JP3242657B2 - セルロース繊維構造を乾燥する制限オリフィス,その装置及びこれによって製造されるセルロース繊維構造 - Google Patents

セルロース繊維構造を乾燥する制限オリフィス,その装置及びこれによって製造されるセルロース繊維構造

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明はセルロース繊維構造に関し、特に通風乾燥さ
れる初期湿状ウエブを有するセルロース繊維構造に関す
る。
発明の背景 セルロース繊維構造は、日常生活において重要な商品
となっている。セルロース繊維構造は顔用ティッシュ、
トイレットティッシュ及び紙タオルで見いだされる。
セルロース繊維構造の技術分野における1つの最近の
進歩によってセルロース繊維構造に複数の領域を形成す
ることができるようになった。セルロース繊維構造は、
セルロース繊維構造の1つの領域が、基本重量または密
度のいずれか、またはその双方において、隣接するセル
ロース繊維構造の領域と異なるときに複数に領域を有す
るものとされる。
セルロース繊維構造の複数領域は、使用される繊維の
経済的な製造に寄与する。さらに、複数領域は、セルロ
ース繊維構造の消費者によって望まれる異なる機能を有
するように製造することができる。吸収性、引っ張り強
度及び不透明性のような機能を異なる領域によって提供
することができる。
セルロース繊維構造の製造において、液体のキャリヤ
内に拡散されたセルロース繊維からなる初期湿状ウエブ
は、フォーミングワイヤ上に積み重ねられる。いくつか
の公知の装置の内の1つ若しくはそれらの組み合わせに
よって初期湿状ウエブが乾燥されるが、各々の乾燥手段
は完成したセルロース繊維構造の特性に影響を与える。
例えば、乾燥手段及び方法は、完成したセルロース繊維
構造の柔らかさ、厚み、引っ張り強度及び吸収性に影響
を与える場合がある。また、セルロース繊維構造を乾燥
するために使用する装置及び方法は、このような乾燥手
段及び方法によって影響を受けることなく製造する場合
の速度に影響を与える。
乾燥手段の1つの例は、フェルト製ベルトである。フ
ェルト製乾燥ベルトは、初期湿状ウエブに接触して保持
される浸透性を有するフェルト媒体に液体キャリヤの毛
細管流れを生じせしめることにより、初期湿状セルロー
ス繊維構造から水を除去するために長い間使用されて来
た。しかしながら、フェルトベルトを使用してセルロー
ス繊維構造の除水を行うことは、乾燥する初期湿状セル
ロース繊維構造を全体を一様に圧縮して小さくすること
になる。
フェルトベルト乾燥は、真空によって補助するか、ま
たは対向配置されたプレスローラによって補助するよう
にしてもよい。プレスローラはセルロース繊維構造に対
するフェルトの機械的な圧縮を最大限する。フェルトベ
ルトの例は、1982年5月11にボルトンに発行された米国
特許第4,329,201号及び1989年12月19日にコーワン等に
発行された米国特許第4,888,096号に開示されている。
しかしながら、通常は、フェルトベルトは複数の領域
を有するセルロース繊維構造の製造及び乾燥には適さな
い。上述したようなセルロース繊維構造の全体的な圧縮
を避けることに加えて、異なる領域に含まれる水の量が
異なるという理由によって、複数の領域を有するセルロ
ース繊維構造を乾燥させるためには他の手段を用いるこ
とが好ましい。
例えば、フェルトベルトの補助なしに真空除水により
セルロース繊維構造を乾燥する方法が知られている。セ
ルロース繊維構造の真空除水は、水分を液体状態のまま
セルロース繊維構造から機械的に除去するものである。
さらに、この方法においては、乾燥ベルト内に設けられ
た複数の導管にセルロース繊維構造の個々の領域をそら
せて入り込ませ、セルロース繊維構造の個々の領域が異
なる水分量を持つようにしている。同様に、適当な孔寸
法を有する多孔性シリンダを用い、真空により補助され
た毛細管流れによってセルロース繊維構造を乾燥させる
技術が知られている。このような真空駆動乾燥技術の例
は、1985年12月3日にチャン等に発行された米国特許第
4,556,450号及びジーン等に1990年11月27日に発行され
た米国特許第4,973,385号に開示されている。
他の乾燥方法においても、通風乾燥によってセルロー
ス繊維構造の初期湿状ウエブを乾燥することは、かなり
の成功を収めた。典型的な通風乾燥において、小孔を持
つ空き透過性ベルトは、乾燥すべき初期湿状ウエブを支
持する。高温空気は、セルロース繊維構造を、次に透過
性ベルトを通過するか、若しくはその逆の順序で通過す
る。空気透過性ベルトの小孔に一致してこの小孔内にそ
らされた領域は優先的に乾燥され、その領域で得られる
セルロース繊維の厚さは増加する。空気透過性ベルトの
ナックル部に一致する領域は、乾燥がより少ない程度で
ある。基本的には空気の流れは、蒸発によって初期湿状
ウエブを乾燥させる。
この技術分野において、通風乾燥に使用する空気透過
性ベルトに対するいつくかの改良が行われた。例えば、
空気透過性ベルトを高い開口領域(少なくとも40%)を
有するように製造する。または、ベルトを小さい空気透
過性を有するように製造する。空気透過性を小さくする
ことは、ベルトの織物ヤーンの間の透き間を埋めるよう
に樹脂状混合物を適用することによって達成される。乾
燥ベルトは、熱伝導性を増加させ、その放射性を低減す
るために金属粒子を含浸するか、または乾燥ベルトを連
続的なネットワークを有する感光樹脂から製造する。特
に乾燥ベルトは、約815℃(1500゜F)までの高温の空気
流に適応するようになっている。このような通風乾燥技
術は、1975年7月1日にコール等に発行された米国特許
第Re28459号、1979年ローターに発行された米国特許第
4,172,910号に、1985年7月9日にトロカーンに発行さ
れた米国特許第4,528,239号及びトッドに発行された199
0年5月1日に発行された米国特許第4,921,750号に開示
されている。
さらに、セルロース繊維が未だ乾燥すべき初期湿状ウ
エブの状態である間にセルロース繊維構造の乾燥輪郭を
調整すために、この技術分野においていくつかの試みが
なされた。このような試みには、乾燥ベルトか、または
ヤンキー型フッドと組み合わせた赤外線乾燥器のいずれ
かが使用された。輪郭乾燥の例は、1986年4月22日にス
ミスに発行された米国特許第4,583,302号及び1990年7
月24日にサンドビストに発行された米国特許第4,942,67
5号に開示されている。
前記の従来技術、特に通風乾燥に関する従来技術は、
複数の領域のセルロース繊維構造を乾燥するときに出合
う問題を解決していない。例えば、第2の領域より少な
