花や草、布、照明器具、装飾品など、他の何らかのものを備えていてもよい。
容器は、突板を支持する役割を果たすものであり、作製する木製オブジェの所望の印象や仕様等に応じて、所望のものを用いることができる。例えば、容器は、突板を入れることのできる口と、突板を支持できる一定の高さ(深さ)とを有する容器であることが好ましい。より具体的には、例えば、瓶、カップ、コップ、箱、袋、缶、食器類などを例示することができる。容器を構成する素材や色、形、大きさなどもまた、作製する木製オブジェの所望の印象や仕様等に応じて、適宜設定することができる。
木製オブジェは、例えば、店舗、家、事務所、展示場、美術館、博物館、図書館、映画館、音楽ホール、体育施設、遊戯施設、工場、食堂など、所望の場所に設置することができる。
以下、本考案について、実施例に基づいて説明する。なお、本考案の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実施例1>突板の製造
原木(ホワイトオーク)の丸太の樹皮を剥き、製材(幅約160mm×長さ約1200mm×厚さ約80mmの板状の材)を削り出した。削り出した製材同士を糊付けして接着し、フリッチ(角材、幅約300mm×長さ約1850mm×厚さ約300mm)を作製した。フリッチを60℃の湯に入れ24時間加熱処理した後、厚さ0.2mmまたは0.6mmとなるよう、スライサー加工機でスライスした。スライスして得られた突板を、高周波乾燥機により乾燥させた。
原木(ホワイトオーク)の丸太の樹皮を剥き、製材(幅約160mm×長さ約1200mm×厚さ約80mmの板状の材)を削り出した。削り出した製材同士を糊付けして接着し、フリッチ(角材、幅約300mm×長さ約1850mm×厚さ約300mm)を作製した。フリッチを60℃の湯に入れ24時間加熱処理した後、厚さ0.2mmまたは0.6mmとなるよう、スライサー加工機でスライスした。スライスして得られた突板を、高周波乾燥機により乾燥させた。
<実施例2>木製オブジェの製造
透明のガラス製容器(円柱形、直径約9cm、高さ約20cm)を用意した。実施例1で製造した厚さ0.2mmの突板(長さ約1000mm×幅約500mm)を、幅約3cm、約4cm、約5cmおよび約9cmとなるよう長尺方向に手で裂いて、幅の異なる平テープ状にした。幅約9cmに裂いた突板は、ずらしながら幾重にも環状に巻いて、環状部を有する筒状物(直径約8.5cm、長さ約45cm)にした。筒状物の一方の端部を容器の中に差し込んで、筒形状を保持した状態で支持させた。幅約3cm、約4cmおよび約5cmに裂いた突板は、それぞれを湾曲させて湾曲部を形成し、両端部を重ねて、容器内にある筒状物における突板の重なった部分に差し込んで、湾曲部が保持されるようにした。以上のとおり作製した木製オブジェの写真を図1に示す。
透明のガラス製容器(円柱形、直径約9cm、高さ約20cm)を用意した。実施例1で製造した厚さ0.2mmの突板(長さ約1000mm×幅約500mm)を、幅約3cm、約4cm、約5cmおよび約9cmとなるよう長尺方向に手で裂いて、幅の異なる平テープ状にした。幅約9cmに裂いた突板は、ずらしながら幾重にも環状に巻いて、環状部を有する筒状物(直径約8.5cm、長さ約45cm)にした。筒状物の一方の端部を容器の中に差し込んで、筒形状を保持した状態で支持させた。幅約3cm、約4cmおよび約5cmに裂いた突板は、それぞれを湾曲させて湾曲部を形成し、両端部を重ねて、容器内にある筒状物における突板の重なった部分に差し込んで、湾曲部が保持されるようにした。以上のとおり作製した木製オブジェの写真を図1に示す。
図1に示すように、本実施例2の木製オブジェは、厚さ約0.2mmの突板1と、容器2とを備え、突板1で形成された湾曲部11と、突板1で形成された環状部12とを有し、容器2により突板1が支持されている。環状部12を形成している突板の下側の端部13は、図1において目視はできないものの、容器2の内部に入れられていることが、その製造手順から明らかである。
環状部12の上側約半分および湾曲部11は、容器2の外部にある。
湾曲部11は、幅約3cm、約4cmおよび約5cmの複数の突板で形成されている。 湾曲部11および環状部12を形成している突板1は、元来、平板状に復元しようとする復元力を有するところ、本オブジェでは、留め具などを用いていないので、容器2が、係る復元力を抑止して、湾曲部11および環状部12の形状を保持しているといえる。
環状部12の上側約半分および湾曲部11は、容器2の外部にある。
湾曲部11は、幅約3cm、約4cmおよび約5cmの複数の突板で形成されている。 湾曲部11および環状部12を形成している突板1は、元来、平板状に復元しようとする復元力を有するところ、本オブジェでは、留め具などを用いていないので、容器2が、係る復元力を抑止して、湾曲部11および環状部12の形状を保持しているといえる。
<実施例3>木製オブジェの製造
実施例1で製造した厚さ0.2mmの突板(長さ約1000mm×幅約500mm)を用いて、実施例2の方法に準じて木製オブジェを製造した。平テープ状に裂いた突板の幅は、約2cm、約4cmおよび約6cmとした。環状部の内腔にはススキ様の植物を差し入れて飾りとした。作製した木製オブジェの写真を図2に示す。
実施例1で製造した厚さ0.2mmの突板(長さ約1000mm×幅約500mm)を用いて、実施例2の方法に準じて木製オブジェを製造した。平テープ状に裂いた突板の幅は、約2cm、約4cmおよび約6cmとした。環状部の内腔にはススキ様の植物を差し入れて飾りとした。作製した木製オブジェの写真を図2に示す。
