JP3242201U - 鋼管杭の継手構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】地盤に埋入すべき鋼管杭において、下杭と上杭とをボルト等の締結具を用いなくても連結することができる継手構造を提供する。【解決手段】鋼管からなる上杭1と鋼管からなる下杭2とをつなぐ継手構造であって、上杭の下端には小径凸部11を備える雄型金具10が連結され、下杭の上端には大径凹部を備える雌型金具20が連結され、小径凸部の周壁には突起13が備えられ、大径凹部はひさし部26を備え、該ひさし部の間にスペースが形成され、かつ、ひさし部の内側に当接壁27が形成され、突起をスペースに通過させることで、小径凸部は大径凹部に挿入されて、大径凹部の底部に小径凸部の先端が当接し、上杭を第1方向に回転させると、突起が当接壁及び/又はひさし部に干渉し、上杭の第1方向の回転力を下杭に伝達し、上杭の引き上げ力を下杭に伝達する。【選択図】図2

Description

この考案は、鋼管杭の継手構造の改良に関する。
地盤に埋入すべき鋼管杭の長さは、地盤の特性に依存して様々である。また、鋼管杭の長さは運搬環境にも制限される。そこで、規定の長さの鋼管杭の複数本を準備して、これをつなぎ合わせて使用することが一般的である。
鋼管杭をつなぎ合わせるための継手構造が提案されている。地盤へ先に埋入される下杭の上縁に予め第1金具を溶接し、その後に埋入される上杭の下縁に予め第2金具を溶接しておく。現場において、第1金具と第2金具とを固定し、もって下杭に上杭を連結させる。
第1金具と第2金具との固定は溶接の他、ボルト等の締結具を用いることが一般的であった(特許文献1参照)。
特開2000-329118号公報
下杭の第1金具に対して上杭の第2金具をボルト等の締結具を用いて固定するには、第1金具と第2金具にあけられたボルト穴を連通させなければならない。そのためには、下杭に対して上杭を芯合わせすることはもとより、第1金具と第2金具との周方向の位置合わせも必要となる。
かかる位置合わせの状態は、ボルト締めの作業中、維持しておかなければならない。
このように、第1金具と第2金具とをつなぎ合わせる作業には手間がかかっていた。
この考案は上記課題を解決すべくなされたものであり、その第1局面は次のように規定される。即ち、
鋼管からなる上杭と鋼管からなる下杭とをつなぐ継手構造であって、
前記上杭の下端には小径凸部を備える雄型金具が連結され、前記下杭の上端には大径凹部を備える雌型金具が連結され、
前記小径凸部の周壁には突起が備えられ、
前記大径凹部はひさし部を備え、該ひさし部の間にスペースが形成され、かつ前記ひさし部の内側に当接壁が形成され、
前記突起を前記スペースに通過させることで、前記小径凸部は前記大径凹部に挿入され、
前記上杭を第1方向に回転させると、前記突起が前記当接壁及び/又は前記ひさし部に干渉し、前記上杭の第1方向の回転力を前記下杭に伝達し、前記上杭の引き上げ力を前記下杭に伝達する、
継手構造。
このように規定される第1局面の継手構造によれば、小径凸部を大径凹部へ挿入した状態で、小径凸部(即ち、上杭)を第1方向へ回転させると、小径凸部の突起が大径凹部の当接壁に干渉して、大径凹部を共回りさせ、もって下杭を第1方向へ回転させる。
下杭を引き上げることが求められるときは、小径凸部の突起が大径凹部のひさし部に干渉し、即ち、突起の上面がひさし部の下面に当接する。これにより、上杭からの引き抜き力が下杭に伝達される。
大径凹部のひさし部に形成されたスペースへ小径凸部の突起を通過させれば、小径凸部を大径凹部へ容易に嵌め合わせることができる。その後も、何らボルトなどの締結具を使わずに、上杭からの力を下杭へ伝達できる。
この考案の第2局面は次のように規定される。即ち、
第1局面に規定の継手構造であって、前記ひさし部は前駆大径凹部の上縁から中心方向に張り出しており、前記大径凹部の底面と前記ひさし部の下面の距離は前記突起の高さより大きく、
前記ひさし部に形成されたスペースは、周方向に均等に分配され、
前記突起は前記小径凸部の周面に、周方向に均等に分配されており、その周方向の幅は前記スペースの幅より小さい。