い絶対水分、濃度または基礎重量を有するセルロース繊
維構造の第1の領域は、典型的には第2の領域より比較
的に大きな空気流がある。このことは、比較的に大きな
空気流が生じせしめる。なぜならば、少ない絶対水分、
濃度または基礎重量を有するセルロース繊維構造の第1
の領域は、この領域を通過する空気に対する流れの抵抗
がそれに比例して小さくなるからである。
この問題は、乾燥すべき複数領域を持つセルロース繊
維構造をヤンキー型乾燥ドラムに搬送するとき、大きく
なる。ヤンキー型乾燥ドラム上では、セルロース繊維構
造の隔離された個々の領域が加熱シリンダの周面に緊密
に接触しフードからの高温の空気は、加熱シリンダと反
対側のセルロース繊維構造の表面に導入される。しかし
ながら、典型的には、ヤンキー型乾燥ドラムへの最も緊
密な接触は高い密度または高い基礎重量の領域に生じ、
この領域は低い密度または低い基礎重量の領域程には乾
燥されない。低い密度部分の優先的な乾燥は、ヤンキー
型乾燥ドラムのフードの空気流からの熱によって生じ
る。従って、高密度または高い基礎重量領域における多
量の水分を乾燥させる必要がある故、セルロース繊維構
造の製造速度は遅くなる。すなわち、高い密度及び高い
基礎重量領域のセルロース繊維構造を完全に乾燥させ、
かつ、フードからの空気によってすでに乾燥した低密度
または低い基礎重量領域が焦げることまたは燃えること
を防止するために、ヤンキー型フードの温度を下げると
ともにヤンキー型フード内へのセルロース繊維構造の滞
在時間を増加させなければならず、このことは製造速度
が遅くなることにつながる。
(フェルトベルトのような機械的な圧搾を用いる場合
を除いて)従来技術における方法の他の欠点は、各々の
方法が乾燥すべきセルロース繊維構造を支持しなければ
ならないことに起因する。空気は、セルロース繊維構造
に向かって流れるときに、支持ベルトを通して搬送さ
れ、そうでなければ乾燥ベルトを通してセルロース繊維
構造に流れる。ベルトを通る流れ抵抗またはセルロース
繊維構造を通る流れ抵抗の差は、セルロース繊維構造内
の水分の配分の差を増幅し、前にはなかった水分の配分
の差をもたらす。しかしながら、セルロース繊維構造の
種々の領域の差に対応して空気流を調整する試みは従来
は行われていない。
特に、この技術分野においては、このような最小の空
気流しか必要としない抵低密度または低基礎重量領域か
ら空気流を離し、比較的に水分がある高密度または高い
基礎重量領域に向けるための試みはなされていない。同
様に、セルロース繊維構造の各領域が一様に乾燥するこ
とを推進する試みはなされていなかった。
従って、本発明の目的は、制限オリフィスを通過した
空気により乾燥を行う処理において、低い密度及び低基
礎重量領域及び高密度及び高い基礎重量領域に空気流を
ほぼ等しく向ける装置及び方法を提供することである。
この装置及び方法は、制限オリフィスを通過した空気に
より乾燥を行う装置、従来の圧力フェルトおよび赤外線
乾燥装置等、並びにこれらの組み合わせとともに製紙工
程において使用することが意図されている。また本発明
の目的は製造工程の通風乾燥またはヤンキー型ドラム乾
燥工程によってセルロース繊維構造の製造において速度
が制限されないようにする装置及び方法を提供すること
である。最後に本発明の目的は、このような方法及び装
置を用いた複数領域のセルロース繊維構造をつくること
である。
発明の要約 本発明は、制限オリフィスを通過した空気により乾燥
を行う装置と共に使用する微小孔媒体を提供する。多孔
性媒体は、その中に水分が配分されたセルロース繊維の
初期湿状ウエブと組み合わされて使用され、初期湿状ウ
エブを通る空気流のための制限オリフィスを提供する。
1つの実施例において、本発明は、初期湿状ウエブを
支持するために初期湿状ウエブの一方の側に配置された
通風乾燥ベルトと、初期湿状ウエブにまたはそれを通し
てほぼ一様な空気流を提供する試みにおいて初期湿状ウ
エブの他方の側に配置された微小孔媒体と、を有する装
置を提供する。また装置は、初期湿状ウエブを通る空気
流を生じさせる手段を有し、微小孔媒体は初期湿状ウエ
ブを通る空気流の制限オリフィスである。水分の配分は
この装置によって乾燥した後、均等になるか若しくはさ
らに一様になる。
他の実施例において、本発明はセルロース繊維構造を
制限オリフィス通風乾燥する方法を提供する。この方法
は、乾燥する初期湿状ウエブ、空気流を初期湿状ウエブ
を通す装置と、初期湿状ウエブを一方の側から支持する
乾燥ベルトと、乾燥ベルトと対向する微小孔媒体とを準
備する工程を備える。初期湿状ウエブを通る空気流が生
じ、微小孔媒体は空気流の制限オリフィスとして機能す
る。初期湿状ウエブの水分の配分はこの方法によって乾
燥した後に均等になるか若しくはさらに一様になる。
図面の簡単な説明 この説明は本発明を特定して指摘し明確に権利の請求
を行う請求の範囲で終結しているが、本発明は図面によ
る次の説明からさらに明らかに理解することができよ
う。なお、図面においては同じ部品には同じ参照符号が
付与されている。
第1図は、本発明によってつくられた複数領域のセル
ロース繊維構造の平面図である。
第2図は、本発明による製紙機械の側面図である。
第3A図は、内部が負圧とされた透過性シリンダに関す
る本発明による微小孔媒体の側面図である。
第3B図は、内部が正圧とされた透過性シリンダに関す
る本発明による微小孔媒体の側面図である。
第4図は、種々の層を示す本発明の微小孔媒体の平面
図である。
発明の詳細な説明 本発明は、第1図に示すようなセルロース繊維構造10
を製造するために使用される。セルロース繊維構造10
は、1つの領域12、または好ましくは、符号によって示
した複数の領域12を有する。セルロース繊維構造10はト
イレットティッシュ、顔面ティッシュまたは紙タオルと
して使用するのに適している。
セルロース繊維構造10の繊維は、繊維の長手方向の軸
線に沿った長手方向寸法と、相互に直角であってかつ繊
維の長手方向の軸線に対して垂直な半径方向に沿った他
の2つの半径方向寸法とを有する。前記長手方向寸法は
前記他の2つの半径方向寸法より大幅に大きくなってお
り、その結果、繊維はおおむね直線状となっている。繊
維の顕微鏡的な検査によって繊維の基本的な寸法(長手
方向寸法)に比較して小さい他の2つの半径方向寸法が
明らかになるが、このような他の2つの小さい寸法は繊
維の軸線方向の長さにわたって、ほぼ等しい必要もない
し、一定である必要もない。繊維が軸線方向の周りで曲
がり、他の繊維に対して結合でき、かつ液体を分布させ
て乾燥させることができることのみが重要である。
セルロース繊維構造10を有する繊維は、ポリオレフィ
ンまたはポリエステルのような合成品であってもよい
が、コットン糸くず、レーヨン、またはバガスのような