図2に示すように、本実施例3の木製オブジェは、厚さ約0.2mmの突板1と、容器2とを備え、突板1で形成された湾曲部11と、突板1で形成された環状部12とを有し、容器2により突板1が支持されている。湾曲部11を形成している突板の端部13のうち、少なくとも3つの端部13が、容器2の内部に入れられている。環状部12を形成している突板の下側の端部13は、図2において目視はできないものの、容器2の内部に入れられていることが製造手順から明らかである。
環状部12の上側約半分および湾曲部11は、容器2の外部にある。
湾曲部11は、幅約2cmおよび約4cmの複数の突板で形成されている。
本オブジェでは、留め具などを用いていないので、容器2が、突板が平板状に復元しようとする復元力を抑止して、湾曲部11および環状部12の形状を保持しているといえる。
環状部12の上側約半分および湾曲部11は、容器2の外部にある。
湾曲部11は、幅約2cmおよび約4cmの複数の突板で形成されている。
本オブジェでは、留め具などを用いていないので、容器2が、突板が平板状に復元しようとする復元力を抑止して、湾曲部11および環状部12の形状を保持しているといえる。
<実施例4~11>木製オブジェの製造
実施例1で製造した厚さ0.2mmの突板(長さ約1000mm×幅約500mm)を用いて、実施例2の方法に準じて8個の木製オブジェを製造し、実施例4~11とした。平テープ状に裂いた突板の幅は、約1~15cmの間で、様々な幅とした。実施例4~7の写真を図3に、実施例8~11の写真を図4に、それぞれ示す。
実施例1で製造した厚さ0.2mmの突板(長さ約1000mm×幅約500mm)を用いて、実施例2の方法に準じて8個の木製オブジェを製造し、実施例4~11とした。平テープ状に裂いた突板の幅は、約1~15cmの間で、様々な幅とした。実施例4~7の写真を図3に、実施例8~11の写真を図4に、それぞれ示す。
<実施例12>木製オブジェの製造
実施例1で製造した厚さ0.6mmの突板(長さ約1000mm×幅約500mm)を用いて、実施例2と同様にして木製オブジェの製造を試みた。その結果、突板の復元力が強過ぎて、容器内に収まる直径の環状部を形成できなかった。湾曲部も極大のものとなり、柔らかく美しい形を形成することが困難であった。
実施例1で製造した厚さ0.6mmの突板(長さ約1000mm×幅約500mm)を用いて、実施例2と同様にして木製オブジェの製造を試みた。その結果、突板の復元力が強過ぎて、容器内に収まる直径の環状部を形成できなかった。湾曲部も極大のものとなり、柔らかく美しい形を形成することが困難であった。
そこで、大きめの容器(円柱形、直径約100cm、高さ約20cm)を用意した。厚さ0.6mmの突板(長さ約2000mm×幅約500mm)を、幅約10cm、約20cmおよび約30cmとなるよう長尺方向に手で裂いて、幅の異なる平テープ状にした。それぞれを湾曲させて湾曲部を形成し、両端部を容器の中に差し込んで、湾曲部を保持した状態で支持させた。
本実施例12の木製オブジェは、厚さ約0.6mmの突板1と、容器2とを備え、突板1で形成された湾曲部11を有し、容器2により突板1が支持されている。湾曲部11を形成している突板の両方の端部13が、容器2の内部に入れられている。
湾曲部11は、容器2の外部にあり、幅約10cm、20cmおよび約30cmの複数の突板で形成されている。
本オブジェでは、留め具などを用いていないので、容器2が、突板が平板状に復元しようとする復元力を抑止して、湾曲部11の形状を保持しているといえる。
以上のとおり作製した木製オブジェは、木のぬくもりや木の表情を感じさせつつ、ハリがあって力強い印象を与えるものであった。
湾曲部11は、容器2の外部にあり、幅約10cm、20cmおよび約30cmの複数の突板で形成されている。
本オブジェでは、留め具などを用いていないので、容器2が、突板が平板状に復元しようとする復元力を抑止して、湾曲部11の形状を保持しているといえる。
以上のとおり作製した木製オブジェは、木のぬくもりや木の表情を感じさせつつ、ハリがあって力強い印象を与えるものであった。
1 突板
2 容器
11 突板で形成された湾曲部
12 突板で形成された環状部
13 突板の端部
2 容器
11 突板で形成された湾曲部
12 突板で形成された環状部
13 突板の端部
Claims (5)
- 厚さ0.1mm以上0.7mm未満の突板と、
容器と
を備え、
前記突板は、その全部または一部が、湾曲してなる湾曲部および/または環状に巻かれてなる環状部を形成しており、
前記容器は、前記突板の少なくとも一端部を容器内に入れた状態で前記突板を支持することを特徴とする、木製オブジェ。 - 前記湾曲部および/または前記環状部が、前記容器の外部にある、請求項1に記載の木製オブジェ。
- 前記湾曲部および/または前記環状部が、幅の異なる複数の突板で形成されている、請求項1に記載の木製オブジェ。
- 前記容器が、前記湾曲部および/または前記環状部を解消して平板状に復元しようとする前記突板の復元力を抑止する容器である、請求項1に記載の木製オブジェ。
- 前記突板の厚さが0.2±0.1mmである、請求項1に記載の木製オブジェ。
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