JP3243638B2 - 一体型眼内レンズおよびその製造方法 - Google Patents
一体型眼内レンズおよびその製造方法Info
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Description
およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明
は、特に眼内挿入時に光学部を折り曲げて小切開創から
挿入可能な一体型(ワンピース)の軟性眼内レンズ、お
よびこのものを効率よく製造する方法に関するものであ
る。
内障患者の増加が目立ってきている。白内障の治療は混
濁した水晶体核と皮質を除去し、眼鏡やコンタクトレン
ズによって視力を矯正するか、眼内レンズを挿入するか
のいずれかによって行われるが、現在は、水晶体全摘出
後に眼内レンズを固定する方法が広く実施されている。
た水晶体の代替レンズとして機能する光学部と、その光
学部を嚢内での中心位置に固定、保持するための細長い
フィラメント状の支持部とから構成されている。そし
て、該光学部の材料としては、従来から硬質の材料であ
るポリメチルメタクリレート(以下PMMAという)が
主に使用されてきた。PMMAが、この移植用眼内レン
ズの材料として用いられる理由は、透明性で、かつ体内
での安定性(生体適合性)に優れる上、機械加工性がよ
く、精巧なレンズを安定供給できる点にあった。また、
このPMMA製光学部を固定、保持するための支持部と
しては、例えばPMMAやポリプロピレンなどのモノフ
ィラメントが使用されてきた。前記光学部と支持部の接
合としては、光学部に支持部を取り付ける小孔を予め設
けておき、光学部を完成させたのちに、支持部を該小孔
に挿入し、ステーキングおよびレーザーなどにより支持
部を光学部に固定させたもの、あるいはPMMA製の一
体型(ワンピース)形状のものがある。
に伴い、術後乱視と手術浸襲の軽減を目的とした小切開
創から挿入可能な眼内レンズが開発されている。すなわ
ち、この眼内レンズは、光学部材質に軟性材料を用いる
ことにより、光学部を折り曲げて小切開創からの挿入を
可能にした軟性眼内レンズである。
従来のPMMAのように切削加工及び研磨が困難である
ため、光学部の作製には、光学部形成材料であるモノマ
ー、プレポリマーまたはオリゴマーを型内で重合するキ
ャストモールド法が、一般に用いられている。また、支
持部の取り付け方法も従来のように機械的に小孔を設け
ることが困難であるため、従来とは異なる方法を用いな
ければならない。このような軟性眼内レンズの製造方法
としては、これまで、例えば以下に示す種々の方法が提
案されている。
端部分に球根状などの機械的な係合部を形成するために
恒久的に変形するか、あるいはフィラメントの末端に機
械的な係合部を形成する別のフィラメントを接合するこ
とによって得られた支持部の末端部分を取り囲んで、光
学部材を型成形することによって、離脱しにくい支持部
を有する眼内レンズを製造する方法(特開昭62−14
2558号公報、同62−152450号公報)。
ち、型ごと冷却することにより、軟性材料を硬くして、
支持部を挿入するための小孔およびアンカーフィラメン
トを挿入するための小孔を機械的に設ける。次いで、こ
の軟性光学部に設けられた支持部を挿入孔に支持部を挿
入し、アンカーフィラメント挿入孔にも支持部と同材質
のフィラメントを挿入し、支持部とアンカーフィラメン
トの交点にレーザビームを照射して溶融融着させ、さら
にレーザビームをこの挿入孔にそって照射することによ
り、眼内レンズを製造する方法(特開平4−29260
9号公報)。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の単
独重合体や共重合体からなるロッドを作製したのち、こ
れを管状の型内に設置し、該ロッドの周囲に、支持部材
となるPMMAなどの硬質な材料を重合により設ける。