繊維質が好ましく、柔らかい木(裸子植物または針葉
樹)または堅い木(被子植物または落葉樹)のような木
のパルプがさらに好ましい。柔らかい木の繊維を有する
木のパルプ繊維のセルロース混合体は、約2.0〜約4.5ミ
リメートルの長さと、約25〜約50マイクロメートルの直
径を有し、堅い繊維は、約1ミリメートル未満の長さ
と、約12〜約25マイクロメートルの直径を有し、これら
は本明細書に記載された紙において良好に作用すること
が分かっている。
繊維は、亜硫酸、硫酸またはソーダ処理のような化学
的な方法及びストーングラウンドウッドのような機械的
処理を含むパルプ処理によって製造される。他の例で
は、機械的化学的な処理の組み合わせによって繊維を製
造するか、リサイクルによって繊維を製造する。ここに
示したセルロース繊維構造10に使用する繊維の組み合わ
せ及び処理のタイプは、本発明にとっては重要なもので
はない。
第2図を参照すると、本発明による方法を実施する第
1の工程は、製紙用の装置15を利用して、セルロース繊
維の水を用いての分散を行うことである。セルロース繊
維の水を用いた分散器はヘッドボックス20に配置されて
いる。図示するように、1つのヘッドボックス20を使用
するが、製紙工程において、他の構成例では、複数のヘ
ッドボックス20が使用されることを理解すべきである。
ヘッドボックス20及び製紙繊維の水の分散を行う装置
は、1976年11月30日にモルガンに付与された米国特許第
3.994,771号及び1985年7月16日にトロカンに付与され
た米国特許第4,529,480号に開示されており、これらの
特許は製紙繊維の準備及び分散の際に利用する装置を示
す目的により本明細書に組み込まれる。
製紙繊維の水による分散は、液体を担体として、ヘッ
ドボックス20からフォドリニアワイヤ22ような成形ベル
トに送ることによって行われる。フォドリニアワイヤ22
は、ブレストロール及び複数のリターンロールによって
支持されている。さらに、フォドリニアワイヤ22に通常
関連するのは、成形ボード、真空ボックス、テンション
ロール、クリーニングシャワー等であり、これらはこの
技術分野でよく知られているのでここではさらに説明は
しない。
製紙繊維の水を用いた分野は、フォドリニアワイヤ22
または他の成形ワイヤ上に初期湿状ウエブ21を形成する
ために使用される。ここに使用する「初期湿状ウエブ」
は、以下に説明する乾燥工程の前に、製紙処理の途中で
フォドリニアワイヤ22または他の成形ベルト上で再構成
を受けた繊維の堆積体を言う。従来の真空ボックス26等
が、水を含んだ初期湿状ウエブ21から水を除去し続ける
ために使用される。
初期湿状ウエブ21は、第2の製紙ベルト、詳細には乾
燥ベルト28に搬送される。どのような空気透過性の通風
乾燥ベルト28を使用してもよい。特に好ましい乾燥ベル
ト28は、連続的な感光性樹脂状ネットワークを用いたも
のである。また、特に好ましい乾燥ベルト28として、19
85年トロカムに付与された米国特許第4,528,239号の技
術に従って製造されたものがあり、この米国特許の開示
事項は本発明と共に使用するのに適した乾燥ベルト28を
示す目的で本明細書に組み込まれる。織られた(不織で
はない)裏側を有する乾燥ベルト28を用いることもで
き、このような織られた裏側を有する乾燥ベルト28は、
1991年10月22日フッド等に付与された米国特許第5,059,
283号及び1991年12月17日にトロカンに付与された米国
特許第5,073,235号によって製造することが好ましい。
初期湿状ウエブ21は、初期湿状ウエブ21に差圧を適用
することによって成形部分ワイヤ22から乾燥ベルト28に
移すことができる。特に、初期湿状ウエブ21は、移送ヘ
ッド24によって乾燥ベルト28に移すこともできる。移送
ヘッド24は、初期湿状ウエブ21を成形部分ワイヤ22から
分離して初期湿状ウエブ21を乾燥ベルト28の小孔に偏向
させ(入り込ませ)、同時に初期湿状ウエブ21から水を
除く。初期湿状ウエブ21は真空ボックス26によって乾燥
ベルト28の所定の位置に保持されるようにできる。しか
しながら、初期湿状ウエブ21が成形ワイヤから乾燥ベル
ト28に移送することが可能である限り、差圧を初期湿状
ウエブ21に適用する他の装置も使用できることを理解し
なければならない。
真空ボックス26はセルロース繊維構造10の領域12をさ
らに乾燥ベルト28の小孔に偏向させる(入り込ませ
る)。この偏向により偏向した領域12が偏向しない領域
12と異なる密度及び/または基礎重量を有するようにさ
れる。真空ボックス26は初期湿状ウエブ21の機械的な脱
水を行う。他の例として、真空ボックスに加えて1985年
12月3日に付与された米国特許第4,556,450号に開示さ
れた技術に従って製造されたロールを使用してもよく、
この米国特許は初期湿状ウエブ21を機械的に脱水するた
めに適している装置15を示す目的で本明細書に組み込ま
れる。
初期湿状ウエブ21を乾燥ベルト28から除去した後に、
乾燥ベルト28に張り付いたまま残っているセルロース繊
維構造10の繊維、接着剤等を除去するために、乾燥ベル
ト28は水のシャワー(図示せず)で洗浄される。乾燥ベ
ルト28は、リリース剤として作用すると共に酸化を低減
することによってベルトの有効寿命を延ばすために乳化
剤が適用される。好ましい乳化剤及び配分方法は、1991
年12月17日にトロカンに付与された前述した米国特許第
5,073,235号に示されている。
初期湿状ウエブ21は、製造方法に起因してその内部に
分布する水分を有する。水分の分布はほぼ均一となるこ
ともあるが、大抵は初期湿状ウエブ21で繰り返されるパ
ターンに対応して不均一である。初期湿状ウエブ21の繰
り返しパターンは、この繰り返しパターンと同様な異な
る基礎重量及び/または密度の領域のパターンに起因し
てもたらされる。この水分の配分は、軟X線装置または
この技術分野で知られた他の装置による画像解析により
得られた繰り返しパターンに対応する尺度に基づいて、
定性的に測定することができる。
本発明に基づいて、乾燥ベルト28は、通風乾燥処理の
際に、低密度及び低基礎重量領域12並びに高密度及び高
基礎重量領域12に対して均等に空気流を通過させるため
の装置15に、初期湿状ウエブ21を搬送する。本発明によ
るこの装置15は、微小孔乾燥媒体と、この微小孔乾燥媒
体および乾燥対象の初期湿状セルロース繊維構造10とを
支持する装置と、微小孔乾燥媒体30および初期湿状セル
ロース繊維構造10に空気流を通す装置と、を有する。
好ましくは、乾燥ベルト28は、セルロース繊維構造10
を軸線まわりに回転可能な多孔性シリンダ32に搬送す
