JP3245407B2 - 冷凍馬鈴薯、冷凍馬鈴薯の製造方法及び冷凍馬鈴薯を含む食品 - Google Patents
冷凍馬鈴薯、冷凍馬鈴薯の製造方法及び冷凍馬鈴薯を含む食品Info
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Description
馬鈴薯を含む食品及び冷凍馬鈴薯の製造方法に関するも
のである。
た後凍結した冷凍馬鈴薯は、冷凍保存して適時使用でき
るので、加工食品の原料として有用である。しかしなが
ら、ブランチング乃至凍結した冷凍馬鈴薯を解凍して食
すると、歯応え(食感)とイモ本来の風味に劣るものと
なりやすい。このような問題は、解凍した馬鈴薯をレト
ルト食品の具材として使用する場合には、歯応えと風味
がさらに劣り、馬鈴薯の組織が溶けてしまうために深刻
な問題であった。尚、特公平5−8660号公報記載の
発明は、スライスした馬鈴薯に過酷な条件のブランチン
グと緩慢凍結を行うものであるが、上記問題を解消する
ものではない。
グ乃至凍結後に食感(歯応え)及び風味が優れ、各種食
品、特にはレトルト食品用の冷凍原料としての用途に適
する冷凍馬鈴薯を提供することを目的とする。また、本
発明は、前記冷凍馬鈴薯の製造方法を提供することを目
的とする。また、本発明は、前記冷凍馬鈴薯を具材とし
て含む食品を提供することを目的とする。
の中から、さやか品種馬鈴薯を選択し、これを、褐変起
因酵素を失活させるが澱粉が完全糊化しない条件でブラ
ンチングした後凍結することにより、上記の問題が解消
されるとの知見に基づくものである。即ち、本発明は、
カットしたさやか品種馬鈴薯を、褐変起因酵素を失活さ
せるが澱粉が実質的に完全糊化しない条件でブランチン
グした後、凍結してなる冷凍馬鈴薯を提供するものであ
る。また、本発明は、ダイスカットしたさやか品種馬鈴
薯を、中心温度が70〜95℃に達温するようにブラン
チングした後、急速凍結してなる冷凍馬鈴薯を提供する
ものである。また、本発明は、カットしたさやか品種馬
鈴薯を、褐変起因酵素を失活させるが澱粉が実質的に糊
化しない条件でブランチングした後、凍結することを特
徴とする冷凍馬鈴薯の製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、前記冷凍馬鈴薯を具材として含む食
品、特にはレトルト食品を提供するものである。
種馬鈴薯とは、品種名「さやか」、登録番号「農林36
号」、系統名(地方番号)「北海74号」の馬鈴薯のこ
とをいい、その主な特徴としては、熟期が「農林1号」
より3日〜18日早い中生であること、L規格以上(1
20g以上)いもの割合が高く、L規格以上いも収量は
「男しゃくいも」の2.7倍であること、白皮・白肉で
目が浅く、曝光による緑化・グリコアルカロイドの生成
量が少ないこと、及び内部異常・剥皮褐変・調理後黒変
も少ないことが挙げられる。
を、常法により洗浄、剥皮する。その後、剥皮した馬鈴
薯を、所望の大きさ及び形状にカットする。例えば、カ
ット後の馬鈴薯が15mm角程度の大きさとなるように
ダイスカットするのが好ましい。カットした馬鈴薯を、
その後、特定の条件下で、即ち、褐変起因酵素(フェノ
ールオキシダーゼ)を失活させるが澱粉が実質的に完全
糊化しない条件でブランチングする。ここで、澱粉が実
質的に完全糊化しない条件とは、カットした馬鈴薯の少
なくとも表面部分以外の内側部分における澱粉が完全糊
化しない条件を意味する。また、カットした馬鈴薯は、
中心温度が70〜95℃、好ましくは75〜85℃に達
するようにブランチングするのがよく、ブランチング時
間は、例えば、2〜7分間とするのがよい。また、ブラ
ンチングは、温水、スチーム又は電子レンジのいずれに
よるものであってもよいが、温水によるのが好ましい。
温水によりブランチングをする場合、使用する温水の量
は、質量比で馬鈴薯1に対して温水5〜50とするのが
よい。また、使用する温水の温度は、カット馬鈴薯の中
心温度が上記範囲内のものとなるようなものであればよ
いが、例えば、75〜95℃とするのがよい。尚、本発
明においては、ブランチングの際に、回転式の螺旋状搬
送羽根を備えた連続式ブランチャーを用いることがで
き、例えば、羽根を回転させながらブランチングしても
よい。その後、ブランチングした馬鈴薯を凍結するが、
凍結の前に、予冷しておくのが好ましい。予冷は、例え
ば、ブランチングした馬鈴薯に冷風を吹きかけることに
より行うことができ、馬鈴薯の表面温度が0〜5℃とな
るように行うのがよい。また、凍結処理は、−20〜−
60℃の冷風を10〜30分間吹きかけることにより行
うのが好ましい。
た冷凍馬鈴薯を解凍したものを具材として含む各種食