次いで、これよりディスクを切り出し、切削加工して眼
内レンズを作製したのち、レンズを水和(含水)させる
ことにより、折りたたみ可能とする眼内レンズを製造す
る方法(特開平4−295353号公報)。
作製し、この平板をホルダー上に載せ、低温で旋盤工作
にてディスクに切断し、切削して軟性光学部を作製す
る。次いで、これに支持部孔を設けてスリーピース型眼
内レンズを得るか、あるいは上記平板より、レンズ形状
を切り出し、折りたたみ可能な光学部および光学部材と
同材質の軟質性支持部を有する眼内レンズを製造する方
法(特開平1−158949号公報)。
を重合により作製したのち、内径15mm、高さ20m
mの円筒状中央に設置し、その周辺部で支持部材となる
モノマーを重合させる。次いで、切削により眼内レンズ
形状を作製し、さらに、アルコール中に約48時間浸漬
させ、光学部をエステル化反応により軟質化して、眼内
レンズを製造する方法(特開平5−269191号公
報)。
方法は、いずれも操作が煩雑であったり、生産効率が悪
いなどの欠点を有している。すなわち、前記(1)の方
法においては、支持部となるプラスチックフィラメント
を複雑な形状に加工しなければならない。支持部となる
フィラメントは、径が0.15mm程度のもので、この
末端部分を全て同じ形状に熱溶融により加工するには、
非常に煩雑で微細な工程を設けなければならない。支持
部は、眼内で保持、固定するために適する形状を有する
必要があり、その形状を熱成形などにより精巧に作製さ
れている。つまり、この精巧に作製された支持部を取り
囲んで型内で軟性光学材料を製造する場合には、再度加
熱及び加圧工程に支持部がさらされるわけであり、その
形状や寸法の変形が引き起こされるおそれがある。
材料を冷却して支持部挿入孔とその孔に交差するアンカ
ーフィラメント挿入孔の2つの孔空け操作が必要であ
り、その孔に支持部とアンカーフィラメントを挿入し、
支持部の融着と孔のフィラメントによる充填をレーザビ
ームを繰り返し照射することで達成しなければならず、
かなり煩雑な操作を必要とする。
は、光学部にHEMAを主成分とする素材を用いてお
り、レンズ切削時には硬質であるが、切削後に水和させ
ることで軟質性とするものである。このHEMAは、ロ
ット間において吸水率に相異があるため、眼内レンズに
おいて、一定の性能を維持するのは困難である上、手術
時に含水させるには時間がかかってしまい、予め含水さ
せたものは、滅菌状態を維持させるのが困難である。
支持部材質が光学部材質と同材質であるため、軟質性の
支持部となる。従来の眼内レンズ支持部径は、約0.1
〜02mm程度であるので、かなり柔軟な支持部となっ
てしまう。したがって、支持部角度の維持も困難であ
り、嚢内での光学部の位置安定性も困難と考えられる。
支持部材がアルコールとの反応性を有するものは使用で
きない。従って、現在一般的に使用されているPMMA
は使用することができない。
ンズ形状を作製した後、光学部に化学的反応を加えるこ
とにより光学部の形状(曲率の変化、厚さ、光学径等)
が変化してしまうおそれがあり、加工時の支持部角度
(アングル)を維持することも困難である。
事情のもとで、眼内挿入時に折り曲げ可能な弾性を有す
る軟性材料からなる光学部と、従来のPMMA製眼内レ
ンズに使用されてきたものと同様な、該光学部を眼内で
保持、固定するための支持部から構成され、かつ、該支
持部が離脱しにくい一体型の軟性眼内レンズ、および、
このものを煩雑な工程を必要とせず、かつ品質のばらつ
きがない上、生産効率よく製造する方法を提供すること
を目的とするものである。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、光学部が、2
−[2−(パーフルオロオクチル)エトキシ]−1−メ
チルエチル(メタ)アクリレートと2−フェニルエチル
(メタ)アクリレートとアルキル基の炭素数が特定の範
