JP3244282B2 - 歯科用インプラント - Google Patents

歯科用インプラント

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JP3244282B2 JP11317591A JP11317591A JP3244282B2 JP 3244282 B2 JP3244282 B2 JP 3244282B2 JP 11317591 A JP11317591 A JP 11317591A JP 11317591 A JP11317591 A JP 11317591A JP 3244282 B2 JP3244282 B2 JP 3244282B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科用インプラントに
関する。
【0002】
【従来の技術】歯の病気または事故により天然歯に損傷
をきたした場合の対応処置として、損傷をきたした歯を
抜歯し、その部分に元の天然歯と同等の機能をもつイン
プラントを嵌植することが行われている。
【0003】歯科用インプラントの例としては、図6に
示す如く、歯肉組織61の下にある皮質骨部62および
海綿骨部63からなる顎骨部64に埋入される顎骨部埋
入部65と、顎骨部埋入部65の上端部に嵌合される歯
肉組織貫通部材66と、歯肉組織貫通部材66を貫通し
て顎骨部埋入部65の海綿骨部63に埋入された部分に
まで達するように形成されたポストコア固定用穴に螺合
されたポストコア67とからなるものが知られてる。ポ
ストコア67の頭部には、歯冠68が取り付けられてい
る。
【0004】また、特開昭第62−38148号公報に
は、歯肉組織貫通部材および顎骨部埋入部とポストコア
との間に緩衝部材を配置することにより、歯冠に加わっ
た口咬圧等による衝撃力を緩衝部材で吸収緩和する歯科
用インプラントが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、顎骨6
4の皮質骨62は機械的強度に優れているが、骨再生の
速度が遅い。これに対して、海綿骨63は骨再生能力に
優れ、適度な応力刺激によりリモデリングが起こり、密
な骨梁を形成して応力を支えるのに十分な骨構造となる
ことが知られている。このため、上記第1の従来例の歯
科用インプラントのように、皮質骨部62および海綿骨
部63に埋入される顎骨部埋入部65が同一材料で一体
に構成されている場合、歯冠68に加わった咬合力によ
る顎骨64への応力伝播は、弾性率が比較的大きい皮質
骨部62に集中し、弾性率が比較的小さい海綿骨部63
には分散され難いことが有限要素法により確認されてい
る("Stress Analysis in Relation to Degree of Incl
ination forImplants" Journal of Dental Resarch Vo
l.69 )。また、上記第2の従来例の緩衝部材を有する
歯科用インプラントにおいても、海綿骨部63への応力
の分散が十分に行われないことが有限要素法により確認
されている。
【0006】このように従来の歯科用インプラントで
は、海綿骨部63にリモデリングが起こるに十分な応力
を分散させることができず、歯科用インプラントの周囲
に密な骨梁を形成することができなかった。この結果、
歯科用インプラントに加わった咬合力による応力は、ほ
とんど皮質骨部62で支えようとするため、皮質骨部6
2に破折・亀裂が生じる。皮質骨部62は骨再生が遅い
ため、引き続き負荷される咬合力により、骨再生よりも
骨吸収のほうが勝ることになる。このため、骨吸収が進
むことにより、歯科用インプラントと顎骨との十分な接
合が得られなくなり、歯科用インプラントの脱落や沈下
等の問題が生じる。
【0007】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、海綿骨部の骨のリモデリングによる密な骨梁再
生を促進することにより、インプラントの維持力を向上
しかつ皮質骨部の破損および亀裂を略完全に防止するこ
とができる歯科用インプラントを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、顎骨の海綿骨
部に埋入される海綿骨埋入部と、前記海綿骨埋入部の一