る。多孔性シリンダ32の周縁は、本発明による多孔性媒
体によってカバーされている。ここに説明した実施例に
おいては、多孔性シリンダ32の内部の圧力は大気圧より
低くなっている(負圧となっている)。しかしながら、
後に説明するように、多孔性シリンダ32の内部の圧力は
大気圧より高い圧力とする(正圧とする)こともでき
る。正圧は、セルロース繊維構造10を通る流れを生じさ
せるに十分なものでなければならず、好ましくは、微小
孔媒体30の孔内に液体の水が存在する場合においても、
流れが微小孔媒体30孔を突破(通過)できるような値と
される。ここに説明した実施例においては、前記大気圧
より低い圧力は、水銀柱で約2.5〜30.5センチメートル
(1〜12インチ)に相当する圧力、好ましくは、水銀柱
で約17.8〜25.4センチメートル(7〜10インチ)に相当
する圧力とすることが好ましい。
第3A図を参照すると、乾燥ベルト28は入口ロール34か
らテイクオフロール36まで多孔性リンダ32を包む(以
下、乾燥ベルト28が多孔性シリンダ32を包んでいる領域
を「円弧部分」という)。多孔性シリンダ32内が負圧と
なっているため、空気圧が初期湿状ウエブ21の前記円弧
部分に作用し、初期湿状ウエブ21中の水は多孔性シリン
ダ32の内側に除去される。ウエブ21は、好ましくは少な
くとも約30%、さらに好ましくは約50%の密度となった
実質的に乾燥された状態とされ、テイクオフロール36の
位置において多孔性シリンダ32から外れる。
初期湿状ウエブ21は、その間、多孔性シリンダ32に接
触している。前述した乾燥ベルト28は初期湿状ウエブ21
の円弧部分の外側にあり、微小孔媒体30によってカバー
された多孔性シリンダは初期湿状ウエブ21の円弧部分の
内側にあり、初期湿状ウエブ21は外側の乾燥ベルト28と
内側と微小孔媒体30との間にある。多孔性シリンダ32の
内部が負圧になっているため、乾燥ベルト28、初期湿状
ウエブ21、微小孔媒体30及び多孔性シリンダ32によって
形成された積層体に空気が引き込まれてそこを通過す
る。
第2図に示されるように、セルロース繊維構造10を製
造するために使用する装置15は、初期湿状ウエブ21を乾
燥するために高温空気を供給するためのフード54を備え
ている。特にフード54は、初期湿状ウエブ21に空気流を
通すために乾燥した高温の空気を提供する。ここで重要
なことは、空気流が初期湿状ウエブ21に水を加えないこ
と、そして空気流により初期湿状ウエブ21内の水を蒸発
させることができ、かつ空気流により初期湿状ウエブ21
内の水を機械的に引きずり出すこと(空気流れに乗せて
初期湿状ウエブ21内の水を外に出す)ことができること
である。しかしながら、水が機械的に引きずり出される
ことのみを期待するのであれば、飽和空気を用いること
が適当なこともあることに留意すべきである。好ましく
は、フード54は、初期湿状ウエブ21に空気流を通すため
に、装置のおかれる環境温度から約290℃(500゜F)の
温度で、好ましくは、約93〜約150℃(200〜300゜F)の
温度の空気流を供給する。
比較的低い温度の空気を使用する利点は、高温度の空
気流を使用したときに生じうる乾燥ベルト28及びセルロ
ース繊維構造10の焦げおよび燃焼や、または悪臭が広が
るといった製造上の不具合を減少させることができるこ
とにある。また、エネルギーの節約も図ることができ
る。このようなフード54は、ここでは詳細に説明しない
公知の装置および技術により製造され、提供される。
初期湿状ウエブ21を微小孔媒体30及び多孔性シリンダ
32に導入するとき、初期湿状ウエブ21は約5〜約50%の
密度を有する。このような初期湿状ウエブ21は、入って
くる水分、繊維成分、微小孔媒体30の形状、初期湿状ウ
エブ21の基礎重量、微小孔媒体30上への初期湿状ウエブ
21の滞在時間、並びに初期湿状ウエブ21を通る空気流速
及び水分及び温度に依存して、約25〜約100%まで乾燥
される。
通常、初期湿状ウエブ21の基礎重量が増加するにつれ
て、微小孔媒体30上への初期湿状ウエブ21の滞在時間を
長くする必要がある。例えば、初期湿状ウエブ21が1平
方メートル当たり約0.02キログラムの基礎重量及び30〜
50パーセントの密度を有する場合には、装置15は、微小
孔媒体30上における初期湿状ウエブ21の滞在時間を少な
くとも約250ミリ秒とするようなものである必要があ
る。
ここで使用する「微小孔媒体」は空気流を通すことが
できる部材を言い、空気流を他の部材に向け、調整し精
製して減少させるように使用される部材を言う。他の部
材は、微小孔媒体30の上流または下流のいずれかにあ
る。微小孔媒体30は、図示したようにほぼ平坦であって
もよいし、所望の形状とすることもできる。好ましく
は、微小孔媒体30の孔の水力半径はセルロース繊維構造
10の透き間の水力半径より小さく、このような空気流の
範囲内ですべてのセルロース繊維構造10にほぼ一様な空
気流を提供する。これに代えて、前述の制限オリフィス
を均一に分散させることに加えて、微小孔媒体30を通る
高抵抗の流通路(いくつかの屈曲部、流れ制限部、小さ
いダクト等)を提供することによって微小孔媒体30を通
る空気流に影響を与えるようにすることができる。
第4図を参照すると、微小孔媒体30は、乾燥ベルト2
8、特に初期湿状ウエブ21を通る空気流に対する制限オ
リフィスを形成する。ここで使用する「制限オリフィ
ス」とは、空気流に対して抵抗を及ぼす各要素のうちの
最大のものを意味する。乾燥ベルト28、初期湿状ウエブ
21、微小孔媒体30及びシリンダの組み合わせ、並びにこ
れらの各部材の両側に生じる差圧を考慮した場合、微小
孔媒体30が上に定義する「制限オリフィス」となってい
ることが重要である。微小孔媒体30を空気流に対する
「制限オリフィス」とすることにより、セルロース繊維
構造10の種々の異なる領域に一様な空気流が提供され
る。しかしながら、本発明はこのような理論に制限され
るものではない。
第3A図に示したように、初期湿状ウエブ21を乾燥する
空気流は微小孔媒体30を通過して多孔性シリンダ32及び
その内側に入る。従って、微小孔媒体30の「流れ通路」
は、このような空気流に対する「制限オリフィス」を提
供するような大きさ及び形状となっていなければならな
い。本明細書においては、「流れ通路」とは、乾燥工程
の一部において、空気流を通過させて所定の方向に指向
させる領域または複数の領域の組み合わせを意味する。
微小孔媒体30及びセルロース繊維構造10は、特に第3B
図の流れ構成においては、互いに接触した関係になけれ
ばならない。それは、微小孔媒体30とセルロース繊維構
造10との間に「空間」が形成されることと、セルロース
繊維構造10の個々の領域12の流れ抵抗によって、セルロ