囲にあるアルキル(メタ)アクリレートと架橋性モノマ
ーとを、それぞれ所定の割合で含有するモノマー混合物
を重合させて得られた共重合体からなり、かつ支持部が
PMMAからなり、光学部と支持部との接合部が相互貫
入網目構造を形成して一体化している、一体型レンズ
が、一体型の軟性眼内レンズとしてその目的に適合しう
ることを見出した。
部形成材料に、上記光学部形成モノマー混合物を接触さ
せて重合させ、光学部形成材料と支持部材形成材料と
を、それらの接合部に相互貫入網目構造を形成させるこ
とにより一体化させたのち、切削、研磨処理することに
より、容易に、かつ品質のばらつきがなく、高い生産効
率で得られることを見出した。本発明は、かかる知見に
基づいて完成したものである。
として機能する光学部と、この光学部を眼内の所定の位
置に固定、保持するための支持部から構成された一体型
眼内レンズにおいて、上記光学部が、(a)一般式
(I)
シ]−1−メチルエチル(メタ)アクリレート5〜20
重量%と、(b)一般式(II)
0〜70重量%と、(c)一般式(III)
4〜C12の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であ
る。) で表されるアルキル(メタ)アクリレート25〜50重
量%とを(a)〜(c)成分の合計量が100重量%と
なるように含有し、さらに上記(a)〜(c)成分の合
計量に対し、(d)架橋性モノマーを0.5〜5重量
%、および一般式(IV)
素原子またはメチル基である。) で表される化合物または式
−5’−メチルフェニル)−5−(2’−メタクロイル
オキシエチル)ベンゾトリアゾールから選ばれる紫外線
吸収モノマーを0.05〜3重量%含有するモノマー混
合物を重合させて得られた共重合体からなり、かつ上記
支持部がポリメチルメタクリレートからなり、光学部と
支持部との接合部が相互貫入網目構造を形成して一体化
していることを特徴とする一体型眼内レンズを提供する
ものである。
従えば、ポリメチルメタクリレートからなる支持部形成
材料に、前記光学部形成用モノマー混合物を接触させて
重合させ、光学部形成材料と支持部形成材料とを、それ
らの接合部に相互貫入網目構造を形成させることにより
一体化させたのち、切削、研磨処理することにより、製
造することができる。なお、本発明において、(メタ)
アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレート
を意味する。
晶体の代替レンズとして機能する光学部と、この光学部
を眼内の所定の位置に固定、保持するための支持部から
構成されている。上記光学部は、以下に示す(a)〜
(d)成分のモノマー混合物を重合させて得られた共重
合体からなるものであって、(a)成分モノマーとして
用いられる前記一般式(I)で表わされる2−[2−
(パーフルオロオクチル)エトキシ]−1−メチルエチ
ル(メタ)アクリレートは、眼内レンズにおける光学部
の表面粘着性を低減させ、眼内レンズに20〜60秒間
程度の適度の時間で元の形状に回復し、安定化する機能
を付加させるための重要な成分である。この一般式
(I)において、R1は水素原子またはメチル基である
が、メチル基であるのが好ましい。
る前記一般式(II)で表わされる2−フェニルエチル
(メタ)アクリレートは、眼内レンズの光学部に高い屈
折率を付与するための成分である。この一般式(II)に
おいて、R2は水素原子またはメチル基であるが、メチ
ル基であるのが好ましい。
れる前記一般式(III)で表されるアルキル(メタ)ア
クリレートは、眼内レンズの光学部に高い柔軟性を付与
するための成分である。この一般式(III)において、
R3は水素原子またはメチル基であるが、水素原子が好
ましく、またR4はC4〜C12の直鎖状、分岐状または環
状のアルキル基であるので、一般式(III)で表される
アルキル(メタ)アクリレートの好ましい例としては、