品、特にはレトルト食品にも関する。各種食品として
は、例えば、カレー、シチュー、肉じゃが及びグラタン
等が挙げられるがこれらに限定される訳ではなく、ま
た、レトルト食品としては、これら各種食品をレトルト
処理したレトルト食品が含まれる。尚、各種食品として
は、上述のようにして製造した冷凍馬鈴薯を解凍したも
の単独も含まれ、また、冷凍馬鈴薯を未解凍でそのまま
使用した食品も含まれる。以下、例として、本発明の冷
凍馬鈴薯を解凍したものを具材として含むレトルトカレ
ーの製造方法を記載する。
薯を解凍するが、この際、20〜45℃で2〜10分間
かけて行うのがよい。このような解凍は、例えば、冷凍
馬鈴薯を温水に浸すことにより行うことができる。この
ようにして得た解凍馬鈴薯を、各種食品の原料として使
用することができる。例えば、解凍馬鈴薯は、油脂、小
麦粉及びカレー香辛料等を用いて常法により製造したカ
レーソースに添加してもよい。カレーソースの製法の例
を挙げれば、油脂及び小麦粉を焙煎して小麦粉ルウを製
造し、これとは別に油脂、オニオン及びカレーパウダー
を焙煎する。これらの原料と、果実野菜ペースト、砂
糖、食塩、調味料及び水を攪拌しながら焙煎してカレー
ソースを得る。前記解凍馬鈴薯は、製造されたカレーソ
ースに直接加えるのが好ましいが、カレーソースの製造
段階において添加してもよく、その添加段階は特に限定
されない。このようにして得られた、冷凍馬鈴薯を含む
カレーを、常法によりレトルト処理してレトルトカレー
を製造することができる。例えば、得られたカレーをレ
トルト容器に充填して、120〜125℃で、10〜3
0分間レトルト処理を施すことによりレトルトカレーを
製造することができる。以下、実施例により本発明を詳
細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって制限さ
れるものではない。
後に食感(歯応え)及び風味が優れた、各種食品原料用
の冷凍馬鈴薯が提供される。特に、この冷凍馬鈴薯は、
解凍後にレトルト食品原料として使用した場合にも、馬
鈴薯の歯応え及び風味が優れたものであり、レトルト食
品全体の品質の向上を図ることができる。
スカットした。このダイスカット馬鈴薯を、密閉チャン
バー内部に回転式の螺旋状搬送羽根を備えた連続式ブラ
ンチャーに入れ、85℃で5分間(羽根回転速度5rp
m)し、馬鈴薯の中心温度が82℃となるようにブラン
チングした。この際に用いた温水は、質量比で馬鈴薯1
に対して温水10とした。その後、ブランチャーから取
り出した馬鈴薯を、バラ状に延ばしてメッシュコンベア
上に載せて搬送し、搬送中に冷風を吹きかけて馬鈴薯の
表面温度を約2℃にまで予冷した。予冷後、更に、−4
0℃の冷風を約15分間吹きかけて凍結し、冷凍馬鈴薯
を製造した。
槽中において40℃の温水に約3分間漬けて引き上げ、
続いて水槽中において水道水に約5〜10分間漬けた後
引き上げ、水切りして解凍を行った。解凍後の馬鈴薯5
0gを、常法により得たカレーソース160gとともに
レトルトパウチに充填密封した。この充填密封レトルト
カレーを122℃、23分間レトルト処理した。
凍馬鈴薯を製造した。
様にしてレトルトカレーを製造した。
レトルトカレー中の馬鈴薯の品質評価を以下に記載す
る。 (1)ブランチング−凍結−解凍後の馬鈴薯の歯応え・
風味 上記実施例1により得られた冷凍馬鈴薯の解凍後の歯応
え・風味を、上記比較例1により得られた冷凍馬鈴薯の
解凍後の歯応え・風味と比較した。尚、解凍はいずれの
場合も40℃で3分間かけて行った。実施例1による馬
鈴薯は、シャリシャリして硬さがあり、風味も馬鈴薯本
来のものと遜色なく良好なものであったが、比較例1に
よる馬鈴薯は、実施例1の場合と比較すると、柔らかく
歯応えがなく、また馬鈴薯本来の風味が薄れていた。
ト処理後の馬鈴薯の歯応え・風味 実施例2で得られたレトルトカレー中の馬鈴薯の歯応え
・風味は、実施例1による冷凍馬鈴薯の解凍直後の硬さ
には劣るものの十分な硬さであり、また、馬鈴薯本来の
風味であった。これに対し、比較例2によるレトルトカ
レー中の馬鈴薯の歯応え・風味は、実施例2の場合と比
較するとかなり柔らかいものであり、また、馬鈴薯本来
の風味に欠けたものであった。
ト処理後の馬鈴薯の崩れ 実施例2及び比較例2で得られたレトルトカレーから取
り出した馬鈴薯20gをそれぞれ、蒸留水100mlと
共に500ml瓶に入れ、180rpmで30秒間往復
振とう処理した。馬鈴薯を取り除き、蒸留水をサンプリ
ングした。その後、かかる蒸留水に超音波を施して、蒸
留水中に含まれる崩れた馬鈴薯を均一分散した。このよ
うにして得た蒸留水について、660nmの吸光度を7
