JP3245485B2 - 食品製造用の水の事前処理方法 - Google Patents

食品製造用の水の事前処理方法

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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 活性炭によって食品製造用の水
を事前処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、中の不要成分、例えば臭いや
色等を除去するために活性炭が使用されている。しか
し、活性炭を長時間使用していると、中の不要成分を除
去する機能が低下してくることになり、その時点で新し
い活性炭と取り替える必要がある。しかし、活性炭を新
しいものに変えた場合、当初は水中の不要成分ばかりで
なく必要なイオン、殊に陰イオンが活性炭に吸着されて
結果的に水のpHが上がってしまう、という問題があっ
た。
【0003】こうした問題を解決するために、例えば活
性炭が必要なイオン、殊に陰イオンを吸着しなくなるま
で、水と活性炭を接触させて水のpHが安定するまで当
該飲用水を廃棄する必要があった。しかし、この方法で
は活性炭の約200数10倍〜数100倍もの水を必要
とし、結果的に生産能力を著しく低下させることにな
る。
【0004】本発明者等は、新しい活性炭が当初は水中
の不要成分ばかりでなく必要なイオンをも吸着してしま
うという点、時間的経緯に伴って活性炭が必要なイオン
を吸着しなくなるという点、新しい活性炭で処理した当
初の水のpHが高くなっているという点に着目し、飲用
水中の陰イオンが活性炭に吸着され、活性炭から水酸イ
オンが水中に移行するために、新しい活性炭で処理した
当初の水のpHが高くなる、という仮説を立て種々研究
を行った結果、硝酸イオンを予め活性炭に吸着させてお
くことによって、上記問題をことごとく解決することが
できるという知見を得た。
【0005】こうした知見を基に完成された本発明の要
旨は、活性炭に、予め硝酸イオンまたは硫酸イオンを吸
着させておくことを特徴とする活性炭にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 本発明、水中の不要
成分は吸着するが、活性炭処理前の水中の必要なイオン
は吸着せずにほぼそのまま含んだ状態で活性炭処理する
ことができる食品製造用の水の事前処理方法の提供を目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明でいう水とは、水
道水、コーヒー・紅茶・お茶を製造するための製造水、
ミネラルウォーター等に代表される飲むことを目的とし
たものに限らず、各種食品を製造する場合に使用される
水を含むものであり、殊にミネラルウォーターやpHの
変化により最終製品に影響がでることを嫌うような保健
食等に使用される水に有効である。
【0008】活性炭への吸着力が比較的弱いイオン、例
えば塩素イオン等が吸着されている活性炭に、当該イオ
ンよりも活性炭への吸着力の強いイオンを接触させる
と、上記した比較的弱いイオンが活性炭から追い出され
吸着力の強いイオンが活性炭に吸着されることになる。
その後、吸着されたイオンと同程度の吸着力のイオン乃
至はそれよりも吸着力の弱いイオンが上記した活性炭と
接触しても当該活性炭に吸着されることはない。
【009】こうした現象から、吸着力の強いイオンを予
め活性炭へ吸着させておくことが本発明では重要であ
る。活性炭への吸着力の強いイオンとしては、硝酸イオ
ン、硫酸イオン等に代表される。これらイオンの内でも
硝酸イオンが吸着力において優れている。
【0010】活性炭への吸着力の強いイオンを当該活性
炭へ吸着させる量としては、活性炭のイオン吸着力を飽
和状態にするに充分な量であり、具体的には活性炭1g
に対して1.6mg程度で充分である。
【0011】この量が少ないと、活性炭にイオンを吸着
する余力が残っていることになり、その結果、活性炭処
理する水中のイオンが当該活性炭に吸着されることにな
る。反対に、その量が多くなり過ぎると活性炭のイオン
吸着能力以上のイオンが無駄になってしまい、経済的な
意味から好ましくないばかりでなく、余分な量のイオン
が水中に残存することになる。
【0012】次に、吸着力の強いイオンを予め活性炭に
吸着するための方法としては、概ね以下の二つの方法が
ある。
【0013】一つの方法は、予めイオンを溶解させた水
に活性炭を浸漬する方法である。この方法では、連続的
に実施することはできないが、振盪や撹拌を行うことに
よって効率よくイオンを活性炭に吸着させることができ
