JP3245969B2 - 真空コンデンサの製造方法 - Google Patents

真空コンデンサの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大電力送信機の発振回
路、増幅回路、あるいは誘導過熱装置のタンク回路等に
用いられる可変形真空コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は従来の一般的な可変形真空コンデ
ンサの断面構造図であり、例えばその両端に銅製のフラ
ンジ11a,11bが付いたセラミック12で側面部を
形成し、この側面部を固定導体13と金属製蓋体14と
で閉塞して、高耐力真空誘電体を充填するための真空容
器10を形成している。
【0003】固定導体13内側には、内径の異なる複数
の略円筒状電極板を同心円状に一定間隔をもって設けて
固定電極15を形成しており、また、この固定電極15
の各電極間隙を指向する内径の異なる複数の円筒状電極
板で可動電極16を形成している。この可動電極16
は、固定導体13と対向する可動導体18の平面部に同
心円状に形成され、固定電極15の電極間隙内に非接触
状態で挿出入される。
【0004】可動導体18は、可動電極16の背面側に
リード部18aを有しており、そのリード部表面が、図
3に示すように、軸受17で摺動自在に支持されてい
る。静電容量の調整を行う場合は、この可動導体18を
昇降させて固定電極15と可動電極16との交叉面積を
変え、両電極間に生じる静電容量の値を連続的に変化さ
せる。なお、リード部18aを所定内径の中空リード部
となし、該中空部に可動導体を昇降させるための手段、
例えばねじ受け部等を形成する場合もある。
【0005】また、19は弾性を有する軟質金属製のベ
ローズであり、真空容器10内を気密に保持しながら可
動導体18(可動電極16)が昇降できるように、蓋体
14内壁及び軸受18にその一端縁を接合するととも
に、他端縁を可動導体18の背面若しくはリード部18
a側面に接合している。このベローズ19は、上記真空
シールの外、蓋体14に設けられた外部電源端子(図示
省略)と可動電極16との通電路をも兼ねる。
【0006】このような構造の可変形真空コンデンサで
は、静電容量調整時に固定電極15と可動電極16とが
絶対に接触してはならず、且つ、電極間の各間隙が夫々
等しくなければならない。そこで、その製造組立時には
固定電極15と可動電極16とを精確に位置決めしなが
ら、構成部品の接合部位をロー付けしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、固定電極1
5と可動電極16との位置決めを行うときは、これら電
極15,16の中心軸線を夫々完全に一致させなければ
ならない。
【0008】しかしながら、この作業は極めて困難であ
り、部分的に両電極15,16間の間隙が狭くなる場合
があった。そのため、耐電圧値を低下させてしまう問題
があった。
【0009】また、図5に示すように、両電極15,1
6の中心軸線を一致させるために、真空コンデンサの外
周部に治具20をセットし、各構成部の位置決めを行う
方法があるが、この方法によると治具が大型化し、コス
トが上昇する。また、各構成部品の寸法精度が要求され
るためにその加工が複雑になり、実用的でない問題もあ
った。
【0010】本発明はかかる問題点を解消する可変型の
真空コンデンサの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、真空容器内の一面部を導電部材で形成
して固定導体となし、この固定導体に夫々内径の異なる
複数の略円筒状固定電極を同心円状に形成するととも
に、昇降自在に設けられた可動導体に複数の略円筒状可
動電極を夫々前記固定電極の電極間隙を指向して同心円
状に形成し、更に、各固定電極と可動電極との位置決め
を行いながら構成部品の接合を行う真空コンデンサの製
造方法において、前記固定導体に電極中心軸線を中心と
する孔部、前記可動導体に電極中心軸線を中心とし且つ
前記孔部の内径とほぼ等しい内径の穴部を夫々形成し、
これら孔部と穴部とに支持棒を挿入して各電極の電極面
を非接触状態で仮固定しながら構成部品の接合を行うよ
うにした。
【0012】本発明では、また、上記製造方法におい
て、前記孔部及び前記穴部の周縁に夫々突起部を有する
座を形成し、前記支持棒をこれら座を介して孔部及び穴
部に挿入するようにした。
【0013】なお、上記各製造方法において、支持棒は
構成部品の接合後は引き抜いて孔部を閉塞するが、この
支持棒をそのまま真空コンデンサの構成部品として用い
ることもできる。このときは、固定導体と可動導体との
絶縁を図るため、支持棒を絶縁性部材で構成するととも
に、前記可動導体の背面に前記穴部と同一内径の中空リ
ード部を形成し、自由端となる前記支持棒の一端を該中
空リード部に摺動自在に挿入する。そして構成部品の位
置決め及び接合後は、前記座を含む固定導体と前記支持
棒の他端との接触面を密封固着する。このとき、支持棒
の固定導体との接触面に予めメタライズ処理を施すか、
あるいは活性ロー材を用いて密封固着する。
【0014】