n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イ
ソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シ
クロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアク
リレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレー
トなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノマーは、重合時の光学部形成材料の変形防止および
眼内レンズにおける光学部の機械的強度向上のための成
分である。この架橋性モノマーの例としては、エチレン
グリコールジメタクリレート(以下、EDMAとい
う)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエ
チレングリコールジメタクリレート、テトラエチレング
リコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジ
メタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等が挙
げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
モノマー成分の含有割合は、(a)〜(c)成分の合計
量に基づき、(a)成分が5〜20重量%、(b)成分
が40〜70重量%および(c)成分が25〜50重量
%の範囲である。(a)成分の量が5重量%未満では眼
内レンズにおける光学部の表面粘着性を低減させ、かつ
例えば20〜60秒間程度の適度の時間で元の形状に回
復し安定化するために十分な効果が発揮されないおそれ
があるし、20重量%を超えると該光学部の形状回復性
が低下する傾向がみられる。表面粘着性の低減効果およ
び形状回復性などを考慮すると、この(a)成分の好ま
しい含有量は7〜15重量%の範囲である。
満では眼内レンズにおける光学部に十分に屈折率を付与
することができにくいし、70重量%を超えると屈折率
は高くなるものの、光学部は柔軟性を失い、小さく折り
曲げにくくなる。光学部の屈折率および柔軟性などの面
から、この(b)成分の好ましい含有量は、42〜63
重量%の範囲である。
未満では眼内レンズにおける光学部に十分な柔軟性が付
与されにくいし、50重量%を超えると光学部の表面粘
着性が増加するおそれがある。光学部の柔軟性および表
面粘着性などを考慮すると、この(c)成分の好ましい
含有量は30〜46重量%の範囲である。
量は、前記(a)〜(c)成分の合計量に対して、0.
5〜5重量%の範囲である。この(d)成分の量が0.
5重量%未満では架橋性モノマーを用いた効果が十分に
発揮されないし、5重量%を超えると架橋点が多くなり
すぎて脆くなり、機械的強度が低下するおそれがある。
効果および機械的強度などを考慮すると、この架橋性モ
ノマーの好ましい含有量は1〜4重量%の範囲である。
に、紫外線吸収能を有するモノマーを含有させる。この
紫外線吸収能を有するモノマーとしては、例えば一般式
(IV)
素原子またはメチル基である。) で表される化合物を挙げることができる。
例としては、5−クロロ−2−[2−ヒドロキシ−5−
(β−メタクリロイルオキシエチルカルバモイルオキシ
エチル)]フェニル−2H−ベンゾトリアゾール(以
下、CHMPという)、2−[2−ヒドロキシ−5−
(β−メタクリロイルオキシエチルカルバモイルオキシ
エチル)]フェニル−2H−ベンゾトリアゾールなどが
挙げられる。また、その他の紫外線吸収モノマーとして
−5’−メチルフェニル)−5−(2’−メタクリロイ
ルオキシエチル)ベンゾトリアゾールを使用することも
できる。
量は、前記(a)〜(c)成分の合計量に対して、0.