このように規定される第2局面の継手構造によれば、大径凹部の底面とひさし部の下面との距離が、小径凸部の突起の高さより大きいので、ひさし部の下を突起が自由に移動できる。即ち、小径凸部を大径凹部に嵌合させた状態で、小径凸部(即ち、上杭)を大径凹部(即ち、下杭)に対して抵抗なく回転させられる。
また、大径凹部のひさし部に対してスペースが、小径凸部の周囲に突起が、それぞれ均等に配置されているので、小径凸部を大径凹部に簡便に挿入できる。小径凸部の周方向の位置合わせが容易になるからである。
この考案の第3局面は次のように規定される。即ち、
第2局面の継手構造において、前記ひさし部の内側の前記当接壁は、前記ひさし部において、偏移して配置されている。
このように規定される第3局面の継手構造によれば、当接壁がひさし部において回転方向の奥側に位置するので、小径凸部を回転させたとき、その突起がひさし部の奥深くまで入り込むことができる。その結果、突起とひさし部との干渉が安定する。
この考案の第4局面は次のように規定される。即ち、
第3局面に規定の継手構造であって、前記ひさし部の前縁は直線状である。
このように規定される第4局面の継手構造によれば、ひさし部を直線状としたため、突起に干渉できるひさし部の面積を大きくとれ、もって、両者の干渉が安定する。
この考案の第5局面は次のように規定される。即ち、
第2局面の継手構造において、前記スペースは、前記大径凹部の周方向に2~5つ形成されている。
このように規定される第5局面の継手構造によれば、スペースの数を2~5とすることにより、突起をスペースへ無理なく、簡易に挿入できる。
この考案の第6局面は次のように規定される。即ち、
第5局面の継手構造において、前記ひさし部の張り出し量と、前記突起の突出量が等しい。
このように規定される第6局面の継手構造によれば、大径凹部周面からのひさし部の張り出し量と小径凸部周面からの突起の突出量とを等しくしたので、両者の干渉が確実に実行される。更には、ひさし部の突出量を必要最小限とすることができるので、これとの干渉を避けなければならない小径凸部の径を可及的に大きくできる。
図1はこの考案の実施形態の継手構造の横断面図であり、図1(ア)は小径凸部を大経凹部へ挿入した状態を示し、図1(イ)は上杭を時計方向に回転させてながら下杭を地盤に埋入する状態を示し、図1(ウ)は上杭を反時計方向へ回転させながら下杭を引き上げる状態を示す。 図2は同じく縦断面図であり、図2(I)は図1(ア)のI-I線断面図、図2(II)は図1(イ)のII―II線断面図、図3(III)は図1(ウ)の(III-III線断面図である。 図3は接手構造を構成する各要素の横断面図を示し、図3(A)は図2のA-A線断面図、図3(B)は図2のB-B線断面図、図3(C)は図2のC-C線断面図、図3(D)は図2のD-D線断面図である。
以下、この考案の実施形態を説明する。
この考案の継手構造は、上杭1の下端に溶接される雄型金具10と下杭2の上端に溶接される雌型金具20とを備え、両者を嵌合させてなる。
雄型金具10は、上杭1の下縁に溶接されたリング状の平板基部12から円筒形の小径凸部11を突出させた構造であり、小径凸部11の周面に立方体状の突起(キー)13が溶接される。このキー13は、小径凸部11の周面においてその4つが周方向に均等分配されている。キー13の配設数や形状は特に限定されないが、配設数は3~5とすることが好ましい。キー13の形状は後述する当接壁に対向する面を平面とし、後述するひさし部に対向する面が平面とすることが好ましい。
小径凸部11の中心は上杭1の中心と一致しており、小径凸部11を回転させたときにキー13の周面が描く円の中心も小径凸部11の中心と一致している。
雌型金具20は、下杭2の上端に溶接される底壁21とこの底壁21から立設した周壁23とからなる凹状の部材である。この部材の内径は既述の小径凸部11より大径であるため、この部材を大径凹部と称する。
周壁23の上縁からはその中心側に向かってひさし部26が形成されている。このひさし部26の辺は直線状とされている。