回測定し、平均値を求めたところ、以下の値となった。 実施例2−0.0742 比較例2−0.2518 以上から、本発明による馬鈴薯は、レトルト食品の具材
として使用した場合にも歯応え・風味の優れたものであ
り、かつ、崩れの少ないものであることが分かる。
Claims (8)
- 【請求項1】 カットしたさやか品種馬鈴薯を、褐変起
因酵素を失活させるが澱粉が実質的に完全糊化しない条
件でブランチングした後、凍結してなる冷凍馬鈴薯。 - 【請求項2】 ダイスカットしたさやか品種馬鈴薯を、
中心温度が70〜95℃に達温するようにブランチング
した後、急速凍結してなる冷凍馬鈴薯。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の冷凍馬鈴薯を具材
として含む食品。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載の冷凍馬鈴薯を具材
として含むレトルト食品。 - 【請求項5】 食品がカレー、シチュー、肉じゃが及び
グラタンからなる群から選ばれた1つである請求項3又
は4記載の食品。 - 【請求項6】 カットしたさやか品種馬鈴薯を、褐変起
因酵素を失活させるが澱粉が実質的に完全糊化しない条
件でブランチングした後、凍結することを特徴とする冷
凍馬鈴薯の製造方法。 - 【請求項7】 さやか品種馬鈴薯を、ブランチングした
後、凍結するまでの間に予冷する請求項7記載の製造方
法。 - 【請求項8】 さやか品種馬鈴薯を、ブランチングした
後、凍結するまでの間に馬鈴薯の表面温度が0〜5℃と
なるように予冷する請求項8記載の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP29637899A JP3245407B2 (ja) | 1999-10-19 | 1999-10-19 | 冷凍馬鈴薯、冷凍馬鈴薯の製造方法及び冷凍馬鈴薯を含む食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP29637899A JP3245407B2 (ja) | 1999-10-19 | 1999-10-19 | 冷凍馬鈴薯、冷凍馬鈴薯の製造方法及び冷凍馬鈴薯を含む食品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001112410A JP2001112410A (ja) | 2001-04-24 |
JP3245407B2 true JP3245407B2 (ja) | 2002-01-15 |
Family
ID=17832784
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29637899A Expired - Lifetime JP3245407B2 (ja) | 1999-10-19 | 1999-10-19 | 冷凍馬鈴薯、冷凍馬鈴薯の製造方法及び冷凍馬鈴薯を含む食品 |
Country Status (1)
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JP5074471B2 (ja) * | 2009-09-30 | 2012-11-14 | ハウス食品株式会社 | 豆腐を含有するレトルトソースの製造方法 |
JP5476143B2 (ja) * | 2010-01-27 | 2014-04-23 | ハウス食品グループ本社株式会社 | 電子レンジ加熱に適した凍結野菜および加工食品 |
JP6092512B2 (ja) * | 2011-12-27 | 2017-03-08 | 味の素株式会社 | 冷凍枝豆及びその製造方法 |
WO2019235515A1 (ja) * | 2018-06-05 | 2019-12-12 | テーブルマーク株式会社 | 野菜又は果物の冷凍方法 |
-
1999
- 1999-10-19 JP JP29637899A patent/JP3245407B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
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北海道立工業試験場報告,No.284,p.85−92,(1985) |
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JP2001112410A (ja) | 2001-04-24 |
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