ース繊維構造10に向かいそこを通過する空気流が制限さ
れることと、防止するためにである。前記「空間」が生
じると、初期湿状ウエブ21にて空気流を側方に流し、望
ましい一様な空気流が初期湿状ウエブ21を通ることを妨
げる。本明細書においては、「空気流が「側方」に流れ
ている」とは、空気流の主たる流れ方向が初期湿状ウエ
ブ21の近傍で微小孔媒体30の平面に平行な方向に流れて
いることを言う。
初期湿状ウエブ21が微小孔媒体30及びこれに関連する
方法によって乾燥されるとき、初期湿状ウエブ21中の水
分の配分は等しく一様であり、従来の乾燥による場合よ
りもさらに一様になる。この方法によれば、いかなる場
合においても、従来技術による通風乾燥方法において生
じてしまうような水分の配分の不均一性が生じたり、不
均一性が増幅されてしまうことはない。この水分の配分
は、初期湿状ウエブ21における繰り返しパターンに対応
する尺度に基づいて考慮される。定性的には、水分の配
分の相対的な一様性は、軟X線による画像解析によっ
て、若しくは、前記尺度に対して適した相対的測定を提
供する他の方法によって決定される。
第3A図の実施例において、セルロース繊維構造10と微
小孔媒体30との間に両者間の空気流れをシールするグリ
ッド(格子)が設けられるのであれば、セルロース繊維
構造10は微小孔媒体30から小さい距離だけ離れていても
かまわない。この構成は、セルロース繊維構造10による
微小孔媒体30の汚れ及び摩滅を最小限にする。
第4図に示すように、微小孔媒体30を積層構造として
もよい。しかしながら、微小孔媒体30の1つ1つの層は
もろい場合もあるため、選択される製紙工程に対して、
その強度を考慮した上で上述した差圧及び流れ抵抗の組
み合わせが得られる特定の組み合わせを行うことが必要
である。
微小孔媒体30及びセルロース繊維構造10を製造するた
めに使用される装置15の全体は、経糸方向および緯糸方
向を有するものとして考慮される。本明細書において、
「経糸方向」とは、セルロース繊維構造10の平面内であ
ってかつ製紙装置15における搬送方向に平行な方向を意
味する。また、本明細書における「緯糸方向」は、セル
ロース繊維構造10の平面内であってかつ「経糸方向」に
直角な、装置15による製造中における搬送方向をほぼ横
断する方向を意味する。
微小孔媒体30の第1〜第5の層38,40,42,44及び46
は、セルロース繊維構造10に対する劣化効果及び特性を
与えることなく、製紙工程において固有の付帯的な熱、
湿気及び圧力に耐えるに適した材料から製造される。微
小孔媒体30の層は、製造中に初期湿状ウエブ21の平面に
直角な方向に過度に偏向したり、変形しないことが重要
であり、さもなければ、それを通る望ましい一様な空気
流が維持されない。流れ通路における「制限オリフィ
ス」として機能し、かつセルロース繊維構造10を偏向せ
ず、すなわち作動中にそれを適当に支持する層38,40,4
2,44,46の組み合わせ若しくは他の要素の組み合わせ
が、微小孔媒体30として適している。各層38,40,42,44
は、過度な偏向がなく隣接する層38,40,42,44によって
支持される必要があるだけである。
ここに示した実施例において、初期湿状ウエブ21に最
も近接し、さらに場合によっては初期湿状ウエブ21接触
する第1の層38であって、約6から7ミクロンの機能的
な(所望機能を持つ)孔の寸法を有する第1の層38を備
えた積層体を用いることができる。このような第1の層
38は、金属製の経糸フィラメント及び緯糸フィラメント
を有するドイツ性のツイル織物によって形成することが
できる。経糸フィラメントは約0.038ミリメートル(0.0
015インチ)の直径を有する。緯糸フィラメントは約0.0
25ミリメートル(0.001インチ)の直径を有する。経糸
フィラメント及び緯糸フィラメントは、第1の薄層38に
織り込まれ、経糸方向に約0.071ミリメートル(0.0028
インチ)の厚みと1センチメートル当たり約125のフィ
ラメント(1インチ当たり325のフィラメント)及び緯
糸方向に1センチメートル当たり約906のフィラメント
(1インチ当たり2,300のフィラメント)が含まれる。
第1の薄層38は、その流れ抵抗を増加するため、必要に
応じてカレンダー処理することができる。
ここに説明する実施例においては、第1の層38に隣接
しそれと接触する第2の層を有し、約93ミクロンの正方
形の孔のサイズを有する積層体を使用することができ
る。このような第2の層40は、金属製の経糸フィラメン
ト及び緯糸フィラメントを有する平織物により形成され
る。経糸フィラメントは、約0.076ミリメートル(0.003
インチ)の直径を有する。緯糸フィラメントは約0.076
ミリメートル(0.003インチ)の直径を有する。経糸フ
ィラメント及び緯糸フィラメントは、経糸方向に約0.15
2ミリメートル(0.006インチ)の厚みと1センチメート
ル当たり約59のフィラメント(1インチ当たり150のフ
ィラメント)及び緯糸方向に1センチメートル当たり約
59のフィラメント(1インチ当たり150のフィラメン
ト)が含まれる。
ここに示した実施例においては、第2の層40に隣接す
るか、またはそれに接触する第3の層42であって、約23
4ミクロン(0.092インチ)の正方形の孔の大きさを有
し、経糸方向に1センチメートル当たり約24のフィラメ
ント(1インチ当たり60のフィラメント)及び緯糸方向
に1センチメートル当たり約24のフィラメント(1イン
チ当たり60のフィラメント)が含まれる第3の層42を備
えた積層体を用いることが好適である。このような第3
の層42は、金属性の経糸フィラメントおよび緯糸フィラ
メントを有する平織物によって形成することができる。
経糸フィラメントは、約0.191ミリメートル(0.075イン
チ)の直径を有する。緯糸フィラメントは約191ミリメ
ートル(0.075インチ)の直径を有する。経糸及び緯糸
フィラメントは、経糸方向に約0.254ミリメートル(0.0
10インチ)の厚みと1センチメートル当たり約24のフィ
ラメント(1インチ当たり60のフィラメント)及び緯糸
方向に1センチメートル当たり約24のフィラメント(1
インチ当たり60のフィラメント)を有する。
ここに説明した実施例においては、第3の薄42に隣接
し、約265から約285ミクロンの機能的な孔の大きさを有
する第4の層44を有する積層体を使用することができ
る。このような第4の層44は、金属製の経糸及び緯糸フ
ィラメントの平ダッチ織物によって形成することができ
る。経糸フィラメントは、約0.584ミリメートル(0.023
インチ)の直径を有する。緯糸フィラメントは約0.419
ミリメートル(0.0165インチ)の直径を有する。経糸及