端部に外部からの応力に応じて弾性変形し得る接続部を
介して接続された前記顎骨の皮質骨部に埋入される皮質
骨埋入部と、前記皮質骨埋入部の前記接続部と反対側の
端部に連設された歯肉組織貫通部と、少なくとも前記皮
質骨埋入部および前記歯肉組織貫通部を貫通して形成さ
れた挿入孔に挿入されたポストコアとを具備することを
特徴とする歯科用インプラントである。
【0009】本発明の歯科用インプラントにおける接続
部は、その肉厚を海綿骨埋入部および皮質骨埋入部の肉
厚よりも薄くしたものでも良し、海綿骨埋入部および皮
質骨埋入部よりも弾性率が低い材料で構成されているも
のでも良い。また、本発明の歯科用インプラントでは、
ポストコアと、皮質骨埋入部および歯肉組織貫通部との
間に緩衝部材を介することもできる。
【0010】
【作用】本発明の歯科用インプラントによれば、海綿骨
埋入部と皮質骨埋入部を接続する接続部が外部からの応
力に応じて弾性変形し得る。これにより、外部からポス
トコアの頭部に取り付けられた歯冠に歯科用インプラン
トの長軸方向の応力が負荷された場合、皮質骨埋入部は
顎骨の皮質骨部に支持されるので動かないが、ポストコ
アを介して海綿骨埋入部に応力が伝達されて接続部が長
軸方向に伸長する。また、歯冠に歯科用インプラントの
長軸方向に対して垂直方向の成分を含む応力が負荷され
た場合、皮質骨埋入部を支点に接続部が湾曲して海綿骨
埋入部が応力とは反対方向に揺動する。そして、歯冠が
応力から解放されると、接続部の弾性により海綿骨埋入
部が定常位置まで戻る。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して詳細に説明する。
【0012】図1は、本発明の歯科用インプラントの一
実施例を示す説明図である。図中10は、円柱状でかつ
先端部が半円球状の海綿骨埋入部11と、海綿骨埋入部
11より小さい外径を有する接続部13を介して接続さ
れた海綿骨埋入部11と略同じ外径を有する皮質骨埋入
部12からなるインプラント本体である。インプラント
本体10の材質としては、例えば、チタン、チタン合
金、ジルコニアを列挙することができる。また、インプ
ラント本体10の表面上には、骨組織との親和性を改善
するために、β−リン酸三カルシウム、水酸アパタイ
ト、リン酸カルシウム等の生体親和性に優れた材料を被
覆することができる。
【0013】また、接続部13の肉厚は外部からの応力
により弾性変形し得るように海綿骨埋入部11および皮
質骨埋入部12の肉厚よりも薄く設定する。例えば、チ
タン製の海綿骨埋入部11の外径が4mmである場合には
接続部13の肉厚は0.2〜0.5mmに設定する。
【0014】インプラント本体10の略中央には、皮質
骨埋入部12および接続部13を貫通して海綿骨埋入部
11まで到達するネジ孔15が形成されている。ネジ孔
15の皮質骨埋入部12および接続部13に至る部分
は、後述する緩衝部材16が挿設される第1の拡径部1
5aが形成され、さらに、ネジ孔15の皮質骨埋入部1
2の端面付近は、後述する歯肉組織貫通部材14が嵌合
される第2の拡径部15bが所定の深さで形成されてい
る。
【0015】第2の拡径部15bには、略中央に貫通孔
を有しかつ一端部に第2の拡径部15bの内径と略同じ
外径を有する嵌合部14aを有する歯肉組織貫通部材1
4が嵌合されている。肉組織貫通部材14の材質は、例
えば、チタン、チタン合金、ジルコニアを使用すること
ができる。
【0016】さらに、略円筒形で一端部に歯肉組織貫通
部材14と略同じ外径を有するツバ部16aを有する緩
衝部材16が、歯肉組織貫通部材14の貫通孔およびネ
ジ孔15の第1の拡径部15aに挿設されている。緩衝
部材16の材質としては、ナイロン46、ナイロン6
6、シリコーンゴム、ポリオキシメチレン等の生体為害
性の少ない高分子材料や、セラミックス系ファイバー等
を前記生体為害性の少ない高分子材料にフィラーとして
添加したものを使用することができる。
【0017】さらに、円錐台状のコア部17aと、コア
部17aの面積の大きい方の底面の略中央部から突出し
かつ他端部にネジ部が形成されているポスト部17bか
らなるポストコア部17が歯肉組織貫通部材14の貫通
孔を貫通してネジ孔15に螺合されている。ポストコア