05〜3重量%の範囲が好ましく、特に0.1〜2重量
%の範囲が好ましい。この使用量が0.05重量%未満
では紫外線防止効果が期待できないし、3重量%を超え
るとその量の割には効果の向上はあまり認められず、む
しろ経済的に不利となる。また、本発明においては、眼
内レンズの光学部を着色する目的で、前記モノマー混合
物に、所望により、重合性色素などの着色性モノマーを
含有させることができる。
晶体の代替レンズとして機能する光学部が、前記の
(a)〜(d)成分および所望により紫外線吸収能を有
するモノマーや着色性モノマーなどを含有するモノマー
混合物を重合させて得られた共重合体からなるものであ
る。この共重合体を製造するに際しては、まず前記モノ
マー混合物に重合開始剤を添加して十分に撹拌し、均質
なモノマー混合物を調製した後、通常の方法で重合す
る、前記通常の方法とはラジカル重合開始剤を添加した
後、段階的あるいは連続的に40〜120℃の温度で昇
温するか、紫外線や可視光線等を照射する方法である。
は、一般的なラジカル重合開始剤として知られている、
アゾビスバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル
(以下、AIBNという)等のアゾ系開始剤や、ビス
(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボ
ネート等の有機過酸化物が使用できる。上記開始剤の使
用量としては、モノマー総量に対して0.1〜5重量%
程度が好ましい。
は、前記光学部を眼内の所定の位置に固定、保持するた
めの支持部は、ポリメチルメタクリレートからなるもの
であり、そしてこの支持部と該光学部とが一体化してい
ることが必要である。一体型眼内レンズの形状として
は、従来、5〜10度のアングルを有した支持部形状の
もの、あるいは、ウイングタイプと呼ばれる5〜10度
のアングルで立ち上がり、支持部先端付近で水平になる
ものなどが知られている。これらの形状は、光学部がP
MMAなどの硬質のものであれば、支持部圧縮時(眼内
挿入後)にも光学部が変形してしまうようなことはな
い。また、支持部圧縮時の光学部移動量が少なく、眼内
での位置安定性がよいと思われる。
のように、光学部が軟性の場合、上記のような5〜10
度のアングルを有したタイプやウイングタイプのもので
は、支持部圧縮時に光学部が変形する上、光学部移動量
が大きくなる。したがって、支持部圧縮時の光学部変形
および光学部移動をなくすために、支持部形状はホッパ
ー型であるのが好ましい。なお、このホッパー型の具体
的な形状については、後で図面により説明する。
しては、光学部および支持部が、それぞれ前記材料から
なり、かつそれらが一体化した構造のものが得られる方
法であればよく、特に制限はないが、以下に示す本発明
の方法によれば、簡単な操作で、支持部が離脱しにく
く、かつ品質のばらつきのない一体型眼内レンズを、高
い生産効率で製造することができる。
る支持部形成材料に、前記の光学部形成用モノマー混合
物を接触させて重合させ、光学部形成材料と支持部形成
材料とを、それらの接合部に相互貫入網目構造を形成さ
せることにより一体化させたのち、切削、研磨処理し
て、所望の一体型眼内レンズを製造する。
と支持部形成材料との接合部において、相互貫入網目
(interpenetrating network、IPN)構造が形成さ
れ、その結果、最終的に得られる一体型眼内レンズにお
いて、支持部は光学部から極めて離脱しにくいものとな
る。なお、光学部形成材料は軟性であるので、切削、研
磨処理は、冷却しながら行うのが好ましい。すなわち、
−10〜0℃程度の低温雰囲気下で、切削、研磨処理す
るのがよい。
る所定寸法の円柱状凹部を有するディスクの該凹部に、
前記光学部形成用モノマー混合物を注入して重合させた
のち、冷却しながら、切削、研磨処理し、所望の一体型
眼内レンズを製造する方法などが、好ましく用いられ
る。
て、添付図面に従い、具体的に説明する。図1は、PM
MA製の円柱状凹部を有するディスクの1例の斜視図
(a)および側面図(b)、図2は、上記図1で示され
るディスクの凹部に光学部形成用モノマー混合物を注入
した状態を示す斜視図(a)および側面図(b)、図3
はミーリングマシーンによる一体型眼内レンズ材料の切
り出しを説明するための1例の斜視図、図4は本発明の