【作用】支持棒が固定導体の孔部を貫通して可動導体の
穴部に挿入されると、両導体がこの支持棒に支持されて
仮固定される。孔部と穴部は、夫々、固定導体の電極中
心軸線を中心とするので、仮固定時には固定電極と可動
電極との中心軸線が一致し、両電極の電極面が非接触状
態となる。
【0015】また、支持棒を孔部及び穴部に形成された
座を介して挿入すると、支持棒表面が固定導体及び可動
導体と接触する面積が大きくなり、支持強度が増す。
【0016】なお、支持棒をそのまま真空コンデンサの
構成部品として用いる場合は、該支持棒を固定導体に密
封固着することで、直ちに真空容器が形成される。ま
た、可動導体の支持強度が増す。メタライズ処理はこの
密封固着の便宜のために行うものであり、メタライズ処
理を施さないときは活性ロー材を用いることで接合が容
易になる。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。なお、本実施例を説明するに当たり、従来の真空
コンデンサの構成部品のうち、同一のものについては、
図4に示した符号をそのまま用いて説明する。
【0018】(第一実施例)図1は本発明の第一実施例
の説明図である。本実施例では、図1に示すように、ま
ず、固定導体13の略中央部に孔部1を形成するととも
に、可動導体18の略中央部に穴部2を形成し、位置決
めの際には、これら孔部1と穴部2に支持棒3を挿入す
る。
【0019】孔部1は固定電極15の中心軸線を中心と
して形成される。また、穴部2は可動電極16の中心軸
線を中心とし、且つ、孔部1とほぼ等しい内径(孔部内
径≧穴部内径)となるように形成される。
【0020】したがって、支持棒3が孔部1を貫通して
穴部2に挿入されると、固定導体13と可動導体18と
がこの支持棒3に支持されて仮固定される。しかも、そ
の際、固定電極15と可動電極16との中心軸線が一致
するので、両電極15,16の電極面が非接触状態のま
ま仮固定される。
【0021】このように固定導体13と可動導体18と
を支持棒3で仮固定すると、治具を用いずとも、そのま
まの状態で各構成部品のロー付けが行える。そのため、
ロー付け作業が容易となり、しかも支持棒3により作業
時の位置ずれが防止されるので、歩留り良く真空コンデ
ンサを組み立てることができる。ロー付け後は、支持棒
3を引き抜いて固定導体13の孔部1を閉塞する。
【0022】(第二実施例)図2は本発明の第二実施例
の説明図であり、上記第一実施例に係る真空コンデンサ
の製造方法において、孔部1及び穴部2の周縁に夫々突
起部を有する座1a,2aを形成し、支持棒3をこれら
座1a,2aを介して孔部1及び穴部2に挿入するよう
にしたものである。
【0023】このように孔部1及び穴部2に座1a,2
aを形成すると、支持棒3が挿入されたときに、支持棒
3表面が固定導体13及び可動導体18と接触する面積
が、座1a,2aを形成しない場合に比べて大きくな
り、支持強度が増す。
【0024】したがって、位置決めの精度がより向上
し、しかも、ロー付けの際の位置ずれをより効果的に防
止することができる。
【0025】(第三実施例)図3は本発明の第三実施例
の説明図である。この実施例では、上記第一及び第二実
施例と異なり、支持棒3をそのまま真空コンデンサの構
成部品として使用するものである。
【0026】このときは、固定導体13と可動導体18
との絶縁を図るため、支持棒3をセラミック等の有頭絶
縁性部材で構成するとともに、可動導体18の背面のリ
ード部18aを前記穴部2と同一内径の中空リード部1
8bとなす。そして、自由端となる支持棒3の一端を該
中空リード部18bに摺動自在に挿入した状態で第一及
び第二実施例同様、各部品の位置決めとロー付けとを行
う。その後、固定導体13と支持棒3の他端との接触面
を真空ロー付けにより密封固着する。
【0027】支持棒3は絶縁性部材であるから、その固
定導体13との接触面に予めメタライズ処理を施し、ロ
ー付けの便宜を図る。メタライズ処理を施さないとき
は、Cu,Ag,Tiを含む合金からなる活性ロー材を用
いる。これにより両部材のロー付けが容易となる。
【0028】このように支持棒3をそのまま真空コンデ
ンサの構成部品として用いることで、支持棒3の引き抜
き及び固定導体13の閉塞作業が省略され、製造工程の
簡略化が図られるばかりでなく、この支持棒3によって
可動導体18の支持強度が高まるので、ロー付け時の位
置ずれがより有効に防止される。
【0029】なお、図3の例では、可動導体18の背面
に中空リード部18bを形成しているが、この中空部の
長さは可変導体18の可動範囲、即ち静電容量の可変範
囲以上であれば良く、図示の形状に拘束されない。ま
た、支持棒3は必ずしも有頭状のものでなくとも良い。
更に、図示のように座1a,2aを形成することは好ま
しいが、不可欠のものではない。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、固定
導体と可動導体の略中央部に、夫々電極中心軸線を中心
とする孔部と穴部を形成し、これら孔部と穴部に支持棒
を挿入して両導体を仮固定するようにしたので、真空コ
ンデンサの構成部品の位置決めが容易となり、且つ、そ