び緯糸フィラメントは、約0.813ミリメートル(0.032イ
ンチ)の厚みと、経糸方向に1センチメートル当たり約
5のフィラメント(1インチ当たり60のフィラメント)
及び緯糸方向に1センチメートル当たり約25のフィラメ
ント(1インチ当たり64のフィラメント)を有する。
ここに開示した実施例においては、第5の層46は、第
4の層44に隣接し、多孔性シリンダ32の周縁に接触して
いる。第5の層46は有孔金属プレートから製造される。
有孔金属プレートは、約1.52ミリメートル(0.060イン
チ)の厚さを有するとともに、2.38ミリメートル(0.09
38インチ)の直径を有し、60゜で互い違いになり、隣接
いた孔から等しく約4,76ミリメートル(0.188インチ)
間隔を置いて配置された複数の孔を備えている。
適当な微小孔媒体30は第1乃至第4の層38,40,42及び
44は、304Lステンレススチールで製造される。第5の層
46は304ステンレススチールで製造される。第5の層46
は304ステンレススチールで製造される。適当な微小孔
媒体30は、ノースカロライナ州グリーンスボロのプロレ
ータプロダクツ社によってポロプレートパートNo.17218
0−07として供給される。所望ならば、第1の層38は、3
25×2300DTWの織物としてオエルドウエストファーレン
のハーバー&ボエッカーから直接入手することができ、
所望ならば約10%までカレンダー処理される。
微小孔媒体30においては、微小孔媒体30の「所望の形
状」及び寸法を形成すべく、タングステンイナートガス
溶接により、第5の層46から第1の層38に至るまで完全
にとけ込むような溶接がされている。特に「所望の形
状」とは、多孔性シリンダ32に適応するための円筒形の
シェルである。円筒形状のシェル形状の微小孔媒体は焼
ばめによって多孔性シリンダ32に接合することができ
る。焼ばめを達成するために、加熱装置で汚されること
のないように微小孔媒体30を加熱し、多孔性シリンダ32
の外側に配置し、微小孔媒体30として冷却して縮小させ
る。この焼ばめは、多孔性媒体30と多孔性シリンダ32と
の間で角度偏向(回転方向への位相ずれ)を防止するの
に十分でなければならず、また、微小孔媒体30の各層3
8,40,42,44,46に形成される凹凸をこれらに対して望ま
しくない応力を与えることなく均すために十分なもので
なければならない。
好ましくは、多孔性シリンダ32は円筒形状の微小孔媒
体30を収容するようになっている周縁部(図示せず)を
備えている。この周縁部は円筒形状とすることができ、
この周縁部はそれを通る複数の孔を備えて構成すること
ができ、かつこれら孔の中間に配置されるとともに軸線
方向を向いたリブを備えて構成することができる。孔及
びリブは、約15.75ミリメートル(0.620インチ)円周方
向に離れており、孔は約60ミリメートル(2.362イン
チ)軸線方向に離れている。リブは約6ミリメートル
(0.24インチ)の半径方向長さを有し、約3ミリメート
ル(0.19インチ)の周縁方向幅を有する。孔は半径が約
12ミリメートル(0.472インチ)であり、次の列の孔か
ら約12.7ミリメートル(0.500インチ)軸線方向にずれ
ている。この周縁部は、リブの基部における半径方向の
厚さが約43ミリメートル(1.69インチ)である。上記構
成により、12%の開放領域を有し、かつほぼ27.1センチ
メートル(10.67インチ)のパターンの繰り返しを持っ
た周縁部が提供される。
もちろん、本発明の利点を得るために上述した層38,4
0,42,44,46の特別な構成、数または大きさは必ずしも必
要ではない。従って、十分かつ適当な流れ抵抗をもたら
し、隣接した層が孔の中に偏向することを防止するに十
分小さい孔を有する層38,40,42,44,46の組み合わとする
ことが適当である。
セルロース繊維構造10に対する多孔性シリンダ32の円
形部分の内側に、空気流をセルロース繊維構造10に通す
装置がある。典型的には、ブロワー、ファン及び真空ポ
ンプを含むこのような空気流形成装置は、この技術分野
ではよく知られており、さらに説明する必要はない。
通常、下流への空気流の方向に孔の大きさが増大する
ようになっている複数の層からなる多孔性媒体30は、初
期湿状ウエブ21の平面に平行な平面内であって微小孔媒
体30を通る、側方を向いた空気流の生成を促進する。も
ちろん、初期湿状ウエブ21の平面に直角に主な空気流が
流れ、これにより蒸発に水が失われることに加えて、液
体状態のまま初期湿状ウエブ21から水を除去できること
が重要である。
特に、初期湿状ウエブ21から液体状態の水が除去され
ることが特に望ましく、これにより、蒸発段階において
液体の蒸発潜熱を克服するためにエネルギーが浪費され
ることを防止することができる。従って、ここで説明し
た装置15及び方法を使用することによって、液体状態の
水を機械的に引きずり出すこと並びに水の蒸発を介し
て、初期湿状ウエブ21から脱水することによってエネル
ギーを有効に利用することができる。もちろん、前述し
たすべての脱水は、一様な流れによって、セルロース繊
維構造10の種々の領域の基礎重量または密度に対する損
害を生じさせることなく行なうことができる。
上述した1センチメートル毎の緯糸フィラメント数が
906、1センチメートル毎の経糸フィラメント数が128、
孔サイズが6ミクロンの微小孔媒体30を利用することに
よって、このような微小孔媒体30が約0.15〜約1.0ミリ
メートル(0.006〜0.040インチ)の厚みと、1平方メー
トル当たり約0.013キログラム〜1平方メートル当たり
約0.065キログラム(3,000平方フィート当たり8〜40ポ
ンド)の基礎重量とを有する、初期湿状セルロース繊維
構造10のウエブを通る空気流に対する「制限オリフィ
ス」として機能することが保証される。しかしながら、
初期湿状ウエブ21及び微小孔媒体30における差圧は増加
または減少するし、初期湿状ウエブ21の基礎重量及び密
度が増加または減少するから、層38,40,42,44及び46、
特に初期湿状ウエブ21に接触する第1の層38の孔の大き
さはそれに応じて調整しなければならない。
第2図を参照すると、セルロース繊維構造10が多孔性
媒体30を有する多孔性シリンダ32を出た後、セルロース
繊維構造10は「制限オリフィスを通過した空気により乾
燥」されたものと考慮される。次に「制限オリフィスを
通過した空気により乾燥」されたウエブ50は、乾燥ベル
ト28上をテイクオフロール36から他のドライヤ、すなわ
ち、通風ドライヤ、赤外線ドライヤ、ノンサーマルドラ
イヤまたはヤンキー型乾燥ドラムまたはフード58のよう
な衝突型ドライヤに搬送される。これらのドライヤは、