一体型眼内レンズの1例の正面図(a)および側面図
(b)である。
状凹部2を有する径16mm、厚さ5mm程度のPMM
A製のディスク1を用意する。なお、図においては、円
柱状凹部2の径は6.2mmとなっているが、この凹部
の形状や径などは、所望の一体型眼内レンズにおける光
学部の形状により、適宜選択することができる。
限はなく、フライス板などにより形成することができる
が、形成すべき形状の治具を作製し、プレス機によりデ
ィスクに凹部を作製する方法が、複雑な形状も容易に作
製できるので、有利である。また、この方法によると、
ディスク材もプレス(延伸)されるので、引張り強度な
どが増し、その結果、支持部の強度を向上させることが
できる。
ディスク1の円柱状凹部に、前記の光学部形成用モノマ
ー混合物3を注入したのち、40〜120℃程度の温度
に加熱して重合を行う。重合終了後、3mm厚のディス
クを切り出し、冷却しながらベース面のカットを行う。
次いで、冷却しながら、図3に示すように、ミーリング
マシーン4により、光学部と支持部が一体形状(ワンピ
ース)のレンズ材料5を切り出す。その後、ベースカッ
トした逆面より冷却しながら、フロント面のカットを行
い、さらにレンズを低温下でバレル研磨処理することに
より、図5で示されるような光学部6とホッパー型の支
持部7、7′とが一体化してなる本発明の一体型眼内レ
ンズを得ることができる。
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
部を有する径16mm、厚さ5mm程度のPMMA製デ
ィスクを用意し、このディスクの凹部に、前記光学部形
成用モノマー混合物を注入し、窒素圧19.6×10 4
Pa(2.0kgf/cm2 )、温度60℃で2時間加
圧重合を行い、その後80℃で2時間、100℃で2時
間保持し、重合を完結させた。
れに−5℃の冷気を吹きかけながら光学面を切削した。
再度冷気を吹きかけながら、図3で示すように、ミーリ
ングマシーンにより切り出し、ミーリング加工面の逆面
より冷気を吹きかけながら、光学面を切削した。この
際、支持部形状をホッパー型とした。最後に、得られた
レンズを、−5℃の恒温槽中でバレル研磨を3日間行
い、図4に示す一体型眼内レンズ得た。この一体型眼内
レンズの外観、粘着性、形状回復性および屈折率を表1
に示す。
を表1、表2に示すように変えた以外は、実施例1と同
様にして、一体型眼内レンズを作製した。各一体型眼内
レンズの外観、粘着性、形状回復性および屈折率を表
1、表2に示す。
キシ]−1−メチルエチルメタクリレート 2)PEMA:2−フェニルエチルメタクリレート 3)BA:n−ブチルアクリレート 4)EHA:2−エチルヘキシルアクリレート 5)CHMP:5−クロロ−2−[2−ヒドロキシ−5
−(β−メタクリロイルオキシエチルカルバモイルオキ
シエチル)]フェニル−2H−ベンゾトリアゾール 6)EDMA:エチレングリコールジメタクリレート 7)AIBN:アゾビスイソブチロニトリル 8)粘着性:一体型眼内レンズの光学部を眼内レンズ折
り曲げ用鑷子で折り曲げ、解放時に光学部同士がくっつ
かない場合を、粘着性なしとした。 9)形状回復性:一体型眼内レンズの光学部を眼内レン
ズ折り曲げ用鑷子で折り曲げ、解放してから元の光学部
の径に戻るまでの時間で表した。 10)屈折率:アタゴ社製屈折率計を用いて、36℃にお
けるе線(546.1nm)での屈折率を測定した。
軟性を有し、折り曲げた後、解放しても、光学部同士が
粘着することがなく、20〜60秒間程度で元の形状に
回復する。したがって、眼内挿入後に、嚢内を傷付ける
ことがないという効果を有する。また、本発明の方法に
よれば、一体型眼内レンズを加工後、光学部を水和(含
水)する工程やエステル化反応を行う工程を設ける必要
がない。したがって、支持部角度を維持することがで
き、硬質で強度のある支持部を有した一体型眼内レンズ
を、簡単な工程により、品質のばらつきがなく、高い生
産効率で製造することができる。また、本発明の方法に
よれば、切削、研磨工程において、冷却するだけで、従
来のワンピース作製時と同様な方法で、一体型(ワンピ
ース)の眼内レンズを製造することができる。
例の斜視図(a)および側面図(b)である。
成用モノマー混合物を注入した状態を示す斜視図(a)
および側面図(b)である。