る。
【0014】もう一つの方法は、活性炭に予めイオンを
溶解させた水を循環させる方法である。この方法では、
連続的な実施が可能となり、大量処理ができるが、処理
時間が長くなってくる。
【0015】本発明においては、これら二つの方法に限
定されるものではなく、活性炭に吸着力の強いイオンが
予め吸着されていることが重要なのであり、この条件を
満足することができるのであれば、いかなる方法を採用
してもよい。
【0016】なお、予めイオンを水に溶解する方法とし
ては、硝酸や硫酸のように酸の形で添加する方法、また
は硝酸塩や硫酸塩のように塩の形で添加する方法がある
が、塩の形で添加するとカルシウムやナトリウム等が水
中に残存することになるので、酸の形で添加する方が好
ましい。
【0017】
【実施例1】未使用の活性炭WH2C(武田薬品工業
(株)製)を蒸留水と混合し撹拌して上澄液を捨てる方
法で微粉の除去を行って新しい活性炭を得た。。次に、
当該新しい活性炭を、硝酸を添加した水と接触・振盪し
て硝酸イオンを飽和吸着させた。このようにして得られ
た本発明の活性炭に通水し、通水15分後、30分後の
イオン変化を確認した。比較として、硝酸イオンを吸着
させていない新しい活性炭に通水し、上記と同様にして
イオン変化を確認した。その結果を表1に示す。なお、
陰イオンの測定はクロマトグラフィ(島津製作所(株)
製)を使用し、陽イオン測定は水質分析計DR/200
0型(HACH社製)を使用した。
【0018】
【表1】
【0019】表1から明らかなように、本発明の活性炭
を通水させた水中の各種イオン濃度は、通水前の水中の
各種イオン濃度とほとんど変化していない。このことか
ら、水を本発明の活性炭で処理しても各種イオンは吸着
されないということが立証される。このことは、使用水
のpHもほとんど変化していないということからも明ら
かである。一方、硝酸イオンを吸着させていない新しい
活性炭を通水させた水中の硝酸イオン濃度は、通水前の
水中の硝酸イオン濃度よりも大幅に減っている。このこ
とから、水を硝酸イオンを吸着させていない新しい活性
炭で処理した場合、硝酸イオンが当該活性炭に吸着され
ているということを立証している。このことは、使用水
のpHが活性炭処理をしていない水のpHよりも高く変
化しているということからも明らかである。
【0020】
【実施例2】1.32mg/リットルおよび2.65m
g/リットルのメチレンブルー溶液100mlを実施例
1の本発明の活性炭(湿重量5g)と接触させた後、吸
光度665nmを測定し、検量線によりメチレンブルー
濃度mg/リットルを求めた。比較として、硝酸イオン
を吸着させていない新しい活性炭を使用した場合につい
ても同様にしてメチレンブルー濃度mg/リットルを求
めた。その結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】表2から明らかなように、本発明の活性炭
と硝酸イオンを吸着させていない新しい活性炭との色素
吸着能力には、ほとんど差がない。このことから本発明
の活性炭が充分に不要成分の吸着能力を有するものであ
ることが立証された。
【0023】
【発明の効果】本発明の活性炭は、水中の不要成分は吸
着するが、活性炭処理前の水中の必要なイオンは吸着す
ることがない。従って、本発明の活性炭を使用するば、
活性炭処理前の水中の必要なイオンをほぼそのまま含ん
だ状態で活性炭処理することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−278392(JP,A) 特開 平2−131183(JP,A) 特開 平4−200743(JP,A) 特開 平6−23265(JP,A) 特開 昭59−1771(JP,A) 特開 平4−50110(JP,A) 特開 昭57−71636(JP,A) 特開 昭50−49189(JP,A) 特開 平5−309385(JP,A) 特開 昭49−65391(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/28 B01J 20/20 C01B 31/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食品製造用の水を、硝酸イオンを吸着さ
    せた活性炭(但し、銀及び/又は無機の銀化合物を付着
    させることはない)と直接接触させることによって事前
    処理することを特徴とする食品製造用の水の事前処理方
    法。
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