それのみでまたは他の乾燥装置と組み合わせて使用され
る。
ここに説明した製造工程は、ヤンキー型乾燥ドラム56
と共に使用するのに特に適している。この製造工程にお
いて、ヤンキー型乾燥ドラム56を使用するときに、ヤン
キー型乾燥ドラム56からの熱はヤンキー型ドラム56の周
囲と接触する「制限オリフィスを通過した空気により乾
燥」されたウエブ50に導入される。ウエブ50は、圧力ロ
ール52または従来技術による他の装置によって乾燥ベル
ト28からヤンキー型乾燥ドラム56に移送される。ウエブ
50をヤンキー型乾燥ドラム56へ移送した後に、ウエブ50
は、少なくとも約50%の密度までヤンキー型乾燥ドラム
で乾燥される。
ウエブ50は、クレープ接着剤により、ヤンキー型乾燥
ドラム56に一時的に接着される。典型的なクレープ接着
剤は、1975年12月16日にベイトに付与された米国特許第
3,926,716号に開示されたポリビニールアルコール系接
着剤を含み、この特許の開示事項は、このような接着剤
の他への適用によってヤンキー型乾燥ドラム56にウエブ
50を接着するために適した接着剤を示す目的で本明細書
に組み込まれる。
必要に応じて、経糸方向の長さを減少させるとともに
繊維と繊維との結合を破壊を伴ってセルロース繊維が再
配置されるように、乾燥ウエブを縮小させてもよい。こ
の縮小はいくつかの方法によって行うことができるが、
最も適しているのは、この技術分野でよく知られている
クレーピング処理によるものである。クレーピング工程
において、ウエブ50をヤンキー型乾燥ドラム56の表面の
ような剛体の表面に接着させ、次にドクターブレード60
でその表面から除去する。クレーピング処理をしてヤン
キー型乾燥ドラム56から除去した後、セルロース繊維構
造10をカレンダー処理するか、所望なように変換しても
よい。
第3図Bを参照すると、所望ならば、多孔性シリンダ
32は、正の内圧、すなわち多孔性シリンダ32の内圧が大
気圧より大きくなるような圧力とされている。この構成
において、空気流は、多孔性シリンダの内側から多孔性
シリンダの外側の方向に流れる。
このような構成においては、乾燥ベルト28が初期湿状
ウエブ21の半径方向外側に配置され、微小孔媒体30が初
期湿状ウエブ21に接触してその半径方向内側に配置され
ることが必要である。第3B図に示す正の内圧を有する構
成において、微小孔媒体30の最も粗い第5の層46から第
1の層38に空気流が流れる。次に、空気流は、第1の層
38を出て初期湿状ウエブ21に入る。空気流は初期湿状ウ
エブ21を通過した後、乾燥ベルト28を通って流体通路に
出る。
第3A図及び3B図に示す内部を正圧(大気圧より大きい
圧力)および負圧(大気圧より小さい圧力)とした多孔
性ロール32はある利点を有する。例えば、第3A図に示す
内部が負圧とされた多孔性シリンダ32においては、初期
湿状ウエブ21が多孔性媒体30に緊密に接触し、これによ
り空気流の一様な配分が推進されるという利点をもたら
す。内部が負圧とされたシリンダ32は、内部が正圧とさ
れた多孔性シリンダ32を用いた場合に比べて、初期湿状
ウエブ21をさらに効率よく乾燥する。その逆に、第3B図
に示す内部が正圧とされた多孔性シリンダ32を用いた場
合は、空気、水またはセルロース繊維10の汚れが微小孔
媒体30の最も小さい孔を有する第1の層38上で乾燥して
そこに残るといった傾向が少なくなるという利点があ
る。
多孔性媒体30を多孔性シリンダ32の表面に配置すると
ともに、乾燥ベルト28なしにウエブ50を所定の場所に保
持することも可能である。このような構成をとる場合に
は、十分な密度まで乾燥させねばならない初期湿状ウエ
ブ21が微小孔媒体30上にある間はそのままの状態を維持
し、かつ好ましくは内部が負圧とされた多孔性シリンダ
32が用いられることが必要である。この構成は、「制限
オリフィスを通過した空気により乾燥」されたウエブ50
が微小孔媒体30を出た後さらに乾燥されるとき、若しく
は比較的高温の空気流を用いることが望ましいときに特
に有利である。
多孔性シリンダ32は、異なる圧力を有する異なる領域
を有して構成することができる。この構成により、負圧
または正圧をつくり、使用する初期湿状ウエブ21に空気
流を流すための廉価な装置を得ることが可能となる。例
えば、内部が負圧とされる多孔性シリンダ32は、比較的
低い差圧、特に微小孔媒体30の制限オリフィスのメニシ
(menisci)を突破できる圧力未満の差圧を有する第1
の領域と、それより遥かに高い差圧を有する第2の領域
と、第1の領域の差圧と同じかそれ以下であるが前記突
破圧力を越えた第2の領域によりもたらされた空気流が
通過することができる第3の領域と、を備えて構成する
ことができる。例えば、第1の領域は、約10.2〜17.8セ
ンチメートル水銀柱(4〜7インチ水銀柱)の差圧とさ
れる。第2の領域は、実質的にオリフィス内の水を空に
することができる約22.9センチメートル水銀柱(9イン
チ水銀柱)の差圧とされる。また、第3の領域は、前記
突破圧力よりわずかに低い差圧に保持され、これにより
エネルギーを節減する一方で、良好な空気流が確保され
るようにする。
これらの各領域において微小孔媒体30上に初期湿状ウ
エブ21が上に滞在する時間は等しくする必要はない。特
に、さらにエネルギーを節減するために、非常に大きい
差圧を有する第2の領域の円周方向寸法は、第1及び第
3の領域の円周方向寸法より小さくすることができる。
もし、1つの多孔性シリンダ32が1つの特定の圧力領
域を有することが望ましいならば、各々が異なる正圧ま
たは負圧された2つまたはそれ以上の多孔性シリンダ32
を連続して使用することができる。また、一方が負圧と
され、他方が正圧とされる2つまたはそれ以上の多孔性
シリンダ32をカスケード状に接続することもできる。
他の変形例(図示せず)において、微小孔媒体30を無
限(エンドレス)ベルトの形態とすることも可能であ
る。このような無限ベルトは、上述したような所望の滞
在時間を得という目的を達成するに十分な距離にわたっ
て乾燥ベルト28と平行に設けられる。この場合において
も、初期湿状ウエブ21は、微小孔媒体30からなるベルト
と乾燥ベルト28との中間に配置される。第3A図及び第3B
図を参照して説明したように、このような微小孔媒体30
は初期湿状ウエブ21を通る空気流に対して「制限オリフ
ィス」であるに十分な上述したようなメッシュサイズ及
びカウントを有するポリエステルまたはナイロン繊維の
単一の層から製造することができる。
上述した第2乃至第3B図に示す多孔性シリンダ32の周
りを包む多孔性媒体30の実施例は、ベルトの形態とされ
る微小孔媒体30より有利である。例えば、多孔性シリン