ひさし部26の下側には当接壁27が溶接されている。この当接壁27は底壁21にも溶接され、ひさし部26を支えている。
隣り合うひさし部26の間にはスペース28が形成される。このスペース28はキー13に対応して、その4つが周壁23の内周面において周方向に均等に分配されている。スペース28の幅はキー13より広く、もって、キー13はスペース28を通過できる。
ひさし部26の高さ、即ち底壁21からひさし部26の下面までの距離は、キー13の高さより大きくする。これにより、キー13はひさし部26の下を自由に移動できる。もって、下杭2に対して上杭3をスムーズに回転させられる。
当接壁27の形成位置は、各ひさし部26の奥側に偏移している。これにより、キー13をひさし部26内に深く差し込むことでき、キー13とひさし部26との干渉、即ち係合を確実にすることができる。
次に、雄型金具10と雌型金具20との結合方法について説明する。
小径凸部11と大径凹部とを芯合わし、かつキー13はそれぞれスペース28に対向させた状態で、両者を嵌合させる(図1(ア))。
図1(ア)の状態から上杭1、即ち小径凸部11を図示時計周り方向(第1方向)に回転させると(図1(イ)参照)、キー13が当接壁27の図示左側側面に当接する。この状態から更に上杭1を時計周り方向へ回転させると、キー13が当接壁27を押し、もって下杭2が時計周り方向へ回転する。換言すれば、上杭1の回転が下杭2に伝達される。この状態で下杭2は更に埋入される。
図1(イ)の状態から、上杭1を反時計周り方向に回転させると、キー13ははひさし部26の内部に入り込み、当接壁27の図示右側側面に当接する。この状態で上杭1を引き上げると、キー13がひさし部26に係合してこれを引き上げる。もって、下杭2が引き上げられる。換言すれば、上杭1の引き上げ力が下杭2に伝達される。このとき、当接壁27はひさし部26の図示左側に偏在している。よって、キー13はひさし部26の奥まで入り込むことができ、キー13とひさし部26との係合が確実になる。
このように、この考案の継手構造によれば、何らボルト等の締結具を用いなくても、下杭と上杭とを連結させることができる。
1 上杭
2 下杭
10 雄型金具
11 小径凸部
20 雌型金具
23 周壁
26 ひさし部
27 当接壁
28 スペース

Claims (6)

  1. 鋼管からなる上杭と鋼管からなる下杭とをつなぐ継手構造であって、
    前記上杭の下端には小径凸部を備える雄型金具が連結され、前記下杭の上端には大径凹部を備える雌型金具が連結され、
    前記小径凸部の周壁には突起が備えられ、
    前記大径凹部はひさし部を備え、該ひさし部の間にスペースが形成され、かつ前記ひさし部の内側に当接壁が形成され、
    前記突起を前記スペースに通過させることで、前記小径凸部は前記大径凹部に挿入されて、前記大径凹部の底部に前記小径凸部の先端が当接し、
    前記上杭を第1方向に回転させると、前記突起が前記当接壁及び/又は前記ひさし部に干渉し、前記上杭の第1方向の回転力を前記下杭に伝達し、前記上杭の引き上げ力を前記下杭に伝達する、
    継手構造。
  2. 前記ひさし部は前駆大径凹部の上縁から中心方向に張り出しており、前記大径凹部の底面と前記ひさし部の下面の距離は前記突起の高さより大きく、
    前記ひさし部に形成されたスペースは、周方向に均等に分配され、
    前記突起は前記小径凸部の周面に、周方向に均等に分配されており、その周方向の幅は前記スペースの幅より小さい、請求項1に記載の継手構造。
  3. 前記ひさし部の内側の前記当接壁は、前記ひさし部において偏移して配置されている、請求項2に記載の継手構造。
  4. 前記ひさし部の前縁は直線状である、請求項3に記載の継手構造。
  5. 前記スペースは、前記大径凹部の周方向に4つ形成されている、請求項2に記載の継手構造。
  6. 前記ひさし部の張り出し量と、前記突起の突出量が等しい、請求項5に記載の継手構造。
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