の精度も従来に比べて格段に向上する。
【0031】したがって、部分的に電極間の間隙が狭く
なることから生じる耐電圧値の低下を防止することがで
きる。しかも、位置決め用治具を必要とせず、部品の寸
法精度をさほど厳格にする必要もないので、真空コンデ
ンサの量産が可能となり、その製造コストが大幅に低下
する。
【0032】また、仮固定した状態で構成部品の接合が
行えるので、接合作業が容易になるとともに、接合の際
の位置ずれを防止することができる。
【0033】本発明では、また、孔部及び穴部の周縁に
夫々突起部を有する座を形成し、支持棒をこれら座を介
して挿入するようにしたので、両導体の支持強度が増
し、位置決め精度、作業時の位置ずれをより効果的に防
止することできる。
【0034】なお、支持棒をそのまま可動導体の補強部
材とする場合は、組み立て作業の簡略化が図られるとと
もに、完成後は可動導体の昇降動作が該支持棒によって
ガイドされるので、静電容量の調整作業が容易になる。
したがって、その機械化、自動化も可能になる。
【0035】このように、本発明によれば、従来の問題
点を解消した実用的な真空コンデンサの製造方法を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係る真空コンデンサの製
造方法の説明図である。
【図2】本発明の第二実施例に係る真空コンデンサの製
造方法の説明図である。
【図3】本発明の第三実施例に係る真空コンデンサの製
造方法の説明図である。
【図4】本発明が適用される可変形真空コンデンサの断
面構造図である。
【図5】従来の真空コンデンサの製造方法による位置決
め状態説明図である。
【符号の説明】
1…孔部 2…穴部 3…支持棒 1a,2a…座 10…真空容器 13…固定導体 15…固定電極 16…可動電極 18…可動導体 18b…中空リード部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 伸尚 東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式 会社明電舎内 (56)参考文献 特公 昭48−31658(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 5/00 - 5/40

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内の一面部を導電部材で形成し
    て固定導体となし、この固定導体に夫々内径の異なる複
    数の略円筒状固定電極を同心円状に形成するとともに、
    昇降自在に設けられた可動導体に複数の略円筒状可動電
    極を夫々前記固定電極の電極間隙を指向して同心円状に
    形成し、更に、各固定電極と可動電極との位置決めを行
    いながら構成部品の接合を行う真空コンデンサの製造方
    法において、 前記固定導体に電極中心軸線を中心とする孔部、前記可
    動導体に電極中心軸線を中心とし且つ前記孔部の内径と
    ほぼ等しい内径の穴部を夫々形成し、これら孔部と穴部
    とに支持棒を挿入して各電極の電極面を非接触状態で仮
    固定しながら構成部品の接合を行うことを特徴とする真
    空コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記孔部及び前記穴部の周縁に夫々突起
    部を有する座を形成し、前記支持棒をこれら座を介して
    孔部及び穴部に挿入することを特徴とする請求項1記載
    の真空コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記支持棒を絶縁性部材で構成するとと
    もに、前記可動導体の背面に前記穴部に代えて同一内径
    の中空リード部を形成し、自由端となる前記支持棒の一
    端を該中空リード部に摺動自在に挿入して前記位置決め
    及び構成部品の接合を行った後、前記固定導体と前記支
    持棒の他端との接触面を密封固着することを特徴とする
    請求項1又は2記載の真空コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記支持棒の前記固定導体との接触面を
    予めメタライズ処理し、該メタライズ部位を密封固着す
    るようにしたことを特徴とする請求項3記載の真空コン
    デンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記メタライズ処理に代え、活性ロー材
    を用いて密封固着するようにしたことを特徴とする請求
    項4記載の真空コンデンサの製造方法。
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US6307729B1 (en) 1998-08-07 2001-10-23 Kabushiki Kaisha Meidensha Vacuum capacitor
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