ダ32のタイプの微小孔媒体30は、大きい完全性と長い寿
命を有することが期待されるが、溶接継ぎ目でセルロー
ス繊維構造10に対する差をある。
逆に、微小孔媒体の無限ベルトの形態とすると、バッ
クフラッシュ(逆洗)を通常のシャワー技術によって達
成することができるので容易にきれいにすることができ
る。さらに、1つの層のポリエステルベルトは、微小孔
媒体30の孔を通して一様にさらに効率的にバックフラッ
シュを行うことができる利点を有する。このような実施
例の場合、多孔性媒体を組み込んだ多孔性シリンダの場
合よりも、多孔性媒体が破損した場合の動作可能な状態
への修復が容易である。また、継ぎ目も細いという利点
もある。第4図に示したような複層の多孔性媒体30にお
いては、多くのバックフラッシュ水が隣接する層38,40,
42,44及び46の間において側方にながれ、多孔性シリン
ダ32の周囲の孔のパターンに一部起因して、最も必要と
される第1の層38の最も細い孔を通して一様には放出さ
れない。
上述した微小孔媒体30の織られた層38,40,42,44及び4
6の代わりに、微小孔媒体30を、化学的にエッチング加
工したり、高温静水圧焼結法により焼結することにより
形成したり、1985年12月3日にチュン等に付与された米
国特許第4,556,450号に示された技術に従って製造する
ことができる。
微小孔媒体30の実施例において、第1の層、すなわ
ち、大きな流れ抵抗を生じ、微小孔媒体30の表面、特に
セルロース繊維構造10に接触する微小孔媒体30の表面
に、最も細い孔を有する第1の層38を設けることが好ま
しい。この構成は、微小孔媒体30を通る側方に向かう空
気流を低減し、好ましくは、このような側方に向かう空
気流に関連する非一様な空気の配分を最小限にすること
が好ましい。
本発明の他の変形例及び変更例があり、それらのすべ
ては本発明の請求の範囲内にあることは明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 トロカン,ポール デニス アメリカ合衆国オハイオ州、ハミルト ン、ウォーベル、ロード、1356 (56)参考文献 特開 昭50−14804(JP,A) 特開 昭53−24405(JP,A) 特公 昭42−16342(JP,B1) 米国特許3699663(US,A) 米国特許4556450(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21F 5/18 D21F 7/08

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水が中に配分されたセルロース繊維からな
    る初期湿状ウエブと組み合わされて、制限オリフィスを
    通過した空気により乾燥を行う製紙装置と共に使用する
    ための微小孔媒体であって、 前記初期湿状ウエブを通る空気流に対する制限オリフィ
    スであって、空気流が通った後の前記初期湿状ウエブ中
    の水分の配分が均等若しくはより一様になるようする、
    制限オリフィスを備え、前記制限オリフィスは複数の層
    を有しており、各層が前記空気流が通る孔を有している
    ことを特徴とする、微小孔媒体。
  2. 【請求項2】前記空気流に対する最も大きい流れ抵抗を
    有する層は、前記初期湿状ウエブに接触する前記微小孔
    媒体の一方の表面上にあることを特徴とする、請求項1
    に記載の微小孔媒体。
  3. 【請求項3】水分が中に配分されているセルロース繊維
    の初期湿状ウエブを制限オリフィスを通過した空気によ
    り乾燥させる装置であって、 初期湿状ウエブに通すための空気流を生じさせる手段
    と、 前記初期湿状ウエブを支持するとともにその中に空気が
    通される通風乾燥ベルトであって、その一方の面が前記
    初期湿状ウエブに接触する通風乾燥ベルトと、 初期湿状ウエブに対向して配置される請求項1に記載の
    微小孔媒体と、を備えたことを特徴とする、装置。
  4. 【請求項4】多孔性シリンダを更に備え、前記微小孔媒
    体が前記多孔性シリンダの周面に配置されていることを
    特徴とする、請求項3に記載の装置。
  5. 【請求項5】前記多孔性シリンダの内部が大気圧より低
    い圧力とされていることを特徴とする、請求項4に記載
    の装置。
  6. 【請求項6】前記シリンダの内部が大気圧より高い圧力
    とされていることを特徴とする、請求項4に記載の装
    置。
  7. 【請求項7】前記微小孔媒体は無限ベルトの形態で設け
    られていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
  8. 【請求項8】セルロース繊維構造を制限オリフィスを通
    過した空気により乾燥を行う方法であって、 水分が配分された乾燥すべきセルロース初期湿状ウエブ
    を準備する段階と、 前記初期湿状ウエブに通す空気流を生じさせる手段とを
    準備する段階と、 前記初期湿状ウエブを支持する乾燥ベルトを準備する段
    階と、 請求項1に記載の微小孔媒体を準備する段階であって、
    前記初期湿状ウエブが乾燥ベルトと前記微小孔媒体との
    間に位置するように前記初期湿状ウエブの前記乾燥ベル
    トに対向する一方の側に微小孔媒体が配置されるよう
    に、微小孔媒体を準備する段階と、 前記乾燥ベルト上に前記初期湿状ウエブを配置する段階
    と、 前記初期湿状ウエブと前記微小孔媒体とを通して空気を
    流し、前記初期湿状ウエブを通して空気が流れた後に、
    前記水分の配分が均等若しくは空気流が通る前よりも一
    様になるようにする段階と、 を備えたことを特徴とする、方法。
  9. 【請求項9】前記初期湿状ウエブを通る空気は、前記乾
    燥ベルトから前記微小孔媒体へ向かう方向に流れること
    を特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記初期湿状ウエブを通る空気は、前記
    微小孔媒体から前記乾燥ベルトに向かう方向に流れるこ
    とを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】請求項8に記載の方法によって製造され
    たセルロース繊維構造。
  12. 【請求項12】請求項9に記載の方法によって製造され
    たセルロース繊維構造。
  13. 【請求項13】請求項10に記載の方法によって製造され
    たセルロース繊維構造。
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