料の切り出しを説明するための1例の斜視図である。
(a)および側面図(b)である。
Claims (6)
- 【請求項1】 水晶体の代替レンズとして機能する光学
部と、この光学部を眼内の所定の位置に固定、保持する
ための支持部から構成された一体型眼内レンズにおい
て、上記光学部が、(a)一般式(I) 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基である。) で表される2−[2−(パーフルオロオクチル)エトキ
シ]−1−メチルエチル(メタ)アクリレート5〜20
重量%と、(b)一般式(II) 【化2】 (式中、R2は水素原子またはメチル基である。) で表される2−フェニルエチル(メタ)アクリレート4
0〜70重量%と、(c)一般式(III) 【化3】 (式中、R3は水素原子またはメチル基であり、R4はC
4〜C12の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であ
る。) で表されるアルキル(メタ)アクリレート25〜50重
量%とを(a)〜(c)成分の合計量が100重量%と
なるように含有し、さらに上記(a)〜(c)成分の合
計量に対し、(d)架橋性モノマーを0.5〜5重量
%、および一般式(IV) 【化4】 (式中、Xは水素原子または塩素原子であり、R 5 は水
素原子またはメチル基である。) で表される化合物または式 【化5】 で表される2−(2’−ヒドロキシ−3’−第3ブチル
−5’−メチルフェニル)−5−(2’−メタクロイル
オキシエチル)ベンゾトリアゾールから選ばれる紫外線
吸収モノマーを0.05〜3重量%含有するモノマー混
合物を重合させて得られた共重合体からなり、かつ上記
支持部がポリメチルメタクリレートからなり、光学部と
支持部との接合部が相互貫入網目構造を形成して一体化
していることを特徴とする一体型眼内レンズ。 - 【請求項2】 光学部が変形可能な軟性を有するもので
ある請求項1に記載の一体型眼内レンズ。 - 【請求項3】 水晶体の代替レンズとして機能する光学
部と、この光学部を眼内の所定の位置に固定、保持する
ための支持部から構成された一体型眼内レンズを製造す
るに当たり、ポリメチルメタクリレートからなる支持部
形成材料に、 (a)一般式(I) 【化6】 (式中、R1は水素原子またはメチル基である。) で表される2−[2−(パーフルオロオクチル)エトキ
シ]−1−メチルエチル(メタ)アクリレート5〜20
重量%と、(b)一般式(II) 【化7】 (式中、R2は水素原子またはメチル基である。) で表される2−フェニルエチル(メタ)アクリレート4
0〜70重量%と、(c)一般式(III) 【化8】 (式中、R3は水素原子またはメチル基であり、R4はC
4〜C12の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であ
る。) で表されるアルキル(メタ)アクリレート25〜50重
量%とを(a)〜(c)成分の合計量が100重量%と
なるように含有し、さらに上記(a)〜(c)成分の合
計量に対し、(d)架橋性モノマーを0.5〜5重量
%、および一般式(IV) 【化9】 (式中、Xは水素原子または塩素原子であり、R 5 は水
素原子またはメチル基である。) で表される化合物または式 【化10】 で表される2−(2’−ヒドロキシ−3’−第3ブチル
−5’−メチルフェニル)−5−(2’−メタクロイル
オキシエチル)ベンゾトリアゾールから選ばれる紫外線
吸収モノマーを0.05〜3重量%含有する光学部形成
用モノマー混合物を接触させて重合させ、光学部形成材
料と支持部形成材料とを、それらの接合部に相互貫入網
目構造を形成させることにより一体化させたのち、切
削、研磨処理することを特徴とする一体型眼内レンズの
製造方法。 - 【請求項4】 ポリメチルメタクリレートからなる所定
寸法の円柱状凹部を有するディスクの該凹部に、光学部
形成用モノマー混合物を注入し、重合させる請求項3に
記載の方法。 - 【請求項5】 切削、研磨処理を冷却下で行う請求項3
または4に記載の方法。 - 【請求項6】 支持部形成材料を、光学部形成用モノマ
ー混合物と接触する前にプレス処理する請求項3〜5の
いずれかに記載の方法。
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