部17の材質としては、例えば、チタン、チタン合金、
ジルコニア、金合金を列挙することができる。ポストコ
ア17は、コア部17aおよびポスト部17bが一体で
構成されたものでも、コア部17aにポスト部17bが
螺合されたものでも良い。このような構成からなる歯科
用インプラント20のコア部17aには、例えば、セラ
ミックス製の歯冠21が接着されている。
【0018】上記説明したような歯科用インプラント2
0は、次のようにして顎骨内に埋入される。まず、図4
に示す如く、破損した歯を抜歯した箇所の歯肉組織44
を切開し、顎骨44を露出させる。次に、顎骨44に、
皮質骨部42を貫通しさらに海綿骨部43に達するイン
プラント本体10に対応した寸法のインプラント埋入孔
を形成する。このインプラント埋入孔にインプラント本
体10を埋入する。次いで、ネジ孔15内部に組織が侵
入しないように、ネジ孔15にナイロン46製のフタ部
41を螺合した後、歯肉組織42の切開部を縫合してイ
ンプラント本体10を覆う。骨がインプラント本体10
の周囲に成長してきてインプラント本体10が顎骨44
内に固定された後、再び歯肉組織42を切開してフタ部
41を取り外す。次に、歯肉貫通部材14および緩衝部
材16を順次挿設した後、ポストコア17を螺合して各
部材を固定する。この後、コア部17aに歯冠21を接
着する。
【0019】以上説明した如く、歯科用インプラント2
0では、ポストコア17と歯肉組織貫通部材14、皮質
骨埋入部12或いは接続部13との間に緩衝部材16が
配置されている。これにより、歯冠21に咬合力のよう
な外力からの応力が作用した場合、この応力は直接歯肉
組織貫通部材14、皮質骨埋入部12及び接続部13に
はほとんど作用せずに、ポストコア17を介して海綿骨
埋入部11に伝達される。このため、ポストコア17の
長軸方向に沿った応力が歯冠21に負荷された場合、皮
質骨埋入部12は機械的強度が比較的大きい皮質骨部で
保持されるが、海綿骨埋入部11は、ポストコア17を
介して伝達された応力により接続部13が伸長して顎骨
の海綿骨部に応力を分散させる。また、図5に示す如
く、ポストコア17の長軸方向に対して垂直方向の成分
を含む応力(図中矢印51で示す)が負荷された場合、
皮質骨部52により保持された皮質骨埋入部12を支点
として、接続部13が湾曲して海綿骨埋入部11が負荷
された応力とは反対方向(図中矢印54で示す)に揺動
する。そして、応力から歯冠21が解放されると、接続
部13の弾性力によって海綿骨埋入部11は定常の位置
に戻る。このような海綿骨埋入部11の運動により、海
綿骨部53に応力が伝達される。
【0020】このように顎骨の海綿骨部53に歯冠21
に負荷された応力が分散されることにより、海綿骨53
において骨のリモデリングによる密な骨梁再生が促進さ
れる。この結果、顎骨による歯科用インプラント20の
維持力が向上し、皮質骨部52に破損および亀裂が発生
するのを略完全に防止することができる。
【0021】また、接続部12の周囲に形成されたイン
プラント本体10の凹部に、例えば、β−リン酸三カル
シウム多孔体からなるスペーサを設けることにより、イ
ンプラント本体11と顎骨の間を埋めることにより、皮
質骨部の吸収を抑制することができると共に、この凹部
に骨を誘導するのを促進することができる。
【0022】以上説明した本発明の歯科用インプラント
の第1の実施例では、インプラント本体10が一体に構
成されている例について説明したが、インプラント本体
が2乃至3の独立した部材により構成されていても良
い。例えば、図2に示す歯科用インプラント27のよう
に、インプラント本体24が、海綿骨埋入部材25と、
その略中央に形成されたネジ孔25aに螺合された第1
の実施例の接続部13に相当する縮径部26aを有する
皮質骨部埋入部材26の2つの部材からなるものでも良
い。
【0023】また、図3に示す歯科用インプラント34
のように、インプラント本体30が互いに独立した海綿
骨埋入部材31および皮質骨埋入部材32を、第1の実
施例の接続部13に相当する、略円筒状であって両端に
ネジ部33a,33bが形成された接続部材33によ
り、海綿骨埋入部材31および皮質骨埋入部材32に形
成されたネジ孔31a,32aに、ネジ部33a,33
bを螺合して接続したものでも良い。
【0024】なお、第3の実施例の歯科用インプラント
34では、接続部材33が独立しているので、接続部材
33を、海綿骨埋入部材31および皮質骨埋入部材32
を構成する材料よりも低い弾性率を有する材料で構成す
ることにより、第1の実施例の接続部13と同様の効果
を発揮できる。このような材質としては、例えば、純チ
タン、金合金、カーボングラファイトファイバーを列挙
できる。この場合、選択する材質によって接続部材33
の肉厚を必ずしも薄くする必要がないので、接続部材3
3の外径を海綿骨埋入部材31および皮質骨埋入部材3
2と略同じにすることができる。これにより、第1の実
施例で説明した如く、骨の誘導を促進するために接続部
13の凹部にスペーサを配置する必要がない。
【0025】
【発明の効果】以上説明した如くに、本発明の歯科用イ
ンプラントによれば、外部からの応力が海綿骨部に十分
に伝達されるため、海綿骨部の骨のリモデリングによる
密な骨梁再生が促進される。これにより、顎骨による歯
科用インプラトの維持力が著しく向上すると共に皮質骨
部に破損および亀裂が発生するのを略完全に防止するこ
とができる等顕著な効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯科用インプラントの一実施例を示す
説明図。
【図2】本発明の歯科用インプラントの他の実施例を示
す説明図。
【図3】本発明の歯科用インプラントの他の実施例を示
す説明図。
【図4】本発明の歯科用インプラントの埋入方法の一工
程を示す説明図。
【図5】本発明の歯科用インプラントの作用を説明する
ための説明図。
【図6】従来の歯科用インプラントを示す説明図。
【符号の説明】
10…インプラント本体、11…海綿骨埋入部、12…
皮質骨埋入部、13…接続部、14…歯肉組織貫通部
材、16…緩衝部材、17…ポストコア、20…歯科用
インプラント、21…歯冠。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松 繁樹 新潟県新潟市浜浦町1−8 日本歯科大 学内 (56)参考文献 特開 平4−49958(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61C 8/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顎骨の海綿骨部に挿入される円柱状の
    綿骨埋入部と、前記海綿骨埋入部の一端部に前記海綿骨
    埋入部の外径より小さい外径を有し外部からの応力に応
    じて弾性変形し得る接続部を介して接続された前記顎骨
    の皮質骨部に埋入される皮質骨埋入部と、前記皮質骨埋
    入部の前記接続部と反対側の端部に連接された歯肉組織
    貫通部と、少なくとも前記皮質骨埋入部および前記歯肉
    組織貫通部を貫通して形成された挿入孔に挿入されたポ
    ストコアとを具備することを特徴とする歯科用インプラ
    ント。
  2. 【請求項2】 顎骨の海綿骨部に挿入される海綿骨埋入
    部と、前記海綿骨埋入部の一端部に前記海綿骨埋入部お
    よび皮質骨埋入部よりも弾性率が低い材料で構成され
    部からの応力に応じて弾性変形し得る接続部を介して接
    続された前記顎骨の皮質骨部に埋入される皮質骨埋入部
    と、前記皮質骨埋入部の前記接続部と反対側の端部に連
    接された歯肉組織貫通部と、少なくとも前記皮質骨埋入
    部および前記歯肉組織貫通部を貫通して形成された挿入
    孔に挿入されたポストコアとを具備することを特徴とす
    る歯科用インプラント。
  3. 【請求項3】 ポストコアと、皮質骨埋入部および歯肉
    組織貫通部との間に緩衝部材を介したことを特徴とする
    請求項1または2のいずれか一項に記載の歯科用インプラ
    ント。
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JP2012090822A (ja) * 2010-10-27 2012-05-17 Nagoya Univ インプラント定着補助剤及びその製造方法

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